説明

きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを基材上に生成する時間を短縮するための方法

きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを、基材上に生成するために必要な時間を短縮するための方法を開示する。本発明の方法は、(a)コーティング組成物を上記基材上に塗布する工程、次に(b)上記組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程、ならびにさらに(c)上記コーティング組成物を後硬化させる工程、を含み、ここで工程(b)と工程(c)との間に、および工程(c)の後に、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが上記基材上に存在する。また、プラスチック基材のような基材で、上記のような方法で生成したコーティングで少なくとも部分的にコートされた基材を開示し、ならびに関連する製造物品を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国仮特許出願第60/748,866号(2005年12月9日出願)の特権を主張し、その全体を本明細書中で参考として援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを、プラスチック基材のような基材上に生成するために必要な時間を短縮するための方法に関する。より具体的には、本発明の方法は、(a)コーティング組成物を上記基材上に塗布する工程、次に(b)上記組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程、ならびにさらに(c)上記コーティング組成物を後硬化させる工程、を含み、ここで工程(b)と工程(c)との間に、および工程(c)の後に、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが上記基材上に存在する。本発明はまた、プラスチック基材のような基材であって、上記のような方法で生成したコーティングで少なくとも部分的にコートされた基材、および関連する製造物品に関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまな製品、例えば自動車の外部部品およびコンポーネントは、しばしば複数のコーティング層で処理され、このコーティングはこの製品の外観を高めるだけでなく、この製品を、例えば腐食、砂利、紫外線、酸性雨および他の環境状態により生じる欠陥より保護する。これらの製品の多くの製造業者らが直面する1つの挑戦は、保護コーティング系が堆積する(deposit)のに必要な時間を短縮する方法を発見することである。
【0004】
多くのコーティングは、熱で焼き固める方法を用いて乾燥され、ならびに硬化され、ここでコートされた製品は、昇温状態においてオーブンを通過させられる。このようなコーティングの乾燥過程および硬化過程を加速するために非常に多くの提案がなされてきた。しかし、これらの提案の多くが、すばやい、高温での乾燥技術を含み、この技術は泡(pop)、気泡またはふくれのようなコーティング欠陥を生じ得る技術であるため所望され得ない。さらに、ある材料、例えば熱可塑性ポリオレフィン(「TPO」)ベースの製品は、熱に敏感であるため、その結果、高温乾燥技術および高温硬化技術は使用され得ない。このような材料は、一般的に自動車の外部部品およびコンポーネントを構成するのに使用される。
【0005】
他のコーティングは、放射硬化技術を用いて、例えば上記コーティングを紫外線(「UV」)放射にさらすことによって、すばやく乾燥および硬化され得る。しかし、UV放射の実施は、しばしば容認できないかなりの資本投資をたびたび必要とし得る。
【0006】
結果として、高温乾燥技術または放射硬化技術を利用することなく、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを、プラスチック基材のような基材上に生成する一連の時間を短縮するための方法の提供が望まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある点において、本発明はきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを、基材上に生成するために必要な時間を短縮するための方法に関し、上記方法は、(a)コーティング組成物を上記基材上に塗布する工程、次に(b)上記組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程、ならびにさらに(c)上記コーティング組成物を後硬化させる工程、を含み、ここで工程(b)と工程(c)との間に、および工程(c)の後に、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが上記基材上に存在する。
【0008】
本発明はまた、プラスチック基材のような基材であって、上記のような方法で生成したコーティングで少なくとも部分的にコートされた基材に関する。
【0009】
