説明

USB対応電場除去器

【課題】アース端子を有していない単相2線式の電源ラインによって、電源が供給されている環境で使用される各種の電気機器等に対して、安全、確実、しかも、簡便にアースをとる手段を提供し、もって、作業者や居住者を極低周波電磁波の影響による健康被害から守ることを可能にする電場除去器を提供する。
【解決手段】単相2線式電源ラインに対応した電源プラグと、電気機器等のアース電位部位に接続されるアースプラグと、電源プラグの片側とアースプラグとを接続する接続コードとを有する電場除去器において、単相2線式電源ラインのホットラインが電気機器等のアース電位部位に接続された時に光及び/又は音で、誤接続を知らせる電位検出回路が、電源プラグと接続コードの一端との間に設けられているとともに、アースプラグが、USBプラグであることを特徴とする電場除去器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の一般家庭の電気器具等から発生する極低周波電磁波(家庭用交流電源から発生する電磁波)のうち、特に電場の発生を抑制することができる電場除去器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭の電気機器等から発生する極低周波電磁波による心身への悪影響(頭痛・吐き気・いらいら等)が問題視されている。
例えば、電磁波防止エプロンを着用してアースがとられていないパソコンを使用している人の電磁波測定を行ったところ、約150V/mの電場が帯電していたという事実が報告されている。そして、その人たちの中には、肩こりがひどいとか、頭痛やかすみ目、そして花粉症や鼻炎などのアレルギーに悩んでいる方が多くいることが併せて報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
さらに、最近では早稲田大学人間科学学術院の辻内琢也准教授の研究室において、「交流電場が与えるからだへの影響に関する研究」が始まり、電磁波によって自律神経系が影響を受けていることを示唆する実験データが公表されている(非特許文献2、3)。
【0004】
一般に電磁波とは、電界と磁界が互いに垂直な方向に振動しながら空間や物質中を伝わっていく現象またはその振動電磁界のことであり、電界(電場)と磁界(磁場)の合成波(周波数)という意味である。ここで、本発明において、電界と電場、磁界と磁場は、ほぼ同じ意味で使用しており、電界(電場)とは電気の影響が及ぶ範囲、磁界(磁場)とは磁気の影響が及ぶ範囲を意味している。
【0005】
磁場は電気機器等に電流が流れることにより生じる。したがって、電気機器等の電源スイッチを切った状態では磁場は生じない。これに対し、電場は電圧がかかるだけで生じる。すなわち、電気機器等の電源スイッチを切った状態であっても、コンセントにプラグが差し込まれているだけで、電場は生じてしまう。
【0006】
したがって、電場の発生を抑制し、電磁波の影響による前述したような心身への悪影響から逃れるためには、電気機器等の電源プラグをコンセントから抜くか、電気機器等にアースをとることが考えられる。電気機器等の使用中は電源プラグをコンセントから抜くことはできないので、電磁波の影響を抑制する最も現実的で効果的な方法は、電気機器等にアースをとることである。
【0007】
前述したような家庭の電気機器等から発生する極低周波電磁波による心身への悪影響を減らすため、各国では電磁波に関するガイドラインを設けて、電気機器等から発生する電磁波を抑制するように呼びかけている。特にスウェーデン労働組合協会が設けているガイドライン(TCO規制)は、世界で最も厳しい基準を定めており、スウェーデンの電磁波に対する関心の高さが伺える。一方、日本の業界団体が設けているガイドラインでは、磁場に関する基準は前述のスウェーデンのガイドラインと変わらないものの、電場に対する基準は、スウェーデンのガイドラインに比べて、100Vでは5倍、200Vでは25倍もの電場を許容しており、対応の遅れ、関心の低さを如実に物語っている(表1参照)。
【0008】
【表1】

【0009】
日本の一般家庭やオフィスで主として使われている単相2線式の電源ラインでは、後述するように2本の電源ラインのうち、どちらか一方の電源ラインが接地された状態になっている。この接地されている電源ラインのことを一般にコールドラインと呼んでいる。したがって、電気機器等の2本の電源線のうち、電気機器等の機器内部においてアースラインに繋がっている側を電源ラインのコールドラインと連結することによって、電気機器等を接地させた状態、すなわち、アースをとったことと同一の状態とすることができる。
