説明

VEGFR3阻害剤としての大環状キナゾリン誘導体

本発明は、VEGFR3が媒介する生物学的活性、特にVEGFR3リガンドVEGF−C及び/又はVEGF−Dにより媒介される活性の阻害剤としての、PCT公開公報である国際公開第2004/105765号パンフレットに記載されている大環状キナゾリン誘導体のいくつかの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、PCT公開公報である特許文献1に記載されている大環状キナゾリン誘導体のいくつかが、VEGFR3が媒介する生物学的活性、特にVEGFR3リガンドVEGF−C及び/又はVEGF−Dにより媒介される活性の阻害剤として有用であるという発見に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ガンは、21世紀の初めにおいてまだ世界中で死亡の主な原因であり、進行中の研究及び開発に関する主な焦点であり続けている。
【0003】
近年、ガンの治療的介在のための有望な方法は抗脈管形成治療に集中してきた。ガン進行に介在するこの方法は、腫瘍への血液供給を妨げるか又はそうでなければ制限することが腫瘍に酸素及び栄養を枯渇させ、腫瘍細胞成長及び増殖を阻止するであろうという考えを利用する。この方法は有効であることが見出され、現在、第I、II又はIII相臨床試験における評価の種々の段階を経ている20種を越える抗−脈管形成薬及び前臨床的開発中の多数の他のものがある。
【0004】
多様な性質を示す多種の形態のガンがあるが、多くのガンが共有する1つの因子は、それらは、致死であるために転移しなければならないことうことである。転移が起こるような時点まで、腫瘍は悪性であり得るが、それは体の1つの領域に閉じ込められている。転移前にそれを捜し出すことができれば、外科手術の介在によりガンを処置するか又は除去さえすることができるが、それでもこれは不快及び/又は痛みを引き起こし得るか、あるいはもっと重大な問題さえ生じ得る。残るガン細胞を抑制する限り、そのような孤立したガンを有意な問題なく制御することができる。しかしながら、転移はガン細胞を体に侵入させ、外科手術的切除は原発性腫瘍を除去することができるが、異なる部位へのガンの転移的拡大は非常に処置し難い。
【0005】
リンパ管を介する局部的リンパ節への転移は、ガンの進行における共通の段階である。転移は、多くの型のガンにおいて重要な予後因子であり、局部的リンパ節の外科手術的及び放射線処置に関する基礎を形成する。腫瘍転移の過程は、局部的侵入及び細胞間マトリックスの破壊、血管中への異物侵入、リンパ管又は他の通路の輸送、循環中の生存、第2の部位における管からの遊出及び新しい場所における成長を含む多段階的出来事である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4)。転移的沈着(metastatic deposits)の確立に成功するには、腫瘍細胞がこれらの段階を連続的に達成できることが必要である。
【0006】
近年、いくつかの系列の証拠が、リンパ管の形成であるリンパ管形成がリンパ管転移を促進することを示した(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。リンパ管形成の抑制は、ガン治療においてリンパ節転移を予防するための新規な戦略を与えることができる。
【0007】
最近の研究は、脈管内皮成長因子(VEGF)群のメンバーであるVEGF−Cが、その受容体であるVEGFR3に結合すると、リンパ管形成ならびにリンパ管内皮細胞成長及び移動を刺激することを示した(非特許文献8)。VEGF−Cは、胃ガン、前立腺ガン、ヒト結直腸ガン、侵襲性頸ガン、乳ガン転移及びヒト黒色腫転移のような多数の充実
性ガンにおいて、腫瘍−関連リンパ管形成の誘導を介してリンパ管−媒介転移を促進することも示された。これらを支持するものの中に、ガン細胞におけるVEGF−C過剰発現が腫瘍−関連リンパ管形成を有意に増加させ、局部的リンパ節への転移を増強することを示す前臨床的データがある(非特許文献9)。さらに、VEGF−C/D−媒介シグナリングの遮断が、マウスにおける腫瘍リンパ管形成及びリンパ節転移を抑制することが示された(非特許文献10)。
【0008】
貫膜チロシンキナーゼ受容体であるVEGFR3は、初期胚形成の間に内皮細胞中で広範囲に発現される(非特許文献11)。発達の後期の段階の間に、VEGFR−3の発現は発達中のリンパ管に限られるようになる[非特許文献12]。成人では、リンパ管内皮及びいくつかの高内皮性小静脈がVEGFR−3を発現し、転移性リンパ節及びリンパ管腫中のリンパ洞において発現の増加が起こる。VEGFR−3はCD34+造血細胞のサブセットにおいても発現され、それは過剰発現研究により示されるVEGF−Cの骨髄造血活性を媒介し得る。マウス胚におけるVEGFR−3遺伝子の標的化された崩壊は、一次脈管網の改造(remodeling)の失敗及び胚日(embryonic day)9.5の後の死に導く[非特許文献13]。これらの研究は、胚脈管構造の発達における、及び又リンパ管形成の間のVEGFR−3に関する本質的な役割を示唆している。
【0009】
前記から、VEGFR3の阻害剤が治療薬として非常に大きな可能性を有し、この型の新規な薬剤が、多様な腫瘍形成性障害又は細胞増殖性障害の成長及び/又は拡大を妨げるための技術分野において継続的に必要であることが明らかであろう。VEGFR3に結合するリガンドの阻害を含むVEGFR3活性の阻害は、VEGFR−3を発現する内皮細胞の増殖により特徴付けられる疾患を有すると診断された哺乳類患者の処置において有用である。例えば多くの腫瘍は血管又はリンパ管の新生脈管形成を特徴とし、ここで新生脈管形成はVEGFR−3を発現する内皮細胞を含む。いくつかのガンにおいて、ガン細胞自身がVEGFR3を発現し、標的細胞に相当する。他のガン、おそらく重複する組のガンにおいて、ガン細胞は、VEGF−C及びVEGF−Dから選ばれるVEGFR−3リガンドを発現する。リガンドは内皮細胞の補充及びそれらの成長の刺激に含まれ、それによりガンの栄養供給(nourishment)及び/又は拡大を助長すると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2004/105765号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Idler,et al.著,Adv.Cancer Res.28,1978年,149−250
【非特許文献2】Liotta,et al.著,Cancer Treatment Res.40,1988年,223−238
【非特許文献3】Nicolson著,Biochim.Biophy.Acta 948,1988年,175−224
【非特許文献4】Zetter,N.著,Eng.J.Med.322,1990年,605−612
【非特許文献5】Stacker et al.著,Nature Med.7(2),2001年,186−191
【非特許文献6】Skobe et al.著,Nature Med.7(2),2001年,192−8
【非特許文献7】Makinen et al.著,Nature Med.7(2),2001年,199−205
【非特許文献8】Karkkainen MJ,et al.著,Semin Cell Dev Biol.13:2002年,9−18
【非特許文献9】Stacker SA.,et al.著,FASEB J 16:2002年,922−34
【非特許文献10】He Y.,et al.著,J Natl Cancer Inst.94:2002年,819−25
【非特許文献11】Pajusola K.,et al.著,Cancer Res.53(16):1992年,3845
【非特許文献12】Kaipainen,A.,et al.著,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:1995年,3566−3570
【非特許文献13】Dumont et al.著,Science,282:1998年,946−949
【発明の概要】
【0012】
発明の概略
本発明は一部において、引用することによりその開示全体が本明細書の内容となる国際公開第2004/105765号パンフレットに記載されているある種の化合物を用いて、VEGFR3が媒介する生物学的活性を処置するか又は予防する方法を目的とする。
【0013】
関連する態様において、本発明は、ガンを有すると思われる哺乳類患者に本発明の化合物を、ガンの転移的拡大を妨げるのに有効な量で投与することを含んでなる、哺乳類患者におけるガンの転移的拡大を妨げる方法;ならびにガンを有すると診断される哺乳類患者に本発明の化合物を含んでなる組成物を、ガンの成長又は腫瘍形成性拡大を減じるのに有効な量で投与することを含んでなる、ガンの処置方法を提供する。ガン成長又は拡大の速度における低下(生命及び生命の質を延長することができる)が処置の成功の指標であることは、認識されるであろう。好ましい態様において、ガン成長は完全に停止する。さらにもっと好ましい態様において、ガンは収縮するか又は全体的に根絶される。処置のための好ましい患者は人間の患者であるが、他の動物、特にネズミ、ラット、イヌ、ウシ、ブタ、霊長類及びガン処置のための他のモデルシステムが意図されている。
【0014】
VEGFR−3を発現するいくつかのガンにおいて、ガン成長の直接の阻害又はガンを消滅させることは、機構であり得る。VEGFR−3を発現するすべてのガン及び成長する腫瘍中及びその回りにおける脈管形成又はリンパ管形成により特徴付けられるすべてのガンの処置が包含される。例えば脳、肺、肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節、小腸、血球、膵臓、結腸、胃、乳房、子宮内膜、前立腺、睾丸、卵巣、皮膚、頭頸部、食道、骨髄及び血液より成る群から選ばれる組織、器官又は細胞のガンの処置が包含される。本発明の特定の態様において、乳房、肺、前立腺及び結腸より成る群から選ばれる組織、器官又は細胞
のガンの処置が包含される。
【0015】
前記の処置法の1つの変形において、化合物を第2のガン治療薬と共に投与する。第2の薬剤はいずれかの化学療法薬、放射性薬剤、放射線、ガン治療薬をコードする核酸、抗体、タンパク質及び/又は他の抗−リンパ管形成剤もしくは抗−脈管形成剤であることができる。第2の薬剤を本発明の化合物の前、後又はそれと同時に投与することができる。
【0016】
1つの変形において、処置されるべき患者は手術可能な腫瘍を有すると診断され、投与段階は、腫瘍が患者から切除される前、その間又はその後に行なわれる。腫瘍切除と一緒の化合物処置は、切除され損なったガン細胞からの腫瘍の再成長を減少させるか又は取り除くことを目的とする。
【0017】
もっと一般的に記載すると、本発明は、必要のある人に本発明の化合物を投与する段階を含んでなる、VEGFR−3に結合する自然のリガンドへのVEGFR−3結合により特徴付けられる病理学の処置方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】VEGF−C誘導VEGFR3活性への4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(化合物2)の効果。上の枠は、ニトロセルロース膜に転移され、ホスホ−チロシン抗体で染色されたVEGFR−3免疫沈降の結果を与える。下の枠は、ニトロセルロース膜に転移され、VEGFR−3抗体で染色されたVEGFR−3免疫沈降の結果を与える。左の列1及び2は、負及び正の標準、すなわちVEGF−Cの不在及び存在下におけるDMSO処置を与える。
