説明

ざ瘡を治療するための光線力学療法

本発明の方法は、尋常性ざ瘡の光線力学療法を含む。この方法は、レムテポルフィンなどの疎水性緑色ポルフィリン、ポリエチレングリコール、及びオレイルアルコールやTRANSCUTOL(商標)などの皮膚浸透増強剤を含む、光線感作物質組成物を、ざ瘡に冒された皮膚に外用投与し、その後この皮膚を、光線感作物質を活性化する波長のエネルギーに曝露することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線力学療法(PDT)でざ瘡を治療する方法に関する。ざ瘡、特に尋常性ざ瘡を治療するための、PDT及び適切な光線感作物質の使用が企図され、開示される。
【背景技術】
【0002】
ざ瘡は、多くの人々に発症する一般的な皮膚状態である。ざ瘡は、しばしば本質的には一時的なものであるが、心理的及び/又は肉体的な傷跡のように、長期的な影響をもたらす可能性がある。ざ瘡の臨床症状には、軽い病変である面皰、丘疹、膿疱、及びより重篤な病変である小結節が含まれる。ざ瘡の病因は多因子性である。そのような病因には、ケラチノサイトの増加、落屑、皮脂生成の増加を伴う機能亢進性の皮脂腺、瘡プロピオニバクテリウム(Propionibacterium acnes)の増殖、及び局所的な炎症応答が含まれる可能性がある。
【0003】
ざ瘡には、異なる病因及び時として多数の病因を標的とした、数多くの様々な療法がある。レチノイドや過酸化ベンゾイルなどの外用薬剤は、軽症から中程度のざ瘡の治療に使用することができ、面皰を除去し、細菌を死滅させ、且つ炎症を低減できることが知られている。外用的又は経口的に与えられた抗生物質は、軽症から中程度のざ瘡の治療に使用することができる。420nmの青色光や1450nmのサーマルレーザなど、光をベースにした治療も、軽度から中程度のざ瘡の治療に使用することができる。Accutane(商標)は、重篤で手に負えない結節性ざ瘡を治療することが認められた、経口投与されるレチノイン酸である。これは、面皰を除去し、炎症を軽減し、皮脂腺の増殖、分化、及び脂質生成を阻害する際に、効き目をもたらすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、現在利用可能な療法に伴う著しい欠点がある。外用療法は、軽度から中程度のざ瘡に対してごくわずかな効果しかなく、局所刺激を伴う可能性がある。抗生物質の使用は、薬物耐性細菌の発生を伴う。Accutaneは、既知の催奇性薬剤であり、うつ病のリスクの増加、血中脂質の増加、及び著しい粘膜皮膚の有害作用を含めた多数の著しい全身毒性に関係する。したがって、有効性が高く、安全プロファイルを有する新規の治療手法が必要である。
【0005】
光線力学療法(PDT)が、ざ瘡の可能な治療法として提案されている。例えば米国特許第5095030号(Levy)は、ざ瘡を、PDTで治療することができる可能な徴候として述べている。ざ瘡を、PDTでの治療に関して可能な徴候として述べているその他の開示には、WO03/86460(Geronemus)、WO03/39597(Boch)、WO02/13788(Anderson)、US2001/0023363(Harth)、米国特許第6645230号(Whitehurst)、米国特許第6626932号(Whitehurst)、及び米国特許第5955490号(Kennedy)が含まれる。より詳細な考察は、"Topical AL-A-Photodynamic Therapy for the Treatment of Acne Vulgaris" J. Invest Dermatol 115: 183-192, 2000に見出すことができる。この論文は、尋常性ざ瘡を治療するための、光線感作物質ALAの使用について論じている。しかしこの論文は、紅斑、浮腫、並びに疼痛、灼焼、及びそう痒の感覚を含む、治療中及び治療後に引き起こされる重大な有害事象について、論じている。
【0006】
上記文献の引用は、前述の事項のいずれかが関連する従来技術であることを認めるものではない。日付に関するすべての記述、及びこれらの文献の内容に関するすべての表示は、出願人が入手可能な情報に基づいており、これら文献の日付又は内容の正確さに関していかなる承認も行うものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、尋常性ざ瘡を治療する光線力学的方法に関する。この方法は、
(i)尋常性ざ瘡に冒されている組織に、光線感作物質を送達するステップと、
(ii)この組織を、光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに曝露するステップと
を含む。
【0008】
理論に拘泥するものではないが、PDTは、少なくとも2つのメカニズムを通して、ざ瘡が治療されるよう作用すると考えられる。第1に、PDTには抗菌作用があり、第2に、皮脂腺のサイズ及び/又は活性を低下させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、尋常性ざ瘡の光線力学的治療を含む。この方法では、ざ瘡に冒された皮膚に光線感作物質を投与し、その後、光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、この皮膚を曝露する。この方法は、ざ瘡になりやすいことが懸念されている皮膚の、予防的治療として使用することもできる。したがって、本明細書で使用する「ざ瘡の症状を示す」という句には、病変を有する皮膚と、将来病変が発生しやすいと考えられる皮膚とが含まれる。この方法は、軽度、中程度、又は重度のざ瘡、及びすべてのタイプのざ瘡の病変を治療するのに使用することができる。治療を受ける、ざ瘡に冒された被験者は、少なくとも12歳であることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様では、この方法は、