他の点において、本発明は、部分的に架橋した膜である、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングで少なくとも部分的にコートされた表面を有する製造物品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の詳細な説明の目的のために、明確に逆に述べられている場合を除き、本発明はさまざまな代わりの変数および工程の順序を想定し得る、ということは理解される。さらに、任意の実施例を除いて、または別な方法で指示される場合を除いて、本明細書および特許請求の範囲で使用される、例えば構成要素の量を表す、すべての数字は、用語「約」によってすべての事例において修飾される、ということは理解される。従って、逆に指示される場合を除いて、以下の明細書および添付した特許請求の範囲に記載の数パラメーターは概数であり、本発明によって得られる所望の特性に依存して変化し得る。少なくとも、および以下は特許請求の範囲に対する等価の原則の適応を限定する試みではないが、それぞれの数パラメーターは少なくとも、報告された有効数字を考えて、および通常の四捨五入の技術を適応して、解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記載する数の範囲および数パラメーターは概数であるにもかかわらず、特定の実施例に記載の数値は可能な限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、それぞれの試験測定より見い出された標準偏差(standard variation)よりやむを得ず生じるいくらかの誤差を固有に含む。
【0011】
また、本明細書に記載の任意の数的な範囲は、本明細書に包含されたすべての下位範囲を含むことが意図される、ということは理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、記載された最小値である1と記載された最大値である10との間(およびそれらを含む)のすべての下位範囲を含むことを意図され、すなわち、1と等しいまたは1より大きい最小値、および10と等しいまたは10より小さい最大値を有する。
【0012】
本願において、明確に他の方法で述べられていない場合、単数形の使用は複数形を含み、そして複数形は単数形を包含する。例えば、限定なしで、本願は「a コーティング組成物」を基材上へ塗布する工程を含む方法に言及する。「a コーティング組成物」へのこのような言及は、単一のコーティング組成物が上記基材上に塗布される方法ならびに2つ以上のコーティング組成物が塗布される方法を包含することが意味される。さらに、本願において、明確に他の方法で述べられていない場合、たとえ「および/または」がある例において明確に使用され得るとしても、「または」の使用は「および/または」を意味する。
【0013】
本明細書に示されたように、ある実施形態において、本発明は、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを、基材上に生成するために必要な時間を短縮するための方法に関する。当業者によって認識されるように、用語「きず」および「引っ掻き」は力学的磨耗または化学的磨耗より生じる物理的な変形に言及する。「きず耐性」は、小さいスケールでの力学的な応力により引き起こされる外見の崩壊に耐える材料の能力の基準である。「引っ掻き耐性」は、より目に見える溝、より深い溝、またはより幅広い溝に至り得るような、よりひどい損傷に耐える材料の能力である。したがって、引っ掻きは一般的に当該分野において、きずとして言及されるものよりもひどいものであると見なされ、そしてこの2つは当該分野において違うものであると見なされる。認識されるように、きずおよび引っ掻きは、製造要因および環境要因により、ならびに通常の使用を通して生じ得る。本明細書で使用される場合、用語「きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティング」は、以下に記載のようにコーティング表面を研磨した後に初期の20°光沢の少なくとも30%を維持するコーティングに言及する。ある実施形態においては、コーティング表面を研磨した後に、初期の20°光沢の少なくとも40%が維持され、そして他の場合においては、初期の20°光沢の少なくとも60%が維持される。本発明に従った硬化してコートされた基材の20°光沢は、20°NOVO−GLOSS統計的光沢計(Gardner Instrument Company,Inc.より市販)を用いて測定され得る。上記コートされた基材は、重みをかけた研磨紙によって、Atlas AATCC Scratch Tester,Model CM−5(Atlas Electrical Devices Company(Chicago、Illinois)より市販)を使用して、10×2(ten double)の摩擦にさらされて研磨される。上記研磨紙は、3M 281Q WETORDRYTM PRODUCTIONTM 9ミクロン研磨紙(3M Company(St.Paul,Minnesota)より市販)である。パネルは次に水道水でリンスされ、ならびに注意深くペーパータオルでたたかれて乾燥される。上記20°光沢は、上記テストパネルの研磨された範囲上で測定される。記録された数は、引っ掻き試験の後に維持された初期光沢の割合であり、すなわち、100%×引っ掻かれた光沢/初期光沢、である。
【0014】
明細書で使用される場合、用語「基材」は、膜によってコートされ得る表面を有する任意の材料に言及し、裸の基材ならびにすでにコーティングが基材上に堆積されている基材を含む。本発明のある実施形態において、上記基材はプラスチック基材である。本明細書で使用される場合、用語「プラスチック基材」は、射出成型または反応射出成型、シート成型(sheet molding)もしくはパーツが形成される他の類似の方法に使用される、熱可塑性合成材料または熱硬化性合成材料(例えば数ある中で、TPO、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー、ポリウレタンおよび熱可塑性ポリウレタン)より少なくとも部分的に構築された任意の基材を含むことが意図される。
【0015】
