説明

UV硬化性シーリング・アセンブリの製造方法

好ましくは射出成形工程である成形工程を組み入れているインプレース硬化技術を用いるシールおよびガスケットの製造方法が提供される。本方法は、支持体部材(22、30、48、68)から金型プレート(12、10、34、36、60、62、76、78)を分離し、それに対してUV硬化性シーリング組成物を付着したままにする工程と、前記アセンブリをUV放射線に露光して前記UV硬化性エラストマー・シーリング組成物を硬化させる工程とをさらに含む。本方法は、UV放射線によって硬化することができる、かつ、支持体部材(22、30、48、68)に付着している組成物を含むシーリング・アセンブリの製造に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合シールまたはガスケットを含有するタイプのシーリング・アセンブリに関する。特に、本発明は支持体と造形された、付着した未硬化エラストマー・シーリング組成物とを含む物品の製造方法に関する。さらに、本発明はシーリング・アセンブリを製造するために支持体に付着した造形されたエラストマー・シーリング組成物を硬化させるための低温方法に関する。本発明はさらに、本発明の方法によって製造された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー・ガスケットおよびシールは、硬化剤および他の添加剤と十分に配合されたポリマーが金型中へ導入され、つぎに金型が圧力下で加熱される圧縮成形、トランスファー成形または射出成形技術をベースとする方法によって一般に製造される。成形プロセス中に用いられる高温は、エラストマーと硬化剤との化学反応をもたらし、それによって架橋したエラストマーを生み出す。ポリマーと硬化剤との間で起こる化学反応の結果として、硬化した、すなわち架橋した生成物の全体にわたってネットワーク構造が生じる。このネットワーク構造は強度および弾性を与え、それらは圧縮下でシールするそれらの特徴的な能力をエラストマー製品に与える。
【0003】
普通は、上述した成形技術の任意のものによって製造されるエラストマー・シールおよびガスケットは、シールされるべき物品上へ手動で取り付けられる。あるいはまた、硬化したシーリング部材を物品に取り付けるために接着剤が時々利用される。さらに、ガスケットは、例えばシャフトシールの製造では金属キャリア上に成形されてもよい。かかる取付け技術はすべてのケースで完全に満足できるというわけではない。特に、手動方法は時間がかかり、接着剤はシールの物理的性質に影響を及ぼすことができ、金属キャリア上への成形は長いサイクル時間と高温とを必要とする。
【0004】
完成シールはしばしば、シーリング手段として溝付き物品で、例えば、自動車エンジンで使用されるロッカーカバーおよび空気取入マニホールドで、ならびにエレクトロニックおよび加工装置で使用される接合ドア・アセンブリで使用される。かかる溝付き部品はしばしば、動力用途の間ずっと溝中でシールを適所に維持するのに役立つ複雑な断面を有する。かかる溝のためのシールの製造はそれ相応に複雑な金型のデザインを伴う。さらに、溝中へのエラストマー・シールの挿入は、時間がかかり得る完成部品の製造における個々の手動の工程を表す。インプレース硬化方法のような代替案は、幾つかの場合には実行できない。
【0005】
熱開始化学よりもむしろ、紫外(UV)放射線の利用に依存するインプレース硬化ガスケット化技術は公知である。例えば、米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)および米国特許公報(特許文献4)は、フルオロエラストマー、エチレン・(メタ)アクリレートエラストマー、エチレン・α−オレフィンエラストマー、および塩素化エラストマーのような様々なエラストマーで使用することができる方法を記載している。類似の方法でのシリコーンエラストマーの使用は、例えば、(非特許文献1)に開示されている。これらの方法は優れた結果をもたらすが、幾つかの場合に、特に施されるインプレース硬化ガスケット化技術を用いる時に達成できるより高精度および複雑なシール形状が望まれる時に、該技術は適切ではない。
【0006】
射出成形、一様なおよび複雑な断面の部品の製造で注目されるポリマーの加工技術は、それらが加熱時に容易に流動し、化学的架橋プロセスを必要としないので、熱可塑性組成物に対して用いられる。成形プロセスで造形される半結晶性組成物がそのハードセグメントの結晶化のおかげで冷却後にその形状を維持するであろう射出成形法はまた熱可塑性セグメント化エラストマー組成物の製造のためにも用いられる。かかる組成物は容易に離形される。熱可塑性エラストマーが用いられる方法の例は、ローラー・ベアリングのためのシールの製造方法を記載している米国特許公報(特許文献5)に開示されている。しかしながら、該技術は、エラストマーを架橋するために必要とされる長い加工と形成される不可避の非リサイクル性スクラップとのために熱硬化性エラストマーで用いられる時は経済的ではない。UV硬化法が射出成形機を一般に用いてこなかった別の理由は、ほとんどの装置および金型がUV光を通さず、それ故半透明の金型が必要であることである。米国特許公報(特許文献6)は、UV光の作用で硬化できるエラストマーから形成された物品がUV放射線を通す金型を有する射出成形機で製造される方法を記載している。この技術は有用であるが、特殊な装置が必要である。
【0007】
射出成形法の一様な金型充填能力とインプレース硬化技術を用いるガスケットの製造に関連した便益とのために、適所に硬化して物品を製造することができる支持体に付着した造形された硬化性シーリング組成物を製造するために通常装置で用いることができる射出成形法であって、硬化したシーリング組成物の物理的性質が架橋された熱硬化性エラストマーに特有であるが、該方法が短いサイクル時間を有し、かつ、製造が実質的なスクラップの生成を伴わない方法を利用できることは有用であろう。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,346,300号明細書
【特許文献2】米国特許第6,472,452号明細書
【特許文献3】米国特許第6,495,213号明細書
【特許文献4】米国特許第6,506,460号明細書
【特許文献5】米国特許第5,618,488号明細書
【特許文献6】米国特許第5,885,514号明細書
【特許文献7】米国特許第3,883,472号明細書
【特許文献8】米国特許第4,281,092号明細書
【特許文献9】米国特許第3,682,872号明細書
【特許文献10】米国特許第4,035,565号明細書
【特許文献11】米国特許第5,824,755号明細書
【特許文献12】米国特許第5,789,509号明細書
【特許文献13】米国特許第3,051,677号明細書
【特許文献14】米国特許第2,968,649号明細書
【特許文献15】米国特許第5,674,959号明細書
【特許文献16】米国特許第5,717,036号明細書
【特許文献17】米国特許第4,694,045号明細書
【特許文献18】カナダ国特許第2,067,891号明細書
【特許文献19】米国特許第5,151,492号明細書
【特許文献20】米国特許第4,983,697号明細書
【特許文献21】米国特許第4,564,662号明細書
【特許文献22】米国特許第4,745,165号明細書
【特許文献23】米国特許第4,948,852号明細書
【特許文献24】米国特許第4,973,633号明細書
【特許文献25】米国特許第4,962,236号明細書
【特許文献26】米国特許第5,272,236号明細書
【特許文献27】米国特許第5,278,272号明細書
【特許文献28】特開2002−86680号公報
【特許文献29】特開2001−318028号公報
【特許文献30】米国特許第4,201,808号明細書
【非特許文献1】ビー.ジー.マッククレランド(B.G.McClelland)著、「インプレース硬化ガスケット化は自動車用途向けガスケットおよびシーラントでのウォーターポンプ・フランジシールとしてプロセスおよび品質改善を提供する(Cure−In−Place Gasketing Offers Process And Quality Improvements As A Water Pump Flange Seal in Gaskets and Sealants For Automotive Applications)」、SAE特別刊行物(SAE Special Publications)、1235(1997)、47−51ページ
【非特許文献2】ケー.ケー.ダイエットリッカー(K.K.Dietliker)著、「フリーラジカルおよびカチオン重合のための光開始剤(Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization)」、コーティング、インクおよびペイントのためのUVおよびEB配合の化学および技術(CHEMISTRY & TECHNOLOGY OF UV & EB FORMULATION FOR COATINGS,INKS & PAINTS)」(ピー.ケー.ティー.オルドリング(P.K.T.Oldring)編)、第3巻(1991)、204−208ページ
【非特許文献3】ロゴセチス(Logothetis)著、フルオロカーボンエラストマーの化学(Chemistry of Fluorocarbon Elastomers)、Prog.Polym.Sci.,14(1989)、251−296ページ
【非特許文献4】米国食品医薬品局、食品連絡告示(U.S.Food and Drug Administration,Food Contact Notification)第0017(1999)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持体上の硬化性シーリング組成物の製造方法を、かかる方法によって製造される物品を、支持体上への施工後のシーリング組成物の硬化方法および部品として支持体上にシーリング組成物を有する物品に関する。
【0010】
特に、本発明は、実質的に未硬化のエラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含むUV硬化性シーリング組成物の支持体上への提供方法であって、
A.少なくとも1つの射出チャネルを有する第1金型プレートと、第1金型プレートに対して反対側の少なくとも1つの他の金型プレートとを提供する工程と、
B.任意選択の射出チャネルを有する支持体を提供する工程と、
C.a)前記支持体が前記第1金型プレートおよび前記少なくとも1つの他の金型プレートに接触し、かつ、b)前記第1金型プレートと前記支持体の表面との前記射出チャネルを含む成形用キャビティが形成されるように、前記支持体を前記第1金型プレートと前記少なくとも1つの他の金型プレートとの間に置く工程と、
D.前記UV硬化性シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらず、かつ、前記UV硬化性シーリング組成物が前記支持体に接触してそれに付着するような方法で、前記UV硬化性シーリング組成物を前記成形用キャビティ中へ導入する工程と、
E.前記支持体から前記金型プレートを分離し、前記支持体に対して前記UV硬化性シーリング組成物を付着したままにする工程と
を含む方法に関する。
【0011】
本発明はまた、上記方法によって製造された支持体上の硬化性シーリング組成物にも関する。
【0012】
本発明はさらに、
A.アセンブリの少なくとも1つの部品が支持体に付着したUV硬化性エラストマー・シーリング組成物を含み、前記エラストマー・シーリング組成物が実質的に未硬化のエラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含むアセンブリを提供する工程であって、支持体に付着した前記UV硬化性シーリング組成物が
