説明

Y軸線を有する工作機械

【課題】コンパクトな構造様式、および、改善された機械剛性を有する工作機械を提供する。
【解決手段】機械フレーム2に、モータスピンドル9が、面E」内において、2つの互いに垂直の方向(X、Z軸線方向)に移動可能に設けられており、更に上記工作機械が、下側のスライダー20を備えており、このスライダーが、1つの方向(Y軸線方向)内において、機械フレーム2の面「E」に対して垂直方向に移動可能であり、その際、スライダー20が、2つの、側方の支え柱29、29′を有していること、これら支え柱29、29′が、両方の側壁19、19′のそれぞれの側壁において、案内手段21、21′を介して案内されていること、および、このスライダー20の移動のために、少なくとも1つの駆動装置が設けられており、これら駆動装置が、両方の支え柱29、29′と、作用結合の状態にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Y軸線を有する、回転駆動される加工材料の加工のための工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、上記様式の工作機械は公知である。特許文献1は、垂直方向の主スピンドル、工具タレット、および、ホブ切りユニット(Waelzfraeseinheit)を有する、加工機械を示している。
【0003】
これら作動機構ユニットは、機械フレームの、前方の垂直方向の壁部に設けられている。
工具タレットおよびホブ切りユニットは、クロススライダーの上で、垂直方向および水平方向に移動され得る。更に、このホブ切りユニットは、旋回軸線(B軸線)、および、シフト軸線を有しており、および、付加的に、第3の方向(Y軸線)内において移動可能である。Y軸線の方向内における案内部は、機械フレームの垂直方向の壁部の前方に設けられている。
このことから、必然的に、フレームの壁に対する回転軸線の比較的に大きな間隔が生じ、この間隔が、力の伝達経路および機械剛性に対して不利な影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2007 051 375A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、コンパクトな構造様式、および、改善された機械剛性を有する、請求項1の上位概念に従う工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有利な観点によれば、U字形の、機械座標系のY軸線の方向内において移動可能なスライダーは、両方の側方の、「U字形」の支え柱において、平行な、互いに相対して位置している、機械フレームの側壁において、案内レールの上で、移動可能に案内されている。
スライダーの位置決めのための駆動力が、対称的に、これら両方の支え柱を介して導入されることは特に有利である。この機械フレームの前壁に、上側の部分において、モータスピンドルのための垂直方向スライダーが、設けられている。
この配設でもって、全体としておよび個別に、同様にY軸線の機構ユニットのためにも、対称的な力の伝達経路が達成される。このことは、機械剛性に対して特に有利な影響を及ぼす。
【0008】
有利には、工作機械は、ピックアップ原理に従って作動可能である。
その際、加工材料のためのチャックを有する、1つのモータスピンドルは、垂直方向スライダーに懸吊状態で、水平(X軸線)方向に移動可能である。積み込み、および積み降ろしために、このモータスピンドルは、1つの収容もしくは載置位置内へと移動する。
スライダー(Y軸線)に、フライス加工(Fraesen)、研磨加工(Schleifen)、ホブ研磨加工(Waelzschleifen)、または、ホーニング加工(Honen)のための、回転駆動される工具が設けられている。高い機械剛性に基づいて、この工作機械は、特に良好に、研磨加工またはホーニング加工のような仕上げ加工のために適している。
この工作機械は、しかも同様に、精密なフライス加工のために有利に使用される。
【0009】
手動積込み式(handbeladenen)の機械の場合、
加工材料スピンドルは、スライダーに直立して設けられており、且つ、Y軸線方向において移動可能であり、これに対して、工具の収容のためのモータスピンドルが、垂直方向スライダーに懸吊状態で、加工位置から工具交換位置内へと移動可能である。
【0010】
次に、実施例に基づいて、本発明を詳しく説明する。本発明の更なる利点および詳細は、実施例の以下の説明から与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ホブ切り(Waelzfraesen)のための工作機械の前面図である。
【図2】図1に従う工作機械の断面図である。
【図3】直立の加工材料スピンドルを有する工作機械の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、概略的な図における、ホブ切りのための工作機械1を示している。
