説明

被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置

【課題】被検出物を含む流動性を有する試料を吸引する際に、フィルタ押さえと試料収容体との間に隙間が生じることがない被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置を提供すること。
【解決手段】移動・押圧機構2の駆動源を電動機20でもって構成するとともに、電動機20を駆動することによって吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動させた後、電動機20を継続して駆動することにより押圧状態を維持するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置に関し、特に、捕集装置によって空気中に浮遊する細菌、真菌等の微生物、化学物質、微粒子等の被検出物を付着させて捕集したゲル状の捕集担体を、ゲル−ゾル間の相転移によってゾル化した試料とし、試料に含まれる被検出物をフィルタで漉し取って収集する被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中に浮遊する細菌、真菌等の微生物、化学物質、微粒子等の被検出物を、捕集、収集して、単位体積当たりの被検出物数を算出する方法、特に、無菌製剤の製造環境や食品関係の製造環境における空中浮遊菌の菌数を算出する方法として、本件出願人が先に提案した、空中浮遊菌の生菌に由来するアデノシン三リン酸(以下、「ATP」という。)の量を、生物発光反応による発光量を計測することにより求め、これに基づいて空中浮遊菌の菌数を算出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この空中浮遊菌の菌数の算出方法は、被検出物としての空中浮遊菌を、捕集皿に充填したゼラチン及びグリセロールを含むゲル状の捕集担体に付着させて捕集する。
そして、空中浮遊菌が付着した捕集担体が充填されている捕集皿を被検出物収集容器に取り付け、この被検出物収集容器を、被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置の装着部に装着して加熱することにより捕集担体をゲルからゾルに相を転移し、ゾル化した試料に含まれる空中浮遊菌をフィルタで漉し取ることによって収集し、収集した空中浮遊菌からATPを抽出して、計測装置でATP量を発光計測するようにしている。
【0004】
ところで、この被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置(計測装置と一体構造となっているものも含む(以下、同じ。))においては、ゾル化し、流動性を有する試料に含まれる被検出物をフィルタで漉し取って収集する際、試料収容体内の試料を、試料収容体の排出口、フィルタ及びフィルタ押さえを介して吸引する吸引部材によって吸引し、被検出物をフィルタ上に残留させるようにしている。
この吸引部材は、移動・押圧機構によってフィルタ押さえに向かって移動するように構成されており、吸引部材がフィルタ押さえに当接し、さらに、フィルタ押さえが試料収容体に当接し、押圧したときに、検知センサによって押圧状態を検知して、移動・押圧機構を停止し、吸引部材をフィルタ押さえに当接した状態で停止させるようにしていた。
【0005】
そして、吸引部材がフィルタ押さえに当接し、吸引経路を密閉した状態で、吸引部材に接続されている吸引手段を作動し、フィルタの下流側を真空状態にして試料収容体に収容されている流動性を有する試料を吸引し、試料に含まれる被検出物をフィルタで漉し取るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−139115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置は、吸引手段を作動し、吸引部材による吸引を開始したときに、移動・押圧機構を停止しているため、図4に示すように、フィルタ押さえ42と試料収容体40との間に隙間Gが生じる場合があり、このような場合には、試料中の被検出物がフィルタ41上に収集されずに隙間Gを通ってフィルタ41の下流側(真空状態の吸引経路A側)に吸引されてしまい、被検出物の計測を正確に行うことができないことがあった。
【0008】
本発明は、被検出物を含む流動性を有する試料を吸引する際に、フィルタ押さえと試料収容体との間に隙間が生じることがない被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置は、被検出物収集容器を装着する装着部と、該装着部に装着した被検出物収集容器の試料収容体に収容された試料を前記試料収容体の排出口、フィルタ及びフィルタ押さえを介して吸引する吸引部材と、該吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動・押圧することにより試料の吸引経路を密閉状態に維持する移動・押圧機構とからなる被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置であって、前記移動・押圧機構の駆動源を電動機でもって構成するとともに、該電動機を駆動することによって吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させた後、電動機を継続して駆動することにより押圧状態を維持するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、被検出物を含む流動性を有する試料の収容空間及び前記試料の排出口を形成した試料収容体、前記排出口に配設される試料に含まれる被検出物を漉し取るフィルタ並びに該フィルタを前記試料収容体との間で挟持するフィルタ押さえからなる被検出物収集容器を用いることができる。
【0011】
