説明

VOC含有ガスの処理装置および処理方法

【課題】バイパス経路を有して、触媒反応器に供給されるVOC含有ガスの温度制御を可能としながらも、設備コストやランニングコストの増大を防ぐ。
【解決手段】VOC含有ガスAと空気供給源から供給される空気Bとを混合する第1混合手段7と、この第1混合手段7によって混合された混合ガスCを加熱する混合ガス加熱手段9と、空気供給手段から供給される空気Bのうち一部の空気Eを分岐するバイパス経路11と、混合ガス加熱手段9によって加熱された混合ガスDとバイパス経路11を経て分岐した一部の空気Eとを混合する第2混合手段13と、この第2混合手段13によって混合された混合ガスFを触媒17に反応させて処理する触媒反応器16と、この触媒反応器16によって処理された処理ガスGを混合ガス加熱手段9に供給する処理ガス供給経路18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール、パラフィン系炭化水素、アセチレン系炭化水素、芳香族系炭化水素、ケトン類、エステル類などのVOC(揮発性有機廃棄物)を含有するVOC含有ガスを、触媒と酸素により酸化分解して無害化処理するVOC含有ガスの処理装置および処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VOCの処理方法としては、燃焼装置による直燃法、オゾン酸化法、吸着法、触媒酸化法などが挙げられる。直燃法は高温加熱が必要で燃料費が多くなり、オゾン酸化法や吸着法は低温での処理が可能であるものの二次処理が必要となるなどの問題がそれぞれあることから、近年では特許文献1に記載されたような触媒を用いた触媒酸化法が多く用いられるようになっている。
【0003】
ここで、触媒を用いたこの触媒酸化法を採用した場合、触媒反応器の触媒を保護する目的から、触媒反応器に供給するVOC含有ガスの温度を制御する必要がある。そこで、例えば特許文献2には、触媒燃焼炉へ供給するVOC含有ガスを予熱する熱交換器を複数に分割し、各熱交換器の触媒燃焼炉から排出される燃焼排ガスの流路と触媒燃焼炉へのVOC含有ガスの供給流路をそれぞれ直列に接続し、さらにこの供給流路にバイパス流路を設けてVOC含有ガスを予熱し、このVOC含有ガスに起動炉を介して燃焼空気を混合して触媒燃焼炉により処理することが提案されている。
【0004】
また、特許文献3には、VOC含有ガスの一部を触媒反応器から排出される排ガスと第1熱交換器において熱交換して加熱し、残りのVOC含有ガスは第1熱交換器をバイパスさせて、加熱されたVOC含有ガスの上記一部と混合し、こうして混合したVOC含有ガスをさらに第2熱交換器で上記排ガスと熱交換することで、触媒反応器に供給されるVOC含有ガスを温度むらなくコントロールすることが提案されている。
【特許文献1】特公平8−24819号公報
【特許文献2】実開平6−22729号公報
【特許文献3】特開2001−74205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、これら特許文献2、3に記載の処理装置では、上述のようにVOC含有ガスがバイパス流路やバイパス部を介して触媒燃焼炉や触媒反応器に流入するように接続されており、たとえこのバイパス部やバイパス流路に設けた調節弁を閉じていても、この調節弁まではVOC含有ガスによって満たされた状態となる。従って、こうして調節弁を閉じた状態や、あるいはバイパスするVOC含有ガスの流量が少ない場合などでも、これらバイパス部やバイパス流路にVOC含有ガスが滞留してしまい、VOC成分に起因したバイパス管の腐食や閉塞、調節弁の作動不良や誤作動を起こすおそれがある。
【0006】
このため、これらバイパス部やバイパス流路、調節弁として耐腐食性の高い材料を用いる必要があるとともに、そのメンテナンス等にも多くの時間と労力とを要することになり、設備コストやランニングコストの増大を招く要因となる。さらに、これら特許文献2、3に記載のVOC含有ガスの処理装置ではVOC含有ガスを予熱する熱交換器が複数必要となるため、やはり設備コストの増大を招く結果となっていた。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたもので、バイパス経路を有して、触媒反応器に供給されるVOC含有ガスの温度制御を可能としながらも、設備コストやランニングコストの増大を防ぐことが可能なVOC含有ガスの処理装置および処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のVOC含有ガスの処理装置は、VOCを含有するガスと空気供給源から供給される空気とを混合する第1混合手段と、この第1混合手段によって混合された上記VOCを含有するガスと空気との混合ガスを加熱する混合ガス加熱手段と、上記空気供給手段から供給される空気のうち一部の空気を分岐するバイパス経路と、上記混合ガス加熱手段によって加熱された混合ガスと上記バイパス経