【0010】
また、単相2線式の電源ラインにおいては、どちら側がコールドラインか分からないことも多いため、どちら側がコールドラインかを検出して、電気機器等のアース端子と接続する電気機器等の接地装置(以下、「電場除去器」という)も開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】登録実用新案第3016977号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】土田直樹著「オールアース時代がやってくる」、ホノカ社、2005年10月30日、p.29−30
【非特許文献2】土田直樹著「アース革命」、ホノカ社、2011年8月30日、p.210−213
【非特許文献3】前田未加子「電磁場の生体影響−医療人類学的研究の試み−」、早稲田大学人類科学学術院医療人類学研究室ホームページ、[平成23年11月1日検索]、インターネット<URL:http://www.waseda.jp/sem-tsujiuchi/Master2009-3ElectroMF.pdf >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述したような従来の電場除去器は、アース端子を有する電気機器等に適用する場合には特に問題はないが、ノートパソコンなどのアース端子を持たない機器に適用する場合には、電場除去器から出力されているアース線を接続する場所がなく、やむを得ず、鰐口クリップなどでノートパソコンのコネクタ部などの金属部に連結してアースを取っているのが現状であった。
【0014】
ところが、このような使用方法では、知らないうちに鰐口クリップが外れてしまい、全く電場除去器が機能していないことに使用者が気づかなかったり、鰐口クリップでコネクタ部の端子間を短絡させてしまいノートパソコンの回路を破損させてしまったりという課題が生じていた。
【0015】
また、従来の電場除去器は、セレクトスイッチを用いてアース接続コードとコールドライン、ホットラインとの接続の切り替えを行っていたため、装置が大型化し扱いにくいという課題があった。また、セレクトスイッチが機械的接点を有するため錆びや摩耗により劣化し、装置の寿命が短いという課題があった。
【0016】
また、これまで、安価で手軽に取り付けられる電場除去器が市販されていなかったため、多くの事務所や家庭でパソコン等の電気機器等にアースをとらずに使用することを余儀なくされていた。パソコン等を確実にアースするためには、200Vの電源ラインにおいて用いられているアース端子付きの3極の電源プラグを用いることが有効である。しかしながら、我が国の電源ラインは100Vが主流であり、100Vの電源ではアース端子の接地が水回りなどの特定の場所を除いて義務づけられていないため、ほとんど普及していない。さらに、前述したように電磁波に対する規制も厳しくないため、電気機器側の電磁波に対する対策も進んでいないのが現状である。その一方で、パソコン等の電気機器等は急速に普及し、極低周波電磁波の影響による健康被害の報告が急増しており、極低周波電磁波に対する対策が焦眉の課題となっている。
【0017】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、アース端子を有していない単相2線式の電源ラインによって、電源が供給されている環境で使用される各種の電気機器等に対して、安全、確実、しかも、簡便にアースをとる手段を提供し、もって、作業者や居住者を極低周波電磁波の影響による健康被害から守ることを可能にする電場除去器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者が前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、USBプラグの接地端子(外筐端子)と単相2線式の電源ラインのコールドラインとを接続することで、前記課題を解決するとともに後述するようなこれまでの電場除去器にない格別な効果を奏するという知見を見出した。
【0019】
さらに、コールドラインとホットラインの検出にタッチセンサーを用いた電位検出回路を採用したことによって、これまで電場除去器の故障の原因となっていたセレクトスイッチを用いずに回路を構成することに成功するとともに、装置の大幅な小型化および部品点数の削減によるコストダウンを実現した。
【0020】
すなわち、本発明の構成は、
