説明

難溶性薬物含有微細粒子

【課題】難溶性薬物の溶解性改善を可能とする微細粒子の提供。
【解決手段】難溶性薬物および高分子担体を含有し、平均粒子径が0.1〜15μmであり、好ましくは平均円形度が0.85〜1.0である球形の微細粒子とすることで、難溶性薬物の溶解性を改善することができる。難溶性薬物としては、例えばプランルカスト水和物が挙げられる。前記微細粒子は、例えば難溶性薬物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって乾燥させて製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難溶性薬物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させて製造することを特徴とする、難溶性薬物および高分子担体からなる微細粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
難溶性薬物の溶解性を改善するための方法として、種々知られているが、例えば難溶性薬物を粉砕して、微細化することによって、薬物粒子の表面積を増大させることにより、溶解度を向上させる方法が一般的に用いられている。
【0003】
微細化は、一般的にはジェットミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル等の乾式粉砕機によって行なわれる。しかしながら、これらの機器による粉砕では十分な微細化ができない場合があり、また薬物は微粒子化すると付着凝集性が生じ、粉砕機器等に付着し、大量および連続的に粉砕するには非常に困難であった。
【0004】
一方、常圧乾燥技術の一つとして、パルス瞬間乾燥法が知られている。これはパルスエンジンによりパルス衝撃波(超音波と熱風)を発生させ、スラリー、溶液または懸濁液状態の原料を衝撃波中に噴霧し、その衝撃波と熱により、固体と液体を分離・乾燥させる方法である。この方法の特徴として、原料が衝撃波によって浸食あるいは破壊され、原料が均一に微細化されることによって、表面積が大幅に増加するため、低温度でも乾燥が可能になることが挙げられる。
【0005】
上記パルス衝撃波を用いて微細粒子を得る方法が特許文献1および特許文献2に記載されているが、アルカリ金属化合物等の無機物の微細化に関することしか記載されておらず、薬物の微細化に関する記載はない。
【0006】
【特許文献1】特開平08−040720号公報
【特許文献2】特開平09−136028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の微細化における問題点を克服しかつ難溶性薬物の溶解性改善を可能とする微細粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成からなる微細粒子とその製造方法、その微細粒子を含有する固形製剤および難溶性薬物の溶解性改善方法に関する。
【0009】
[1]難溶性薬物および高分子担体を含有し、平均粒子径が0.1〜15μmであることを特徴とする球形の微細粒子。
[2]平均円形度が0.85〜1.0である前記1記載の微細粒子。
[3]難溶性薬物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁してなる溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させてなる前記1記載の微細粒子。
[4]難溶性薬物がプランルカスト水和物である前記1記載の微細粒子。
[5]プランルカスト水和物の質量を1とした場合の高分子担体の質量比が1〜8である前記4記載の微細粒子。
[6]高分子担体が水溶性セルロース類、合成高分子類および軽質無水ケイ酸から選択される1種以上である前記1記載の微細粒子。
[7]水溶性セルロース類がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、合成高分子類がポリビニルピロリドンである前記6記載の微細粒子。
[8]有機溶媒がアルコール系溶媒である前記3記載の微細粒子。
[9]アルコール系溶媒がエタノールである前記8記載の微細粒子。
[10]プランルカスト水和物および高分子担体を水およびアルコール系溶媒の混液に懸濁してなる懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させてなり、プランルカスト水和物の質量を1とした場合の高分子担体の質量比が4〜6である、プランルカスト水和物および高分子担体を含有する、平均粒子径が0.5〜5μmであり、平均円形度が0.85〜1.0であることを特徴とする球形の微細粒子。
[11]高分子担体がヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンである前記10記載の微細粒子。
[12]前記1〜11のいずれかに記載の微細粒子を含有する固形製剤。
[13]プランルカスト水和物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させて、プランルカスト水和物および高分子担体を含有する、平均粒子径が0.1〜15μmであり、平均円形度が0.85〜1.0である球形の微細粒子にすることを特徴とするプランルカスト水和物の溶解性改善方法。