本明細書に示されたように、本発明のある方法は、コーティング組成物を上記基材に塗布する工程を含む。ある実施形態において、上記コーティング組成物は液体形態であり、すなわち、上記組成物は水媒介系または溶媒媒介系である。このようなコーティング組成物に使用され得る有機溶媒として、例えば、アルコール、ケトン、芳香族炭化水素、グリコールエーテル、エステルまたはそれらの混合物が挙げられる。溶媒ベースの組成物において、上記溶媒は一般的に、上記組成物の全重量を基準として、30〜50重量%のような5〜80重量%に及ぶ量で存在する。さらに、より高い溶媒の重量%は、水ベースの組成物および水/共溶媒混合物を含む組成物において存在し得る。
【0016】
ある実施形態において、上記組成物は、熱硬化性膜形成樹脂を含む。本明細書で使用される場合、用語「熱硬化性」は、硬化または架橋に対して逆行できない「状態になる」樹脂に言及し、ここで上記ポリマー性の構成要素のポリマー鎖は共有結合によって互いに結ばれる。この特性は、上記組成物要素の架橋反応とよく結び付けられる。Hawley,Gessner G.,The Condensed Chemical Dictionary,Ninth Edition.,page 856;Surface Coatings,vol.2,Oil and Colour Chemists’Association,Australia,TAFE Educational Books(1974)を参照のこと。一度硬化され、または架橋されると、熱硬化性樹脂は加熱下で溶解せず、ならびに溶媒に不溶である。
【0017】
ある実施形態において、上記熱硬化性膜形成樹脂は、(i)反応性官能基を含むポリマー、および(ii)上記ポリマーの上記反応性官能基と反応性のある官能基を有する硬化剤を含む。ある実施形態において、上記ポリマーはヒドロキシル含有および/またはカルボン酸含有アクリルコーポリマー、ヒドロキシル含有および/またはカルボン酸含有ポリエステルポリマー、オリゴマー、ならびにイソシアネート含有および/またはヒドロキシル含有ポリウレタンポリマー、アミン含有および/またはイソシアネート含有ポリ尿素、またはそれらの混合物より選択される。これらのポリマーは、米国特許第5,939,491号第7欄7行目〜第8欄2行目にさらに記載され、上記特許ならびに上記特許に引用された特許は、本明細書中で参考として援用する。適切な硬化剤として、以下に限定されないが、上記米国特許第5,939,491号の第6欄6行目〜62行目に記載のものが挙げられる。硬化剤の組み合わせは、使用され得る。
【0018】
ある実施形態において、上記膜形成樹脂は上記コーティング組成物中に、上記組成物の全固体重量を基準として、約20重量%より多い量で存在し、例えば約40重量%より多く存在し、および90重量%より少なく存在する。例えば、樹脂の重量%は20重量%と80重量%との間であり得る。硬化剤が使用されるときには、上記樹脂は、一般的に50重量%までの量で存在し、この重量%はまた、上記コーティング組成物の全固体重量を基準とする。
【0019】
ある実施形態において、上記コーティング組成物は、硬化触媒、すなわち上記ポリマー(i)と上記硬化剤(ii)との反応を加速するような触媒を含む。適切な触媒としては、例えばジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートおよび類似のもののような有機スズ化合物が挙げられる。他の架橋剤として適切な触媒は、必要である場合、当業者に公知であるように使用され得る。ある実施形態において、上記触媒は、上記コーティング組成物における樹脂固体の全重量を基準として、0.01〜5.0重量%の量で存在し、例えば0.05〜2.0重量%の量で存在する。
【0020】
ある実施形態において、上記コーティング組成物は上記膜形成樹脂中に分散した粒子を多数含む。本発明で使用される上記粒子はナノメーターからマイクロ領域に及ぶ平均粒子サイズを有し得る。「ナノ粒子」は、2.0nmと500nmとの間、例えば約5nmと200nmとの間のサイズの範囲で使用され得る。「マイクロ粒子」は、約0.5ミクロンと100ミクロンとの間のサイズの範囲、例えば1ミクロンより大きい〜50ミクロン、0.5ミクロン〜30ミクロンまたは0.5〜10ミクロンのサイズの範囲で使用され得る。
【0021】
粒子サイズは当該分野で公知の任意の方法に従って、例えば慣習的な粒子サイズ分析器によって、決定され得る。例えば、上記平均粒子サイズが1ミクロンより大きいときは、レーザー散乱技術が使用され得る。例えば、このような粒子の上記平均粒子サイズはHoriba Model LA 900レーザー回折粒子サイズ装置を使用して測定され得、この装置は633nmの波長のヘリウム−ネオンレーザーを使用して上記粒子のサイズを測定し、および上記粒子が球形を有すると仮定する。すなわち、上記「粒子サイズ」は、上記粒子を完全に囲んだ最も小さい球に言及する。上記平均粒子サイズが1ミクロンより小さい場合、上記平均粒子サイズは、透過電子顕微鏡分析(「TEM」)画像の電子顕微鏡写真を視覚的に調査し、上記画像中の上記粒子の直径を測定し、および上記TEM画像の倍率に基づいて上記平均粒子サイズを計算することで決定され得る。当業者は、このようなTEM画像の作成方法を理解し、そして適切な方法の説明は米国特許第6,610,777号の第29欄64行目〜第30欄8行目に開示され、上記に示された部分は本明細書中で参考として援用する。
【0022】
上記粒子の形状(または形態)は、選択された粒子のタイプに依存して変化し得る。例えば、概して球形の粒子、例えば結晶状物質、固体ビーズ、マイクロビーズ、または中空球が使用され得、また同様に板状、立方状、または針状(つまり細長い形状もしくは繊維状)の粒子が使用され得る。上記粒子はまた、ランダムな形態または不均一な形態を有し得る。さらに、上記粒子は、中空の、有孔の、もしくは空隙の無い、または任意の組み合わせである内部構造を有し得、例えば有孔の壁または中実壁を有する中空中心を有し得る。ある応用において、1つの粒子の形状は他のものよりもより適切であり得る、ということは認識される。しかし、他の応用において、粒子の形状は無関係であり得る。最終コーティングに対し所望の特性を与えるために、異なる形態を有する粒子の組み合わせが使用され得る、ということは認識される。
