X線撮影装置
【課題】 X線管の位置決めやX線の照射野の調整を自動的に実行することが可能なX線撮影装置を提供する。
【解決手段】 X線管31に付設されたカメラ34と、アナトミカルプログラムに従ってX線管31を被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング部61と、X線管31が被検者と対向した位置に移動した状態でカメラ34により撮影した被検者を含む画像から被検者の位置を認識する被検者認識部62と、被検者認識部62により認識した被検者の位置からX線撮影領域を設定する撮影領域設定部63と、撮影領域の中心と照射野の中心とが一致するようにX線管31の位置を補正するX線管位置補正部64と、撮影領域と照射野とが一致するようにコリメータリーフの位置を設定するコリメータリーフ位置設定部65とを備える。
【解決手段】 X線管31に付設されたカメラ34と、アナトミカルプログラムに従ってX線管31を被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング部61と、X線管31が被検者と対向した位置に移動した状態でカメラ34により撮影した被検者を含む画像から被検者の位置を認識する被検者認識部62と、被検者認識部62により認識した被検者の位置からX線撮影領域を設定する撮影領域設定部63と、撮影領域の中心と照射野の中心とが一致するようにX線管31の位置を補正するX線管位置補正部64と、撮影領域と照射野とが一致するようにコリメータリーフの位置を設定するコリメータリーフ位置設定部65とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査対象である被検者を診断するためにX線撮影を行うX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなX線撮影装置は、被検者に対して移動可能なX線管と、このX線管から照射され被検者を通過したX線を検出するフラットパネルディテクタ等のX線検出器と、被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータとを備えている。
【0003】
ところで、このようなX線撮影装置においては、撮影部位に対して撮影条件を呼び出すことができるアナトミカルプログラムを利用したX線管のオートポジショニングが実行される。ここで、アナトミカルプログラムとは、撮影条件と、術式および被検者の撮影部位とを含む撮影方法とを関連付けたデータ構造を意味する。このようなオートポジショニングを実行することにより、X線管を撮影位置付近にまで自動的に移動させることが可能となる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−125981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したアナトミカルプログラムを利用したオートポジショニングにおいては、X線管を撮影位置付近まで自動的に移動させることは可能である。しかしながら、実際にX線撮影を実行する前には、被検者の体格や位置に応じて、オペレータがX線管の位置決めを実行する必要がある。また、これと並行して、コリメータリーフの開き量を調整することにより、X線の照射野も調整する必要が生ずる。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、X線管の位置決めやX線の照射野の調整を自動的に実行することが可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段と、前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域の中心と、前記照射野の中心とが一致するように、前記X線管の位置を補正するX線管位置補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域と、前記照射野とが一致するように、前記コリメータリーフの位置を設定するコリメータリーフ位置設定手段とを備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段をさらに備えている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記コリメータリーフ位置設定手段は、コリメータランプを使用して形成した光照射野を前記カメラにより撮影し、前記カメラにより撮影した光照射野の端部が前記X線撮影領域と一致するように、コリメータリーフの位置を設定する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記コリメータリーフ位置設定手段は、前記X線撮影領域の情報と、前記X線管と前記X線検出器との距離の情報とを利用してコリメータリーフの位置を演算することにより、コリメータリーフの位置を設定する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することにより、前記被検者の位置を認識する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することにより、前記被検者の位置を認識する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像から被検者の位置を認識してX線撮影領域を設定し、撮影領域の中心と照射野の中心とが一致するようにX線管の位置を補正することから、オートポジショニングの実行後に、X線管の位置決めを自動的に実行することが可能となる。
【0014】