[14]プランルカスト水和物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させて製造することを特徴とする、プランルカスト水和物および高分子担体を含有してなる、平均粒子径が0.1〜15μmであり、平均円形度が0.85〜1.0である球形の微細粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、難溶性薬物の溶解性が向上した微細粒子を提供することができる。特に難溶性薬物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させることにより製造された微細粒子は、当該粒子中に難溶性薬物および高分子担体を均一に分散させることができるので、より難溶性薬物の溶解性を向上させることが可能となる。また、難溶性薬物および高分子担体を適宜組み合わせることにより、溶解性に加え、薬物の製剤化において重要なファクターである圧縮成型性、流動性等にも優れた微細粒子とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の微細粒子の形態的特徴として球形であることが挙げられ、その球形の程度については平均円形度によって示すことができる。本発明の微細粒子は、その平均円形度が0.85〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.90〜1.0であり、さらに好ましくは0.95〜1.0であり、特段好ましくは0.98〜1.0である。
本明細書で言う平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製)を用い、下記式に基づいて算出することができる。
平均円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周長)/(粒子投影像の周長)で定義される円形度の平均値
例えば、微細粒子0.1gに対し、微細粒子が溶解しない液状媒体(例えばヘキサン、トルエン、シクロヘプタン、シリコンオイル等が使用できる。)30mLを添加し、超音波バスによって1分間分散を行ない、測定液とし、これをフロー式粒子像分析装置で分析することにより、平均円形度を測定することができる。
【0012】
本発明において難溶性薬物とは、水に溶解し難い薬物であれば特に限定されず、例えば溶媒を水とした場合に第14改正日本薬局方通則の性状の項の溶解性において、「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」に相当する薬物が挙げられる。すなわち固形の粉末1gを水中に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶かすのに必要な水の量が100mL以上のものをいう。難溶性薬物としては、例えばニフェジピン、インドメタシン、ニカルジピン、ニモジピン、ジヒドロエルゴトキシン、コルチゾン、デキサメタゾン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニトイン、ジアゼパム、ツロブテロール、テオフィリン、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、プランルカスト水和物、ロラチジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記薬物は公知の方法で製造することができ、例えばプランルカスト水和物(4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン 1/2水和物)は特開昭61−050977号明細書記載の方法に準じて製造することができる。
【0013】
本発明において高分子担体としては、例えば水溶性セルロース類、合成高分子類、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。また、これらから選択される1種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0014】
合成高分子類としては、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはゼラチン等が挙げられる。
ポリビニルピロリドンとして具体的にはプラスドンC−15(ISP TECHNOLOGIES社製)、コリドンVA64、コリドンK−30、コリドンCL−M(KAWARLAL社製)、コリコートIR(BASF社製)等が挙げられる。
【0015】
水溶性セルロース類とは、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシプロピル基またはヒドロキシエチル基等で置換することにより、水素結合を消失させた水溶性高分子である。例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)等が挙げられる。
