照明装置の製造方法
【課題】発光色が異なる複数の光源を備える照明装置を迅速安価に製造することができる照明装置の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の発光素子21が実装された基板4における発光素子21の一部を液状樹脂により孔版印刷で被覆する第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程を備え、第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程は、いずれも同一の孔版50を使用し、第2の樹脂封止工程は、第1の樹脂封止工程の後に、孔版50を基板4に対して水平方向に180度回転させて、孔版50の貫通孔52内に第1の樹脂封止工程で収容した発光素子21とは異なる発光素子21を収容する工程を含む。
【解決手段】複数の発光素子21が実装された基板4における発光素子21の一部を液状樹脂により孔版印刷で被覆する第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程を備え、第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程は、いずれも同一の孔版50を使用し、第2の樹脂封止工程は、第1の樹脂封止工程の後に、孔版50を基板4に対して水平方向に180度回転させて、孔版50の貫通孔52内に第1の樹脂封止工程で収容した発光素子21とは異なる発光素子21を収容する工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置の製造方法に関し、より詳しくは、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置として、複数のLED(発光ダイオード)から光の三原色等の異なる色を発光させて、これらを混色することにより、白色光等の所望の色を発光する構成が知られている。例えば、特許文献1には、実装基板の表面に赤・緑・青の各LEDを実装すると共に、実装基板の表面に形成した凹部に白色のLEDを配置した構成が開示されている。
【0003】
ところが、上記特許文献1の構成は、各色のLEDを個別に実装する必要があるため、製造に時間がかかりコスト高になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置を迅速安価に製造することができる照明装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置の製造方法であって、複数の発光素子が実装された基板における前記発光素子の一部を液状樹脂により孔版印刷で被覆する第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程を備え、前記第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程は、いずれも同一の孔版を使用し、前記孔版は、液状樹脂で被覆する発光素子を収容する貫通孔と、液状樹脂で被覆しない発光素子を収容するように下面に形成された凹部とを備えており、前記第2の樹脂封止工程は、前記第1の樹脂封止工程の後に、前記孔版を前記基板に対して水平方向に180度回転させて、前記孔版の前記貫通孔内に前記第1の樹脂封止工程で収容した発光素子とは異なる発光素子を収容する工程を含むことを特徴とする照明装置の製造方法により達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照明装置の製造方法によれば、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置を迅速安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の概略平面図である。
【図2】図1に示す照明装置の要部側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る製造方法で使用する孔版の平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る製造方法で使用するチャンバの概略構成図である。
【図6】上記の孔版を用いて樹脂封止を行う手順を説明するための工程断面図である。
【図7】図3に示す孔版を水平方向に180度回転させた状態を示す平面図である。
【図8】上記の孔版を用いて樹脂封止を行う手順を説明するための工程断面図である
【図9】樹脂封止後の手順を説明するための工程断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る照明装置の概略平面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る照明装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置の概略平面図であり、図2は、図1に示す照明装置の要部側面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、照明装置1は、複数の光源2が基板4の表面にマトリクス状に配置されて構成されている。各光源2は、LEDチップ等の発光素子21がワイヤボンディング22により基板2上に実装されており、半球状の封止樹脂23により被覆されて構成されている。発光素子21としては、主に、InGaN、SiC、AlGaInP、GaP、GaAlAs、InGaAs、GaAs等の化合物半導体素材を用いたものを使用することができる。また、発光素子21の実装方法は、TABやフリップチップなど各種公知のものを使用することができる。