請求項2および請求項3に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像から被検者の位置を認識してX線撮影領域を設定し、撮影領域と照射野とが一致するようにコリメータリーフの位置を設定することから、コリメータリーフの位置決めを自動的に実行することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、カメラにより撮影した光照射野の端部がX線撮影領域と一致するようにコリメータリーフの位置を設定することから、コリメータリーフの位置決めを容易に実行することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、X線撮影領域の情報とX線管とX線検出器との距離の情報とを利用してコリメータリーフの位置を演算してコリメータリーフの位置を設定することから、コリメータリーフの位置決めを容易に実行することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することで被検者を認識することから、被検者の認識を正確かつ容易に実行することが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することで被検者を認識することから、被検者の認識を正確かつ容易に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るX線撮影装置を使用してX線撮影を行う様子を示す説明図である。
【図2】X線照射部3を、懸垂保持部4および水平移動部5とともに示す斜視図である。
【図3】コリメータ32の概要図である。
【図4】この発明に係るX線撮影装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】この発明に係るX線撮影装置による撮影動作を示すフローチャートである。
【図6】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図7】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図8】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図9】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図10】被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。
【図11】被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。
【図12】被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線撮影装置を使用してX線撮影を行う様子を示す説明図である。
【0021】
このX線撮影装置は、図1に示すように、被検者Mを起立姿勢で撮影するための立位スタンド1と、被検者Mを横たわらせた状態で撮影するための臥位テーブル2と、X線管31とコリメータ32とカメラ34とを備えるX線照射部3と、このX線照射部3を天井面59から昇降可能な状態で懸垂保持する懸垂保持部4と、X線照射部3を天井面59に沿って水平移動させる水平移動部5とを備える。X線照射部3は、懸垂保持部4および水平移動部5により、図1に実線で示す位置A、鎖線で示す位置Bおよび位置Cへ移動可能に構成されている。ここで、位置Aは、立位スタンド1によりX線撮影を実行する位置である。また、位置Bは、臥位テーブル2によりX線撮影を実行する位置である。さらに、位置Cは、退避位置である。
【0022】
立位スタンド1は、X線検出器としてのフラットパネルディテクタ7を収納するX線検出器収納部6を備える。このX線検出器収納部6は、図示しないガイド部材に案内されることにより、ケーシング11に対して昇降可能となっている。X線検出器収納部6の昇降位置のX線照射部3側には、被検者MとX線検出器収納部6との干渉を防止するための衝立10が設置されている。
【0023】
臥位テーブル2は、基台21と、被検者Mを載置するテーブル22と、立位スタンド1と同様のフラットパネルディテクタ7を収納するX線検出器収納部6とを備える。このX線検出器収納部6は、図示しないガイド部材に案内されることにより、テーブル22上の被検者Mの体軸方向に移動可能となっている。
【0024】
図2は、X線照射部3を、懸垂保持部4および水平移動部5とともに示す斜視図である。
【0025】
この水平移動部5は、懸垂保持部4に連結された支持部51と、天井面59に敷設された一対の固定レール52と、この固定レール52に沿って移動可能に接続された一対の可動レール53とを備える。懸垂保持部4は、支持部51を介して可動レール53に接続されており、この支持部51は、固定レール52に沿った移動方向(X方向)に可動レール53と一体的に移動するとともに、固定レール52に沿った移動方向と直交する方向(Y方向)に、可動レール53に沿って移動可能に接続されている。
【0026】
懸垂保持部4は、支持部51に連結された伸縮部41を備える。この伸縮部41は、鉛直方向(図2に示すZ方向)に伸縮可能に構成されており、伸縮部41の下端部には、X線照射部3が、水平方向を向く軸42を介して揺動可能に接続されている。このX線照射部3は、軸42を中心に揺動することにより、図1における位置Aでは、水平方向にX線を照射可能な状態となり、図1における位置Bでは鉛直方向にX線を照射可能な状態となる。
【0027】
図3は、上述したコリメータ32の概要図である。
【0028】
このコリメータ32は、4枚のコリメータリーフ33を備える。X線管31からのX線はこれら4枚のコリメータリーフ33により遮蔽され、矩形状のX線の照射野Eが形成される。
【0029】
図4は、この発明に係るX線撮影装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【0030】
このX線撮影装置は、装置全体を制御する制御部60を有する。この制御部60は、後述するオートポジショニング部61、被検者認識部62、撮影領域設定部63、X線管位置補正部64およびコリメータリーフ位置設定部65を備える。この制御部60は、上述したX線管31、フラットパネルディテクタ7、コリメータ32およびカメラ34と接続されている。また、この制御部60は、マウスやキーボードを備えた入力部66と、X線撮影画像や入力データ等を表示する表示部67と接続されている。さらに、この制御部60は、後述するアナトミカルプログラムを含む各種の情報を記憶する記憶部68とも接続されている。