【0016】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースのメトキシ基含有率として好ましくは、約19〜30質量%であり、ヒドロキシプロポキシ基含有率として好ましくは、約4〜12質量%であり、粘度として好ましくは、約2.5〜17.5mm2/sである。好適に使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208等が挙げられ、具体的にはメトローズ90SH、メトローズ65SH、メトローズ60SH、TC−5(信越化学工業(株)製)、メトセルK、メトセルE(ダウケミカル社製)、マーポローズ(松本油脂製薬(株)製)等が挙げられる。TC−5としては、例えば、TC−5E、TC−5EW、TC−5R、TC−5RW、TC−5MW、TC−5S等が挙げられる。
【0017】
軽質無水ケイ酸は、二酸化ケイ素(SiO2)で示される微細粉末の無水シリカであり、本発明で用いられる軽質無水ケイ酸の平均粒子径は0.1μm以下であることが好ましい。より好ましくは平均粒子径が7〜40nmの軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル90、130、150、200、300、380(商品名:日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。
【0018】
また、本発明においては、高分子担体として、糖類(例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、蔗糖、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)も用いることができる。
【0019】
本発明においてパルス瞬間乾燥法とは、パルス燃焼器によって生じるパルス衝撃波(超音波と熱風)中に、難溶性薬物および高分子担体の溶液または懸濁液を噴霧し、その衝撃波と熱により、瞬間的に固体と液体を分離・乾燥させる方法である。この乾燥法は、単純に熱による蒸発乾燥だけでなく、圧力変動を利用した力学的作用も伴うため、被乾燥物を瞬間的に乾燥させることができる。比較的低温での乾燥が可能であるため、本発明のように例えば熱的な制限を受けやすい難溶性薬物の乾燥に特に適している。
【0020】
パルス燃焼器としては上記目的を達成できるものであればよく、例えばHYPULCON(登録商標)(パルテック(株)製)等が挙げられる。
図1にパルス燃焼器の模式図を示す。
パルスエンジンの燃料には例えばプロパンガスを使用し、乾燥室内温度と乾燥室出口ガス温度を監視し、温度を設定値に保つ。原料として用いる難溶性薬物および高分子担体の溶液または懸濁液は2流体ノズルから噴霧空気と共にパルス衝撃波中に噴霧する。生成した微細粒子は、乾燥機の排ガスと共に乾燥室下部よりダクトを通ってサイクロンへ押し出される。微細粒子は粒子径により遠心分離され、サイクロン下部の最終ビンに捕集されるが、通過したものはバグフィルターにて捕集される。分離された溶液は蒸気となって外気へ放出される。
【0021】
難溶性薬物の溶解または懸濁させる溶液として、水(精製水)および有機溶媒から選択される1種以上であれば特に限定されないが、沸点がそれほど高くなく、通常の噴霧乾燥に用いられているものであり、目的の薬物を溶解するものが好ましい。有機溶媒として好ましくは、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等)等が挙げられる。より好ましくはエタノールが挙げられる。
【0022】
溶液として好ましくは水およびアルコール系溶媒の混合溶媒が好ましく、より好ましくは水およびエタノールの混合溶媒である。
水およびアルコール系溶媒の混合溶媒の混合比(容積比)として好ましくは、水の容積を1.0とした場合、アルコール系溶媒の容積は0.5〜3.0が好ましく、より好ましくは1.0である。
【0023】
本発明の微細粒子を例えば上記パルス燃焼器で製造する場合、1)燃料プロパンガス流量、2)燃焼空気流量、3)原料噴霧空気流量、4)二次空気流量、5)乾燥室内温度、6)乾燥室出口ガス温度、7)難溶性薬物を溶解または懸濁する溶液等を適宜調製して組み合わせることにより、微細粒子の平均粒子径等を調製することが可能である。
【0024】
本発明において、1)難溶性薬物、2)高分子担体、3)微細粒子の平均粒子径、4)微細粒子における難溶性薬物と高分子担体の組成比(質量比)およびそれらの組み合わせは本発明の目的が達成される限りいかなるものも好ましい。より具体的には以下のものが挙げられる。
【0025】
難溶性薬物としては好ましくはプランルカスト水和物が挙げられる。
【0026】
高分子担体としては好ましくは、水溶性セルロース類または合成高分子類が挙げられる。水溶性セルロース類としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、TC−5Eが好ましい。合成高分子類としては、ポリビニルピロリドンが好ましい。ポリビニルピロリドンとしては、プラスドンC−15またはコリドンVA64が好ましい。
【0027】
微細粒子の平均粒子径として好ましくは、0.1〜15μmであり、より好ましくは0.5〜5.0μmである。
【0028】
微細粒子における難溶性薬物と高分子担体の組成比(質量比)として好ましくは、難溶性薬物の質量を1とした場合の高分子担体の質量比が1〜20であり、より好ましくは1〜8であり、特段好ましくは4〜6である。
