説明

[1S−[1α,2α,3β(1S*,2R*),5β]]−3−[7−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピルアミノ]−5−(プロピルチオ)−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロペンタン−1,2−ジオールおよびその中間体の製造方法

本発明は、[1S−[1α,2α,3β(1S,2R),5β]]−3−[7−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピルアミノ]−5−(プロピルチオ)−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロペンタン−1,2−ジオールの製造方法、および、本方法において有用な中間体を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、[1S−[1α,2α,3β(1S,2R),5β]]−3−[7−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピルアミノ]−5−(プロピルチオ)−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロペンタン−1,2−ジオールの製造方法、および、本方法において有用な中間体を対象とする。
【背景技術】
【0002】
アデノシン5’−二リン酸(ADP)は、血栓症の主要な媒介物質として作用することが発見された。ADP惹起血小板凝集は、血小板膜上に存在するP2Y12受容体サブタイプが介在するものである。P2Y12受容体(また、P2T、P2YADPまたはP2TACとしても知られている)は、主として血小板活性化/凝集の媒介に関与するGタンパク質共役受容体である。
【0003】
WO99/05143は、一般的に、P2T(また、P2Y12、P2YADPまたはP2TACとしても知られている)アンタゴニストとしての活性を有する一連のトリアゾロ[4,5−d]ピリミジン化合物を開示している。近年、他の抗血栓薬を超える有意な改善を提供する直接的な(プロドラッグではない)新種のP2T受容体アンタゴニストが説明されている。国際特許出願WO00/34283は、新規の「直接的な」P2T受容体アンタゴニストを開示しており、このようなアンタゴニストとしては、式(I)で示される化合物が挙げられる。WO01/92262は、結晶質および無定形の式(I)で示される化合物を開示している。
【0004】
WO01/92263は、[1S−[1α,2α,3β(1S,2R),5β]]−3−[7−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピルアミノ]−5−(プロピルチオ)−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロペンタン−1,2−ジオール(あるいは、(1S,2S,3R,5S)−3−[7−{[(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル]アミノ}−5−(プロピルスルファニル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2−シクロペンタンジオールとも称する)の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO99/05143
【特許文献2】WO00/34283
【特許文献3】WO01/92262
【特許文献4】WO01/92263
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(I)で示される化合物の改善された製造方法を提供する。具体的には、本発明に係る方法は、以前の方法と比較して式(I)で示される化合物の収量を改善し、同様に、製造効率を改善し、式(III)で示される化合物の純度をより高くする。高品質の式(I)で示される化合物が、再結晶しなくても得られる。
【0007】
発明の概要
本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
で示される化合物の製造方法を提供し、その方法は、
(a)式(II):
【0010】
【化2】

【0011】
で示される化合物を、シュウ酸またはジベンゾイル−L−酒石酸と反応させ、式(II)で示される当該化合物のシュウ酸塩またはジベンゾイル−L−酒石酸塩を形成すること;および、
(b)式(II)で示される化合物の当該塩を、式(VI):
【0012】
【化3】

【0013】
で示される化合物と、第三アミンの存在下、80℃〜115℃で、2.0体積%未満の酸素濃度で反応させ、式(III):
【0014】
【化4】

【0015】
で示される化合物を得て、式(III)で示される結晶性形状の当該化合物を単離すること;および、
(c)式(III)で示される化合物を、酢酸および亜硝酸ナトリウムと0℃〜40℃で反応させ、式(IV):
【0016】
【化5】

【0017】
で示される化合物を得ること、
および、
(d)式(IV)で示される化合物を、40℃に等しい温度で、または、それ未満の温度で、式(VII):
【0018】
【化6】