【図2】5uMの化合物2の存在下での、HMVECd細胞におけるErk1/2リン酸化のVEGF及びVEGF−C刺激。上の列は、一次抗体としてThr202/Tyr204マウスモノクローナル抗体、及び二次抗体としてIRDye 800nmに複合させたヤギ抗−マウスを用いるリン酸化Erk 1/2(P−Erk 1/2)の染色を与える。下の列は、一次抗体としてErk 1/2特異的ウサギポリクローナル抗体及び二次抗体としてAlexa 680nmに複合させたヤギ抗−ウサギを用いる全Erk 1/2の染色を与える。左のパネルは、HMVECd細胞におけるErk−1/2のVEGF誘導リン酸化に関する結果を与える。右のパネルは、HMVECd細胞におけるErk 1/2のVEGF−C誘導リン酸化に関する結果を与える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な記述
国際公開第2004/105765号パンフレットは、多重標的キナーゼ阻害剤(multi targeted kinase inhibitors)としての式(I)のある種類の大環状キナゾリン誘導体の製造、調製及び製薬学的性質を記載している。
【0020】
【化1】

【0021】
今回、前記の種類の範囲内の化合物の特定の群がVEGFR3阻害活性を有し、それはVEGFR3が媒介する生物学的活性の処置又は予防において、特に哺乳類患者におけるガンの転移的拡大の処置又は予防のためにそれらを有用なものとすることが見出された。
【0022】
従って、1つの側面において、本発明は、例えば哺乳類患者におけるガンの転移的拡大の処置又は予防におけるような、VEGFR3が媒介する生物学的活性の処置又は予防のための薬剤の製造における;
ZがNHを示し;
Yが−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR13−C1−5アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−、−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−又は−Het22−CH−CO−NH−C1−3アルキル−を示し;XがO又は−O−C1−2アルキル−を示し;
が直接結合、−C1−2アルキル−、O、−O−C1−2アルキル−、NR12又はNR12−C1−2アルキル−を示し;
が水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシ、好ましくはハロを示し;
が水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシを示し;
が水素を示し;
がC1−4アルキルオキシ−を示し;
12が水素又はC1−4アルキル−を示し;
13が水素又はC1−4アルキルを示し;
14が水素又はC1−4アルキルを示し;
Het20がピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示し;そして
Het22がピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示す
式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩及び立体化学的異性体の使用を提供する。
【0023】
本発明のさらに別の側面は、式I
【0024】
【化2】

【0025】
[式中;
ZはNHを示し;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR13−C1−5アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−、−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−又は−Het22−CH−CO−NH−C1−3アルキル−を示し;XはO又は−O−C1−2アルキル−を示し;
は直接結合、−C1−2アルキル−、O、−O−C1−2アルキル−、NR12又はNR12−C1−2アルキル−を示し;
は水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシ、好ましくはハロを示し;
は水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシを示し;
は水素を示し;
はC1−4アルキルオキシ−を示し;
12は水素又はC1−4アルキル−を示し;
13は水素又はC1−4アルキルを示し;
14は水素又はC1−4アルキルを示し;
Het20はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示し;
Het22はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示す]
の化合物ならびにその製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩及び立体化学的異性体の治療的に有効な量を、処置の必要な哺乳類患者に投与することを含んでなる、例えば哺乳類患者におけるガンの転移的拡大の処置又は予防におけるような、VEGFR3が媒介する生物学的活性の処置又は予防のための方法を目的とする。
【0026】
さらに、VEGFR3が媒介する生物学的活性には以下が含まれるものとする;
−哺乳類患者におけるガンの転移的拡大。処置のために好ましい患者は人間の患者であるが、他の動物、特にネズミ、ラット、イヌ、ウシ、ブタ、霊長類及びガン処置のための他のモデルシステムが意図されている。
−リンパ管を介する局部的リンパ節への転移。従って本発明は(it)、リンパ節転移の処置又は予防における本発明に従う化合物の使用を提供する。
−ガンにおける、例えば胃ガン、前立腺ガン、ヒト結直腸ガン、侵襲性頸ガン、乳ガン、カポジ肉腫及び黒色腫における腫瘍−関連リンパ管形成。従って本発明は、ガンにおける、例えば胃ガン、前立腺ガン、ヒト結直腸ガン、侵襲性頸ガン、乳ガン、カポジ肉腫及び黒色腫における腫瘍−関連リンパ管形成の処置又は予防における本発明に従う化合物の使用を提供する。
−VEGF−C又はVEGF−Dから選ばれるVEGFR3リガンドを発現するガン細胞の新生脈管形成における、VEGFR3を発現する内皮細胞の補充及び増殖。従って本発明は、成長する腫瘍中及びその回りにおける脈管形成又はリンパ管形成を特徴とするガンの処置における本発明に従う化合物の使用を提供する。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、乳房、肺(小細胞及び非−小細胞肺ガンの両方の処置を含む)、直腸及び前立腺より成る群から選ばれる組織、器官又は細胞のガンの処置用の製薬学的組成物の調製のための前記の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0028】
本発明は、哺乳類に前記の式(I)の化合物の治療的に有効な量を投与する段階を含んでなる、該哺乳類における乳ガン、肺ガン、結腸ガン及び/又は前立腺ガンの処置方法にも関する。
【0029】
さらに別の態様において、本発明は、進行した乳ガンの処置用の製薬学的組成物の調製のための前記の式(I)の化合物の使用を提供する。「進行した乳ガン」という用語は本明細書で、以前の処置に反応しなかったか、あるいはそのような処置の後に再発した乳ガンならびに又、診断時に転移性疾患を呈する患者における乳ガンを指すために用いられる。
【0030】
本発明は、哺乳類に前記の式(I)の化合物の治療的に有効な量を投与する段階を含んでなる、哺乳類、特に婦人における進行した乳ガンの処置方法にも関する。
【0031】
特に、本発明は、以下の制限の1つもしくはそれより多くが適用される式(I)の化合物の使用に関する;
ZはNHを示す;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−又は−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−を示す;
はOを示す;
は−C1−2アルキル−、O又はNR12−C1−2アルキル−を示す;
は水素又はハロを示す;特にRは水素又はクロロを示す;さらに特定的にRは水素を示す;
は水素又はハロを示す;特にRは水素、クロロ又はブロモを示す;さらに特定的にRはクロロ又はブロモを示す;
は水素を示す;
はC1−4アルコキシを示す;特にRはメトキシを示す;
12はC1−4アルキル−を示す;特にR12はメチルを示す;
14は水素又はC1−4アルキルを示す;特にR14は水素又はメチルを示す;さらに特定的にR14は水素を示す;
Het20はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示す;特にHet20はピペリジニルを示す。
【0032】
上記の式(I)中で示される番号付けを用いて、Rが3’位にあり、Rが5’位にあり、Rが7位にあり、そしてXが2’位にある式(I)の化合物も、前記の使用において興味深い。
【0033】
最も好ましい化合物は;
4,6−エタンジイリデン−19H−ピリミド[4,5−b][6,13,1]ベンゾジオキサアザシクロ−ペンタデシン,15−クロロ−8,9,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−20−メトキシ−;
12H−4,6−エタンジイリデン−13,17−メタノピリミド[4,5−b][6,1,10,16]ベンズオキサトリアザシクロノナデシン−12−オン,21−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,16,18,23−デカヒドロ−25−メトキシ−;
4,6−エタンジイリデン−12H−ピリミド[4,5−b][6,1,10,13]ベ
ンズオキサトリアザシクロヘキサデシン−12−オン,18−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,20−オクタヒドロ−21−メトキシ−13,14−ジメチル−;及び
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−
又はそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩より成る群から選ばれる化合物である。後者の化合物は特に好ましい。
【0034】
本発明に従って用いるのに最も好ましい化合物は、以下の構造:
【0035】
【化3】

【0036】
を有する化合物;あるいはその製薬学的に許容され得る酸付加塩より成る群から選ばれるものである。
【0037】
以下の化合物:
【0038】
【化4】

【0039】
又はその製薬学的に許容され得る酸付加塩は特に好ましい。
【0040】
前記の定義及び下記において用いられる場合、
−ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称であり;
−C1−2アルキルはメチル又はエチルを定義し;
−C1−3アルキルは、1〜3個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピルなどを定義し;
−C1−4アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメルエチルなどを定義し;
−C1−5アルキルは、1〜5個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメルエチルなどを定義し;