路を経て分岐した上記一部の空気とを混合する第2混合手段と、この第2混合手段によって混合された混合ガスを触媒に反応させて処理する触媒反応器と、この触媒反応器によって処理された処理ガスを上記混合ガス加熱手段に供給する処理ガス供給経路とを備えることを特徴とするものであり、また本発明のVOC含有ガスの処理方法は、VOCを含有するガスと空気供給源から供給される空気とを混合して混合ガスとし、この混合ガスを混合ガス加熱手段によって加熱するとともに、上記空気供給源から供給される空気のうち一部の空気をバイパス経路に分岐させて、この一部の空気と上記混合ガス加熱手段によって加熱された上記混合ガスとを混合して触媒反応器により触媒に反応させて処理し、この触媒反応器によって処理された処理ガスを上記混合ガス加熱手段に供給することを特徴とする。
【0009】
このようなVOC含有ガスの処理装置および処理方法において、VOC含有ガスは、空気供給源から供給された空気と第1混合手段において混合されて希釈され、こうして混合された混合ガスは、触媒反応器により処理された処理ガスを熱源とする混合ガス加熱手段において熱交換されて加熱される。一方、上記空気供給源から供給された空気の一部は、VOC含有ガスと混合されずに予めバイパス経路に分岐させられて、上記混合ガス加熱手段において加熱された混合ガスと第2混合手段において混合させられ、これにより触媒反応器に供給される混合ガスの温度が、触媒による酸化分解処理に適した温度に調整される。さらに、こうして温度調整されたVOC含有ガスは、上述のように触媒反応器によって酸化分解処理されて高温の処理ガスとなり、この処理ガスを熱源として上記混合ガスが加熱させられる。
【0010】
従って、本発明の処理装置および処理方法によれば、まず空気とVOC含有ガスとを混合した混合ガスを、混合ガス加熱手段において処理ガスを熱源として熱交換して加熱するだけで触媒反応器に供給することができるため、熱交換器を1つだけ設ければよく、設備コストの低減を図ることができる。そして、さらに、この触媒反応器に供給される加熱した混合ガスの温度制御が、VOC含有ガスと混合される前に予めバイパス経路に分岐した一部の空気によって行われ、すなわちバイパス経路を通るのはこの一部の空気だけであるため、たとえバイパス経路で滞留しても腐食や閉塞を生じることがなく、またバイパス経路に調節弁を設けたとしても作動不良や誤作動を生じたりすることもなく、これらバイパス経路の配管や調節弁に耐食性の高い材料を要することもなくなるとともに、メンテナンスも比較的簡略に行うことができて、設備コストやランニングコストを抑制することが可能となる。
【0011】
ここで、上記触媒反応器においてVOC含有ガスの確実かつ安定的な酸化分解処理を図るには、こうしてバイパス経路に調整弁を設けるのが望ましい。すなわち、本発明の処理装置においては、上記バイパス経路に、上記触媒反応器に供給される上記混合ガスの温度に基づいて、該バイパス経路に分岐する上記一部の空気の流量を制御するバイパス調整弁を備えて、本発明の処理方法においては、上記バイパス経路に分岐する上記一部の空気の流量を、上記触媒反応器に供給される上記混合ガスの温度に基づいて制御することにより、この触媒反応器に供給される混合ガスを酸化分解処理に適した温度に維持することが可能となって、安定した処理を確実に促すことができる。
【0012】
また、このように触媒反応器に供給される混合ガスの温度を制御するには、上記バイパス調節弁とは別に、あるいはこれと併用して、本発明の処理装置においては、上記空気供給源と上記第1混合手段との間に、該空気供給源から供給される空気の流量に基づいて、上記第1混合手段において上記VOCを含有するガスと混合される空気量を制御する空気調節弁を備えて、本発明の処理方法においては、上記第1混合手段において上記VOCを含有するガスと混合される空気量を、上記空気供給源から供給される空気の流量に基づいて制御するようにしてもよい。すなわち、こうしてVOC含有ガスと混合される空気量を制御することによっても、バイパス経路に流れる一部の空気の流量を調整して、触媒反応器に供給される混合ガス温度を制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、触媒反応器に供給されるVOC含有ガスと空気との混合ガスの温度を、バイパス経路に分岐した一部の空気を混合することによって制御することができるので、このバイパス経路のバイパス管そのものや、該バイパス経路に調節弁を設けた場合の当該調節弁などに耐食性の高い材料を用いたりする必要がなく、またこの混合ガスを加熱する混合ガス加熱手段としても1器の熱交換器で済むため、処理装置としては全体の設備コストの低減を図るとともに、処理方法としてはそのランニングコストを抑制することができ、低コストでありながらも確実かつ安定したVOC含有ガスの処理を促すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明のVOC含有ガスの処理装置の一実施形態を示すものであり、以下この実施形態の処理装置について説明しながら、本発明のVOC含有ガスの処理方法の一実施形態についても説明する。