説明

すりもみ装置

【課題】装置を小型化し、消費動力を抑制しつつコンクリート廃材から取出す骨材の品質の向上を図るすりもみ装置を提供する。
【解決手段】すりもみ処理によりコンクリート廃材から骨材を取出す、すりもみ装置1であって、該すりもみ装置はハウジング13と、該ハウジング内にコンクリート廃材を投入するシュート28と、該シュートの下端に固定的に設けられ、下方に突出するすりもみピン33を有するすりもみ部29と、前記シュートの同心下方に設けられた駆動軸16と、該駆動軸の上端部に前記すりもみ部と対峙する様設けられたすりもみテーブル17と、前記駆動軸を介して前記すりもみテーブルを回転駆動させる駆動装置14,15とを具備し、前記すりもみピンと該すりもみピンに対して回転する前記すりもみテーブルとで前記シュートから投入されたコンクリート廃材に第1のすりもみ処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート廃材にすりもみ処理を行い、コンクリート廃材から骨材のみを取出すことで骨材の再利用を図るすりもみ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、天然の良品な骨材の枯渇や、建設リサイクル法の施行により、コンクリート廃材の骨材に付着したモルタルやセメント水和物(フィラー)を除去し、コンクリート廃材の骨材を再利用することが求められている。
【0003】
コンクリート廃材からフィラーを除去して骨材を取出す為には、コンクリート廃材同士をすりもませてコンクリート廃材からフィラーを剥離させるすりもみ処理が必要であり、すりもみ機構を有する装置として、例えば特許文献1に示されるものがある。
【0004】
特許文献1には、円筒状の本体が鉛直に立設され、本体上部側面に接続された供給管よりコンクリート廃材が供給され、該コンクリート廃材は前記本体と同軸に回転自在に支持された回転体の鋼棒により攪拌されてかき混ぜられながら徐々に落下し、コンクリート廃材の外面に付着したモルタル等を剥離させる竪型すりもみ装置が開示されている。
【0005】
然し乍ら、特許文献1の場合、吊下げられた重量のある回転体を回転させる為、回転体の駆動動力が大きくなると共に、充分なすりもみ効率を得るには大きな高低差が必要となる等、装置自体が大型化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−137689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、装置を小型化し、消費動力を抑制しつつコンクリート廃材から取出す骨材の品質の向上を図るすりもみ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、すりもみ処理によりコンクリート廃材から骨材を取出す、すりもみ装置であって、該すりもみ装置はハウジングと、該ハウジング内にコンクリート廃材を投入するシュートと、該シュートの下端に固定的に設けられ、下方に突出するすりもみピンを有するすりもみ部と、前記シュートの同心下方に設けられた駆動軸と、該駆動軸の上端部に前記すりもみ部と対峙する様設けられたすりもみテーブルと、前記駆動軸を介して前記すりもみテーブルを回転駆動させる駆動装置とを具備し、前記すりもみピンと該すりもみピンに対して回転する前記すりもみテーブルとで前記シュートから投入されたコンクリート廃材に第1のすりもみ処理を行うすりもみ装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記すりもみ部は前記すりもみピンの外周側に設けられた円筒状の内周マテリアルガイドと、該内周マテリアルガイドの外周側に設けられた円筒状の外周マテリアルガイドを更に有し、前記内周マテリアルガイドに等間隔で矩形の内周側開口部が複数形成され、前記外周マテリアルガイドに等間隔で矩形の外周側開口部が複数形成され、前記内周マテリアルガイドに対する前記内周側開口部の開口比率、及び前記外周マテリアルガイドに対する前記外周側開口部の開口比率は、第1のすりもみ処理の処理時間に対応して設定されたすりもみ装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記外周側開口部を前記内周側開口部と重ならない様にしたすりもみ装