「 単相2線式電源ラインに対応した電源プラグと、電気機器等のアース電位部位に接続されるアースプラグと、前記電源プラグの片側とアースプラグとを接続する接続コードとを有する電場除去器において、
前記単相2線式電源ラインのホットラインが電気機器等のアース電位部位に接続された時に光及び/又は音で、誤接続を知らせる電位検出回路が、前記電源プラグと接続コードの一端との間に設けられているとともに、
前記アースプラグが、USBプラグであることを特徴とする電場除去器。」
に特徴を有するものである。
【0021】
なお、本発明において、「電気機器等」とは、パソコン、プリンタ、プロジェクター、コピー機など、AC電源から電源が供給される共にUSBコネクタを有している電気機器を意味している。
【0022】
本発明の特徴について、以下に詳細に説明する。
【0023】
単相2線式電源ラインは、電気設備技術基準で中性線は必ずアースをすることが義務づけられている。これは、一般にB種アースと呼ばれている。そして、単相2線式電源ラインのアースされている側の電源ラインは「コールドライン」、アースされていない側の電源ラインは「ホットライン」と呼ばれている。
【0024】
本発明の第1の特徴は、外見からは分かりにくい単相2線式電源ラインに対応した電源プラグのホットラインとコールドラインとを使用者が容易に判別できるようにしたことにある。これによって、これまで電源コンセントにアース端子がなかったために、すなわち、2極の電源コンセントが使用されていたために、電気機器等のアースがとれなかった環境において、簡単にアースをとることが可能になり、極低周波電磁波の影響による健康被害を抑制することができる。しかも、ホットラインとコールドラインの判別は、本発明の電場除去器の電源プラグをコンセントに差し込み、向きが逆であると光及び/又は音で知らせるというきわめて簡単な方法で行われる。したがって、使用者は、1回電源プラグをコンセントに差し込んで、光及び/又は音で向きが逆であることを知らせられた場合、電源プラグの向きを逆にしてコンセントに差し込めば、コールドラインが正しくアースプラグに接続される。また、電気機器等を移動して別のコンセントを使用するときなども、本発明の電場除去器に電位検出回路が内蔵されているのでその都度コールドラインの検出が行えるのできわめて便利である。
【0025】
本発明の第2の特徴は、コンセントのコールドラインを利用して電気機器等のアースをとるので、すべてのコンセントに対応できる。また、コンセントの形状を変える必要がないので、工事等も必要なく簡単に装着可能である。コンセントのコールドラインは、電気設備技術基準により必ず6600V:200V変圧器の二次側の中性線(接地側電線)に繋がっているため、このコールドラインと電気機器等のアースラインを接続することで確実にアースをとることができる。
【0026】
本発明の第3の特徴は、ここが、もっとも本発明の特徴的な構成であるが、アースプラグとしてUSBプラグを使用していることである。したがって、パソコンはもちろんのこと、プリンタ、スキャナなどパソコンの周辺機器等、USBコネクタを有する電気機器等であれば、現在、アースをとらずに使用している多くの電気機器等に対応できる。USBは、パソコンなどのデータ伝送に用いられる規格であり、これまでデータ伝送以外に使用されることはなかったが、発明者らが、鋭意研究を行ったところ、このUSBコネクタは、外筐端子(外側の矩形の金属端子)が電気機器等のアースラインと接続されているためアースをとるのに最適であることに加え、たとえ、外筐端子とホットラインを接続した場合であっても、内部回路の電位が上昇することがないように設計されているため、電気機器等を故障させたりすることがないという、電場除去器にとってきわめて理想的なアース手段であるという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0027】
本発明の第4の特徴は、アースプラグがUSBプラグを使用しているので、前述のように、電気機器等のアースラインに確実にアース線を接続することができる。その結果、従来、鰐口クリップをコネクタ部に挟んでアースをとっていたときのような誤接続や短絡、知らないうちに鰐口クリップが外れるといったようなミスを確実に回避することができる。また、誤接続や短絡に起因する電気機器等の内部回路の破損や故障などを確実に回避できる。
【0028】