本実施形態において処理されるVOC含有ガスAは、例えば電子機器製造工程や自動車部品製造工程、樹脂製造工程、印刷工程、塗装工程、化成品製造工程等の各種工程で発生するものであって、有機物濃度が5000volppm以上であるのが望ましい。上限濃度としては、空気ベースの場合は爆発下限界以下の十分に安全な濃度であることと、窒素などの非支燃性ガスベースの場合は空気との混合時に爆発下限界の濃度を十分に下回ることが必要となる。このVOC含有ガスAは、上記各種工程の少なくとも1つから誘引されて、調節弁1を備えた供給管路2を経て当該処理装置に供給される。
【0015】
このVOC含有ガスAを酸化分解処理する際の酸素は、ダクト3から空気調節弁4を備えた供給管路5を介して誘引される大気中の空気Bとして供給される。すなわち、本実施形態における空気供給源は大気そのものである。また、上記空気調節弁4は、ダクト3から誘引されて供給管路5を流れる空気Bの流量を流量計6で測定した結果に基づいて制御される。なお、空気Bは、供給管路5の途中で予熱されてもよいが、本実施形態では常温のまま供給管路5を通して供給される。
【0016】
一方、この空気Bの供給管路5には上記VOC含有ガスAの供給管路2が接続されていて、これらの供給管路2,5の接続部分においてVOC含有ガスAと空気Bとが混合されて希釈されることになる。すなわち、本実施形態ではこの供給管路2,5の接続部分が第1混合手段7とされ、これより以降の供給管路8にはこれらVOC含有ガスAと空気Bとの混合ガスCが供給されることになる。
【0017】
さらに、この混合ガスCの供給管路8は混合ガス加熱手段9に接続されていて、この混合ガス加熱手段9により混合ガスCは300℃〜400℃程度にまで加熱され、こうして加熱された混合ガスDは供給管路10を介して当該混合ガス加熱手段9から排出される。なお、この混合ガス加熱手段9は、上記混合ガスCと後述するVOC含有ガスAを酸化分解処理した処理ガスとの間で熱交換を行う熱交換器とされ、プレート式やシェル・アンド・チューブ式などの各種のものが使用可能であるが、洗浄が容易であることから特にプレート式のものが望ましい。
【0018】
一方、上記空気Bの供給管路5は、上記第1混合手段7や空気調節弁4よりも手前の、流量計6と空気調節弁4との間でバイパス経路11に分岐させられており、このパイパス経路11はバイパス調節弁12を介して、上記混合ガス加熱手段9から排出される加熱された混合ガスDの供給管路10に接続されている。従って、これらバイパス経路11と供給管路10との接続部分が本実施形態における第2混合手段13とされ、これより以降の供給管路14には、バイパス経路11を経て分岐した一部の空気Eと、混合ガス加熱手段10によって加熱された混合ガスDとを混合した混合ガスFが供給されることになる。
【0019】
さらに、上記第2混合手段13以降の供給管路14は、必要に応じて例えば電熱式のガス加熱器15を経て、触媒反応器16に接続されている。この触媒反応器16には、特許文献1に記載されたような金、銀、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選ばれる少なくとも1種および/または鉄、マンガン、クロム、銅、ニッケルおよびコバルトの酸化物から選ばれる少なくとも1種の触媒成分をアルミナに担持してなる触媒17、あるいは特開平8−97039号公報に記載されたようなアンモニア分解触媒、即ち、触媒A成分としてTiを含む酸化物と触媒B成分としてバナジウム、タングステン及びモリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属あるいは酸化物と触媒C成分として白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、クロム、マンガン、鉄、銅よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属あるいは酸化物とを含有する触媒17が配設されている。
【0020】
そして、この触媒反応器16においては、加熱された混合ガスDとバイパス経路11を経た上記一部の空気Eとの第2混合手段13における混合比率をバイパス調節弁12や空気調節弁4によって調整することにより、例えば300℃程度の温度に制御された混合ガスFが供給管路14から供給され、この混合ガスFのVOC含有ガスA中のVOC成分が空気B中の酸素とともに触媒17により150℃〜400℃程度の反応温度でCOとHOに酸化分解されて無害化処理され、500℃程度の高温の処理ガスGが発生する。すなわち、上記バイパス調節弁12は、供給管路14からこの触媒反応器16に供給される混合ガスFの温度に基づいて制御される。
【0021】