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記駆動軸の半ばに設けられ、該駆動軸を介して前記すりもみテーブルと一体に回転するすりもみコーンを更に具備し、前記すりもみテーブルから落下したコンクリート廃材に対して前記すりもみコーンと前記ハウジングの内壁とで第2のすりもみ処理を行うすりもみ装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記すりもみテーブルと前記すりもみコーンとの間に形成される空間に搬送用空気を供給する第1の吸気口と、前記すりもみコーンと前記ハウジングの内壁下面との間に形成される空間に搬送用空気を供給する第2の吸気口を更に具備するすりもみ装置に係るものである。
【0013】
更に又本発明は、前記第1の吸気口及び前記第2の吸気口より加熱された搬送用空気を供給するすりもみ装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、すりもみ処理によりコンクリート廃材から骨材を取出す、すりもみ装置であって、該すりもみ装置はハウジングと、該ハウジング内にコンクリート廃材を投入するシュートと、該シュートの下端に固定的に設けられ、下方に突出するすりもみピンを有するすりもみ部と、前記シュートの同心下方に設けられた駆動軸と、該駆動軸の上端部に前記すりもみ部と対峙する様設けられたすりもみテーブルと、前記駆動軸を介して前記すりもみテーブルを回転駆動させる駆動装置とを具備し、前記すりもみピンと該すりもみピンに対して回転する前記すりもみテーブルとで前記シュートから投入されたコンクリート廃材に第1のすりもみ処理を行うので、別途コンクリート廃材の排出機構を設ける必要がなく、コストの低減を図れると共に、前記すりもみ装置を停止することなく連続してすりもみ処理が可能であり、すりもみ効率を向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るすりもみ装置が用いられる骨材再生システムを示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施例に係るすりもみ装置の概略立断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るすりもみ部の平面図である。
【図4】(A)は図3のA−A矢視図であり、(B)は図3のB矢視図であり、(C)は図3のC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
先ず、図1に於いて、本発明の実施例に係るすりもみ装置が使用される骨材再生システムについて説明する。
【0018】
図1中、1はすりもみ装置を示しており、2は該すりもみ装置1に投入されるコンクリート廃材を示し、3は該コンクリート廃材2からモルタルやコンクリート水和物等のフィラー4が剥離された骨材を示しており、前記すりもみ装置1の上部に設けられた排気口7はダクト5aにより集塵機8を介して排気ファン6に接続されている。尚、前記骨材3には、フィラー4が剥離された大粒径の粗骨材だけではなく、前記すりもみ装置1で剥離しきれず、僅かにフィラー4が付着した小粒径の細骨材であるモルタル塊も含まれている。
【0019】
又、前記排気ファン6はダクト5bにより調整ダンパ10を介して前記すりもみ装置1の下部に設けられた吸気口11と接続され、前記ダクト5bの前記調整ダンパ10と前記吸気口11との間には、図示しない外気供給管に接続された外気導入ダンパ30が設けられている。
【0020】
前記すりもみ装置1には、例えば40mm角程度の大きさのコンクリート廃材2が投入され、前記すりもみ装置1内ですりもみ処理が行われることで骨材3からフィラー4が剥離され、剥離された該フィラー4は、前記排気ファン6によりエアと共に前記排気口7より排気され、前記集塵機8へと送給される。
【0021】
該集塵機8では、バグフィルタ等によりエアからフィラー4が分離され、分離されたフィラー4が前記集塵機8の下方に設けられたロータリバルブ9により前記集塵機8外へと排出される。該集塵機8によりフィラー4が分離されたエアの一部は、前記排気ファン6により前記ダクト5bを通って吸気口11より搬送用空気として前記すりもみ装置1内に流入する。尚、前記排気ファン6により前記すりもみ装置1内に流入する搬送用空気の総量は、前記調整ダンパ10及び前記外気導入ダンパ30により調整される様になっている。