1.少なくとも1つの射出チャネルを有する第1金型プレートと、第1金型プレートに対して反対側の少なくとも1つの他の金型プレートとを提供する工程と、
2.任意選択の射出チャネルを有する支持体を提供する工程と、
3.a)前記支持体が前記第1金型プレートおよび前記少なくとも1つの他の金型プレートに接触し、かつ、b)前記第1金型プレートおよび前記支持体の前記射出チャネルを含む成形用キャビティが形成されるように、前記支持体を前記第1金型プレートと前記少なくとも1つの他の金型プレートとの間に置く工程と、
4.前記UV硬化性シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらず、かつ、前記UV硬化性シーリング組成物が前記支持体に接触してそれに付着するような方法で、前記UV硬化性シーリング組成物を前記成形用キャビティ中へ導入する工程と、
5.前記支持体から前記金型プレートを分離し、前記支持体に対して前記UV硬化性シーリング組成物を付着したままにし、それによって前記支持体に付着したUV硬化性エラストマー・シーリング組成物を形成する工程と
を含む方法によって製造される工程と、
B.前記UV硬化性エラストマー・シーリング組成物を硬化させるのに十分な時間にわたって前記アセンブリをUV放射線に露光させる工程と
を含むシーリング・アセンブリの製造方法に関する。
【0013】
さらに、本発明は上記方法によって製造されたシーリング・アセンブリに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、支持体上のおよびシーリング・アセンブリ中のインプレース硬化シールに関する。かかるシーリング・アセンブリの製造は2つの工程を含む。第1工程では、1つまたは複数の金型プレートと共に金型キャビティを形成する支持体、一般に、しかし必ずしもではなく溝付き支持体が提供される。UV硬化性エラストマー・シーリング組成物は金型キャビティ中へ導入され、そこでUV硬化性エラストマー・シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらず、組成物が支持体中へまたはその上へ流れるであろう条件下に維持される。実質的に何の硬化もないとは、米国材料試験協会(ASTM)D−1646によって測定されるように、UV硬化性エラストマー・シーリング組成物のムーニー(Mooney)粘度ML1+4(100℃)が金型キャビティ中への導入前のその初期値の±50%内で一定に留まることを意味する。支持体は次に金型プレートから分離され、それによって実質的に未硬化のエラストマー組成物が支持体表面に付着した支持体を生み出す。実質的に未硬化のとは、組成物の粘度が金型キャビティ中への導入前の組成物の初期値の±50%内であることを意味する。関連の付着した硬化性シーリング組成物付き支持体は、シーリング・アセンブリの構成部品として実用性を有する有用な生成物である。UV放射線に露光される時、硬化性シーリング組成物は硬化され、それによってシールに変換される。硬化操作はこの生成物の製造後直ちに行われてもよい。こうして、硬化したシールを有する支持体が生み出されるであろう。あるいはまた、生成物は、未硬化状態で、シーリング・アセンブリの形成での構成部品として利用されてもよい。シーリング・アセンブリは、アセンブリの構成部品として、支持体とその付着したエラストマー組成物とをシーリング組成物を硬化させるのに十分な時間にわたってUV放射線に露光させることによって製造される。本方法は、明確な厚さの溶着された材料を有する支持体とシーリング・アセンブリとの製造をもたらす。本方法はまた、比較的低温で行われるという利点を有し、それによってエネルギー効率を上げ、かつ、セラミック、フェノール系もしくはエポキシドのような熱硬化性基材、または金属基材のような他の基材だけでなく、熱可塑性樹脂のインプレースガスケット化を可能にする。成形装置でのサイクル時間は短く、一般に1分未満であり、本方法は実質的にスクラップなしである。
【0015】
本発明で有用なUV硬化性シーリング組成物は、実質的に未硬化のエラストマー、多官能性架橋剤、一般にアクリルもしくはメタクリル架橋剤またはトリアリルシアヌレートもしくはトリアリルイソシアヌレート架橋剤、およびUV開始剤を含む。実質的に未硬化のエラストマーとは、それが250℃以下の温度で押出可能であるように、何の架橋も持たないまたは低い架橋密度を有するエラストマーを意味する。組成物はUV放射線の作用によって硬化可能である。これらの硬化性組成物は、本発明のさらなる実施形態である物品にシールを付けるための方法で出発原料として利用される。それらは、未硬化エラストマー調合物を加工するために、例えば、混合または押出操作で用いられる温度で熱安定性である。かかる温度は一般に25℃〜250℃の範囲である。熱安定性であるとは、組成物が架橋ネットワークを自発的に形成しない、すなわち、それらが時期尚早に硬化しないまたは乾き切らないことを意味する。すなわち、組成物の粘度は、成形温度に加熱された時におよび当該温度に5分間維持された時に初期値の±50%内で一定に留まっている。適切な成形温度は特定のUV開始剤の分解温度および用いられる多官能性架橋剤に依存するであろう。しかしながら、成形温度は、硬化性エラストマー組成物が製造プロセスに必要とされる程度まで流れるように十分に高くなければならない。この温度は一般に25℃〜250℃、好ましくは90℃〜170℃であろう。組成物は、スクリュー押出機、ギアポンプ、またはピストンポンプ中でのように、加熱されたまたは機械仕事を受けた時に、粘弾性流れであることができ、金型に導入されてもよいし、支持体に付着した硬化性の造形されたシーリング組成物へ成形されてもよい。関連した硬化性シーリング組成物付きのこれらの支持体は、UV放射線への露光によって硬化されてもよい物品である。
【0016】
本発明の方法で有用な熱安定性組成物の第1成分はエラストマー、一般に、1〜150、ML1+4(100℃)、好ましくは1〜70、ML1+4(100℃)のムーニー粘度を有する熱硬化性エラストマーのクラスからのエラストマーである。特に有用なエラストマーは、次のクラスの未加工(すなわち、未硬化)の弾性ポリマーのメンバーである:エチレン・アクリレートコポリマーゴム、エチレン・メタクリレートコポリマーゴム、アクリレートゴム、エチレン・ビニルエステルエラストマー、ジエンと不飽和ニトリルとのエラストマーコポリマー(すなわち、ニトリルゴムおよび水素化ニトリルゴム)、ポリウレタンエラストマー、シリコーン、ヨウ素化、臭素化、または塩素化硬化部位モノマーの共重合単位を有するフルオロエラストマー、非共役ジエンの共重合単位を有するフルオロエラストマー、塩素化、ヨウ素化または臭素化コモノマーを有するそれらのフルオロエラストマーとフルオロエラストマーの末端位に臭素またはヨウ素原子を有するものとをはじめとするフルオロエラストマー、塩素化オレフィンエラストマー、クロロスルホン化オレフィンエラストマー、およびエピクロロヒドリンエラストマー、エチレン・α−オレフィンコポリマーゴム、ならびにブチルゴム。
【0017】
本発明の組成物および方法で有用なエチレンコポリマーゴムの1クラスは米国特許公報(特許文献2)に記載されている。このクラスは2タイプのエチレンエステルコポリマーから構成されている。第1タイプには、アクリル酸のC〜Cアルキルエステルまたはメタクリル酸のC〜Cアルキルエステルの共重合単位を有するエチレンコポリマーが含まれる。第2タイプには、C〜Cカルボン酸のビニルエステルの共重合単位を有するエチレンコポリマーが含まれる。これらのタイプのコポリマーのそれぞれには、他のコモノマーの共重合単位を有するダイポリマーまたは高次コポリマーが含まれる。
【0018】
コポリマーがダイポリマーである時、エチレン含有率は約20〜85重量パーセント、好ましくは25〜65重量パーセントの範囲である。かかる組成物の代表的な例には、エチレンと、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシルとのコポリマー、ならびにエチレンと、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、およびヘキサン酸ビニルとのコポリマーが挙げられる。エチレンと、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ブチル、またはメタクリル酸ヘキシルとのコポリマーもまた用いられてもよいが、エチレン・アクリレートコポリマーおよびエチレンとビニルエステルコポリマーが好ましい。アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、および酢酸ビニルがそれらの中で最も好ましいコモノマーである。コポリマーは一般に1〜60、ML1+4(100℃)、好ましくは1〜20、ML1+4(100℃)の範囲のムーニー粘度を有する。
【0019】
本発明の方法でポリマー成分としての使用に好適であるエチレンのより高次タイプの前述エラストマーコポリマーの例には、a)エチレン、b)アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、またはカルボン酸のビニルエステル、およびc)不飽和酸のコポリマーが挙げられる。具体例には、a)エチレン、b)アクリル酸のC〜Cアルキルエステル、メタクリル酸のC〜Cアルキルエステル、またはC〜Cカルボン酸のビニルエステルおよびc)α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、およびα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルよりなる群から選択される3〜12個の炭素原子のカルボン酸の共重合単位を有するターポリマーが挙げられる。コポリマーのエチレン含有率はポリマーの約25〜70重量パーセント、好ましくは35〜65重量パーセントの範囲であり、α,β−不飽和モノ−もしくはジカルボン酸またはα,β−不飽和酸のモノエステルは0.1〜10重量パーセント、好ましくは0.5〜5.0重量パーセントのカルボン酸基を提供するのに十分な量で存在する。好適なα,β−不飽和モノ−またはジカルボン酸には、アクリル酸およびメタクリル酸のようなモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸のようなジカルボン酸;ならびにエチル水素マレエート、エチル水素フマレート、および2−エチルヘキシル水素マレエートのようなジカルボン酸のモノエステルが含まれる。アクリル酸、メタクリル酸、エチル水素マレエートが好ましい。アクリル酸アルキルまたはビニルエステルコモノマーは、ポリマーの25〜70重量パーセント、好ましくは30〜65重量パーセントを占める。ポリマーでの使用に好適なアクリル酸アルキルには、アクリル酸のC〜Cアルキルエステル、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシル、および2−エチルヘキシルエステルが含まれる。アクリル酸メチル、エチル、およびブチルが好ましい。アクリル酸メチルが最も好ましい。ポリマーでの使用に好適なカルボン酸のビニルエステルには、2〜8個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、および2−エチルヘキサン酸ビニルが含まれる。酢酸ビニルが好ましい。これらのコポリマーのムーニー粘度、ML1+4(100℃)は一般に1〜50、好ましくは1〜20の範囲である。かかるコポリマーの代表的な例には、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸コポリマー、エチレン/アクリル酸メチル/エチル水素マレエートコポリマー、エチレン/アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸コポリマー、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸コポリマー、エチレン/フマル酸/アクリル酸メチルコポリマー、エチレン/アクリル酸メチル/一酸化炭素/メタクリル酸コポリマー、およびエチレン/エチル水素マレエート/一酸化炭素/酢酸ビニルコポリマーのようなターポリマーおよびテトラポリマーが挙げられる。コポリマーブレンドまたはコポリマーと他のポリマーとのブレンドもまた利用されてもよい。
