説明

VCO位相テスト回路

【課題】簡便な冶具や計測器を用いて多相出力を有するVCOにおける出力クロック信号間の位相差を容易に測定、評価することができるVCO位相テスト回路を実現する。
【解決手段】本発明のVCO位相テスト回路は、基準となるクロック信号TP0が第1の入力に接続され、TP0と周期が同じで位相が異なるクロック信号TP1〜nが第2の入力に接続され、TP0とTP1〜nとの間のそれぞれの位相差に対応するパルス幅を持ちTP0と周期が同じパルス信号PWM1〜nを生成するPWMパルス生成回路11と、PWM1〜nが入力され、PWM1〜nのパルス幅に対応した電圧のDC電圧DCL1〜nを生成するローパスフィルターLPF1〜nと、DCL1〜nが所定の電圧範囲にある場合に有効となる判定結果信号OUTを生成する合否判定回路12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VCO位相テスト回路に係わり、特に、多相出力タップを有するVCOの位相テスト回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ、ゲーム機器、およびネットワーク機器等の高速化に伴い、システム上での各半導体チップ間のデータ転送速度も高速化されている。このようなシステムでは、入出力回路のデータレートを高速化するために、PLL(位相同期化ループ)回路を用いて、外部の基準クロックよりも多相の高周波クロックを生成して高いデータレートの入出力を実現することが行われている。多相出力VCO(電圧制御発振回路)は、このようなPLL回路で広く用いられている(例えば、「特許文献1」を参照。)。従来、多相出力VCOの出力クロック信号間の位相評価では、多相出力VCOからの各出力クロック信号をMUX(選択回路)で選択し、デバイスの外部に接続した位相測定器によって位相を測定し評価を行っていた。
【0003】
しかしながら、近年のVCOは発振周波数がより高くなっており、半導体チップ外部に信号を取り出そうとすると、外界ノイズや、パッケージ、ソケット、評価ボード、配線などによるLCR成分や、インピーダンス不整合による反射、配線長によるスキュー等によって波形が乱れ位相がズレやすく、位相測定が難しい状況であった。また、物理的な限界もあるために波形の乱れによる測定誤差の増大も否めなく、VCOの諸特性や信頼性評価が難しくなる一方であった。このように、従来の多相出力VCOの出力間位相評価では、僅かな位相差を測定しなければならないために、高精度な計測器や対ノイズ/対スキュー対策を入れ込んだ特注の評価冶具やケーブルが必要不可欠であり、信頼性の高い測定値を得るためには、評価インフラの整備面で評価コストが非常に高く付くという問題があった。
【0004】
また、近年の多相出力VCOの出力タップ数は大変多いものがあり、従来の半導体チップでは、外部信号数の削減のためにVCOからの出力クロック信号をMUXで切換えて出力する場合が少なくなかった。このため、測定に際しては出力タップからのクロック信号の切換えや、出力タップの切換えごとに計測器の調整やスタンバイなどの煩雑な作業が必要となり、その作業効率の悪さは評価時間の増加を招き、量産時にはテストコスト増大としてデバイス単価にはね返る懸念があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−102483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡便な冶具や計測器を用いて出力クロック信号間の位相差を容易に測定、評価することができるVCO位相テスト回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基準となる第1のクロック信号が第1の入力に接続され、前記第1のクロック信号と周期が同じで位相が異なる第2のクロック信号が第2の入力に接続され、前記第1の入力と前記第2の入力との間の位相差に対応するパルス幅を持ち前記第1のクロック信号と周期が同じパルス信号を生成するパルス生成手段と、前記パルス生成手段からの前記パルス信号が入力され、前記パルス信号の前記パルス幅に対応した電圧のDC電圧を生成するローパスフィルターと、前記ローパスフィルターからの前記DC電圧が所定の電圧範囲にある場合に有効となる判定結果信号を生成する合否判定手段を有することを特徴とするVCO位相テスト回路が提供される。
【0008】
また、本発明の別の一態様によれば、基準となる第1のクロック信号と周期が同じで前記第1のクロック信号と位相が異なる複数のクロック信号が入力され、入力される選択切り替え信号に基づいて前記複数のクロック信号のうち1つを逐次選択して第2のクロック信号として出力する選択手段と、前記第1のクロック信号が第1の入力に接続され、前記選択手段からの前記第2のクロック信号が第2の入力に接続され、前記第1の入力と前記第2の入力との間の位相差に対応するパルス幅を持ち前記第1のクロック信号と周期が同じパルス信号を生成するパルス生成手段と、前記パルス生成手段からの前記パルス信号が入力され、前記パルス信号の前記パルス幅に対応して順次電圧レベルが変化するDC電圧を生成するローパスフィルターと、前記選択切り替え信号に対応して異なる電圧レベルの基準電圧を順次生成する判定レベル発生手段と、前記ローパスフィルターからの前記DC電圧と前記判定レベル発生手段からの前記参照電圧とを前記選択切り替え信号に対応して順次比較し、前記比較の結果が前記複数のクロック信号に対してすべて所定の電圧範囲にある場合に判定結果信号を出力する合否判定手段を有することを特徴とするVCO位相テスト回路が提供される。
【0009】
さらに、本発明の別の一態様によれば、周期が同じで位相の異なる複数のクロック信号が入力され、入力される第1の選択切り替え信号に基づいて前記複数のクロック信号のうち1つを選択して第1のクロック信号として出力する第1の選択手段と、入力される第1の遅延切り替え信号に基づいて前記第1の選択手段からの前記第1のクロック信号を所定の時間遅延させて第1の遅延クロック信号として出力する第1の可変遅延手段と、前記複数のクロック信号が入力され、入力される第2の選択切り替え信号に基づいて前記複数のクロックのうち前記第1のクロック信号とは異なる1つを選択して第2のクロック信号として出力する第2の選択手段と、入力される第2の遅延切り替え信号に基づいて前記第2の選択手段からの前記第2のクロック信号を所定の時間遅延させて第2の遅延クロック信号として出力する第2の可変遅延手段と、前記第1の遅延クロック信号および前記第2の遅延クロック信号が入力され、前記第1の遅延クロック信号と前記第2の遅延クロック信号との位相の順序を判定する位相順判定手段と、前記位相順判定手段の判定結果が所定の順序である場合に有効となる判定結果信号を出力する合否判定手段を有することを特徴とするVCO位相テスト回路が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便な冶具や計測器を用いて容易に測定、評価することができ、半導体チップの評価時間および評価コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係るVCO位相テスト回路の動作を示す図。
【図3】本発明の実施例2に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図。
【図4】本発明の実施例2に係るVCO位相テスト回路の動作を示す特性図。
【図5】本発明の実施例2に係るVCO位相テスト回路の他の回路を示す特性図。
【図6】本発明の実施例3に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図。
【図7】本発明の実施例3に係るVCO位相テスト回路の動作を示す特性図。
【図8】本発明の実施例4に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図。
【図9】本発明の実施例5に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図。
【図10】本発明の実施例6に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、位相の異なる(n+1)個の出力クロック信号0〜n(nは1以上の整数。以下、「TP0〜TPn」という。)を出力する複数の出力タップを有する多相出力タップ付きVCO10に対して、TP0〜TPn間の位相差を判定するVCO位相テスト回路にかかわる部分を示した。
【0014】