【0022】
又、前記すりもみ装置1内でフィラー4が剥離された骨材3は、前記すりもみ装置1の下端部に設けられた排出口12より前記すりもみ装置1外へと排出される。
【0023】
次に、図2に於いて、前記すりもみ装置1について説明する。
【0024】
図示しない基台等に気密な筒状のハウジング13が立設され、該ハウジング13によって密閉された空間である搬送空気室23が形成される。該ハウジング13よりも下方には減速装置15が設けられ、該減速装置15は駆動モータ14とVベルト又はカップリングで連結されている。前記減速装置15には前記ハウジング13と同心の駆動軸16が連結され、該駆動軸16は前記ハウジング13の底部を貫通し、前記搬送空気室23の半ば迄延出する。前記駆動軸16は、すりもみテーブル17(後述)とすりもみコーン18(後述)との間が軸受38を介して支持部材39によって回転自在に支持されると共に、軸受41を介して前記ハウジング13の底部に回転自在に支持されている。尚、前記支持部材39は棒状の部材が前記軸受38を中心に放射状に配設されたものであり、前記ハウジング13の側面内壁に支持されている。又、前記駆動モータ14と前記減速装置15とで駆動装置が構成される。
【0025】
前記駆動軸16の上端部には円盤状の前記すりもみテーブル17が前記駆動軸16と同心に設けられ、該駆動軸16の半ばには上端が閉塞された円錐台形状の前記すりもみコーン18が前記駆動軸16と同心に設けられ、該駆動軸16の前記すりもみコーン18の下方には前記ハウジング13の内周下面を掃引可能なスクレーパ19が設けられ、前記すりもみテーブル17、前記すりもみコーン18、前記スクレーパ19は、前記駆動軸16を介して前記駆動モータ14によって定速又は可変速で一体に回転される。
【0026】
前記すりもみテーブル17の上面には、断面が円弧状の凹溝20を有するテーブルセグメント22が設けられ、該テーブルセグメント22は前記すりもみテーブル17に対して交換可能となっている。前記すりもみテーブル17の周面と対向する前記ハウジング13の内壁には、環状のノズルリング21が設けられ、該ノズルリング21と前記すりもみテーブル17の周面との間には、リング状の間隙24aが形成される。
【0027】
又、前記ハウジング13の前記すりもみコーン18と対向する部位は円筒形状となっており、該ハウジング13の内壁と前記すりもみコーン18との間には間隙24bが形成され、該間隙24bは前記すりもみコーン18の径の増大に伴い、下方に向って漸次狭幅となっている。
【0028】
前記すりもみテーブル17と前記すりもみコーン18との間の空間が第1搬送空気室23aを形成し、前記すりもみコーン18の下方の空間が第2搬送空気室23bを形成し、前記すりもみテーブル17の上方は第3搬送空気室23cを形成する。前記ハウジング13には、前記第1搬送空気室23aと連通する第1吸気口11a及び前記第2搬送空気室23bと連通する第2吸気口11bが設けられている。
【0029】
前記第1吸気口11a及び前記第2吸気口11bには、それぞれ第1流量調整ダンパ25及び第2流量調整ダンパ26が設けられており、前記第1流量調整ダンパ25及び前記第2流量調整ダンパ26の開度により、前記第1吸気口11a及び前記第2吸気口11bより流入する、フィラー4を搬送する搬送用空気の流入量の比率が調整される様になっている。
【0030】
又、前記ハウジング13の上部には前記第3搬送空気室23cに連通する前記排気口7が取付けられ、前記ハウジング13の下端部には前記第2搬送空気室23bに連通する前記排出口12が設けられている。該排出口12には可変速にて回転可能なロータリバルブ27が設けられ、前記スクレーパ19によって掃引され、前記排出口12に落下した骨材3は、前記ロータリバルブ27によって前記ハウジング13の気密を保持しつつ連続的に外部へ排出される。
【0031】
前記ハウジング13の上側には廃材供給部(図示せず)が設けられ、該廃材供給部はパイプ状のシュート28を有している。該シュート28は前記すりもみテーブル17の回転軸心の延長上に設けられ、前記ハウジング13の内部に延出し、下端が前記すりもみテーブル17の中央上方に位置している。前記シュート28にはコンクリート廃材2が供給され、供給されたコンクリート廃材2は前記すりもみテーブル17の中心部に落下する様になっている。