本発明の第5の特徴は、内部回路の主要部である電位検出回路部にタッチセンサーを採用したことにより、装置内部から機械的接点がなくなるとともに、部品点数を削減されたため、装置の故障、劣化が少なくなり、きわめて長寿命となるとともに、大幅な装置の小型化、コストダウンが実現できた。
【0029】
さらに、発展的な本発明の特徴は、通常は、USBコネクタを有していないが、極低周波電磁波の影響が問題視されているホットカーペットや電気毛布などにおいても、USBコネクタを設けアースラインをUSBコネクタの外筐端子(外側の矩形の金属端子)と接続することによって、本発明の電場除去器を使用して極低周波電磁波の影響を軽減することができることである。すなわち、本発明の電場除去器は「アースをとる」ことに対する対応が遅れている我が国において、とても簡単に「アースをとる」手段を提供するものであり、その適用範囲はきわめて広い。
【0030】
USBプラグをアースプラグとして使用するという発想は、これまでになく、しかも、前述したような効果を奏する点で、新規性のみならず進歩性を有するものである。さらに、タッチセンサーを用いた電位検出回路を内蔵し、簡単にコールドラインを判別できるため、すぐれた有用性も持っている。
【発明の効果】
【0031】
本発明の電場除去器は、単相2線式電源ラインに対応した電源プラグと、電気機器等のアース電位部位に接続されるアースプラグと、電源プラグの片側とアースプラグとを接続する接続コードとを有し、単相2線式電源ラインのホットラインが電気機器等のアース電位部位に接続された時に光及び/又は音で、誤接続を知らせる電位検出回路が、電源プラグと接続コードの一端との間に設けられているとともに、アースプラグが、USBプラグであるので、アース端子のない2極のコンセントが使用されていたために、電気機器等のアースがとれなかった環境においても、簡単、確実、安全にアースをとることが可能になるというすぐれた効果を発揮するものである。しかも、アースプラグがUSBプラグであるため、USB対応の電気機器等であれば、簡単・確実に接続することができ煩わしい接続作業から開放される。その結果、これまで対策の難しかった極低周波電磁波による健康被害を防止できるなど、その効果は絶大である。さらに、内部回路に機械的接点を有していないので、長寿命であるとともに、部品点数を削減したことにより、装置の小型化・コストダウンが実現でき、我が国における極低周波電磁波による健康被害の抑制にきわめて大きな技術的貢献をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例である電場除去器の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例である電場除去器の内部回路を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施例である電場除去器の内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の電場除去器は、単相2線式電源ラインに対応した電源プラグと、電気機器等のアース電位部位に接続されるアースプラグと、電源プラグの片側とアースプラグとを接続する接続コードとを有し、単相2線式電源ラインのホットラインが電気機器等のアース電位部位に接続された時に光及び/又は音で、誤接続を知らせる電位検出回路が、電源プラグと接続コードの一端との間に設けられているとともに、アースプラグが、USBプラグであるものであって、電気機器等から発生する電場を簡単・確実に除去できるものであれば、その具体的な構成は如何なるものであってもかまわない。
【実施例】
【0034】
ここで、本発明の電場除去器の一実施例について図を用いて説明する。
【0035】
図1は、本発明の電場除去器の一実施例の外観を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の電場除去器1は、単相2線式電源ラインに対応した電源プラグ2と、電気機器等のアース電位部位に接続されるアースプラグ3と、電源プラグ2の片側とアースプラグ3とを接続する接続コード4とを有し、単相2線式電源ラインのホットラインが電気機器等のアース電位部位に接続された時に光及び/又は音で、誤接続を知らせる電位検出回路が、プラグボックス5内に設けられている。そして、アースプラグ3は、USBプラグとなっている。
【0036】