【0011】
封止樹脂23は、透光性を有する常温で液状の樹脂であり、本実施形態においては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの公知の封止用樹脂を例示することができる。封止樹脂23には、発光素子21からの光の一部を吸収し、波長を変換して発光する蛍光体を分散することができる。発光素子21と封止樹脂23の蛍光体との組み合わせは特に限定されるものではないが、例えば、青色光を発光するLEDと、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体との組み合わせにより、光源2の発光色を白色とすることができる。蛍光体としては、黄色を帯びる(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceや、(Ba,Sr,Ca)2SiO4系錯体、α-サイアロン系錯体、Li2SrSiO4系錯体。燈色を帯びる(Ba,Sr)3SiO5系錯体。赤色を帯びる(Ca,Sr) 2Si5N8系錯体、(Ca,Sr)AlSiN3系錯体。青緑-黄色を帯びる(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2系錯体。または、緑色を帯びるCa3Sc2Si3O12:Ce、CaSc2O4:Ce 等これら励起可能な蛍光体は何を選定しても構わない。
【0012】
本実施形態においては、複数の光源2が、白色光源2aおよび橙色光源2bの2種類とされており、マトリクス状の各行および各列に沿って交互に配置されることで、発光時にこれらが均一に混色されて柔らかい光を発光するように構成されている。各光源の発光色は、本実施形態の組み合わせ以外にも、発光素子21の波長域や分散させる蛍光体を適宜選択することにより、所望の色とすることができる。
【0013】
次に、本実施形態に係る照明装置1の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法は、発光素子21の封止樹脂23の形成を孔版印刷により行う。図3は、本実施形態の製造方法で使用する孔版の平面図であり、図4は、図3のA−A断面図である。
【0014】
図3および図4に示すように、孔版50は、上下面を貫通する貫通孔52と、下面に形成された凹部54とを備えている。貫通孔52および凹部54は、基板2に実装された発光素子21をそれぞれ収容できるようにマトリクス状に形成されており、各行および各列に沿って交互に配置されている。貫通孔52および凹部54は、マトリクスの対角位置に存在するものが互いに相違するように配置されている。すなわち、貫通孔52および凹部54が構成するマトリクスMは、偶数行×奇数列または奇数行×偶数列であり、4つの角部M1〜M4のうち、対角となる角部M1,M4がそれぞれ貫通孔52および凹部54であり、もう一つの対角となる角部M2,M3がそれぞれ貫通孔52および凹部54となるように形成されている。
【0015】
図5は、上記の孔版を用いて樹脂封止を行うチャンバの概略構成図である。発光素子21が搭載された基板4は、下チャンバ62に設置された昇降可能なテーブル63上に搭載される。上チャンバ64は、孔版50および2本のスキージ67,68を備えており、孔版50上には液状樹脂23を供給することができる。
【0016】
図5に示す状態から、テーブル63を上昇させて孔版50と基板4とを接触させ、図6(a)に示すように、孔版50上に第1の液状樹脂23aを供給した状態で、孔版50の貫通孔52および凹部54に発光素子21を収容する。なお、基板4に実装された発光素子21のマトリクスが、偶数行×偶数列または奇数行×奇数列である等、貫通孔52の一部に発光素子21が収容されない場合には、この貫通孔52をテープ等で塞ぐようにすればよい。
【0017】
次に、必要に応じて真空条件としつつ、一方のスキージ67を下降させて移動することにより、図6(b)に示すように、孔版50に供給された第1の液状樹脂23aを孔版50の貫通孔52内に充填する。この後、他方のスキージ68を下降させて移動することにより孔版50上に残留する第1の液状樹脂23aを除去し、テーブル63を下降させて孔版50と基板4とを徐々に離すことにより、図6(c)に示すように、第1の液状樹脂23aが表面張力により半球状となる。こうして、複数の発光素子21の一部が第1の液状樹脂23aにより被覆される。
【0018】
そして、孔版50を図3に示す状態から水平方向に180度回転させて、図7に示す状態とする。この後、テーブル63を再び上昇させて孔版50と基板4とを接触させ、図8(a)に示すように、孔版50の貫通孔52および凹部54に発光素子21を収容する。上記の孔版50の回転により、第1の液状樹脂23aにより被覆された発光素子21は凹部54に収容される一方、第1の液状樹脂23aで被覆されていない発光素子21が貫通孔52に収容される。
【0019】
孔版50上には第1の液状樹脂23aとは異なる第2の液状樹脂23bが供給される。第2の液状樹脂23bは、蛍光体の有無や、蛍光体が存在する場合の蛍光体の種類、配合量、配合比率等が第1の液状樹脂23aとは相違しており、各発光素子21の発光波長域が全て同一であっても、第1の液状樹脂23aとは異なる第2の液状樹脂23bで被覆することで、発光色を異ならせることができる。
【0020】
