説明

X線CT(ComputedTomography)装置

【課題】定量性のある情報を出力することを課題とする。
【解決手段】実施の形態に係るX線CT装置は、重粒子線をターゲットに照射することでX線を発生させる。例えば、X線CT装置は、重粒子線源と、重粒子引出部と、高圧電源と、ターゲットとを含む。重粒子線源は、重粒子イオンを発生する。重粒子引出部は、重粒子イオンを加速管に引き出す。高圧電源は、重粒子イオンを加速管にて加速するための高電圧を加速管に対して印加する。ターゲットは、加速管にて加速された重粒子イオンの入射を受けてX線を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、X線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子線をターゲットに照射し、その際に発生するX線を利用して画像を出力するX線CT装置がある。このX線CT装置は、ある一定のエネルギーをもつX線(以下、単色X線)を被検体に照射したと仮定して画像を再構成する。ところが、実際に発生したX線は、エネルギーに幅があり、再構成の仮定に矛盾する。このため、一般に、X線CT装置は、補正を行うなどしてこの矛盾を解消しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−148920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のX線CT装置が行う補正は、定性的なものに過ぎず、この結果、X線CT装置から出力される画像のCT値は、定量性をもたない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態のX線CT装置は、重粒子線をターゲットに照射することでX線を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、特性X線及び制動X線を説明するための図である。
【図3】図3は、第1の実施形態において発生するX線を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態に係るX線CT装置の概要を説明するための図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係るコンソール装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る代表外エネルギー処理部による処理を説明するための図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る変換テーブル記憶部を説明するための図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係るX線CT装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態に係るX線CT装置を説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るX線CT装置100は、電子線の代わりに重粒子線をターゲットに入射する。まず、第1の実施形態に係るX線CT装置100の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置100の構成を示すブロック図である。
【0009】
図1に示すように、X線CT装置100は、架台回転部1と、架台固定部9と、コンソール装置20とを含む。架台回転部1は、重粒子線源2と、重粒子引出部3と、真空ポンプ4と、高圧電源5と、加速管6と、X線管7と、検出器8とを含む。架台固定部9は、データ転送・制御部10を含む。
【0010】
重粒子線源2は、重粒子イオンを発生する。重粒子引出部3は、加速管6に接続され、重粒子線源2にて発生した重粒子イオンを加速管6に引き出す。真空ポンプ4は、真空引きを行い、加速管6の真空度を確保する。真空ポンプ4は、例えばスパッタイオンポンプなどである。なお、加速管6の真空度は劣化するものであるので、真空ポンプ4は、加速管6の真空度を適宜計測し、真空度が閾値以上劣化した場合に真空引きを行うなど、フィードバック制御を行ってもよい。
【0011】
高圧電源5は、加速管6に対して高電圧を印加する。この結果、重粒子イオンは、加速管6内で加速される。X線管7は、ターゲット金属を有する。加速管6にて加速された重粒子イオンがターゲット金属に入射すると、X線が発生する。ここで、X線管7にて発生するX線は、主に「特性X線」である。この点については後述する。検出器8は、X線管7にて発生し、被検体Pを透過(一部反応)したX線信号を検出し、検出したX線信号をA/D(Analog/Digital)変換して、検出データを作成する。また、検出器8は、作成した検出データをデータ転送・制御部10に送る。
【0012】
データ転送・制御部10は、検出器8から送られた検出データを、コンソール装置20に転送する。コンソール装置20は、データ転送・制御部10から転送された検出データに基づいて画像を再構成し、再構成した画像を出力する。