【0020】
さらに、本発明で考えられるコポリマーは、エチレン・(メタ)アクリレートエステルコポリマー主鎖が感光性基のような試剤でグラフトすることによって変性されたものである。かかる組成物の幾つかの例は(非特許文献2)に記載されている。
【0021】
本発明の実施での使用に好適なこのクラスのエラストマーエチレンコポリマーでの別のポリマータイプは、エチレン、アクリルエステルまたはビニルエステル、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジル、および場合により一酸化炭素の共重合単位を含有する。一般に、かかる組成物は30〜70重量パーセント・エチレン、25〜65重量パーセント・アクリルまたはビニルエステル、2〜10重量パーセント・アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジル、および0〜15重量パーセント一酸化炭素を含有し、重量百分率は合計100重量パーセントになる。エチレン、アクリレートエステル、およびメタクリル酸グリシジルのコポリマーが好ましい。代表的なアクリル酸アルキルおよびコモノマーとして使用されるアクリル酸アルキルには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、およびアクリル酸ヘキシルが含まれる。代表的なコポリマーには、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリ酸グリシジル、エチレン/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル、およびエチレン/アクリル酸メチル/一酸化炭素/メタクリル酸グリシジルが含まれる。
【0022】
本発明の実施での使用に好適なこのクラスのエラストマーエチレンコポリマーでのさらなるポリマータイプは、a)エチレン、b)酢酸ビニル、アクリル酸C〜Cアルキルまたはメタクリル酸C〜Cアルキル、およびc)一酸化炭素または二酸化硫黄の共重合単位を含有する。コポリマーの酢酸ビニル、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキル含有率は一般に20〜50重量パーセントであり、一酸化炭素または二酸化硫黄含有率は一般に5〜40重量パーセントである。かかるコポリマーの例には、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素、エチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素、エチレン/アクリル酸メチル/一酸化炭素、およびエチレン/エチル水素マレエート/一酸化炭素/酢酸ビニルが挙げられる。
【0023】
上記のダイポリマーおよび高次コポリマーの両方とも、概して米国特許公報(特許文献7)に記載されているように、約100℃〜300℃の温度でおよび約130〜350MPaの圧力で少なくとも1つのフリーラジカル開始剤の存在下で撹拌反応器中でのエチレンとコモノマーとの連続共重合によって一般に製造される。最も好ましくはコポリマーはまた、反応器付着物が減少するまたは排除されるように約2〜25重量パーセントメタノールまたはアセトンの存在下で製造される。
【0024】
エラストマー成分は、アクリル酸C〜C10アルキルのホモポリマーまたはコポリマーを含むアクリレートゴムのクラスから選択されてもよい。好ましいアクリル酸アルキルには、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルが含まれる。アクリレートゴムのコポリマーは、40重量パーセント以下のモノビニルモノマー、例えば、スチレン、アクリロニトリル、ビニルブチルエーテル、アクリル酸、および主要なアクリル酸アルキルコモノマーとは異なるアクリル酸C〜C10アルキルの共重合単位を含有する。かかるコポリマー、例えば、ハイテンプ(Hytemp)(登録商標)アクリレートゴム(日本ゼオン株式会社から入手可能なアクリルホモポリマーおよびコポリマーゴム)、およびトアクロン(Toacron)(登録商標)AR−601アクリレートゴム(東亜ペイント株式会社から入手可能なポリアクリル酸エチルポリマー)は商業的に入手可能である。
【0025】
さらに、エラストマー成分はジエンと不飽和ニトリルとのコポリマーであってもよい。ジエンは、例えば、ブタジエンであってもよい。ニトリルは好ましくはアクリロニトリルである。かかるコポリマーはニトリルゴムとして公知であり、商業的に入手可能である。それらは一般に18〜50重量%のアクリロニトリル含有率を有する。水素化ニトリルゴムもまた本発明の方法での使用に好適である。
【0026】
本発明の方法でのエラストマー成分としての使用に好適なフルオロエラストマーには、エチレン、およびプロピレンのようなフッ素を含有しない他のモノマーだけでなく、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、およびパーフルオロ(アルキルビニル)エーテルのようなフッ素を含有する1つまたは複数のモノマーの共重合単位を含むフルオロエラストマーが含まれる。このタイプのエラストマーは(非特許文献3)に記載されている。ポリマーは、バルクで、不活性溶媒中の溶液で、水性乳濁液でまたは水性懸濁液でのいずれかでフリーラジカル発生開始剤の助けを借りて適切なモノマー混合物の重合によって製造されてもよい。重合は連続で、回分、または半回分法で実施されてもよい。一般的な製造方法はロゴセチス論文におよび米国特許公報(特許文献8)、米国特許公報(特許文献9)、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)、および米国特許公報(特許文献14)に開示されている。
【0027】
かかるフルオロエラストマーの具体例には、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン、および場合によりテトラフルオロエチレンとのコポリマー、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとプロピレンとのコポリマー、ならびにテトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニル)エーテル、好ましくはパーフルオロ(メチルビニル)エーテルとのコポリマーが挙げられる。本発明の組成物のフルオロエラストマーのそれぞれはまた、少なくとも1つのハロゲン化硬化部位または非共役ジエンの共重合単位の存在から生じる反応性二重結合を含む。ハロゲン化硬化部位は、共重合した硬化部位モノマーまたはフルオロエラストマーポリマー鎖の末端位に存在するハロゲン原子であってもよい。硬化部位モノマー、反応性二重結合またはハロゲン化末端基は反応して架橋を形成することができる。硬化部位モノマーは、臭素化、塩素化、およびヨウ素化オレフィン;臭素化、塩素化、およびヨウ素化不飽和エーテルおよび非共役ジエンよりなる群から選択される。臭素化硬化部位モノマーは他のハロゲン、好ましくはフッ素を含有してもよい。例はブロモトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1ならびに臭化ビニル、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン、パーフルオロアリルブロミド、4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン、4−ブロモ−1,1,3,3,4,4−ヘキサフルオロブテン、4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン、6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロヘキセン、4−ブロモパーフルオロブテン−1および3,3−ジフルオロアリルブロミドのような他のものである。本発明で有用な臭素化不飽和エーテル硬化部位モノマーには、2−ブロモ−パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテルとCFBrCFO−CF=CFのようなクラスCFBr−R−O−CF=CFのフッ素化化合物とCHOCF=CFBrまたはCFCHOCF=CFBrのような、クラスROCF=CFBrまたはROCBr=CF(ここで、Rは低級アルキル基またはフルオロアルキル基である)のフルオロビニルエーテルとのようなエーテルが含まれる。
【0028】
ヨウ素化オレフィンもまた硬化部位モノマーとして使用されてもよい。好適なヨウ素化モノマーには、式:CHR=CH−Z−CHCHR−I(式中、Rは−Hまたは−CHであり、Zは場合により1つまたは複数のエーテル酸素原子を含有する、直鎖または分岐のC〜C18(パー)フルオロアルキレン基、または米国特許公報(特許文献15)に開示されているような(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である)のヨウ素化オレフィンが含まれる。有用なヨウ素化硬化部位モノマーの他の例は、米国特許公報(特許文献16)に開示されているような、式:I(CHCFCFOCF=CFおよびICHCFO[CF(CF)CFO]CF=CFなど(式中、n=1〜3である)の不飽和エーテルである。さらに、ヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン、2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン、2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(パーフルオロビニルオキシ)プロパン、2−ヨードエチルビニルエーテル、3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン、およびヨードトリフルオロエチレンをはじめとする好適なヨウ素化硬化部位モノマーが米国特許公報(特許文献17)に開示されている。
【0029】
非共役ジエン硬化部位モノマーの例には、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよび(特許文献18)に開示されているものような他のものが挙げられる。好適なトリエンは8−メチル−4−エチリデン−1,7−オクタジエンである。上にリストされた硬化部位モノマーのうちで、好ましい化合物には、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1,4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1、およびブロモトリフルオロエチレンが含まれる。
【0030】
