説明

X線検査装置

【課題】複数のX線照射装置を備えるX線検査装置であって、X線照射に使用される電力量を抑えることができるX線検査装置を提供する。
【解決手段】搬送されてくる検査対象物1をX線により検査するX線検査装置であって、検査対象物1の搬送方向に沿って順に配置され、搬送されてくる検査対象物にX線を照射する複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fと、該複数のX線照射装置から照射され検査対象物1を透過してきたX線をそれぞれ検出する複数のX線検出装置7a,7b,7c,7d,7e,7fと、検査対象物1が搬送方向下流側に搬送されて来るに従って、複数のX線照射装置を搬送方向上流側から順に作動させて各X線照射装置にX線照射を行わせる制御装置9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されてくる検査対象物をX線により検査するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検査装置は、検査対象物が爆発物等の不審物でないかどうかを検査する装置である。例えば、X線検査装置は、空港の搭乗口における手荷物検査のために設けられる。
【0003】
X線検査装置は、X線照射装置、X線検出装置などを備える。X線照射装置は、コンベア等により搬送されてくる検査対象物にX線を照射する。X線検出装置は、検査対象物を透過したX線を検出し、これにより、検査用データ(例えば、X線透過画像)が得られる。
【0004】
近年、X線検査装置に複数のX線照射装置を設けることが提案されている。図6は、複数のX線照射装置を備えるX線検査装置を示し、(A)は上面図であり(B)は(A)のB−B線矢視図である。図6(A)に示すように、複数のX線照射装置41a,41b,41c,41d,41e,41fが、搬送方向上流側から順に配置される。また、図6(B)に示すように、複数のX線照射装置41a,41b,41c,41d,41e,41fを、通過する検査対象物1に対し互いに異なる方向に配置することで、検査対象物1に対し異なる方向からX線を照射できるようになっている。これに合わせて、X線検出装置43a,43b,43c,43d,43e,43fも複数設けられ、複数の方向からの検査用データを得ることができる。これにより、検査対象物1の検査精度を向上させている。
複数のX線照射装置を用いたX線検査装置は、例えば下記の特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2003−207464 「手荷物検査システム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図6において、複数のX線照射装置41a,41b,41c,41d,41e,41fは、センサ45が検査対象物1を検知すると一斉に作動させられてX線を照射し、検査対象物1がこれらX線照射装置を通過するまで、X線の照射を継続する。そのため、X線照射に使用される電力量が大きくなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数のX線照射装置を備えるX線検査装置であって、X線照射に使用される電力量を抑えることができるX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、搬送されてくる検査対象物をX線により検査するX線検査装置であって、
検査対象物の搬送方向に沿って順に配置され、搬送されてくる検査対象物にX線を照射する複数のX線照射装置と、
該複数のX線照射装置から照射され検査対象物を透過してきたX線をそれぞれ検出する複数のX線検出装置と、
検査対象物が搬送方向下流側に搬送されて来るに従って、前記複数のX線照射装置を搬送方向上流側から順に作動させて各X線照射装置にX線照射を行わせる制御装置と、を備える、ことを特徴とするX線検査装置が提供される。
【0008】
上記構成では、制御装置は、検査対象物が搬送方向下流側に搬送されて来るに従って、前記複数のX線照射装置を搬送方向上流側から順に作動させて各X線照射装置にX線照射を行わせるので、検査対象物に照射されないX線放射量を低減できる。これにより、X線照射に使用される電力量を抑えることができる。
【0009】
好ましくは、制御装置は、各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が到達する各タイミングで、前記各X線照射装置を作動させる。従って、検査対象物が各X線照射箇所に到達する前は、当該箇所にX線を照射しないようにできる。これにより、X線照射に使用される電力量を一層抑えることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、前記制御装置は、
前記複数のX線照射装置の搬送方向上流側における所定位置に検査対象物が存在するかを検知可能な検知器と、
前記X線照射装置を作動させる作動装置と、を備え、
前記検知器は、前記所定位置に検査対象物が存在することを検知したらその旨の検知信号を前記作動装置に出力し、前記作動装置は、前記検知信号を受けた時点からそれぞれ異なる時間間隔を置いた各タイミングで前記各X線照射装置を作動させる。