【0032】
前記シュート28の下端には、前記すりもみテーブル17と同心で、該すりもみテーブル17よりも僅かに大きい円盤のすりもみ部29が設けられている。
【0033】
図3、図4(A)〜(C)に於いて、該すりもみ部29の詳細について説明する。
【0034】
該すりもみ部29は、図3に示される様に、前記シュート28に等角度ピッチで放射状に配設された所定数(図示では12枚)のすりもみ板31を有している。
【0035】
該各すりもみ板31下端の前記テーブルセグメント22と対向する位置には、それぞれピン支持板32が前記すりもみテーブル17上面と平行となる様溶接等により固着されている。
【0036】
又、前記ピン支持板32には、図4(A)に示される様に、ボルト等のすりもみピン33が同心多重円状に複数本、例えば内周側のすりもみピン33aと、外周側のすりもみピン33bの2本の前記すりもみピン33a,33bが、前記すりもみテーブル17の上面と直交する方向に螺入されている。前記すりもみピン33aと前記すりもみピン33bとは長さが異なっており、前記すりもみピン33a,33bの下端と前記テーブルセグメント22表面との間にそれぞれ同等の間隙が形成される様になっている。
【0037】
尚、前記すりもみピン33a,33bは、摩耗に伴い交換可能であり、又前記ピン支持板32への螺入量により下方への突出量を調整できる様になっている。
【0038】
前記すりもみピン33bよりも外周側には、全ピン支持板32に掛渡って円筒状の内周マテリアルガイド34が前記ピン支持板32の下面に溶接等により固着されており、前記内周マテリアルガイド34の前記すりもみピン33a,33bの同一直線上には、それぞれ図4(C)に示される様な下端から欠切された矩形の内周側開口部35が等間隔で形成されている。
【0039】
前記すりもみ板31の外端には、全すりもみ板31に掛渡って円筒状の外周マテリアルガイド36が溶接等により取付けられ、該外周マテリアルガイド36は前記すりもみ板31の下端よりも下方に突出しており、前記外周マテリアルガイド36の内径は前記すりもみテーブル17の外径よりも僅かに大きくなっている。
【0040】
又、前記外周マテリアルガイド36には、等間隔で所定数、例えば3箇所に、図4(B)に示される様な下端が欠切された矩形の外周側開口部37が形成されており、前記外周マテリアルガイド36に於ける前記外周側開口部37の開口比率は、前記内周マテリアルガイド34に於ける前記内周側開口部35の開口比率よりも小さくなっている。
【0041】
尚、前記外周マテリアルガイド36の外周側開口部37を形成する位置は、前記内周マテリアルガイド34の内周側開口部35と重ならない様周方向に変位した位置とするのが望ましく、又該内周側開口部35と前記外周側開口部37の高さは、前記すりもみ装置1の投入されるコンクリート廃材2の内、最も大きな骨材3が通過可能な高さとするのが望ましい。
【0042】
次に、前記すりもみ装置1に於けるコンクリート廃材2のすりもみ処理について説明する。
【0043】
先ず、前記すりもみテーブル17及び前記すりもみコーン18、前記スクレーパ19が、前記減速装置15、前記駆動軸16を介して前記駆動モータ14により所定の速度、例えば遠心加速度が0.6G〜0.7Gとなる速度で回転される。
【0044】
又、前記第1吸気口11a及び前記第2吸気口11bを介して搬送用空気が前記第1搬送空気室23a及び前記第2搬送空気室23bに導入された状態で、前記シュート28よりコンクリート廃材2が投入される。該コンクリート廃材2は、前記シュート28の下端より前記すりもみテーブル17の中心部に流落し、該すりもみテーブル17上に供給される。
【0045】
該すりもみテーブル17上のコンクリート廃材2は、前記すりもみテーブル17の回転による遠心力で外周方向に移動し、第1のすりもみ処理が行われる。第1のすりもみ処理では、外周方向に移動する過程で前記すりもみピン33やコンクリート廃材2同士で衝突し、前記すりもみピン33やコンクリート廃材2同士の衝突による衝撃により、コンクリート廃材2からフィラー4が剥離される。
【0046】