【0013】
ここで、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、電子線の代わりに重粒子線をターゲット金属に入射することで、単色X線を発生させる。この点について図2及び図3を用いて説明する。図2は、特性X線及び制動X線を説明するための図である。図3は、第1の実施形態において発生するX線を説明するための図である。
【0014】
図2及び図3において、縦軸はX線の強度(光子数)、横軸はX線のエネルギーを示す。図2に示すように、一般的なX線CT装置にて発生するX線の種類には、「特性X線」及び「制動X線」がある。
【0015】
ここで、上述したように、従来のX線CT装置は、電子線をターゲット金属に照射する。「特性X線」は、ターゲット金属に入射した電子が軌道電子を弾き飛ばし、その空位に、より高いエネルギーをもつ外側の軌道の電子が移動し、その際の差分のエネルギーがX線として放出されたものである。この「特性X線」は、図2に示すように、エネルギーに鋭いピークをもつ。一方、「制動X線」は、ターゲット金属に入射した電子がターゲット金属の原子核から制動を受け、その際にエネルギーの一部がX線として放出されたものである。この「制動X線」は、図2に示すように、エネルギーに幅がある。このように、「制動X線」が、従来のX線CT装置にて発生するX線のエネルギーに幅がある原因である。
【0016】
さて、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、電子線の代わりに重粒子線をターゲット金属に入射する。重粒子は、電子に比較し、その質量が1,000倍以上である。このため、ターゲット金属に入射した重粒子は、ターゲット金属の原子核から殆ど制動を受けず、この結果、「制動X線」は、殆ど放出されない。一方、ターゲット金属に入射した重粒子は、電子と同様に軌道電子を弾き飛ばすので、「特性X線」は放出される。
【0017】
このようなことから、図3に示すように、第1の実施形態において、X線管7は、主に「特性X線」を発生する。図3に示す点線は、「制動X線」が殆ど放出されないことを示す。言い換えると、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、電子線の代わりに重粒子線をターゲット金属に入射することで、単色X線を発生させることができる。
【0018】
続いて、第1の実施形態に係るX線CT装置100の処理手順を説明する。図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置100の処理手順を示すフローチャートである。
【0019】
図4に示すように、まず、コンソール装置20がデータ収集命令を受け付け(ステップS101肯定)、データ転送・制御部10に命令を送信すると(ステップ102)、架台回転部1が回転を開始する(ステップS103)。
【0020】
コンソール装置20からデータ転送・制御部10に送信された命令に従い、重粒子線源2が重粒子イオンを発生し(ステップS104)、重粒子引出部3が重粒子線源2にて発生した重粒子イオンを加速管6に引き出す(ステップS105)。
【0021】
加速管6に引き出された重粒子イオンは、加速管6内で加速され(ステップS106)、X線管7は、加速管6内で加速された重粒子イオンを受けてX線を発生する(ステップS107)。
【0022】
検出器8は、被検体Pを透過(一部反応)したX線信号を検出し、作成した検出データをデータ転送・制御部10に送る(ステップS108)。すると、データ転送・制御部10が、検出データをコンソール装置20に転送し(ステップS109)、コンソール装置20は、検出データを受信する(ステップS110)。その後、コンソール装置20は、検出データに基づいて画像を再構成し、再構成した画像を出力する(ステップS111)。
【0023】
上述したように、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、重粒子線をターゲットに照射するので、単色X線を発生させることができる。この結果、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、定量性のあるCT値を出力することができる。
【0024】
例えば、X線CT装置100は、従来エネルギーに幅があるために行われてきた補正(例えばビームハードニング補正)を行う必要がない。また、例えば、X線CT装置100は、散乱性補正を、単純に、定量的に行うことが可能になる。
【0025】
さらに、例えば、X線CT装置100は、定量性のあるCT値を出力できる結果、CT値から分子を特定することも可能になり、分子イメージングが可能になる。ひいては、新たな診断方法が確立される可能性もある。
【0026】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るX線CT装置100を説明する。第1の実施形態においてX線CT装置100が発生するX線は、主に「特性X線」であった。ここで、図2及び図3に示したように、電子線又は重粒子線を受けたターゲット金属から発生する「特性X線」は、複数のエネルギーピークをもつ。このため、画像の再構成において、例えばあるエネルギー以外の情報を捨てるといった手法も考えられるが、この場合には、被検体Pに照射されたX線の全照射量に見合う画質が得られないことになってしまう。