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリンと溶解剤とを含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、この組織を曝露するステップと
を含む。
【0011】
意外なことに、緑色ポルフィリンと溶解剤とを含む外用製剤は、毛包及び皮脂腺に浸透することができるが、その他の周囲組織では低レベルでしか見出せないことがわかった。また、ALAなどのその他の光線感作物質と比較した場合、緑色ポルフィリンは、有害事象が驚くほどないこともわかった。理論に拘泥するものではないが、この選択性は、光線力学療法に対する望ましくない皮膚反応を回避すると考えられる。好ましい光線力学的治療法、組成物、及びパラメータについて、以下により詳細に記載する。
【0012】
別の態様では、この方法は、
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、光線感作物質を含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)この皮膚から、過剰な組成物を除去するステップと、
(iii)光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、この組織を曝露するステップと
を含む。
【0013】
意外なことに、過剰な光線感作物質の除去は、治療の効力を損なわず、望ましくない副作用を回避するのを助けることができることがわかった。好ましい光線力学的治療法、組成物、及びパラメータについて、以下により詳細に記載する。過剰な組成物は、任意の適切な方法によって除去することができる。好ましい方法には、乾燥した布での拭取り、湿ったタオレットでの拭取り、アルコールによる洗浄、石鹸成分を含まない洗浄剤による洗浄、刺激性の少ない石鹸洗浄剤による洗浄、及びこれらの組合せが含まれる。過剰な組成物を除去する好ましい方法は、Clinidermなどの刺激性の少ないシャンプーで、皮膚を洗浄することである。
【0014】
また、過剰な組成物を除去することによって、活性化エネルギーが標的組織(例えば皮脂腺)に到達するのを妨げる可能性のある「影」を、光線感作物質が過剰に生成するのを回避できると考えられる。
【0015】
別の態様では、この方法は、
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリンと溶解剤とを含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、この組織を曝露するステップと
を含み、この治療を、ざ瘡病変の総数が10%以上減少するまで繰り返す。病変の総数は、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%以上減少することが好ましい。病変の総数は、治療開始前に、複数の試験領域のうち1つを予め定義することによって評価することができる。試験領域内で、病変のカウント(非炎症性、炎症性、及び合計)を行う。試験領域内での病変のサイズも記録する。試験領域の写真も撮る。代表例とするため、患者1人当たり、いくつかの試験領域を選択するが、これらは、その患者の病変の解剖学的分布に応じて変わり得る。試験領域について、光線力学療法の終了から1日後、1週間後、2週間後、及び1カ月後に再評価する。次いで病変カウント数の減少を計算する。好ましい光線力学的治療法、組成物、及びパラメータについて、以下により詳細に記載する。
【0016】
別の態様では、この方法は、
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚を、光線力学的に治療するステップと、
(ii)外用レチノイド、経口レチノイド、抗生物質(特に外用)、経口避妊薬、外用抗アンドロゲン、青色光療法、レーザ療法、又はこれらの組合せで、同じ患者を治療するステップと
を含む。
【0017】
理論に拘泥するものではないが、PDTは、その他の療法を組み合わせたときに、有益な効果を発揮すると考えられる。PDTと併用するのに適した療法の非限定的な例には、タザロテン、イソトレチノイン、クリンダマイシン、アトリゾン(Atrix Labs社製)、MBI594AN(Micrologix社製)、Smoothbean 1450 nmレーザ療法、及び青色光線療法が含まれる。
【0018】
この態様の好ましい実施形態は、PDT治療と、レチノイド治療、特に外用レチノイド治療とを併用することである。
【0019】
この態様の一実施形態は、光線感作物質と、レチノールなどの、ざ瘡の治療で使用される少なくとも1種のその他の外用薬剤とを含んだ組成物を含む。このように、複数の活性薬剤を同時に送達することができ、同じ領域に2種の組成物を施用する必要が回避される。
【0020】
好ましい光線力学的治療法、組成物、及びパラメータについて、以下により詳細に記載する。
【0021】
別の態様では、この方法は、
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリンと溶解剤とを含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、この組織を曝露するステップと
を含み、
活性化エネルギーは、発光ダイオードによって少なくとも部分的に供給されるものである。LEDは、治療すべき皮膚の輪郭をいくらか辿るように配列することが好ましい。好ましい配置構成は、適切に位置決めすることができるように移動可能な、多数のフラットパネルのLEDである。上述のように、PDTは、付加的な効力上の利益が得られるように、青色光線療法と併用することができる。したがって、本発明のこの態様の一実施形態は、赤色光(例えば600〜750nm)及び青色光(例えば390〜450nm)の両方を供給するLEDデバイスによって送達される、活性化エネルギーを含む。好ましい実施形態は、約420nm及び約690nmの光を供給する。好ましい光線力学的治療法、組成物、及びパラメータについて、以下により詳細に記載する。
