X線検査装置
【課題】判断基準を複数有し、複数の判断基準に基づいて異物判断を行うことができるX線検査装置を提供することである。
【解決手段】X線検査装置100においては、X線照射装置200およびラインセンサ300により商品600の状態を検出し、制御部350により当該レベル1,〜,レベル5の検出レベルに基づいて商品600の状態を判断し、出力部355により当該判断結果を出力する。また、制御部350の判断基準となる第1閾値771a,771bをレベル1の検出レベルにおいて設けた。
【解決手段】X線検査装置100においては、X線照射装置200およびラインセンサ300により商品600の状態を検出し、制御部350により当該レベル1,〜,レベル5の検出レベルに基づいて商品600の状態を判断し、出力部355により当該判断結果を出力する。また、制御部350の判断基準となる第1閾値771a,771bをレベル1の検出レベルにおいて設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品にX線を照射し、物品内の異物を検出するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品内の異物を検出するためにX線検査装置等が使用されている。これらのX線検査装置に関して、日々研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、連続搬送される物品の検査を行うX線検査装置であって、検査結果の認識が容易な装置について開示されている。
【0004】
特許文献1記載のX線検査装置は、搬送される物品の状態をX線を用いて検査を行うX線検査装置であって、X線で物品の状態を検出するX線検出手段と、X線検出手段による検出レベルに基づき物品の状態を判断する判断手段と、判断手段による判断結果を出力する出力手段と、判断手段の判断基準となるしきい値を記憶した記憶部と、検出レベルに基づく値を、その値に対応する面積で表示する第1表示部と、しきい値及び検出レベルに基づく値を第1表示部に表示させる表示制御手段と、を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−098653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載のX線検査装置においては、判断対象となる検出レベルに基づく値と判断基準となるしきい値とを、第1表示部に表示する。この第1表示部では、検出レベルに基づく値を、その値に対応する面積で表示する。このため、装置の使用者は、検出レベルに基づく値がしきい値に近いのか遠いのかを比較的容易に認識することができるようになる。特に、第1表示部が検出レベルに基づく値を対応する面積で表示するため、使用者は、数値を読み取ることなく感覚的に判断の余裕度などを認識することができる。
【0007】
しかしながら、X線検査装置等においては、物品に異物が混入していた場合において、当該異物が粉塵の場合と、当該異物が製造ラインの一部品の場合とで、処理が異なる。
【0008】
すなわち、当該異物が粉塵等の場合には、当該物品を製造ラインから排出すべきであり、当該異物が製造ラインの一部品の場合には、生産ラインを停止し、上流(前工程)の装置の点検が必要となる。
【0009】
しかしながら、生産ラインにおいて大量に生産される商品に対して、異物が混入した場合に、生産ラインを常に停止させることは、生産効率を低下させることとなる。また、異物の有無判断ができたとしても、当該異物が粉塵であるのか、製造ラインの一部品であるかの判断を常に行うことは、使用者にとって大変困難である。
【0010】
本発明の目的は、判断基準を複数有し、複数の判断基準に基づいて異物判断を行うことができるX線検査装置を提供することである。
本発明の目的は、判断基準を複数有し、生産ラインに問題のない異物か否かを複数の判断基準に基づいて異物判断を行うことができるX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
本発明に係るX線検査装置は、搬送される物品の状態をX線で検査するX線検査装置であって、X線で物品の状態を検出するX線検出手段と、X線検出手段による検出レベルに基づき物品の状態を判断する判断手段と、判断手段による判断結果を出力する出力手段と、を含み、判断手段の判断基準となる閾値を同一の判断手段に対して複数設けるものである。
【0012】
本発明に係るX線検査装置においては、X線検出手段により物品の状態を検出し、判断手段により当該検出レベルに基づいて物品の状態を判断し、出力手段により当該判断結果を出力する。
【0013】
この場合、同一の判断手段に閾値が複数設けられるので、物品の状態の検出レベルに応じて、判断手段は複数の判断を行うことができる。したがって、物品の状態が判断基準から大きく外れている場合、大きく外れていることを認識することができ、判断基準から小さく外れている場合、小さく外れていることを認識することができる。また、判断手段における複数の判断の個々に応じて出力手段から出力を行うことができる。
【0014】
(2)
判断手段は、物品の不良を判断する不良判断手段であり、判断手段を複数備えてもよい。
【0015】
この場合、判断手段は、不良判断手段を有する。また、判断手段が複数備えられているので、物品の状態に対して、小さな異物に対する不良判断および大きな異物に対する不良判断を行うことができる。例えば、生産ラインに影響を及ぼす異物であるのか否かの判断を行うことができる。
【0016】
(3)
複数の閾値の一方は、他方の閾値に対して割合で決定されてもよい。
【0017】
この場合、閾値の一方は、他方の閾値に対して割合で決定されるので、他方の閾値を設定することにより、一方の閾値が自動的に設定することができる。したがって、ユーザが容易に複数の閾値を設定することができる。
【0018】
(4)
複数の閾値の一方は、他方の閾値とは独立して決定されてもよい。
【0019】