【0011】
上記実施形態では、前記検知器は、前記所定位置に検査対象物が存在することを検知したらその旨の検知信号を前記作動装置に出力し、前記作動装置は、前記検知信号を受けた時点からそれぞれ異なる時間間隔を置いた各タイミングで前記各X線照射装置を作動させる。このような手段を採用することで、検査対象物に照射されないX線照射量を低減できる。また、各時間間隔を適切に設定することで、各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が到達する各タイミングで、前記各X線照射装置を作動させて検査対象物にX線照射を行える。
【0012】
本発明の別の実施形態によると、前記制御装置は、
各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が存在するかを検知可能に、これらX線照射箇所に対応してそれぞれ設けられる複数の検知器と、
前記X線照射装置を作動させる作動装置と、を備え、
前記各検知器は、検査対象物が前記X線照射箇所に存在することを検知したらその旨の検知信号を出力し、前記作動装置は、この検知信号に反応して、当該X線照射箇所にX線照射を行う前記X線照射装置を作動させる。
【0013】
上記実施形態では、前記各検知器は、検査対象物が前記X線照射箇所に存在することを検知したらその旨の検知信号を出力し、前記作動装置は、この検知信号に反応して、当該X線照射箇所にX線照射を行う前記X線照射装置を作動させる。このような構成を採用することで、各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が到達する各タイミングで、前記各X線照射装置を作動させて検査対象物にX線照射を行える。
【0014】
本発明の別の実施形態によると、前記制御装置は、
前記X線検出装置が検出するX線の強度に基づいて、このX線を照射する前記X線照射装置のX照射箇所に検査対象物が存在するかを検知可能な検知器と、
前記X線照射装置を作動させる作動装置と、を備え、
前記検知器は、前記X線照射装置の前記X照射箇所に検査対象物が存在することを検知したら、その旨の検知信号を前記作動装置に出力し、前記作動装置は、この検知信号に反応して、当該X線照射装置の次に下流側に位置する前記X線照射装置を作動させる。
【0015】
上記実施形態では、検知器は、前記X線検出装置が検出するX線の強度に基づいて、このX線を照射する前記X線照射装置の前記X照射箇所に検査対象物が存在することを検知したら、その旨の検知信号を前記作動装置に出力し、前記作動装置は、この検知信号に反応して、当該X線照射装置の次に下流側に位置する前記X線照射装置を作動させる。このような構成を採用することで、検査対象物に照射されないX線照射量を低減できる。また、上記検知信号を受けてから適切な時間間隔を置いて次のX線照射装置を作動させるように前記作動装置を構成することで、各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が到達する各タイミングで、前記各X線照射装置を作動させて検査対象物にX線照射を行える。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明によると、制御装置は、検査対象物の搬送方向下流側に搬送されて来るに従って、前記複数のX線照射装置を搬送方向上流側から順に作動させて各X線照射装置にX線照射を行わせるので、X線照射に使用される電力量を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態によるX線検査装置10の構成を示す上面図である。図2は、図1のII−II線矢視図であり、図3は、図1のIII−III線矢視図である。図1〜図3に示すように、第1実施形態によるX線検査装置10は、コンベヤ3によって一定速度で搬送されてくる検査対象物1をX線により検査する装置であって、複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5f、複数のX線検出装置7a,7b,7c,7d,7e,7f、制御装置9を備える。
【0019】
複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fは、検査対象物1の搬送方向に沿って順に配置され、搬送されてくる検査対象物1にX線を照射する。図2の例では、これらX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fは、コンベヤ3に積載される検査対象物1(図2では、基準点A)に対し異なる方向に配置される。
【0020】
複数のX線検出装置7a,7b,7c,7d,7e,7fは、複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fにそれぞれ対応して設けられ、複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fから照射され検査対象物1を透過してきたX線をそれぞれ検出する。
【0021】