さらに、こうして発生した高温の処理ガスGは、処理ガス供給経路18を介して上記混合ガス加熱手段9に供給されて、この混合ガス加熱手段9に供給された上記混合ガスCとの間で上述のように熱交換を行うことにより該混合ガスCを加熱する熱源とされる。そして、このように触媒反応器16によって無害化処理されるとともに混合ガス加熱手段9の熱源とされて自身は240℃程度に冷却された処理ガスGは、さらに必要に応じて図示されない熱交換器等によって熱回収された後、誘引ファン19を経て排出される。なお、本実施形態では、この誘引ファン19によって外部に排出される排ガス量が一定となるようにされている。
【0022】
このように、上記構成のVOC含有ガスAの処理装置、および該処理装置を用いたVOC含有ガスAの処理方法では、まずVOC含有ガスAと空気Bとを第1混合手段7において混合した混合ガスCを、基本的に1器の熱交換器である混合ガス加熱手段9によって加熱することが可能であるので、複数の熱交換器を要する特許文献1、2に記載の処理装置や処理方法と比べて設備コストの低減を図るとともに、メンテナンス等のランニングコストも削減することができる。
【0023】
そして、さらにこの混合ガスCを加熱した混合ガスDを、触媒反応器16での触媒17による反応に適した温度に制御するのに、上記処理装置および処理方法では、VOC含有ガスAと混合される前の空気Bのうち一部の空気Eを、バイパス経路11に分岐させて上記加熱された混合ガスDと第2の混合手段13において混合させており、すなわちこのバイパス経路11を流れるのは、滞留しても腐食等を生じることのない上記一部の空気Eだけとなる。
【0024】
従って、このようなバイパス経路をVOC含有ガスやVOC含有ガスと空気を混合した混合ガスが流通するような場合に比べて、当該バイパス経路11を構成する配管や、本実施形態のようにバイパス調節弁12を備えた場合にはこのバイパス調節弁12を、VOC含有ガスAによる腐食に耐えうるような耐食性の高い材料によって形成するような必要がなくなって、例えば配管を安価な樹脂材によって形成したり、第2混合手段13近傍以外の熱に晒されるおそれのない部分やバイパス調節弁12などは真鍮材や鉄材によって形成したりすることも可能となり、このバイパス経路11やバイパス調節弁12を低コストで構築することができる。しかも、腐食によるバイパス経路11の閉塞やバイパス調節弁12の誤作動等も防止することができるため、メンテナンス等に要する時間や労力も削減することができ、これらにより設備コストやランニングコストの抑制を図ることが可能となる。
【0025】
また、本実施形態の処理装置および処理方法では、このようにバイパス経路11にバイパス調節弁12を設けて、バイパス経路11に流れる上記一部の空気Eの流量を調整可能としており、この一部の空気Eの流量は触媒反応器16に供給される混合ガスFの温度に基づいて制御される。すなわち、触媒反応器16に供給される混合ガスFの温度が低い場合には、バイパス経路11に分岐する低温の一部の空気Eの流量をこのバイパス調節弁12によって減らすことにより混合ガスFの温度を上昇させ、逆に混合ガスFの温度が高い場合には、一部の空気Eの流量をバイパス調節弁12によって増やして混合ガスFの温度を低下させる。
【0026】
従って、例えば供給されるVOC含有ガスAの濃度が変化して、触媒反応器16から排出される処理ガスGの温度も変化し、これに伴い混合ガス加熱手段9においてこの処理ガスGと熱交換されて加熱された混合ガスDの温度にも変化が生じたような場合でも、この混合ガスDと上記一部の空気Eとを第2混合手段13において適正な混合比率で混合することができる。そして、これにより触媒反応器16に供給される混合ガスFの温度をVOC成分の酸化分解処理に最適な温度に制御することが可能となるので、本実施形態によれば、安定的かつ確実なVOC含有ガスの処理を図ることができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、バイパス経路11が分岐した後の第1混合手段7との間の空気Bの供給管路5にも空気調節弁4が配設されており、この空気調節弁4は、空気供給源としての大気からダクト3を通して供給される空気Bの流量に基づいて制御される。すなわち、例えば本実施形態のように誘引ファン19によって排出される排ガス量が一定とされている場合において、VOC含有ガスAの発生量が増大すると相対的に空気Bの供給量は減り、触媒反応器16に供給される混合ガスFのVOC成分濃度が上昇するために、より高温の処理ガスGが生成されることになる。
【0028】