【0023】
認識されるように、異なる平均粒子サイズを有する2つ以上の粒子の混合物は、上記組成物に対し所望の性質および特性を与えるために、本発明に従う上記組成物に組み込まれ得る。例えば、きず耐性を与えるのに特に適切なナノサイズ粒子および引っ掻き耐性を与えるのに特に適切なマイクロサイズ粒子は、組み合わせられ得る。
【0024】
上記粒子は、ポリマー性の無機素材および非ポリマー性の無機素材、ポリマー性の有機素材および非ポリマー性の有機素材、複合素材、ならびに任意の前記のものの混合物より選択された素材より形成され得る。このような素材で、本発明への使用に適する素材の例は、米国特許第6,610,777号の第30欄28行目〜第36欄31行目に開示され、上記に示された部分は本明細書中で参考として援用する。
【0025】
ある実施形態において、上記粒子は、上記膜形成樹脂が粒子なしで硬化するときの膜形成樹脂の表面張力よりも低い表面張力を有するように化学的に修飾される。このような粒子で、本発明への使用に適する粒子の例は、米国特許第6,790,904号の第3欄43行目〜第8欄61行目に開示され、上記に示された部分は本明細書中で参考として援用する。
【0026】
上記粒子は、上記組成物中の架橋可能な構成要素の架橋の程度がきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを生成するのに不十分であるときにさえ、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを生成するのに十分な量で上記コーティング組成物中に存在する。ある実施形態において、上記粒子は上記コーティング組成物
中に0.01〜20.0重量%の範囲の量で存在し、例えば0.01〜10重量%、またはある場合は0.01〜8重量%の範囲の量で存在し、ここで重量%は上記コーティング組成物の全固体重量を基準とする。
【0027】
任意の成分、例えば可塑剤、界面活性剤、揺変化剤、抗気泡発生剤(anti−gassing agent)、有機共溶媒、流れ制御剤(flow controller)、抗酸化剤、UV光吸収剤および類似の当該分野で慣習的な添加剤は、上記組成物に含まれ得る。これらの成分は代表的に、樹脂固体の全重量を基準として、40重量%までで存在する。
【0028】
上記コーティング組成物は、任意のさまざまな方法によって上記基材に塗布され得る。例えば、このような組成物は、任意の慣習的な方法、例えばブラシによる塗布、浸漬による塗布、フローコーティング(flow coating)、ロールコーティング、慣習的なおよび静電的なスプレーによる塗布によって塗布され得る。スプレーによる技術が最もよく使用される。代表的に液体コーティングの膜の厚さは、0.1ミルと5ミルとの間、例えば0.5ミルと3ミルとの間、または約1.5ミルの範囲にわたり得る。
【0029】
上記に示したように、本発明のある方法は、上記組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程を含む。本明細書で使用される場合、用語「組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程」は、上記組成物中の上記架橋可能な構成要素が反応し、部分的に架橋したコーティングが形成されることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「部分的に架橋したコーティング」は、上記組成物中のいくつかの(全部ではないが)上記架橋可能な構成要素が架橋したコーティングに言及する。本発明のある実施形態において、上記部分的に架橋したコーティング中の上記架橋可能な構成要素は、上記コーティングによって達成される最大架橋密度(crosslink density)に対し、50〜75%のような25〜75%の範囲にわたる架橋密度を有するコーティングを提供するような量で架橋する(すなわち、100%×部分的に架橋する工程の後の架橋密度/最大架橋密度)。当業者は、架橋の存在および架橋度、すなわち架橋密度が、さまざまな方法、例えばTA Instruments DMA 2980 DMTA分析器を用いての窒素下での実施による動的機械的熱分析(DMTA、dynamic mechanical thermal analysis)によって決定され得る、ということを理解する。この方法は、コーティングまたはポリマーのフリーの膜のガラス転移温度および架橋密度を決定する。硬化した素材のこれらの物理的性質は、架橋した網状組織の構造に関連する。
【0030】
ある実施形態において、上記部分的な架橋は、上記コーティング組成物を短縮熱的焼付け(abbreviated thermal bake)にさらすことによって達成される。このような実施形態において、上記コーティング組成物は、熱的に硬化可能な組成物、例えばイソシアネート硬化剤を使用したものを含み得、これはしばしば2つのパッケージ系(「2K」)として調製され、その系において上記硬化剤は上記反応性官能基を含むポリマーから分離して保存される。最小限に上げられた温度で硬化が可能であるものの、このような組成物の硬化は、上記組成物が、使用する基材のタイプに本来依存した温度、例えば180°F〜450°F(82℃〜232℃)の昇温にさらされることによりしばしば促進される。例えば、TPOのようなあるプラスチック基材では、基材の表面温度が180°F〜265°F(82℃〜129℃)の範囲においてしばしば使用される。