前記すりもみピン33に衝突したコンクリート廃材2は、前記すりもみテーブル17の回転遠心力により更に外周方向へと移動し、前記内周マテリアルガイド34迄到達する。該内周マテリアルガイド34に到達したコンクリート廃材2の内、一部は前記内周側開口部35を通過して内周マテリアルガイド34の外側へと移動し、残りは該内周マテリアルガイド34にせき止められ、前記すりもみテーブル17上に滞留する。
【0047】
該すりもみテーブル17上に滞留するコンクリート廃材2は、新たに投入されたコンクリート廃材2との衝突や、前記すりもみピン33により攪拌されることによるコンクリート廃材2同士のすりもみにより、更にフィラー4が剥離され、順次前記内周側開口部35より前記内周マテリアルガイド34外へと移動する。
【0048】
前記外周マテリアルガイド36の外周側開口部37は、前記内周側開口部35とは重ならない位置に形成されており、該内周側開口部35を通過して前記内周マテリアルガイド34外へと移動したコンクリート廃材2は、前記外周マテリアルガイド36に衝突する。
【0049】
コンクリート廃材2は、前記外周マテリアルガイド36に衝突することで前記すりもみテーブル17上に弾返され、弾返されたコンクリート廃材2が前記内周側開口部35を通過したコンクリート廃材2と衝突することで更にすりもみ処理が行われ、前記すりもみテーブル17の周縁へと到達したコンクリート廃材2は、前記外周側開口部37より順次前記すりもみテーブル17外へと移動する。
【0050】
尚、コンクリート廃材2の前記内周マテリアルガイド34外への移動量は、該内周マテリアルガイド34に於ける前記内周側開口部35の面積によって変化し、又コンクリート廃材2の前記外周マテリアルガイド36外への移動量は、該外周マテリアルガイド36に於ける前記外周側開口部37の面積によって変化する。従って、前記すりもみテーブル17上でのコンクリート廃材2の滞留時間、即ちコンクリート廃材2に対して第1のすりもみ処理が行われる時間が、前記内周側開口部35の面積及び前記外周側開口部37の面積により変化するので、所望の第1のすりもみ処理のすりもみ度合(処理時間)に応じて前記内周側開口部35及び前記外周側開口部37の開口比率等が設定される。
【0051】
又、前記第1吸気口11aより前記第1搬送空気室23aに導入された搬送用空気は、該第1搬送空気室23a内を上昇し、前記すりもみテーブル17と前記ノズルリング21との間の前記間隙24aより吹上げられる。
【0052】
前記すりもみテーブル17外へと移動した第1のすりもみ処理後のコンクリート廃材2の内、比重の軽いもの、即ちフィラー4は搬送用空気に乗って前記ハウジング13の内壁面に沿って上昇し、前記排気口7より前記すりもみ装置1外へと排出され、前記ダクト5a(図1参照)を介して前記集塵機8(図1参照)へと送出され、搬送用空気からフィラー4が集塵される。
【0053】
又、前記すりもみテーブル17外へと移動した第1のすりもみ処理後のコンクリート廃材2の内、比重の重いもの、即ちフィラー4の大部分が剥離されたコンクリート廃材2は、搬送用空気に吹上げられることなく前記間隙24aより前記第1搬送空気室23aへと落下する。
【0054】
第1のすりもみ処理後のコンクリート廃材2は、前記駆動軸16と一体に回転する前記すりもみコーン18と、前記ハウジング13の内壁との間の前記間隙24bに落下する。
【0055】
落下したコンクリート廃材2は、前記すりもみコーン18の回転により、又該すりもみコーン18の径の増大に伴う前記間隙24bの幅の縮小により、コンクリート廃材2同士が圧縮されながら下方へと移動することで互いにすりもまれ、第2のすりもみ処理が行われる。第2のすりもみ処理により、コンクリート廃材2に僅かに残ったフィラー4が剥離される。尚、前記すりもみコーン18は上端が閉塞されているので、コンクリート廃材2が前記すりもみコーン18と前記ハウジング13の内壁との間に落下しなかった場合であっても、前記すりもみコーン18の回転遠心力により前記間隙24bに落下させることができる。
【0056】
又、前記第2吸気口11bより前記第2搬送空気室23bに導入された搬送用空気は、該第2搬送空気室23b内を上昇し、前記間隙24bより吹上げられる。
【0057】
第2のすりもみ処理が行われるコンクリート廃材2の内、比重の軽いもの、即ちコンクリート廃材2に僅かに残ったフィラー4が搬送用空気によって前記ハウジング13の内壁面に沿って上昇し、前記間隙24aを通り、前記排気口7より前記すりもみ装置1外へと排出される。