ついで、必要に応じて真空条件としつつ、一方のスキージ67を下降させて移動することにより、図8(b)に示すように、第2の液状樹脂23bを孔版50の貫通孔52内に充填する。この後、他方のスキージ68を下降させて移動することにより孔版50上に残留する第2の液状樹脂23bを除去し、テーブル63を下降させて孔版50と基板4とを徐々に離すことにより、図8(c)に示すように、第2の液状樹脂23bが表面張力によりレンズ状となる。こうして、複数の発光素子21の残部が第2の液状樹脂23bにより被覆される。
【0021】
次に、下チャンバ62を移動させて基板4を加熱し、第1の液状樹脂23aおよび第2の液状樹脂23bを硬化させる。こうして、各発光素子21が第1の液状樹脂23aまたは第2の液状樹脂23bにより封止された光源2a,2bを備える基板4が得られる。加熱硬化条件は、例えば120〜180℃、30〜180分である。
【0022】
樹脂封止後の基板4に対しては、必要に応じて、第1の液状樹脂23aおよび第2の液状樹脂23bの表面に、更に別の透明樹脂層を形成することができる。図9(a)に示すように、全ての発光素子21に対応する位置に貫通孔152が形成された孔版150を用いて、各貫通孔152内にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂をスキージで充填することにより、図9(b)に示すように、第1の液状樹脂23aおよび第2の液状樹脂23bの表面が透明樹脂層123で被覆された光源2a,2bを備える基板4が得られる。この構成によれば、透明樹脂層123によってレンズ効果が生じ、高価な蛍光体の使用量を抑制しつつ、高輝度の光源2a,2bとすることができる。
【0023】
本実施形態の照明装置1の製造方法によれば、2回目の樹脂封止工程が、孔版を基板に対して水平方向に180度回転させて行われるので、発光色が異なる2種類の光源2a,2bを備える照明装置1を迅速容易に得ることができる。基板4は、そのままで面状照明が可能な他、光源2a,2bの列または行の間を折り曲げ可能にカットすることで、筒状に形成することも可能である。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、孔版50に形成される貫通孔52および凹部54の配置を、基板4に実装された発光素子21の配置に合わせてマトリクス状としているが、千鳥状であってもよく、その他の配置形状とすることも可能である。例えば、貫通孔および凹部を、発光素子の列に沿って交互に配置された構成にすることで、棒状の照明体とすることができる。その他、基板4上の2種類の光源2a,2bが、図10(a)に示すように一行に交互に配置された構成、図10(b)に示すように複数行にそれぞれ交互に配置されて各列では一致している構成、図10(c)に示すように複数行にそれぞれ交互に配置されて各列でも交互に配置された構成を、好ましく例示することができる。本実施形態では孔版を水平方向に180度回転させているが、基板を水平方向に180度回転させるようにしてもよい。
【0025】
また、本実施形態は、発光色が2種類の光源を備える照明装置の製造方法の一例を示すものであるが、本発明は、発光色の種類が更に多い照明装置の製造にも適用可能である。例えば、図11(a)に示すように、一列に形成された4つの発光素子21に対して、一番左の発光素子21に対応する位置に貫通孔52を有すると共に、その他の発光素子21に対応する位置には凹部54を有する孔版50aを用いて、一番左の発光素子21のみを第1の液状樹脂23aで被覆する。ついで、この孔版50aを水平方向に180度回転させて、図11(b)に示すように、一番右の発光素子21のみを第2の液状樹脂23bで被覆する。この後、孔版50aを取替え、図11(c)に示すように、左から2番目の発光素子21に対応する位置に貫通孔52を有すると共に、その他の発光素子21に対応する位置には凹部54を有する孔版50bを用いて、左から2番目の発光素子21のみを第3の液状樹脂23cで被覆する。ついで、この孔版50bを水平方向に180度回転させて、図11(d)に示すように、右から2番目の発光素子21のみを第4の液状樹脂23dで被覆する。この製造方法によれば、2種類の孔版50a,50bを使用して、発光色が4種類の照明装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 照明装置
2,2a,2b 光源
21 発光素子
23,23a,23b 封止樹脂
4 基板
50 孔版
52 貫通孔
54 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置の製造方法に関し、より詳しくは、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置として、複数のLED(発光ダイオード)から光の三原色等の異なる色を発光させて、これらを混色することにより、白色光等の所望の色を発光する構成が知られている。例えば、特許文献1には、実装基板の表面に赤・緑・青の各LEDを実装すると共に、実装基板の表面に形成した凹部に白色のLEDを配置した構成が開示されている。
【0003】