このような電場除去器は、電源プラグ2をコンセントに差し込み、USBプラグをパソコン等のUSBコネクタに差し込むことにより、コンセントのコールドラインとUSBプラグの外筐端子(外側の矩形の金属端子)が接続され、パソコン等がアースされる。この時、電源プラグ2を差し込む向きが逆向きで、コンセントのホットラインとUSBプラグの外筐端子(外側の矩形の金属端子)が接続された場合には、電位検出回路が作動し、LEDの光(赤)及び/又はブザーの音で、使用者に誤接続であることを知らせるようになっている。誤接続が知らされると、使用者は電場除去器の電源プラグ2をコンセントから1度抜いて差し込んでいた向きと逆向きにして再度コンセントに差し込むことにより、コンセントのコールドラインとUSBプラグの外筐端子(外側の矩形の金属端子)が正しく接続される。
【0037】
(本実施例の電場除去器の動作原理)
次に、前記実施例の電場除去装置の動作原理について説明する。
本実施例の電場除去装置の内部構成は、図3に示すように概略次のようになっている。(1)保護回路部、(2)降圧回路部、(3)タッチセンサー部、(4)定電圧回路、(5)センサー(制御)回路部、(6)表示回路部、(7)接続コード部
【0038】
ここで、前記(1)〜(7)の各内部構成について説明する。なお、以下の説明において、部品名に付した数字は、図3に付した数字に対応しており、括弧内に記載した符号は図2の回路図に付した符号に対応している。
【0039】
(1)保護回路部:安全装置として過電流保護の為の電流ヒューズ11(F1)を設けており、また、雷サージ等の保護としてバリスター12(RV1)を電源ラインに接続している。
【0040】
(2)降圧回路部:電源電圧AC100Vをコンデンサ21(C1)等により、約AC10Vに降圧している。
【0041】
(3)タッチセンサー部:降圧された電圧を、タッチセンサー部32を指で触れることによって、回路がホットラインもしくはコールドラインのどちらにつながっているかを判断することができる。
【0042】
(4)定電圧回路部: 降圧された電圧をツェナーダイオード41(D4)、電解コンデンサ42(C2)等により、DC10V程度の定電圧を得ている。
【0043】
(5)センサー(電位検出)回路部:電場除去器1のタッチセンサー32の金属部分を指(人体)で触れることにより、内部のコンパレータ回路(U1)により、電源ラインの電位と人体(touch)電位とを比較する。その際、人が触れるタッチセンサー32は、感電のおそれがないようコンデンサ(C4)と抵抗(R8)により高インピーダンスにて保護されている。図3において、電源ラインのAC2がコールドラインに接続されているとき、コンパレータ回路(U1)の正入力(3)側にコールドラインの低電位が印加され、負入力(2)側には人体電位のさらに低電位が入力されるため、コンパレータ回路(U1)の出力はプラス(高電位)となり、緑のLED(GREEN)が点灯する。この時、コンパレータ(U1)の正入力(5)側より負入力(6)側の方が高電位になるため、出力(7)には、電位が現れず、赤のLED(RED)は点灯せず、ブザー(BZ)もならない。一方、電源ラインのAC2がホットラインに接続されていると、コンパレータ回路(U1)の正入力(5)側が、負入力(6)側より高電位になるので、出力(7)が高電位になり、赤のLED(RED)が点灯し、ブザー(BZ)がなる。
【0044】
(6)表示回路:タッチセンサー32の位置が電源ラインのGND側(コールドライン)の場合は、セレクトランプが緑色に点灯し、逆の場合(ホットライン)は、セレクトランプが赤色に点灯するとともにブザーが鳴る。
【0045】
(7)接続コード部: 接続コード部は、表示回路の緑色LEDが点灯している場合、保護部品(R14、PTC)を介して電源ライン(コンセント)のGND側(コールドライン)に接続している。
【0046】
本実施例の電場除去器は、従来の電場除去器と違いACプラグの電位検出回路にセレクトスイッチではなくタッチセンサーを使用しているため装置の大きさを大幅に小さくすることができた。その結果、従来の電場除去器では、複数のコンセントが一列に並んだOAタップで使用した場合、電場除去器を挿入したコンセントの両サイドのコンセントが塞がってしまい使用できないという無駄が生じていた。ところが、本実施例の電場除去器では装置の大きさが大幅に小さくなったため、そのような無駄が生じない。
【0047】
また、セレクトスイッチを用いる場合に比べタッチセンサーを用いた場合は、全体の部品点数を少なくすることができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0048】