機械フレーム2は、正方形の断面を有する支柱として形成されており、且つ、垂直方向の側壁19、19′、および同様に、垂直方向スライダー5のための垂直方向の案内部4を有する垂直方向の前壁3を有している。この垂直方向スライダーは、Z軸線の方向内において、モータ6およびボールローラースピンドル7によって、数値的な制御状態で移動される。この垂直方向スライダー5に、水平方向の案内部8が装着されている。
【0013】
この水平方向の案内部の上で、モータスピンドル9が、X軸線の方向内において、移動可能である。
これら水平方向の案内部8は、側方に作業スペースを越えて延在しており、従って、このモータスピンドル9が、モータ10によって、ボールローラースピンドル11を介して、加工位置18から、移送装置17のすぐ上方の、1つの収容および載置位置(Aufnahme- und Ablageposition)11、12内へと移動され得る。
このモータスピンドル9は、ピックアップ原理に従って作動し、且つ、このモータスピンドルの下側において、加工材料15のグリップ、緊締め、および駆動のためにチャック14を担持している。機械フレーム2の下側の部分内において、工具16を有するU字形のスライダー20が、Y軸線の方向内において、移動可能に設けられている。
このスライダー20は、側方において、支え柱(Streben)29、29′を備えている。これら支え柱は、側壁19、19′において、水平方向の案内手段21、21′内において移動可能である。
【0014】
案内手段21、21′として、これら支え柱29、29′に、案内レールが固定されており、案内レールが、側壁19、19′の所属する案内シュー33内に収容されている。
反対に、これら案内シュー33が、同様に支え柱29、29′に、および、案内レールが側壁に設けられていることは可能である。
工具16は、ホブ(Waelzfraeser)として形成されている。このホブは、はすば歯車歯の加工のために、C軸線27を中心として、スライダー20内において旋回可能に支承されている。このホブは、更に、シフト移動の実施のために、シフト軸線28の方向内において、位置移動され得る。軸形状の加工材料15の支持のために、心押し台25が設けられている。
【0015】
図2は、線A−Aに沿っての、工作機械の断面図を示している。
機械フレーム2の側壁19、19′に沿って、案内手段21、21′としての案内レールが設けられており、上記案内手段の上に、スライダー20が、案内シュー33内において、Y軸線の方向内において、位置移動可能に案内されている。この移動は、駆動装置26、26′でもって実施され、これら駆動装置が、2つの、ボールローラースピンドルを有するモータから成っている。
【0016】
対称的な力の伝達経路、および、案内手段21、21′の比較的に大きな間隔によって、極めて良好な案内状態のおかげで、特別に高い機械剛性が達成される。
ホブとして形成された工具16は、スピンドルモータ30と共に、スライダー20内において、C軸線27を中心として、旋回可能に支承されている。この旋回運動のための駆動装置として、旋回用モータ31が使用される。
この旋回用モータは、機械フレーム2内における開口部32内へと突出している。このようにして、工具16から前壁3への可能な限り僅かの間隔が可能となる。
【0017】
図3に従う、手動積込み式の工作機械の場合、加工材料スピンドル22は、スライダー20に直立して設けられており、且つ、このスライダーの上で、Y方向へと移動可能である。
このスライダー20および垂直方向スライダー5は、図1および2に関する上記説明内におけるように、機械フレーム2において、案内部の上で、移動可能に設けられている。モータスピンドル9は、工具16の収容のための役目を果たし、且つ、垂直方向スライダー5に懸吊状態に設けられている。
このモータスピンドル9は、工具マガジン24に関係付けられている。このモータスピンドル9は、加工位置18から、工具交換位置23内へと移動可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 工作機械
2 機械フレーム
3 前壁
4 垂直方向の案内部
5 垂直方向スライダー
6 モータ
7 ボールローラースピンドル
8 水平方向の案内部
9 モータスピンドル
10 モータ
11 ボールローラースピンドル
12 収容位置
13 載置位置
14 チャック
15 加工材料
16 工具
17 移送装置
18 加工位置
19、19′ 側壁
20 スライダー
21、21′ 案内手段
22 加工材料スピンドル
23 工具交換位置
24 工具マガジン
25 心押し台
26、26′ 駆動装置
27 C軸線
28 シフト軸線
29、29′ 支え柱
30 スピンドルモータ
31 旋回用モータ
32 開口部