さらに、または代わりに、ヨウ素、臭素またはそれらの混合物がフルオロエラストマーの製造中の連鎖移動剤または分子量調整剤の使用の結果としてフルオロエラストマー鎖端に存在してもよい。かかる試剤には、ポリマー分子の一端または両端での結合ヨウ素をもたらすヨウ素含有化合物が含まれる。ヨウ化メチレン、1,4−ジヨードパーフルオロ−n−ブタン、および1,6−ジヨード−3,3,4,4−テトラフルオロヘキサンがかかる試剤の代表的なものである。他のヨウ素化連鎖移動剤には、1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,2−ジ(ヨードジフルオロメチル)−パーフルオロシクロブタン、モノヨードパーフルオロエタン、モノヨードパーフルオロブタン、2−ヨード−1−ヒドロパーフルオロエタンなどが含まれる。ジヨウ素化連鎖移動剤が特に好ましい。臭素化連鎖移動剤の例には、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ヨード−2−ブロモ−1,1−ジフルオロエタンおよび米国特許公報(特許文献19)に開示されているような他のものが挙げられる。
【0031】
米国特許公報(特許文献17)でムーア(Moore)によって開示されているもののような、エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテルおよび臭素含有硬化部位モノマーのコポリマーは本発明での使用に好適である。フッ素化ニトリル硬化部位、例えば、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)および米国特許公報(特許文献20)に開示されている他のものを一般に含有するテトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニル)エーテルとのコポリマーもまた使用されてもよい。臭素化またはヨウ素化オレフィン硬化部位モノマーを含有する他の有用なフルオロエラストマーは、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献21)、米国特許公報(特許文献22)、米国特許公報(特許文献17)、米国特許公報(特許文献23)および米国特許公報(特許文献24)に記載されている。他のヨウ素化硬化部位モノマーは(非特許文献4)、および米国特許公報(特許文献25)に開示されている。
【0032】
これらのクラスのコポリマーのそれぞれには、他のコモノマーの共重合単位を有するダイポリマーまたは高次コポリマーが含まれる。
【0033】
5〜150、ML1+4(121℃)、好ましくは10〜70、ML1+4(121℃)の範囲のムーニー粘度を有する未加工フルオロエラストマーが本発明の方法で特に有用であることが分かった。フルオロエラストマーが好ましい範囲内のムーニー粘度を有するそれらの組成物は、加工性と引張特性との最適バランスを示す。
【0034】
0.05〜10.0重量%の範囲内のレベルの共重合硬化部位モノマーを有するフルオロエラストマーを含有する組成物は高められた硬化状態を示すことも分かった。
【0035】
塩素化オレフィンポリマーもまた本発明の方法のエラストマー成分としての使用に好適である。塩素化オレフィンポリマーはまたクロロスルホン化オレフィンポリマーを特に含む。オレフィンポリマーとは、グラフトコポリマーを含めて、C〜Cα−モノオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーを意味する。コポリマーはダイポリマーであっても、ターポリマーまたはテトラポリマーのような高次コポリマーであってもよい。オレフィンポリマーは分岐であっても非分岐であってもよく、フリーラジカル法、チーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)触媒作用またはメタロセン触媒系での触媒作用、例えば、米国特許公報(特許文献26)および米国特許公報(特許文献27)に開示されているものによって製造されてもよい。オレフィンポリマーの特に有用な例には、C〜Cαモノオレフィンのホモポリマー、エチレンと一酸化炭素とのコポリマー、およびエチレンとC〜C20αモノオレフィン、不飽和C〜C20モノカルボン酸のC〜C12アルキルエステル、不飽和C〜C20モノ−またはジカルボン酸、不飽和C〜Cジカルボン酸の無水物、および飽和C〜C18カルボン酸のビニルエステルよりなる群から選択される少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーとのコポリマーが挙げられる。これらのポリマーの具体例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン・アクリル酸コポリマー、エチレン・メタクリル酸コポリマー、エチレン・アクリル酸メチルコポリマー、エチレン・メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン・メタクリル酸n−ブチルコポリマー、エチレン・メタクリル酸グリシジルコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とのグラフトコポリマー、プロピレンと無水マレイン酸とのグラフトコポリマー、およびエチレンとプロピレン、ブテン、3−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、またはオクテンとのコポリマーが挙げられる。好ましいオレフィンポリマーはポリエチレン、エチレン・プロピレンコポリマー、エチレン・ブテンコポリマー、エチレン・オクテンコポリマー、エチレンとアクリル酸とのコポリマー、エチレンとメタクリル酸とのコポリマー、およびエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。オレフィンポリマーは1,000〜300,000、好ましくは50,000〜300,000の範囲内の数平均分子量を有する。塩素化およびクロロスルホン化オレフィンポリマーは、約15重量パーセント〜約70重量パーセントの塩素含有率を有する。クロロスルホン化オレフィンポリマーは0.5〜10重量パーセント、好ましくは1〜3重量パーセントの硫黄含有率を有する。
【0036】
塩素化またはクロロスルホン化オレフィンポリマーは、フリーラジカル開始塩素化またはクロロスルホン化によってオレフィンポリマーから製造されてもよい。オレフィンポリマーの塩素化は、塩素化剤としてガス状塩素を用いて50〜150℃の温度でおよび1〜10気圧の圧力で行われてもよい。溶液塩素化では、反応媒体は不活性溶媒、例えば四塩化炭素、塩素化ベンゼン、クロロホルムまたはフルオロベンゼンである。あるいはまた、水性または有機懸濁液でのスラリー塩素化を用いることができる。溶融法だけでなく、流動床法もまた公知である。オレフィンポリマー出発原料のクロロスルホン化は、ガス状塩素および二酸化硫黄、塩化スルフリル、または塩素、二酸化硫黄および塩化スルフリルの組合せを利用して、同様な条件下で、溶液で行われてもよい。商業的に入手可能な塩素化およびクロロスルホン化オレフィンポリマーには、すべて本願特許出願人から入手可能な、チリン(Tyrin)(登録商標)塩素化ポリエチレン、ハイパロン(Hypalon)(登録商標)クロロスルホン化ポリエチレン、およびアクシウム(Acsium)(登録商標)クロロスルホン化ポリエチレンが含まれる。
【0037】
本発明の方法でエラストマー成分としての使用に好適であるエピクロロヒドリンエラストマーには、ポリエピクロロヒドリンホモポリマーおよびエピクロロヒドリンと酸化エチレンとの共重合単位を含むコポリマーの両方が含まれる。アリルグリシジルエーテルのような硬化部位モノマーを含有するターポリマーもまた使用されてもよい。かかる組成物は一般に約20〜45重量%塩素を含有する。商業的に入手可能な例には、日本国のダイソー・エピクロ・ゴム株式会社(Daiso Epichlo Rubber Co.,Ltd.,Japan)によって製造されているエピクロマー(Epichlomer)(登録商標)ゴムおよび日本国の日本ゼオン株式会社(Nippon Zeon Co.,Ltd.,Japan)によって製造されているハイドリン(Hydrin)(登録商標)エピクロロヒドリンゴムが挙げられる。
【0038】
さらに、エラストマーコポリマーのようなエチレン・α−オレフィン・エラストマーおよびエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、および他のC〜C20α−オレフィンから選択される1つまたは複数のコモノマーとのコポリマーは、UV硬化性組成物で好適なエラストマー成分である。エチレン、C〜Cオレフィン、およびジエンのエラストマーコポリマーもまた本発明の方法で使用されてもよい。これらのコポリマーは、エチレン/C〜Cα−オレフィン/ジエンタイプのターポリマー、テトラポリマーまたは高次コポリマーエラストマーであり得る。これらのエラストマーは、エチレン、C〜Cα−オレフィンおよび少なくとも1つの非共役ジエンのコポリマーである。さらに、それらは少量の、一般に10重量パーセント以下の共重合性二重結合を有する少なくとも1つの他のジエンまたはトリエンを含有してもよい。好ましいC〜Cα−オレフィンはプロピレンおよびブテンである。第1タイプの非共役ジエンには、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−オクタジエン、1,9−オクタデカジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、または5−メチレン−2−ノルボルネンが含まれる。1つの反応性二重結合を有する好ましいジエンは1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンおよびエチリデンノルボルネンである。第2のタイプの非共役ジエンには、ノルボルナジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,2−ヘンアイコサジエン、または5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、好ましくはノルボルナジエンが含まれる。これらのポリマーは一般に、チーグラー−ナッタ触媒の存在下での重合によって、またはメタロセン触媒の存在下での重合によって製造される。メタロセン触媒の存在下で製造されるエチレン・α−オレフィンエラストマーの製造技術は、米国特許公報(特許文献27)および米国特許公報(特許文献26)に見いだされるかもしれない。典型的なエチレン・α−オレフィンコポリマーおよびEPDMエラストマーは、本願特許出願人からエンゲージ(Engage)(登録商標)ポリオレフィンエラストマーおよびノーデル(Nordel)(登録商標)炭化水素ゴムとして商業的に入手可能である。
【0039】
紫外線硬化性ポリウレタンゴムは公知であり、例えば、(特許文献28)、および(特許文献29)を参照されたい。これらのものまたは適切なムーニー粘度の他のもののようなポリウレタンゴムは本発明での使用に好適である。
【0040】
シリコーンエラストマーはまた、米国特許公報(特許文献30)に開示されているように、多官能性アクリレートまたはジメタクリレートおよびUV開始剤の存在下で硬化させられてもよい。かかるシリコーンエラストマーまたは適切なムーニー粘度の他のものもまた本発明での使用に好適である。
【0041】