−C3−9アルキルは、3〜9個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを定義し;
−C1−4アルキルオキシは、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどのような直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−「CO」という用語は、カルボニル基を指す。
【0041】
上記で言及した製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性の酸及び無毒性の塩基付加塩の形態を含むものとする。適した酸を用いる該塩基の形態の処理により、塩基性を有する式(I)の化合物をそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩に転換することができる。適した酸は例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸などの酸;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの酸を含む。
【0042】
適した有機及び無機塩基を用いる酸の形態の処理により、酸性を有する式(I)の化合物をそれらの製薬学的に許容され得る塩基付加塩に転換することができる。適した塩基塩の形態は、例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含む。
【0043】
酸もしくは塩基付加塩という用語は、式(I)の化合物が形成することができる水和物及び溶媒付加形態も含む。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0044】
前記で用いられた式(I)の化合物の立体化学的異性体という用語は、同じ結合の順列により結合する同じ原子で構成されているが、式(I)の化合物が有することができる互換不可能な異なる三−次元構造を有するすべての可能な化合物を定義する。他にことわるか又は指示しなければ、化合物の化学的名称は、該化合物が有することができるすべての可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。該混合物は該化合物の基本的分子構造のすべてのジアステレオマー及び/又はエナンチオマーを含有することができる。純粋な形態又は互いとの混合物の両方における式(I)の化合物のすべての立体化学的異性体が本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0045】
式(I)の化合物のいくつかは、それらの互変異性体においても存在し得る。そのような形態は、上記の式において明白に示されてはいないが、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0046】
下記で用いられる場合は常に、「式(I)の化合物」又は「本発明に従う化合物」という用語は、製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩及びすべての立体異性体も含むものとする。
【0047】
当該技術分野において既知の方法により、そして特に本明細書で言及され且つ引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる公開特許明細書に記載されている方法に従って、本発明に従う化合物を製造し、製薬学的組成物に調製することができる;式(I)の化合物に関し、適した例をPCT公開公報、国際公開第2004/105765号パンフレット中に見出すことができる。前記の製薬学的組成物の調製のために、場合により付加塩の形態にあることができる特定の化合物の治療的に有効な量を活性成分として、製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、その担体は、投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、好ましくは経口的、経皮的又は非経口的投与のような全身的な投与;あるいは吸入、鼻スプレー、点眼薬を介するか又はクリーム、ジェル、シャンプーなどを介するような局所的投与に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤(ナノ懸濁剤を含む)、シロップ、エリキシル剤及び溶液のような経口用液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど;あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含んでなるが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を調製することができる。式(I)の化合物を含有する注入可能な溶液を、長時間の作用のために油中で調製することができる。この目的のために適した油は、例えばピーナツ油、ゴマ油、綿実油、コーン油、大豆油、長鎖脂肪酸の合成グリセロールエステル及びこれらの油及び他の油の混合物である。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。経皮的投与に適した組成物において、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を含んでなることができ、それらは場合により小さい割合におけるいずれかの性質の適した添加剤と組み合わされていることができ、その添加剤は皮膚に有意な悪影響を引き起こさない。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができるか、及び/又は所望の組成物の調製の助けとなることができる。これらの組成物を種々の方法で、例えば経皮パッチとして、スポット−オンとして又は軟膏として投与することができる。局所的適用に適した組成物として、薬剤を局所的に投与するために通常用いられるすべての組成物、例えばクリーム、ジェル、包帯、シャンプー、チンキ剤、塗布剤、軟膏、軟膏剤(salves)、粉剤などを挙げることができる。該組成物の適用は、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンのようなプロペラントを用いるか、又はポンプスプレーのようにプロペラントを用いないエアゾール、滴剤、ローション又は半固体、例えば綿棒により適用することができる増粘された組成物によることができる。特に軟膏剤、クリーム、ジェル、軟膏などのような半固体組成物は、簡単に用いられるであろう。
【0048】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を投薬単位形態物において調製するのが特に有利である。本明細書及び本明細書の請求項で用いられる投薬単位形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離された単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的
担体と一緒に含有する。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小包、ウェハース、注入可能な溶液又は懸濁剤、小匙一杯、大匙一杯など、ならびに分離されたそれらの複数である。
【0049】
好ましくは、本発明に従う化合物を含んでなる製薬学的組成物の治療的に有効な量を、経口的又は非経口的に投与する。該治療的に有効な量は、患者において多用な腫瘍形成性障害又は細胞増殖性障害(上記参照)の転移及び/又は成長を有効に妨げるかあるいはその大きさを縮小させる量である。現在のデータに基づき、本発明の化合物そして特に4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−を活性成分として含んでなる製薬学的組成物を、1日に10mg〜数(1〜5)グラムの量で、1回の投薬としてかあるいは例えば1日2、3又は4回をも含む1回より多い投薬に細分して経口的に投与することができると思われる。好ましい量は、1日に500〜4,000mgの範囲である。そのような化合物に関する特に好ましい投薬量は、1日に750mg〜3,000mgの範囲内である。本明細書で活性成分とも呼ばれる本発明に従う化合物の、治療的効果を達成するのに必要な量が、投与の経路、受容者の年令及び状態ならびに処置されている特定の障害又は疾患とともにもちろん変わるであろうことは認識されるであろう。最適な投薬量及び投薬管理は、通常の方法を用い且つ本明細書に示される情報を見て、当該技術分野における熟練者により容易に決定され得る。この処置を継続的に、あるいは例えばこれらに限られないが、サイクル当たりに1〜21日の処置を与える3〜4週間のサイクル又は有効且つ安全であることが示される他のスケジュールを含んで断続的に与えることができる。
【0050】
上記のVEGFR3阻害剤を1種もしくはそれより多い他のガン処置と組み合わせて用いることができる。そのような組み合わせは、いずれかの確立された抗腫瘍治療、例えばこれらに限られないが化学療法、放射線ならびに標的に基づく治療、例えば抗体及び小分子を包含することができる。これらの治療を、最適の有効性/安全性必要条件に依存して、全身的治療においてあるいは局所的滴注/投与(例えば硬膜下腔内に)おいて組み合わせることができる。
【0051】
ある好ましい態様において、種々の腫瘍の型に関し、本発明のVEGFR3阻害剤と組み合わせるのに適した1種もしくはそれより多い他のガン処置には;
乳ガン:ヘルセプチン(Herceptin)、ドセタキセル(docetaxel)、アントラサイクリン、カペシタビン(capecitabine)
前立腺ガン:ドセタキセル、ミトキサントロン(mitoxantrone)
結腸ガン:オキサリプラチン(oxaliplatin)、5−FU、アバスチン(avastin)、イリノテカン(irinotecan)、セツクシマブ(cetuximab)
肺ガン;タキソテレ(taxotere)、カルボプラチン(carboplatin)、ジェミシタビン(gemicitabine)
が含まれるが、これらに限られない。
【0052】
本発明のVEGFR3阻害剤及びさらに別の抗−ガン剤を同時に(例えば別々の又は単一の組成物中で)あるいはいずれかの順序で逐次的に投与することができる。後者の場合、2つの化合物は、有利なもしくは相乗的効果が達成されるのを保証するのに十分である期間内に、ならびにそのような量及びやり方で投与されるであろう。好ましい投与の方法及び順序ならびに組み合わせの各成分に関するそれぞれの投薬量及び投薬管理が、投与される特定のVEGFR3阻害剤及びさらに別の抗−ガン剤、それらの投与経路、処置されている特定の腫瘍ならびに処置されている特定の宿主に依存するであろうことは、認識されるであろう。最適の投与の方法及び順序ならびに投薬量及び投薬管理は、通常の方法を
用い且つ本明細書に示される情報を見て、当該技術分野における熟練者により容易に決定され得る。
【0053】
化合物の製造及び調製:
化合物95、12H−4,6−エタンジイリデン−13,17−メタノピリミド[4,5−b][6,1,10,16]ベンズオキサトリアザシクロノナデシン−12−オン,21−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,16,18,23−デカヒドロ−25−メトキシ−の製造
段階1.