制御装置9は、検査対象物1が搬送方向下流側に搬送されて来るに従って、複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを搬送方向上流側から順に作動(作動開始)させて各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fにX線照射を行わせる。好ましくは、制御装置9は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに検査対象物1が到達する各タイミングで、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させる。
第1実施形態によると、制御装置9は、検知器11、作動装置13を有する。
検知器11は、複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fの搬送方向上流側における所定位置P(即ち、所定の搬送方向位置P)に検査対象物1が存在するかを検知可能であり、所定位置Pに検査対象物1が存在することを検知すると、その旨の検知信号を作動装置13と後述の時間計測器15に出力する。また、検知器11は、所定位置Pに検査対象物1が存在していることを継続して検知する場合には、その間、継続して検知信号を出力する。検知器11は、例えば発光素子と受光素子を用いた光学式のものであってもよく、他の構成を有するものであってもよい。
作動装置13は、X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させる。作動装置13は、検知信号を受けた時点からそれぞれ異なる時間間隔を置いた各タイミングで各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させる。これらの異なる時間間隔は、検査対象物1の搬送方向長さ、検査対象物1の一定搬送速度、および、上記所定位置Pと各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5f(即ち、各X線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6f)との位置関係などに基づいて、予め定められて作動装置13の記憶手段に記憶されてよい。一例では、これら時間間隔は、所定位置Pから各X線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fまでの距離を検査対象物1の一定搬送速度で割った値である。このような時間間隔を設定することで、検査対象物1が各X線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに到達する各タイミングで、検査対象物1にX線を照射できる。
【0022】
第1実施形態の制御装置9は、時間計測器15をさらに有してよい。時間計測器15は、検知器11から上記検知信号を受け、この検知信号を受けている時間(即ち、検査対象物1が所定位置Pを通過するのに要する通過時間)をカウントし、このカウント値を作動装置13に出力する。このカウント値は、一例では、検査対象物1の搬送方向長さを一定搬送速度で割った値に等しい。作動装置13は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動してから上記カウント値だけ時間経過した各時点で、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fの作動を停止させる。
【0023】
次に、上述した第1実施形態によるX線検査装置10の動作を説明する。
検査対象物1がコンベヤ3により搬送されて上記所定位置Pに到達すると、検査対象物1が検知器11に検知され、検知器11は検知信号を作動装置13に出力する。次に、作動装置13は、検知信号を受けた基準時点から時間のカウントを行い、これにより、自動的に、基準時点から時間間隔t1だけ経過したタイミングでX線照射装置5aを作動させ、基準時点から時間間隔t2だけ経過したタイミングでX線照射装置5bを作動させ、・・・基準時点から時間間隔t6だけ経過したタイミングでX線照射装置5fを作動させる。
一方、上記検知信号は、時間計測器15にも出力され、時間計測器15は検知信号を受けている時間をカウントし、このカウント値を作動装置13に出力する。作動装置13は、このカウント値をその記憶手段に記憶し、X線照射装置5aを作動させてから上記カウント値だけ時間経過した時点で、X線照射装置5aの作動を停止させ、X線照射装置5bを作動させてから上記カウント値だけ経過した時点でX線照射装置5bの作動を停止させ、・・・X線照射装置5fを作動させてから上記カウント値だけ経過した時点でX線照射装置5fの作動を停止させる。
なお、複数の検査対象物1が順次搬送されてくる場合に、検査対象物1の間隔が小さい場合には、これらを1つの検査対象物1と見なしてもよい。例えば、検知器11が先行の検査対象物1を検知しなくなった時から次の検査対象物1を検知するまでの時間を、時間計測器15が上記の検知信号に基づいて計測する。作動装置13は、この計測値を受け、この計測値が所定値より小さいと判断した場合には、これらを1つの検査対象物と見なして、上述の動作を行ってもよい。
【0024】