【0031】
本明細書で示したように、本発明のある方法において、「短縮」熱的焼付けが用いられる。本明細書で使用される場合、用語「熱的焼付け」は、対流加熱、赤外線、またはそれらの組み合わせによって上記コートされた基材を熱する工程を包含することが意味される。本明細書で使用される場合、用語「短縮熱的焼付け」は、保持時間(すなわち、上記コートされた基材が硬化のために昇温にさらされる時間)が、部分的に架橋したコーティング(しかし完全に架橋したコーティングではない)を形成するのに十分であることを意味する。実は、本発明の驚くべき発見は、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが、部分的に架橋したコーティングのみを用いて生成され得、このコーティングは短縮熱的焼付けを用いて生成され、ここで上記保持時間は、完全に架橋した膜を生成するのに必要な時間より、少なくとも25%短く、またはある場合は、少なくとも50%短く、またはさらに他の場合は、少なくとも75%短い。本明細書で使用される場合、用語「完全に架橋したコーティング」は、上記コーティングによって達成される最大架橋密度に対し、75%より大きい、例えば少なくとも90%である架橋密度を有するコーティングを提供するような量で架橋するコーティングに言及する(すなわち、100%×部分的に架橋する工程の後の架橋密度/最大架橋密度)。一連の時間のこのような劇的な短縮は、製造費用をかなり縮小し得る、と考えられる。
【0032】
当業者に認識されるように、完全に架橋したコーティングを生成するのに必要な上記保持時間は、さまざまな変数、例えば、使用する硬化温度ならびに塗布されたコーティング組成物の湿った膜の厚さに依存する。例えば、コートされたプラスチックの自動車の外部部品は、より低い硬化温度においては、完全に架橋したコーティングを生成するのに、より長い保持時間(例えば、少なくとも180°F(82℃)の基材表面温度で20〜25分)をしばしば必要とする。しかし、本発明のある実施形態において、上記部分的な架橋は、上記コートされた基材を少なくとも180°F(82℃)の基材表面温度に熱することにより、10分以下で、ある場合は、6分以下(例えば2〜6分)で、達成される。したがって、上記に示したように、本発明の方法を利用するときは、基材上にきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを生成するのに必要な時間をかなり短縮し得る。
【0033】
ある実施形態において、本発明の上記方法は、上記コーティング組成物を後硬化させる工程を含む。本明細書で使用される場合、用語「後硬化」は、上記組成物中の上記架橋可能な構成要素が、部分的に架橋する工程が完了した後に、完全に架橋したコーティングが達成されるまで、架橋し続けることを意味する。ある実施形態において、上記コーティング組成物を後硬化させる工程は、単に、上記コートされた基材を周囲状態にそのままの状態にさせることを必要とする。本明細書で使用される場合、用語「周囲状態」は、周囲気圧(つまり大気圧)および周囲温度(つまり)68°F〜79°F(20℃〜26℃)に言及する。
【0034】
ある実施形態において、上記に記載のコーティング組成物は、クリアーコート組成物を含み、それは多数の構成要素の複合コーティング系の一部として上記基材に塗布され、上記の系は、着色されたベースコート組成物および上記ベースコートの少なくとも一部の上に塗布されたクリアーコート組成物を含む。これらの実施形態において、上記に記載のコーティング組成物の塗布の前に、ベースコート組成物は塗布され、このベースコート組成物は膜形成樹脂および、しばしば着色料として働く1つ以上の顔料を含む。
【0035】
上記ベースコート組成物に特に有用な樹脂系は、アクリルポリマー、ポリエステルであり、アルキドおよびポリウレタンを含む。上記ベースコートの樹脂性のバインダーは、有機溶媒ベースの素材、例えば、米国特許第4,220,679号第2欄24行目から第4欄40行目に記載のものであり得、上記特許は本明細書中で参考として援用する。また、水ベースのコーティング組成物、例えば米国特許第4,403,003号、第4,147,679号および第5,071,904号(本明細書中で参考として援用する)に記載のものも、上記ベースコート組成物中の上記バインダーとして使用され得る。
【0036】
上記ベースコート組成物は、顔料を着色料として含み得る。適切なメタリック顔料は、アルミニウムフレーク、銅フレークまたは青銅フレークおよび金属オキサイドでコートされた雲母を含む。上記メタリック顔料に加えて、上記ベースコート組成物は、表面コーティングに慣習的に使用される非メタリックカラー顔料を含み得、ここで非メタリックカラー顔料は無機顔料、例えば二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛およびカーボンブラック、ならびに有機顔料、例えばフタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーンを含む。
【0037】
上記ベースコート組成物中の任意の成分は、表面コーティングを処方する分野で周知のもの、例えば界面活性剤、流れ制御剤、揺変化剤、充填剤、抗気泡発生剤、有機共溶媒、触媒および他の慣習的な補助物を含む。これらの物質および適切な量の例は、米国特許第4,220,679号、第4,403,003号、第4,147,769号および第5,071,904号に記載され、上記特許は本明細書中で参考として援用する。
【0038】