【0019】
で示される化合物と反応させ、式(V):
【0020】
【化7】

【0021】
で示される化合物を得ること、
および、
(e)式(V)で示される化合物を、2相系中のメタノール−塩酸水溶液を用いて脱保護して、式(I)で示される化合物を得ること、
を含む。
【0022】
式(II)で示される化合物は、WO01/92263A1で説明されているようにして製造できる。
【0023】
式(VI)で示される化合物は、WO2005/095358A2で説明されているようにして製造できる。また4,6−ジクロロ−5−ニトロ−2−(プロピルチオ)ピリミジンは、EP0931053、EP0842920で説明されている方法論を用いて、または、例えば、R.Larock Comprehensive Organic Transformations,ISBN 0−89573−710−8,VCHパブリッシャーズ社(VCH Publishers Inc.),1989,411頁で説明されているように、白金/バナジウムの組み合わせ触媒以外の芳香族ニトロ基を還元するためのその他のタイプの試薬系を利用して、式(VI)で示される化合物に還元してもよい。
【0024】
一実施態様において、工程(a)は、エタノール中で行われるか、または、水とエタノールとの混合物中で行われる。一実施態様において、このような混合物は約40〜70℃に加熱される。一実施態様において、式(II)で示される化合物にシュウ酸を添加して、この混合物を約60〜70℃に加熱し、続いて1〜3時間かけて酢酸イソプロピルを添加し、形成されたスラリーを約1〜3時間で約20〜30℃に冷却する。一実施態様において、さらに反応させる前に、沈殿した固体を単離する。
【0025】
一実施態様において、工程(a)は、エタノール中で行われる。一実施態様において、工程(a)は、約40〜60℃で、式(II)で示される化合物にジベンゾイル−L−酒石酸を添加することによって行われる。この混合物を30分間〜2時間撹拌した後、この混合物を約1〜4時間で約5〜25℃に冷却してもよい。一実施態様において、さらに反応させる前に、沈殿した固体を単離する。
【0026】
工程(b)は、80〜115℃の温度で行われる。一実施態様において、工程(b)は、80〜100℃の温度で行われる。一実施態様において、用いられる第三アミンは、トリエチルアミンである。一実施態様において、工程(b)で用いられる溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、tert−ブチルアルコール、イソ−ブチルアルコール、および、ジメトキシエタンから選択される。一実施態様において、工程(b)で用いられる溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコール、または、エチレングリコールから選択される。一実施態様において、工程(b)は、エチレングリコール中で行われる。一実施態様において、式(VI)で示される化合物は、過量に入れられる。一実施態様において、上記反応は、大気圧で、または、大気圧よりも0.5〜1.5bar高い圧力で行われる。一実施態様において、酸素濃度は、1.0体積%未満である。一実施態様において、酸素濃度は、0.5体積%未満である。
【0027】
工程(c)は、約0℃〜40℃の温度で行われる。一実施態様において、工程(c)は、室温で、すなわち20℃〜30℃で行われる。一実施態様において、上記反応は、トルエン中で行われる。一実施態様において、工程(c)の生成物は、単離しないでそれに続く反応工程で用いられる。一実施態様において、式(IV)で示される化合物のトルエン溶液は、蒸留しないでそれに続く工程に直接用いられる。
【0028】
工程(d)は、一実施態様において、約10〜30℃の温度で行われる。一実施態様において、この反応混合物に、式(VII)で示される化合物を、反応温度を30℃またはそれ未満に維持する速度で添加する。一実施態様において、工程(c)の生成物は、トルエン中に溶解している。一実施態様において、式(VII)で示される化合物は、炭酸カリウム水溶液中に溶解しており、上記反応は2相系中で行われる。一実施態様において、工程(d)の反応の生成物は、酢酸で洗浄される。
【0029】
工程(e)は2相系中で行われる。一実施態様において、トルエン中の工程(d)の生成物は、メタノールおよび濃塩酸水溶液と混合される。一実施態様において、塩酸水溶液の添加から5時間以内に、反応混合物にNaHCOが添加される。一実施態様において、上記反応は、10〜20℃の温度で行われる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施例1.(3aS,4R,6S,6aR)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−アミニウムシュウ酸塩の製造
(3aS,4R,6S,6aR)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−アミン(約100kg,エタノール約320kg中,WO01/92263で説明されている通りに製造)のエタノール溶液に、水(30kg)を入れた。この混合物を65℃に加熱し、シュウ酸×2HO(57kg)を添加した。酢酸イソプロピル(665kg)を2時間かけて添加し、得られたスラリーを、2時間で20℃に冷却した。冷却したスラリーを、さらに2時間この温度で維持した。沈殿した生成物を単離し、酢酸イソプロピル(141kg)で洗浄し、真空中で乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(116kg、約82%)。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 6.51(およそのbr s, NH2, COOHおよびOHプロトン), 4.70(およそのd, J = 6 Hz, 1 H), 4.61(およそのd, J= 6 Hz, 1 H), 3.91(およそのbr s, 1 H), 3.40-3.59(m, 5 H), 2.12-2.23(m, 1 H), 1.89-2.01(m, 1 H), 1, 36(s, 3 H), 1.23(s, 3 H). 13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ164.7, 110.8, 82.8, 82.7, 82.1, 70.5, 60.0, 55.1, 32.5, 26.1, 23.9。