本発明で有用な組成物のエラストマー成分は、単一エラストマーだけでなくエラストマーのブレンドであってもよい。ブレンドは、同じクラスのポリマー、例えば、臭素化フルオロエラストマーおよびヨウ素化フルオロエラストマーの混合物であってもよいし、またはそれらは2つ以上のタイプのエラストマー、例えば、塩素化ポリオレフィンゴムおよびエチレンコポリマーゴムの混合物であってもよい。1つのエラストマーだけがUV放射線への露光によって硬化できるブレンドもまた本発明で考慮される。ブレンド組成物は、物理的性質をバランスさせるために特に有用であろう。例えば、フルオロエラストマーをエピクロロヒドリンゴムとブレンドすることによって硬化状態を耐燃料油性とバランスさせることは望ましいであろう。他の状況では、高価なポリマーとあまり高価でないポリマーとのブレンドは、要求のあまり厳しくない用途に適切である特性の組合せをしばしばもたらす。これに関連して、フルオロエラストマーとニトリルゴムとのブレンドまたはフルオロエラストマーとエチレン・アクリレートコポリマーエラストマーとのブレンドは、本発明の方法でのエラストマー成分としての使用に好適であろう。ブレンドのムーニー粘度は好ましくは1〜150、ML1+4(100℃)の範囲内であろう。なぜならば、この範囲内でブレンドはシールのような一般ゴム物品を製造するための本発明の方法での使用に好適であろうからである。ブレンド組成物は好ましくは透明であろうが、ほとんどの効果的な硬化にとっては半透明であってもよい。
【0042】
エラストマー成分に加えて、本発明で有用な硬化性組成物にはまた、少なくとも1つの多官能性架橋剤が含まれる。好ましくは多官能性架橋剤はアクリルまたはメタクリル架橋剤であろう。さらに、それは、トリアリルイソシアヌレート、トリメチルアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートまたはトリメチルアリルイソシアヌレートのような多官能性シアヌレートまたは多官能性イソシアヌレートであってもよい。エラストマーに依存して、多官能性架橋剤はポリオールであってもよい。多官能性アクリルまたはメタクリル架橋剤とは、ポリヒドロキシ化合物、一般に多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸との反応生成物であるエステルであって、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する架橋剤を意味する。かかる組成物は一般に当該技術では多官能性アクリレートまたは多官能性メタクリレートと言われる。典型的な多官能性アクリレートおよびメタクリレートは150〜1,000の分子量を有し、分子当たり少なくとも2つの重合性不飽和基を含有する。
【0043】
代表的な多官能性アクリル架橋剤には、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、メトキシ−1,6−ヘキサンジオールペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリメタクリレートウレタン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート・モノマーおよびオリゴマー、トリメチロールプロパンプロキシレートトリアクリレート、ポリ−n−ブチレンオキシドグリコールジアクリレート、およびビスフェノールAアルキレンオキシドアダクトジアクリレートのようなアクリレートおよびメタクリレートが含まれる。トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートは容易に入手可能であるので、これらの化合物が好ましい架橋剤である。さらに、圧縮永久歪みおよび架橋密度は、ジエチレングリコールジメタクリレートのような二官能性アクリレートを含有する組成物に比べてこれらの架橋剤を含有する組成物において高められる。
【0044】
多官能性アクリルおよびメタクリル架橋剤は、照射された時に単独重合することができる。このように、多官能性アクリレートまたはメタクリレートを含有する硬化性組成物が本発明の方法で使用され、組成物がUV放射線に露光される時、2つの反応が同時に起こる。多官能性架橋剤は弾性ポリマー成分と反応してインターチェインおよび鎖間架橋を形成し、ゴムマトリックスをもたらす。さらに、過剰の多官能性架橋剤は単独重合し、フィラーがエラストマーを強化するのと同じ方法で非常に、ゴムマトリックスを強化するために作用する相互貫入ネットワークを形成するであろう。それ故、硬化性組成物中に存在する多官能性架橋剤の割合を調節することによって最終硬化製品の硬度を制御することは可能である。一般に、二官能性アクリレートおよびメタクリレートは、より高い官能性を有するそれらの類似体に比べて効果が少ない架橋剤である。従って、より高い官能性を有するクラスの架橋剤が本発明の目的のためには好ましい。
【0045】
ゴム加工技術で一般に用いられる方法に従って配合され、硬化させられるエラストマー材料は、一般に強化のために、しかし時々他の特性の強化のために、カーボンブラックまたはフィラーを一般に含有する。強化は、硬度、弾性率、および引張強度のような特性に反映される。一般に、強化エラストマーは非線形の応力/歪み依存性によって特徴づけられる。対照的に、非強化エラストマー組成物は、より高い変形で実質的に増加しない低い変形での初期応力ビルドアップによって特徴づけられる。さらに、非強化エラストマー組成物は比較的低い究極引張強度で破断する傾向がある。
【0046】
UV開始反応におけるフィラーの使用は、普通はUV硬化工程を妨害すると予期されよう。しかしながら、本方法は半透明組成物の硬化を可能にする。従って、本発明の方法で使用される組成物は、制限された量の、一般に100部ポリマー当たり15重量部以下のフィラーを含有してもよい。強化は、相互貫入ネットワークの形成によって架橋で同時に達成される。得られた生成物は、エラストマーマトリックスに化学結合していないフィラーを含有する伝統的なエラストマーのそれよりも線形である応力/歪み挙動を示す。
【0047】
本発明の方法で使用される組成物中に存在する多官能性架橋剤の量は、使用される特定のエラストマーに依存するであろう。一般に、該量は、ポリマー、多官能性架橋剤、およびUV開始剤の合わせた重量を基準にして0.5〜25重量パーセントの範囲である。
【0048】
本発明で有用な硬化性組成物の第3成分はUV開始剤である。それは、分子内均一結合開裂によってか分子間水素引き抜きによってかのどちらかでラジカルのUV開始形成を促進するために通常用いられるそれらの有機化学化合物から選択されてもよい。かかる試剤には、アリールカルボニルまたは第三級アミノ基を有する有機化合物が含まれる。使用に好適な化合物の中にベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、9,10−アントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノベンゾエート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジ−第2−ブトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンジルジメトキシケタール、ベンゾインメチルエーテル、およびフェニルグリオキサールがある。UV放射線に露光すると、様々な光化学的変換が起こるかもしれない、例えば、UV開始剤は、多官能性アクリルまたはメタクリル架橋剤のアクリレート末端基と反応するフリーラジカル反応性断片を形成するかもしれない。これは、アクリルまたはメタクリル架橋剤の単独重合だけでなくポリマーの架橋も開始する。好ましいUV開始剤は、UV放射線に露光された時にそれがフリーラジカルを発生させる迅速さのために1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。UV開始剤の混合物もまた使用されてもよい。それはある種のケースでラジカルのより効率的な生成を提供するので、これはしばしば望ましい。一般に、UV開始剤は、ポリマー、多官能性架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして0.1〜10.0重量パーセントの量で存在するであろう。しかしながら、ポリマー、架橋剤およびUV開始剤の総重量を基準にして、0.5〜2.5重量パーセントUV開始剤、最も好ましくは0.5〜1.0重量パーセントUV開始剤を使用することが好ましい。なぜならば、高いレベルの光開始剤は貫入を妨害し、全体架橋密度に実質的に貢献しない傾向があるからである。本明細書で開示された範囲内に、未硬化ゴムエラストマーと架橋剤との各個々の組合せについて光開始剤の最適レベルがある。これらの最適レベルは当業者によって容易に決定され得る。例えば、水素化ニトリルゴムは一般に、エチレン、アクリル酸メチル、およびエチル水素マレエートのコポリマーより高いレベルの光開始剤を必要とするであろう。より高いレベルの光開始剤は、硬化した組成物の表面で架橋密度を増やす。低レベルの光開始剤は、数ミリメートル厚さであるサンプルのより良好な(すなわち、より低い)圧縮永久歪みをもたらすことができる。
【0049】
さらに、本発明の目的のためには、成形の温度はUV開始剤の熱分解または不活性化が起こる温度を超えてはならない。ある場合には、かかる分解はフリーラジカルの形成のために乾き切った(scorchy)組成物をもたらすであろう。このようになるのは、加工装置内での開始剤の熱誘起分解がエラストマーの時期尚早の架橋をもたらすためである。他の場合には、遅い硬化組成物は開始剤の不活性化のために生じるであろう。分解温度は各個々のUV開始剤について異なるであろう。ゴムのタイプおよび添加剤の量に依存して、成形温度は25℃〜250℃の範囲であろう。本発明での使用に好適なエラストマー組成物は安定であり、250℃以下の温度で基材に塗布することができるものである。成形温度に関するさらなる実用的な制限は、該温度がそれにエラストマー組成物が塗布されるべき基材の軟化点を超えてはならないことである。
【0050】
好ましくは、エラストマー成分、多官能性架橋剤成分、およびUV開始剤成分は、特定の相対比で本発明の方法で使用される組成物中に存在するが、当業者は、効果的であるエラストマー成分、架橋剤およびUV開始剤の特定の比が選択された特定のエラストマー、架橋剤およびUV開始剤に依存して変わることを認めるであろう。
【0051】