上述した第1実施形態のX線検査装置10によると、検知器11は、上記所定位置Pに検査対象物1が存在することを検知したらその旨の検知信号を作動装置13に出力し、作動装置13は、上記検知信号を受けた時点からそれぞれ異なる時間間隔を置いた各タイミングで各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させる。これにより、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに検査対象物1が到達する各タイミングで、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させて検査対象物1にX線照射を行える。よって、X線照射に使用される電力量を抑えることができる。
また、作動装置13は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させてから、上記カウント値(即ち、当該X線照射装置のX線照射箇所を検査対象物1が通過する時間)だけ経過した時点で、当該X線照射装置の作動を停止させる。これにより、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射時間を最小限に抑えることができる。
【0025】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態によるX線検査装置20の構成を示す上面図である。以下において、第1実施形態と異なる第2実施形態の構成について説明するが、第2実施形態の他の構成は第1実施形態と同じであってよい。
【0026】
第2実施形態では、制御装置の構成が第1実施形態と異なる。第2実施形態によると、制御装置17は、複数の検知器19a,19b,19c,19d,19e,19f、作動装置21を有する。
複数の検知器19a,19b,19c,19d,19e,19fは、それぞれX線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに検査対象物1が存在するかを検知可能に、これらX線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに対応してそれぞれ設けられる。即ち、検知器19aは、X線照射箇所6aに対応して設けられX線照射箇所6aに検査対象物1が存在することを検知したら検知信号を出力し、検知器19bは、X線照射箇所6bに対応して設けられX線照射箇所6bに検査対象物1が存在することを検知したら検知信号を出力し・・・検知器19fは、X線照射箇所6fに対応して設けられX線照射箇所6fに検査対象物1が存在することを検知したら検知信号を出力する。検知器19a,19b,19c,19d,19e,19fは、例えば発光素子と受光素子を用いた光学式のものであってもよく、他の構成を有するものであってもよい。
作動装置21は、各検出器からの上記検知信号に反応して、対応するX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させる。即ち、作動装置21は、検出器19aから上記検知信号を受けるとX線照射装置5aを作動させ、検出器19bから上記検知信号を受けるとX線照射装置5bを作動させ、・・・検出器19fから上記検知信号を受けるとX線照射装置5fを作動させる。
【0027】
また、第2実施形態では、制御装置17は、検査対象物1の通過時間を計測するために、検知器23と時間計測器25を有する。検知器23は、複数のX線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fの上流側における所定位置Pに検査対象物1が存在するかを検知可能に設けられる。検知器23は、所定位置Pに検査対象物が存在することを検知すると、その旨の検知信号を出力する。また、検知器23は、所定位置Pに検査対象物1が存在していることを継続して検知する場合には、その間、継続して検知信号を出力する。検知器23は、例えば発光素子と受光素子を用いた光学式のものであってもよく、他の構成を有するものであってもよい。時間計測器25は、検知器23から検知信号を受けている時間(即ち、検査対象物1が所定位置Pを通過するのに要する通過時間)をカウントし、このカウント値を作動装置21に出力する。このカウント値は、一例では、検査対象物1の搬送方向長さを一定搬送速度で割った値に等しい。作動装置21は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動してから上記カウント値だけ時間経過したら、当該X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fの作動を停止させる。
【0028】
次に、上述した第2実施形態によるX線検査装置20の動作を説明する。
検査対象物1がコンベヤ3により搬送されて上記所定位置Pに到達すると、検査対象物1が検知器23に検知され、この検知信号が時間計測器25に出力される。時間計測器25はこの検知信号を受けている時間をカウントし、このカウント値を作動装置21に出力する。作動装置21は、このカウント値をその記憶手段に記憶する。