【0022】
別の態様では、この方法は、
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリンを含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、この組織を曝露するステップと、
(iii)別の非緑色ポルフィリン光線感作物質で、この組織を光線力学的に治療するステップと
を含む。
【0023】
好ましい光線力学的治療法、組成物、及びパラメータについて、以下により詳細に記載する。
【0024】
光線力学療法
本明細書の光線感作物質は、標的組織に外用送達することが好ましい。外用送達によって、光線感作物質の全身送達に関連した光感受性問題のいくつかが回避される。光線感作物質を外用施用する場合、この物質は、ざ瘡病変のみに施用することができ、又は好ましくは、ざ瘡病変とその周囲の冒されていない組織に施用することができる。
【0025】
任意の適切な光線感作剤又はその薬剤の混合物を本明細書で使用することができる。典型的な場合、これらの薬剤は、400nmから900nmの範囲、好ましくは600nmから750nmの範囲内の放射線を吸収することになる。
【0026】
本明細書で使用する「光線感作物質」又は「光線感作剤」は、電磁放射線、最も一般的には可視スペクトル内の電磁放射線を吸収し、且つそれを別の形のエネルギーとして、最も一般的には反応性酸素種、及び/又は熱放出エネルギーとして放出する化合物を意味する。化合物は、ヒトに無毒性であること、又は無毒性組成物に配合可能であることが好ましい。化合物は、それが光分解した形であるものも、無毒性であることが好ましい。光感受性化学物質を非包括的に列挙したものを、Kreimer-Birnbaum, Sem. Hematol. 26:157-73, 1989と、Redmond及びGamlin, Photochem. Photbiol. 70(4): 391-475 (1999)に見ることができ、その両方を参照により本明細書に援用する。
【0027】
様々な好ましい合成光線感作物質及び天然に生ずる光線感作物質があり、そのような物質には、プロドラッグ、例えばプロポルフィリン5−アミノレブリン酸(ALA)及びその誘導体、ポルフィリン及びプロフィリン誘導体、例えばクロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、フタロシアニン及びナフタロシアニン、及びその他のテトラ−及びポリ−大環状化合物及び関連する化合物(例えばピロフェオホルビド、サフィリン、及びテクサフィリン)及び金属錯体(スズ、アルミニウム、亜鉛、ルテチウムなどのよるものであるが、これらに限定するものではない)などが含まれるが、これらに限定するものではない。テトラヒドロクロリン、プルプリン、ポルフィセン、及びフェノチアジニウムも本発明の範囲内である。その他の適切な光線感作物質には、WO−A−97/19081、WO−A−99/45382、及びWO−A−01/40232に記載されているようなバクテリオクロロフィル誘導体が含まれる。好ましいバクテリオクロロフィルは、パラジウム−バクテリオフェオホルビドWST09(Tookad(商標))である。光線感作物質は、プロポルフィリン、ポルフィリン、及びこれらの混合物から選択することが好ましい。プロドラッグのいくつかの例には、Levulan(商標)などのアミノレブリン酸と、WO−A−02/10120に記載されているような、Metvix(商標)、Hexvix(商標)、及びBenzvix(商標)として入手可能なアミノレブリン酸エステルが含まれる。ジヒドロ又はテトラヒドロポルフィリンのいくつかの例は、EP−A−337601又はWO−A−01/66550に記載されており、Foscan(商標)(テモポルフィン)として入手可能である。2つ以上の光線感作物質の組合せを本発明の実施の際に使用することができる。
【0028】
ある実施形態では、光線感作物質は、活性化エネルギーへの暴露によって光退色するものから選択することが好ましい。
【0029】
光線感作物質の特に強力な群が、米国特許第5171749号(参照により本明細書に援用する)に詳細に記載されている緑色ポルフィリンとして知られている。「緑色ポルフィリン」という用語は、モノヒドロベンゾポルフィリンが得られるように、ディールス−アルダータイプの反応においてポルフィリン核とアルキンとを反応させることにより得られたポルフィリン誘導体を指す。得られたこのようなマクロピロール化合物を、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)と呼ぶが、これは、米国特許第5171749号に示されるように、様々な構造類似体を有する合成クロリン様ポルフィリンである。典型的な場合、緑色ポルフィリンは、プロトポルフィリン−IX環系に存在する2つの利用可能な共役非芳香族ジエン構造(環A及びB)の一方のみで反応を促進させる条件下、アセチレン誘導体とプロトポルフィリンとのディールス−アルダー反応によって得られたテトラピロールポルフィリン誘導体の群から選択される。金属陽イオンが、環系の中心の1個又は2個の水素に取って代わる、Gpの金属化した形も、本発明の実施の際に使用することができる。本発明で有用な緑色ポルフィリン化合物の調製については、米国特許第5095030号(参照により本明細書に援用する)に詳細に記載されている。好ましい緑色ポルフィリンには、ベンゾポルフィリン誘導体ジエステル二酸(BPD−DA)、一酸環A(BPD−MA)、一酸環B(BPD−MB)、又はこれらの混合物が含まれる。これらの化合物は、良好な組織浸透性を有する約692nmの波長で光を吸収する。式BPD−MA及びBPD−MBの化合物は、均質で、C環カルバルコキシエチルのみ又はD環カルバルコキシエチルのみが加水分解され、或いはC及びD環置換基の加水分解物でよい。いくつかのその他のBPD B環誘導体も、本発明で使用することができる。これらの誘導体は、以下の一般式を有する。