上記ベースコート組成物は、任意の慣習的なコーティング技術、例えば、ブラシによる塗布、スプレーによる塗布、浸漬による塗布またはフローコーティングにより基材に塗布され得るが、スプレーによりもっともよく塗布される。エアスプレー、エアレススプレーおよび静電スプレーのための通常のスプレー技術および装置は、手動の方法または自動の方法のどちらかにおいて、使用され得る。
【0039】
上記ベースコートの上記基材への塗布の間、上記基材上に形成する上記ベースコートの膜の厚さは、しばしば0.1〜5ミル(2.54〜約127マイクロメートル)、または0.1〜2ミル(約2.54〜約50.8マイクロメートル)の範囲にわたる。
【0040】
上記基材上の上記ベースコートの膜の形成後、上記ベースコートは硬化され得、または代わりに乾燥する工程を与えられ得、ここで溶媒は、加熱または空気乾燥の時間により、上記クリアーコートの塗布前に、上記ベースコート膜より追い出される。適切な乾燥条件は、特定のベースコート組成物に依存し、および上記組成物が水媒介であれば周囲湿度に依存するが、しばしば75°F〜200°F(21℃〜93℃)の温度において、1〜15分の乾燥時間が適切である。
【0041】
上記ベースコーティング組成物の固体含有量は、しばしば一般的に15〜60重量%または20〜50重量%の範囲にわたる。
【0042】
代わりの実施形態においては、上記ベースコートが塗布された後(および所望であれば、硬化された後)、クリアートップコートの多層が上記ベースコート上に塗布され得る。これは、一般的に「クリアーオンクリアー(clear−on−clear)」塗布として言及される。例えば、慣習的な透明のコートの1つ以上の層は、上記ベースコート上に塗布され得、そしてその上に上記に記載のタイプの透明コーティング組成物の1つ以上の層が塗布され得る。あるいは、透明コーティングの1つ以上の層は、中間のトップコートとしての上記ベースコート上に塗布され得、そしてその上に1つ以上の透明コーティングが塗布され得る。
【0043】
結果として、本発明のある方法は、(a)第1のコーティング組成物を基材上に塗布する工程、次に(b)第2のコーティング組成物を上記第1のコーティング組成物の少なくとも一部の上に塗布する工程(ここで上記第2のコーティング組成物は、膜形成樹脂、硬化触媒、および上記膜形成樹脂に分散した多数の粒子を含む)、(c)上記第2のコーティング組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程、および次いで(d)上記第2のコーティング組成物を後硬化させる工程、を含む。本発明の上記方法において、工程(c)と(d)との間、および工程(d)の後に、上記第2のコーティング組成物はきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングの形態で存在する。
【0044】
上記の記述より認識されるべきであるように、本発明はまた、基材に関し、この基材はTPO基材のようなプラスチック基材を含み、本発明の方法によって生成されたコーティングにより少なくとも部分的にコートされる。
【0045】
さらに、上記の記述より認識されるべきであるように、本発明はまた、製造物品に関し、この製造物品はきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングで少なくとも部分的にコートされた表面を有し、上記コーティングは部分的に架橋された膜である。ある実施形態において、上記製造物品は、自動車の部品またはコンポーネント、例えば自動車の外部部品または外部コンポーネント、例えばバンパー、計器盤、ミラーハウジング、ドアハンドル、フェンダー照明(fender flare)、外装材、スポイラー、ガスキャップカバーおよび類似のものを含む。
【0046】
以下の実施例は、本発明を説明し、これは本発明を詳細に限定するように考慮されない。実施例において、ならびに本明細書を通して、すべての部および割合は他に示されていない場合、重量によるものである。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
クリアー膜形成組成物を、以下の成分を、示された順に撹拌して、一緒に混合することにより調製した。
【0048】
【化2】

Ciba Additivesより市販のUV吸収剤。
全量で225部のDowanol PM(登録商標)(プロピレングリコールメチルエーテル、Dow Chemical Co.より市販)をゆっくり室温で1482部の水中コロイドシリカ20%溶液(Nissan ChemicalよりSNOWTEX O(登録商標)として市販)に加えた。この混合物を、温度計、滴下ろうとおよび減圧蒸留器具を有する適切な反応容器中で50℃まで加熱した。上記混合物が50℃に達すると、反応容器中の圧力を約60〜100mmHgまで減圧して蒸留し、そして追加の1442部のDOWANOL PM(登録商標)を上記反応混合物にゆっくり加えた。全量で2162部の留出分を除去し、上記反応容器中の内容物を約30%固体にした。4.9部のポリ(ブチルアクリレート)を次に上記反応混合物に加えた。395部のテトラオール官能基性シロキサン(US6387519に記載)と296部のn−プロピルアルコールを混合し、そして次にこの混合物を上記反応容器の内容物に約1時間かけて加えた。そして全量で約460部の溶媒を減圧蒸留により除去した。最後に、343部のメチルアミルケトンを上記反応容器の内容物に約15分かけて加え、343部の留出物を続いて減圧蒸留により上記反応混合物より除去した。最終反応混合物は、徐々に冷まされ、ならびに適切な容器に注がれた。この最終生成物はわずかに濁った溶液で、58%の固形物(測定による)および<AのGardner−Holt粘性を有することが分かった。
アクリルポリオール:34.8% ヒドロキシエチルメタクリレート/23.4% 2−エチルヘキシルメタクリレート/20.8% 2−エチルヘキシルアクリレート/20% スチレン/1% メタクリル酸−− 60%固形物(n−ブチルアセテートおよびメチルエーテルプロピレングリコールアセテート中)、Mwおよそ6700。