また、前記吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に押圧する際の電動機の駆動力を、前記吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させる際の電動機の駆動力より小さく設定する制御機構を備えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置によれば、移動・押圧機構の駆動源を電動機でもって構成するとともに、該電動機を駆動することによって吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させた後、電動機を継続して駆動することにより押圧状態を維持するようにしたことにより、試料収容体の排出口、フィルタ及びフィルタ押さえを介して吸引する吸引部材によって、流動性を有する試料に含まれる被検出物を漉し取る際に、フィルタ押さえと試料収容体との間に隙間が生じることがないから、被検出物がフィルタに漉し取られずに吸引されるようなことがなく、被検出物の収集の信頼性を向上させることができる。
【0013】
また、被検出物を含む流動性を有する試料の収容空間及び前記試料の排出口を形成した試料収容体、前記排出口に配設される試料に含まれる被検出物を漉し取るフィルタ並びに該フィルタを前記試料収容体との間で挟持するフィルタ押さえからなる被検出物収集容器を用いることにより、被検出物の収集を簡易に行うことができる。
【0014】
また、吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に押圧する際の電動機の駆動力を、前記吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させる際の電動機の駆動力より小さく設定する制御機構を備えることにより、流動性を有する試料に含まれる被検出物を漉し取るために、吸引部材によって吸引するときの消費電力を低下させ、ランニングコストを低減するとともに、電動機の負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】同収集装置の作動状態を示し、(a)は移動・押圧機構の作動前を、(b)は移動・押圧機構を作動して、フィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させた状態を、(c)は移動・押圧機構によってフィルタ押さえをさらに押圧し、試料収容体が規制部材に当接した状態(吸引部材による吸引を開始する状態)を示す。
【図3】従来の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置において、吸引部材による吸引中に、移動・押圧機構を停止することにより、フィルタ押さえと試料収容体との間に隙間が生じた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図2に、本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置の一実施例を示す。
この被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置1は、被検出物を含む流動性を有する試料Sの収容空間40a及び試料Sの排出口40bを形成した試料収容体40、排出口40bに配設される試料Sに含まれる被検出物を漉し取るフィルタ41並びにフィルタ41を試料収容体40との間で挟持するフィルタ押さえ42からなる被検出物収集容器4を装着する装着部10と、装着部10に装着した被検出物収集容器4の試料収容体40に収容された試料Sを試料収容体40の排出口40b、フィルタ41及びフィルタ押さえ42を介して吸引する吸引部材13と、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動・押圧することにより試料の吸引経路Aを密閉状態に維持する移動・押圧機構2とからなり、移動・押圧機構2の駆動源を電動機20でもって構成するとともに、電動機20を駆動することによって吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動させた後、電動機20を継続して駆動することにより押圧状態を維持するようにしている。
【0018】
装着部10は、空気中に浮遊する細菌、真菌等の微生物、化学物質、微粒子等の被検出物が付着したゲル状の捕集担体が充填されている捕集皿(図示省略)から当該捕集担体を受容する被検出物収集容器4を装着するようにされており、さらに、被検出物収集容器4に収容した捕集担体を加熱するための加熱機構12を備えるようにしている。
加熱機構12には、特に限定されるものではないが、円筒状の被検出物収集容器4の側面を覆う環状ヒータを使用している。
【0019】
また、装着部10の装着空間10aの下方には、試料収容体40のフィルタ押さえ42を支持するとともに、収容空間40aに収容されるゾル化した試料Sを、フィルタ41を介して吸引する吸引部材13を配設する。
この吸引部材13は、フィルタ押さえ42に当接し、試料の吸引経路Aを密閉状態に維持するように、フィルタ押さえ42との当接面にシール部材を配設するとともに、移動・押圧機構2によってフィルタ押さえ42に向かって移動・押圧され、フィルタ押さえ42は、この吸引部材13を介して試料収容体40に向けて移動・押圧されている。
また、吸引部材13は、吸引ヘッド14Aを介して、吸引手段14に接続され、吸引手段14を作動することによって、フィルタ41の下流側となる吸引経路Aを真空状態として、試料収容体40に収容されている流動性を有する試料Sを吸引し、試料Sに含まれる被検出物をフィルタ41で漉し取るようにしている。
【0020】
また、この被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置1は、ゲル状の捕集担体がゾル化して流動性を有するようになった試料Sを、希釈する液体を装着部10に装着した被検出物収集容器4に供給する液体供給機構3を備えるようにしている。