チタン,テトラキス(2−プロパノラート)(0.005モル)を、CHCl(40ml)中の3−ピペリジンカルボン酸エチルエステル(0.54g,0.005モル)及び4−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド(0.93g,0.005モル)の溶液に加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、NaBH(OAc)(0.0055モル)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、追加分のNaBH(OAc)(0.00275モル)を加え、混合物を室温で2時間攪拌し、次いでNaHCO(HO中で飽和)を加えた。有機層を分離し、乾燥し(KCO)、濾過し、溶媒を蒸発させ、トルエンと共−蒸発させ、残留CHClを除去した。粗残留物としての3−ピペリジンカルボン酸,1−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)メチル]−,エチルエステルをそのまま次の反応段階において用いた。
【0054】
段階2.
エタノール(150ml)中の3−ピペリジンカルボン酸,1−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)メチル]−,エチルエステル(1.69g,0.005モル)の混合物を、チオフェン溶液(1ml)の存在下で触媒としてPt/C 5%(0.5g)を用いて水素化した。H(3当量)の吸収後、触媒を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物をEtOAc中に溶解し、この溶液をExtrelute上で濾過した。ヘプタンを加えたが、結晶は現れなかった。溶媒を蒸発させ、残留物をCHOH中に再溶解し、濾紙上で濾過してシリカグリースを除去した。溶媒を蒸発させ、1.35gの3−ピペリジンカルボン酸,1−[(2−アミノ−4−クロロフェニル)メチル]−,エチルエステルを褐色の油として与えた。
【0055】
段階3
2−プロパノール(十分量)中の3−ピペリジンカルボン酸,1−[(2−アミノ−4−クロロフェニル)メチル]−,エチルエステル(0.0011モル)の溶液に、4−クロロ−7−メトキシ−6−キナゾリノール 6−アセテート(0.273g,0.00108モル)を加え、次いで反応混合物を80℃で終夜振盪させた。次いで混合物を80℃でさらに6.5時間振盪させ、溶媒を蒸発させた。収穫:3−ピペリジンカルボン酸,1−[[2−[[6−(アセチルオキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−,エチルエステル(粗;そのまま次の反応段階において使用)。
【0056】
段階4
NH/CHOH 7N(約10ml)を3−ピペリジンカルボン酸,1−[[2−[[6−(アセチルオキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−,エチルエステル(0.00114モル)に加え、反応混合物を35℃で1時間振盪させ、次いで溶媒を蒸発させた。収穫:3−ピペリジンカルボン酸,1−[[4−クロロ−2−[(6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−キナゾリニル)アミノ]フェニル]メチル]−,エチルエステル(そのまま次の反応段階において使用)。
【0057】
段階5.
3−ピペリジンカルボン酸,1−[[4−クロロ−2−[(6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−キナゾリニル)アミノ]フェニル]メチル]−,エチルエステル(0.00114モル)、N−(3−ブロモプロピル)カルバミン酸 1,1−ジメチルエチルエステル(1当量)及びCsCO(1.8582g)の混合物を室温で終夜攪拌し、次いで反応混合物を50℃で30分間攪拌した。必要な場合にはさらにN−(3−ブロモプロピル)カルバミン酸 1,1−ジメチルエチルエステルを加え、混合物を室温で4時間及び50℃でさらに15分間攪拌した。溶媒を蒸発させ(Genevac)、残留物をCHCl中に溶解した。この溶液をジカライト上で濾過し、濾液を蒸発させた。収穫:3−ピペリジンカルボン酸,1−[[4−クロロ−2−[[6−[3−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]プロポキシ]−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]フェニル]メチル]−,エチルエステル。
【0058】
段階6.
TFA/CHCl/TIS(90/8/2)(11.4ml)中の3−ピペリジンカルボン酸,1−[[4−クロロ−2−[[6−[3−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]プロポキシ]−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]フェニル]メチル]−,エチルエステル(残留物;約0.00114モル)の溶液を7〜8時間攪拌し、次いで溶媒を蒸発させ、得られる残留物をオーブン中で終夜乾燥した。収穫:3−ピペリジンカルボン酸,1−[[2−[[6−(3−アミノプロポキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−.CFCOOH。
【0059】
段階7.
3−ピペリジンカルボン酸,1−[[2−[[6−(3−アミノプロポキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−.CFCOOH(0.00114モル)及びDIPEA(0.00684モル)の溶液を、乾燥DMF(285ml)中のHBTU(0.00342モル)及びHOBt(0.00228モル)の溶液に加え、次いで反応混合物を1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、乾燥残留物を逆−相高−性能液体クロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、NaCOを加え、有機溶媒を蒸発させた。水性濃厚液にCHClを加え、得られる混合物をCHClで3回抽出し、次いで有機抽出物を乾燥し、集めた。収穫:0.0007モルの12H−4,6−エタンジイリデン−13,17−メタノピリミド[4,5−b][6,1,10,16]ベンズオキサトリアザシクロノナデシン−12−オン,21−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,16,18,23−デカヒドロ−25−メトキシ−(収率62%)。
【0060】
化合物96、4,6−エタンジイリデン−12H−ピリミド[4,5−b][6,1,10,13]ベンズオキサトリアザシクロヘキサデシン−12−オン,18−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,20−オクタヒドロ−21−メトキシ−13,14−ジメチル−,(13S)−の製造
段階1
CHCl(十分量)中のN−メチル−L−アラニン メチルエステル ヒドロクロリド(1.4g,0.010モル)、4−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド(0.010モル)及びチタン,テトラキス(2−プロパノラート)(0.010モル)の混合物を室温で1時間攪拌した。次いでNaBH(OAc)(0.022モル)を加え、混合物を室温で3時間攪拌した。さらにNaBH(OAc)(0.011モル)を加え、混合物を室温で終夜攪拌した。次いで塩基性になるまでNaHCO(飽和)を加え、混合物をP3フィルター上で濾過した。有機層を分離し、水層をCHClで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥し(KCO)、溶媒を蒸発乾固した。粗残留物、L−アラニン,N−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)メチル]−N−メチル−,メチルエステ
ルをそのまま次の反応段階において用いた。
【0061】
段階2
CHOH(50ml)中のL−アラニン,N−[(4−クロロ−2−ニトロフェニル)メチル]−N−メチル−,メチルエステル(1.03g,0.0036モル)の混合物を、DIPE(0.5ml)中の4%チオフェン溶液の存在下で、触媒としてPt/C 5%(0.5g)を用いて水素化した。H(3当量)の吸収後、触媒を濾過し、濾液を蒸発させた。残留物をシリカゲル上で精製した(カートリッジを用いて)(溶離剤:4%
EtN/CHCl)。所望の画分を集めた。所望の画分(2相形態)にヘプタンを加えた。ヘプタン層を分離してシリカグリースを除去した。溶媒の除去及び乾燥の後、0.5674gのL−アラニン,N−[(2−アミノ−4−クロロフェニル)メチル]−N−メチル−,メチルエステルが得られた(22%;黄色の油)。粗生成物をそのまま次の反応段階において用いた。
【0062】
段階3.