この場合、閾値の一方は、他方の閾値とは独立して決定できるので、一方の閾値および他方の閾値は、ユーザが、各個自由に設定することができる。
【0020】
(5)
判断手段は、判断手段は、第一閾値と第二閾値を用いて物品の状態の判断結果を異ならせてもよい。
【0021】
この場合、判断手段によりX線検出手段による検出レベルが複数の閾値の一方を越えた場合と、X線検出手段による検出レベルが複数の閾値の他方を越えた場合とが区別されるので、出力手段から異なる結果を出力させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るX線検査装置においては、物品の状態の検出レベルに応じて、判断手段は、複数の判断を行うことができる。したがって、物品の状態が判断基準から大きく外れている場合、当該大きく外れていることを認識することができる。具体的には、生産ラインに影響を及ぼす異物か否かの判断を確実にかつ容易に行うことができる。また、判断手段における複数の判断の個々に応じて出力手段から出力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るX線検査装置の一例を示す模式的外観図
【図2】本発明に係るX線検査装置の内部構造の一例を示す模式図
【図3】検査の原理について説明するための模式図
【図4】X線検査装置の内部制御構成の一例を示す模式的ブロック図
【図5】X線検査装置の前工程と後工程とを説明するための模式的平面図
【図6】タッチパネルの一例を示す模式図
【図7】閾値を設定する一例を説明するための模式図
【図8】図7の設定例の概要を説明するための説明図
【図9】図8におけるレベルバーの表示例を示す模式図
【図10】図8におけるレベルバーの表示例を示す模式図
【図11】図8におけるレベルバーの表示例を示す模式図
【図12】図7の他の設定例の概要を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態において図面を用いて説明する。
(一実施の形態)
図1は、本発明に係るX線検査装置100の一例を示す模式的外観図であり、図2は、本発明に係るX線検査装置100の内部構造の一例を示す模式図である。
【0025】
図1に示すように、X線検査装置100は、X線照射装置200を内蔵する。また、X線検査装置100は、ベルトコンベア800に検査物である商品600を載せて搬送させることにより、異物混入がないか否かのX線検査を行うものである。
【0026】
図1に示すように、X線検査装置100のベルトコンベア800は、X線検査装置100の外部に突出するように形成されており、当該突出近傍に複数のX線漏れ防止カーテン850が設けられている。また、作業者は、タッチパネル700を操作することによりX線検査装置100を駆動させる。タッチパネル700の詳細については後述する。以下、X線検査装置100の内部構造について説明を行う。
【0027】
図2に示すように、本発明に係るX線検査装置100は、主にX線照射装置200、ラインセンサ300およびベルトコンベア800からなる。図2のベルトコンベア800は、無端状のベルトが一対のローラ810,811に巻回されており、往路をベルトコンベア801で示し、復路をベルトコンベア802で示す。また、ラインセンサ300は、シンチレータおよびフォトダイオードアレイ(PDA)からなり、ラインセンサ300は、ベルトコンベア801,802の間に配設され、ベルトコンベア801の上方にX線照射装置200が配設される。
【0028】
ベルトコンベア801が矢印L1の方向に商品600を搬送し、ベルトコンベア802が矢印L1と逆の方向に移動する。すなわち、本実施の形態においては、X線S1の減衰が、ベルトコンベア801の影響のみで、ベルトコンベア802には、依存しないように設けられている。
【0029】
次に、図3は、X線検査の原理について説明するための模式図である。縦軸はラインセンサ300(PDA OUTPUT)からの電気信号出力を示し、横軸は時間経過を示す。
【0030】
図3に示すように、ベルトコンベア800により商品600が移動されることにより、商品600の全体にX線S1が照射され、ラインセンサ300から出力された電気信号のレベルに基づいてX線S1が商品600を透過した場合のX線透過像AR9が検知される。
【0031】
具体的に、図3に示すように、商品600に異物610が混入した場合、X線透過像AR9に異物像AR1が現れる。商品600に異物610が混入していない場合には、異物像AR1は現れず、X線透過像AR9のみが現れる。
【0032】
次いで、図4はX線検査装置100の内部制御構成の一例を示す模式的ブロック図であり、図5はX線検査装置100の前工程と後工程との関係を説明するための模式的平面図である。
【0033】
図4に示すように、X線検査装置100は、主にX線照射装置200、ラインセンサ300、制御部350、リードオンリメモリ(ROM)351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353、フロッピー(登録商標)のディスクドライブ(FDD)354、出力部(I/F)355、一対のローラ810,811を駆動させるコンベア駆動部356、印字部357、ランプ358およびタッチパネル700を備える。
【0034】
制御部350は、タッチパネル700が操作されることにより設定された各種設定情報を、ROM351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)354の少なくともいずれか1つに記録する。そして、制御部350は、制御部350は、ROM351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353のいずれか1つに記録されたプログラムおよび上記の設定情報に基づいて各制御構成に指示を与える。
【0035】