本発明の実施例1に係るVCO位相テスト回路は、n個の位相差パルス信号1〜n(以下、「PWM1〜PWMn」という。)を生成するPWMパルス生成回路11、DCレベル信号1〜n(以下、「DCL1〜DCLn」という。)を生成するn個のローパスフィルター1〜n(以下、「LPF1〜LPFn」という。)、および出力タップ間の位相差が所定のスペックを満たしているかを示す合否判定結果信号(以下、「OUT」という。)を出力する合否判定回路12を備えている。
【0015】
PWMパルス生成回路11の第1の入力にはTP0が入力され、PWMパルス生成回路11の第2の入力にはTP1が入力され、PWMパルス生成回路11の第3の入力にはTP2が入力され、同様に、PWMパルス生成回路11の第(n+1)の入力にはTPnが入力されている。
【0016】
PWMパルス生成回路11は、図1に示したように、n個の2入力ANDゲート回路11〜1n(以下、「AND11〜1n」という。)で構成され、AND11の第1の入力にはPWMパルス生成回路11の第1の入力であるTP0が接続され、AND11の第2の入力にはPWMパルス生成回路11の第2の入力であるTP1が接続され、AND11の出力はPWMパルス生成回路11の第1の出力であるPWM1として出力され、AND12の第1の入力にはPWMパルス生成回路11の第1の入力であるTP0が接続され、AND12の第2の入力にはPWMパルス生成回路11の第3の入力であるTP2が接続され、AND12の出力はPWMパルス生成回路11の第2の出力であるPWM2として出力され、同様に、AND1nの第1の入力にはPWMパルス生成回路11の第1の入力であるTP0が接続され、AND1nの第2の入力にはPWMパルス生成回路11の第(n+1)の入力であるTPnが接続され、AND1nの出力はPWMパルス生成回路11の第nの出力であるPWMnとして出力されている。
【0017】
PWMパルス生成回路11は、TP0とTP1〜TPnとの間のそれぞれの位相差に対応するパルス幅を持つn個のパルス信号PWM1〜PWMnを生成し、それぞれをLPF1〜LPFnに出力する。
【0018】
LPF1の入力にはPWMパルス生成回路11の第1の出力からのPWM1が入力され、LPF1の出力はDCL1として合否判定回路12の第1の入力に供給され、LPF2の入力にはPWMパルス生成回路11の第2の出力からのPWM2が入力され、LPF2の出力はDCL2として合否判定回路12の第2の入力に供給され、同様に、LPFnの入力にはPWMパルス生成回路11の第nの出力からのPWMnが入力され、LPFnの出力はDCLnとして合否判定回路12の第nの入力に供給されている。
【0019】
LPF1〜LPFnは、入力されたPWM1〜PWMnのそれぞれのバルス幅に対応した電圧値を有するDC電圧をDCL1〜DCLnとして生成し、合否判定回路12に出力する。
【0020】
合否判定回路12は、入力されたDCL1〜DCLnの全てがそれぞれあらかじめ定められたスペックを満たす所定の電圧範囲にある場合に有効(“H”レベル)となるOUTを生成し出力する。
【0021】
OUTは論理レベルの出力であるので、外部に接続された測定器は、OUTを検査することで、TP1〜TPnのそれぞれのTP0に対する位相差が所望の範囲に収まっていることを容易に判定することができる。
【0022】
合否判定回路12は、図1に示したように、基準電圧1〜i(以下、「r1〜ri」という。)を生成する抵抗アレイ13、DCL1〜DCLnとr1〜riを比較して位相差を判定し出力タップごとの位相差判定信号1〜n(以下、「PH1〜PHn」という。)を出力するn個の位相差判定回路141〜14n、およびPH1〜PHnを判定しOUTを生成するn入力ANDゲート回路3(以下、「AND3」という。)を備えている。
【0023】
位相差判定回路141の第1の入力には合否判定回路12の第1の入力であるDCL1が入力され、位相差判定回路141の第2の入力には抵抗アレイ13からのr1が入力され、位相差判定回路141の第3の入力には抵抗アレイ13からのr2が入力され、位相差判定回路141の出力であるPH1はAND3の第1の入力に供給されている。
【0024】
位相差判定回路142の第1の入力には合否判定回路12の第2の入力であるDCL2が入力され、位相差判定回路142の第2の入力には抵抗アレイ13からのr3が入力され、位相差判定回路142の第3の入力には抵抗アレイ13からのr4が入力され、位相差判定回路142の出力であるPH2はAND3の第2の入力に供給されている。
【0025】
同様に、位相差判定回路14nの第1の入力には合否判定回路12の第nの入力であるDCLnが入力され、位相差判定回路14nの第2の入力には抵抗アレイ13からのri−1が入力され、位相差判定回路14nの第3の入力には抵抗アレイ13からのriが入力され、位相差判定回路14nの出力であるPHnはAND3の第nの入力に供給され、AND3の出力は合否判定回路12の出力OUTとして出力されている。
【0026】
抵抗アレイ13は、k個の抵抗R1〜Rkで構成され、R1の一端は電源電位Vppおよび抵抗アレイ13の第1の出力に接続され、R1の他端はR2の一端および抵抗アレイ13の第2の出力に接続され、R2の他端はR3の一端および抵抗アレイ13の第3の出力に接続され、同様に、Rk−2の他端はRk−1の一端および抵抗アレイ13の第(k−1)の出力に接続され、Rk−1の他端はRkの一端および抵抗アレイ13の第kの出力接続され、Rkの他端は接地電位GNDおよび抵抗アレイ13の第(k+1)の出力に接続されている。
【0027】
R1〜Rkの抵抗値は、基準となるTP0に対するTP1〜TPnの位相差が満たすべきスペックに対応して決定されている。すなわち、r1がDCL1のスペック上限値になり、r2がDCL1のスペック下限値になり、r3がDCL2のスペック上限値になり、r4がDCL2のスペック下限値になり、同様に、ri−1がDCLnのスペック上限値になり、riがDCLnのスペック下限値になるように決定されている。r1〜riの詳細な決定方法は、図2(b)を用いて後述する。
【0028】
位相差判定回路141は2つのコンパレータ11、21(以下、「CP11、21」という。)および1つの2入力ANDゲート回路21(以下、「AND21」という。)で構成され、CP11の(+)入力には位相差判定回路141の第2の入力であるr1が接続され、CP11の(−)入力には位相差判定回路141の第1の入力であるDCL1が接続され、CP11の出力はAND21の第1の入力に接続され、CP21の(−)入力には位相差判定回路141の第3の入力であるr2が接続され、CP21の(+)入力には位相差判定回路141の第1の入力であるDCL1が接続され、CP21の出力はAND21の第2の入力に接続され、AND21の出力は位相差判定回路141の出力PH1に接続されている。
【0029】
位相差判定回路142は2つのコンパレータ12、22(以下、「CP12、22」という。)および1つの2入力ANDゲート回路22(以下、「AND22」という。)で構成され、CP12の(+)入力には位相差判定回路142の第2の入力であるr3が接続され、CP12の(−)入力には位相差判定回路142の第1の入力であるDCL2が接続され、CP12の出力はAND22の第1の入力に接続され、CP22の(−)入力には位相差判定回路142の第3の入力であるr4が接続され、CP22の(+)入力には位相差判定回路142の第1の入力であるDCL2が接続され、CP22の出力はAND22の第2の入力に接続され、AND22の出力は位相差判定回路142の出力PH2に接続されている。
【0030】
同様に、位相差判定回路14nは2つのコンパレータ1n、2n(以下、「CP1n、2n」という。)および1つの2入力ANDゲート回路2n(以下、「AND2n」という。)で構成され、CP1nの(+)入力には位相差判定回路14nの第2の入力であるri−1が接続され、CP1nの(−)入力には位相差判定回路14nの第1の入力であるDCLnが接続され、CP1nの出力はAND2nの第1の入力に接続され、CP2nの(−)入力には位相差判定回路14nの第3の入力であるriが接続され、CP2nの(+)入力には位相差判定回路14nの第1の入力であるDCLnが接続され、CP2nの出力はAND2nの第2の入力に接続され、AND2nの出力は位相差判定回路14nの出力PHnに接続されている。
【0031】
位相差判定回路141〜14nは、DCL1〜DCLnとr1〜riを比較し、DCL1〜DCLnがそれぞれ所定の電圧範囲に収まっているかを判定する。例えば、位相差判定回路141の出力PH1は、DCL1の電圧がr2<DCL1<r1である場合に“H”レベル(OK)となり、それ以外の場合に“L”レベル(NG)となる。
【0032】
AND3の出力OUTは、PH1〜PHnがすべてOKの場合に“H”レベル(OK)となり、PH1〜PHnのうち1つでもNGがある場合には“L”レベル(NG)となる。