例えば、組成物のエラストマー成分がエチレンコポリマーエラストマーである時、アクリレートゴムまたはニトリルゴム、UV硬化性シーリング組成物は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして75〜95重量パーセント・エラストマーを好ましくは含む。多官能性架橋剤は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして2〜24重量パーセントの量で好ましくは存在する。最後に、UV開始剤は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして0.2〜5.0重量パーセントの量で好ましくは存在する。最も好ましくは、エラストマー成分は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして87〜95重量パーセントの量で存在するであろう。架橋剤のレベルは、本発明の硬化性組成物における耐圧縮永久歪み性および硬度を決定する。2重量パーセント未満の架橋剤が存在する場合、低い硬度および不満足な耐圧縮永久歪み性を有する組成物が形成されるかもしれない。30重量パーセントより多い架橋剤は、70ショア(Shore)Aより大きい硬度の組成物の生成をもたらす。かかる組成物は一般にシーリング、特にガスケット化用途での使用に不適である。選択される特定成分範囲は、このように、意図される具体的な最終用途に依存するであろう。ポリマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤の合わせた重量を基準にして、好ましい組成物は5〜20重量パーセント多官能性架橋剤を含有し、最も好ましい組成物は5〜15重量パーセント多官能性架橋剤を含有する。組成物のエラストマー成分がフルオロエラストマーである時、エラストマーは、エラストマー、架橋剤およびUV開始剤の総重量を基準にして70〜99重量パーセントの量で好ましくは存在する。多官能性架橋剤は、エラストマー、架橋剤およびUV開始剤の総重量を基準にして0.5〜20重量パーセントの量で好ましくは存在する。最後に、UV開始剤は、エラストマー、架橋剤およびUV開始剤の総重量を基準にして0.1〜10重量パーセントの量で好ましくは存在する。最も好ましくは、エラストマー成分は、エラストマー、架橋剤およびUV開始剤の総重量を基準にして75〜95重量パーセントの量で存在するであろう。架橋剤のレベルは、本発明の硬化性組成物における耐圧縮永久歪み性および硬度を決定する。好ましくは、多官能性架橋剤は、エラストマー、架橋剤およびUV開始剤の重量を基準にして4〜15重量パーセントの量で存在する。選択される特定成分範囲は、意図される具体的な最終用途に依存するであろう。塩素化オレフィンポリマー、クロロスルホン化オレフィンポリマーまたはエピクロロヒドリンゴムが組成物のエラストマー成分として使用される時、エラストマーは、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして80〜97重量パーセントの量で好ましくは存在する。多官能性架橋剤は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして2〜19.5重量パーセントの量で好ましくは存在する。UV開始剤は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして0.2〜5.0重量パーセントの量で好ましくは存在する。最も好ましくは、エラストマー成分は、エラストマー、架橋剤、およびUV開始剤の総重量を基準にして85〜95重量パーセントの量で存在するであろう。好ましくは、架橋剤は、エラストマー、架橋剤およびUV開始剤の総重量を基準にして3〜15重量パーセントの量で存在するであろう。本発明の方法で有用な他の組成物のように、選択される特定成分範囲は、意図される具体的な最終用途に依存するであろう。
【0052】
ゴム配合で一般に使用される様々な添加剤が、これらの組成物を改質する、安定化する、および強化するために本発明で有用な組成物中へ組み入れられてもよい。好ましくは、かかる添加剤は、未硬化ポリマー成分の架橋反応を実質的に妨げない量で使用されるであろう。例えば、UV光を通さない大量のフィラーが利用される場合、フィラー入り組成物は全体にわたってむらなく硬化しないであろう、または組成物の表面だけが硬化するであろう。通常、フィラーはエラストマーの百部当たり約15部以下の量で用いられてもよい。典型的な例には、鉱物またはガラス繊維のような非黒色フィラーが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンおよびアラミド繊維のような、高い強化効率のポリマーフィラーもまた、一般に低レベルで使用されてもよい。添加剤の存在が本発明の方法で使用される硬化性組成物の粘度を150のML1+4(100℃)より上に上げない、またはそれを1のML1+4(100℃)未満に下げないことが好ましい。この範囲外の組成物は本発明のインプレースガスケット化法にとって好適ではない。他の添加剤に加えて、エラストマー・シーリング組成物は、百部エラストマー当たり約15〜20部以下のレベルで一般に添加されてもよい可塑剤および加工助剤を含有してもよい。
【0053】
ポリマー成分がフルオロエラストマーである時、本発明で有用な好ましい硬化性組成物は、百重量部フルオロエラストマー当たり0.01〜2.0重量部の有機錫ヒドリドを含むであろう。好ましくは100重量部フルオロエラストマー当たり0.1〜1重量部の有機錫ヒドリドが使用されるであろう。トリ−n−ブチル錫ヒドリドが好ましい。
【0054】
エチレン・アクリレートコポリマーがポリマー成分として利用される時、本発明で有用な組成物の耐熱性および耐酸化性は好ましくは酸化防止剤の組み入れによって高められる。一般に、芳香族酸化防止剤、特に芳香族アミンが利用される。それらの保護作用のために、これらの化合物はUV放射線によって開始されるフリーラジカル架橋反応をある程度まで抑制する。酸化防止剤の不存在下では、組成物は、数日間150℃の温度に曝された時に表面亀裂を受ける。最も有用な酸化防止剤の中に、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンおよび4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンと4−(α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンとのブレンドがある。ヒンダードフェノールが用いられてもよいが、それらは芳香族アミンがするよりも多く硬化反応を妨げる。酸化防止剤は100部ポリマー当たり0.5〜2部のレベルで通常組み入れられる。他の添加剤、例えばゴム配合で一般に使用される可塑剤、接着促進剤、難燃剤、および加工助剤もまた本発明で有用な組成物中へ組み入れられてもよい。
【0055】
アクリルまたはメタクリル架橋剤の商用サンプル中の防止剤の存在の結果として、少量のこれらの添加剤もまた本発明で有用な組成物中に存在するかもしれない。防止剤は一般に少量で、例えば1500ppm(架橋剤の重量を基準にして百万分の部)より下で存在する。それらは、貯蔵および輸送の間に架橋剤の熱誘起重合を防ぐための役割を果たす。
【0056】
本発明の方法は、我々が本明細書でインプレース硬化と言う技術を用いるエラストマー・シールおよびガスケットの製造に特に適している。一般に、この技術によれば、硬化性エラストマー組成物は250℃以下、好ましくは90℃〜170℃の温度に加熱される。組成物は次に、基材上に所望の厚さの未硬化シールを形成するためにシールがそれに付着されるべき基材を含む少なくとも1つの表面を有する成形用キャビティ中へ導入される。未硬化シール組成物を有する基材はその次にUV放射線に露光され、シール組成物の硬化をもたらす。このように、シールはシールされるべき対象上に直接適所に形成される。典型的には、未硬化シールは約20mm以下、一般に6〜10mmの厚さで、好ましくは0.5〜6mmの厚さで形成される。
【0057】
本発明の方法の一実施形態では、低粘度エラストマー成分、多官能性架橋剤、およびUV開始剤を含む硬化性組成物が射出成形機に導入される。組成物は、加熱された時に、柔らかくなり、押出可能になる。硬化性組成物は、その上へ硬化性組成物が溶着されるべきである支持体と射出成形機の少なくとも1つの金型プレートとによって部分的に形成された金型キャビティ中へ導入される。例えば、硬化性組成物は、押出機、ピストンポンプ、加熱ドラムまたは任意の他の供給装置によって射出成形機に導入されてもよい。硬化性組成物は、供給装置への導入前にプレミックスされてもよい。例えば、プレミックスされた組成物は、供給装置に供給されるストリップの形にあってもよい。あるいはまた、別々の成分が供給装置に加えられ、こうして混合および供給が装置の一部で、例えば押出機または一連の押出機で成し遂げられることを可能にしてもよい。このようにして、組成物は、支持体上へ精密制御で塗布することができ、または溝中へまたは支持体の1つまたは複数の表面によって形成された他のキャビティ中へ導入することができる。支持体は、金属、熱可塑性樹脂、ガラス、またはセラミック物品または布もしくはフィルムのような材料であってもよい。本発明のインプレース硬化技術がガスケットを形成するために用いられる時、ガスケットの形状の硬化性シーリング組成物は、例えば支持体の溝中に依然未硬化ビーズとして残るであろう。付着したUV硬化性シーリング組成物を有する支持体は金型プレートから分離される。その付着したシーリング組成物付き支持体は直ちにシーリング組成物を硬化させるのに十分な時間にわたってUV放射線に露光されてもよく、こうして1タイプのシーリング・アセンブリを形成する。UV硬化の条件は付着されたシーリング組成物の厚さおよびサイズ、選択されたポリマーならびに多官能性架橋剤およびUV開始剤のタイプおよび比に依存して変わるであろうが、一般に、200W/cmのUV放射線源(400〜250nm)で2秒〜1.5分の硬化が硬化を達成するのに十分である。商業条件下では、硬化は、支持体に付着したUV硬化性組成物をコンベア上でUV源を通過させることによって一般に行われる。あるいはまた、支持体はUV放射線から保護されて貯蔵され、エラストマー・シーリング組成物を硬化させるという目的のためにしばらく経ってUV放射線に露光されてもよい。さらに、その付着した未硬化シーリング組成物付き支持体は、より大きなアセンブリでの構成成分として使用されてもよい。すなわち、それは他の構成成分と組み合わされて物品、すなわちアセンブリを形成し、アセンブリはUV放射線に露光され、それによってアセンブリ中のエラストマー組成物の硬化を引き起こしてシーリング・アセンブリを形成する。
【0058】
当業者は、定量供給および成形に適切な温度が未硬化エラストマーの粘度、未硬化エラストマーの分子量、架橋剤のレベル、光開始剤の分解温度および架橋剤の気化温度に依存し、かつ、特定の状況に最適である250℃以下の範囲内の値を選択することを認めるであろう。
【0059】
本発明の方法の他の実施形態には、その上へ組成物が付着させられる支持体が第1射出成形プロセス工程で熱可塑性材料から形成される共射出成形が含まれる。このように形成された基材は次に、本発明の方法に従ってUV硬化性組成物を受け取るために配置される。他の実施形態には、圧縮成形およびトランスファー成形が含まれる。
【0060】
本発明のガスケット化方法は、硬化性エラストマー組成物を使用するシールおよびガスケットの製造に用いられてもよい。
【0061】
上記方法によって製造されたシールの弾性特性を最適化するために、シーリング組成物は架橋され、すなわち硬化されなければならない。かかる方法において速い架橋反応を成し遂げるために熱活性化硬化システムを利用することは実用的でないであろう。シールを形成するために使用された硬化性組成物を、供給および成形工程中に扱いにくい、時期尚早に架橋した材料に変換する危険を人は冒すであろう。具体的には、硬化性組成物が加熱された、または機械運転によってもたらされる温度上昇に曝された時、架橋反応の引き金が引かれるであろう。金型への導入および成形中に時期尚早のゲル化(すなわち乾き切り)を制御することは困難であろう。架橋した組成物は容易には流れないので、乾き切った製品をもたらす方法は望ましくない。その結果として、熱誘起架橋反応に依存する硬化システムは本方法に適切ではない。さらに、過酸化物の熱分解だけに依存する最も一般的な均一、すなわちフリーラジカル硬化方法もまた本方法での使用に不適である。硬化性組成物はUV放射線誘起フリーラジカル法によって効果的に硬化させられる。
【0062】
本発明の方法を用いるシーリング組成物のUV硬化は、室温でまたはより高温で成し遂げられてもよい。例えば、多くの状況で過度の流れを避けるためにシールされるべき対象への未硬化組成物の塗布後直ちに光硬化を行うことが望ましいかもしれない。当該ポイントでは、組成物の温度は250℃ほどに高くてもよい。しかしながら、硬化性組成物の加熱は効果的な光硬化に必要でもなく、また特に望ましくもない。さらに、組成物が熱可塑性物品上にシールを形成するために使用される時、低温硬化は熱可塑性樹脂の分解または熱歪みのいかなる可能性も最小限にする。さらに、不活性雰囲気でUV照射を行うことは最適であるかもしれないが、それは必要ではない。硬化反応は、何の有害な影響もなく大気条件下で行うことができる。さらに、幾つかのケースでは、特に塩素化またはクロロスルホン化ポリオレフィンを硬化させる時には、熱蓄積が最小限にされるので、水中硬化が好ましいことが分かった。これは、これらのポリマーが脱塩化水素する傾向、ポリマー分解および変色を引き起こす過程を減らす。