例えば、制御部350は、コンベア駆動部356に指示を与え、一対のローラ810,811を駆動させ、X線照射装置200にX線S1の照射および停止を指示し、ラインセンサ300からの出力を検知する。そして、制御部350は、ROM351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)354のいずれか1つまたは複数にX線検査の履歴を記録する。また、制御部350は、印字部357に指示を与え、X線検査の履歴を紙に印字出力させる。
【0036】
また、制御部350は、X線検査における結果に応じて出力部(インターフェイス:I/F)355から信号を出力させ、X線検査装置100の外部の振り分け装置370に指示を与える。当該、振り分け装置370への指示の詳細については後述する。また、制御部350は、運転状況およびX線検査における結果に応じてランプ358に信号を与え、ランプ358を点灯または点滅させる。例えば、後述するように生産ラインを停止すべき状態の場合には、赤ランプを点滅させてもよい。
【0037】
次に、図5に示すように、本実施の形態におけるX線検査装置100は、前工程のコンベア950および後工程のコンベア951を備える。後工程のコンベア951には、分岐コンベア960が接続され、コンベア951および分岐コンベア960の分岐点に振り分け装置370が設けられる。
【0038】
振り分け装置370は、軸373および仕分け板372が設けられ、矢印R372の方向に仕分け板372が軸373を中心に回転することにより、コンベア951および分岐コンベア960のいずれか一方に商品600が搬送される。
【0039】
例えば、図4の制御部350がラインセンサ300からのX線透過像が所定の閾値(後述する第1閾値以上、第2閾値以下)の範囲内であると判定した場合、商品600に異物610(微小異物)が混入しているとして、出力部(I/F)355から信号を振り分け装置370に与え、仕分け板372が矢印R372の方向に移動され、当該商品600が分岐コンベア960に搬送される。
【0040】
一方、図4の制御部350がラインセンサ300からのX線透過像が所定の閾値(後述する第1閾値)より小さいであると判定した場合、商品600に異物610が混入していないとして、出力部(I/F)355から信号を振り分け装置370に与え、仕分け板372が矢印R372の方向に移動され、当該商品600がコンベア951に搬送される。
【0041】
続いて、本発明に係る制御部350が各レベルにおいて閾値を複数設定することについて説明を行う。
【0042】
図6は、タッチパネル700の一例を示す模式図であり、図7は閾値を設定する一例を説明するための模式図であり、図8は、図7の設定例の概要を説明するための説明図であり、図9から図11は、図8におけるレベルバー771の表示例を示す模式図である。
【0043】
図6に示すように、タッチパネル700には、X線検査における商品600のX線透過画像を表示させる表示エリア710と、予約番号を表示する表示部721、状態を表示する表示部722、検査“OK”または“NG”等を表示する表示部730、“良品”または“不良品”等を表示する表示部731、運転を終了させる運転終了ボタン740、X線照射の試験を行うテストボタン750、商品600の種別毎の設定を予約する予約ボタン751、ラインセンサ300の感度を調整する感度ボタン752、商品600の種別を設定する設定ボタン753、データを出力するデータボタン754、X線の照射を開始するX線ボタン755、ベルトコンベア800を駆動させるコンベアボタン756、表示エリア710の表示を拡大させる拡大ボタン757、印字部357に印刷させる画像プリントボタン758および各種閾値表示部770を備える。
【0044】
ここで、図6に示すように、X線検査装置100においては、“レベル1”、“レベル2”、“レベル3”、“レベル4”、“レベル5”の5つの検査方法が備えられている。これらの5つの検査方法について説明する。
【0045】
具体的に“レベル1”、〜、“レベル5”の一の検査方法は画像濃淡変化点に基づいて異物検出を行うものであり、他の検査方法は画像2値化に基づいて異物検出を行うものである。また、各検査方法においては、検査結果画像の明るさをもとに検査物の検出範囲を設定する明度マスク、検査物の周囲をマスクして検査対象範囲を設定する周囲マスク、所定のパターン部分をマスクして、異物と検出させないパタンマスク等の有り無しを設定することができ、それらのマスク等により異なった検出基準を設けて検出感度を調整することができる。
【0046】
次に、図6において感度ボタン752を押すことにより、タッチパネル700に図7に示す各種閾値表示部770が表示される。
図7に示すように、各種閾値表示部770は、“レベル1”の閾値を示すレベルバー771、“レベル2”の閾値を示すレベルバー772、“レベル3”の閾値を示すレベルバー773、“レベル4”の閾値を示すレベルバー774、“レベル5”の閾値を示すレベルバー775、感度値を入力する感度値ボックス776、マージン値を入力するマージンボックス777、設定を絶対値基準にする絶対値ボタン778、設定を倍数基準にする倍数ボタン779、設定を他の基準にするその他ボタン780、設定の完了を確定する設定完了ボタン781および感度値ボックス776およびマージンボックス777に値を入力する数字入力ボタン782を備える。
【0047】
本実施の形態においては、図8に示すように、レベル1のレベルバー771において、第1閾値771aおよび第2閾値771bを設定することができる。例えば、図7の絶対値ボタン778を押した場合、図8に示すように、感度値ボックス776に入力された値が第1閾値771aとして入力され、感度値ボックス776に入力された値およびマージンボックス777に入力された値の和が、第2閾値771bとして設定される。
ここで、具体的に、第1閾値771aは商品600に混入された異物610を検出するための値であり、第2閾値771bは生産ラインにおける部品等が商品600に混入または生産ラインにおける部品のみが別途ベルトコンベア801上で検出された場合の値である。
【0048】