33 案内シュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具(16)でもって、回転駆動される加工材料(15)の加工のための工作機械(1)であって、
この工作機械が、互いに離間する平行な2つの側壁(19、19′)を有する、機械フレーム(2)を備えており、
その際、この機械フレーム(2)に、モータスピンドル(9)が、面「E」内において、2つの互いに垂直の方向(X、Z軸線方向)に移動可能に設けられており、
更に上記工作機械が、下側のスライダー(20)を備えており、
このスライダーが、1つの方向(Y軸線方向)内において、機械フレーム(2)の上記面「E」に対して垂直方向に移動可能である、
様式の上記工作機械において、
スライダー(20)が、2つの、側方の支え柱(29、29′)を有していること、
これら支え柱(29、29′)が、両方の側壁(19、19′)のそれぞれの側壁において、案内手段(21、21′)を介して案内されていること、および、
このスライダー(20)の移動のために、少なくとも1つの駆動装置(26、26′)が設けられており、これら駆動装置が、両方の支え柱(29、29′)と、作用結合の状態にあることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
機械フレーム(2)が、両方の側壁(19、19′)の間で、垂直方向の前壁(3)を有しており、工具(16)が、スライダー(20)の上に設けられている、請求項1に記載の工作機械において、
モータスピンドル(9)が、
垂直方向スライダー(5)の上で、前壁(3)の垂直方向の案内部(4)に沿って、移動可能であり、且つ、垂直方向スライダー(5)の上の水平方向の案内部(8)に沿って、移動可能に設けられていることを特徴とする工作機械。
【請求項3】
モータスピンドル(9)が、加工材料(15)のグリップ、収容、駆動および載置のためにチャック(14)を有しており、加工材料(15)の移送のために、1つの収容位置(12)および載置位置(13)を有する移送装置(17)が設けられている、請求項2に記載の工作機械において、
モータスピンドル(9)が、
上記加工材料(15)が加工され得る加工位置(18)から、上記収容位置および載置位置(11、12)内へと移動可能であることを特徴とする工作機械。
【請求項4】
フライス加工、研磨加工、ホブ研磨加工、または、ホーニング加工のための、少なくとも1つの回転駆動される工具(16)を有する、請求項3に記載の工作機械において、
工具(16)が、スライダー(20)の上に、水平方向のC軸線(27)を中心として、旋回可能に支承されていることを特徴とする工作機械。
【請求項5】
有歯部の形成及び/または処理のための、請求項4に記載の工作機械であって、
その際、加工材料(15)と工具(16)との間で、転動運動が行われる様式の上記工作機械において、
その加工材料の中心軸線を中心とするこの加工材料(15)の回転運動と、
その工具の長手軸線を中心とするこの工具(16)の回転運動とは、制御技術的に互いに連動されていることを特徴とする工作機械。
【請求項6】
工具(16)は、ホブとして形成されており、且つ、
シフト移動の実施の際に、スライダー(20)に関して、シフト軸線(28)の方向内において、位置移動可能であることを特徴とする請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
加工材料(15)の支持のために、心押し台(25)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の工作機械。
【請求項8】
歯付けされた加工材料(15)の仕上げ加工のための、請求項4に記載の工作機械において、
工具(16)として、内側で歯付けされたホーニング輪(Honrad)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の工作機械。
【請求項9】
工具マガジン(24)、および、スライダー(20)に直立して設けられた加工材料スピンドル(22)を有する、請求項1に記載の工作機械であって、その際、
モータスピンドル(9)が、工具収容部を、回転駆動可能な工具(16)の収容のために有している様式の上記工作機械において、
モータスピンドル(9)が、加工位置(18)から、工具交換位置(23)内へと移動可能であることを特徴とする工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−94957(P2013−94957A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236449(P2012−236449)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【出願人】(502323988)エマーク・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (13)
【Fターム(参考)】