【0031】
実施例2.ビス[(3aS,4R,6S,6aR)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−アミニウム]2,3−ビス(ベンゾイルオキシ)コハク酸塩の製造
ジベンゾイル−L−酒石酸のエタノール溶液(82kg,エタノール126kg中)に、(3aS,4R,6S,6aR)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−アミンのエタノール溶液(エタノール約320kg中に約100kg,WO01/92263で説明されている通りに製造)を50℃で添加した。得られた混合物を50℃で1時間撹拌し、続いて3時間以内に10℃に冷却した。
【0032】
生成物を単離し、エタノール(150kg)で洗浄し、真空中で乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(157kg、約86%の収量)。
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 7.96(およそのd, J = 8 Hz, 4 H), 7.59-7.66(m, 2 H), 7.50, (およそのt, J= 8 Hz, 4 H), 5.63(s, 2 H), 4.47-4.57(m, 4 H), 3.73-3.80(m, 2 H), 3.37-3.55(m, 8 H), 3.25-3.34(m, 2 H), 1.93-2.05(m, 2 H), 1.73-1.84(m, 2 H), 1.31(s, 6 H), 1.17(s, 6 H). 13C NMR(100 MHz, DMSO-d6)δ 168.7, 164.9, 133.0, 130.2, 129.1, 128.4, 110.3, 83.6, 83.2, 82.9, 73.3, 70.3, 60.0, 55.5, 33.1, 26.1, 23.9。
【0033】
実施例3.2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールの製造
4,6−ジクロロ−5−ニトロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン(71kg)、および、白金バナジウム触媒(炭素に担持させた白金・バナジウム,2%Ptおよび1%V,11.15kg)を、メチル−tert−ブチルエーテル(298kg)と共に入れた。この混合物を約5℃に冷却し、8barの水素圧力をかけた(発熱を制御するために、この圧力をゆっくり高めた)。この反応混合物を30℃で9時間かけて撹拌し、8barの水素圧力および変換をチェックした(>99%)。触媒をろ過して除き、メチル−tert−ブチルエーテル(117kg)で洗浄した。二回目の分量の4,6−ジクロロ−5−ニトロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン(71kg)を用いて水素添加を繰り返した。2回分の水素添加溶液を合わせた。水を分離して除き、有機層を、減圧下で、30℃のジャケット温度で蒸留した。得られた茶色の油に、エチレングリコール(221kg)を入れ、それ以上メチル−tert−ブチルエーテルが蒸留して除かれなくなるまで蒸留を続けた。
【0034】
4,6−ジクロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−5−アミン((3aS,4R,6S,6aR)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−アミニウムシュウ酸塩(118kg)のエチレングリコール混合物に、トリエチルアミン(161kg)を添加した。得られた反応混合物を不活性化し、3時間より長く100℃に加熱し、この温度で9時間維持し、続いて約40℃に冷却した。酢酸イソプロピル(740kg)および水(644kg)を添加し、この混合物を40℃で30分間撹拌した。撹拌を止め、そのまま相を分離させ、水層を廃棄した。有機層を水(644kg)で洗浄し、相を再度分離させた。水を除去するために、有機層を減圧蒸留で55℃のジャケット温度で濃縮した;追加の量の酢酸イソプロピルを添加した(2×130kg)。望ましい含水量に達したら、2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールの濃度を、約30%(28%)(2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールに基づき計算した)に調節した。この溶液を62℃に加熱し、イソ−オクタン(1150kg、63℃に予備加熱)を30分かけて添加した。この混合物を、2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノール(0.9kg)と共に植え付け、62℃で30分間撹拌し、続いて7時間で0℃に冷却した。0℃で1時間経過した後、沈殿した生成物を単離し、予め冷却した(0℃)酢酸イソプロピル(63kg)とイソ−オクタン(182kg)との混合物で洗浄した。最終的に、生成物をイソ−オクタン(232kg)で洗浄し、真空中で乾燥させ、表題の化合物白色〜オフホワイト色の固体をとして得た(143kg、88%)。
【0035】
実施例4.2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールの製造
4,6−ジクロロ−5−ニトロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン(600kg@100%)、および、白金・バナジウム触媒(炭素上に担持した白金・バナジウム,2%Ptおよび1%V,46kg@100%)を、メチル−tert−ブチルエーテル(2492kg)に入れた。所定の期間にわたり同時に65℃に加熱しながら8barの水素圧力をかけた。この反応混合物を65℃で3時間撹拌し、8barの水素圧力および変換をチェックした(>99%)。触媒をろ過して除き、メチル−tert−ブチルエーテル(1240kg)で洗浄した。水を分離して除き、有機層を減圧下で、30℃のジャケット温度で蒸留した。得られた茶色の油に、エチレングリコール(880kg)を入れ、それ以上メチル−tert−ブチルエーテルが蒸留して除かれなくなるまで蒸留を続けた。
【0036】
