説明

すべり止め塗材

【課題】金属の表面は、雨水でぬれた場合などにはすべりやすく、特に、自転車や運動靴などのゴムとの接面はよりすべりやすい。このため、金属表面が湿潤時でもすべり抵抗が大きく、耐久性(付着、耐水、防錆効果)に優れ、しかも簡単に塗布できる塗材を提供する。
【解決手段】廃タイヤを非燃焼乾留分解して生成したゴム系リサイクルカーボンとクロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分とする溶剤の混合物からなるすべり止め材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、すべりやすい箇所、特に雨水でぬれたときなどですべりを生じる箇所に塗布するすべり止め塗材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の側溝や溝にかけてあるグレーチングやマンホールの蓋などの金属部分が降雨時にすべりを感じることがある。すべり止めとしての方法は、ほとんど溶剤に珪砂などの骨材を混練する二液性の塗料で施工が施されてきたが、摩耗性や作業現場での作業性に問題があった。
【0003】
また、近年、すべり性を高めるため、例えば、グレーチング製造過程においてグレーチングの上端面に複数の溝または凸凹を形成させ滑り止めを形成するなどハード的な工夫が施されている製品が提案されている。
【特許文献1】特開平9−279672公報
【0004】
このように工夫が施されてきているが、作業の効率や金属の表面が雨水にぬれた状態においてはすべり性が低下しやすく、特に、自転車や運動靴などのゴムとの接面はより滑りやすい。
【0005】
このため、金属製の表面であっても雨水にぬれた状態でも、すべり抵抗が大きく、より安全性、耐久性の高い状態を維持することができ、一液性で簡単に塗布できるすべり止め塗材の実現が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ゴム系リサイクルカーボンをクロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分とする溶剤に混合させた溶剤で塗膜を形成した一液性のすべり止め効果と付着性に優れた滑り止め塗材である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この塗材は、クロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分とする溶剤100質量%に対してゴム系リサイクルカーボンの割合が15〜30重量%を混合したすべり止め効果と付着性、防錆効果を特長とする耐久性にも優れたすべり止め塗材である。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明のすべり止め塗材は、一液性であり取り扱いが容易で、すべり性、耐久性に優れていることから、すべりを感じる箇所に簡単に塗布でき、危険性の回避にすべり止め塗材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ゴム系リサイクルカーボンは、これまでリサイクルが難しかった廃タイヤを非燃焼乾留熱分解して生成したカーボンブラックを微粉砕しフィルターを通したカーボンで真比重1.6、かさ比重0.6でクロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分とする溶剤に混入しても凝固することなく混合する。これは、ゴム系リサイクルカーボンは、被膜がないため溶剤となじみやすく分子レベルで変化しやすいことが考えられる。
【0010】
前記カーボンは、粒子径が30μm〜50μmのものとするのが好ましい。平均粒子径
が30μmより小さいとすべり止め効果がうすれ、50μmを超えると粒子径のばらつきや膨張が大きくなりつぶれやすくなることが懸念される。混合の割合は、前記のとおりクロロプレンゴム系溶剤100質量%に対して15〜30重量%である。15重量%以下では膜厚が薄くなり耐久性の問題が生じ、30重量%を超えると付着性や塗布作業性が悪くなる。該カーボンの分析結果は表1の通りである。
【0011】
このすべり止め塗材の塗装作業は、滑りやすい箇所例えばグレーチングの表面に自転車や歩行時の運動靴などが接する面に膜厚0.5〜1mmで十分な効果が発揮できる。塗布に先立って塗装面の汚れを拭き取り、火気厳禁、静電気などに注意し、保護手袋などの着用するよう注意を払うことが必要である。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明のすべり止め塗材は、すべり止め効果と付着性、耐水性、防錆作用に優れることから、より安全性の高い状態を維持することができる。一液性であり乾燥時間も速く指触乾燥時間は5分〜10分で十分である。作業性も容易であり、刷毛やヘラ、ローラーなどの簡単な道具ですべりを生じる箇所に誰でも手軽に使用できる滑り止め塗材である。

【実施例1】
【0013】
本発明の実施例は、クロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分とする溶剤の100質量%に対して該カーボンを23重量%の混合物としたすべり止め塗材である。効果は、表1に示す試験結果のとおり、抵抗係数が乾燥時0.70、湿潤時0.63である。すべり抵抗値は、0.4〜0.9が許容範囲であり、優れた抵抗値である。すべり性を高めている要因に、ゴム系リサイクルカーボンは被膜がないため、粒子が微妙に膨張して強固に固まる性質を持っていることからすべり性効果を高めている。
【0014】
実施例に示すようにこの発明の塗材は、耐久性とりわけ付着性の向上をねらってクロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分にしたことによる効果と、ゴム系リサイクルカーボンの持つ耐熱・耐薬品性、防錆作用による効果が考えられる。
【0015】
エコリサイクルカーボンの分析結果を表1に示した。
【0016】
【表1】

【0017】
実施例による試験結果を表2示した。
【0018】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃タイヤを非燃焼乾留熱分解して生成したゴム系リサイクルカーボンとクロロプレンゴム、アルキルフェノール樹脂を主成分とする溶剤の混合物からなるすべり止め塗材
【請求項2】
塗膜が形成されたすべり止め塗材であって、総重量に対するゴム系リサイクルカーボンの割合が15〜30重量%で混合させ、一液性ですべり止め効果と付着効果を特長とする請求項1記載のすべり止め塗材
【請求項3】
前記ゴム系リサイクルカーボンの粒子径が30μm〜50μmである請求項1または2記載の塗材

【公開番号】特開2009−203297(P2009−203297A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45385(P2008−45385)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(308006117)株式会社オーエイチシー高知 (2)
【Fターム(参考)】