その後、検査対象物1が搬送されてX線照射箇所6aに到達すると、検知器19aは、X線照射箇所6aに検査対象物1が存在することを検知して検知信号を作動装置21に出力する。これと同時に、作動装置21は、この検知信号に反応して、X線照射装置5aを作動させる。また、作動装置21は、X線照射装置5aを作動させてから、時間計測をして、その記憶手段に記憶された上記カウント値だけ時間経過したと判断したら、X線照射装置5aの作動を停止させる。その後、検査対象物1が、さらに搬送され次のX線照射箇所6bに到達すると、同様に、検知器19bは、X線照射箇所6bに検査対象物1が存在することを検知して検知信号を作動装置21に出力する。これと同時に、作動装置21は、この検知信号に反応して、X線照射装置5bを作動させる。また、作動装置21は、X線照射装置5bを作動させてから、時間計測をして、その記憶手段に記憶された上記カウント値だけ時間経過したと判断したら、X線照射装置5bの作動を停止させる。このような動作を、最も下流側のX線照射装置5fを作動させて作動停止させるまで行う。
なお、複数の検査対象物1が順次搬送されてくる場合に、検査対象物1の間隔が小さい場合には、これらを1つの検査対象物1と見なしてもよい。例えば、検知器23が先行の検査対象物1を検知しなくなった時から次の検査対象物1を検知するまでの時間を、時間計測器25が上記の検知信号に基づいて計測する。作動装置21は、この計測値を受け、この計測値が所定値より小さいと判断した場合には、これらを1つの検査対象物と見なして、上述の動作を行ってもよい。
【0029】
また、検知器23と時間計測器25を設けなくてもよい。この場合には、X線検査装置20は次のように動作する。検査対象物1がコンベヤ3により搬送されX線照射箇所6aに到達すると、検知器19aは、X線照射箇所6aに検査対象物1が存在することを検知して検知信号を出力する。これと同時に、作動装置21は、この検知信号に反応して、X線照射装置5aを作動させる。その後、検知器19aが、X線照射箇所6aにて検査対象物1を検知できなくなったら、その旨の非検知信号を出力する。これと同時に、作動装置21は、この非検知信号に反応してX線照射装置5aの作動を停止させる。その後、検査対象物1が、さらに搬送され次のX線照射箇所6bに到達すると、検知器19bは、X線照射箇所6bに検査対象物1が存在することを検知して検知信号を出力する。これと同時に、作動装置21は、この検知信号に反応して、X線照射装置5bを作動させる。その後、検知器19bが、X線照射箇所6bにて検査対象物1を検知できなくなったら、その旨の非検知信号を出力する。これと同時に、作動装置21は、この非検知信号に反応してX線照射装置5bの作動を停止させる。このような動作を、最も下流側のX線照射装置5fを作動させて作動停止させるまで行う。
【0030】
上述した第2実施形態のX線検査装置20によると、各検知器19a,19b,19c,19d,19e,19fは、検査対象物1がX線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに存在することを検知したらその旨の検知信号を出力し、作動装置21は、この検知信号に反応して、当該X線照射箇所にX線照射を行うX線照射装置を作動させる。従って、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに検査対象物1が到達する各タイミングで、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させて検査対象物1にX線照射を行える。よって、X線照射に使用される電力量を抑えることができる。
また、作動装置21は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させてから、上記カウント値(即ち、当該X線照射装置のX線照射箇所を検査対象物1が通過する時間)だけ経過した時点で、当該X線照射装置の作動を停止させる。これにより、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射時間を最小限に抑えることができる。または、作動装置21は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させてから、当該X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物1が存在しない旨の非検知信号を検知器19a,19b,19c,19d,19e,19fから受けると当該X線照射装置の作動を停止させる。これによっても、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射時間を最小限に抑えることができる。
【0031】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態によるX線検査装置30の構成を示す上面図である。以下において、第1実施形態と異なる第3実施形態の構成について説明する。第3実施形態の他の構成は第1実施形態と同じであってよい。
【0032】
第3実施形態では、制御装置17の構成が第1実施形態と異なる。第3実施形態では、制御装置31は、検知器33、検知器35、作動装置37を有する。