【0063】
本発明の方法の目的のためには、硬化反応を達成するために用いられる放射線の波長スペクトルは、典型的にはUV開始剤の吸収極大に一致する。これは典型的には約200〜400ナノメートルの範囲である。好適なUV放射線源には、中圧水銀蒸気ランプ、無電極ランプ、パルスキセノンランプ、およびハイブリッドキセノン/水銀蒸気ランプが含まれる。好ましい配置は、照射されるべき表面一面に均一に放射線を拡散させる反射鏡と共に1つまたは複数のランプを含む。線量は、ポリマー組成物を硬化させるのに、すなわち、90またはそれ以下、好ましくは50またはそれ以下の圧縮永久歪みと、少なくとも100%の破断伸びとを有する硬化組成物を生み出すのに十分でなければならない。平方センチメートル当たり少なくとも約10ジュール、好ましくは20ジュールの用量が通常最適硬化のために十分である。用量はUV放射線への露光の時間、UV放射線源からの距離および放射線源の出力レベルの関数である。必要とされる放射線量は、硬化性組成物の小サンプルを硬化させ、硬化後に引張強度、圧縮永久歪みおよび伸びのような物理的性質を測定することによって容易に決定することができる。ほとんどの場合に、許容される程度の硬化は約80W/cmのランプを用いて30〜300秒の露光によって得ることができる。200W/cmランプが特に効率的であることが分かった。適切な調節は、ポリマー成分、存在する架橋剤のレベル、および存在するフィラーのレベルだけでなく、ランプの出力、UV範囲にわたる出力の分布、サンプルの厚さに依存して行われてもよい。例えば、フィラーを含有するエチレン・アクリレートコポリマーゴムは、フィラーなしの同じ組成物より長い硬化時間を必要とするであろう。
【0064】
発泡剤が本発明で有用な硬化性組成物中へ組み入れられてもよい。かかる状況では、UV光への露光の間ずっと起こる同時加熱によって誘起される発泡剤の熱分解の結果として、気泡構造が硬化性組成物のUV放射線への露光によって形成されるであろう。この加熱現象は追加の外部加熱によって増やされても、制御されてもよい。用いられてもよい典型的な発泡剤には、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、およびジニトロソペンタメチレンテトラミンが含まれる。あるいはまた、UV硬化反応はまた、硬化および発泡が同時によりむしろ順次に起こるように、冷却しながら成し遂げられてもよい。すなわち、硬化性組成物は冷却しながらUV放射線に露光され、硬化組成物は次に熱風トンネルを通過させられて発泡を引き起こす。低い比重の独立気泡構造体は、かかる方法によって製造されてもよい。例えば、0.20〜0.60g/cmの比重の構造体が得られるかもしれない。
【0065】
本発明は図面を参照することによりさらに説明される。図1について言及すると、射出チャネル20を有する支持体22は、側面24および28と底面26とを持ったキャビティ16を有する第2金型プレート10の上に置かれる。支持体22は底面6と側壁4および8とを有する溝14を有する。射出チャネル18を有する第1金型プレート12は、第1プレート12の下面が支持体22の上面に接触するように支持体22の上面上に置かれる。キャビティ16と射出チャネル18および20とはそれぞれ任意の所望の形状のものであってもよい。第1金型プレート12は、チャネル18が射出チャネル20と接触し、それと連続的であり、それによってUV硬化性エラストマー・シーリング組成物、具体的には未硬化エラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含む組成物をキャビティ16に供給するための通路を提供するように支持体22と接触して置かれる。このように、成形用キャビティは、射出チャネル18、射出チャネル20およびキャビティ16によって画定されて形成される。硬化性エラストマー組成物は、UV硬化性エラストマー・シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらないような条件下で、すなわち、組成物の粘度が成形温度に加熱される時のその初期値の±50%内で一定に留まるような条件下で射出チャネル18および20を通ってキャビティ16中へ導入される。第2金型プレート10および第1金型プレート12は次に支持体22との接触から解除されて精密形状の付着した硬化性エラストマー組成物を有する支持体を生み出す。付着したエラストマー組成物付き支持体は直ちにUV放射線に露光されてもよいし、それは未硬化の状態で貯蔵されてもよいし、またはそれは他の構成成分と組み合わせてアセンブリへ形成されてもよく、その後でアセンブリはUV放射線に露光されてもよい。第1または第2金型プレートの温度は、金型プレートのいずれかまたは両方中のチャネル(示されていない)に加熱または冷却媒体を通すことによって変えられても、または制御されてもよい。第2金型プレート10の凹部5は、任意選択の形状である。
【0066】
他の実施形態(示されていない)では、第1金型プレート、支持体および第2金型プレートはそれぞれ多数の射出チャネルを有してもよい。さらに、支持体は2つ以上の金型プレートに接触しても、それらの間に置かれてもよい。
【0067】
本発明のさらなる実施形態は、図2を参照することにより例示される。射出チャネル32を有する支持体30は、側面42および46と底面44とを持ったキャビティ40を有する第2金型プレート34の上に置かれる。射出チャネル38を有する第1金型プレート36は、第1プレート36の下面が支持体30の上面に接触するように支持体30の上面上に置かれる。キャビティ40と射出チャネル32および38とはそれぞれ任意の所望の形状のものであってもよい。第1金型プレート36は、射出チャネル38が射出チャネル32と接触し、それと連続的であり、それによってUV硬化性エラストマー・シーリング組成物、具体的には未硬化エラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含む組成物を供給するための通路を提供するように支持体30と接触して置かれる。第2金型プレート34は、射出チャネル32および38によって形成された通路がキャビティ40と接しているように支持体30と接触して置かれる。このように、成形用キャビティは、射出チャネル32および38とキャビティ40とによって画定されて形成される。硬化性エラストマー組成物は、UV硬化性エラストマー・シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらないような条件下で、すなわち、組成物の粘度が成形温度に加熱される時の初期値の±50%内で一定に留まるような条件下で射出チャネル32および38を通ってキャビティ40中へ導入される。第2金型プレート34および第1金型プレート36は次に支持体30との接触から解除されて精密形状の付着した硬化性エラストマー組成物を有する支持体を生み出す。
【0068】
図3について言及すると、表面54、56、および58を有する支持体48は第2金型プレート62の上に置かれる。射出チャネル50を有する第1金型プレート60は、第1プレート60の下面が支持体48の上面に接触するように支持体48の上面上に置かれる。金型キャビティは、支持体48の表面54、56、および58と第1金型プレート60の表面64および66と射出チャネル50とによって画定されるキャビティ52から形成される。キャビティ52および射出チャネル50は任意の所望の形状のものであってもよい。UV硬化性エラストマー・シーリング組成物、具体的には未硬化エラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含む組成物は次に、UV硬化性エラストマー・シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらないような条件下で、すなわち、組成物の粘度が成形温度に加熱される時のその初期値の±50%内で一定に留まるような条件下で射出チャネル50を通ってキャビティ52に導入される。第2金型プレート62および第1金型プレート60は次に支持体48との接触から解除されて精密形状の付着した硬化性エラストマー組成物を有する支持体を生み出す。第1または第2金型プレートの温度は、金型プレートのいずれかまたは両方中のチャネル(示されていない)に加熱または冷却媒体を通すことによって変えられても、または制御されてもよい。
【0069】
図4について言及すると、支持体68は第2金型プレート76上に置かれる。第1金型プレート78は、第1プレート78の下面が支持体68の上面に接触するように支持体68の上面上に置かれる。金型キャビティは、側面70および72と底面74とを有するキャビティ82と、射出チャネル50とから形成される。キャビティ82および射出チャネル80は任意の所望の形状のものであってもよい。UV硬化性エラストマー・シーリング組成物、具体的には未硬化エラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含む組成物は次に、UV硬化性エラストマー・シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらないような条件下で、すなわち、組成物の粘度が成形温度に加熱される時のその初期値の±50%内で一定に留まるような条件下で射出チャネル80を通ってキャビティ82に導入される。第2金型プレート76および第1金型プレート78は次に支持体68との接触から解除されて精密形状の付着した硬化性エラストマー組成物を有する支持体を生み出す。第1または第2金型プレートの温度は、金型プレートのいずれかまたは両方中のチャネル(示されていない)に加熱または冷却媒体を通すことによって変えられても、または制御されてもよい。
【0070】
金型プレートは様々な材料の任意のものから製造されてもよいが、一般には金属である。支持体はまた熱可塑性材料、セラミック、フェノール系もしくはエポキシドのような熱硬化性材料、布、または金属のような様々な材料を含んでもよい。
【0071】
別の実施形態では、例えば、そのそれぞれが別セットの金型プレートおよび支持体中へ流れ込む分岐を主射出チャネルが有する、2つ以上の上方または下方の金型プレートが利用されてもよい。
【0072】