【0027】
このため、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、この複数のエネルギーピークに関する補正をさらに行うことで、X線の全照射量に見合う画質の画像を得る。具体的には、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、複数のエネルギーに対応する検出データが混在する場合に、全ての検出データを、ある代表的なエネルギー(以下、代表エネルギー)の検出データに定量的に変換する。
【0028】
まず、第2の実施形態に係るX線CT装置100の概要を説明する。図5は、第2の実施形態に係るX線CT装置100の概要を説明するための図である。
【0029】
第2の実施形態に係るX線CT装置100においては、フォトンカウンティング技術が用いられる。このため、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、検出器8として、フォトンカウンティング方式の検出器8を有する。第2の実施形態に係る検出器8は、被検体Pを透過したX線を光子毎に計数し、光子毎の検出データに、エネルギー情報や時刻情報などを付帯させる。
【0030】
このように、光子毎の検出データには、エネルギー情報が付帯されることになるので、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、図5に示すように、各検出データを、「代表エネルギーの検出データ」と「代表エネルギー以外のエネルギーの検出データ」とに分別する。なお、第2の実施形態においては、「代表エネルギー」及び「代表エネルギー以外」の2つのピークエネルギーを想定する。
【0031】
続いて、X線CT装置100は、「代表エネルギー以外のエネルギーの検出データ」を「代表エネルギー」に対応するように変換する。そして、X線CT装置100は、「代表エネルギーの検出データ」と、変換後の「代表エネルギー以外のエネルギーの検出データ」とを加算し、加算後の検出データを用いて画像を再構成する。
【0032】
上述した変換などの処理は、コンソール装置20にて実施される。そこで、第2の実施形態に係るコンソール装置20の構成を説明する。図6は、第2の実施形態に係るコンソール装置20の構成を示すブロック図である。
【0033】
第2の実施形態に係るコンソール装置20は、図6に示すように、検出データ受信部21と、エネルギー分別部22と、代表外エネルギー処理部23と、検出データ加算部27と、画像再構成部28と、変換テーブル記憶部29とを含む。
【0034】
検出データ受信部21は、データ転送・制御部10から光子毎の検出データを受信し、受信した検出データをエネルギー分別部22に送る。エネルギー分別部22は、検出データ受信部21から光子毎の検出データを受け取ると、各検出データに付帯されたエネルギー情報を読み取り、各検出データをエネルギー毎に分別する。なお、被検体P内で反応せずに透過したX線は、そのエネルギーが変化しない。このため、エネルギー分別部22は、検出器8によって検出された検出データをエネルギー毎に分別することができる。
【0035】
例えば、エネルギー分別部22は、予め代表エネルギーを定め、代表エネルギーを示すエネルギー情報が付帯された検出データと、代表エネルギー以外のエネルギー(以下、代表外エネルギー)を示すエネルギー情報が付帯された検出データとを分別する。そして、エネルギー分別部22は、代表エネルギーに分別された検出データをそのまま検出データ加算部27に送り、一方、代表外エネルギーに分別された検出データを代表外エネルギー処理部23に送る。
【0036】
代表外エネルギー処理部23は、代表外エネルギーに分別された検出データを対象とする処理を行う。具体的には、代表外エネルギー処理部23は、図6に示すように、簡易再構成部24と、減弱係数変換部25と、投影部26とを備える。図7は、第2の実施形態に係る代表外エネルギー処理部による処理を説明するための図である。
【0037】
簡易再構成部24は、図7に示すように、エネルギー分別部22から受け取った検出データを用いて再構成を行い、代表外エネルギーの減弱係数マップを作成する。そして、簡易再構成部24は、作成した減弱係数マップを減弱係数変換部25に送る。
【0038】
具体的には、簡易再構成部24は、被検体Pに照射されたX線の光子数と被検体Pを透過したX線の光子数とを用いて、被検体PのX線に対する反応率を示す減弱係数マップを作成する。なお、簡易再構成部24は、減弱係数マップの代わりにCT画像を作成してもよい。
【0039】
減弱係数変換部25は、簡易再構成部24から代表外エネルギーの減弱係数マップを受け取ると、図7に示すように、代表外エネルギーの減弱係数を、対応する代表エネルギーの減弱係数に変換し、エネルギー変換後の減弱係数マップを作成する。そして、減弱係数変換部25は、エネルギー変換後の減弱係数マップを投影部26に送る。