ポリエステルポリオール:23% 1,6ヘキサンジオール/18.6% トリメチロールプロパン/8.3% トリメチルペンタンジオール/18.5% アジピン酸/31.8% 4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物−−80%固形物(n−ブチルアセテート)、Mwおよそ5000。
Ciba Additivesより市販のかさ高いアミン光安定剤。
R812ヒュームドシリカ(Degussaより市販)のアクリルポリオール(40% ヒドロキシプロピルアクリレート/20% スチレン/19% n−ブチルアクリレート/18.5% n−ブチルメタクリレート/2% アクリル酸/0.5% メチルメタクリレート、Mwおよそ7000)中分散物;分散物は7.7%のシリカ、33.5%のアクリルポリオール、58.8%の溶媒を含む。
BYK−Chemieより市販の流れ添加剤(flow additive)。
BYK−Chemieより市販の流れ添加剤。
Bayerより市販のポリイソシアネート。
【0049】
サンプルEは市販の2つの構成要素よりなるウレタンクリアーコートであった(TKU2000、PPG Industries,Inc.より市販)。
【0050】
サンプルAおよびサンプルEを、Sequel 1440 TPO(熱可塑性ポリオレフィン)(Custom Precisionより市販)板上にスプレーにより塗布し、1.5ミルと1.7ミルとの間の厚さの乾燥した膜を完成した。上記クリアーコートされた板を、250°Fにセットした対流オーブン内で表1に示された時間で焼く前に、周囲温度に10分置いた。室温まで冷ました後、上記クリアーコートは、Tg(ガラス転移温度)および架橋密度の測定のために、上記TPO板から連続したフリーの膜として取り除かれた。初期のフリーの膜(同日)および後硬化したフリーの膜(7日)の結果を、表1に示す。Tgおよび架橋密度(10モル/cc)を、TA Instruments model 2980 DMTAを用いて、膜伸張性モード(tensile film mode)で、大きさが20ミクロンで、周波数が1Hzで、温度サイクルが−50〜150℃で、3℃/分の速度で、およびサンプルサイズが15×6.5mm×膜の厚さで、測定した。
【0051】
さらに、MPP4100D(接着促進剤、PPG Industries,Inc.より市販)を、Sequel 1440板にスプレーにより塗布し、0.2〜0.4ミルの厚さの乾燥した膜を完成した。上記接着促進されたパネルを周囲状態に10分置いた後、2つの構成要素からなる溶媒媒介ブラックベースコート(TKPS8555、PPG Industries,Inc.より市販)を、上記MPP4100Dコートされたパネルにスプレーにより塗布し、0.9〜1.1ミルの厚さの乾燥した膜を完成した。上記ベースコートされたパネルを周囲状態に4分置いた後、サンプルA〜Eを上記ベースコートされたパネル上にスプレーにより塗布し、1.5〜2.0ミルの厚さの乾燥した膜を完成した。上記クリアーコートされたパネルを周囲温度に10分置いた後、上記パネルを250°Fにセットした対流オーブン内で10分焼いた。テストパネルに対し、前述のようにきず耐性試験を行った。このきず耐性の結果を表1および表2に示す。
【0052】
【化3】

【0053】
【化4】

表1において、250°Fでたった10分焼いた後に、本発明のサンプルAは、初期および後硬化より7日後の両方において、すぐれたきず耐性を有し、後硬化後のTgおよび架橋密度の測定値に対する初期の上記測定値より示されるように、完全に硬化した状態に近くないのにもかかわらず、初期にすぐれたきず耐性を示している、ということは注目される。対照的に、250°Fで40分焼いた後に、上記市販のサンプルEが、後硬化後のTgおよび架橋密度の測定値に対する初期の上記測定値より示されるように、ほとんど完全に硬化したにもかかわらず、著しく悪い初期のおよび後硬化後のきず耐性を有した。
【0054】
表2において、250°Fで10分という短時間で焼いた場合、サンプルA(無機粒子および触媒の両方を含む)は、初期および後硬化より7日後の両方において、良好なきず耐性を有する、ということは注目される。サンプルB(粒子を含み、触媒を含まない)は良好なきず耐性を有したが、粒子および触媒の両方を含むサンプルAよりわずかに悪かった。サンプルC(粒子も触媒も含まない)は、サンプルAおよびサンプルBの両方よりもかなり悪い初期のおよび後硬化後のきず耐性を有する。サンプルD(触媒を含み、粒子を含まない)はサンプルAに比べて著しく悪い初期のおよび後硬化後のきず耐性を有する。
【0055】
発明に対する変更は、上記の記載において開示された内容から逸脱することなく、行われ得る、ということは当業者によって容易に認識される。このような変更は、特許請求の範囲がそれらの言葉によって別なように述べられていない限り、上記特許請求の範囲中に含まれるようにみなされる。従って、本明細書に詳細に記載された特定の実施形態は、例示のみであり、ならびに添付された特許請求の範囲ならびにそれらの任意のおよびすべての等価のものの全体の範囲を与えられる本発明の範囲を限定しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを生成するのに必要な時間を短縮する方法であって:
(a)該基材上にコーティング組成物を塗布する工程、次に
(b)該組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程、
ならびにさらに
(c)上記コーティング組成物を後硬化させる工程、
を含み、