【0029】
溶解性が改善した微細粒子としては、例えば溶解速度定数Kが難溶性薬物単独の溶解速度定数Kに対して、5倍以上のものが好ましく、より好ましくは10倍以上であり、特段好ましくは15倍以上が挙げられる。
【0030】
なお、溶解速度定数Kは、例えば、第十四改正日本薬局方の一般試験法の「66.溶出試験法」における第2法(100rpm、37℃)に従って溶出率を測定し、その値を以下に示すHixson−Crowells式から算出することができる(後記溶出試験参照)。
【0031】
Hixson−Crowells式:(W/W0-2/3=1+Kt
W=溶出量、W0=初期溶解量、K=溶解速度定数、t=溶出時間
【0032】
本発明における好ましい組み合わせとしては例えば以下のものが挙げられる。
難溶性薬物がプランルカスト水和物であり、高分子担体が水溶性セルロース類または合成高分子類であり、難溶性薬物および高分子担体を溶解または懸濁させる水および有機溶媒から選択される1種以上が水およびアルコール系溶媒(好ましくはエタノール)の混液であり、微細粒子の平均粒子径が0.5〜5.0μmであり、微細粒子の平均円形度が0.85〜1.0であり、プランルカスト水和物の質量を1とした場合の高分子担体の質量比が4〜6である組み合わせが好ましい。
【0033】
上記プランルカスト水和物含有微細粒子を上記パルス燃焼器(ハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間)で製造する場合、燃料プロパンガス流量が30〜40L/時間であり、燃焼空気流量が800〜1200L/時間であり、原料噴霧空気流量が4500〜5500L/時間であり、二次空気流量が11000〜13000L/時間であり、乾燥室出口ガス温度が55〜80℃である組み合わせが挙げられる。
【0034】
パルス瞬間乾燥法は、パルス衝撃波中に、難溶性薬物および高分子担体が均一に溶解または分散している溶液または懸濁液を噴霧し、乾燥させる方法であるため、難溶性薬物と高分子担体とを微細粒子中で均一に分散させることができる。通常、薬物の低含量組成物を製造するためには倍散等の工程を経るのが一般的であるが、本法によれば、そのような付加的な工程を行なうことなく、難溶性薬物が均一に分散した微細粒子を簡便に得ることが可能である。
【0035】
本発明の微細粒子を含有する固形製剤の製造方法は公知であり、例えば、本発明の微細粒子と他の添加剤を混合するか、もしくは公知の造粒法(例えば、押出し造粒法、混合撹拌造粒法、高速混合撹拌造粒法、流動層造粒法、転動撹拌流動層造粒法、転動造粒法、乾式(圧縮)造粒法、破砕造粒法、噴霧乾燥造粒法等)によって得られる造粒物を必要に応じて乾燥、整粒、分級等することにより、散剤や顆粒剤を製造することができる。また、先で得られる造粒物、散剤または顆粒剤と必要に応じて他の添加剤を加えて、打錠またはカプセル充填することにより、錠剤やカプセル剤を製造することができる。また、錠剤は、必要に応じ薬学的に許容され、本発明の効果を妨げない、フィルムコーティング基剤を用いて被覆されても構わない。
【0036】
本発明において、本発明の微細粒子を含有する固形製剤には、本発明の効果を妨げないか、または本発明の効果が最小限に得られる限り、固形製剤を製造する際に一般的に使用される添加剤(製剤基剤)を更に含んでいてもよく、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤、溶出補助剤等を1種または2種以上適宜配合して用いることができる。
【0037】
賦形剤としては、例えば、糖類(例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、蔗糖、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン等が挙げられる。矯味剤としては、例えば、白糖、D−ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5'−グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。香料としては、例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール等が挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン等が挙げられる。静電気防止剤としては、例えば、タルク、酸化チタン等が挙げられる。流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。湿潤剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。溶出補助剤としては、例えば、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等が挙げられる。
【0038】
上記した添加剤は、例示した用途以外に他の用途(例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定(化)剤、崩壊剤、矯味剤、界面活性剤、香料、着色料、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤、溶出補助剤、溶解補助剤、コーティング剤等)で使用可能であればその用途で用いてもよい。さらに、上記以外にも、公知の文献、例えば、薬事日報社2005年刊「医薬品添加物辞典」(日本医薬品添加剤協会編集)等に記載されているような添加剤を用いてもよい。