本発明のさらなる実施形態では、成形用キャビティの一部を形成する支持体の表面は、支持体の表面への未硬化エラストマー組成物の付着性を上げるであろうコーティングで前処理されてもよい。かかるコーティングは接着剤として一般に使用される。支持体材料およびUV硬化性組成物に依存して、コーティングは一連のシラン−ベース種の独占権を有する組成物、例えばロード・コーポレーション(Lord Corporation)から入手可能なケムロック(Chemlock)(登録商標)ゴム接合剤、ケミカル・イノベーション社(Chemical Innovations Ltd.)から入手可能なシルボンド(Cilbond)(登録商標)ポリマー接合システム、ローム・アンド・ハース・コーポレーション(Rohm & Haas Corporation)から入手可能なチクソン(Thixon)(登録商標)接着剤およびメグム(Megum)(登録商標)接着剤ならびにヘンケル社(Henkel KGaA)から入手可能なケモシル(Chemosil)(登録商標)接着剤から選択されてもよい。さらに、ドングサング(Dongsung)NSCから入手可能なディ−プライ(D−Ply)−5−2プライマーおよびH.P.フラー社(H.P.Fuller,Inc.)から入手可能な9078Xプライマーのような、UV光によって活性化されるプライマーが好適である。本発明のさらなる実施形態では、図1のキャビティ16の側面24および28と底面26と第2金型プレート10とが金型の表面への未硬化エラストマー組成物の付着性を下げ、その付着した未硬化エラストマー組成物からの支持体の容易な離型を可能にするであろうコーティンで前処理されてもよい。かかるコーティングには、金型の表面で滑剤の機能を果たす試剤または表面上への霧吹き、ワイピングもしくはブラシ掛けによって塗布されてもよい犠牲金型剥離剤、例えばポリジメチルシロキサンが含まれる。あるいはまた、架橋性ポリマー、例えば、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Du Pont de Nemours and Co.)製の様々なグレードのトラシス(TraSys)TM金型剥離システムのような、溶液または乳濁液から塗布されるポリシロキサンまたはフルオロポリマーが好適である。後者タイプのこれらの剥離剤は、揮発性キャリアと架橋性ポリマーとよりなる。それらは、キャリアが蒸発し、ポリマーが金型に結合し、架橋して厚い一様な剥離フィルムを形成する短い硬化時間を必要とする。さらに、特別な金属合金、ポリテトラフルオロエチレンまたは金属とポリテトラフルオロエチレンとのアロイが金型表面に直接付けられてもよい。
【0073】
容易な除去のためには、支持体に付着した硬化性組成物の除去前に第2金型プレートを冷却することが好ましい。これは、成形用キャビティへの硬化性組成物の導入後ある期間放置することによって成し遂げられてもよいし、または冷却は、例えば、金型プレート中のチャネルに流体を通過させることによって成し遂げられてもよい。冷却の他の方法は当業者にはおなじみであろう。
【0074】
本発明の硬化性シーリング組成物付き支持体は、インプレース接合シールおよびガスケットを含有する物品の製造で、例えば液晶ディスプレーパネルで有用である。本発明の硬化シーリング・アセンブリは、ロッカーカバー、トランスミッションカバー、油受け、ウォーターポンプ、空気取入マニホールド、ラジエーター、ヘッドランプおよび回転シャフトシール用のエンジンフランジのような、複雑な形状のガスケットを有する自動車部品として有用である。複雑な形状のガスケットはまた、燃料電池プレートおよびスタックのような用途でも使用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】支持体22が溝付き支持体であり、成形用キャビティが溝のすべての表面と接していない本発明の方法の実施を可能にする装置の実施形態の縦断面である。
【図2】支持体30が溝を含有しない本発明の方法の実施を可能にする装置の実施形態の縦断面である。
【図3】支持体48が溝付き支持体であり、成形用キャビティが溝のすべての表面と接している本発明の方法の実施を可能にする装置の実施形態の縦断面である。
【図4】支持体68が溝を含有しない本発明の方法の実施を可能にする装置の実施形態の縦断面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に未硬化のエラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含むUV硬化性シーリング組成物の支持体上への提供方法であって、
A.少なくとも1つの射出チャネルを有する第1金型プレートと、第1金型プレートに対して反対側の少なくとも1つの他の金型プレートとを提供する工程と、
B.任意選択の射出チャネルを有する支持体を提供する工程と、
C.a)前記支持体が前記第1金型プレートおよび前記少なくとも1つの他の金型プレートに接触し、かつ、b)前記第1金型プレートと前記支持体の表面との前記射出チャネルを含む成形用キャビティが形成されるように、前記支持体を前記第1金型プレートと前記少なくとも1つの他の金型プレートとの間に置く工程と、
D.前記UV硬化性シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらず、かつ、前記UV硬化性シーリング組成物が前記支持体に接触してそれに付着するような方法で、前記UV硬化性シーリング組成物を前記成形用キャビティ中へ導入する工程と、
E.前記支持体から前記金型プレートを分離し、前記支持体に対して前記UV硬化性シーリング組成物を付着したままにする工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記支持体が射出チャネルを有し、前記射出チャネルが前記第1金型プレートの少なくとも1つの射出チャネルと接しており、それによって前記第1金型プレートの前記射出チャネル、前記支持体の前記射出チャネル、および少なくとも1つの他の金型プレートの表面を含む成形用キャビティを形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法によって製造されることを特徴とする支持体上のUV硬化性シーリング組成物。
【請求項4】
請求項2に記載の方法によって製造されることを特徴とする支持体上のUV硬化性シーリング組成物。
【請求項5】
エチレン・アクリレートコポリマーゴム、エチレン・メタクリレートコポリマーゴム、アクリレートゴム、エチレン・ビニルエステルエラストマー、ジエンと不飽和ニトリルとのエラストマーコポリマー、ジエンと不飽和ニトリルとの水素化エラストマーコポリマー、ウレタンエラストマー、シリコーン、ヨウ素化、臭素化、または塩素化硬化部位モノマーの共重合単位を有するフルオロエラストマー、非共役ジエンの共重合単位を有するフルオロエラストマー、フルオロエラストマー、塩素化オレフィンエラストマー、クロロスルホン化オレフィンエラストマー、エピクロロヒドリンエラストマー、エチレン・α−オレフィンコポリマーゴム、およびブチルゴムよりなる群から選択されるエラストマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法によって製造された支持体上のUV硬化性シーリング組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の方法によって製造された支持体上のUV硬化性シーリング組成物であって、前記支持体が金属、熱硬化性材料、熱可塑性材料およびセラミックよりなる群から選択される材料を含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
前記支持体に付着した前記UV硬化性エラストマー・シーリング組成物が、前記UV硬化性エラストマー・シーリング組成物を硬化させるのに十分な時間にわたってUV放射線に露光されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法によって製造されることを特徴とする物品。
【請求項9】
A.アセンブリの少なくとも1つの部品が支持体に付着したUV硬化性エラストマー・シーリング組成物を含み、前記エラストマー・シーリング組成物が実質的に未硬化のエラストマー、多官能性架橋剤およびUV開始剤を含むアセンブリを提供する工程であって、支持体に付着した前記UV硬化性シーリング組成物が
1.少なくとも1つの射出チャネルを有する第1金型プレートと、第1金型プレートに対して反対側の少なくとも1つの他の金型プレートとを提供する工程と、
2.任意選択の射出チャネルを有する支持体を提供する工程と、
3.a)前記支持体が前記第1金型プレートおよび前記少なくとも1つの他の金型プレートに接触し、かつ、b)前記第1金型プレートと前記支持体との前記射出チャネルを含む成形用キャビティが形成されるように、前記支持体を前記第1金型プレートと前記少なくとも1つの他の金型プレートとの間に置く工程と、
4.前記UV硬化性シーリング組成物の実質的に何の硬化も起こらず、かつ、前記UV硬化性シーリング組成物が前記支持体に接触してそれに付着するような方法で、前記UV硬化性シーリング組成物を前記成形用キャビティ中へ導入する工程と、
5.前記支持体から前記金型プレートを分離し、前記支持体に対して前記UV硬化性シーリング組成物を付着したままにし、それによって前記支持体に付着したUV硬化性エラストマー・シーリング組成物を形成する工程と
を含む方法によって製造される工程と、
B.前記UV硬化性エラストマー・シーリング組成物を硬化させるのに十分な時間にわたって前記アセンブリをUV放射線に露光させる工程と
を含むことを特徴とするシーリング・アセンブリの製造方法。
【請求項10】
前記支持体が射出チャネルを有し、前記射出チャネルが前記第1金型プレートの少なくとも1つの射出チャネルと接しており、それによって前記第1金型プレートの前記射出チャネル、前記支持体の前記射出チャネル、および少なくとも1つの他の金型プレートを含む成形用キャビティを形成することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法によって製造されることを特徴とするシーリング・アセンブリ。
【請求項12】
請求項10に記載の方法によって製造されることを特徴とするシーリング・アセンブリ。
【請求項13】
前記UV硬化性シーリング組成物がエチレン・アクリレートコポリマーゴム、エチレン・メタクリレートコポリマーゴム、アクリレートゴム、エチレン・ビニルエステルエラストマー、ジエンと不飽和ニトリルとのエラストマーコポリマー、ジエンと不飽和ニトリルとの水素化エラストマーコポリマー、ポリウレタンエラストマー、シリコーン、ヨウ素化、臭素化、または塩素化硬化部位モノマーの共重合単位を有するフルオロエラストマー、非共役ジエンの共重合単位を有するフルオロエラストマー、フルオロエラストマー、塩素化オレフィンエラストマー、クロロスルホン化オレフィンエラストマー、エピクロロヒドリンエラストマー、エチレン・α−オレフィンコポリマーゴム、およびブチルゴムよりなる群から選択されるエラストマーを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法によって製造されたシーリング・アセンブリ。
【請求項14】
前記支持体が金属、熱硬化性材料、熱可塑性材料、布およびセラミックよりなる群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法によって製造されたシーリング・アセンブリ。
【請求項15】
前記成形用キャビティが金型の表面への未硬化エラストマー組成物の付着を減らすであろう金型剥離剤で前処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記成形用キャビティが金型の表面への未硬化エラストマー組成物の付着を減らすであろう金型剥離剤で前処理されることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−500633(P2007−500633A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533110(P2006−533110)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015271
【国際公開番号】WO2004/103677
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(597035953)デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】