【0033】
次に、上述した構成を持つVCO位相テスト回路の動作について説明する。
図2(a)は、本発明の実施例1に係るVCO位相テスト回路の動作を示す波形図である。ここでは、説明のため、TP1およびTP2に係る信号、すなわち、TP0、TP1、TP2、PWM1、PWM2、DCL1、およびDCL2の波形を示した。
【0034】
また、図2(b)は、本発明の実施例1に係るVCO位相テスト回路の動作を示す特性図である。横軸はPWMパルス生成回路11の入力におけるTP1〜TPnのTP0に対する位相差を示し、縦軸はLPF1〜LPFnの出力であるDCL1〜DCLnのDC電圧レベルを示している。
【0035】
図2(a)に示したように、PWM1はTP0およびTP1がともに“H”レベルの時に“H”レベルになり、PWM2はTP0およびTP2がともに“H”レベルの時に“H”レベルになる。すなわち、PWM1〜PWMnは、それぞれ、基準となるTP0からの位相差に応じた“H”レベルのバルス幅を有するパルス信号として生成される。
【0036】
したがって、PWM1〜PWMnがそれぞれLPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルは、図2(b)に特性図で示したように、それぞれのTP0からの位相差に応じて変化する。
【0037】
例えば、基準となるTP0のデューティー比(“H”レベル幅の周期Tに対する比率。)が50%でTP1〜TPnのTP0に対する位相差が0°であれば、PWM1〜PWMnのデューティー比は50%となり、LPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルはVpp/2となる。以後、位相差増加と共にデューティー比は減少し、TP0との位相差が180°(周期Tの1/2。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は0%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルは0となる。
【0038】
TP0との位相差が180°以上では、逆に、位相差増加と共にデューティー比は増加し、TP0との位相差が360°(周期T。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は再び50%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルはVpp/2となる。
【0039】
位相差判定回路141〜14nに入力される抵抗アレイ13からのr1〜riは、TP0に対するTP1〜TPnのそれぞれの所望の位相差に応じて図2(b)から求められるDCL1〜DCLnの所望の電圧レベルに±のマージン値を加味して決定されている。すなわち、r1がDCL1のスペック上限値になり、r2がDCL1のスペック下限値になり、r3がDCL2のスペック上限値になり、r4がDCL2のスペック下限値になり、同様に、ri−1がDCLnのスペック上限値になり、riがDCLnのスペック下限値になるように決定されている。
【0040】
上記実施例1によれば、基準となるTP0とTP1〜TPnとの位相差をそれぞれDCレベルの電圧に変換してr1〜riと比較し、判定結果が論理レベル(“H/L”)で出力されるので、TP0〜TPnの周波数に関わりなく簡便な冶具や計測器を用いて容易に測定、評価することができ、半導体チップの評価時間および評価コストを抑制することができる。
【実施例2】
【0041】
図3は、本発明の実施例2に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、多相出力タップ付きVCO10に対して、実施例1と同様にタップ間の位相差を判定するVCO位相テスト回路にかかわる部分を示した。
また、特に記載のない限り、実施例1と同様の構成、機能を有する回路、信号には実施例1と同じ符号を用いた。
【0042】
本発明の実施例2に係るVCO位相テスト回路は、n個の位相差パルス信号PWM1〜PWMnを生成するPWMパルス生成回路31、DCレベル信号DCL1〜DCLnを生成するn個のローパスフィルターLPF1〜LPFn、および出力タップ間の位相差が所定のスペックを満たしているかを示す合否判定結果信号OUTを出力する合否判定回路32を備えている。
【0043】
PWMパルス生成回路31の第1の入力にはTP0が入力され、PWMパルス生成回路31の第2の入力にはTP1が入力され、PWMパルス生成回路31の第3の入力にはTP2が入力され、同様に、PWMパルス生成回路31の第(n+1)の入力にはTPnが入力されている。
【0044】
LPF1の入力にはPWMパルス生成回路31の第1の出力からのPWM1が入力され、LPF1の出力はDCL1として合否判定回路32の第1の入力に供給され、LPF2の入力にはPWMパルス生成回路31の第2の出力からのPWM2が入力され、LPF2の出力はDCL2として合否判定回路32の第2の入力に供給され、同様に、LPFnの入力にはPWMパルス生成回路31の第nの出力からのPWMnが入力され、LPFnの出力はDCLnとして合否判定回路32の第nの入力に供給されている。
【0045】
PWMパルス生成回路31は、図3に示したように、n個の2入力ORゲート回路11〜1n(以下、「OR11〜1n」という。)で構成され、OR11の第1の入力にはPWMパルス生成回路31の第1の入力であるTP0が接続され、OR11の第2の入力にはPWMパルス生成回路31の第2の入力であるTP1が接続され、OR11の出力はPWMパルス生成回路31の第1の出力であるPWM1として出力され、OR12の第1の入力にはPWMパルス生成回路31の第1の入力であるTP0が接続され、OR12の第2の入力にはPWMパルス生成回路31の第3の入力であるTP2が接続され、OR12の出力はPWMパルス生成回路31の第2の出力であるPWM2として出力され、同様に、OR1nの第1の入力にはPWMパルス生成回路31の第1の入力であるTP0が接続され、OR1nの第2の入力にはPWMパルス生成回路31の第(n+1)の入力であるTPnが接続され、OR1nの出力はPWMパルス生成回路31の第nの出力であるPWMnとして出力されている。
【0046】
PWMパルス生成回路31は、TP0とTP1〜TPnとの間のそれぞれの位相差に対応するパルス幅を持つn個のパルス信号PWM1〜PWMnを生成し、それぞれをLPF1〜LPFnに出力する。
【0047】
LPF1〜LPFnは、入力されたPWM1〜PWMnのそれぞれのバルス幅に対応した電圧値を有するDC電圧をDCL1〜DCLnとして生成し、合否判定回路32に出力する。
【0048】
合否判定回路32は、入力されたDCL1〜DCLnの全てがそれぞれあらかじめ定められたスペックを満たす所定の電圧範囲にある場合に有効(“H”レベル)となるOUTを生成し出力する。
【0049】
合否判定回路32の構成、機能は実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。実施例1との違いは、PWM1〜PWMnの生成方法に応じて抵抗アレイ13からの出力r1〜riの電圧値が異なることである。
【0050】
合否判定回路32の出力OUTは論理レベルの出力であるので、実施例1と同様に、TP1〜TPnのそれぞれのTP0に対する位相差が所望の範囲に収まっていることを容易に判定することができる。
【0051】
次に、上述した構成を持つVCO位相テスト回路の動作について説明する。
図4は、本発明の実施例2に係るVCO位相テスト回路の動作を示す特性図である。横軸はPWMパルス生成回路31の入力におけるTP1〜TPnのTP0に対する位相差を示し、縦軸はLPF1〜LPFnの出力であるDCL1〜DCLnのDC電圧レベルを示している。
【0052】
PWM1〜PWMnがそれぞれLPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルは、図4に特性図で示したように、それぞれのTP0からの位相差に応じて変化する。
【0053】
例えば、基準となるTP0のデューティー比が50%でTP1〜TPnのTP0に対する位相差が0°であれば、PWM1〜PWMnのデューティー比は50%となり、LPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルはVpp/2となる。PWMパルス生成回路31はORゲート回路で構成されているので、以後、位相差増加と共にデューティー比は増加し、TP0との位相差が180°(周期Tの1/2。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は100%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルはVppとなる。