【0039】
本発明の微細粒子を含有する固形製剤は、所望によって任意の包装が施されてもよい。かかる包装は、例えば、個別に包装されていない非単位包装(例えば、バルク包装)等であってもよいが、例えば、熱接着性フィルムで医薬品をシールする、いわゆるヒートシールのような密封包装が好ましい。密封包装としては、密封性を有するものであれば特に限定されないが、さらに水蒸気等の気体の流出入を防ぐことのできる性質を有するものが好ましい。そのような密封包装としては、アルミフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、高密度ポリエチレンラミネート紙、ポリ塩化ビニリデンラミネート紙等が挙げられる。好ましくは、アルミフィルム箔等である。また、該密封包装の形態としては、缶、瓶、袋(例えば、カートナー包装、シュリンク包装、ピロー包装等)等が挙げられる。さらに、本発明の密封包装の形態が袋であるとき、チャック(例えば、シングルチャック、ダブルチャック等)を有する袋であってもよい。尚、本発明における密封包装には、例えば、薬局方規定の「気密容器」や「密封容器」を用いての包装も含まれる。ヒートシールには、PTP(Press Through Pack)包装やSP(Strip Package)包装等が含まれるが、特に、PTP包装が好ましい。
【0040】
PTP包装の材質として用いられるプラスチックシートとしては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPPまたはIPP)、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、無延伸ナイロン(CNy)、二軸延伸ナイロン(ONy)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、硬質塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリアクリロニトリル共重合体(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル(PET)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー(IO)、ポリアミド(PAまたはNy)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。これらのプラスチックシートは2種以上を適宜組合せた複合体を用いてもよい。
【0041】
本発明で用いられるプラスチックシートとしては、約0.5〜5.0g/m2・24hrの透湿度(水蒸気透過度)を有するものであれば特に限定されないが、そのようなプラスチックシートとして好ましくは、硬質塩化ビニル、硬質塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンを組み合わせた複合体、無延伸ポリプロピレン等が挙げられ、硬質塩化ビニルが好ましい。ここで、透湿度は、定められた温度及び湿度の条件下に、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の量を意味し、その測定は、公知の方法で行うことができる。例えば、一般的にプラスチックシートやシート等の包装材料の透湿度測定法として知られた方法、なかでも感湿センサー法(Lyssy法)(JIS K7129)、カップ法(JIS Z0208)等に従って行うことが好ましい。
【0042】
本発明において、プラスチックシートを包装体として用いる場合には、該プラスチックシートにアルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物を蒸着した蒸着フィルム、紙、アルミ箔、セロファンフィルム等の通常の包装材料として用いられるものの中から2種以上を、内容物を保護する等の目的で適宜組み合わせ、貼り合わせて用いてもよい。プラスチックシートと上記したフィルム等を貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、押出コーティング・ラミネーション、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーション、共押出成形ラミネーション、ノンソルベントラミネーション、サーマルラミネーション等が挙げられる。
【0043】
PTP包装は、アルミ包装と併用することが好ましい。さらに本発明の錠剤および/またはカプセルは、PTP包装やSP包装を施した後、その一定数量をポリエチレンやアルミ箔で二次包装(いわゆるピロー包装)してもよい。
【0044】
本発明の錠剤および/またはカプセル剤が二次包装された内部の湿度は、乾燥剤または保湿剤により制御することができる。
【0045】