2−プロパノール(5ml)中のL−アラニン,N−[(2−アミノ−4−クロロフェニル)メチル]−N−メチル−,メチルエステル(0.00055モル)の溶液に、4−クロロ−7−メトキシ−6−キナゾリノール 6−アセテート(0.00055モル)を加え、次いで反応混合物を80℃で終夜振盪させ、溶媒を蒸発させた。収穫:L−アラニン,N−[[2−[[6−(アセチルオキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−N−メチル−,メチルエステル(粗、そのまま次の反応段階において使用)。
【0063】
段階4.
L−アラニン,N−[[2−[[6−(アセチルオキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−N−メチル−,メチルエステル(0.00055モル)にNH/CHOH 7N(10ml)を加え、反応混合物を1〜2時間振盪させ、次いで溶媒を蒸発させた。収穫:L−アラニン,N−[[4−クロロ−2−[(6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−キナゾリニル)アミノ]フェニル]メチル]−N−メチル−,メチルエステル(そのまま次の反応段階において使用)。
【0064】
段階5.
L−アラニン,N−[[4−クロロ−2−[(6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−キナゾリニル)アミノ]フェニル]メチル]−N−メチル−,メチルエステル(0.00055モル)、N−(3−ブロモプロピル)カルバミン酸 1,1−ジメチルエチルエステル(1当量)及びCsCO(0.8965g)の混合物を室温で終夜攪拌し、次いで反応混合物を50℃で30分間攪拌した。必要な場合にはさらにCAS N−(3−ブロモプロピル)カルバミン酸 1,1−ジメチルエチルエステルを加え、混合物を室温で4時間及び50℃でさらに15分間攪拌した。溶媒を蒸発させ(Genevac)、残留物をCHCl中に溶解した。この溶液をジカライト上で濾過し、濾液を蒸発させた。収穫:L−アラニン,N−[[4−クロロ−2−[[6−[3−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]プロポキシ]−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]フェニル]メチル]−N−メチル−,メチルエステル。
【0065】
段階6.
TFA/CHCl/TIS(90/8/2)(5.5ml)中のL−アラニン,N−[[4−クロロ−2−[[6−[3−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]プロポキシ]−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]フェニル]メチル]−N−メチル−,メチルエステル(粗残留物;0.00055モル)の溶液を7〜8時間攪拌し、次いで溶媒を蒸発させ、得られる残留物をオーブン中で終夜乾燥した。収穫:L−アラニン,N−[[2−[[6−(3−アミノプロポキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−N−メチル−.CFCOOH。
【0066】
段階7.
L−アラニン,N−[[2−[[6−(3−アミノプロポキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−4−クロロフェニル]メチル]−N−メチル−.CFCOOH(0.00055モル)及びDIPEA(0.0033モル)の溶液を、乾燥DMF(137ml)中のHBTU(0.00165モル)及びHOBt(0.0011モル)の溶液に加え、次いで反応混合物を1時間反応させた。溶媒を蒸発させ、乾燥残留物を逆−相高−性能液体クロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、NaCOを加え、有機溶媒を蒸発させた。水性濃厚液にCHClを加え、得られる混合物をCHClで3回抽出し、次いで有機抽出物を乾燥し、集めた。収穫:0.049gの4,6−エタンジイリデン−12H−ピリミド[4,5−b][6,1,10,13]ベンズオキサトリアザシクロヘキサデシン−12−オン,18−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,20−オクタヒドロ−21−メトキシ−13,14−ジメチル−,(13S)−。
【0067】
実施例中で用いられる場合、「CHOH」はメタノールを意味し、「EtN」はトリエチルアミンを意味し、「CHCl」はジクロロメタンを意味し、「HBTU」は1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−ベンゾトリアゾリウムヘキサフルオロホスフェート(1−)3−オキシドを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「NaBH(OAc)」はナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを意味し、「DIPEA」はN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパナミンを意味し、「HOBt」は1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「TIS」はトリス(1−メチルエチル)シランを意味し、「KCO」は炭酸カリウムを意味し、「CsCO」は炭酸セシウムを意味し、「NaCO」は炭酸二ナトリウム塩を意味し、「NaHCO」は炭酸一ナトリウム塩を意味する。
【0068】
化合物22、MTKI1の製造
本発明において用いられる好ましい化合物の、国際公開第2004/105765号パンフレットから得た適した製造は以下の通りである:
実施例A
a)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]アミノ]−(中間体1)の製造
EtOH(15ml)中の4−ブロモ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド(0.013モル)、5−アミノ−1−ペンタノール(0.013モル)及びチタン,テトラキス(2−プロパノラート)(0.014モル)の溶液を室温で1時間攪拌し、次いで反応混合物を50℃に加熱し、30分間攪拌した。混合物を室温に冷まし、NaBH(0.013モル)を分けて加えた。反応混合物を終夜攪拌し、次いで氷水(50ml)中に注ぎ出した。得られる混合物を20分間攪拌し、生成する沈殿を濾過し(濾液(I)を与える)、HOで洗浄し、DCM中で攪拌した(生成物を溶解してそれをTi−塩から取り出すために)。混合物を濾過し、次いで濾液を乾燥し(MgSO)、濾過し、最後に溶媒を蒸発させた。EtOHが除去されるまで濾液(I)を蒸発させ、水性濃厚液をDCMで2回抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、溶媒を蒸発させ、3.8g(93%)の中間体1を与えた。
【0069】
実施例B
a)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]メチルア
ミノ]−(中間体2)の製造
EtOH(150ml)中の中間体50(0.0047モル)、ホルムアルデヒド(0.025モル)及びチタン,テトラキス(2−プロパノラート)(0.0051モル)の溶液を50℃に加熱し、1時間攪拌し、次いでNaBH(0.026モル)を室温で分けて加えた。反応混合物を終夜攪拌し、次いで水(100ml)を用いてクエンチングした。得られる混合物を1時間攪拌し、生成する沈殿を濾過し、洗浄した。有機濾液を濃縮し、次いで水性濃厚液をDCMで抽出し、乾燥した。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲル上で濾過した(溶離剤:DCM/CHOH 98/2から95/5)。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させ、0.5gの中間体2を与えた。
【0070】
b)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]メチルアミノ]−,アセテート(エステル)(中間体3)の製造
無水酢酸(8ml)中の中間体2(0.0015モル)及びピリジン(0.015モル)の溶液を室温で終夜攪拌し、次いで溶媒を蒸発させ、トルエンと共−蒸発させ、中間体3を与えた。
【0071】
c)1−ペンタノール,5−[[(2−アミノ−4−ブロモフェニル)メチル]メチルアミノ]−,アセテート(エステル)(中間体4)の製造
THF(50ml)中の中間体3(0.0015モル)の混合物を、チオフェン溶液(0.5ml)[H179−034]の存在下で、触媒としてPt/C 5%(0.5g)を用いて水素化した。H(3当量)の吸収の後、触媒を濾過し、濾液を蒸発させ、0.5gの中間体4を与えた。
【0072】
d)6−キナゾリノール,4−[[2−[[[5−(アセチルオキシ)ペンチル]メチルアミノ]メチル]−5−ブロモフェニル]アミノ]−7−メトキシ−,アセテート(エステル)(中間体5)の製造
2−プロパノール(30ml)中の中間体4(0.0015モル)及び4−クロロ−7−メトキシ−6−キナゾリノールアセテート(エステル)(0.0015モル)の混合物を80℃に加熱し、反応混合物を1日攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をそのまま次の反応段階において用い、0.83gの中間体5を与えた。
【0073】
e)6−キナゾリノール,4−[[5−ブロモ−2−[[(5−ヒドロキシペンチル)メチルアミノ]メチル]フェニル]アミノ]−7−メトキシ−(中間体6)の製造