したがって、X線検査装置100に異物610が混入されていない商品600が搬送された場合、図9に示すように、制御部350は、タッチパネル700のレベル1のレベルバー771において第1閾値771a以下の表示をするとともに、商品600をコンベア951に排出させる。
【0049】
また、X線検査装置100に異物610が混入された商品600が搬送された場合、図10に示すように、制御部350は、タッチパネル700のレベル1のレベルバー771において第1閾値771a以上第2閾値771b以下の表示をするとともに、表示部730および表示部731に“NG”、“異物”と表示させ、さらに出力部(I/F)355を介して振り分け装置370に当該商品600を分岐コンベア960に排出させる。それにより、生産ラインを停止させることなく、異物610が混入された商品600を正常な商品600と異なる場所に搬送することができる。
【0050】
さらに、X線検査装置100に生産ラインにおける部品、例えば、ボルトやナット等が混入された商品600または生産ラインにおける部品、例えば、ボルトやナット等のみが搬送された場合、図11に示すように、制御部350は、タッチパネル700のレベル1のレベルバー771において第1閾値771aおよび第2閾値771b以上の表示をするとともに、表示部730および表示部731に“エラー”、“停止”の表示を行い、コンベア駆動部356にベルトコンベア800の駆動を停止させるよう指示する。それにより、作業員は、生産ラインに影響する部品の点検を行い、生産ラインの問題点を改善することができる。
【0051】
(他の例)
図12は、図7の他の設定例の概要を説明するための説明図である。
【0052】
図12に示すように、レベル1のレベルバー771において、第1閾値771aおよび第2閾値771bを設定することができる。例えば、図7の倍数ボタン779を押した場合、図12に示すように、感度値ボックス776に入力された値が第1閾値771aとして入力され、マージンボックス777に入力された値と感度値ボックス776との積が、第2閾値771bとして設定される。それにより、第1閾値771a,第2閾値771bを容易に設定することができる。
【0053】
また、図9から図11の“レベル5”で示したように、第1閾値771a,第2閾値771bにさらに、第3閾値771cを設けてもよい。この場合、図7のその他ボタン780を押すことにより第1感度値ボックスと第2感度値ボックスが形成され、第1閾値、第2閾値にさらに直接数値を入力して、第3閾値を設定してもよく、第1感度値と第2感度値の和を第2感度値とし、第1感度値および第2感度値の和とさらにマージンとの和を第3閾値としてもよく、第1感度値とマージンとの積または第2感度値とマージンとの積を第3閾値としてもよい。
また、感度値ボックス776およびマージンボックス777に値を入力する数字入力ボタン782の代わりに、アップダウンボタンを設けて第1閾値771a,第2閾値771b,第3閾値771cを微調整できるようにしてもよい。
【0054】
以上のように、レベル1,レベル2,レベル3,レベル4,レベル5において、第1閾値771a,第2閾値771bが設けられるので、商品600の状態の検出レベルに応じて、制御部350は、複数の判断を行うことができる。例えば、生産ラインに影響のある場合には、生産ラインを停止して、点検整備を行うことができ、商品600のみを取り除く場合には、振り分け装置370において正常の商品600の搬送と異なる場所に移動させることができる。
【0055】
X線透過像における所定の閾値の範囲は、第1閾値以上第2閾値以下であることとしたが、さらに、第1閾値よりも大きく第2閾値未満であってもよい。また、第1閾値以下の場合に異物610が含まれているとしてもよく、第1閾値未満の場合に異物610が含まれているとしてもよい。
本実施の形態においては、X線S1がX線に相当し、商品600が搬送される物品に相当し、X線検査装置100がX線検査装置に相当し、ラインセンサ300がX線検出手段に相当し、レベル1,〜,レベル5が検出レベルに相当し、制御部350が判断手段に相当し、出力部355が出力手段に相当し、第1閾値771a,第2閾値771bが判断手段の判断基準となる閾値に相当し、レベル1に対する制御部350が、同一の判断手段に相当し、レベル2,〜,5の個々に対する制御部350が、同一の判断手段に相当し、制御部350が不良判断手段に相当し、制御部350により生産ラインを停止させる場合と、振り分け装置370に指示を与える場合とが、異なる判断結果に相当する。
【0056】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0057】
100 X線検査装置
300 ラインセンサ
350 制御部
370 振り分け装置
700 タッチパネル
771a 第1閾値
771b 第2閾値
800 ベルトコンベア
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品にX線を照射し、物品内の異物を検出するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品内の異物を検出するためにX線検査装置等が使用されている。これらのX線検査装置に関して、日々研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、連続搬送される物品の検査を行うX線検査装置であって、検査結果の認識が容易な装置について開示されている。
【0004】