【化1】

【0030】
上式で、Rはビニルであり、R及びRはメチルであり、nは2である。X、X、及びXは、下記の表に列挙する。
【0031】

【0032】

【0033】
好ましい光線感作物質には、ベルテポルフィン、ベンゾポルフィリン誘導体一酸(BPD−MA)、レムテポルフィン(A-EA6と呼ばれる米国特許第5929105号に記載のQLT0074)、及びB3(米国特許第5990149号に記載されるように)である。非常に好ましい光線感作物質は、下記の構造を有するレムテポルフィンを含む。
【化2】

【0034】
さらに、光線感作物質は、標的化が促進されるように様々なリガンドに結合することができる。これらのリガンドは、レセプター特異的ペプチド及び/又はリガンド、並びに免疫グロブリン、及びこれらの断片を含む。好ましいリガンドは、一般に抗体、及びモノクローナル抗体、並びに双方の免疫反応のある断片を含む。
【0035】
二量体形態の緑色ポルフィリンと、二量体又は多量体形態の緑色ポルフィリン/ポリフィリンの組合せを使用することができる。本発明の二量体及びオリゴマー化合物は、ポルフィリン自体の二量体化及びオリゴマー化に関する反応に類似した反応を使用して調製することができる。緑色ポルフィリン又は緑色ポルフィリン/ポルフィリン結合は、直接作製することができ、或いはポリフィリンを結合した後に、末端ポルフィリンのどちらか又は両方のディールス−アルダー反応を行って、それらを、対応する緑色ポルフィリンに変換することができる。
【0036】
上述の光線感作剤の他、光線感作物質のその他の例には、米国特許第5283255号、第4920143号、第4883790号、第5095030号、及び第5171749号に開示されている緑色ポルフィリンと、米国特許第5880145号及び第5990149号に論じられている緑色ポルフィリン誘導体とが含まれるが、これらに限定するものではない。典型的な緑色ポルフィリンのいくつかの構造が、上記引用した特許に示されており、またこれらは、化合物の生成の詳細についても示している。
【0037】
本発明の製剤を含有する光線感作物質は、全身に又は局所的に投与することができ、単独で又は混合物の成分として使用することができる。投与は、局所的であることが好ましい。光線感作物質の投与経路は、外用、皮内、静脈内、経口でよく、又は植込錠の使用によるものでよい。投与経路は外用であることが好ましい。例えば光線感作物質は、外用ローション剤、外用クリーム剤、外用ペースト剤、外用懸濁剤、皮内注射、又は植込錠を介したものを含むがこれらに限定されない手段によって、投与することができる。外用ローション剤、外用クリーム剤、及び外用ペースト剤が好ましい。
【0038】
光線感作物質は、様々な組成物に配合することができる。これらの組成物は、従来の送達ビヒクル及び賦形剤など、等張化剤、pH調節剤、溶媒、溶解剤、染料、ゲル化剤、増粘剤、及び緩衝液、並びにこれらの組合せを含めた、意図される目的に適切な任意の成分を含むことができる。瞬時の光線感作物質と共に使用するのに適した医薬品製剤は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciencesで見ることができる。本明細書の好ましい製剤は、皮脂腺に光線感作物質を向けることが可能な医薬品賦形剤又は担体を含む。光線感作物質との使用に適した賦形剤には、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロールなどが含まれる。
【0039】
典型的な場合、光線感作物質は、これを適切な温度で、例えば周囲温度で、且つ適切なpH、及び所望の純度で、1種又は複数の生理的に許容される担体と、即ち用いられる投与量及び濃度で無毒性の担体と混合することによって配合される。
【0040】
好ましい製剤は、WO03/39597に記載されている。製剤は、皮膚浸透増強剤を含むことが好ましい。光線感作剤の送達を補助するのに適した任意の皮膚浸透増強剤を本明細書で使用することができる。皮膚浸透増強剤のリストは、"Pharmaceutical Skin Penetration Enhancement" (1993) Walters, K. A. ed.; Hadgraft, J. ed-New York, N.Y. Marcel Dekker及び"Skin Penetration Enhancers cited in the Technical Literature" Osbourne, D. W. Pharmaceutical Technology, 1997年11月, pp59-65であって、いずれも参照により本明細書に援用するものに見出すことができる。疎水性の皮膚浸透増強剤が、本明細書の製剤で使用するのに好ましい。好ましい皮膚浸透増強剤は、グリコールエーテル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリコールエステル、グリセリド、アゾン、ポリソルベート、アルコール、ジメチルスルホキシド、及びこれらの混合物から選択される。