メタノール(25ml)中の中間体5(0.0015モル)の溶液を室温で攪拌し、HO(2.5ml)中のKCO(0.003モル)の溶液を加え、次いで反応混合物を60℃に加熱し、18時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、HO(20ml)を加え、次いで酢酸を用いて混合物を中和し、生成する沈殿を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、濃厚液をDCMで抽出し、濾過し、次いで乾燥し(MgSO)、混合物を減圧下で濃縮し、0.5g(70%)の中間体6を与えた。
【0074】
実施例C
a)4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(化合物MTKI1)の製造
THF(50ml)中の中間体6(0.0011モル)の溶液を室温で攪拌し、トリブチルホスフィン(0.0016モル)を加え、次いで1,1’−(アゾジカルボニル)ビス−ピペリジン(0.0016モル)を加え、反応混合物を2時間攪拌した。最初の体積の1/3まで溶媒を蒸発させた。得られる沈殿を濾過し、洗浄した。濾液を蒸発させ、残留物をRP高−性能液体クロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、有機溶媒を蒸発させた。水性濃厚液をDCMで2回抽出し、有機層を乾燥し(MgSO)、次
いで濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物を50℃で乾燥し(真空)、0.004g(0.8%)の化合物MTKI1を与えた。
【0075】
化合物2、4,6−エタンジイリデン−19H−ピリミド[4,5−b][6,13,1]ベンゾジオキサアザシクロ−ペンタデシン,15−クロロ−8,9,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−20−メトキシ−の製造;
実施例D
4,6−エタンジイリデン−19H−ピリミド[4,5−b][6,13,1]ベンゾジオキサアザシクロ−ペンタデシン,15−クロロ−8,9,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−20−メトキシ−(化合物2)の製造
THF,乾燥(100ml)中の中間体9(0.0024モル)及びトリフェニルホスフィン(0.0036モル)の溶液を室温で攪拌し、次いでTHF(10ml)中のビス(1−メチルエチル)ジアゼンジカルボキシレート(0.0036モル)の溶液を滴下した。反応混合物を6時間攪拌し、追加分のTHF(10ml)中のビス(1−メチルエチル)ジアゼンジカルボキシレート(0.35ml)を加えた。混合物を終夜攪拌し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/CHOH/THF 90/5/5)により精製した。生成物画分を集め、RP高−性能液体クロマトグラフィーによりさらに精製した。生成物画分を集め、濃縮した。水性濃厚液を濾過し、保持される固体を洗浄し、65℃で乾燥し(真空)、0.065gの化合物2,融点255.5〜260.2℃を与えた。
【0076】
実施例E
a)ヘキサン酸,6−(2−クロロ−6−ニトロフェノキシ)−,メチルエステル(中間体6)の製造
N,N−ジメチルホルムアミド(150ml)中の2−クロロ−6−ニトロ−フェノール(0.046モル)の溶液を50℃に加熱し、次いでKCO(0.069モル)を加え、反応混合物を15分間攪拌した。6−ブロモ−,メチルエステルへキサン酸(0.069モル)を加え、混合物を終夜攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、残留物をそのまま次の段階において用い、13.88gの中間体6を与えた。
b)ヘキサン酸,6−(2−アミノ−6−クロロフェノキシ)−,メチルエステル(中間体7)の製造
THF(ml)中の中間体6(0.046モル)及びエタナイム(ethanime)(2g)の混合物を、DIPE(2ml)の存在下で触媒としてPt/C 5%(3g)を用いて水素化した。H(3当量)の吸収後、Dicaliteの小さい栓上で反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、中間体7を与えた。
c)ヘキサン酸,6−[2−[[6−(アセチルオキシ)−7−メトキシ−4−キナゾリニル]アミノ]−6−クロロフェノキシ]−,メチルエステル(中間体8)の製造
2−プロパノール(170ml)中の4−クロロ−6−メチルカルボニルオキシ−7−メトキシキナゾリン(0.022モル)及び中間体7(0.022モル)の混合物を2時間攪拌し、且つ80℃に加熱し、濃縮し、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけた(溶離剤:DCM/CHOH 97/3)。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させ、5.1gの中間体8を与えた(そのまま次の反応段階において使用)。
d)6−キナゾリノール,4−[[3−クロロ−2−[(6−ヒドロキシヘキシル)オキシ]フェニル]アミノ]−7−メトキシ−(中間体9)の製造
THF(40ml)中のLAH(0.0246モル)の混合物を室温で攪拌した。THF(60ml)中の中間体8(0.006モル)の溶液を滴下した。反応混合物を1日攪拌し、次いで追加分のLAH(0.0123モル)を分けて加えた。混合物を週末に及んでさらに攪拌し、次いでHO(2ml)を滴下し、続いて15%NaOH溶液(2ml)及びHO(6ml)を滴下した。混合物を15分間攪拌し、濾過し、濾液を濃縮した。残留物を沸騰CHCN中で攪拌し、濾過し、保持される固体を60℃で乾燥した(真空)。固体をCHOH/DCM(10/90)中に再−溶解し、HCl(1N)を用いてこの混合物を中和した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮し、1gの中間体9を与えた。
【0077】
最も好ましい化合物、MYKI1に関する代表的な調剤の実施例は、以下の通りである:
実施例F:調剤:
生成物MTKI1を10−mg/mLの経口用溶液,pH2として調製することができる。それは精製水中に賦形剤、Captisol(R)(化学名:スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン,SBE−β−CD)、クエン酸、Tween(R)20、HCl及びNaOHを含有する。調剤を冷蔵保存(2〜8℃;36〜46°F)し、投薬量調製から前の最大で1時間、室温に温めることができる。
【0078】
生成物MTKI1を、それぞれ3、4及び00のサイズの硬質ゼラチンカプセル中に活性化学物質(active chemical entity)MTKI1、ラクトース一水和物(200メッシュ)、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを含有する50−mg、100−mg及び300−mgの経口用即時放出カプセルとして調製することもできる。カプセルは以下の成分のいずれか又はすべてを含有することもできる:ゼラチン、赤色酸化鉄及び酸化チタン。
【0079】
実験データ
VEGFR3阻害
リンパ節を含むこと(involvement)は、複数のガンの型において悪い予後因子である。最近の研究は、リンパ管形成が腫瘍進行において重要な役割を果たすことを示し、脈管内皮成長因子(VEGF)C及びDは、同族受容体VEGFR3の活性化を介して作用する特異的リンパ管形成因子として同定された。下記で化合物2とも呼ばれる4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−は、独特のキナーゼ阻害側面(pan Her及びSrc群)ならびに好ましい組織分布側面を有し、複数の実験モデルにおいて有力な抗腫瘍活性を生ずることが示された多重標的キナーゼ阻害剤である。
【0080】
試験管内キナーゼアッセイは、本発明の化合物がEGFR、Her2、Her4及びSrc群キナーゼ(Src、Fyn、Lck、Yes、Lyn)活性の有力な阻害を有することを示した。
【0081】
本明細書で、ヒト脈管内皮細胞(HMVECd)を用いる細胞に基づくアッセイにおいて試験管内キナーゼ阻害を確認し、そこにおいて化合物2はErk 1/2のVEGFR3依存性VEGF−C刺激を妨げたが、それはVEGFR1が媒介するVEGFジナリングに影響しなかった。化合物2は本明細書で、ヒトVEGFR3を発現するように操作された細胞系を用い、VEGFR3のVEGF−C誘導リン酸化を阻害することも示された。
【0082】
これらの結果を本明細書で、最近開発されたクセノプス(Xenopus)オタマジャクシモデルにおいてさらに確認し、そこで化合物2は、VEGF−Cノックアウトの効果を表現型模写することが見出された。
(Ny et al.著,Nat.Med.2005 Sep;11:998−1004)。
【0083】
方法
試験管内キナーゼアッセイ
VEGFR3キナーゼ反応を、96−ウェルミクロタイタープレート(microtiterplate)中において30℃で10分間行なった。25μlの反応体積は、8mM MOPS pH7、200μM EDTA、10mM MgAc、10μM 非標識ATP、0.5mCi AT33P、500μM JAK3−tide(Ac−GGEEEEYFELVKKKK−NH)、25ng VEGFR3及び100%DMSO中の2%の化合物を含有した。
【0084】
5μlの3%リン酸溶液の添加により、反応を停止させた。次いで10μlの反応混合物をFiltermat P30フィルター(Wallac)上にスポットし、0.75%リン酸中で5分間に及んで3回、及びメタノール中で2分に及んで1回洗浄してから、4mlのシンチレーション液を含有する密閉可能なプラスチックバッグに移し、シンチレーションカウンターにおいて読み取った。
【0085】
VEGFR3細胞アッセイ
VEGF−C誘導VEGFR3活性の阻害