特許文献1記載のX線検査装置は、搬送される物品の状態をX線を用いて検査を行うX線検査装置であって、X線で物品の状態を検出するX線検出手段と、X線検出手段による検出レベルに基づき物品の状態を判断する判断手段と、判断手段による判断結果を出力する出力手段と、判断手段の判断基準となるしきい値を記憶した記憶部と、検出レベルに基づく値を、その値に対応する面積で表示する第1表示部と、しきい値及び検出レベルに基づく値を第1表示部に表示させる表示制御手段と、を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−098653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載のX線検査装置においては、判断対象となる検出レベルに基づく値と判断基準となるしきい値とを、第1表示部に表示する。この第1表示部では、検出レベルに基づく値を、その値に対応する面積で表示する。このため、装置の使用者は、検出レベルに基づく値がしきい値に近いのか遠いのかを比較的容易に認識することができるようになる。特に、第1表示部が検出レベルに基づく値を対応する面積で表示するため、使用者は、数値を読み取ることなく感覚的に判断の余裕度などを認識することができる。
【0007】
しかしながら、X線検査装置等においては、物品に異物が混入していた場合において、当該異物が粉塵の場合と、当該異物が製造ラインの一部品の場合とで、処理が異なる。
【0008】
すなわち、当該異物が粉塵等の場合には、当該物品を製造ラインから排出すべきであり、当該異物が製造ラインの一部品の場合には、生産ラインを停止し、上流(前工程)の装置の点検が必要となる。
【0009】
しかしながら、生産ラインにおいて大量に生産される商品に対して、異物が混入した場合に、生産ラインを常に停止させることは、生産効率を低下させることとなる。また、異物の有無判断ができたとしても、当該異物が粉塵であるのか、製造ラインの一部品であるかの判断を常に行うことは、使用者にとって大変困難である。
【0010】
本発明の目的は、判断基準を複数有し、複数の判断基準に基づいて異物判断を行うことができるX線検査装置を提供することである。
本発明の目的は、判断基準を複数有し、生産ラインに問題のない異物か否かを複数の判断基準に基づいて異物判断を行うことができるX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
本発明に係るX線検査装置は、搬送される物品の状態をX線で検査するX線検査装置であって、X線で物品の状態を検出するX線検出手段と、X線検出手段による検出レベルに基づき物品の状態を判断する判断手段と、判断手段による判断結果を出力する出力手段と、を含み、判断手段の判断基準となる閾値を同一の判断手段に対して複数設けるものである。
【0012】
本発明に係るX線検査装置においては、X線検出手段により物品の状態を検出し、判断手段により当該検出レベルに基づいて物品の状態を判断し、出力手段により当該判断結果を出力する。
【0013】
この場合、同一の判断手段に閾値が複数設けられるので、物品の状態の検出レベルに応じて、判断手段は複数の判断を行うことができる。したがって、物品の状態が判断基準から大きく外れている場合、大きく外れていることを認識することができ、判断基準から小さく外れている場合、小さく外れていることを認識することができる。また、判断手段における複数の判断の個々に応じて出力手段から出力を行うことができる。
【0014】
(2)
判断手段は、物品の不良を判断する不良判断手段であり、判断手段を複数備えてもよい。
【0015】
この場合、判断手段は、不良判断手段を有する。また、判断手段が複数備えられているので、物品の状態に対して、小さな異物に対する不良判断および大きな異物に対する不良判断を行うことができる。例えば、生産ラインに影響を及ぼす異物であるのか否かの判断を行うことができる。
【0016】
(3)
複数の閾値の一方は、他方の閾値に対して割合で決定されてもよい。
【0017】
この場合、閾値の一方は、他方の閾値に対して割合で決定されるので、他方の閾値を設定することにより、一方の閾値が自動的に設定することができる。したがって、ユーザが容易に複数の閾値を設定することができる。
【0018】
(4)
複数の閾値の一方は、他方の閾値とは独立して決定されてもよい。
【0019】
この場合、閾値の一方は、他方の閾値とは独立して決定できるので、一方の閾値および他方の閾値は、ユーザが、各個自由に設定することができる。
【0020】
(5)
判断手段は、判断手段は、第一閾値と第二閾値を用いて物品の状態の判断結果を異ならせてもよい。
【0021】
この場合、判断手段によりX線検出手段による検出レベルが複数の閾値の一方を越えた場合と、X線検出手段による検出レベルが複数の閾値の他方を越えた場合とが区別されるので、出力手段から異なる結果を出力させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るX線検査装置においては、物品の状態の検出レベルに応じて、判断手段は、複数の判断を行うことができる。したがって、物品の状態が判断基準から大きく外れている場合、当該大きく外れていることを認識することができる。具体的には、生産ラインに影響を及ぼす異物か否かの判断を確実にかつ容易に行うことができる。また、判断手段における複数の判断の個々に応じて出力手段から出力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るX線検査装置の一例を示す模式的外観図
【図2】本発明に係るX線検査装置の内部構造の一例を示す模式図
【図3】検査の原理について説明するための模式図
【図4】X線検査装置の内部制御構成の一例を示す模式的ブロック図
【図5】X線検査装置の前工程と後工程とを説明するための模式的平面図
【図6】タッチパネルの一例を示す模式図
【図7】閾値を設定する一例を説明するための模式図
【図8】図7の設定例の概要を説明するための説明図
【図9】図8におけるレベルバーの表示例を示す模式図
【図10】図8におけるレベルバーの表示例を示す模式図
【図11】図8におけるレベルバーの表示例を示す模式図
【図12】図7の他の設定例の概要を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施の形態において図面を用いて説明する。
(一実施の形態)
図1は、本発明に係るX線検査装置100の一例を示す模式的外観図であり、図2は、本発明に係るX線検査装置100の内部構造の一例を示す模式図である。