【0031】
次に、この発明に係るX線撮影装置によるX線撮影動作について説明する。図5は、この発明に係るX線撮影装置による撮影動作を示すフローチャートである。
【0032】
X線撮影を開始するときには、最初に、オートポジショニングを行う(ステップS1)。このオートポジショニングは、図4に示すオートポジショニング部61により、記憶部68に記憶したアナトミカルプログラムに従って、X線管31を含むX線照射部3を被検者Mと対向する位置に移動させる工程である。このオートポジショニング時には、X線照射部3は、アナトミカルプログラムに従って、立位スタンド1において起立した被検者Mまたは臥位テーブル2に横たわった被検者Mにおける撮影部位と対向する位置まで移動する。
【0033】
X線照射部3が被検者Mにおける撮影部位と対向する位置に移動すれば、X線照射部3に付設されたカメラ34により、被検者Mを撮影する(ステップS2)。そして、図4に示す被検者認識部62により、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像から、被検者Mの位置を認識する(ステップS3)。
【0034】
図6乃至図8は、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。なお、この実施形態においては、被検者Mの胸部を撮影した場合を示している。
【0035】
図6に示すように、カメラ34により撮影した画像80には、被検者Mの画像81が含まれている。なお、このカメラ34による被検者Mの撮影領域は、図3に示すX線管31によるX線の照射野Eと一致するように、カメラ34の撮影領域等は、予め調整されているものとする。
【0036】
上述したオートポジショニングを行った場合であっても、図6に示すように、被検者Mの体格や姿勢等により、被検者Mの撮影部位の中心が、カメラ34による撮影領域の中心、すなわち、X線管31によるX線の照射野Eの中心と一致するわけではない。このため、従来のX線撮影装置においては、オペレータがX線管の位置決めを実行する必要があった。これに対して、この発明に係るX線撮影装置においては、後述する各工程により、この位置決めを自動的に実行するようにしている。
【0037】
位置決めを行うためには、最初に、図4に示す被検者認識部62により、被検者Mの位置を認識する(ステップS3)。この場合には、図7に示すように、予め記憶部68に記憶した被検者Mの輪郭を表すパターンデータ82と被検者Mを含む画像80とを比較することにより、被検者Mを含む画像80から被検者Mの画像81のエッジ部を認識し、これにより、被検者Mの位置を認識する。なお、被検者Mの輪郭を表すパターンデータ82は、被検者Mの体格が異なることを考慮して複数種のものを記憶しておき、それらのパターンデータから適当なものを選択してもよい。また、被検者Mの輪郭を表すパターンデータ82の左端と右端の距離を変更可能とすることにより、被検者Mの体格に対応させるようにしてもよい。
【0038】
次に、図4に示す撮影領域設定部63により、被検者認識部62により認識した被検者Mの位置から、X線撮影領域83を設定する(ステップS4)。この場合には、被検者Mの画像81の上下左右の端部を基準とし、撮影部位毎にその端部から一定距離だけ内側の領域を、X線撮影領域83として設定する。例えば、撮影部位が胸部の場合には、被検者Mの画像81の上下左右の端部から10cmだけ内側の領域をX線撮影領域83とすることができ、また、撮影部位が頭部の場合には、被検者Mの画像81の上下左右の端部から1cmだけ内側の領域をX線撮影領域83とすることができる。
【0039】
次に、図4に示すX線管位置補正部64により、X線管31の位置補正を実行する(ステップS5)。この場合には、撮影領域設定部63により設定したX線撮影領域83の中心と、X線管31によるX線の照射野Eの中心とが一致するように、水平移動部5または懸垂保持部4によりX線管31の位置を補正する。図8は、X線管31の位置補正を行った後のカメラ34による撮影画像を示している。
【0040】
そして、図4に示すコリメータリーフ位置設定部65により、コリメータ32におけるコリメータリーフ33の位置を設定する(ステップS6)。この場合には、撮影領域設定部63により設定したX線撮影領域83とX線の照射野Eとが一致するように、コリメータリーフ33の位置を設定する。
【0041】
このコリメータリーフ33の位置の設定は、例えば、図示しないコリメータランプを使用し、コリメータランプによる光照射野をカメラ34により撮影して、その端部が撮影領域83と一致する位置まで各コリメータリーフ33を移動させればよい。また、コリメータランプを使用するかわりに、X線撮影領域83のデータと、X線管31とフラットパネルディテクタ7との間の距離である線源受像画間距離(SID/Sourse Image Distance)とに基づいて、各コリメータリーフ33の位置を演算し、この演算された位置に各コリメータリーフ33を移動させるようにしてもよい。
【0042】
以上の工程が終了してX線撮影の準備が完了すれば、図4に示す制御部60は撮影準備が完了したことを表示部67等に表示する。そして、オペレータによる撮影指令がなされれば(ステップS7)、X線撮影を実行する(ステップS8)。
【0043】
なお、上述した実施形態においては、被検者認識部62がカメラ34により撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することにより被検者Mの位置を認識している。これに対して、カメラ34により撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することにより、被検者Mの位置を認識するようにしてもよい。
【0044】