検知器33は、最も上流側に位置するX線照射箇所6aに検査対象物1が存在するかを検知可能に設けられる。検知器33は、最上流のX線照射箇所6aに検査対象物1が存在することを検知すると、その旨の検知信号を作動装置37に出力する。検知器33は、例えば発光素子と受光素子を用いた光学式のものであってもよく、他の構成を有するものであってもよい。
検知器35は、各X線検出装置7a,7b,7c,7d,7e,7fが検出するX線の強度に基づいて、このX線を照射するX線照射装置5a,5b,5c,5d,5eまたは5fのX照射箇所に検査対象物1が存在するかを検知する。例えば、X線照射箇所6aに関しては、次の通りである。検査対象物1がX線照射箇所6aに存在しない状態において、X線照射装置5aからX線を照射させた場合に、X線検出装置7aが検出するX線の強度を基準強度として予め検知器35の記憶手段に記憶させ、X線照射装置5aからX線を照射させない場合にX線検出装置7aが検出する強度(ゼロ)より大きく上記基準強度より小さい最小限値を予め検知器35の記憶手段に記憶させる。検知器35は、X線検出装置7aが検出したX線の強度が上記基準強度より小さいかどうかを判断し、X線の強度が上記基準強度より小さくかつ上記最小限値より大きいと判断したら、X照射箇所に検査対象物1が存在することを検知し、その旨の検知信号を作動装置37に出力する。他のX線照射箇所6b,6c,6d,6e,6fに関しても、同様である。
作動装置37は、検知器33から上記検知信号を受けると、X線照射装置5aを作動させる。また、作動装置37は、検知器35からX線照射装置5a,5b,5c,5dまたは5eのX照射箇所に検査対象物1が存在する旨の上記検知信号を受けると、当該検知信号に基づいて、当該X線照射装置の次に下流側に位置するX線照射装置を作動させる。作動装置37は、この検知信号を受けたら、時間間隔を置かず、次のX線照射装置を作動させてもよい。代わりに、作動装置37は、X線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fの間の搬送方向距離を考慮した所定の時間間隔を置いて、次のX線照射装置の作動させてもよい。この所定の時間間隔は、検査対象物1が次のX線照射箇所に到達するタイミングで次のX線照射装置の作動を開始させるように設定される。
【0033】
次に、上述した第3実施形態によるX線検査装置30の動作について説明する。
検査対象物1がコンベヤ3により搬送されて最も上流側に位置するX線照射箇所6aに到達すると、検知器33は検査対象物1がX線照射箇所6aに検査対象物1が存在することを検知し、その旨の検知信号を作動装置37に出力する。作動装置37は、この検知信号を受けると最も上流側に位置するX線照射装置5aを作動させる。
これにより、X線照射装置5aがX線を照射すると、このX線はX線照射箇所6aの検査対象物1を透過してX線検出装置7aに検出される。この時、検知器35は、X線検出装置7aが検出したX線の強度が上記基準強度より小さくかつ上記最小限値より大きいと判断して、X線照射箇所6aに検査対象物1が存在する旨の検知信号を作動装置37に出力する。作動装置37は、この検知信号を受けると、X線照射装置5aの次に下流側に位置するX線照射装置5bを作動させる。好ましくは、所定の時間間隔を置いて次のX線照射装置5bの作動を開始させる。これにより、検査対象物1が次のX線照射箇所6bに到達するタイミングで次のX線照射装置5bがX線を照射する。
このように、X線照射装置5bがX線を照射すると、上述と同様に、検知器35は、X線検出装置7bが検出したX線の強度が上記基準強度より小さくかつ上記最小限値より大きいと判断して、X照射箇所6bに検査対象物1が存在する旨の検知信号を作動装置37に出力する。作動装置37は、この検知信号を受けると、X線照射装置5bの次に下流側に位置するX線照射装置5cを作動させる。好ましくは、所定の時間間隔を置いて次のX線照射装置5cの作動を開始させる。これにより、検査対象物1が次のX線照射箇所6cに到達するタイミングで次のX線照射装置5cがX線を照射する。このような動作を最も下流側に位置するX線照射装置5fを作動させるまで行う。
【0034】
一方、検出器35は、X線検出装置7aが検出したX線の強度が上記基準強度と同じになったと判断したら、検査対象物1がX線照射箇所6aを通過したことを示す非検知信号を作動装置37に出力する。作動装置37は、この非検知信号を受けると、X線照射装置5aの作動を停止させる。同様に、検出器35は、X線検出装置7bが検出したX線の強度が上記基準強度と同じになったと判断したら、非検知信号を作動装置37に出力し、作動装置37は、この非検知信号を受けると、X線照射装置5bの作動を停止させる。このような動作を最も下流側に位置するX線照射装置5fの作動を停止させるまで行う。
【0035】
上述した第3実施形態によるX線検査装置30では、検知器35は、X線検出装置7a,7b,7c,7d,7eまたは7fが検出するX線の強度に基づいて、このX線を照射するX線照射装置5a,5b,5c,5d,5eまたは5fのX照射箇所に検査対象物1が存在することを検知したら、その旨の検知信号を作動装置37に出力し、作動装置37は、この検知信号に反応して、当該X線照射装置の次に下流側に位置するX線照射装置を作動させる。これにより、検査対象物1に照射されないX線照射量を低減できる。また、この検知信号を受けてから適切な時間間隔を置いて次のX線照射装置を作動させるように作動装置37を構成することで、X線照射箇所6a,6b,6c,6d,6e,6fに検査対象物1が到達する各タイミングで、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させて検査対象物1にX線照射を行える。よって、X線照射に使用される電力量を抑えることができる。