【0054】
TP0との位相差が180°以上では、逆に、位相差増加と共にデューティー比は減少し、TP0との位相差が360°(周期T。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は再び50%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルはVpp/2となる。
【0055】
合否判定回路32の位相差判定回路141〜14nに入力される抵抗アレイ13からのr1〜riは、TP0に対するTP1〜TPnのそれぞれの所望の位相差に応じて図4から求められるDCL1〜DCLnの所望の電圧レベルに±のマージン値を加味して決定されている。すなわち、r1がDCL1のスペック上限値になり、r2がDCL1のスペック下限値になり、r3がDCL2のスペック上限値になり、r4がDCL2のスペック下限値になり、同様に、ri−1がDCLnのスペック上限値になり、riがDCLnのスペック下限値になるように決定されている。
【0056】
上記実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。
【0057】
上述の実施例2の説明では、PWMパルス生成回路31はn個の2入力ORゲート回路で構成されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図5に特性図を示したように、種々の論理ゲート回路を使用して構成することもできる。
【0058】
図5(a)に示したように、NANDゲート回路を用いた場合には、基準となるTP0のデューティー比が50%であれば、動作の特性はORゲート回路を用いた場合と同じになる。
【0059】
また、図5(b)に示したように、NORゲート回路を用いた場合には、基準となるTP0のデューティー比が50%であれば、動作の特性はANDゲート回路を用いた場合と同じになる。
【0060】
さらに、図5(c)に示したように、XOR(排他的論理和)ゲート回路を用いた場合には、基準となるTP0のデューティー比が50%でTP1〜TPnのTP0に対する位相差が0°であれば、PWM1〜PWMnのデューティー比は0%となり、LPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルは0となる。以後、位相差増加と共にデューティー比は増加し、TP0との位相差が180°(周期Tの1/2。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は100%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルはVppとなる。
【0061】
TP0との位相差が180°以上では、逆に、位相差増加と共にデューティー比は減少し、TP0との位相差が360°(周期T。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は再び0%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルは0となる。
【0062】
さらに、図5(d)に示したように、XNOR(排他的論理和の否定)ゲート回路を用いた場合には、XORゲート回路と逆の特性となる。すなわち、位相差0°でDCL1〜DCLnの電圧はVppとなり、位相差180°でDCL1〜DCLnの電圧はVppとなり、位相差360°でDCL1〜DCLnの電圧はVppとなる。
【0063】
また、上述の実施例1および実施例2の説明では、PWMパルス生成回路11またはPWMパルス生成回路31はn個の2入力論理ゲート回路で構成されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、3入力の論理ゲート回路を用い第3の入力にテスト信号などの状態判別信号を入力するようにしても良い。
【実施例3】
【0064】
図6は、本発明の実施例3に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、多相出力タップ付きVCO10に対して、実施例1と同様にタップ間の位相差を判定するVCO位相テスト回路にかかわる部分を示した。
また、特に記載のない限り、実施例1と同様の構成、機能を有する回路、信号には実施例1と同じ符号を用いた。
【0065】
本発明の実施例3に係るVCO位相テスト回路は、n個の位相差パルス信号PWM1〜PWMnを生成するPWMパルス生成回路61、DCレベル信号DCL1〜DCLnを生成するn個のローパスフィルターLPF1〜LPFn、および出力タップ間の位相差が所定のスペックを満たしているかを示す合否判定結果信号OUTを出力する合否判定回路62を備えている。
【0066】
PWMパルス生成回路61の第1の入力にはTP0が入力され、PWMパルス生成回路61の第2の入力にはTP1が入力され、PWMパルス生成回路61の第3の入力にはTP2が入力され、同様に、PWMパルス生成回路61の第(n+1)の入力にはTPnが入力されている。
【0067】
LPF1の入力にはPWMパルス生成回路61の第1の出力からのPWM1が入力され、LPF1の出力はDCL1として合否判定回路62の第1の入力に供給され、LPF2の入力にはPWMパルス生成回路61の第2の出力からのPWM2が入力され、LPF2の出力はDCL2として合否判定回路62の第2の入力に供給され、同様に、LPFnの入力にはPWMパルス生成回路61の第nの出力からのPWMnが入力され、LPFnの出力はDCLnとして合否判定回路62の第nの入力に供給されている。
【0068】
PWMパルス生成回路61は、図6に示したように、n個の同期クリアー付きデータラッチ回路11〜1n(以下、「DL11〜1n」という。)で構成され、DL11のD入力(データ入力)には電源(“H”レベル)が接続され、DL11のCL入力(同期クリアー入力)にはPWMパルス生成回路61の第1の入力であるTP0が接続され、DL11のCK入力(ラッチクロック入力)にはPWMパルス生成回路61の第2の入力であるTP1が接続され、DL11の/Q出力(反転出力)はPWMパルス生成回路61の第1の出力であるPWM1として出力され、DL12のD入力には電源(“H”レベル)が接続され、DL12のCL入力にはPWMパルス生成回路61の第1の入力であるTP0が接続され、DL12のCK入力にはPWMパルス生成回路61の第3の入力であるTP2が接続され、DL12の/Q出力はPWMパルス生成回路61の第2の出力であるPWM2として出力され、同様に、DL1nのD入力には電源(“H”レベル)が接続され、DL1nのCL入力にはPWMパルス生成回路61の第1の入力であるTP0が接続され、DL1nのCK入力にはPWMパルス生成回路61の第(n+1)の入力であるTPnが接続され、DL1nの/Q出力はPWMパルス生成回路61の第nの出力であるPWMnとして出力されている。
【0069】
DL11〜DL1nは、TP0の立ち上がりで/Q出力がクリアー(“H”レベル)され、CKに入力されるTP1〜TPnの立ち上がりで/Q出力がセット(“L”レベル)される。すなわち、PWMパルス生成回路61からLPF1〜LPFnに出力されるPWM1〜PWMnは、TP0と周期Tが同じで、TP0とTP1〜TPnとの間のそれぞれの位相差に応じて“H”レベルのパルス幅が異なるパルス信号である。
【0070】
LPF1〜LPFnは、入力されたPWM1〜PWMnのそれぞれのバルス幅に対応した電圧値を有するDC電圧をDCL1〜DCLnとして生成し、合否判定回路62に出力する。
【0071】
合否判定回路62は、入力されたDCL1〜DCLnの全てがそれぞれあらかじめ定められたスペックを満たす所定の電圧範囲にある場合に有効(“H”レベル)となるOUTを生成し出力する。
【0072】
合否判定回路62の構成、機能は実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。実施例1との違いは、PWM1〜PWMnの生成方法に応じて抵抗アレイ13からの出力r1〜riの電圧値が異なることである。
【0073】
合否判定回路62の出力OUTは論理レベルの出力であるので、実施例1と同様に、TP1〜TPnのそれぞれのTP0に対する位相差が所望の範囲に収まっていることを容易に判定することができる。
【0074】
次に、上述した構成を持つVCO位相テスト回路の動作について説明する。
図7は、本発明の実施例3に係るVCO位相テスト回路の動作を示す特性図である。横軸はPWMパルス生成回路61の入力におけるTP1〜TPnのTP0に対する位相差を示し、縦軸はLPF1〜LPFnの出力であるDCL1〜DCLnのDC電圧レベルを示している。