本明細書中、乾燥剤としては、一般的に医薬品の保存時に用いられるものであれば特に限定されないが、そのような乾燥剤としては、酸化アルミニウム、カルシウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、水素化リチウムアルミニウム、マグネシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、合成ゼオライト(例えば、モレキュラーシーブ等)、天然ゼオライト、五酸化二リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、シリカアルミナゲル、ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、活性炭等が挙げられる。これらは、必要に応じて、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これら以外に本発明における乾燥剤としては、高分子ポリマーを構成成分とする吸水剤も含まれる。そのような吸水剤としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる乾燥剤の形態としては、粒状、もしくはフィルム状、プレート状およびシート状に成形したもの、または粒状のものを通気性のある袋に充填したもの等が挙げられ、その形態は特に限定されない。好ましくは、シート状に成形したもの等である。シート状に成形する場合には、乾燥剤を適当な支持体、例えば、成形用プラスチック等に配合して、乾燥剤をプラスチック内に練り込みシート状に成形すること等が挙げられる。シート状に成形した乾燥剤としては、IDシート(株式会社アイディ;塩化カルシウム)、ハイシートドライ(丸谷化工機株式会社;シリカゲル)、ハイドライパック(丸谷化工機株式会社;シリカゲル)等が挙げられる。
【0047】
本発明に用いられる乾燥剤としては、温度25℃、相対湿度が50%におけるその吸湿率が、約20〜35%である乾燥剤が好ましく、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル、塩化カルシウム、五酸化二リン、合成ゼオライト、天然ゼオライト等が好ましい。より好ましくは、塩化カルシウム等が挙げられ、さらに好ましくは、シート状に成形した塩化カルシウム、例えば、IDシート等が挙げられる。
【0048】
本発明において、保湿剤とは、吸水、吸湿機能を有し、かつ一定の湿度に保つことのできる機能、すなわち平衡湿度を有する物質を意味する。そのような保湿剤としては、含水エチレングリコール含有シート類、ドライキープ(登録商標;佐々木化学薬品株式会社)等が挙げられる。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明をよく理解するためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
製剤例1
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびTC−5E(信越化学工業(株)製)10.0gを混合し、該混合物を50%エタノール水溶液600mLに懸濁した。懸濁液をハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間、パルテック(株)製)にてパルス瞬間乾燥処理を下記条件で行ない、平均粒子径2〜3μmの微細粒子を得た。本微細粒子の電子顕微鏡写真(6000倍)を図2−1に示す。
ハイパルコン操作条件
・燃料プロパンガス流量・・・35L/時間
・燃焼空気流量・・・・・・・1050L/時間
・原料噴霧空気流量・・・・・5000L/時間
・二次空気流量・・・・・・・12000L/時間
・乾燥室出口ガス温度・・・・65℃
【0051】
製剤例2
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびTC−5E(信越化学工業(株)製)10.0gを混合し、該混合物を精製水600mLに懸濁した。懸濁液をハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間、パルテック(株)製)にてパルス瞬間乾燥処理を製剤例1記載の条件で行ない、平均粒子径8〜10μmの微細粒子を得た。本微細粒子の電子顕微鏡写真(6000倍)を図2−2に示す。
【0052】
製剤例3
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびプラスドンC−15(ISPテクノロジー社製)10.0gを混合し、該混合物を50%エタノール水溶液600mLに懸濁した。懸濁液をハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間、パルテック(株)製)にてパルス瞬間乾燥処理を製剤例1記載の条件で行ない、平均粒子径2〜3μmの微細粒子を得た。本微細粒子の電子顕微鏡写真(5000倍)を図2−3に示す。
【0053】
製剤例4
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびプラスドンC−15(ISPテクノロジー社製)10.0gを混合し、該混合物を精製水600mLに懸濁した。懸濁液をハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間、パルテック(株)製)にてパルス瞬間乾燥処理を製剤例1記載の条件で行ない、平均粒子径2〜5μmの微細粒子を得た。本微細粒子の電子顕微鏡写真(5000倍)を図2−4に示す。