これは、捕集担体に含まれるゼラチン及びグリセロールの濃度が低いと十分な強度のゲルが得られないため、通常、高分子濃度が高いゲル状の捕集担体を用いられるが、濃度が高い捕集担体を使用する場合、相転移したゾル状の試料Sの粘性が高くなってしまいフィルタ41で濾過することが困難となるため、ゼラチン濃度は10%以下、グリセロール濃度は25%以下になるまで希釈する必要があるためである。
液体供給機構3は、特に限定されるものではないが、液体タンク(図示省略)から希釈用の液体(滅菌溶液(無菌水)が好ましく、リン酸バッファや生理食塩水を使用する)を吸い上げるポンプ、所定温度に加熱する加熱部材、加熱した液体を濾過するためのフィルタ及び装着部10に収容した被検出物収集容器4の試料収容体40の収容空間40aに向けて液体を供給する供給ノズル30から構成されている。
【0021】
そして、この被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置1は、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動・押圧する移動・押圧機構2の駆動源を電動機20でもって構成するとともに、電動機20を駆動することによって吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動させた後、電動機20を継続して駆動することにより押圧状態を維持するとともに、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に押圧する際の電動機20の駆動力を、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動させる際の電動機20の駆動力より小さく設定する制御機構6を備えるようにしている。
これにより、流動性を有する試料Sに含まれる被検出物を漉し取るために、吸引部材13によって吸引するときの消費電力を低下させ、ランニングコストを低減することができる。
【0022】
移動・押圧機構2は、その駆動源を電動機20として、吸引ヘッド14Aを介して吸引部材13を移動させることができるものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、図1に示すように、電動機20の駆動軸20aに嵌着されるギア21A、固定枠25に軸受け26を介し回動自在に配設されるフランジ22に嵌着されてギア21Aに噛合するギア21B、フランジ22と共に回動する内周面に雌ねじ部23aを形成した回動ナット23及び回動ナット23の雌ねじ部23aに螺合する雄ねじ部24aを外周面に形成するとともに、一端を吸引ヘッド14Aに接合した移動押圧体24とから構成されている。
【0023】
これにより、電動機20の回転をうけ、ギア21A、21Bが回転するとともに、フランジ22、回動ナット23が回転する。
そして、回動ナット23が回転することにより、雌ねじ部23aに螺合する雄ねじ部24aを外周面に形成した移動押圧体24が上下に移動し、吸引ヘッド14Aを介し、吸引部材13が移動し、さらに、吸引部材13を介して、フィルタ押さえ42が試料収容体40に向かって移動する。
【0024】
また、吸引部材13の移動は、検知手段5によって検知するようにしている。
これにより、制御機構6による電動機20の駆動力の制御を、検知手段5によって、吸引部材13が、図例上側に移動して、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に押圧した状態を保持する状態となったことを検知したときに、電動機20の駆動力を小さくするようにしている。
【0025】
検知手段5は、移動・押圧機構2の移動押圧体24、吸引ヘッド14A、吸引部材13又はフィルタ押さえ42の位置を検知することができるものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、図1に示すように、吸引ヘッド14Aに配設した当接板51と、吸引ヘッド14Aが上昇する際に当接板51と当接して位置を検知するセンサ50A及び吸引ヘッド14Aが下降する際に当接板51と当接して位置を検知するセンサ50Bとから構成されている。
また、検知手段5は、フィルタ押さえ42が試料収容体40に当接し、さらに試料収容体40が、被検出物収集容器4の上限位置を規制する規制部材11に当接したことによって生じる電動機20の電流値の上昇を検知する検知部材によって構成することもできる。
【0026】
次に、この被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置1によって、被検出物を収集するまでの工程を、被検出物の捕集工程から順に説明する。
【0027】
まず、空気中に浮遊する細菌、真菌等の微生物、化学物質、微粒子等の被検出物を捕集するために、ゲル状の捕集担体が充填された捕集皿(図示省略)を取り付けた被検出物収集容器4を捕集装置(図示省略)に装着し、被検出物を、捕集皿に充填したゼラチン及びグリセロールを含むゲル状の捕集担体に付着させて捕集する。
【0028】
そして、空中浮遊菌が付着した捕集担体が充填されている捕集皿(図示省略)を被検出物収集容器4に取り付け、この被検出物収集容器4を、被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置1の装着部10に装着する。
【0029】
装着部10に装着された被検出物収集容器4に収容された捕集担体は、加熱機構12によって、ゲル−ゾル間の相転移温度まで加熱され、ゾル化して試料収容体40の内部の収容空間40aに流動性を有する試料S(高濃度の液体)として収容される。
【0030】