【0075】
PWM1〜PWMnがそれぞれLPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルは、図7に特性図で示したように、それぞれのTP0からの位相差に応じて直線的に変化する。
【0076】
すなわち、TP1〜TPnのTP0に対する位相差が0°であれば、PWM1〜PWMnのデューティー比は0%となり、LPF1〜LPFnで平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルは0となる。以後、位相差増加と共にデューティー比は増加し、TP0との位相差が180°(周期Tの1/2。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は50%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルはVpp/2となる。
【0077】
TP0との位相差が180°以上では、位相差増加と共にデューティー比はさらに増加し、TP0との位相差が360°(周期T。)でPWM1〜PWMnのデューティー比は100%となり、DCL1〜DCLnの電圧レベルはVppとなる。
【0078】
合否判定回路62の位相差判定回路141〜14nに入力される抵抗アレイ13からのr1〜riは、TP0に対するTP1〜TPnのそれぞれの所望の位相差に応じて図7から求められるDCL1〜DCLnの所望の電圧レベルに±のマージン値を加味して決定されている。すなわち、r1がDCL1のスペック上限値になり、r2がDCL1のスペック下限値になり、r3がDCL2のスペック上限値になり、r4がDCL2のスペック下限値になり、同様に、ri−1がDCLnのスペック上限値になり、riがDCLnのスペック下限値になるように決定されている。
【0079】
上記実施例3によれば、実施例1と同様の効果が得られるばかりでなく、基準となるTP0に対するTP1〜TPnの位相差が180°を超えても平滑化されたDCL1〜DCLnの電圧レベルが反転せず、連続した直線上の合否判定レベルによって合否判定ができるというメリットがある。
【0080】
上述の実施例3の説明では、PWMパルス生成回路61はn個の同期クリアー付きデータラッチ回路DL11〜DL1nで構成されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、n個の同期プリセット付きデータラッチ回路を用いて構成しても良い。すなわち、データ入力は“L”レベルに固定し、同期ラッチプリセット入力には基準となるTP0を接続し、ラッチクロック入力にはTP1〜TPnをそれぞれ接続して構成することもできる。
【0081】
また、上述の実施例1〜実施例3の説明では、合否判定回路はチップ上に設けられるとしたが、本発明はこれに限られるものではない。DCL1〜DCLnはTP0〜TPnの周波数にほとんど依存しないDCレベルの電圧であるので、合否判定回路をチップの外部、例えば、測定用治具が取り付けられている測定ボード上などに設けるようにしても良い。
【0082】
さらに、合否判定回路をチップ上に設ける場合でも、基準電圧r1〜riを外部から入力するようにしても良い。
【実施例4】
【0083】
図8は、本発明の実施例4に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、実施例1と同様の多相出力タップ付きVCO10に対して、タップ間の位相差を判定するVCO位相テスト回路にかかわる部分を示した。
また、特に記載のない限り、実施例1と同様の信号には実施例1と同じ符号を用いた。
【0084】
本発明の実施例4に係るVCO位相テスト回路は、TP1〜TPnの中から1つを選択して選択クロック信号MP1として順次出力する選択回路80(以下、「MUX80」という。)、TP0およびMP1から位相差パルス信号PWM80を生成するPWMパルス生成回路81、PWM80からDCレベル信号DCL80を生成するローパスフィルターLPF80、多相出力タップ付きVCO10の出力タップ間の位相差が所定のスペックを満たしているかを示す合否判定結果信号OUTを出力する合否判定回路82、合否判定の基準となる基準電圧r81およびr82を生成する合否判定レベル発生回路83、および信号切り替え制御回路85を備えている。
【0085】
MUX80の第1の入力には信号切り替え制御回路85からの選択信号sw80が入力され、MUX80の第2の入力にはTP1が入力され、MUX80の第3の入力にはTP2が入力され、同様に、MUX80の第(n+1)の入力にはTPnが入力され、MUX80の出力はMP1としてPWMパルス生成回路81に供給されている。
【0086】
PWMパルス生成回路81の第1の入力にはTP0が入力され、PWMパルス生成回路81の第2の入力にはMP1が入力され、PWMパルス生成回路81の出力はPWM80としてLPF80の入力に供給されている。
【0087】
LPF80の出力はDCL80として合否判定回路82の第1の入力に供給され、合否判定レベル発生回路83の入力には信号切り替え制御回路85からの基準電圧切り替え信号sw81が入力され、合否判定レベル発生回路83の出力はr81およびr82として合否判定回路82の第2の入力に供給され、合否判定回路82の第3の入力には信号切り替え制御回路85からの位相差判定ラッチ信号C1〜Cnが入力されている。
【0088】
MUX80は、信号切り替え制御回路85からのsw80に基づいて、一定期間ごとにTP1〜TPnの中から1つを順次選択し、MP1として出力する。
【0089】
PWMパルス生成回路81は、図8に示したように、同期クリアー付きデータラッチ回路80(以下、「DL80」という。)で構成され、DL80のD入力(データ入力)には電源(“H”レベル)が接続され、DL80のCL入力(同期クリアー入力)にはPWMパルス生成回路81の第1の入力であるTP0が接続され、DL80のCK入力(ラッチクロック入力)にはPWMパルス生成回路81の第2の入力であるMP1が接続され、DL80の/Q出力(反転出力)はPWMパルス生成回路81の出力であるPWM80として出力されている。
【0090】
DL80は、TP0の立ち上がりで/Q出力がクリアー(“H”レベル)され、CKに入力されるMP1の立ち上がりで/Q出力がセット(“L”レベル)される。したがって、PWMパルス生成回路81からLPF80に出力されるPWM80は、TP0とMP1との間の位相差に応じて“H”レベルのパルス幅が一定期間ごとに順次変化するパルス信号である。PWM80のパルス幅の変化は、sw80によるTP1〜TPnの切り替えに対応して発生する。
【0091】
LPF80は、入力されたPWM80のバルス幅の変化に対応して電圧値が一定期間ごとに変化するDC電圧をDCL80として生成し、合否判定回路82に出力する。
【0092】
合否判定レベル発生回路83は、信号切り替え制御回路85からのsw81に基づいて、DCL80に対応した基準電圧r81およびr82を生成し、合否判定回路82に出力する。具体的には、例えば、実施例1の図1で示した抵抗アレイ13と、sw81に従って抵抗アレイ13のr1〜riを順次切り替えて出力する選択回路とで構成される。
【0093】
合否判定回路82は、入力されたDCL80の一定期間ごとのそれぞれでDCL80があらかじめ定められたスペックを満たす所定の電圧範囲にある場合に有効(“H”レベル)となるOUTを生成し出力する。すなわち、本実施例では、信号切り替え制御回路85によりTP1〜TPnを順次切り替えて、それぞれのTP0との位相差を合否判定して、それらの判定結果を保持し最後に全体の合否判定を行ってOUTを出力する。
【0094】
OUTは論理レベルの出力であるので、実施例1と同様に、TP1〜TPnのそれぞれのTP0に対する位相差が所望の範囲に収まっていることを容易に判定することができる。
【0095】
合否判定回路82は、図8に示したように、DCL80とr81およびr82とを比較して位相差を判定し位相差判定信号PH80を出力する位相差判定回路84、PH80を一定期間ごとにラッチして保持するn個のデータラッチ回路DL821〜DL82n、およびDL821〜DL82nの出力を判定しOUTを生成するn入力ANDゲート回路AND83を備えている。
【0096】
位相差判定回路84の第1の入力には合否判定回路82の第1の入力であるDCL80が入力され、位相差判定回路84の第2の入力には合否判定レベル発生回路83からのr81が入力され、位相差判定回路84の第3の入力には合否判定レベル発生回路83からのr82が入力され、位相差判定回路84の出力であるPH80はDL821〜DL82nのそれぞれのD入力に供給されている。
