説明

gm−Cフィルタの周波数補正方法と該方法を使うことができる装置

【課題】gm−Cフィルタの周波数補正方法を提供する。
【解決手段】周波数補正方法は、周波数補正回路が、gm−Cオシレータから出力され、工程変化を表わすオシレーション信号の周波数と基準コードとによって、gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードを生成する段階と、周波数補正回路が生成された補正コードが、基準コードの範囲内に属するか否かを判断する段階と、周波数補正回路が、判断結果によって生成された補正コードをgm−Cフィルタに出力するか、またはgm−Cオシレータのトランスコンダクタンスとgm−Cフィルタのトランスコンダクタンスとを調節するための可変電流を生成する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、gm−Cフィルタを内蔵した半導体回路に係り、特に、半導体製造工程時、工程変動によって発生するgm−Cフィルタの周波数特性の変動を補償することができるgm−Cフィルタの周波数補正方法及び該方法を行うことができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機器の受信器のRFフロントエンド(front end)には、受信された信号から所望の周波数を選択することができるアナログフィルタ(analog filter)が含まれる。
このアナログフィルタとして、SCF(Switched Capacitor Filter)、MOSFETフィルタ、OTA(Operational Transconductor Amplifier)構造を有するフィルタなどが使われる。このうち、数十MHzの周波数帯域でフィルタ特性を得るためにOTA構造を有するフィルタが主に使われている。
【0003】
OTAフィルタとして、トランスコンダクタンス(transconductance:gm)を利用したgm−Cフィルタが最も多く使われる。gm−Cフィルタは、通信装備で受信信号の復元及び伝送信号のアンチエイリアシング(antialiasing)のために幅広く使われるフィルタであって、トランスコンダクタ(transconductor)とキャパシタ(capacitor)とを含む。
【0004】
記gm−Cフィルタで、トランスコンダクタのトランスコンダクタンス(gm)とキャパシタのキャパシタンス(capacitance;C)は、gm−Cフィルタのカットオフ周波数(cut−off frequency)を決定する重要な要素である。gm−Cフィルタのカットオフ周波数は、トランスコンダクタンスに比例し、キャパシタンスに反比例する。高いカットオフ周波数を有するgm−Cフィルタを具現するためには、キャパシタンスを減少させなければならない。しかし、少ないキャパシタンスを有するキャパシタを具現するには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、gm−Cフィルタを内蔵した半導体チップ(chip)製造時、工程変動によって発生するgm−Cフィルタの周波数特性の変動を補償することができるgm−Cフィルタの周波数補正方法及び該方法を行うことができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による周波数補正方法は、周波数補正回路が、gm−Cオシレータから出力された工程変動を表わすオシレーション信号の周波数と基準コードとによって、gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードを生成する段階と、前記周波数補正回路が、前記生成された補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断する段階と、前記周波数補正回路が、判断結果によって、前記生成された補正コードを前記gm−Cフィルタに出力するか、または前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスと前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスとを同時に調節するための可変電流を生成する段階と、を含む。
【0007】
前記周波数補正回路は、前記基準コードと前記オシレーション信号の周波数との比に相応する前記補正コードを生成する。
前記gm−Cオシレータは、前記可変電流によって、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを調節し、該調節結果に相応する前記周波数を有する前記オシレーション信号を生成する。
【0008】
前記生成された補正コードが、前記基準コードの最小値と最大値との間である場合、前記周波数補正回路は、前記gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節するために、前記生成された補正コードを前記gm−Cフィルタに出力する。
また、前記生成された補正コードが、前記基準コードの最小値より小さい場合、前記周波数補正回路は、前記オシレーション信号の前記周波数を減少させるための前記可変電流を生成し、前記gm−Cオシレータは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを減少させ、前記gm−Cフィルタは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスを減少させる。
【0009】
そして、前記生成された補正コードが、前記基準コードの最大値より大きい場合、前記周波数補正回路は、前記オシレーション信号の前記周波数を増加させるための前記可変電流を生成し、前記gm−Cオシレータは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを増加させ、前記gm−Cフィルタは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスを増加させる。