【0058】
又、第2のすりもみ処理が行われるコンクリート廃材2の内、比重の重いもの、即ちフィラー4が剥離された骨材3は、搬送用空気に吹上げられることなく前記間隙24bより前記第2搬送空気室23bへと落下する。
【0059】
該第2搬送空気室23bへと落下した骨材3は、前記駆動軸16と一体に回転する前記スクレーパ19によって掻集められ、掻集められた骨材3は前記排出口12に落下し、該排出口12に落下した骨材3は、前記ロータリバルブ27により外部へと排出される。
【0060】
尚、該ロータリバルブ27は可変速にて回転可能であり、骨材3の前記すりもみ装置1外への排出量は、該ロータリバルブ27の回転速度によって変化する。従って、前記第2搬送空気室23b及び前記間隙24bに於けるコンクリート廃材2の滞留時間、即ちコンクリート廃材2に対する第2のすりもみ処理のすりもみ度合(処理時間)が前記ロータリバルブ27の回転速度によって変化するので、所望の第2のすりもみ処理のすりもみ度合に応じて前記ロータリバルブ27の回転速度が制御される。
【0061】
上述の様に、本実施例では、前記すりもみ部29を前記シュート28に固定的に設け、前記すりもみテーブル17を回転させ、該すりもみテーブル17と前記すりもみ部29とで第1のすりもみ処理を行い、第1のすりもみ処理が行われたコンクリート廃材2は前記すりもみテーブル17の回転遠心力により該すりもみテーブル17外へと移動するので、前記すりもみ装置1に別途コンクリート廃材2の排出機構を設ける必要がなく、コストの低減を図る事ができる。又、コンクリート廃材2の排出の為に前記すりもみ装置1を停止させることなく連続してすりもみ処理を行うことが可能であるので、単位時間当りのコンクリート廃材2の処理量の増加、処理量の増加に伴うフィラー4の剥離効率の向上、前記すりもみ装置1の再起動が不要になることによる消費動力の軽減等のすりもみ効率の向上を図ることができる。
【0062】
又、前記すりもみ部29に前記内周マテリアルガイド34及び前記外周マテリアルガイド36を設け、前記内周マテリアルガイド34に於ける内周側開口部35の開口比率と、前記外周マテリアルガイド36に於ける外周側開口部37の開口比率とにより前記すりもみテーブル17上のコンクリート廃材2の滞留時間、即ち第1のすりもみ処理のすりもみ度合(処理時間)を設定可能であるので、第1のすりもみ処理に於けるすりもみの度合を変更する際に前記すりもみ装置1を大型化する必要がなく、コストの低減及び省スペース化を図ることができる。
【0063】
又、前記外周側開口部37は前記内周側開口部35と重ならない位置となっているので、コンクリート廃材2は前記内周側開口部35通過後に前記外周マテリアルガイド36と衝突して速度が相殺され、コンクリート廃材2が直接前記ハウジング13の内壁に衝突し、該ハウジング13の内壁が摩耗するのを防止することができる。
【0064】
又、該ハウジング13は気密の筐体であり、該ハウジング13内ですりもまれ、剥離されたフィラー4は前記排気口7より排出され、前記ダクト5aを介して前記集塵機8にて集塵される様にしたので、すりもみ処理の際に発生したフィラー4が大気中に排出されるのを防止することができる。
【0065】
又、前記駆動軸16に前記すりもみコーン18を設け、該すりもみコーン18と前記ハウジング13の内壁との間で第2のすりもみ処理を行う様にしたので、前記すりもみ装置1内で異なる2種類のすりもみ処理を行うことができ、コンクリート廃材2に対するフィラー4の剥離効率等のすりもみ効率を向上させ、高品質の骨材3を得ることができる。
【0066】
又、骨材3を前記すりもみ装置1外へと排出するロータリバルブ27が可変速にて回転可能であり、該ロータリバルブ27の回転速度により前記第2搬送空気室23b及び前記間隙24bに於けるコンクリート廃材2の滞留時間、即ち第2のすりもみ処理のすりもみ度合(処理時間)を設定可能であるので、第2のすりもみ処理に於けるすりもみ度合を変更する際に前記すりもみ装置1を大型化する必要がなく、コストの低減及び省スペース化を図ることができる。
【0067】
又、前記すりもみ装置1に投入されるコンクリート廃材2の質により、第1のすりもみ処理、第2のすりもみ処理に於けるフィラー4の剥離効率が変化するので、前記第1流量調整ダンパ25及び前記第2流量調整ダンパ26の開度を調整し、前記第1搬送空気室23a及び前記第2搬送空気室23bに流入させる搬送空気の流量を調整することで、コンクリート廃材2より剥離したフィラー4を効率よく前記集塵機8(図1参照)に送給することができる。