【0097】
DL821のCK入力には信号切り替え制御回路85からのC1が接続され、DL821のQ出力はTP1に対応するタップ位相判定信号PH81としてAND83の第1の入力に供給され、DL822のCK入力には信号切り替え制御回路85からのC2が接続され、DL822のQ出力はTP2に対応するタップ位相判定信号PH82としてAND83の第2の入力に供給され、同様に、DL82nのCK入力には信号切り替え制御回路85からのCnが接続され、DL82nのQ出力はTPnに対応するタップ位相判定信号PH8nとしてAND83の第nの入力に供給され、AND83の出力は合否判定回路82の出力OUTとして出力されている。
【0098】
位相差判定回路84は2つのコンパレータCP81、82および1つの2入力ANDゲート回路AND82で構成され、CP81の(+)入力には位相差判定回路84の第2の入力であるr81が接続され、CP81の(−)入力には位相差判定回路84の第1の入力であるDCL80が接続され、CP81の出力はAND82の第1の入力に接続され、CP82の(−)入力には位相差判定回路84の第3の入力であるr82が接続され、CP82の(+)入力には位相差判定回路84の第1の入力であるDCL80が接続され、CP82の出力はAND82の第2の入力に接続され、AND82の出力は位相差判定回路84の出力PH80に接続されている。
【0099】
位相差判定回路84は、sw80およびsw81によって一定期間ごとに変化するDCL80とr81およびr82とを逐次比較し、それぞれの期間ごとにDCL80が所定の電圧範囲に収まっているかを判定する。
【0100】
DL821〜DL82nは、信号切り替え制御回路85からのC1〜Cnに基づいて、一定期間ごとに位相差判定回路84で判定された結果PH80を逐次ラッチし保持する。C1〜Cnは、sw80およびsw81の切り替えタイミングに同期して順次有効となるラッチ信号である。
【0101】
例えば、sw80がMUX80でTP1を選択し、sw81がTP1のTP0に対する位相差のスペックに対応するr81およびr82を合否判定レベル発生回路83から出力させている場合に、信号切り替え制御回路85がC1を有効にして、DL821がTP1に対応するPH80をラッチしてPH81として出力する。
【0102】
次に、sw80がMUX80でTP2を選択し、sw81がTP2のTP0に対する位相差のスペックに対応するr81およびr82を合否判定レベル発生回路83から出力させている場合には、信号切り替え制御回路85はC1を無効にするとともにC2を有効にし、DL821は取り込んだTP1に対応するPH80を保持してPH81として出力し、DL822はTP2に対応するPH80をラッチしてPH82として出力する。
【0103】
同様に、sw80がMUX80でTPnを選択し、sw81がTPnのTP0に対する位相差のスペックに対応するr81およびr82を合否判定レベル発生回路83から出力させている場合には、信号切り替え制御回路85はC1〜Cn−1を無効にするとともにCnを有効にし、DL821〜DL82n−1は取り込んだTP1〜TPn−1に対応するPH80を保持してPH81〜PH8n−1として出力し、DL82nがTPnに対応するPH80をラッチしてPH8nとして出力する。
【0104】
AND83の出力OUTは、PH81〜PH8nがすべてOKの場合に“H”レベル(OK)となり、PH81〜PH8nのうち1つでもNGがある場合には“L”レベル(NG)となる。
【0105】
信号切り替え制御回路85は、外部から入力されるテスト制御信号TESTに基づいて、sw80、sw81、およびC1〜Cnを生成し、それぞれMUX80、合否判定レベル発生回路83、および合否判定回路82に出力する。
【0106】
本実施例では、PWMパルス生成回路81に同期クリアー付きデータラッチ回路(DL80)を使用しているので、動作の特性は実施例3の図7に示した特性図と同じになる。したがって、r81およびr82の電圧値の決定方法も実施例3と同様である。
【0107】
実施例3との違いは、信号切り替え制御回路85からの制御信号(sw80、sw81、およびC1〜Cn)に基づいてTP1〜TPnと基準となるTP0との位相差を逐次判定し、最後にそれらの判定結果(PH81〜PH8n)が全てOKである場合にOUTに“H”レベル(OK)を出力することである。
【0108】
本実施例では、PWMパルス生成回路81、LPF80、および位相差判定回路84が共用されるので、多相出力タップ付きVCO10のタップ数が多い場合に回路規模を抑えることができ、また、ローバスフィルターなどの回路特性のばらつきによる測定誤差を抑えることができる。さらに、本実施例では、信号経路がTP1〜TPnに対して共通になるので、信号スキューによる遅延誤差などを抑えることができる。
【0109】
上記実施例4によれば、実施例1と同様の効果を得られるばかりでなく、位相差判定の主要回路が共用されるので、タップ数(TP0〜TPn)が多い場合に回路規模を抑えることができ、さらに、回路特性のばらつきによる測定誤差や信号スキューによる遅延誤差などを抑えることができる。
【実施例5】
【0110】
図9は、本発明の実施例5に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、多相出力タップ付きVCO10に対して、実施例4と同様にタップ間の位相差を判定するVCO位相テスト回路にかかわる部分を示した。
また、特に記載のない限り、実施例4と同様の構成、機能を有する回路、信号には実施例4と同じ符号を用いた。
【0111】
本発明の実施例5に係るVCO位相テスト回路は、TP0〜TPnの中から1つを選択して基準となる選択クロック信号MP0として出力する選択回路96(以下、「CL用MUX96」という。)、TP0〜TPnの中から1つを選択して選択クロック信号MP1として順次出力する選択回路97(以下、「CK用MUX97」という。)、MP0およびMP1から位相差パルス信号PWM80を生成するPWMパルス生成回路81、PWM80からDCレベル信号DCL80を生成するローパスフィルターLPF80、多相出力タップ付きVCO10の出力タップ間の位相差が所定のスペックを満たしているかを示す合否判定結果信号OUTを出力する合否判定回路82、合否判定の基準となる基準電圧r81およびr82を生成する合否判定レベル発生回路83、および信号切り替え制御回路95を備えている。
【0112】
PWMパルス生成回路81、LPF80、合否判定回路82、および合否判定レベル発生回路83の回路構成、機能は実施例4と同様であるので、詳しい説明は省略する。実施例4との違いは、基準となるクロック信号をTP0〜TPnの中から任意に選択できるようにしたことである。
【0113】
CL用MUX96の第1の入力には信号切り替え制御回路95からの選択信号sw800が入力され、CL用MUX96の第2の入力にはTP0が入力され、CL用MUX96の第3の入力にはTP1が入力され、CL用MUX96の第4の入力にはTP2が入力され、同様に、CL用MUX96の第(n+2)の入力にはTPnが入力され、CL用MUX96の出力はMP0としてPWMパルス生成回路81に供給されている。
【0114】
CK用MUX97の第1の入力には信号切り替え制御回路95からの選択信号sw801が入力され、CK用MUX97の第2の入力にはTP0が入力され、CK用MUX97の第3の入力にはTP1が入力され、CK用MUX97の第4の入力にはTP2が入力され、同様に、CK用MUX97の第(n+2)の入力にはTPnが入力され、CK用MUX97の出力はMP1としてPWMパルス生成回路81に供給されている。
【0115】
PWMパルス生成回路81の第1の入力にはMP0が入力され、PWMパルス生成回路81の第2の入力にはMP1が入力され、PWMパルス生成回路81の出力はPWM80としてLPF80の入力に供給されている。
【0116】
LPF80の出力はDCL80として合否判定回路82の第1の入力に供給され、合否判定レベル発生回路83の入力には信号切り替え制御回路95からの基準電圧切り替え信号sw81が入力され、合否判定レベル発生回路83の出力はr81およびr82として合否判定回路82の第2の入力に供給され、合否判定回路82の第3の入力には信号切り替え制御回路95からの位相差判定ラッチ信号C1〜Cnが入力されている。
【0117】
CL用MUX96は、信号切り替え制御回路95からのsw800に基づいて、TP0〜TPnの中から1つを選択し、MP0として出力する。
【0118】
CK用MUX97は、信号切り替え制御回路95からのsw801に基づいて、一定期間ごとにTP0〜TPnの中から1つを順次選択し、MP1として出力する。