前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスと前記キャパシタンスは、前記可変電流によって、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスと前記キャパシタンスと同一の変化値に調節される。
【0010】
本発明の実施形態によるgm−Cフィルタの周波数を補正することができる周波数補正装置は、工程変動によって可変する周波数を有するオシレーション信号を生成するためのgm−Cオシレータと、基準コードと前記周波数とによって、前記gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードを生成するための周波数補正回路と、を含む。
【0011】
前記周波数補正回路は、前記補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断し、該判断結果によって、前記補正コードを前記gm−Cフィルタに出力するか、または前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスを調節すると同時に、前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスを調節するための可変電流を生成する。
【0012】
前記周波数補正回路は、前記基準コードを保存するための第1レジスタと、前記補正コードを保存するための第2レジスタと、電流制御コードを保存するための第3レジスタと、前記第1レジスタに保存された前記基準コードと前記周波数とによって、前記gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる前記補正コードを生成して、前記第2レジスタに保存するためのマイクロプロセッサと、前記電流制御コードに応答して、前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスを調節すると同時に、前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスを調節するための可変電流を生成する可変電流生成回路と、を含む。
【0013】
前記マイクロプロセッサは、前記補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断し、該判断結果によって、前記補正コードを調節し、前記可変電流を調節するための前記電流制御コードを生成する。
【0014】
本発明の実施形態によるデータ処理システムは、データを保存することができる記録媒体と、前記記録媒体に保存されたデータをピックアップすることができるピックアップユニットと、前記ピックアップユニットから出力された信号を増幅することができる電圧制御増幅器と、前記電圧制御増幅器によって増幅された信号をフィルタリングすることができるgm−Cフィルタと、前記gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードまたは基準電流を生成することができる周波数補正装置と、を含む。
【0015】
前記周波数補正装置は、工程変動によって可変する周波数を有するオシレーション信号を生成するためのgm−Cオシレータと、基準コードと前記周波数とによって、前記補正コードを生成するための周波数補正回路と、を含む。
前記周波数補正回路は、前記補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断し、該判断結果によって、前記補正コードを前記gm−Cフィルタに出力するか、または前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスを調節すると同時に、前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスを調節するための前記可変電流を生成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態による周波数補正方法とその装置とによれば、可変電流を用いてgm−Cオシレータ(oscillator)とgm−Cフィルタのそれぞれのトランスコンダクタンスとを調節することによって、工程変動による前記gm−Cフィルタの周波数変動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による周波数補正装置を示すブロック図
【図2】図1に示された周波数補正回路のブロック図
【図3】図1に示された周波数補正装置の周波数補正動作を説明するためのフローチャート
【図4】図1に示された可変電流生成回路の回路図
【図5】図1に示されたgm−Cフィルタの回路図
【図6】図1に示された周波数補正装置を含むアナログフロントエンドのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態による周波数補正装置を示す概略的なブロック図である。図1を参照すると、周波数補正装置10は、gm−Cオシレータ100、周波数補正回路200、及びgm−Cフィルタ(filter)300を含む。
【0019】
gm−Cオシレータ100は、工程変化(または、工程変動)によって可変する周波数foscを有するオシレーション(oscillation)信号を生成することができる。オシレーション信号の周波数foscは、gm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスとキャパシタンスとによって決定される。
周波数補正回路200は、基準コードFcset[n:0]とオシレーション信号の周波数foscとによって、gm−Cフィルタ300のカットオフ周波数を調節することができる補正コードcal_fccode[n:0]を生成することができる。
【0020】