4,6−ジクロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−5−アミン((3aS,4R,6S,6aR)−6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−アミニウムシュウ酸塩(530kg)のエチレングリコール混合物に、トリエチルアミン(707kg)を添加した。得られた反応混合物を不活性化し、100℃に加熱し、この温度で9時間維持し、続いて約40℃に冷却した。酢酸イソプロピル(3185kg)と水(2773kg)とを添加し、この混合物を40℃で30分間撹拌した。撹拌を止め、そのまま相を分離させ、水層を廃棄した。有機層を水(2773kg)で洗浄し、相を再度分離させた。水を除去するために、有機層を減圧蒸留で55℃のジャケット温度で濃縮した;追加の量の酢酸イソプロピルを添加した(1706kg)。望ましい含水量に達したら、2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールの濃度を、約27%(2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールに基づき計算)に調節した。この溶液を62℃に加熱し、イソ−オクタン(5051kg,63℃に予備加熱した)を30分かけて添加した。この混合物を2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノール(0.9kg)と62℃および58℃で共に植え付け、続いて7時間で0℃に冷却した。0℃で1時間経過した後、数回遠心分離機にかけて沈殿した生成物を単離し、予め冷却した(0℃)酢酸イソプロピルとイソ−オクタンとの混合物で洗浄した。最終的に、生成物をイソ−オクタンで洗浄し、真空中で乾燥させ、表題の化合物白色〜オフホワイト色の固体をとして得た(610kg、84%)。
【0037】
実施例5.2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−クロロ−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノールの製造
トルエン(749kg)および酢酸(153kg)中の2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノール(180kg)に、水(88kg)中の亜硝酸ナトリウム(33.2kg)を添加し、30℃以下の反応温度を維持する速度で入れた。標準的な変換率が達成されたら(>99%)、水(360kg)中の炭酸カリウム(176kg)をこの反応溶液に添加し、その後水層を分離して除き、有機層を次の工程に用いた。
【0038】
実施例6.2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−クロロ−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノールの製造
2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノール(320kg)、および、亜硝酸ナトリウム(61kg)を、水(224kg)およびトルエン(1450kg)の混合物に室温で溶解させた。酢酸(276kg)を、30℃以下の反応温度を維持する速度で入れた。完全な変換が達成されたら(99.9%以上)、水(640kg)に溶解させた炭酸カリウム(317kg)をこの反応溶液に添加した。抽出した後、水層を分離して除き、有機層を次の工程に用いた。
【0039】
実施例7.2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−{[(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル]アミノ}−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノールの製造
トランス−(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロパンアミニウム(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエタノエート(146kg、WO2008/018822、WO2008/018823、WO01/92200で説明されている通りに製造)、および、炭酸カリウム(156kg)を水(576kg)に溶解させ、2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−クロロ−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノール溶液に30℃以下の反応温度を維持する速度で入れた。標準的な変換率が達成されたら(>99%)、水層を分離して除いた。有機層を水(560kg)中の酢酸(18kg)および塩化ナトリウム(13kg)で2回洗浄し、続いて水(438kg)中の塩化ナトリウム(54kg)で2回洗浄し、その後有機層を次の工程に用いた。
【0040】
実施例8.2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−{[(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピル]アミノ}−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチル−テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノールの製造
トランス−(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロパンアミニウム(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエタノエート(258kg)、および、炭酸カリウム(280kg)を水(1024kg)に溶解させ、上記の実施例5で得られた2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−クロロ−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノール溶液に30℃以下の反応温度を維持する速度で入れた。完全な変換が達成されたら(99.9%以上)、水層を分離して除いた。有機層を、水(768kg)中の酢酸(96kg)と塩化ナトリウム(96kg)との混合物で洗浄し、続いて水(952kg)中の酢酸(32kg)および塩化ナトリウム(22kg)の混合物で再度洗浄した。水(864kg)中の塩化ナトリウム(96kg)で有機層の3回目の洗浄を行い、その後有機層を次の工程に用いた。