【0119】
PWMパルス生成回路81は、実施例4と同様に、MP0の立ち上がりでPWM80が“H”レベルになり、MP1の立ち上がりでPWM80が“L”レベルになるよう動作する。したがって、PWM80は、MP0とMP1との間の位相差に応じて“H”レベルのパルス幅が一定期間ごとに順次変化するパルス信号である。PWM80のパルス幅の変化は、sw800およびsw801によるTP0〜TPnの切り替えに対応して発生する。
【0120】
信号切り替え制御回路95は、外部から入力されるテスト制御信号TESTに基づいて、sw800、sw801、sw81、およびC1〜Cnを生成し、それぞれCL用MUX96、CK用MUX97、合否判定レベル発生回路83、および合否判定回路82に出力する。
【0121】
本実施例では、実施例4と同様に、動作の特性は実施例3の図7に示した特性図と同じになる。実施例4との違いは、信号切り替え制御回路95からのsw800に基づいて、位相差比較の基準となるMP0をTP0〜TPnの中から選択できることである。
【0122】
したがって、本実施例では、多相出力タップ付きVCO10の任意のタップ間での位相差をテストすることができ、これによりいろいろな側面からの解析が可能で、不具合発生時などの不良解析において内部テスト回路だけである程度の解析が行えるメリットがある。
【0123】
上記実施例5によれば、実施例4と同様の効果を得られるばかりでなく、位相比較の基準となるMP0をTP0〜TPnの中から任意に選択できるので、不良解析などを効率よく行うことができ、半導体チップの評価時間および評価コストを抑制することができる。
【実施例6】
【0124】
図10は、本発明の実施例6に係るVCO位相テスト回路を示す回路ブロック図である。ここでは、一例として、多相出力タップ付きVCO10に対して、実施例5と同様にタップ間の位相差を判定するVCO位相テスト回路にかかわる部分を示した。
また、特に記載のない限り、実施例4または実施例5と同様の構成、機能を有する回路、信号には実施例4、実施例5と同じ符号を用いた。
【0125】
本発明の実施例6に係るVCO位相テスト回路は、TP0〜TPnの中から1つを選択して出力するCL用MUX96、CL用MUX96からの信号を遅延させて基準となる選択クロック信号MP0として出力する可変遅延回路16(以下、「DLY16」という。)、TP0〜TPnの中から1つを選択して出力するCK用MUX97、CK用MUX97からの信号を遅延させて選択クロック信号MP1として出力する可変遅延回路17(以下、「DLY17」という。)、MP0およびMP1から位相差パルス信号PWM80を生成するPWMパルス生成回路81、PWM80からDCレベル信号DCL80を生成するローパスフィルターLPF80、DCL80と比較する基準電圧r81およびr82を生成する合否判定レベル発生回路83、DCL80とr81、r82を比較し位相差判定信号PH80を生成する位相差判定回路84、MP0とMP1との位相順を判定して位相順判定信号PH100を生成する位相順判定回路106、PH80またはPH100を選択して出力する選択回路20(以下、「MUX20」という。)、MUX20からの信号を判定して多相出力タップ付きVCO10の出力タップ間の位相差が所定のスペックを満たしているかを示す合否判定結果信号OUTを出力する合否判定回路102、および信号切り替え制御回路105を備えている。
【0126】
PWMパルス生成回路81、LPF80、位相差判定回路84、および合否判定レベル発生回路83の回路構成、機能は実施例4と同様であるので、詳しい説明は省略する。また、CL用MUX96、およびCK用MUX97の回路構成、機能は実施例5と同様であるので、詳しい説明は省略する。実施例4、実施例5との違いは、新たに位相順判定回路106を設け、TP0〜TPnの位相間の順序も判定できるようにしたことである。
【0127】
CL用MUX96の第1の入力には信号切り替え制御回路105からの選択信号sw10が入力され、CL用MUX96の第2の入力にはTP0が入力され、CL用MUX96の第3の入力にはTP1が入力され、CL用MUX96の第4の入力にはTP2が入力され、同様に、CL用MUX96の第(n+2)の入力にはTPnが入力されている。
【0128】
CL用MUX96の出力はDLY16の第1の入力に供給され、DLY16の第2の入力には信号切り替え制御回路105からのDLY制御信号sw12が入力され、DLY16の出力はMP0としてPWMパルス生成回路81および位相順判定回路106に供給されている。
【0129】
CK用MUX97の第1の入力には信号切り替え制御回路105からの選択信号sw11が入力され、CK用MUX97の第2の入力にはTP0が入力され、CK用MUX97の第3の入力にはTP1が入力され、CK用MUX97の第4の入力にはTP2が入力され、同様に、CK用MUX97の第(n+2)の入力にはTPnが入力されている。
【0130】
CK用MUX97の出力はDLY17の第1の入力に供給され、DLY17の第2の入力には信号切り替え制御回路105からのDLY制御信号sw13が入力され、DLY17の出力はMP1としてPWMパルス生成回路81および位相順判定回路106に供給されている。
【0131】
PWMパルス生成回路81の第1の入力にはMP0が入力され、PWMパルス生成回路81の第2の入力にはMP1が入力され、PWMパルス生成回路81の出力はPWM80としてLPF80の入力に供給されている。
【0132】
LPF80の出力はDCL80として位相差判定回路84の第1の入力に供給され、位相差判定回路84の第2の入力には合否判定レベル発生回路83からのr81およびr82が入力され、合否判定レベル発生回路83の入力には信号切り替え制御回路105からの基準電圧切り替え信号sw81が入力され、位相差判定回路84の出力はPH80としてMUX20の第1の入力に供給されている。
【0133】
位相順判定回路106の第1の入力にはDLY16からのMP0が入力され、位相順判定回路106の第2の入力にはDLY17からのMP1が入力され、位相順判定回路の出力はPH100としてMUX20の第2の入力に供給されている。
【0134】
MUX20の第3の入力には信号切り替え制御回路105からのPH選択信号sw20が入力され、MUX20の出力は合否判定回路102の第1の入力に供給され、合否判定回路102の第2の入力には信号切り替え制御回路105からの位相差判定ラッチ信号C1〜Cnが入力されている。
【0135】
CL用MUX96は、信号切り替え制御回路105からのsw10に基づいて、TP0〜TPnの中から1つを選択し、DLY16に出力する。
【0136】
DLY16は、信号切り替え制御回路105からのsw12に基づいて、CL用MUX96の出力に遅延をかけてMP0として出力する。
【0137】
CK用MUX97は、信号切り替え制御回路105からのsw11に基づいて、TP0〜TPnの中から1つを選択し、DLY17に出力する。
【0138】
DLY17は、信号切り替え制御回路105からのsw13に基づいて、CK用MUX97の出力に遅延をかけてMP1として出力する。
【0139】
PWMパルス生成回路81は、実施例4と同様に、MP0の立ち上がりでPWM80が“H”レベルになり、MP1の立ち上がりでPWM80が“L”レベルになるよう動作する。したがって、PWM80は、MP0とMP1との間の位相差に応じて“H”レベルのパルス幅が一定期間ごとに順次変化するパルス信号である。PWM80のパルス幅の変化は、sw10およびsw11によるTP0〜TPnの切り替えに対応して発生する。
【0140】
位相順判定回路106は、図10に示したように、2個の同期クリアー付きデータラッチ回路DL102およびDL103、3個の2入力NANDゲート回路NAND101〜103、および2個のインバータ回路INV101および102で構成されている。
【0141】
DL102のD入力は電源(“H”レベル)に固定され、DL102のCK入力には位相順判定回路106の第1の入力であるMP0が接続され、DL102のQ出力はINV101の入力およびNAND101の第1の入力に接続され、DL103のD入力は電源(“H”レベル)に固定され、DL103のCK入力には位相順判定回路106の第2の入力であるMP1が接続され、DL103のQ出力はINV102の入力およびNAND101の第2の入力に接続され、NAND101の出力はDL102のCL入力およびDL103のCL入力に接続されている。
【0142】
INV101の出力はNAND102の第1の入力に接続され、INV102の出力はNAND103の第1の入力に接続され、NAND102の出力はNAND103の第2の入力に接続され、NAND103の出力はNAND102の第2の入力および位相順判定回路106の出力であるPH100に接続されている。