そこで、このような場合には、空気Bの供給量の減少を流量計6によって検知して空気調節弁4を絞ることにより、バイパス経路11に分岐する低温の一部の空気Eの供給量を増大させ、これによって第2混合手段13において混合されて触媒反応器6に供給される混合ガスFの温度を低減させることで、該触媒反応器16における酸化分解処理を抑制して、処理ガスGの温度が必要以上に上昇するのを抑えることができる。また、VOC含有ガスAの発生量が減少した場合には、これとは逆に空気調節弁4を制御することで処理ガスGの温度を維持することができ、VOC含有ガスAと空気Bとの混合ガスCを混合ガス加熱手段9において確実に加熱して混合ガスDとすることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、このようにバイパス経路11にバイパス調節弁12が、空気Bの供給管路5には空気調節弁4が、それぞれ備えられているが、これらはいずれか一方を制御すれば、バイパス経路11に分岐する一部の空気Eの供給量と、第1混合手段7においてVOC含有ガスAと混合する空気Bの供給量との双方が調節されるので、これらバイパス調節弁12と空気調節弁4とは、少なくとも一方が備えられていればよい。
【0030】
ただし、これらバイパス調節弁12と空気調節弁4との双方を備える場合には、バイパス調節弁12による制御を優先するようにプログラムするのが望ましい。こうしてバイパス調節弁12を優先して制御することで、触媒反応器16に供給される混合ガスFの温度を直接的に調節することができるので、より確実にこの触媒反応器16における反応をコントロールして安定した酸化分解処理を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のVOC含有ガスの処理装置の一実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0032】
2 VOC含有ガスAの供給経路
4 空気調節弁
5 空気Bの供給経路
7 第1混合手段
9 混合ガス加熱手段
11 バイパス経路
12 バイパス調節弁
13 第2混合手段
16 触媒反応器
17 触媒
18 処理ガス供給経路
A VOC含有ガス
B 空気
C、D、F 混合ガス
E バイパス経路11に分岐される一部の空気
G 処理ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VOCを含有するガスと空気供給源から供給される空気とを混合する第1混合手段と、この第1混合手段によって混合された上記VOCを含有するガスと空気との混合ガスを加熱する混合ガス加熱手段と、上記空気供給手段から供給される空気のうち一部の空気を分岐するバイパス経路と、上記混合ガス加熱手段によって加熱された混合ガスと上記バイパス経路を経て分岐した上記一部の空気とを混合する第2混合手段と、この第2混合手段によって混合された混合ガスを触媒に反応させて処理する触媒反応器と、この触媒反応器によって処理された処理ガスを上記混合ガス加熱手段に供給する処理ガス供給経路とを備えることを特徴とするVOC含有ガスの処理装置。
【請求項2】
上記バイパス経路には、上記触媒反応器に供給される上記混合ガスの温度に基づいて、該バイパス経路に分岐する上記一部の空気の流量を制御するバイパス調整弁が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のVOC含有ガスの処理装置。
【請求項3】
上記空気供給源と上記第1混合手段との間には、該空気供給源から供給される空気の流量に基づいて、上記第1混合手段において上記VOCを含有するガスと混合される空気量を制御する空気調整弁が備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のVOC含有ガスの処理装置。
【請求項4】
VOCを含有するガスと空気供給源から供給される空気とを混合して混合ガスとし、この混合ガスを混合ガス加熱手段によって加熱するとともに、上記空気供給源から供給される空気のうち一部の空気をバイパス経路に分岐させて、この一部の空気と上記混合ガス加熱手段によって加熱された上記混合ガスとを混合して触媒反応器により触媒に反応させて処理し、この触媒反応器によって処理された処理ガスを上記混合ガス加熱手段に供給することを特徴とするVOC含有ガスの処理方法。
【請求項5】
上記バイパス経路に分岐する上記一部の空気の流量を、上記触媒反応器に供給される上記混合ガスの温度に基づいて制御することを特徴とする請求項4に記載のVOC含有ガスの処理方法。
【請求項6】
上記第1混合手段において上記VOCを含有するガスと混合される空気量を、上記空気供給源から供給される空気の流量に基づいて制御することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のVOC含有ガスの処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−264611(P2009−264611A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111704(P2008−111704)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(391018592)月島環境エンジニアリング株式会社 (27)
【Fターム(参考)】