ここで工程(b)と工程(c)との間に、および工程(c)の後に、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが上記基材上に存在する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、上記基材がプラスチック基材を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、上記プラスチック基材が熱可塑性ポリオレフィンを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、上記コーティング組成物が、膜形成樹脂、硬化触媒、および該膜形成樹脂中に分散した多数の粒子を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、上記膜形成樹脂が、(i)反応性官能基を含むポリマー、および(ii)該ポリマーの該反応性官能基と反応性のある官能基を有する硬化剤を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、上記反応性官能基を含むポリマーがヒドロキシル含有アクリルコーポリマーおよび/またはヒドロキシル含有ポリエステルポリマーを含む、方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、上記粒子が、ポリマー性の無機素材および非ポリマー性の無機素材、ポリマー性の有機素材および非ポリマー性の有機素材、複合素材、またはこれらの混合物より選択された素材より形成される、方法。
【請求項8】
請求項4に記載の方法であって、上記粒子なしで硬化したときの上記膜形成樹脂の表面張力よりも低い表面張力を有するように、上記粒子が化学的に修飾される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、上記粒子が、以下の構造:
【化1】

を有する化合物の付加によって修飾されており、
ここで、Fは官能基を含む部分であり;Zは付加に対する上記粒子の上記表面張力を減少する部分であり;ならびにLはFおよびZをつなぐ基である、方法。
【請求項10】
請求項4に記載の方法であって、上記組成物が部分的に架橋したコーティングの形態であるときにきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを生成するのに十分な量で、上記粒子が上記コーティング組成物中に存在する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、上記粒子が、上記コーティング組成物の全固体重量を基準として、上記コーティング組成物中に0.01〜20重量%に及ぶ量で存在する、方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法であって、上記組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する上記工程が、上記コーティング組成物を短縮熱的焼付けにさらすことにより達成される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、上記短縮熱的焼付けが、完全に架橋したコーティングを生成するのに必要な保持時間よりも少なくとも25%短い保持時間を有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、上記短縮熱的焼付けが、コートされた基材を、少なくとも180°Fの基材表面温度で10分間以下で熱する工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、上記短縮熱的焼付けが、上記コートされた基材を、少なくとも180°Fの基材表面温度で2〜6分間熱する工程を含む、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、上記コーティング組成物を後硬化させる上記工程が、上記コートされた基材を周囲状態にそのままの状態にさせる工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法によって生成されたコーティングで少なくとも部分的にコートされた基材。
【請求項18】
基材上にきず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングを生成するのに必要な時間を短縮する方法であって:
(a)該基材上にコーティング組成物を塗布する工程であって、ここで該コーティング組成物は、膜形成樹脂、硬化触媒および該膜形成樹脂中に分散した多数の粒子を含む工程、次に
(b)該組成物中の架橋可能な構成要素を部分的に架橋する工程、
ならびにさらに
(c)該コーティング組成物を後硬化させる工程、
を含み、
ここで工程(b)と工程(c)との間に、および工程(c)の後に、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングが該基材上に存在する、方法。
【請求項19】
部分的に架橋した膜である、きず耐性および/または引っ掻き耐性を有するコーティングで、少なくとも部分的にコートされた表面を有する製造物品。

【公表番号】特表2009−518179(P2009−518179A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544431(P2008−544431)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/046366
【国際公開番号】WO2007/067523
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】