周波数補正回路200は、補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値と最大値との間に属するか否かを判断し、該判断結果によって決定された補正コードcal_fccode[n:0]をgm−Cフィルタ300に出力するか、または可変電流Vmirrを生成し、該生成された可変電流Vmirrをgm−Cオシレータ100とgm−Cフィルタ300とに出力することができる。例えば、可変電流Vmirrは、gm−Cフィルタ300のカットオフ周波数をコース(coarse)に調節することができ、補正コードcal_fccode[n:0]は、gm−Cフィルタ300のカットオフ周波数を微細(fine)調節することができる。
【0021】
gm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスは、可変電流Vmirrによって調節され、それと同時に、gm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスは、可変電流Vmirrによって調節される。
補正コードcal_fccode[n:0]は、基準コードFcset[n:0]とオシレーション信号の周波数foscとによって決定される。例えば、補正コードcal_fccode[n:0]は、基準コードFcset[n:0]に比例し、オシレーション信号の周波数foscに反比例させることができる。また、補正コードcal_fccode[n:0]は、周波数補正回路200に供給されるメインクロック(main clock)信号の周波数に比例させることができる。
【0022】
図2は、図1に示された周波数補正回路の詳細なブロック図を示す。図2を参照すると、周波数補正回路200は、アナログデジタルコンバータ(analog digitalconverter、ADC)、プロセッサ(processor)220、第1レジスタ(register)221、第2レジスタ222、第3レジスタ223、及び可変電流生成回路230を含む。
【0023】
前記ADCは、gm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスとキャパシタンスとによって決定される周波数foscを有するオシレーション信号を受信し、該受信されたオシレーション信号の周波数foscに相応する周波数コード(code)をプロセッサ220に出力することができる。
【0024】
第1レジスタ221は、外部から供給される基準コードFcset[n:0]を保存し、該保存された基準コードFcset[n:0]をプロセッサ220に供給することができる。第2レジスタ222は、プロセッサ220によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]を保存し、該保存された補正コードcal_fccode[n:0]をgm−Cフィルタ300に出力することができる。第3レジスタ223は、プロセッサ220によって決定される電流制御コードgmset[m:0]を保存し、電流制御コードgmset[m:0]を可変電流生成回路230に出力することができる。例えば、mは自然数であり、n=mまたはn≠mであり得る。
【0025】
プロセッサ220は、第1レジスタ221に保存された基準コードFcset[n:0]、メインクロック信号の周波数、及びオシレーション信号の周波数foscによって、gm−Cフィルタ300のカットオフ周波数を微細調整することができる補正コードcal_fccode[n:0]を生成することができる。
【0026】
また、プロセッサ220は、生成された補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値(例えば、nが6である時、0000000)と最大値(例えば、nが6である時、1111111)との間に属するか否かを判断し、該判断結果によって補正コードcal_fccode[n:0]を調節するか、または電流制御コードgmset[m:0]を生成することができる。
【0027】
実施形態によって、プロセッサ220は、数式1と表現される関数によって補正コードcal_fccode[n:0]を生成することができる。
【0028】
【数1】

【0029】
ここで、XとCは、定数であり、f(mclk)は、メインクロック信号の周波数を表わし、d_Fcset[n:0]は、基準コードFcset[n:0]に相応する十進数を表すことができる。
【0030】
工程の変化がなければ、プロセッサ220は、数式1によって基準コードFcset[n:0]と同一の補正コードcal_fccode[n:0]とを出力することができる。
しかし、工程の変化によってオシレーション信号の周波数foscが、基準コードFcset[n:0]に相応する周波数より高い場合、プロセッサ220は、数式1によって基準コードFcset[n:0]より小さな補正コードcal_fccode[n:0]を出力することができる。
【0031】
例えば、数式1によって、プロセッサ220によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値(例えば、nが6である時、0000000)と最大値(例えば、nが6である時、1111111)との間に存在する時、プロセッサ220は、数式1によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]をgm−Cフィルタ300に出力することができる。この際、gm−Cフィルタ300は、カットオフ周波数を調節するために、周波数補正回路200から出力された補正コードcal_fccode[n:0]によってgm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスを調節することができる。
【0032】
しかし、数式1によって、プロセッサ220によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値(例えば、0000000または0000001)より小さくて基準コードFcset[n:0]と表現することができない時、プロセッサ220は、補正コードcal_fccode[n:0]を生成せず、可変電流Vmirrを調節することができる電流制御コードgmset[m:0]を生成することができる。