図9は、このような実施形態において、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。また、図10乃至図12は、被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。なお、図10は被検者Mの胸部のパターン85を、図11は被検者Mの腕の部分のパターン86を、図12は被検者Mの首の部分のパターン87を、各々、示している。
【0045】
この実施形態においては、図9に示すカメラ34により撮影した被検者Mの画像84を含む画像80と、図10乃至図12に示す被検者Mの身体の各部位のパターン85、86、87とを比較する。そして、被検者Mの身体の各部位のパターン85、86、87と被検者Mの画像84とが最も重複する位置に基づいて、被検者Mの位置を認識する。このときには、被検者Mの身体の各部位のパターン85、86、87をその面積に応じて重み付けする。そして、被検者Mの位置が認識されれば、上述した実施形態と同様、図9に示すように、認識された被検者Mの位置からX線撮影領域83を設定する。
【0046】
X線撮影領域83が設定されれば、上述した実施形態と同様に、ステップS5からステップS8を順次実行することにより、X線撮影を行う。
【0047】
なお、上述した実施形態においては、撮影領域設定部63によりX線撮影領域を設定した後に、X線管位置補正部64における撮影領域の中心と照射野の中心とが一致するようにX線管31の位置を補正するとともに、コリメータリーフ位置設定部65によりX線撮影領域83とX線の照射野Eとが一致するようにコリメータリーフ33の位置を設定している。しかしながら、撮影領域設定部63によりX線撮影領域を設定した後に、X線管位置補正部64によるX線管31の位置補正と、コリメータリーフ位置設定部65によるコリメータリーフ33の位置設定とのいずれか一方のみを実行してもよい。
【0048】
また、上述した実施形態においては、アナトミカルプログラムを利用したオートポジショニングを実行した後に、コリメータリーフ位置設定部65によるコリメータリーフ33の位置設定を実行しているが、オペレータが手動でX線管31を移動させた後に、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を利用して、コリメータリーフ33の位置設定を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 立位スタンド
2 臥位テーブル
3 X線照射部
4 懸垂保持部
5 水平移動部
6 X線検出器収納部
7 フラットパネルディテクタ
10 衝立
11 ケーシング
22 テーブル
31 X線管
32 コリメータ
33 コリメータリーフ
34 カメラ
41 伸縮部
42 軸
51 支持部
52 固定レール
53 可動レール
59 天井
60 制御部
61 オートポジショニング部
62 被検者認識部
63 撮影領域設定部63
64 X線管位置補正部
65 コリメータリーフ位置設定部
81 被検者の画像
82 パターンデータ
83 X線撮影領域
E 照射野
M 被検者
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査対象である被検者を診断するためにX線撮影を行うX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなX線撮影装置は、被検者に対して移動可能なX線管と、このX線管から照射され被検者を通過したX線を検出するフラットパネルディテクタ等のX線検出器と、被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータとを備えている。
【0003】
ところで、このようなX線撮影装置においては、撮影部位に対して撮影条件を呼び出すことができるアナトミカルプログラムを利用したX線管のオートポジショニングが実行される。ここで、アナトミカルプログラムとは、撮影条件と、術式および被検者の撮影部位とを含む撮影方法とを関連付けたデータ構造を意味する。このようなオートポジショニングを実行することにより、X線管を撮影位置付近にまで自動的に移動させることが可能となる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−125981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したアナトミカルプログラムを利用したオートポジショニングにおいては、X線管を撮影位置付近まで自動的に移動させることは可能である。しかしながら、実際にX線撮影を実行する前には、被検者の体格や位置に応じて、オペレータがX線管の位置決めを実行する必要がある。また、これと並行して、コリメータリーフの開き量を調整することにより、X線の照射野も調整する必要が生ずる。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、X線管の位置決めやX線の照射野の調整を自動的に実行することが可能なX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段と、前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域の中心と、前記照射野の中心とが一致するように、前記X線管の位置を補正するX線管位置補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域と、前記照射野とが一致するように、前記コリメータリーフの位置を設定するコリメータリーフ位置設定手段とを備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段をさらに備えている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記コリメータリーフ位置設定手段は、コリメータランプを使用して形成した光照射野を前記カメラにより撮影し、前記カメラにより撮影した光照射野の端部が前記X線撮影領