【0143】
位相順判定回路106はMP0およびMP1の位相順を識別できる回路であり、MP0およびMP1はDLY16およびDLY17で遅延量を調整できるので、これらの遅延量を調整しながらMP0とMP1との位相順を判定することで、多相出力タップ付きVCO10の任意のタップ間の位相差をある程度簡易判定することができる。
【0144】
MUX20は、信号切り替え制御回路105からのsw20に基づいて、PH80またはPH100を選択して合否判定回路105に出力する。
【0145】
合否判定回路102は、図10に示したように、MUX20の出力をラッチして保持するn個のデータラッチ回路DL121〜DL12n、およびDL121〜DL12nの出力を判定しOUTを生成するn入力ANDゲート回路AND103を備えている。
【0146】
DL121〜DL12nのそれぞれのD入力にはMUX20からの出力が接続され、DL121のCK入力には信号切り替え制御回路105からのC1が接続され、DL121のQ出力はタップ位相判定信号PH101としてAND103の第1の入力に供給され、DL122のCK入力には信号切り替え制御回路105からのC2が接続され、DL122のQ出力はタップ位相判定信号PH102としてAND103の第2の入力に供給され、同様に、DL12nのCK入力には信号切り替え制御回路105からのCnが接続され、DL12nのQ出力はタップ位相判定信号PH10nとしてAND103の第nの入力に供給され、AND103の出力は合否判定回路102の出力OUTとして出力されている。
【0147】
DL121〜DL12nは、信号切り替え制御回路105からのC1〜Cnに基づいて、位相差判定回路84で判定された結果PH80、または位相順判定回路106で判定された結果PH100を逐次ラッチし保持する。C1〜Cnは、sw10、sw11、およびsw81の切り替えタイミングに同期して順次有効となるラッチ信号である。
【0148】
AND103の出力OUTは、PH101〜PH10nがすべてOKの場合に“H”レベル(OK)となり、PH101〜PH10nのうち1つでもNGがある場合には“L”レベル(NG)となる。
【0149】
信号切り替え制御回路105は、外部から入力されるテスト制御信号TESTに基づいて、sw10〜sw13、sw20、sw81、およびC1〜Cnを生成し、それぞれCL用MUX96、CK用MUX97、DLY16、DLY17、MUX20、合否判定レベル発生回路83、および合否判定回路102に出力する。
【0150】
本実施例では、TP0〜TPnの遅延量を調整できる可変遅延回路DLY16およびDLY17と位相順を識別できる位相順判定回路106とが設けられ、遅延量を調整してある程度の位相差を簡易判定できるになっている。
【0151】
上記実施例6によれば、実施例4および実施例5と同様の効果を得られるばかりでなく、TP0〜TPnに任意の遅延量を付加してMP0およびMP1を生成し、MP0とMP1の位相順を判定するので、より簡便な回路構成で不良解析などを効率よく行うことができ、半導体チップの評価時間および評価コストを抑制することができる。
【0152】
上述の実施例4〜実施例6の説明では、PWMパルス生成回路81は同期クリアー付きデータラッチ回路DL80で構成されるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、実施例3と同様に、例えば、同期プリセット付きデータラッチ回路を用いて構成することもできる。また、例えば、実施例1および実施例2に示した論理ゲート回路を用いて構成することもできる。
【符号の説明】
【0153】
10 多相出力タップ付きVCO
11、31、61、81 PWMパルス生成回路
12、32、62、82、102 合否判定回路
13 抵抗アレイ
141〜14n、84 位相差判定回路
r0〜ri、r81、r82 基準電圧
DCL1〜DCLn、DCL80 DCレベル信号
LPF1〜LPFn、LPF80 ローパスフィルター
OUT 合否判定結果信号
PH1〜PHn、PH80 位相差判定信号
PWM1〜PWMn、PWM80 位相差パルス信号
TP0〜TPn 出力クロック信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準となる第1のクロック信号が第1の入力に接続され、前記第1のクロック信号と周期が同じで位相が異なる第2のクロック信号が第2の入力に接続され、前記第1の入力と前記第2の入力との間の位相差に対応するパルス幅を持ち前記第1のクロック信号と周期が同じパルス信号を生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段からの前記パルス信号が入力され、前記パルス信号の前記パルス幅に対応した電圧のDC電圧を生成するローパスフィルターと、
前記ローパスフィルターからの前記DC電圧が所定の電圧範囲にある場合に有効となる判定結果信号を生成する合否判定手段を有することを特徴とするVCO位相テスト回路。
【請求項2】
基準となる第1のクロック信号と周期が同じで前記第1のクロック信号と位相が異なる複数のクロック信号が入力され、入力される選択切り替え信号に基づいて前記複数のクロック信号のうち1つを順次選択して第2のクロック信号として出力する選択手段と、
前記第1のクロック信号が第1の入力に接続され、前記選択手段からの前記第2のクロック信号が第2の入力に接続され、前記第1の入力と前記第2の入力との間の位相差に対応するパルス幅を持ち前記第1のクロック信号と周期が同じパルス信号を生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段からの前記パルス信号が入力され、前記パルス信号の前記パルス幅に対応して順次電圧レベルが変化するDC電圧を生成するローパスフィルターと、
前記選択切り替え信号に対応して異なる電圧レベルの基準電圧を順次生成する判定レベル発生手段と、
前記ローパスフィルターからの前記DC電圧と前記判定レベル発生手段からの前記基準電圧とを前記選択切り替え信号に対応して逐次比較し、前記比較の結果が前記複数のクロック信号に対してすべて所定の電圧範囲にある場合に判定結果信号を出力する合否判定手段を有することを特徴とするVCO位相テスト回路。
【請求項3】
前記パルス生成手段は、前記第1のクロック信号が第1の入力に接続され、前記第2のクロック信号が第2の入力に接続された論理ゲート回路であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のVCO位相テスト回路。
【請求項4】
前記パルス生成手段は、前記第1のクロック信号がクリアー(CL)入力に接続され、前記第2のクロック信号がクロック(CK)入力に接続され、データ(D)入力が電源に接続された同期クリアー付きラッチ回路であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のVCO位相テスト回路。
【請求項5】
周期が同じで位相の異なる複数のクロック信号が入力され、入力される第1の選択切り替え信号に基づいて前記複数のクロック信号のうち1つを選択して第1のクロック信号として出力する第1の選択手段と、
入力される第1の遅延切り替え信号に基づいて前記第1の選択手段からの前記第1のクロック信号を所定の時間遅延させて第1の遅延クロック信号として出力する第1の可変遅延手段と、
前記複数のクロック信号が入力され、入力される第2の選択切り替え信号に基づいて前記複数のクロックのうち前記第1のクロック信号とは異なる1つを選択して第2のクロック信号として出力する第2の選択手段と、
入力される第2の遅延切り替え信号に基づいて前記第2の選択手段からの前記第2のクロック信号を所定の時間遅延させて第2の遅延クロック信号として出力する第2の可変遅延手段と、
前記第1の遅延クロック信号および前記第2の遅延クロック信号が入力され、前記第1の遅延クロック信号と前記第2の遅延クロック信号との位相の順序を判定する位相順判定手段と、
前記位相順判定手段の判定結果が所定の順序である場合に有効となる判定結果信号を出力する合否判定手段を有することを特徴とするVCO位相テスト回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−192986(P2010−192986A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32811(P2009−32811)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】