このアッセイのために、ヒトVEGFR−3を安定して発現するブタ大動脈内皮(PAE)細胞を、10cmの皿の上で密集まで成長させた。終夜、細胞を血清欠乏させ(serum starved)、倍地を新しい無血清倍地で置き換えた。あらかじめ決められた量の化合物2又は標準ビヒクルを細胞に加え、次いで37℃で15分間インキュベーションした。これに続いてVEGF−Cを100ng/mlの最終的濃度まで加え、細胞を37℃で10分間インキュベーションし、その後それらを氷−冷PBSで洗浄し、次いでライシスした。プロテアーゼ阻害剤を含有する細胞ライセートを、VEGFR−3に特異的な抗体を用いて免疫沈降に供し、免疫沈降物をSDS−PAGEにより分離した。タンパク質をニトロセルルロース膜に転移させ、次いで最初にホスホ−チロシン抗体及び次いでVEGFR−3抗体を用いて精査した(probed)。
【0086】
ヒト微小管内皮細胞−皮膚(HMVEC−d)におけるVEGF−Cにより誘導されるErk活性化の阻害
HMVEC−d細胞(Cambrex)を、5%CO中で37Cにおいて、フィブロネクチンがコーティングされた12−ウェルプレート(BD Biocoat,Becton Dickinson)上で、適した血清含有倍地(Cambrex)中において4日間培養した。次いで血清を含まず、代わりにSITE+3(Invitrogen)を含有する以外は前と同じ倍地中で、細胞を16時間欠乏させた(starved)。次いで細胞を0.2%におけるDMSO(溶媒)又は5uMの化合物2と一緒に60分間予備インキュベーションし、次いで10ng/mlのVEGF又は100ng/mlのVEGF−C(R&D systems)のいずれかを細胞に加えた。刺激の前又は刺激から10及び30分後、倍地を除去し、0.1mMオルトバナジン酸ナトリウムを含有する氷−冷PBSで細胞を濯ぎ、0.1%SDS及び1xホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤(HALT,PIERCE)を含有するM−PER緩衝液(PIERCE)中でライシスした。細胞をプレートからこすり落とし、氷上においてライシス緩衝液中で30分間インキュベーションし、次いで4℃において16000xgで10分間遠心した。BCA試薬を用い、製造者の指示(PIERCE)に従ってライセートを定量し、5mgの全タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル(NUPAGE,Invitrogen)上に負荷した。電気泳動及びPVDF膜上へのブロッティングはすべて、NUPAGEシステムからの試薬を用いて、製造者の指示に従って行なわれた。Odyssey遮断緩衝液(LICOR)を用いてブロットを1時間遮断し、次いでOdyssey遮断緩衝液と0.1%Tween−20を含有するPBSの1:1混合物中で一次抗体(下記を参照されたい)を1:1000に希釈し、4℃で終夜適用した:P−Erk1/2(Thr202/Tyr204,クローンE10,マウスモノクローナル#9106,Erk1/2(ウサギ
ポリクローナル#9102)(すべてCell Signaling Technologies,Incから)。0.1%Tweenを含有するPBS中で5分間に及んで3回、ブロットを洗浄し、次いで二次抗体(0.1%Tween−20を含有するPBS中で1:1000に希釈)と一緒に1時間インキュベーションした:IRDye 800nmに複合させたヤギ抗−マウス(Rockland,Inc)又はAlexa 680nmに複合させたヤギ抗−ウサギ(Molecular Probes,Inc)。
【0087】
0.1%Tweenを含有するPBS中で5分に及んで3回及びPBS中で1回、ブロットを洗浄し、LICORシステムを用い、700nm及び800nmにおいて、強度5及び膜の走査に適したすべての設定を用いてブロットを走査した。
【0088】
VEGFR3生体内クセノプスアッセイ
リンパ管形成への化合物2の効果を分析するために、クセノプスオタマジャクシをモデルとして用いた(Ny et al著,Nature Medicine 11:2005年,998−1004)。クセノプスオタマジャクシの倍地に、段階(stage)26−28、すなわち血管及びリンパ管の両方の形成の前に開始して、ビヒクル標準とともに用量依存的やり方で、化合物を毎日投与した。トレーニングされた観察者により、化合物の効果を「生存分析(live analysis)」によって監視し、すなわちリンパ管−欠損の証拠に関して生存胚を4日後に調べた。限られた数の実験における結果を確証する追加の手段として、オタマジャクシを段階35−36において固定し、Prox1に関してその場ハイブリッド形成を行い、リンパ管内皮細胞(LECs)の後主静脈(PCV)からそれらの背面の終点への移動を評価し、これはリンパ管形成の必須の段階を反映する。正常な状況下で、LECsはPCVの領域から生じ、そこに堆積し、研究期間の間にそれらは限定される「領域(areas)」に(領域1から領域2及び領域3に)背面方向に移動し、そこでそれらは次いでさらに吻方向(rostrally)及び尾方向(caudally)に移動し、尾及び体幹におけるリンパ管構造を形成する。細胞の最大移動を決定することにより、ならびに尾中のこれらの種々の領域における細胞の数をカウントすることにより、PCVからのLECsの移動における欠損を定量した。
【0089】
結果
試験管内キナーゼアッセイ
以下の表は、上記のVEGFR3キナーゼアッセイを用いて本発明の化合物に関して得たpIC50値を提供する。
【0090】
【表1】

【0091】
VEGFR−3発現性ブタ大動脈内皮細胞におけるVEGF−C誘導VEGFR−3リン酸化の阻害
VEGF−C誘導VEGFR3活性への4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロ−ペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−(化合物2)の効果は、VEGFR−3リン酸化における用量依存的減少から明らかである(図1の上の枠)。VEGFR−3抗体を用いてウェスターンブロットを再−染色すると、種々の濃度におけるVEGFR−3の存在が確証される(図の下の枠)。
【0092】
HMVEC−d細胞におけるErkリン酸化アッセイ
図2に示す通り、5μMにおける化合物2は、VEGF−CによるErk1/2のリン酸化を妨げたが、Erk1/2のVEGF刺激を妨げなかった。これらのデータは、化合物2によるVEGFR−3の選択的阻害と一致する。
【0093】
クセノプス研究結果
生存スクリーニング(live screening)を用いて化合物2の効果を評価し、>50uMの化合物2の濃度は、オタマジャクシの30%において出血を引き起こした。20uMにおいて、オタマジャクシの10%が水腫を発病し、それはビヒクルのみで処置されたオタマジャクシでは見られなかった。化合物2は、オタマジャクシにおいてリンパ管内皮細胞(LEC)移動を用量依存的に妨げる(表1)。調べられた化合物の最低の濃度においてさえ(0.31uM)、段階35−36におけるLEC移動は特に低下し、そしてこれはビヒクルのみの場合に観察されるより多かった。これらのデータは、この化合物が正常なリンパ管形成を妨げるという結論を支持する。
【0094】
【表2】

【0095】
前記の明細書は本発明の原理を記載しており、例示の目的で実施例が与えられているが、本発明の実施は、以下の請求項及びそれらの同等事項の範囲内に含まれる通常の変更、応用及び/又は修正のすべてを包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中;
ZはNHを示し;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR13−C1−5アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−、−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−又は−Het22−CH−CO−NH−C1−3アルキル−を示し;XはO又は−O−C1−2アルキル−を示し;
は直接結合、−C1−2アルキル−、O、−O−C1−2アルキル−、NR12又はNR12−C1−2アルキル−を示し;
は水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシを示し;
は水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシを示し;
は水素を示し;
はC1−4アルキルオキシ−を示し;
12は水素又はC1−4アルキル−を示し;
13は水素又はC1−4アルキルを示し;
14は水素又はC1−4アルキルを示し;
Het20はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示し;そして
Het22はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示す]
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩及び立体化学的異性体の治療的に有効な量を、処置の必要な哺乳類患者に投与することを含んでなる、哺乳類患者におけるVEGFR3が媒介する生物学的活性の処置又は予防方法。
【請求項2】
式(I)の化合物において;
ZはNHを示し;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−又は−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−を示し;
はOを示し;
は−C1−2アルキル−、O又はNR12−C1−2アルキル−を示し;
は水素又はハロを示し;
は水素又はハロを示し;
は水素を示し;
はC1−4アルコキシを示し;
12はC1−4アルキル−を示し;
14は水素又はC1−4アルキルを示し;そして
Het20はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示す