【0054】
製剤例5
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびアエロジル380(日本アエロジル(株)製)10.0gを混合し、該混合物を50%エタノール水溶液600mLに懸濁した。懸濁液をハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間、パルテック(株)製)にてパルス瞬間乾燥処理を製剤例1記載の条件で行ない、微細粒子を得た。本微細粒子の電子顕微鏡写真(3500倍)を図2−5に示す。
【0055】
製剤例6
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびアエロジル380(日本アエロジル(株)製)10.0gを混合し、該混合物を精製水600mLに懸濁した。懸濁液をハイパルコン小型テスト機(蒸発能力500g/時間、パルテック(株)製)にてパルス瞬間乾燥処理を製剤例1記載の条件で行ない、微細粒子を得た。本微細粒子の電子顕微鏡写真(3500倍)を図2−6に示す。
【0056】
比較例1
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびTC−5E10.0g(信越化学工業(株)製)をビニール袋中で10分間、手動で混合し、物理混合物を得た。本物理混合物の電子顕微鏡写真(600倍)を図2−7に示す。
【0057】
比較例2
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびプラスドンC−15(ISPテクノロジー社製)10.0gをビニール袋中で10分間、手動で混合し、物理混合物を得た。本物理混合物の電子顕微鏡写真(1000倍)を図2−8に示す。
【0058】
比較例3
平均粒子径2.5μmのプランルカスト水和物2.0gおよびアエロジル380(日本アエロジル(株)製)10.0gをビニール袋中で10分間、手動で混合し、物理混合物を得た。本物理混合物の電子顕微鏡写真(1200倍)を図2−9に示す。
【0059】
溶出試験
製剤例1〜4で製造した微細粒子、および比較例1〜2で製造した物理混合物について、pH6.8のリン酸緩衝液を2倍に希釈した液900mLを溶出液とする溶出試験を行なった。試験は第十四改正日本薬局方の一般試験法の「66.溶出試験法」における第2法(100rpm、37℃)に従って行なった。5時間後まで経時的にサンプリングした液を0.2μmのセルロースアセテートフィルター(DISMIC−13、東洋濾紙(株)製)にてろ過し、HPLC(UV:260nm)で定量し、溶出率を算出した。
結果を図3および図4に示す。なお、薬物含量が3mg相当になるようにサンプル量を調整した。
また、以下に示すHixson−Crowells式により、溶解速度定数Kを求めた。結果を表1および表2に示す。
Hixson−Crowells式:(W/W0-2/3=1+Kt
W=溶出量、W0=初期溶解量、K=溶解速度定数、t=溶出時間
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
上記結果から明らかなように、本発明の微細粒子は薬物単独および比較例1または2で製造した物理混合物に比して概ね薬物の溶解速度が向上しており、特に50%エタノール溶液から調整した製剤例1および製剤例3の微細粒子は薬物単独に比して溶解速度定数が8.6倍および20.7倍に向上させることができた。
【0063】
安息角の測定試験
製剤例3で製造した微細粒子、および比較例2で製造した物理混合物をそれぞれ、パスツールピペットの先端から少しずつ落下させ、自然堆積してできた斜面の底辺および高さをカセトメーターにより測定し、安息角を求めた(注入法・自然堆積型)。
n=3で測定し、その平均値を以下の表3に示す。
【0064】
【表3】

【0065】
上記結果から本発明の微細粒子は物理混合物に対して、流動性が向上することが明らかである。
【0066】
圧縮成型性試験
オートグラフ(島津製作所(株)製)を用いて、製剤例1および3で製造した微細粒子および比較例1および2で製造した物理混合物150mgをそれぞれ、打錠圧1000kgf、打錠速度2mm/分、8mmΦで打錠し、圧力−変位曲線を作成した。作成した曲線を用い、以下の川北式より最終かさべり度(a)を求めた。
川北式:(V0−V)/V0=abP/(1+bP)
C=(V0−V)/V0:かさべり度、a=最終かさべり度、b=定数、P=圧力
結果を以下の表4に示す。
【0067】
【表4】

【0068】
最終かさべり度の値が大きいと圧縮性が大きく、成形性の良い粉末であることから、本発明の微細粒子は物理混合物に比して、圧縮成型性に優れていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】パルス燃焼器の模式図。