さらに、セレクトスイッチは、機械的な接点を有しているため、次第に接点が錆びたり摩耗したりして、装置の寿命が短い。一方、本実施例の電場除去器は機械的接点を有していないので寿命がきわめて長い。
【0049】
また、従来の電場除去器はセレクトスイッチを切り替えるときに、内部で線が触れてショートをおこすという問題が頻発していた。一方、本実施例の電場除去器は装置内部に動く部分がないため、ショートを起こす心配がなく、きわめて安全である。
【0050】
前述の説明で分かるように、例えば、ノートパソコンから発生している電場は、本実施例の電場除去器の接続コードを通じてコンセントのGND(コールドライン)に流す仕組みとなっている。ちなみに電源プラグを差込むコンセントがGNDと接続されていなければ、アースをとることが出来ず、発生している電場を軽減することは出来ない。しかしながら、通常、2極のACコンセントは、必ずGNDと接続されている(接地されている)ので、本発明の電場除去器を用いることにより、確実に電場を軽減することができる。
【0051】
(本実施例の電場除去器の特性評価)
次に本発明の電場除去器の有用性を検証するため、前述した実施例の電場除去器について、次のような特性評価を行った。すなわち、電源コードがACコンセントに接続された対象物(CRT式オシロスコープ)に本実施例の電場除去器を接続した。そして、タッチセンサーに触れたときにセレクトランプが緑色に点灯したとき、すなわち、USBプラグがコンセントのコールドラインに接続された状態の時と、セレクトランプが赤色に点灯したとき、すなわち、USBプラグがコンセントのコールドラインに接続されていない状態の時の双方について、かつ、対象物の電源がONの時とOFFの時の双方について、合計4つの場合(テスト1〜4)について対象物前面の電位を計測した。その結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2の結果から明らかなように、本実施例の電場除去器が対象物に接続されてUSBプラグがコンセントのコールドラインに接続されているとき(セレクトランプが緑色に点灯)には、電場がきわめて低減していることがわかる。一方、USBプラグがコンセントのホットラインに接続されているとき(セレクトランプが赤色に点灯)には、電場除去器を接続しないのとほぼ同等のきわめて高い電場の値を示した。
【0054】
前記の結果から、本発明の電場除去器は、電気機器等から発生する電場の影響を効果的に除去することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
前述のように、本発明の電場除去器は、電気機器等から発生する電場をきわめて効率よく、しかも確実に抑制することができるものであって、電気機器等を操作する作業者や、電気機器等に囲まれて生活する居住者を極低周波電磁波による健康被害から守ることができるものであって、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。
【符号の説明】
【0056】
1 ・・・ 電場除去器
2 ・・・ 電源プラグ
3 ・・・ アースプラグ(USBプラグ)
4 ・・・ 接続コード
5 ・・・ プラグボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単相2線式電源ラインに対応した電源プラグと、電気機器等のアース電位部位に接続されるアースプラグと、前記電源プラグの片側とアースプラグとを接続する接続コードとを有する電場除去器において、
前記単相2線式電源ラインのホットラインが電気機器等のアース電位部位に接続された時に光及び/又は音で、誤接続を知らせる電位検出回路が、前記電源プラグと接続コードの一端との間に設けられているとともに、
前記アースプラグが、USBプラグであることを特徴とする電場除去器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−110136(P2013−110136A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251348(P2011−251348)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【特許番号】特許第4972713号(P4972713)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(503186618)株式会社レジナ (2)
【出願人】(511279771)株式会社アミスター (1)
【Fターム(参考)】