【0040】
ここで、変換テーブル記憶部29は、代表エネルギーの減弱係数と代表外エネルギーの減弱係数との対応関係を示すものである。減弱係数変換部25は、代表外エネルギーの減弱係数を用いて変換テーブル記憶部29を参照し、代表外エネルギーの減弱係数に対応付けて記憶されている代表エネルギーの減弱係数に、その減弱係数の値を変換する。減弱係数変換部25は、このような変換を、減弱係数マップ全体について行い、エネルギー変換後の減弱係数マップを作成する。
【0041】
第2の実施形態に係るX線CT装置100は、例えばファントムを用いて、密度毎に、このような代表エネルギーの減弱係数及び代表外エネルギーの減弱係数を予め計測し、変換テーブルとして変換テーブル記憶部29に格納する。なお、密度が同じである場合は、同じ物質であることを示す。
【0042】
図8は、第2の実施形態に係る変換テーブル記憶部29を説明するための図である。例えば、変換テーブル記憶部29は、図8に示すように、代表エネルギーの減弱係数と代表外エネルギーの減弱係数との対応関係を記憶する。なお、簡易再構成部24が、減弱係数マップの代わりにCT画像を作成する場合には、変換テーブル記憶部29は、減弱係数の対応関係の代わりにCT値の対応関係を記憶すればよい。また、図8に示す変換テーブルは一例にすぎない。
【0043】
図6に戻り、投影部26は、図7に示すように、減弱係数変換部25から受け取ったエネルギー変換後の減弱係数マップを用いて投影を行い、エネルギー変換後の検出データを作成する。この場合、エネルギー変換後の検出データは、代表エネルギーに対応する減弱係数に従う光子数に変換されている。投影部26は、このような投影を、減弱係数マップ全体について行い、各位置について、エネルギー変換後の検出データを作成する。そして、投影部26は、作成したエネルギー変換後の検出データを検出データ加算部27に送る。
【0044】
検出データ加算部27は、エネルギー分別部22から送られた代表エネルギーに分別された検出データと、投影部26から送られたエネルギー変換後の検出データとを、各検出データが検出された位置毎に加算し、エネルギー補正後の検出データを作成する。すなわち、検出データ加算部27は、代表エネルギーに分別された検出データが示す光子数と、エネルギー変換後の検出データが示す光子数とを位置毎に加算することで、被検体Pを透過したX線の光子数を割り出す。この光子数は、代表エネルギーに対応する減弱係数に従う値となる。そして、検出データ加算部27は、エネルギー補正後の検出データを画像再構成部28に送る。
【0045】
画像再構成部28は、検出データ加算部27から送られたエネルギー補正後の検出データに基づいて画像を再構成し、再構成した画像をモニタに出力するなどする。
【0046】
続いて、第2の実施形態に係るX線CT装置100による処理手順を説明する。図9は、第2の実施形態に係るX線CT装置100による処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
まず、検出データ受信部21が検出データを受信すると(ステップS201肯定)、エネルギー分別部22は、検出データに付帯されたエネルギー情報を読み取り、エネルギー毎に検出データを分別する(ステップS202)。エネルギー分別部22は、代表エネルギーに分別された検出データをそのまま検出データ加算部27に送り、一方、代表外エネルギーに分別された検出データを代表外エネルギー処理部23に送る。
【0048】
代表外エネルギー処理部23に送られた検出データは、ステップS203〜S205の処理を経る。具体的には、まず、簡易再構成部24が、エネルギー分別部22から受け取った検出データを用いて再構成を行い、代表外エネルギーの減弱係数マップを作成する(ステップS203)。
【0049】
次に、減弱係数変換部25が、変換テーブル記憶部29を参照し、代表外エネルギーの減弱係数を、対応する代表エネルギーの減弱係数に変換し、エネルギー変換後の減弱係数マップを作成する(ステップS204)。
【0050】
続いて、投影部26は、減弱係数変換部25から受け取ったエネルギー変換後の減弱係数マップを用いて投影を行い、エネルギー変換後の検出データを作成する(ステップS205)。
【0051】
そして、検出データ加算部27は、エネルギー分別部22から送られた代表エネルギーに分別された検出データと、投影部26から送られたエネルギー変換後の検出データとを、各検出データが検出された位置毎に加算し、エネルギー補正後の検出データを作成する(ステップS206)。
【0052】
次に、画像再構成部28は、検出データ加算部27から送られたエネルギー補正後の検出データに基づいて画像を再構成し(ステップS207)、再構成した画像をモニタに出力するなどする(ステップS208)。
【0053】