【0041】
実施例9.[1S−[1α,2α,3β(1S,2R),5β]]−3−[7−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピルアミノ]−5−(プロピルチオ)−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロペンタン−1,2−ジオールの製造
上記で得られた2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−{[(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル]アミノ}−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノール溶液を15℃に冷却し、メタノール(623kg)中の濃塩酸水溶液(465kg)も15℃に調節して入れた。標準的な変換率が達成されるまで(>97%)、この反応液を15℃で撹拌し、相をそのまま分離させた。生成物を含むメタノール−水層を水(749kg)中の炭酸水素ナトリウム404kg)に添加し、温度を22℃未満に維持した。pHが6以上の場合、水層を酢酸エチル(756kg)で抽出し、相を分離した。水層を酢酸エチル(1080kg)で再度洗浄し、その後水層を捨てた。酢酸エチル層を合わせて、水(490kg)で1回洗浄した。
【0042】
残存する酢酸エチル溶液中の含水量を、50℃での減圧蒸留、続いてろ過による透明化によって0.8%(w/w)以下に減少させ、濃度を6.2L/kgに調節して、2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールを得た。この混合物を50℃に加熱し、続いてイソ−オクタンを45分間かけて添加した(1152kg)。スラリーを2.5時間かけて0℃に冷却し、続いて3.5時間この温度で維持した。生成物を単離し、冷たい(<5℃)酢酸エチル(722kg)とイソ−オクタン(828kg)との混合物で洗浄した。最終的に、単離した生成物を真空中で乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(203kg、2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールに基づき計算したところ、90%であった)。
【0043】
実施例10.[1S−[1α,2α,3β(1S,2R),5β]]−3−[7−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−シクロプロピルアミノ]−5−(プロピルチオ)−3H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロペンタン−1,2−ジオールの製造
トルエン(1448kg)中の2−({(3aR,4S,6R,6aS)−6−[7−{[(1R,2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)シクロプロピル]アミノ}−5−(プロピルチオ)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aHシクロペンタ[d]−[1,3]ジオキソール−4−イル}オキシ)エタノール(430kg)の溶液を15℃に冷却した。メタノール(933kg)中の濃塩酸水溶液(831kg)も15℃に冷却し、これを入れて、この反応混合物を15℃でで2時間徹底的に撹拌し、その後そのまま2相に分離させた。温度を15〜25℃に維持しながら、生成物を含むメタノール/水層を、水(1024kg)中の炭酸水素ナトリウム(745kg)のスラリーに添加した。クエンチ完了後に(基準pHは6以上)pHをpH8に高め、続いて水層を酢酸エチル(969kg)で抽出した。酢酸エチル相と少々の水相をデカンテーションで他の反応装置に移した。水層を酢酸エチル(289kg)で2回洗浄し、この2回目の酢酸エチル相と少々の水相をデカンテーションで他の反応装置に移した。水層を酢酸エチル(289kg)で3回洗浄し、この3回目の酢酸エチル相と少々の水相をデカンテーションで他の反応装置に移した。相を分離し、水相を捨てた。酢酸エチル相を、水(434kg)に溶解させた塩化ナトリウム(150kg)溶液で洗浄した。この混合物を24℃で30分間撹拌し、その後撹拌を止め、相をそのまま分離させた。続いて水相を捨て、酢酸エチル相に追加の酢酸エチル(1556kg)を24℃で入れた。この混合物を木炭製フィルターのプレート、続いて K200ペーパーフィルターのプレートを有するフィルターを通過させてろ過した。フィルターを酢酸エチル(492kg)で24℃で洗浄し、この洗浄した部分をろ過した酢酸エチル溶液と共にプールした。酢酸エチル溶液中の含水量を、50℃での減圧蒸留によってさらに0.4%w/wまで減少させ、体積を、2200L(6.88L/kgの2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールを基準として)に調節した。この混合物を57℃に加熱して、透明な溶液を得て、続いてそれを50℃に冷却し、その後1.72時間かけてイソ−オクタン(1435kg)を添加した。得られたスラリーを2.35時間かけて0℃に冷却し、続いてこの温度で2.33時間維持した。生成物を単離し、冷たい(約0℃)酢酸エチル(828kg)とイソ−オクタン(724kg)との混合物で洗浄した。最終的に、単離した生成物を40℃で真空中で乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(328kg,2−[((3aR,4S,6R,6aS)−6−{[5−アミノ−6−クロロ−2−(プロピルチオ)ピリミジン−4−イル]アミノ}−2,2−ジメチルテトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−4−イル)オキシ]エタノールに基づき計算したところ82%)。
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される化合物の製造方法であって、該方法は、
(a)式(II):
【化2】