域と一致するように、コリメータリーフの位置を設定する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記コリメータリーフ位置設定手段は、前記X線撮影領域の情報と、前記X線管と前記X線検出器との距離の情報とを利用してコリメータリーフの位置を演算することにより、コリメータリーフの位置を設定する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することにより、前記被検者の位置を認識する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することにより、前記被検者の位置を認識する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像から被検者の位置を認識してX線撮影領域を設定し、撮影領域の中心と照射野の中心とが一致するようにX線管の位置を補正することから、オートポジショニングの実行後に、X線管の位置決めを自動的に実行することが可能となる。
【0014】
請求項2および請求項3に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像から被検者の位置を認識してX線撮影領域を設定し、撮影領域と照射野とが一致するようにコリメータリーフの位置を設定することから、コリメータリーフの位置決めを自動的に実行することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、カメラにより撮影した光照射野の端部がX線撮影領域と一致するようにコリメータリーフの位置を設定することから、コリメータリーフの位置決めを容易に実行することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、X線撮影領域の情報とX線管とX線検出器との距離の情報とを利用してコリメータリーフの位置を演算してコリメータリーフの位置を設定することから、コリメータリーフの位置決めを容易に実行することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することで被検者を認識することから、被検者の認識を正確かつ容易に実行することが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、カメラにより撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することで被検者を認識することから、被検者の認識を正確かつ容易に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るX線撮影装置を使用してX線撮影を行う様子を示す説明図である。
【図2】X線照射部3を、懸垂保持部4および水平移動部5とともに示す斜視図である。
【図3】コリメータ32の概要図である。
【図4】この発明に係るX線撮影装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】この発明に係るX線撮影装置による撮影動作を示すフローチャートである。
【図6】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図7】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図8】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図9】カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。
【図10】被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。
【図11】被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。
【図12】被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るX線撮影装置を使用してX線撮影を行う様子を示す説明図である。
【0021】
このX線撮影装置は、図1に示すように、被検者Mを起立姿勢で撮影するための立位スタンド1と、被検者Mを横たわらせた状態で撮影するための臥位テーブル2と、X線管31とコリメータ32とカメラ34とを備えるX線照射部3と、このX線照射部3を天井面59から昇降可能な状態で懸垂保持する懸垂保持部4と、X線照射部3を天井面59に沿って水平移動させる水平移動部5とを備える。X線照射部3は、懸垂保持部4および水平移動部5により、図1に実線で示す位置A、鎖線で示す位置Bおよび位置Cへ移動可能に構成されている。ここで、位置Aは、立位スタンド1によりX線撮影を実行する位置である。また、位置Bは、臥位テーブル2によりX線撮影を実行する位置である。さらに、位置Cは、退避位置である。
【0022】
立位スタンド1は、X線検出器としてのフラットパネルディテクタ7を収納するX線検出器収納部6を備える。このX線検出器収納部6は、図示しないガイド部材に案内されることにより、ケーシング11に対して昇降可能となっている。X線検出器収納部6の昇降位置のX線照射部3側には、被検者MとX線検出器収納部6との干渉を防止するための衝立10が設置されている。
【0023】
臥位テーブル2は、基台21と、被検者Mを載置するテーブル22と、立位スタンド1と同様のフラットパネルディテクタ7を収納するX線検出器収納部6とを備える。このX線検出器収納部6は、図示しないガイド部材に案内されることにより、テーブル22上の被検者Mの体軸方向に移動可能となっている。
【0024】
図2は、X線照射部3を、懸垂保持部4および水平移動部5とともに示す斜視図である。
【0025】