【0025】
図1に示すように、X線検査装置100は、X線照射装置200を内蔵する。また、X線検査装置100は、ベルトコンベア800に検査物である商品600を載せて搬送させることにより、異物混入がないか否かのX線検査を行うものである。
【0026】
図1に示すように、X線検査装置100のベルトコンベア800は、X線検査装置100の外部に突出するように形成されており、当該突出近傍に複数のX線漏れ防止カーテン850が設けられている。また、作業者は、タッチパネル700を操作することによりX線検査装置100を駆動させる。タッチパネル700の詳細については後述する。以下、X線検査装置100の内部構造について説明を行う。
【0027】
図2に示すように、本発明に係るX線検査装置100は、主にX線照射装置200、ラインセンサ300およびベルトコンベア800からなる。図2のベルトコンベア800は、無端状のベルトが一対のローラ810,811に巻回されており、往路をベルトコンベア801で示し、復路をベルトコンベア802で示す。また、ラインセンサ300は、シンチレータおよびフォトダイオードアレイ(PDA)からなり、ラインセンサ300は、ベルトコンベア801,802の間に配設され、ベルトコンベア801の上方にX線照射装置200が配設される。
【0028】
ベルトコンベア801が矢印L1の方向に商品600を搬送し、ベルトコンベア802が矢印L1と逆の方向に移動する。すなわち、本実施の形態においては、X線S1の減衰が、ベルトコンベア801の影響のみで、ベルトコンベア802には、依存しないように設けられている。
【0029】
次に、図3は、X線検査の原理について説明するための模式図である。縦軸はラインセンサ300(PDA OUTPUT)からの電気信号出力を示し、横軸は時間経過を示す。
【0030】
図3に示すように、ベルトコンベア800により商品600が移動されることにより、商品600の全体にX線S1が照射され、ラインセンサ300から出力された電気信号のレベルに基づいてX線S1が商品600を透過した場合のX線透過像AR9が検知される。
【0031】
具体的に、図3に示すように、商品600に異物610が混入した場合、X線透過像AR9に異物像AR1が現れる。商品600に異物610が混入していない場合には、異物像AR1は現れず、X線透過像AR9のみが現れる。
【0032】
次いで、図4はX線検査装置100の内部制御構成の一例を示す模式的ブロック図であり、図5はX線検査装置100の前工程と後工程との関係を説明するための模式的平面図である。
【0033】
図4に示すように、X線検査装置100は、主にX線照射装置200、ラインセンサ300、制御部350、リードオンリメモリ(ROM)351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353、フロッピー(登録商標)のディスクドライブ(FDD)354、出力部(I/F)355、一対のローラ810,811を駆動させるコンベア駆動部356、印字部357、ランプ358およびタッチパネル700を備える。
【0034】
制御部350は、タッチパネル700が操作されることにより設定された各種設定情報を、ROM351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)354の少なくともいずれか1つに記録する。そして、制御部350は、制御部350は、ROM351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353のいずれか1つに記録されたプログラムおよび上記の設定情報に基づいて各制御構成に指示を与える。
【0035】
例えば、制御部350は、コンベア駆動部356に指示を与え、一対のローラ810,811を駆動させ、X線照射装置200にX線S1の照射および停止を指示し、ラインセンサ300からの出力を検知する。そして、制御部350は、ROM351、ランダムアクセスメモリ(RAM)352、ハードディスクドライブ(HDD)353、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)354のいずれか1つまたは複数にX線検査の履歴を記録する。また、制御部350は、印字部357に指示を与え、X線検査の履歴を紙に印字出力させる。
【0036】
また、制御部350は、X線検査における結果に応じて出力部(インターフェイス:I/F)355から信号を出力させ、X線検査装置100の外部の振り分け装置370に指示を与える。当該、振り分け装置370への指示の詳細については後述する。また、制御部350は、運転状況およびX線検査における結果に応じてランプ358に信号を与え、ランプ358を点灯または点滅させる。例えば、後述するように生産ラインを停止すべき状態の場合には、赤ランプを点滅させてもよい。
【0037】
次に、図5に示すように、本実施の形態におけるX線検査装置100は、前工程のコンベア950および後工程のコンベア951を備える。後工程のコンベア951には、分岐コンベア960が接続され、コンベア951および分岐コンベア960の分岐点に振り分け装置370が設けられる。
【0038】
振り分け装置370は、軸373および仕分け板372が設けられ、矢印R372の方向に仕分け板372が軸373を中心に回転することにより、コンベア951および分岐コンベア960のいずれか一方に商品600が搬送される。
【0039】
例えば、図4の制御部350がラインセンサ300からのX線透過像が所定の閾値(後述する第1閾値以上、第2閾値以下)の範囲内であると判定した場合、商品600に異物610(微小異物)が混入しているとして、出力部(I/F)355から信号を振り分け装置370に与え、仕分け板372が矢印R372の方向に移動され、当該商品600が分岐コンベア960に搬送される。
【0040】