で示される化合物を、シュウ酸またはジベンゾイル−L−酒石酸と反応させ、式(II)で示される化合物のシュウ酸塩またはジベンゾイル−L−酒石酸塩を形成し、
;そして、
(b)第三アミンの存在下で、80℃〜115℃で、2.0体積%未満の酸素濃度で、式(II)で示される化合物の塩を、式(VI):
【化3】

で示される化合物と反応させ、式(III):
【化4】

で示される化合物を得て、結晶性形状の式(III)で示される化合物を単離し;
そして、
(c)式(III)で示される化合物を、酢酸および亜硝酸ナトリウムと0℃〜40℃で反応させ、式(IV):
【化5】

で示される化合物を得て、
そして、
(d)40℃に等しい温度で、または、それ未満の温度で、式(IV)で示される化合物を、式(VII):
【化6】

で示される化合物と反応させ、式(V):
【化7】

で示される化合物を得て、
そして、
(e)式(V)で示される化合物を、2相系中のメタノール−塩酸水溶液を用いて脱保護して、式(I)で示される化合物を得ること、
を含む、上記方法。
【請求項2】
工程(a)が、エタノール中で行われるか、または、水とエタノールとの混合物中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(II)で示される化合物を、シュウ酸と反応させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、反応混合物に酢酸イソプロピルが添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(II)で示される化合物を、ジベンゾイル−L−酒石酸と反応させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)において、式(VI)で示される化合物を過量に入れる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)で用いられる第三アミンが、トリエチルアミンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)において、酸素濃度が1.0体積%未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)において、酸素濃度が0.5体積%未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)で用いられる溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール、または、エチレングリコールである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(b)で用いられる溶媒が、エチレングリコールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(c)が、20℃〜30℃で行われる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)の生成物を単離しないでそれに続く反応工程で用いる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)において、式(VII)で示される化合物が、反応温度を30℃に、または、それ未満に維持する速度で反応混合物に添加される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(II):
【化8】

で示される化合物のシュウ酸塩またはジベンゾイル−L−酒石酸塩の製造方法であって、該方法は、
式(II)で示される化合物を、シュウ酸またはジベンゾイル−L−酒石酸と反応させ、シュウ酸塩またはジベンゾイル−L−酒石酸塩を形成するものである、上記方法。
【請求項16】
式(III)で示される化合物の製造方法であって、該方法は、
式(II):
【化9】

で示される化合物のシュウ酸塩またはジベンゾイル-L-酒石酸塩を、式(VI):
【化10】

で示される化合物と、第三アミンの存在下で、80℃〜115℃で、2.0体積%未満の酸素濃度で反応させ、式(III):
【化11】

で示される化合物を得て、結晶性形状の式(III)で示される化合物を単離するものである、上記方法。
【請求項17】
式(IV)で示される化合物の製造方法であって、該方法は、
式(III):
【化12】

で示される化合物を、0℃で〜40℃で酢酸および亜硝酸ナトリウムと反応させ、式(IV):
【化13】

で示される化合物を得るものである、上記方法。
【請求項18】
式(V)で示される化合物の製造方法であって、該方法は、
40℃に等しい温度で、または、それ未満の温度で、式(IV):
【化14】

で示される化合物を、式(VII):
【化15】

で示される化合物と反応させ、式(V):
【化16】

で示される化合物を得るものである、上記方法。
【請求項19】
式(II):
【化17】

で示される化合物のシュウ酸塩またはジベンゾイル−L−酒石酸塩から選択される化合物。

【公表番号】特表2012−502024(P2012−502024A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526012(P2011−526012)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050999
【国際公開番号】WO2010/030224
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】