そして、液体供給機構3によって、無菌水を装着部10に装着されている被検出物収集容器4の試料収容体40に供給し所定濃度にまで希釈された試料Sは、吸引部材13に吸引ヘッド14Aを介して接続される吸引手段14を作動することによって吸引され、被検出物をフィルタ41上に残留させて収容空間40aの排出口40bから排出される。
【0031】
具体的には、図2に示すように、フィルタ押さえ42から離れた位置にある吸引部材13(図2(a)参照)を、移動・押圧機構2を作動させフィルタ押さえ42に向かって移動させる。
移動・押圧機構2によって移動する吸引部材13は、フィルタ押さえ42に当接するとともに、フィルタ押さえ42が、試料収容体40に当接して吸引経路Aを密閉状態とする(図2(b)参照)。
さらに、移動・押圧機構2によって吸引部材13を、フィルタ押さえ42に向かって移動させることにより、フィルタ押さえ42に当接する試料収容体40は規制部材11に当接し、それ以上の移動を規制され、フィルタ押さえ42と試料収容体40とは、フィルタ41を挟持した状態で密着する(図2(c)参照)。
【0032】
そして、このとき、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動・押圧する移動・押圧機構2の駆動源である電動機20を継続して駆動し、吸引部材13を介しての押圧状態を維持するようにしているから、吸引手段14によって吸引を行う際に、フィルタ押さえ42と試料収容体40との間に隙間が生じることがなく、被検出物がフィルタ41に漉し取られずに吸引されるようなことがなく、被検出物の収集の信頼性を向上させることができる。
また、制御機構6によって、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に押圧する際の電動機20の駆動力を、吸引部材13を介してフィルタ押さえ42を試料収容体40に向けて移動させる際の電動機20の駆動力より小さく設定するようにしたから、吸引手段14によって吸引するときの消費電力を低下させ、ランニングコストを低減するとともに、電動機20の負荷を低減させることができる。
【0033】
また、被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置1と計測装置とが一体で構成されているときは、フィルタ41によって漉し取られ、フィルタ41上に残留した被検出物、例えば、空中浮遊菌に対しては、遊離ATPを除去するATP消去剤や、生菌のATPを抽出するATP抽出剤を分注用ピペッタ(図示省略)によって分注し、ATP回収用ピペッタ(図示省略)によってフィルタ41上からピペッティングを行い、発光計測手段(図示省略)においてATP発光試薬を注入し、ATP発光試薬が生物発光反応することによって発光する発光量を計測し、単位体積当たりの空中浮遊菌数を算出する。
【0034】
以上、本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置は、被検出物を含む流動性を有する試料を吸引する際に、フィルタ押さえと試料収容体との間に隙間が生じることがないという特性を有していることから、捕集装置によって捕集した空気中に浮遊する細菌、真菌等の微生物、化学物質、微粒子等の被検出物を収集するための被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置
10 装着部
11 規制部材
12 加熱機構
13 吸引部材
4 被検出物収集容器
40 試料収容体
41 フィルタ
42 フィルタ押さえ
5 検知手段
6 制御機構
A 吸引経路
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物収集容器を装着する装着部と、該装着部に装着した被検出物収集容器の試料収容体に収容された試料を前記試料収容体の排出口、フィルタ及びフィルタ押さえを介して吸引する吸引部材と、該吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動・押圧することにより試料の吸引経路を密閉状態に維持する移動・押圧機構とからなる被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置であって、前記移動・押圧機構の駆動源を電動機でもって構成するとともに、該電動機を駆動することによって吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させた後、電動機を継続して駆動することにより押圧状態を維持するようにしたことを特徴とする被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置。
【請求項2】
被検出物を含む流動性を有する試料の収容空間及び前記試料の排出口を形成した試料収容体、前記排出口に配設される試料に含まれる被検出物を漉し取るフィルタ並びに該フィルタを前記試料収容体との間で挟持するフィルタ押さえからなる被検出物収集容器を用いることを特徴とする請求項1記載の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置。
【請求項3】
前記吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に押圧する際の電動機の駆動力を、前記吸引部材を介してフィルタ押さえを試料収容体に向けて移動させる際の電動機の駆動力より小さく設定する制御機構を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の被検出物の計測ユニットにおける被検出物の収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−52824(P2012−52824A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193330(P2010−193330)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】