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が
4,6−エタンジイリデン−19H−ピリミド[4,5−b][6,13,1]ベンゾジオキサアザシクロ−ペンタデシン,15−クロロ−8,9,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−20−メトキシ−;
12H−4,6−エタンジイリデン−13,17−メタノピリミド[4,5−b][6,1,10,16]ベンズオキサトリアザシクロノナデシン−12−オン,21−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,16,18,23−デカヒドロ−25−メトキシ−;
4,6−エタンジイリデン−12H−ピリミド[4,5−b][6,1,10,13]ベンズオキサトリアザシクロヘキサデシン−12−オン,18−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,20−オクタヒドロ−21−メトキシ−13,14−ジメチル−;
及び
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−;
又はその製薬学的に許容され得る酸付加塩
より成る群から選ばれる請求項1の方法。
【請求項4】
化合物が
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−;
又はその製薬学的に許容され得る酸付加塩
である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
化合物の治療的に有効な量を経口的又は非経口的に投与する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物をさらに別の抗−ガン剤と組み合わせて投与する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに別の抗−ガン剤が、乳ガンの場合のヘルセプチン(herceptin)、ドセタキセル(docetaxel)、アントラサイクリン及びカペシタビン(capecitabine);前立腺ガンの場合のドセタキセル及びミトキサントロン(mitoxantrone);結腸ガンの場合のオキサリプラチン(oxaliplatin)、5−FU、アバスチン(avastin)、イリノテカン(irinotecan)及びセツクシマブ(cetuximab);ならびに肺ガンの場合のタキソテレ(taxotere)、カルボプラチン(carboplatin)及びジェミシタビン(gemicitabine)より成る群から選ばれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
VEGFR3が媒介する生物学的活性が、哺乳類患者におけるガンの転移的拡大;リンパ管を介する局部的リンパ節への転移;ガンにおける腫瘍関連リンパ管形成;VEGFR3リガンドを発現するガン細胞の新生脈管形成における、VEGFR3を発現する内皮細胞の補充及び増殖;ならびにこれらの組み合わせより成る群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該VEGFR3リガンドがVEGF−C、VEGF−D又はそれらの組み合わせである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
VEGFR3が媒介する生物学的活性が哺乳類における進行した乳ガンであり、請求項1〜4のいずれか1つで定義された化合物の治療的に有効に量を該哺乳類に投与する段階を含んでなる請求項1の方法。
【請求項11】
VEGFR3が媒介する生物学的活性の処置のための薬剤の製造における式(I)
【化2】

[式中;
ZはNHを示し;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR13−C1−5アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−、−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−又は−Het22−CH−CO−NH−C1−3アルキル−を示し;XはO又は−O−C1−2アルキル−を示し;
は直接結合、−C1−2アルキル−、O、−O−C1−2アルキル−、NR12又はNR12−C1−2アルキル−を示し;
は水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシ、好ましくはハロを示し;
は水素、シアノ、ハロ又はヒドロキシを示し;
は水素を示し;
はC1−4アルキルオキシ−を示し;
12は水素又はC1−4アルキル−を示し;
13は水素又はC1−4アルキルを示し;
14は水素又はC1−4アルキルを示し;
Het20はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示し;
Het22はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示す]
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩及び立体化学的異性体の使用。
【請求項12】
式(I)の化合物において;
ZはNHを示し;
Yは−C3−9アルキル−、−C1−5アルキル−NR14−CO−C1−5アルキル−又は−C1−3アルキル−NH−CO−Het20−を示し;
はOを示し;
は−C1−2アルキル−、O又はNR12−C1−2アルキル−を示し;
は水素又はハロを示し;特にRは水素又はクロロを示し;さらに特定的にRは水素を示し;
は水素又はハロを示し;特にRは水素、クロロ又はブロモを示し;さらに特定的にRはクロロ又はブロモを示し;
は水素を示し;
はC1−4アルキルオキシを示し;特にRはメトキシを示し;
12はC1−4アルキル−を示し;特にR12はメチルを示し;
14は水素又はC1−4アルキルを示し;特にR14は水素又はメチルを示し;さらに特定的にR14は水素を示し;そして
Het20はピロリジニル、ピペラジニル又はピペリジニルを示し;特にHet20はピペリジニルを示す
請求項10に記載の使用。
【請求項13】
式(I)の化合物が;
4,6−エタンジイリデン−19H−ピリミド[4,5−b][6,13,1]ベンゾジオキサアザシクロ−ペンタデシン,15−クロロ−8,9,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−20−メトキシ−;
12H−4,6−エタンジイリデン−13,17−メタノピリミド[4,5−b][6,1,10,16]ベンズオキサトリアザシクロノナデシン−12−オン,21−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,16,18,23−デカヒドロ−25−メトキシ−;
4,6−エタンジイリデン−12H−ピリミド[4,5−b][6,1,10,13]ベンズオキサトリアザシクロヘキサデシン−12−オン,18−クロロ−8,9,10,11,13,14,15,20−オクタヒドロ−21−メトキシ−13,14−ジメチル−;及び
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−;
又はそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩
より成る群から選ばれる請求項11に記載の使用。
【請求項14】
式(I)の化合物が
4,6−エタンジイリデンピリミド[4,5−b][6,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−13−メチル−;
又はそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩
である請求項11に記載の使用。
【請求項15】
薬剤が経口的もしくは非経口的投与用である請求項11〜14のいずれか1つに記載の使用。
【請求項16】
式(I)の化合物をさらに別の抗−ガン剤と組み合わせて投与する請求項15に記載の使用。
【請求項17】
さらに別の抗−ガン剤が、乳ガンの場合のヘルセプチン、ドセタキセル、アントラサイクリン及びカペシタビン;前立腺ガンの場合のドセタキセル及びミトキサントロン;結腸ガンの場合のオキサリプラチン、5−FU、アバスチン、イリノテカン及びセツクシマブ;ならびに肺ガンの場合のタキソテレ、カルボプラチン及びジェミシタビンより成る群から選ばれる請求項16に記載の使用。
【請求項18】
VEGFR3が媒介する生物学的活性が;
−哺乳類患者におけるガンの転移的拡大;
−リンパ管を介する局部的リンパ節への転移;
−ガン、例えば胃ガン、前立腺ガン、ヒト結直腸ガン、侵襲性頸ガン、乳ガン、カポジ肉腫及び黒色腫における腫瘍−関連リンパ管形成;ならびに
−VEGFR3リガンドを発現するガン細胞の新生脈管形成における、VEGFR3を発現する内皮細胞の補充及び増殖;
より成る群から選ばれる請求項11〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項19】
該VEGF3リガンドがVEGF−C、VEGF−D又はそれらの組み合わせである請求項8に記載の使用。
【請求項20】
VEGFR3が媒介する生物学的活性が進行した乳ガンである請求項1〜4のいずれかに記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−507626(P2010−507626A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533850(P2009−533850)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061499
【国際公開番号】WO2008/049902
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】