本明細書で使用するのに好ましい皮膚浸透増強剤には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(商標))、オレイルアルコール、オレイン酸、アゾン(ラウロカプラム、又は1−n−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、脂肪及び脂肪酸のプロピレングリコールモノ−及びジエステル(例えば、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート)、トリグリセリド及び脂質(例えば、リノール酸)、マクロゴールグリセリド又はポリエチレングリコールグリセリド及び脂肪エステル(例えば、ステアロイルマクロゴールグリセリド、オレオイルマクロゴールグリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリド、オレイルマクロゴール−6−グリセリド、ラウロイルマクロゴール−6グリセリド)、ポリエチレングリコールのグリセリド及び脂肪酸エステル(例えば、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、カプリル−カプロイルマクロゴールグリセリド、オレオイルマクロゴールグリセリド)、ポロオキシ40硬化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、ポリソルベート80(Tween 80)、ドデシルアザシクロヘプタノン、米国特許第4861764号に記載されているようなSEPA(商標)(例えば、2−n−ノニル−1,3−ジオキソラン)、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutolという商標で、Gattefosse社から入手可能)がより好ましい。
【0041】
製剤は、皮膚浸透増強剤を、好ましくは約0.1重量%から約99重量%含み、好ましくは約0.1重量%から約90重量%、より好ましくは約5重量%から約90重量%、さらに好ましくは約15重量%から約75重量%含む。
【0042】
光線感作物質と皮膚浸透増強剤との比は、全組成物の重量%で表した場合、約1:20から約1:10000であることが好ましく、より好ましくは約1:60から1:300である。
【0043】
光線感作物質は、特にこの光線感作物質が疎水性である場合、溶解することが好ましい。緑色ポルフィリンを含めた、ある光線感作物質を溶解する1つの方法は、リポソーム又はその他の脂質含有複合体への配合によるものである。代替例は、光線感作物質をシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体に溶解することでよい。一部エーテル化したシクロデキストリンが好ましく、そのエーテル置換基は、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又はジヒドロキシプロピル基である。しかし、適切なシクロデキストリンは、本明細書に開示する光線感作剤との使用に適したサイズ及び配座のものであるべきである。
【0044】
ある光線感作物質を溶解するのに適したその他の方法には、DMSO(ジメチルスルホキシド)やポリエチレングリコール(PEG)、又は任意のその他の溶媒などであるがこれらに限定することのない、皮膚組織及び細胞の治療での使用に受入れ可能な溶媒の使用が含まれる。本明細書の製剤は溶解剤を含むことが好ましい。いくつかの溶解剤は、浸透増強剤でもあり、本明細書の製剤は、光線感作物質の溶解剤でもある浸透増強剤を含むことが好ましい。溶解剤は、グリコールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、プロピレングリコール、プロピレングリコール誘導体、ポリソルベート(例えばTween(商標))、脂肪アルコール、芳香族アルコール、プロピレングリコール、グリセロール、油、界面活性剤、グルコシド、及びこれらの混合物から選択することが好ましい。溶解剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標))、平均分子量が100から5000のポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、セプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、プロピレングリコール、脂肪及び脂肪酸のプロピレングリコールモノ−及びジエステル(例えば、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート)、ベンジルアルコール、グリセロール、オレイルアルコール、鉱油、ラノリン/ラノリン誘導体、皮膚への施用に適したワセリン又はその他の石油製品、脂肪及び脂肪酸のプロピレングリコールモノ−及びジエステル、マクロゴール、マクロゴールグリセリド又はポリエチレングリコールグリセリド及び脂肪エステル(例えば、ステアロイルマクロゴールグリセリド、オレオイルマクロゴールグリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリド、リノレオイルマクゴールグリセリド)、エトキシル化ヒマシ油(例えば、Cremophor−ポリオキシ硬化ヒマシ油)、C−C30トリグリセリド、天然油、グルコシド(例えば、セテアリルグルコシド)、界面活性剤、及びこれらの混合物から選択することがより好ましい。溶解剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標))、オレイルアルコール、及びこれらの混合物から選択することがより好ましい。
【0045】
本明細書の製剤は、溶解剤を、好ましくは約0.1重量%から約99重量%、より好ましくは約1重量%から約75重量%含むことが好ましい。
【0046】