この水平移動部5は、懸垂保持部4に連結された支持部51と、天井面59に敷設された一対の固定レール52と、この固定レール52に沿って移動可能に接続された一対の可動レール53とを備える。懸垂保持部4は、支持部51を介して可動レール53に接続されており、この支持部51は、固定レール52に沿った移動方向(X方向)に可動レール53と一体的に移動するとともに、固定レール52に沿った移動方向と直交する方向(Y方向)に、可動レール53に沿って移動可能に接続されている。
【0026】
懸垂保持部4は、支持部51に連結された伸縮部41を備える。この伸縮部41は、鉛直方向(図2に示すZ方向)に伸縮可能に構成されており、伸縮部41の下端部には、X線照射部3が、水平方向を向く軸42を介して揺動可能に接続されている。このX線照射部3は、軸42を中心に揺動することにより、図1における位置Aでは、水平方向にX線を照射可能な状態となり、図1における位置Bでは鉛直方向にX線を照射可能な状態となる。
【0027】
図3は、上述したコリメータ32の概要図である。
【0028】
このコリメータ32は、4枚のコリメータリーフ33を備える。X線管31からのX線はこれら4枚のコリメータリーフ33により遮蔽され、矩形状のX線の照射野Eが形成される。
【0029】
図4は、この発明に係るX線撮影装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【0030】
このX線撮影装置は、装置全体を制御する制御部60を有する。この制御部60は、後述するオートポジショニング部61、被検者認識部62、撮影領域設定部63、X線管位置補正部64およびコリメータリーフ位置設定部65を備える。この制御部60は、上述したX線管31、フラットパネルディテクタ7、コリメータ32およびカメラ34と接続されている。また、この制御部60は、マウスやキーボードを備えた入力部66と、X線撮影画像や入力データ等を表示する表示部67と接続されている。さらに、この制御部60は、後述するアナトミカルプログラムを含む各種の情報を記憶する記憶部68とも接続されている。
【0031】
次に、この発明に係るX線撮影装置によるX線撮影動作について説明する。図5は、この発明に係るX線撮影装置による撮影動作を示すフローチャートである。
【0032】
X線撮影を開始するときには、最初に、オートポジショニングを行う(ステップS1)。このオートポジショニングは、図4に示すオートポジショニング部61により、記憶部68に記憶したアナトミカルプログラムに従って、X線管31を含むX線照射部3を被検者Mと対向する位置に移動させる工程である。このオートポジショニング時には、X線照射部3は、アナトミカルプログラムに従って、立位スタンド1において起立した被検者Mまたは臥位テーブル2に横たわった被検者Mにおける撮影部位と対向する位置まで移動する。
【0033】
X線照射部3が被検者Mにおける撮影部位と対向する位置に移動すれば、X線照射部3に付設されたカメラ34により、被検者Mを撮影する(ステップS2)。そして、図4に示す被検者認識部62により、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像から、被検者Mの位置を認識する(ステップS3)。
【0034】
図6乃至図8は、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。なお、この実施形態においては、被検者Mの胸部を撮影した場合を示している。
【0035】
図6に示すように、カメラ34により撮影した画像80には、被検者Mの画像81が含まれている。なお、このカメラ34による被検者Mの撮影領域は、図3に示すX線管31によるX線の照射野Eと一致するように、カメラ34の撮影領域等は、予め調整されているものとする。
【0036】
上述したオートポジショニングを行った場合であっても、図6に示すように、被検者Mの体格や姿勢等により、被検者Mの撮影部位の中心が、カメラ34による撮影領域の中心、すなわち、X線管31によるX線の照射野Eの中心と一致するわけではない。このため、従来のX線撮影装置においては、オペレータがX線管の位置決めを実行する必要があった。これに対して、この発明に係るX線撮影装置においては、後述する各工程により、この位置決めを自動的に実行するようにしている。
【0037】
位置決めを行うためには、最初に、図4に示す被検者認識部62により、被検者Mの位置を認識する(ステップS3)。この場合には、図7に示すように、予め記憶部68に記憶した被検者Mの輪郭を表すパターンデータ82と被検者Mを含む画像80とを比較することにより、被検者Mを含む画像80から被検者Mの画像81のエッジ部を認識し、これにより、被検者Mの位置を認識する。なお、被検者Mの輪郭を表すパターンデータ82は、被検者Mの体格が異なることを考慮して複数種のものを記憶しておき、それらのパターンデータから適当なものを選択してもよい。また、被検者Mの輪郭を表すパターンデータ82の左端と右端の距離を変更可能とすることにより、被検者Mの体格に対応させるようにしてもよい。
【0038】
次に、図4に示す撮影領域設定部63により、被検者認識部62により認識した被検者Mの位置から、X線撮影領域83を設定する(ステップS4)。この場合には、被検者Mの画像81の上下左右の端部を基準とし、撮影部位毎にその端部から一定距離だけ内側の領域を、X線撮影領域83として設定する。例えば、撮影部位が胸部の場合には、被検者Mの画像81の上下左右の端部から10cmだけ内側の領域をX線撮影領域83とすることができ、また、撮影部位が頭部の場合には、被検者Mの画像81の上下左右の端部から1cmだけ内側の領域をX線撮影領域83とすることができる。
【0039】
次に、図4に示すX線管位置補正部64により、X線管31の位置補正を実行する(ステップS5)。この場合には、撮影領域設定部63により設定したX線撮影領域83の中心と、X線管31によるX線の照射野Eの中心とが一致するように、水平移動部5または懸垂保持部4によりX線管31の位置を補正する。図8は、X線管31の位置補正を行った後のカメラ34による撮影画像を示している。
【0040】