【0033】
また、工程の変化によってオシレーション信号の周波数foscが、基準コードFcset[n:0]に相応する周波数より低い場合、プロセッサ220は、数式1によって基準コードFcset[n:0]より大きい補正コードcal_fccode[n:0]を出力することができる。
【0034】
例えば、数式1によって、プロセッサ220によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値(例えば、nが6である時、0000000)と最大値(例えば、nが6である時、1111111)との間に存在する時、プロセッサ220は、数式1によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]をgm−Cフィルタ300に出力することができる。この際、gm−Cフィルタ300は、カットオフ周波数を調節するために、周波数補正回路200から出力された補正コードcal_fccode[n:0]によってgm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスを調節することができる。
【0035】
しかし、数式1によって、プロセッサ220によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最大値(例えば、11111112(=127))より大きくて基準コードFcset[n:0]と表現することができない時、プロセッサ220は、補正コードcal_fccode[n:0]を生成せず、可変電流Vmirrを調節することができる電流制御コードgmset[n:0]を生成することができる。
【0036】
すなわち、数式1によって、プロセッサ220によって生成された値が、補正コードcal_fccode[n:0]と表現することができない時、プロセッサ220は、補正コードcal_fccode[n:0]を生成せず、オシレーション信号の周波数foscを調節することができる電流制御コードgmset[m:0]を生成することができる。
【0037】
したがって、可変電流生成回路230は、プロセッサ220によって生成された電流制御コードgmset[m:0]に相応する可変電流Vmirrを生成する。オシレーション信号の周波数foscを調節することができるgm−Cオシレータ100は、可変電流Vmirrによってgm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスを調節し、それと同時に、gm−Cフィルタ300は、可変電流Vmirrによってgm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスを調節する。
【0038】
可変電流Vmirrによってgm−Cオシレータ100のオシレーション信号の周波数foscが調節され、数式1によって、プロセッサ220によって生成された補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値(例えば、nが6である時、0000000)と最大値(例えば、nが6である時、1111111)との間にあれば、プロセッサ220は、調節された補正コードcal_fccode[n:0]をgm−Cフィルタ222に出力する。したがって、gm−Cフィルタ222は、調節された補正コードcal_fccode[n:0]によってカットオフ周波数を微細調節することができる。
【0039】
図3は、図1に示された周波数補正装置の周波数補正過程を示すフローチャート(flowchart)である。周波数補正回路200の周波数補正動作を、図1から図3を参照して詳しく説明する。
まず、nが6であり、基準コードFcset[n:0]は‘11110002=120’であり、foscが6MHzである時に、プロセッサ220は、数式1によって基準コード(Fcset[6:0]=11110002=120)と同一の補正コード(cal_fccode[6:0]=11110002)とを生成すると仮定する。
【0040】
オシレーション信号の周波数foscが、6MHzである時(ステップS10)、周波数補正回路200は、周波数補正動作を完了し(ステップS20)、補正コード(cal_fccode[6:0]=11110002)を出力する。したがって、gm−Cフィルタ300は、補正コード(cal_fccode[6:0]=1111000)によってカットオフ周波数を補正することができるので、gm−Cフィルタ300は、入力信号In(+)とIn(−)とをフィルタリングして、該フィルタリングされた出力信号Out(+)とOut(−)とを出力する正常なフィルタリング(filtering)動作を行うことができる(ステップS30)。
【0041】
しかし、オシレーション信号の周波数foscが、6MHzより高い時(ステップS40)、補正コード(cal_fccode[6:0])は、数式1に示されたように、オシレーション信号の周波数foscに反比例するので、プロセッサ220は、減少した補正コード(cal_fccode[6:0])を生成することができる(ステップS45)。
【0042】
プロセッサ220は、減少した補正コード(cal_fccode[6:0])が、基準コード(Fcset[6:0]=1111000)の最小値より大きいか否かを判断する。判断の結果、減少した補正コード(cal_fccode[6:0])が、基準コード(Fcset[6:0])の最小値(例えば、0000000)より大きい場合、プロセッサ220は、減少した補正コード(cal_fccode[6:0])をgm−Cフィルタ300に出力する。したがって、周波数補正回路200の周波数補正動作は、完了するので(ステップS20)、gm−Cフィルタ300は、プロセッサ220から出力された減少した補正コード(cal_fccode[6:0])によってカットオフ周波数を調節し、入力信号In(+)とIn(−)に対する正常なフィルタリング動作を行う(ステップS30)。
【0043】