一方、図4の制御部350がラインセンサ300からのX線透過像が所定の閾値(後述する第1閾値)より小さいであると判定した場合、商品600に異物610が混入していないとして、出力部(I/F)355から信号を振り分け装置370に与え、仕分け板372が矢印R372の方向に移動され、当該商品600がコンベア951に搬送される。
【0041】
続いて、本発明に係る制御部350が各レベルにおいて閾値を複数設定することについて説明を行う。
【0042】
図6は、タッチパネル700の一例を示す模式図であり、図7は閾値を設定する一例を説明するための模式図であり、図8は、図7の設定例の概要を説明するための説明図であり、図9から図11は、図8におけるレベルバー771の表示例を示す模式図である。
【0043】
図6に示すように、タッチパネル700には、X線検査における商品600のX線透過画像を表示させる表示エリア710と、予約番号を表示する表示部721、状態を表示する表示部722、検査“OK”または“NG”等を表示する表示部730、“良品”または“不良品”等を表示する表示部731、運転を終了させる運転終了ボタン740、X線照射の試験を行うテストボタン750、商品600の種別毎の設定を予約する予約ボタン751、ラインセンサ300の感度を調整する感度ボタン752、商品600の種別を設定する設定ボタン753、データを出力するデータボタン754、X線の照射を開始するX線ボタン755、ベルトコンベア800を駆動させるコンベアボタン756、表示エリア710の表示を拡大させる拡大ボタン757、印字部357に印刷させる画像プリントボタン758および各種閾値表示部770を備える。
【0044】
ここで、図6に示すように、X線検査装置100においては、“レベル1”、“レベル2”、“レベル3”、“レベル4”、“レベル5”の5つの検査方法が備えられている。これらの5つの検査方法について説明する。
【0045】
具体的に“レベル1”、〜、“レベル5”の一の検査方法は画像濃淡変化点に基づいて異物検出を行うものであり、他の検査方法は画像2値化に基づいて異物検出を行うものである。また、各検査方法においては、検査結果画像の明るさをもとに検査物の検出範囲を設定する明度マスク、検査物の周囲をマスクして検査対象範囲を設定する周囲マスク、所定のパターン部分をマスクして、異物と検出させないパタンマスク等の有り無しを設定することができ、それらのマスク等により異なった検出基準を設けて検出感度を調整することができる。
【0046】
次に、図6において感度ボタン752を押すことにより、タッチパネル700に図7に示す各種閾値表示部770が表示される。
図7に示すように、各種閾値表示部770は、“レベル1”の閾値を示すレベルバー771、“レベル2”の閾値を示すレベルバー772、“レベル3”の閾値を示すレベルバー773、“レベル4”の閾値を示すレベルバー774、“レベル5”の閾値を示すレベルバー775、感度値を入力する感度値ボックス776、マージン値を入力するマージンボックス777、設定を絶対値基準にする絶対値ボタン778、設定を倍数基準にする倍数ボタン779、設定を他の基準にするその他ボタン780、設定の完了を確定する設定完了ボタン781および感度値ボックス776およびマージンボックス777に値を入力する数字入力ボタン782を備える。
【0047】
本実施の形態においては、図8に示すように、レベル1のレベルバー771において、第1閾値771aおよび第2閾値771bを設定することができる。例えば、図7の絶対値ボタン778を押した場合、図8に示すように、感度値ボックス776に入力された値が第1閾値771aとして入力され、感度値ボックス776に入力された値およびマージンボックス777に入力された値の和が、第2閾値771bとして設定される。
ここで、具体的に、第1閾値771aは商品600に混入された異物610を検出するための値であり、第2閾値771bは生産ラインにおける部品等が商品600に混入または生産ラインにおける部品のみが別途ベルトコンベア801上で検出された場合の値である。
【0048】
したがって、X線検査装置100に異物610が混入されていない商品600が搬送された場合、図9に示すように、制御部350は、タッチパネル700のレベル1のレベルバー771において第1閾値771a以下の表示をするとともに、商品600をコンベア951に排出させる。
【0049】
また、X線検査装置100に異物610が混入された商品600が搬送された場合、図10に示すように、制御部350は、タッチパネル700のレベル1のレベルバー771において第1閾値771a以上第2閾値771b以下の表示をするとともに、表示部730および表示部731に“NG”、“異物”と表示させ、さらに出力部(I/F)355を介して振り分け装置370に当該商品600を分岐コンベア960に排出させる。それにより、生産ラインを停止させることなく、異物610が混入された商品600を正常な商品600と異なる場所に搬送することができる。
【0050】
さらに、X線検査装置100に生産ラインにおける部品、例えば、ボルトやナット等が混入された商品600または生産ラインにおける部品、例えば、ボルトやナット等のみが搬送された場合、図11に示すように、制御部350は、タッチパネル700のレベル1のレベルバー771において第1閾値771aおよび第2閾値771b以上の表示をするとともに、表示部730および表示部731に“エラー”、“停止”の表示を行い、コンベア駆動部356にベルトコンベア800の駆動を停止させるよう指示する。それにより、作業員は、生産ラインに影響する部品の点検を行い、生産ラインの問題点を改善することができる。
【0051】
(他の例)
図12は、図7の他の設定例の概要を説明するための説明図である。
【0052】
図12に示すように、レベル1のレベルバー771において、第1閾値771aおよび第2閾値771bを設定することができる。例えば、図7の倍数ボタン779を押した場合、図12に示すように、感度値ボックス776に入力された値が第1閾値771aとして入力され、マージンボックス777に入力された値と感度値ボックス776との積が、第2閾値771bとして設定される。それにより、第1閾値771a,第2閾値771bを容易に設定することができる。