上述したように、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、光子毎にエネルギー情報を取得するフォトンカウンティング方式の検出器8を有する。また、エネルギー分別部22が、検出器8にて作成された検出データを、エネルギー情報を用いてエネルギー別に分別する。代表外エネルギー処理部23が、エネルギー別に分別された検出データのうち、代表外エネルギーに分別された検出データを、代表エネルギーに対応する検出データに変換する。検出データ加算部27が、代表エネルギーに分別された検出データと、代表外エネルギーに分別された検出データであって代表エネルギーに対応する検出データに変換された検出データとを加算する。画像再構成部28が、加算後の検出データを用いて画像を再構成する。このようなことから、第2の実施形態によれば、複数のエネルギーピークをもつ検出データを、ある代表エネルギーの検出データに定量的に変換することができ、定量性を保ちつつ、被検体Pに照射されたX線の全照射量に見合う画質を得ることが可能になる。
【0054】
なお、第2の実施形態においては、「代表エネルギー」及び「代表エネルギー以外」の2つのエネルギーピークを想定したが、これに限られるものではない。例えば、3つのエネルギーピークをもつ検出データの場合、エネルギー分別部22は、検出データを、第1のエネルギー、第2のエネルギー、第3のエネルギーに分別すればよい。そして、代表外エネルギー処理部23は、3つのエネルギー別に分別された検出データのうち、例えば第2のエネルギー、第3のエネルギーに分別された検出データを、例えば第1のエネルギーに対応する検出データに変換すればよい。エネルギーピークの数がさらに多い場合も同様である。
【0055】
また、第2の実施形態においては、重粒子線を用いてX線を発生させるX線CT装置100を想定したが、必ずしもこれに限られるものではなく、検出データをエネルギー別に分別して代表エネルギーに対応するように変換する補正は、電子線を用いてX線を発生させるX線CT装置にも適用することが可能である。
【0056】
(その他)
また、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、検出器8として、フォトンカウンティング方式の検出器8を用いてもよいし、一般的な検出器8を用いてもよい。
【0057】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、X線CT装置を想定して説明したが、これに限られるものではなく、X線診断装置にも、同様に適用することができる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
100 X線CT装置
1 架台回転部
2 重粒子線源
3 重粒子引出部
4 真空ポンプ
5 高圧電源
6 加速管
7 X線管
8 検出器
9 架台固定部
10 データ転送・制御部
20 コンソール装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重粒子線をターゲットに照射することでX線を発生させることを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
重粒子イオンを発生する重粒子線源と、
前記重粒子イオンを加速管に引き出す重粒子引出部と、
前記重粒子イオンを前記加速管にて加速するための高電圧を該加速管に対して印加する高圧電源と、
前記加速管にて加速された重粒子イオンの入射を受けてX線を発生するターゲットと
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記X線CT装置は、
光子毎にエネルギー情報を取得するフォトンカウンティング方式の検出器を備えるものであって、
前記検出器にて作成された検出データを、前記エネルギー情報を用いてエネルギー別に分別する分別部と、
エネルギー別に分別された検出データのうち、代表エネルギー以外のエネルギーに分別された検出データを、該代表エネルギーに対応する検出データに変換する変換部と、
代表エネルギーに分別された検出データと、代表エネルギー以外のエネルギーに分別された検出データであって代表エネルギーに対応する検出データに変換された検出データとを加算する加算部と、
加算後の検出データを用いて画像を再構成する再構成部と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
代表エネルギー及び代表エネルギー以外のエネルギーについて、減弱係数又はCT値の対応関係を記憶する変換テーブルをさらに備え、
前記変換部は、前記変換テーブルを用いて、代表エネルギー以外のエネルギーに分別された検出データから算出された減弱係数又はCT値を、代表エネルギーに対応する減弱係数又はCT値に変換し、変換後の減弱係数又はCT値を投影することで、代表エネルギーに対応する検出データを得ることを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−85971(P2012−85971A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237830(P2010−237830)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】