しかし、減少した補正コード(cal_fccode[6:0])が、基準コード(Fcset[6:0])の最小値(例えば、0000000または0000001)より小さい場合、数式1によって計算された値は、補正コード(cal_fccode[6:0])と表現することができない。例えば、数式1によって計算された値が、1より小さい小数である場合、プロセッサ220は、オシレーション信号の周波数foscを減少させるために、電流制御コードgmset[m:0]を減少させる(ステップS60)。プロセッサ220によって減少した電流制御コードgmset[m:0]は、第3レジスタ230に保存される。
【0044】
可変電流生成回路230は、第3レジスタ223に保存された電流制御コードgmset[m:0]に相応する可変電流Vmirrを生成する。
生成された可変電流Vmirrは、gm−Cオシレータ100とgm−Cフィルタ300とに同時に供給される。gm−Cオシレータ100は、可変電流Vmirrに応答して、gm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスを調節し、減少した周波数foscを有するオシレーション信号を周波数補正回路200に出力する。したがって、周波数補正回路200は、減少した周波数foscを有するオシレーション信号によってS10またはS40を行うことができる。
【0045】
他の例として、オシレーション信号の周波数foscが、6MHzより低い時、補正コード(cal_fccode[6:0])は、数式1に示されたように、オシレーション信号の周波数foscに反比例するので、プロセッサ220は、増加した補正コード(cal_fccode[6:0])を生成することができる。
プロセッサ220は、増加した補正コード(cal_fccode[6:0])が、基準コード(Fcset[6:0]=1111000)の最大値より大きいか否かを判断する。
【0046】
判断の結果、増加した補正コード(cal_fccode[6:0])が、基準コード(Fcset[6:0])の最大値(例えば、11111112=127)と同じか、小さい場合(ステップS70)、プロセッサ220は、増加した補正コード(cal_fccode[6:0])をgm−Cフィルタ300に出力する。したがって、周波数補正回路200の周波数補正動作は、完了するので(ステップS20)、gm−Cフィルタ300は、プロセッサ220から出力された増加した補正コード(cal_fccode[6:0])によってカットオフ周波数を調節し、入力信号In(+)とIn(−)に対する正常なフィルタリング動作を行う(ステップS30)。
【0047】
しかし、増加した補正コード(cal_fccode[6:0])が、基準コード(Fcset[6:0])の最大値(例えば、11111112=127)より大きい場合(ステップS70)、プロセッサ220は、電流制御コードgmset[m:0]を増加させる(ステップS80)。例えば、増加した補正コード(cal_fccode[6:0])が、128以上である時、補正コード(cal_fccode[6:0])は、128以上を表現することができない。したがって、プロセッサ220は、オシレーション信号の周波数foscを増加させるために、電流制御コードgmset[m:0]を増加させる(ステップS80)。プロセッサ220によって増加した電流制御コードgmset[m:0]は、第3レジスタ230に保存される。
【0048】
可変電流生成回路230は、第3レジスタ223に保存された電流制御コードgmset[m:0]に相応する可変電流Vmirrを生成する。
生成された可変電流Vmirrは、gm−Cオシレータ100とgm−Cフィルタ300とに供給される。gm−Cオシレータ100は、可変電流Vmirrに応答して、gm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスを調節し、増加した周波数foscを有するオシレーション信号を周波数補正回路200に出力する。したがって、周波数補正回路200は、増加した周波数foscを有するオシレーション信号によってS10またはS40を行うことができる。
【0049】
前述したように、周波数補正回路200のプロセッサ220は、数式1によって生成された値に相応する補正コードcal_fccode[n:0]が、基準コードFcset[n:0]の最小値と最大値との間の範囲に存在するように電流制御コードgmset[m:0]を増加、または減少させることができる。したがって、周波数補正回路200の可変電流生成回路230は、調節された電流制御コードgmset[m:0]に相応する可変電流Vmirrを生成することができ、gm−Cオシレータ100は、可変電流Vmirrによってオシレーション信号の周波数foscを調節することができる。したがって、周波数補正回路200は、工程の変化に適応的にオシレーション信号の周波数foscを調節することができるので、gm−Cフィルタ300は、プロセッサ220によって決定された補正コードcal_fccode[n:0]によってカットオフ周波数を調節することができる。
【0050】
gm−Cオシレータ100のトランスコンダクタンスとgm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスは、可変電流Vmirrによって同一の変化値に調節される。
【0051】
図4は、図2に示された可変電流生成回路の一実施形態を表わすブロック図を示す。
図4を参照すると、可変電流生成回路230は、出力回路230a、複数のスイッチSW1〜SW7を含むスイッチング回路230b、及び電流生成回路230cを含む。
可変電流Vmirrを出力することができる出力回路230aは、電源電圧Vddとスイッチング回路230bとの間にダイオード(diode)接続されたPMOSFETとして具現可能である。
【0052】
スイッチング回路230bに含まれた複数のスイッチSW1〜SW7のそれぞれは、電流制御コードgmset[m:0]に応答してスイッチング動作を行うことができる。例えば、複数のスイッチSW1〜SW7のそれぞれは、電流制御コードgmset[m:0]に含まれたそれぞれのビット(bit)に応答してオン/オフされる。