そして、図4に示すコリメータリーフ位置設定部65により、コリメータ32におけるコリメータリーフ33の位置を設定する(ステップS6)。この場合には、撮影領域設定部63により設定したX線撮影領域83とX線の照射野Eとが一致するように、コリメータリーフ33の位置を設定する。
【0041】
このコリメータリーフ33の位置の設定は、例えば、図示しないコリメータランプを使用し、コリメータランプによる光照射野をカメラ34により撮影して、その端部が撮影領域83と一致する位置まで各コリメータリーフ33を移動させればよい。また、コリメータランプを使用するかわりに、X線撮影領域83のデータと、X線管31とフラットパネルディテクタ7との間の距離である線源受像画間距離(SID/Sourse Image Distance)とに基づいて、各コリメータリーフ33の位置を演算し、この演算された位置に各コリメータリーフ33を移動させるようにしてもよい。
【0042】
以上の工程が終了してX線撮影の準備が完了すれば、図4に示す制御部60は撮影準備が完了したことを表示部67等に表示する。そして、オペレータによる撮影指令がなされれば(ステップS7)、X線撮影を実行する(ステップS8)。
【0043】
なお、上述した実施形態においては、被検者認識部62がカメラ34により撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することにより被検者Mの位置を認識している。これに対して、カメラ34により撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することにより、被検者Mの位置を認識するようにしてもよい。
【0044】
図9は、このような実施形態において、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を模式的に示す説明図である。また、図10乃至図12は、被検者Mの身体の各部位のパターンを模式的に示す説明図である。なお、図10は被検者Mの胸部のパターン85を、図11は被検者Mの腕の部分のパターン86を、図12は被検者Mの首の部分のパターン87を、各々、示している。
【0045】
この実施形態においては、図9に示すカメラ34により撮影した被検者Mの画像84を含む画像80と、図10乃至図12に示す被検者Mの身体の各部位のパターン85、86、87とを比較する。そして、被検者Mの身体の各部位のパターン85、86、87と被検者Mの画像84とが最も重複する位置に基づいて、被検者Mの位置を認識する。このときには、被検者Mの身体の各部位のパターン85、86、87をその面積に応じて重み付けする。そして、被検者Mの位置が認識されれば、上述した実施形態と同様、図9に示すように、認識された被検者Mの位置からX線撮影領域83を設定する。
【0046】
X線撮影領域83が設定されれば、上述した実施形態と同様に、ステップS5からステップS8を順次実行することにより、X線撮影を行う。
【0047】
なお、上述した実施形態においては、撮影領域設定部63によりX線撮影領域を設定した後に、X線管位置補正部64における撮影領域の中心と照射野の中心とが一致するようにX線管31の位置を補正するとともに、コリメータリーフ位置設定部65によりX線撮影領域83とX線の照射野Eとが一致するようにコリメータリーフ33の位置を設定している。しかしながら、撮影領域設定部63によりX線撮影領域を設定した後に、X線管位置補正部64によるX線管31の位置補正と、コリメータリーフ位置設定部65によるコリメータリーフ33の位置設定とのいずれか一方のみを実行してもよい。
【0048】
また、上述した実施形態においては、アナトミカルプログラムを利用したオートポジショニングを実行した後に、コリメータリーフ位置設定部65によるコリメータリーフ33の位置設定を実行しているが、オペレータが手動でX線管31を移動させた後に、カメラ34により撮影した被検者Mを含む画像80を利用して、コリメータリーフ33の位置設定を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 立位スタンド
2 臥位テーブル
3 X線照射部
4 懸垂保持部
5 水平移動部
6 X線検出器収納部
7 フラットパネルディテクタ
10 衝立
11 ケーシング
22 テーブル
31 X線管
32 コリメータ
33 コリメータリーフ
34 カメラ
41 伸縮部
42 軸
51 支持部
52 固定レール
53 可動レール
59 天井
60 制御部
61 オートポジショニング部
62 被検者認識部
63 撮影領域設定部63
64 X線管位置補正部
65 コリメータリーフ位置設定部
81 被検者の画像
82 パターンデータ
83 X線撮影領域
E 照射野
M 被検者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、
前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、
アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段と、
前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、
前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、
前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域の中心と、前記照射野の中心とが一致するように、前記X線管の位置を補正するX線管位置補正手段と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、
前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、
前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、
前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、