製剤は、20℃で、約50cpsから約50000cpsの粘度を有することが好ましく、より好ましくは約500cpsから約40000cps、さらに好ましくは約5000cpsから約30000cpsである。粘度を調節する必要がある場合、その調節は、粘度調節剤を用いて行うことができる。好ましい粘度調節剤は、ポリエチレングリコール、アクリル酸ベースのポリマー(カルボポールポリマー又はカルボマー)、アリルスクロール又はアリルペンタエリスリトールと架橋したアクリル酸のポリマー(カルボポールホモポリマー)、長鎖(C10−C30)アルキルアクリレートによって変性し、アリルペンタエリスリトールと架橋した、アクリル酸のポリマー(カルボポールコポリマー)、プルロニックとしても知られるポロキサマー(ブロックポリマー;例えば、Poloxamer 124、188、237、338、407)、ワックス(パラフィン、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸グリコール)、硬質脂肪(例えば、飽和C−C18脂肪酸グリセリド)、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、固体アルコール、及びこれらの混合物から選択する。
【0047】
好ましい製剤は、1種又は複数のPEGを含有する。製剤は、平均分子量が約2000以下の、少なくとも1種のPEGを含むことが好ましく、好ましくは約1500以下であり、好ましくは約1000以下であり、好ましくは約800以下であり、好ましくは約600以下であり、好ましくは約500以下であり、好ましくは約400以下である。製剤は、平均分子量が約3000以上の、少なくとも1種のPEGを含むことが好ましく、好ましくは約3350以上であり、好ましくは約3500以上である。製剤は、PEGの混合物を含むことが好ましい。より好ましくは、1種のPEGが、約800以下の平均分子量を有し、1種のPEGが、3000以上の平均分子量を有する。
【0048】
本発明での使用に好ましい製剤は、光線感作物質(特に、緑色ポルフィリン)、PEG200などの低分子量PEG、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol(登録商標))、PEG3350などの高分子量PEG、及びオレイルアルコールなどの脂肪アルコールを含む。
【0049】
本明細書の製剤は、様々なその他の成分を含んでよい。任意の適切な成分を本明細書で使用することができるが、典型的な場合、これら任意選択の成分は、製剤をより審美的に許容可能なものにし、追加の使用上の利益をもたらすことになる。好ましい任意選択の成分の、いくつかの例には、乳化剤、湿潤剤、柔軟剤、界面活性剤、油、ワックス、脂肪アルコール、分散剤、皮膚に利益をもたらす薬剤、pH調節剤、染料/着色剤、鎮痛薬、香料、保存剤、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0050】
使用直前に元に戻す乾燥製剤の調製も、考えられる。乾燥又は凍結乾燥した製剤の調製は、本発明の溶液から都合良く、既知の方法で行うことができる。また本発明の乾燥製剤は、貯蔵可能である。従来の技法によって、穏かな条件下、特に水の共沸除去のために溶媒を添加した後、典型的な場合にはトルエンとエタノールの混合物を添加した後に、溶液を蒸発させて乾燥させることができる。残留物を、その後、例えば何時間か乾燥炉内で、都合良く乾燥させる。
【0051】
外用製剤(軟膏など)を皮膚表面に施用する場合、賦形剤中の光線感作物質の濃度は、好ましくは約0.001から約10%w/wに及び、より好ましくは約0.005から約5%w/wに及び、さらに好ましくは約0.01から約1%w/wの間である。約0.2%w/wの外用製剤を使用することが特に好ましい。
【0052】
光線感作物質の送達と、活性化エネルギーの投与との間には、光線感作物質を標的組織内に分布させるため、十分な時間をとることが好ましい。正確な時間の長さは、光線感作物質のタイプ及び標的組織に応じて変わり得るが、一般に、光線感作物質の送達と活性化エネルギーの投与との間には、好ましくは10秒以上、より好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上とることが好ましい。薬物の送達と活性化エネルギーの送達との間の好ましい時間は、240分以下であり、より好ましくは180分以下であり、さらに好ましくは60分以下である。
【0053】
光線感作物質は、外用組成物中に含めて送達し、5から60分間、皮膚に接触させたままにすることが好ましい。次いで過剰な組成物を、任意の適切な手段により除去する。好ましい手段には、乾燥した布での拭取り、湿ったタオレットでの拭取り、アルコール洗浄、石鹸成分を含まない洗浄剤による洗浄、刺激性の少ない石鹸洗浄剤による洗浄、及びこれらの組合せが含まれる。その後、活性化エネルギーを皮膚に送達することが好ましい。この期間は、光線感作物質及び送達方法に応じて変わる。例えば、外用送達されたレムテポルフィンは、施用したすぐ後に活性化することができるのに対し、ALAは、このALAが代謝して光線感作物質活性成分になる間、猶予時間を必要とする。
【0054】
活性化エネルギーは、光線感作物質の吸収ピークの少なくとも1つに近い波長を含むことが好ましい。この波長は様々な光線感作物質によって異なる。例えば、BPD−MAは689nmに吸収ピークを有し、したがってBPD−MAが、使用される光線感作物質である場合、活性化エネルギーの波長は、689nmであるかこれに近いことが好ましい。光線感作物質ALA−メチルエステル(Metvixという商標で入手可能)は、635nmに吸収ピークを有し、したがって、この光線感作物質を使用する場合、活性化エネルギーは、635nmであるかこれに近いことが好ましい。ALA(Levulanという商標で入手可能)は、417nm及び630nmに吸収ピークを有し、したがって、この光線感作物質を使用する場合、活性化エネルギーは、417nm及び/又は630nmであるかこれに近いことが好ましい。
【0055】