電流生成回路230cは、複数の電流源1Id〜7Idを含み、複数の電流源1Id〜7Idのそれぞれは、複数のスイッチSW1〜SW7のそれぞれと接地との間に接続される。複数の電流源1Id〜7Idのそれぞれは、加重値を有する電流を生成することができる。
【0053】
図5は、図1に示されたgm−Cフィルタの一実施形態を示す。
図5には、7次gm−Cフィルタの概略的回路が示される。図5を参照すると、7次gm−Cフィルタ300は、周波数補正装置200から出力された補正コードcal_fccode[n:0]によって入力信号In(+)とIn(−)に対するフィルタリング動作を行うことができる。また、gm−Cフィルタ300は、周波数補正装置200から出力された可変電流Vmirrに応答して、gm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスを調節することができる。
【0054】
gm−Cフィルタ300は、第1ローパスフィルタ310、第1バイクワッド(biquad)ローパスフィルタ320、第2バイクワッドローパスフィルタ330、及び第3バイクワッドローパスフィルタ340を含む。
第1ローパスフィルタ310は、入力信号In(+)とIn(−)をローパスフィルタリングする。第1ローパスフィルタ310の各出力ラインaとbと接地との間には、各キャパシタC1とC2が接続される。
【0055】
第1ローパスフィルタ310のカットオフ周波数は、第1ローパスフィルタ310のトランスコンダクタンスgmとキャパシタC1とC2のキャパシタンスとによって決定される。各バイクワッドローパスフィルタ320、330、及び340は、直列接続された2個のローパスフィルタを含む。
【0056】
第1バイクワッドローパスフィルタ320は、第1可変利得値によって第1ローパスフィルタ310の出力信号を増幅する。第2バイクワッドローパスフィルタ330は、第2可変利得値によって第1バイクワッドローパスフィルタ320の出力信号を増幅する。第3バイクワッドローパスフィルタ340は、第3可変利得値によって第2バイクワッドローパスフィルタ330の出力信号を増幅する。
【0057】
図6は、図1に示された周波数補正装置を含むアナログフロントエンドのブロック図を示す。
図6を参照すると、アナログフロントエンドは、データ処理システムの一例である光記録/再生装置に使われる。アナログフロントエンド503は、電圧利得増幅器503a、周波数補正装置200、及びgm−Cフィルタ300を含む。アナログフロントエンド503は、自動利得制御器503bをさらに含みうる。
【0058】
電圧利得増幅器503aは、光ピックアップユニット502によってピックアップ(pick−up)された信号を増幅することができる。光ピックアップユニット502は、光記録媒体にデータを書き込む(write)か、光記録媒体に保存されたデータを読み取る(read)ことができる。
周波数補正装置200は、gm−Cフィルタ300のカットオフ周波数を調節するために、可変電流Vmirrまたは補正コードcal_fccode[n:0]のうち少なくとも一つをgm−Cフィルタ300に供給することができる。
【0059】
gm−Cフィルタ300は、電圧利得増幅器503aによって増幅された信号をフィルタリングし、該フィルタリングされた信号Out(+)とOut(−)を出力することができる。自動利得制御器503bは、電圧利得増幅器503aの利得を調節することができる。
周波数補正装置200は、可変電流Vmirrを用いてgm−Cフィルタ300のトランスコンダクタンスを調節することができる。したがって、gm−Cフィルタ300は、工程の変化にもかかわらず、工程の変化がない時の正常なカットオフ周波数に調節することができる効果がある。
【0060】
本発明の実施形態によるgm−Cフィルタの周波数補正方法は、コンピュータで読み取り可能なプログラムコードで作成された記録媒体、例えば、プロセッサ220またはプロセッサ220によってアクセス(access)することができるメモリに保存することができる。
【0061】
本発明は、図面に示された一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、周波数補正装置及びそれを含むデータ処理システムに使用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100:gm−Cオシレータ
200:周波数補正回路
220:プロセッサ
221:第1レジスタ
222:第2レジスタ
223:第3レジスタ
230:可変電流生成回路
230a:出力回路
230b:スイッチング回路
230c:電流生成回路
300:gm−Cフィルタ
310:第1ローパスフィルタ
320:第1バイクワッドローパスフィルタ
330:第2バイクワッドローパスフィルタ
340:第3バイクワッドローパスフィルタ
502:光ピックアップユニット
503:アナログフロントエンド
503a:電圧利得増幅器
503b:自動利得制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数補正回路が、gm−Cオシレータから出力され、工程変動を表わすオシレーション信号の周波数と基準コードとによって、gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードを生成する段階と、
前記周波数補正回路が、前記生成された補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断する段階と、
前記周波数補正回路が、判断結果によって、前記生成された補正コードを前記gm−Cフィルタに出力するか、または前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスを調節すると同時に、前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスを調節するための可変電流を生成する段階と、