また、作動装置37は、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fを作動させてから、当該X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物1が存在しない旨の非検知信号を検知器35から受けると当該X線照射装置の作動を停止させる。これにより、各X線照射装置5a,5b,5c,5d,5e,5fのX線照射時間を最小限に抑えることができる。
【0036】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態によるX線検査装置の構成を示す上面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】図1のIII−III線矢視図である。
【図4】本発明の第2実施形態によるX線検査装置の構成を示す上面図である。
【図5】本発明の第3実施形態によるX線検査装置の構成を示す上面図である。
【図6】複数のX線照射装置を有するX線検査装置の構成を示す上面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 検査対象物、3 コンベヤ
5a,5b,5c,5d,5e,5f X線照射装置
6a,6b,6c,6d,6e,6f X線照射箇所
7a,7b,7c,7d,7e,7f X線検出装置
9 制御装置、10 X線検査装置、11 検知器
13 作動装置、15 時間計測器、17 制御装置
19a,19b,19c,19d,19e,19f 検知器
20 X線検査装置、21 作動装置、23 検知器
25 時間計測器、30 X線検査装置、33 検知器
35 検知器、37 作動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる検査対象物をX線により検査するX線検査装置であって、
検査対象物の搬送方向に沿って順に配置され、搬送されてくる検査対象物にX線を照射する複数のX線照射装置と、
該複数のX線照射装置から照射され検査対象物を透過してきたX線をそれぞれ検出する複数のX線検出装置と、
検査対象物が搬送方向下流側に搬送されて来るに従って、前記複数のX線照射装置を搬送方向上流側から順に作動させて各X線照射装置にX線照射を行わせる制御装置と、を備える、ことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
制御装置は、各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が到達する各タイミングで、前記各X線照射装置を作動させる、ことを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記複数のX線照射装置の搬送方向上流側における所定位置に検査対象物が存在するかを検知可能な検知器と、
前記X線照射装置を作動させる作動装置と、を備え、
前記検知器は、前記所定位置に検査対象物が存在することを検知したらその旨の検知信号を前記作動装置に出力し、前記作動装置は、前記検知信号を受けた時点からそれぞれ異なる時間間隔を置いた各タイミングで前記各X線照射装置を作動させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
各X線照射装置のX線照射箇所に検査対象物が存在するかを検知可能に、これらX線照射箇所に対応してそれぞれ設けられる複数の検知器と、
前記X線照射装置を作動させる作動装置と、を備え、
前記各検知器は、検査対象物が前記X線照射箇所に存在することを検知したらその旨の検知信号を出力し、前記作動装置は、この検知信号に反応して、当該X線照射箇所にX線照射を行う前記X線照射装置を作動させる、ことを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記X線検出装置が検出するX線の強度に基づいて、このX線を照射する前記X線照射装置のX照射箇所に検査対象物が存在するかを検知可能な検知器と、
前記X線照射装置を作動させる作動装置と、を備え、
前記検知器は、前記X線照射装置の前記X照射箇所に検査対象物が存在することを検知したら、その旨の検知信号を前記作動装置に出力し、前記作動装置は、この検知信号に反応して、当該X線照射装置の次に下流側に位置する前記X線照射装置を作動させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−63340(P2009−63340A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229829(P2007−229829)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】