ところが、上記特許文献1の構成は、各色のLEDを個別に実装する必要があるため、製造に時間がかかりコスト高になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置を迅速安価に製造することができる照明装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置の製造方法であって、複数の発光素子が実装された基板における前記発光素子の一部を液状樹脂により孔版印刷で被覆する第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程を備え、前記第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程は、いずれも同一の孔版を使用し、前記孔版は、液状樹脂で被覆する発光素子を収容する貫通孔と、液状樹脂で被覆しない発光素子を収容するように下面に形成された凹部とを備えており、前記第2の樹脂封止工程は、前記第1の樹脂封止工程の後に、前記孔版を前記基板に対して水平方向に180度回転させて、前記孔版の前記貫通孔内に前記第1の樹脂封止工程で収容した発光素子とは異なる発光素子を収容する工程を含むことを特徴とする照明装置の製造方法により達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照明装置の製造方法によれば、発光色が異なる複数の光源を備える照明装置を迅速安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の概略平面図である。
【図2】図1に示す照明装置の要部側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る製造方法で使用する孔版の平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る製造方法で使用するチャンバの概略構成図である。
【図6】上記の孔版を用いて樹脂封止を行う手順を説明するための工程断面図である。
【図7】図3に示す孔版を水平方向に180度回転させた状態を示す平面図である。
【図8】上記の孔版を用いて樹脂封止を行う手順を説明するための工程断面図である
【図9】樹脂封止後の手順を説明するための工程断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る照明装置の概略平面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る照明装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置の概略平面図であり、図2は、図1に示す照明装置の要部側面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、照明装置1は、複数の光源2が基板4の表面にマトリクス状に配置されて構成されている。各光源2は、LEDチップ等の発光素子21がワイヤボンディング22により基板2上に実装されており、半球状の封止樹脂23により被覆されて構成されている。発光素子21としては、主に、InGaN、SiC、AlGaInP、GaP、GaAlAs、InGaAs、GaAs等の化合物半導体素材を用いたものを使用することができる。また、発光素子21の実装方法は、TABやフリップチップなど各種公知のものを使用することができる。
【0011】
封止樹脂23は、透光性を有する常温で液状の樹脂であり、本実施形態においては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの公知の封止用樹脂を例示することができる。封止樹脂23には、発光素子21からの光の一部を吸収し、波長を変換して発光する蛍光体を分散することができる。発光素子21と封止樹脂23の蛍光体との組み合わせは特に限定されるものではないが、例えば、青色光を発光するLEDと、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体との組み合わせにより、光源2の発光色を白色とすることができる。蛍光体としては、黄色を帯びる(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceや、(Ba,Sr,Ca)2SiO4系錯体、α-サイアロン系錯体、Li2SrSiO4系錯体。燈色を帯びる(Ba,Sr)3SiO5系錯体。赤色を帯びる(Ca,Sr) 2Si5N8系錯体、(Ca,Sr)AlSiN3系錯体。青緑-黄色を帯びる(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2系錯体。または、緑色を帯びるCa3Sc2Si3O12:Ce、CaSc2O4:Ce 等これら励起可能な蛍光体は何を選定しても構わない。
【0012】
本実施形態においては、複数の光源2が、白色光源2aおよび橙色光源2bの2種類とされており、マトリクス状の各行および各列に沿って交互に配置されることで、発光時にこれらが均一に混色されて柔らかい光を発光するように構成されている。各光源の発光色は、本実施形態の組み合わせ以外にも、発光素子21の波長域や分散させる蛍光体を適宜選択することにより、所望の色とすることができる。
【0013】
次に、本実施形態に係る照明装置1の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法は、発光素子21の封止樹脂23の形成を孔版印刷により行う。図3は、本実施形態の製造方法で使用する孔版の平面図であり、図4は、図3のA−A断面図である。
【0014】