本明細書の活性化エネルギーは、任意の適切な手段によって提供される。一般に活性化エネルギーは、可視光源によって提供されるが、x線、紫外線、又は超音波の供給源を使用できることも提示されている。好ましい供給源には、レーザ、発光ダイオード(LED)、白色灯、アーク灯、標準的な蛍光灯、UV灯、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。発光ダイオードがより好ましい。或いは、光線感作物質によって吸収される波長成分を有する任意の都合良い活性化エネルギー源を使用することができ、例えば、手術室用ランプ、又は任意の明るい光源であって、日光も含めたものを使用できる。市販されている活性化エネルギー源には、CureLight(商標)(Photocure ASA社製、Oslo、ノルウェーから入手可能)、BLU-U(商標)(DUSA社製、Wilmington、MA、米国から入手可能)、PDTレーザ(Diomed社製、Andover、MA、米国から入手可能)、Ceralas(商標)(Biolitec AG社製、Jena、ドイツから入手可能)、Omnilux PDT(商標)(Photo Therapeutics Ltd.社製、Birmigham、英国から入手可能)、及びQ-Beam & Quanta-med(Quantum Devices社製、Barneveld、WI、米国)が含まれる。
【0056】
本明細書で企図される、PDT中に投与される活性化エネルギー線量は、必要に応じて変わり得る。緑色ポルフィリンなど、効力の高い光線感作物質の場合、光の線量は、約25〜100J/cmであることが好ましい。全射線量は、一般に400J/cmを超えるべきではなく、好ましくは200J/cmを超えるべきではなく、より好ましくは100J/cmを超えるべきではないことが、一般に好ましい。好ましい線量は、約0.1J/cmから約200J/cmの間に及び、より好ましくは1J/cmから約100J/cmの間である。例えば、約25、約50、約75、約100、約125、約150、又は約175J/cmである。より好ましい線量は、約25J/cmから約100J/cmに及ぶ。
【0057】
通常、エネルギー源の強度は、約600mW/cmを超えるべきではない。約0.1から約400mW/cmの間の放射照度が好ましい。放射照度は、5から100mW/cmの間であることがさらに好ましい。
【0058】
通常、照射は、約10秒間から約4時間続き、好ましくは約5分から約1時間の間続く。例えば照射時間は、約10、約15、約20、約30、約45、約60、約75、約90、約105、約120、約135、約150、約165、及び約180分を使用することができる。
【0059】
治療される領域は、活性化エネルギーを当てるとき、毛で被覆される範囲が最小限であることが好ましい。したがって、治療される領域において、毛で被覆される範囲がかなりのものである場合、活性化エネルギーを当てる前に、その毛を短く切り又は剃ることが好ましい。理論に拘泥するものではないが、毛は遮蔽機能を有するので、特に可視光波長を使用する場合、毛で被覆される範囲は、標的領域に送達される活性化エネルギー線量に影響を及ぼすと考えられる。その結果、正確な線量をより精密に送達するために、毛で被覆される範囲がほとんどないか又はまったくないことが好ましい。或いは、毛の遮蔽効果は、活性化エネルギーの送達に対する変化で代償することができる。
【0060】
本発明で使用する照射又は露光は、治療されるパッチ部に応じて、身体の狭い領域又は広い領域、或いは顔に向けることができる。身体のどの部分も治療することができるが、ざ瘡は、典型的な場合、顔、胸、及び/又は背中を冒す。治療に先立ち、露光される皮膚に生ずる可能性ある火傷を回避するために、患者の最小紅斑量(MED)の発生に関する露光時間を評価することができる。
【0061】
治療は、必要な限り何回も繰り返すことができる。繰り返す場合、治療頻度は様々でよい。例えば治療は、毎日、2日ごと、週に2回、毎週、2週間ごと、月に2回、4週間ごと、毎月、6週間ごと、8週間ごと、2カ月ごと、年に4回、年に2回、又は毎年、或いはその他の適切な時間間隔で行うことができる。治療は、週当たり複数回繰り返さないことが好ましく、2週間ごとに複数回繰り返さないことがさらに好ましい。治療は、6カ月ことに少なくとも1回繰り返すことが好ましい。3カ月ごとに少なくとも1回が、より好ましい。2カ月ごとに少なくとも1回が、さらに好ましい。治療の全回数は、1回から、必要に応じた多数回にまで及ぶことができる。治療の全回数は、任意の6カ月の期間では1から12回であることが好ましく、1から6回がより好ましく、2から3回がさらに好ましい。
【0062】
本発明による好ましい投与計画は、下記のステップを含む。
a)ざ瘡に冒された皮膚に、光線感作物質を外用投与するステップ。組成物は、光線感作物質及び皮膚浸透増強剤を含むことが好ましい。好ましい光線感作物質は、ベルテポルフィン、レムテポルフィン、及びこれらの組合せから選択される。
b)LEDを介して活性化エネルギーを投与するステップ。活性化エネルギーは、施用してから60分以内に投与することが好ましい。好ましい線量は、15から200J/cmの間である。より好ましい線量には、20、40、80、又は120J/cmが含まれる。
【実施例】
【0063】
本発明の以下の実施形態は、可能な適用例又は原理のいくつかを例示するものであることが理解されよう。当業者なら、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。
【0064】
瘢痕を有し又は瘢痕のない、膿疱性及び嚢胞性の病変の存在によって定義される、中程度から重度のざ瘡に罹っている患者について、レムテポルフィン0.2%軟膏を用いたPDT治療の評価をする。治療前に、PDTで治療される領域を清浄にし、毛、スキンローション、又は化粧品のすべてを除去する。
【0065】