【0053】
また、図9から図11の“レベル5”で示したように、第1閾値771a,第2閾値771bにさらに、第3閾値771cを設けてもよい。この場合、図7のその他ボタン780を押すことにより第1感度値ボックスと第2感度値ボックスが形成され、第1閾値、第2閾値にさらに直接数値を入力して、第3閾値を設定してもよく、第1感度値と第2感度値の和を第2感度値とし、第1感度値および第2感度値の和とさらにマージンとの和を第3閾値としてもよく、第1感度値とマージンとの積または第2感度値とマージンとの積を第3閾値としてもよい。
また、感度値ボックス776およびマージンボックス777に値を入力する数字入力ボタン782の代わりに、アップダウンボタンを設けて第1閾値771a,第2閾値771b,第3閾値771cを微調整できるようにしてもよい。
【0054】
以上のように、レベル1,レベル2,レベル3,レベル4,レベル5において、第1閾値771a,第2閾値771bが設けられるので、商品600の状態の検出レベルに応じて、制御部350は、複数の判断を行うことができる。例えば、生産ラインに影響のある場合には、生産ラインを停止して、点検整備を行うことができ、商品600のみを取り除く場合には、振り分け装置370において正常の商品600の搬送と異なる場所に移動させることができる。
【0055】
X線透過像における所定の閾値の範囲は、第1閾値以上第2閾値以下であることとしたが、さらに、第1閾値よりも大きく第2閾値未満であってもよい。また、第1閾値以下の場合に異物610が含まれているとしてもよく、第1閾値未満の場合に異物610が含まれているとしてもよい。
本実施の形態においては、X線S1がX線に相当し、商品600が搬送される物品に相当し、X線検査装置100がX線検査装置に相当し、ラインセンサ300がX線検出手段に相当し、レベル1,〜,レベル5が検出レベルに相当し、制御部350が判断手段に相当し、出力部355が出力手段に相当し、第1閾値771a,第2閾値771bが判断手段の判断基準となる閾値に相当し、レベル1に対する制御部350が、同一の判断手段に相当し、レベル2,〜,5の個々に対する制御部350が、同一の判断手段に相当し、制御部350が不良判断手段に相当し、制御部350により生産ラインを停止させる場合と、振り分け装置370に指示を与える場合とが、異なる判断結果に相当する。
【0056】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0057】
100 X線検査装置
300 ラインセンサ
350 制御部
370 振り分け装置
700 タッチパネル
771a 第1閾値
771b 第2閾値
800 ベルトコンベア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される物品の状態をX線で検査するX線検査装置であって、
前記X線で物品の状態を検出するX線検出手段と、
前記X線検出手段による検出レベルに基づき前記物品の状態を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果を出力する出力手段と、を含み、
前記判断手段の判断基準となる閾値を同一の前記判断手段に対して複数設けたことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記物品の不良を判断する不良判断手段を有し、前記判断手段を複数備えたことを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記複数の閾値の一方は、他方の閾値に対して割合で決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記複数の閾値の一方は、他方の閾値とは独立して決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記判断手段は、第一閾値と第二閾値を用いて前記物品の状態の判断結果を異ならせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項1】
搬送される物品の状態をX線で検査するX線検査装置であって、
前記X線で物品の状態を検出するX線検出手段と、
前記X線検出手段による検出レベルに基づき前記物品の状態を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果を出力する出力手段と、を含み、
前記判断手段の判断基準となる閾値を同一の前記判断手段に対して複数設けたことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記物品の不良を判断する不良判断手段を有し、前記判断手段を複数備えたことを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記複数の閾値の一方は、他方の閾値に対して割合で決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記複数の閾値の一方は、他方の閾値とは独立して決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記判断手段は、第一閾値と第二閾値を用いて前記物品の状態の判断結果を異ならせることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−17694(P2011−17694A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128710(P2010−128710)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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