図3および図4に示すように、孔版50は、上下面を貫通する貫通孔52と、下面に形成された凹部54とを備えている。貫通孔52および凹部54は、基板2に実装された発光素子21をそれぞれ収容できるようにマトリクス状に形成されており、各行および各列に沿って交互に配置されている。貫通孔52および凹部54は、マトリクスの対角位置に存在するものが互いに相違するように配置されている。すなわち、貫通孔52および凹部54が構成するマトリクスMは、偶数行×奇数列または奇数行×偶数列であり、4つの角部M1〜M4のうち、対角となる角部M1,M4がそれぞれ貫通孔52および凹部54であり、もう一つの対角となる角部M2,M3がそれぞれ貫通孔52および凹部54となるように形成されている。
【0015】
図5は、上記の孔版を用いて樹脂封止を行うチャンバの概略構成図である。発光素子21が搭載された基板4は、下チャンバ62に設置された昇降可能なテーブル63上に搭載される。上チャンバ64は、孔版50および2本のスキージ67,68を備えており、孔版50上には液状樹脂23を供給することができる。
【0016】
図5に示す状態から、テーブル63を上昇させて孔版50と基板4とを接触させ、図6(a)に示すように、孔版50上に第1の液状樹脂23aを供給した状態で、孔版50の貫通孔52および凹部54に発光素子21を収容する。なお、基板4に実装された発光素子21のマトリクスが、偶数行×偶数列または奇数行×奇数列である等、貫通孔52の一部に発光素子21が収容されない場合には、この貫通孔52をテープ等で塞ぐようにすればよい。
【0017】
次に、必要に応じて真空条件としつつ、一方のスキージ67を下降させて移動することにより、図6(b)に示すように、孔版50に供給された第1の液状樹脂23aを孔版50の貫通孔52内に充填する。この後、他方のスキージ68を下降させて移動することにより孔版50上に残留する第1の液状樹脂23aを除去し、テーブル63を下降させて孔版50と基板4とを徐々に離すことにより、図6(c)に示すように、第1の液状樹脂23aが表面張力により半球状となる。こうして、複数の発光素子21の一部が第1の液状樹脂23aにより被覆される。
【0018】
そして、孔版50を図3に示す状態から水平方向に180度回転させて、図7に示す状態とする。この後、テーブル63を再び上昇させて孔版50と基板4とを接触させ、図8(a)に示すように、孔版50の貫通孔52および凹部54に発光素子21を収容する。上記の孔版50の回転により、第1の液状樹脂23aにより被覆された発光素子21は凹部54に収容される一方、第1の液状樹脂23aで被覆されていない発光素子21が貫通孔52に収容される。
【0019】
孔版50上には第1の液状樹脂23aとは異なる第2の液状樹脂23bが供給される。第2の液状樹脂23bは、蛍光体の有無や、蛍光体が存在する場合の蛍光体の種類、配合量、配合比率等が第1の液状樹脂23aとは相違しており、各発光素子21の発光波長域が全て同一であっても、第1の液状樹脂23aとは異なる第2の液状樹脂23bで被覆することで、発光色を異ならせることができる。
【0020】
ついで、必要に応じて真空条件としつつ、一方のスキージ67を下降させて移動することにより、図8(b)に示すように、第2の液状樹脂23bを孔版50の貫通孔52内に充填する。この後、他方のスキージ68を下降させて移動することにより孔版50上に残留する第2の液状樹脂23bを除去し、テーブル63を下降させて孔版50と基板4とを徐々に離すことにより、図8(c)に示すように、第2の液状樹脂23bが表面張力によりレンズ状となる。こうして、複数の発光素子21の残部が第2の液状樹脂23bにより被覆される。
【0021】
次に、下チャンバ62を移動させて基板4を加熱し、第1の液状樹脂23aおよび第2の液状樹脂23bを硬化させる。こうして、各発光素子21が第1の液状樹脂23aまたは第2の液状樹脂23bにより封止された光源2a,2bを備える基板4が得られる。加熱硬化条件は、例えば120〜180℃、30〜180分である。
【0022】
樹脂封止後の基板4に対しては、必要に応じて、第1の液状樹脂23aおよび第2の液状樹脂23bの表面に、更に別の透明樹脂層を形成することができる。図9(a)に示すように、全ての発光素子21に対応する位置に貫通孔152が形成された孔版150を用いて、各貫通孔152内にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明樹脂をスキージで充填することにより、図9(b)に示すように、第1の液状樹脂23aおよび第2の液状樹脂23bの表面が透明樹脂層123で被覆された光源2a,2bを備える基板4が得られる。この構成によれば、透明樹脂層123によってレンズ効果が生じ、高価な蛍光体の使用量を抑制しつつ、高輝度の光源2a,2bとすることができる。
【0023】
本実施形態の照明装置1の製造方法によれば、2回目の樹脂封止工程が、孔版を基板に対して水平方向に180度回転させて行われるので、発光色が異なる2種類の光源2a,2bを備える照明装置1を迅速容易に得ることができる。基板4は、そのままで面状照明が可能な他、光源2a,2bの列または行の間を折り曲げ可能にカットすることで、筒状に形成することも可能である。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、孔版50に形成される貫通孔52および凹部54の配置を、基板4に実装された発光素子21の配置に合わせてマトリクス状としているが、千鳥状であってもよく、その他の配置形状とすることも可能である。例えば、貫通孔および凹部を、発光素子の列に沿って交互に配置された構成にすることで、棒状の照明体とすることができる。その他、基板4上の2種類の光源2a,2bが、図10(a)に示すように一行に交互に配置された構成、図10(b)に示すように複数行にそれぞれ交互に配置されて各列では一致している構成、図10(c)に示すように複数行にそれぞれ交互に配置されて各列でも交互に配置された構成を、好ましく例示することができる。本実施形態では孔版を水平方向に180度回転させているが、基板を水平方向に180度回転させるようにしてもよい。