【図2−1】製剤例1で製造した微細粒子(6000倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−2】製剤例2で製造した微細粒子(6000倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−3】製剤例3で製造した微細粒子(5000倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−4】製剤例4で製造した微細粒子(5000倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−5】製剤例5で製造した微細粒子(3500倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−6】製剤例6で製造した微細粒子(3500倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−7】比較例1で製造した物理混合物(600倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−8】比較例2で製造した物理混合物(1000倍)の電子顕微鏡写真。
【図2−9】比較例3で製造した物理混合物(1200倍)の電子顕微鏡写真。
【図3】製剤例1および2で製造した微細粒子の溶出試験結果。
【図4】製剤例3および4で製造した微細粒子の溶出試験結果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難溶性薬物および高分子担体を含有し、平均粒子径が0.1〜15μmであることを特徴とする球形の微細粒子。
【請求項2】
平均円形度が0.85〜1.0である請求項1記載の微細粒子。
【請求項3】
難溶性薬物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁してなる溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させてなる請求項1記載の微細粒子。
【請求項4】
難溶性薬物がプランルカスト水和物である請求項1記載の微細粒子。
【請求項5】
プランルカスト水和物の質量を1とした場合の高分子担体の質量比が1〜8である請求項4記載の微細粒子。
【請求項6】
高分子担体が水溶性セルロース類、合成高分子類および軽質無水ケイ酸から選択される1種以上である請求項1記載の微細粒子。
【請求項7】
水溶性セルロース類がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、合成高分子類がポリビニルピロリドンである請求項6記載の微細粒子。
【請求項8】
有機溶媒がアルコール系溶媒である請求項3記載の微細粒子。
【請求項9】
アルコール系溶媒がエタノールである請求項8記載の微細粒子。
【請求項10】
プランルカスト水和物および高分子担体を水およびアルコール系溶媒の混液に懸濁してなる懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させてなり、プランルカスト水和物の質量を1とした場合の高分子担体の質量比が4〜6である、プランルカスト水和物および高分子担体を含有する、平均粒子径が0.5〜5μmであり、平均円形度が0.85〜1.0であることを特徴とする球形の微細粒子。
【請求項11】
高分子担体がヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンである請求項10記載の微細粒子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の微細粒子を含有する固形製剤。
【請求項13】
プランルカスト水和物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させて、プランルカスト水和物および高分子担体を含有する、平均粒子径が0.1〜15μmであり、平均円形度が0.85〜1.0である球形の微細粒子にすることを特徴とするプランルカスト水和物の溶解性改善方法。
【請求項14】
プランルカスト水和物および高分子担体を水および有機溶媒から選択される1種以上に溶解または懸濁後、該溶液または懸濁液をパルス瞬間乾燥法によって破砕乾燥させて製造することを特徴とする、プランルカスト水和物および高分子担体を含有してなる、平均粒子径が0.1〜15μmであり、平均円形度が0.85〜1.0である球形の微細粒子の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図2−8】
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【図2−9】
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【公開番号】特開2007−176869(P2007−176869A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378503(P2005−378503)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第22回製剤と粒子設計シンポジウム講演要旨集(平成17年10月21日粉体工学会・製剤と粒子設計部会発行)第232頁〜第235頁
【出願人】(599002043)学校法人 名城大学 (142)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】