外用光線感作物質軟膏(0.2重量%のレムテポルフィン、50重量%のPEG200、24重量%のTranscutol(登録商標)、10重量%のPEG3350、及び15.8重量%のオレイルアルコールを含む)を約45mg/cmの量でざ瘡に冒された皮膚に直接塗布する。この軟膏を20〜45分間放置して、吸収させる。光治療の直前に、過剰な軟膏を水ベースの皮膚清浄剤で優しく拭き取ることによって除去する。ざ瘡の病変及びそのすぐ周りの領域に689nmのPDT光を、100J/cmの線量で且つ50mW/cmの強度で照射する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリン光線感作物質と溶解剤とを含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)前記光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、前記組織を曝露するステップと
によって、尋常性ざ瘡を治療する方法。
【請求項2】
光線感作物質が、ベルテポルフィン、レムテポルフィン、及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が、20℃で約50cpsから約50000cpsの粘度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、光線感作物質を含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)前記皮膚から過剰な組成物を除去するステップと、
(iii)前記光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、前記組織を曝露するステップと
によって、尋常性ざ瘡を治療する方法。
【請求項5】
光線感作物質が緑色ポルフィリンから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
光線感作物質が、ベルテポルフィン、レムテポルフィン、及びこれらの組合せから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
乾燥した布での拭き取り、湿ったタオレットでの拭き取り、アルコールでの洗浄、石鹸成分を含まない清浄剤での洗浄、刺激性の少ないシャンプーでの洗浄、及びこれらの組合せによって過剰な組成物を除去する、請求項4、5、又は6に記載の方法。
【請求項8】
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリンと溶解剤とを含む組成物を外用施用するステップと、
(ii)前記光線感作物質を活性化することが可能な波長のエネルギーに、前記組織を曝露するステップと
によって、尋常性ざ瘡を治療する方法であって、前記治療を、ざ瘡の病変の総数が30%以上減少するまで繰り返す方法。
【請求項9】
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚を光線力学的に治療するステップと、
(ii)外用レチノイド、経口レチノイド、全身性抗生物質、外用又は局所抗生物質、経口避妊薬、外用抗アンドロゲン、青色光療法、レーザ療法、又はこれらの組合せで、同じ患者を治療するステップと
によって、尋常性ざ瘡を治療する方法。
【請求項10】
光線力学療法が、請求項1から7のいずれか記載の方法によって実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
非光線力学療法が、外用レチノイド、経口レチノイド、外用抗生物質、外用抗アンドロゲン、又はこれらの組合せから選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
非光線力学療法が外用レチノイドから選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
(i)ざ瘡の症状を示す皮膚組織に、緑色ポルフィリンと皮膚浸透増強剤とを含む組成物を、外用施用するステップと、
(ii)赤色光を発するLED及び青色光を発するLEDを含む発光ダイオードデバイスによって供給される光で、前記組織を露光するステップと
によって、尋常性ざ瘡を治療する方法。
【請求項14】
赤色発光LEDが、600〜750nmの範囲内で発光し、青色発光LEDが、390〜450nmの範囲内で発光する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
尋常性ざ瘡を治療する外用薬剤を調製するための、緑色ポルフィリン光線感作物質及び溶解剤の使用であって、前記光線感作物質が、選択された波長のエネルギーによって活性化することが可能である使用。
【請求項16】
光線感作物質が、ベルテポルフィン、レムテポルフィン、及びこれらの組合せから選択される、請求項15に記載の光線感作物質の使用。
【請求項17】
薬剤が、20℃で約50cpsから約50000cpsの粘度を有する、請求項15又は16に記載の光線感作物質の使用。
【請求項18】
光線感作物質が緑色ポルフィリンから選択される、請求項15に記載の光線感作物質の使用。
【請求項19】
波長が、600から750nm又は390〜450nmの範囲内である、請求項15から18のいずれか一項に記載の光線感作物質の使用。

【公表番号】特表2007−522137(P2007−522137A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551694(P2006−551694)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000141
【国際公開番号】WO2005/074987
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(502254176)キュー エル ティー インク. (13)
【氏名又は名称原語表記】QLT Inc.
【住所又は居所原語表記】887 Great Northern Way, Vancouver,British Columbia, Canada V5T 4T5
【Fターム(参考)】