【0025】
また、本実施形態は、発光色が2種類の光源を備える照明装置の製造方法の一例を示すものであるが、本発明は、発光色の種類が更に多い照明装置の製造にも適用可能である。例えば、図11(a)に示すように、一列に形成された4つの発光素子21に対して、一番左の発光素子21に対応する位置に貫通孔52を有すると共に、その他の発光素子21に対応する位置には凹部54を有する孔版50aを用いて、一番左の発光素子21のみを第1の液状樹脂23aで被覆する。ついで、この孔版50aを水平方向に180度回転させて、図11(b)に示すように、一番右の発光素子21のみを第2の液状樹脂23bで被覆する。この後、孔版50aを取替え、図11(c)に示すように、左から2番目の発光素子21に対応する位置に貫通孔52を有すると共に、その他の発光素子21に対応する位置には凹部54を有する孔版50bを用いて、左から2番目の発光素子21のみを第3の液状樹脂23cで被覆する。ついで、この孔版50bを水平方向に180度回転させて、図11(d)に示すように、右から2番目の発光素子21のみを第4の液状樹脂23dで被覆する。この製造方法によれば、2種類の孔版50a,50bを使用して、発光色が4種類の照明装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 照明装置
2,2a,2b 光源
21 発光素子
23,23a,23b 封止樹脂
4 基板
50 孔版
52 貫通孔
54 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色が異なる複数の光源を備える照明装置の製造方法であって、
複数の発光素子が実装された基板における前記発光素子の一部を液状樹脂により孔版印刷で被覆する第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程を備え、
前記第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程は、いずれも同一の孔版を使用し、
前記孔版は、液状樹脂で被覆する発光素子を収容する貫通孔と、液状樹脂で被覆しない発光素子を収容するように下面に形成された凹部とを備えており、
前記第2の樹脂封止工程は、前記第1の樹脂封止工程の後に、前記孔版を前記基板に対して水平方向に180度回転させて、前記孔版の前記貫通孔内に前記第1の樹脂封止工程で収容した発光素子とは異なる発光素子を収容する工程を含むことを特徴とする照明装置の製造方法。
【請求項2】
前記発光素子は、前記基板に列状に配置されており、
前記孔版は、前記貫通孔および前記凹部が、前記発光素子の列に沿って交互に配置されている請求項1に記載の照明装置の製造方法。
【請求項3】
前記発光素子は、前記基板にマトリクス状に配置されており、
前記孔版は、前記貫通孔および前記凹部が、前記発光素子の各行および各列に沿って交互に配置されている請求項1に記載の照明装置の製造方法。
【請求項1】
発光色が異なる複数の光源を備える照明装置の製造方法であって、
複数の発光素子が実装された基板における前記発光素子の一部を液状樹脂により孔版印刷で被覆する第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程を備え、
前記第1の樹脂封止工程および第2の樹脂封止工程は、いずれも同一の孔版を使用し、
前記孔版は、液状樹脂で被覆する発光素子を収容する貫通孔と、液状樹脂で被覆しない発光素子を収容するように下面に形成された凹部とを備えており、
前記第2の樹脂封止工程は、前記第1の樹脂封止工程の後に、前記孔版を前記基板に対して水平方向に180度回転させて、前記孔版の前記貫通孔内に前記第1の樹脂封止工程で収容した発光素子とは異なる発光素子を収容する工程を含むことを特徴とする照明装置の製造方法。
【請求項2】
前記発光素子は、前記基板に列状に配置されており、
前記孔版は、前記貫通孔および前記凹部が、前記発光素子の列に沿って交互に配置されている請求項1に記載の照明装置の製造方法。
【請求項3】
前記発光素子は、前記基板にマトリクス状に配置されており、
前記孔版は、前記貫通孔および前記凹部が、前記発光素子の各行および各列に沿って交互に配置されている請求項1に記載の照明装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−263128(P2010−263128A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113841(P2009−113841)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(391003624)サンユレック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(391003624)サンユレック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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