を含むことを特徴とするgm−Cフィルタの周波数補正方法。
【請求項2】
前記周波数補正回路は、
前記基準コードと前記オシレーション信号の周波数との比に相応する前記補正コードを生成することを特徴とする請求項1に記載のgm−Cフィルタの周波数補正方法。
【請求項3】
前記生成された補正コードが、前記基準コードの最小値と最大値との間である場合、
前記周波数補正回路は、前記gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節するための前記生成された補正コードを前記gm−Cフィルタに出力することを特徴とする請求項1に記載のgm−Cフィルタの周波数補正方法。
【請求項4】
前記生成された補正コードが、前記基準コードの最小値より小さい場合、
前記周波数補正回路は、前記オシレーション信号の前記周波数を減少させるための前記可変電流を生成し、
前記gm−Cオシレータは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを減少させ、
前記gm−Cフィルタは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスを減少させることを特徴とする請求項1に記載のgm−Cフィルタの周波数補正方法。
【請求項5】
前記生成された補正コードが、前記基準コードの最大値より大きい場合、
前記周波数補正回路は、前記オシレーション信号の前記周波数を増加させるための前記可変電流を生成し、
前記gm−Cオシレータは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを増加させ、
前記gm−Cフィルタは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスを増加させることを特徴とする請求項1に記載のgm−Cフィルタの周波数補正方法。
【請求項6】
工程変動によって可変する周波数を有するオシレーション信号を生成するためのgm−Cオシレータと、
基準コードと前記周波数とによって、gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードを生成するための周波数補正回路と、を含み、
前記周波数補正回路は、前記補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断し、該判断結果によって、前記補正コードを前記gm−Cフィルタに出力するか、または前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスを調節すると同時に、前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスを調節するための可変電流を生成するgm−Cフィルタの周波数を補正することができることを特徴とする周波数補正装置。
【請求項7】
前記周波数補正回路は、
前記基準コードと前記オシレーション信号の周波数との比に相応する前記補正コードを生成するgm−Cフィルタの周波数を補正することができることを特徴とする請求項6に記載の周波数補正装置。
【請求項8】
データを保存することができる記録媒体と、
前記記録媒体に保存されたデータをピックアップすることができるピックアップユニットと、
前記ピックアップユニットから出力された信号を増幅することができる電圧制御増幅器と、
前記電圧制御増幅器によって増幅された信号をフィルタリングすることができるgm−Cフィルタと、
前記gm−Cフィルタのカットオフ周波数を調節することができる補正コードまたは基準電流を生成することができる周波数補正装置と、を含み、
前記周波数補正装置は、
工程変動によって可変する周波数を有するオシレーション信号を生成するためのgm−Cオシレータと、
基準コードと前記周波数とによって、前記補正コードを生成するための周波数補正回路と、を含み、
前記周波数補正回路は、
前記補正コードが、前記基準コードの範囲内に属するか否かを判断し、該判断結果によって、前記補正コードを前記gm−Cフィルタに出力するか、または前記gm−Cオシレータのトランスコンダクタンスを調節すると同時に、前記gm−Cフィルタのトランスコンダクタンスを調節するための前記可変電流を生成することを特徴とするデータ処理システム。
【請求項9】
前記判断の結果、前記補正コードが、前記基準コードの最小値より小さい場合、
前記周波数補正回路は、前記オシレーション信号の前記周波数を減少させるための前記可変電流を減少させ、
前記gm−Cオシレータは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを減少させ、
前記gm−Cフィルタは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスを減少させることを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記判断の結果、前記生成された補正コードが、前記基準コードの最大値より大きい場合、前記周波数補正回路は、前記オシレーション信号の前記周波数を増加させるための前記可変電流を増加させ、
前記gm−Cオシレータは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cオシレータの前記トランスコンダクタンスを増加させ、
前記gm−Cフィルタは、前記可変電流に応答して、前記gm−Cフィルタの前記トランスコンダクタンスを増加させることを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−142623(P2011−142623A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280541(P2010−280541)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】