【0068】
更に、前記すりもみテーブル17、前記すりもみコーン18、前記スクレーパ19を前記駆動軸16を介して一体に回転させる様にしたので、第1のすりもみ処理と第2のすりもみ処理を行う為のモータは1つでよく、コストの削減及び装置の小型化を図ることができる。
【0069】
尚、コンクリート廃材2を加熱することで、骨材3とフィラー4の分離が容易となる。従って、前記ダクト5bに加熱装置を設け搬送用空気を加熱する、或は前記外気導入ダンパ30(図1参照)を介して前記ダクト5bにボイラや、セメント工場等の他の産業の工場から排出される燃焼排ガス等を導入する等により、前記ハウジング13内に高温の搬送用空気を供給することでコンクリート廃材2の加熱を行い、すりもみ処理の効率を向上させる様にしてもよいことは言う迄もない。
【0070】
又、前記排気ファン6や前記集塵機8を省略し、コンクリート廃材2のすりもみ後、骨材3とフィラー4を全量排出し、後に別途骨材3とフィラー4との選別処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 すりもみ装置
7 排気口
12 排出口
13 ハウジング
16 駆動軸
17 すりもみテーブル
18 すりもみコーン
28 シュート
29 すりもみ部
33 すりもみピン
34 内周マテリアルガイド
35 内周側開口部
36 外周マテリアルガイド
37 外周側開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すりもみ処理によりコンクリート廃材から骨材を取出す、すりもみ装置であって、該すりもみ装置はハウジングと、該ハウジング内にコンクリート廃材を投入するシュートと、該シュートの下端に固定的に設けられ、下方に突出するすりもみピンを有するすりもみ部と、前記シュートの同心下方に設けられた駆動軸と、該駆動軸の上端部に前記すりもみ部と対峙する様設けられたすりもみテーブルと、前記駆動軸を介して前記すりもみテーブルを回転駆動させる駆動装置とを具備し、前記すりもみピンと該すりもみピンに対して回転する前記すりもみテーブルとで前記シュートから投入されたコンクリート廃材に第1のすりもみ処理を行うことを特徴とするすりもみ装置。
【請求項2】
前記すりもみ部は前記すりもみピンの外周側に設けられた円筒状の内周マテリアルガイドと、該内周マテリアルガイドの外周側に設けられた円筒状の外周マテリアルガイドを更に有し、前記内周マテリアルガイドに等間隔で矩形の内周側開口部が複数形成され、前記外周マテリアルガイドに等間隔で矩形の外周側開口部が複数形成され、前記内周マテリアルガイドに対する前記内周側開口部の開口比率、及び前記外周マテリアルガイドに対する前記外周側開口部の開口比率は、第1のすりもみ処理の処理時間に対応して設定された請求項1のすりもみ装置。
【請求項3】
前記外周側開口部を前記内周側開口部と重ならない様にした請求項2のすりもみ装置。
【請求項4】
前記駆動軸の半ばに設けられ、該駆動軸を介して前記すりもみテーブルと一体に回転するすりもみコーンを更に具備し、前記すりもみテーブルから落下したコンクリート廃材に対して前記すりもみコーンと前記ハウジングの内壁とで第2のすりもみ処理を行う請求項1〜請求項3の内いずれかのすりもみ装置。
【請求項5】
前記すりもみテーブルと前記すりもみコーンとの間に形成される空間に搬送用空気を供給する第1の吸気口と、前記すりもみコーンと前記ハウジングの内壁下面との間に形成される空間に搬送用空気を供給する第2の吸気口を更に具備する請求項4のすりもみ装置。
【請求項6】
前記第1の吸気口及び前記第2の吸気口より加熱された搬送用空気を供給する請求項5のすりもみ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−213750(P2012−213750A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82079(P2011−82079)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】