前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域と、前記照射野とが一致するように、前記コリメータリーフの位置を設定するコリメータリーフ位置設定手段と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線撮影装置において、
アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段をさらに備えるX線撮影装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のX線撮影装置において、
前記コリメータリーフ位置設定手段は、コリメータランプを使用して形成した光照射野を前記カメラにより撮影し、前記カメラにより撮影した光照射野の端部が前記X線撮影領域と一致するように、コリメータリーフの位置を設定するX線撮影装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載のX線撮影装置において、
前記コリメータリーフ位置設定手段は、前記X線撮影領域の情報と、前記X線管と前記X線検出器との距離の情報とを利用してコリメータリーフの位置を演算することにより、コリメータリーフの位置を設定するX線撮影装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のX線撮影装置において、
前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することにより、前記被検者の位置を認識するX線撮影装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のX線撮影装置において、
前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することにより、前記被検者の位置を認識するX線撮影装置。
【請求項1】
被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、
前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、
アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段と、
前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、
前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、
前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域の中心と、前記照射野の中心とが一致するように、前記X線管の位置を補正するX線管位置補正手段と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項2】
被検者に対して移動可能なX線管と、前記X線管から照射され前記被検者を通過したX線を検出するX線検出器と、前記被検者に照射されるX線の照射野を制限するコリメータリーフを有するコリメータと、を備えたX線撮影装置において、
前記X線管に付設され、当該X線管と同期して移動するカメラと、
前記X線管が前記被検者と対向した位置に移動した状態で前記カメラにより撮影した前記被検者を含む画像から、前記被検者の位置を認識する被検者認識手段と、
前記被検者認識手段により認識した被検者の位置から、X線撮影領域を設定する撮影領域設定手段と、
前記撮影領域設定手段により設定したX線撮影領域と、前記照射野とが一致するように、前記コリメータリーフの位置を設定するコリメータリーフ位置設定手段と、
を備えたことを特徴とするX線撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線撮影装置において、
アナトミカルプログラムに従って前記X線管を前記被検者と対向する位置に移動させるオートポジショニング手段をさらに備えるX線撮影装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のX線撮影装置において、
前記コリメータリーフ位置設定手段は、コリメータランプを使用して形成した光照射野を前記カメラにより撮影し、前記カメラにより撮影した光照射野の端部が前記X線撮影領域と一致するように、コリメータリーフの位置を設定するX線撮影装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載のX線撮影装置において、
前記コリメータリーフ位置設定手段は、前記X線撮影領域の情報と、前記X線管と前記X線検出器との距離の情報とを利用してコリメータリーフの位置を演算することにより、コリメータリーフの位置を設定するX線撮影装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のX線撮影装置において、
前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像におけるエッジ部を認識することにより、前記被検者の位置を認識するX線撮影装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のX線撮影装置において、
前記被検者認識手段は、前記カメラにより撮影した被検者を含む画像に対してパターン認識を実行することにより、前記被検者の位置を認識するX線撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−147978(P2012−147978A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9398(P2011−9398)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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