説明

そろばん学習プログラム及びそろばん学習装置

【課題】低年齢の児童であっても容易にそろばんを学習できるようなそろばん学習プログラムを提供する
【解決手段】タブレット型多機能端末をそろばん学習装置として機能させるそろばん学習プログラムであって、指で接触して操作するマルチタッチ方式のタッチインターフェイスを搭載した操作表示部に、そろばん画像を表示させる処理と、記憶部に記憶された問題データに従って操作表示部に問題を表示させる処理と、操作表示部に表示された問題に従って、学習者が表示されたそろばんの珠を指で接触して操作したときに、検出された接触画面座標と指の接触がなくなるまでの連続した接触座標の変化と、記憶部に記憶された画像データとに基づいて、珠の移動位置を決定して珠の移動を表示させる処理と、移動された珠の位置が、記憶部に記憶された問題データと運珠データとから、正しいかどうか判断させる処理とを実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3歳から7歳程度の年齢の低い児童であっても容易にそろばんを学習させることができる、そろばん学習プログラム及びそろばん学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、そろばんの学習者は低年齢化してきており、3〜4歳から学習を始める児童も多くなってきている。しかし、そろばんの計算の習得には、本来小学校3年生程度の学力が必要であり、そのことが低年齢の児童にそろばんを指導する指導者にとって大きな壁になっている。
【0003】
そろばんでの計算方法では、繰り上がり・繰り下がりのたし算・ひき算の運指・運珠パターンは一桁だけで34通りあり、園児や小学校の低学年の児童にとっては、そろばんの盤面ごとにどのパターンを使ってよいかを判断することが難しいからである。これは、そろばん学習者の基礎学力によっても左右される問題であり、そろばん指導者にとっても指導に困難を伴う問題である。例えば、そろばんの指導は、たし算・ひき算を同時に指導する。これは、5+6のようなパターンの場合、5から4を引いて10を足すからである。従って、ひき算が出来ないとたし算が出来ないことになる。
【0004】
ところで、加減算の最も重要で頻度の高い用法は、買物の金額の合計とお釣りの算出だと考えられるが、実際に使用する金銭の額を認識する場合、一円玉25個を25円と認識するよりも、10円玉2個と5円玉1個で25円と認識する方が容易である。また、大きな金額を分かり易く表示するために、十進法を用いて桁を増やすことにより表示する方法が用いられているが、実際に使用する金銭の額を貨幣や紙幣で認識する場合、例えば、1円玉1〜4個位までは一目で認識できるが、6〜9個になると一目で認識しづらくなる。そのため、5円玉、50円玉、500円玉、5000円札、の5の集合体による貨幣や紙幣が使用されており、使用する金銭の合計をすばやく認識できるように工夫されている。そろばんでは、1珠4個と5珠1個との位置で、一桁の0〜9の数を瞬時に認識できるように工夫されている。このように、大変便利で重要な5の集合体の用い方であるが、年齢の低い児童がそろばんを学習するにあたっては、十進法の桁の繰り上がり・繰り下がり(10の合成・分解)の他に、5の集合体の合成・分解という難しい問題も克服する必要がある。
【0005】
このような事情から、特に低年齢の児童にそろばんを学習させるためには、それぞれの児童のレベルに即したきめ細かい指導が必要となる。しかし、通常のそろばん教室では、複数の生徒に対して一人の指導者が指導を行うため、特に低年齢の児童に対してそれぞれの能力に即した十分な指導を行うことがむずかしい。従って、低年齢の児童であっても、それぞれのレベルに即して効率よくそろばんの運指・運珠を習得させることが可能なツールやシステムが望まれるところである。
【0006】
なお、そろばん学習に関連して、いくつかの特許出願がなされており、例えば下記に記載する特許文献1〜4が挙げられる。
【0007】
しかしながら、これらの文献に開示されている技術のみでは、実際のそろばんを操作している感覚でそろばんの運指・運珠を学習させる、それぞれの学習者のレベルに即して適切なリードを提供しながらそろばんを学習させる、低年齢の児童であっても容易にそろばんを学習できる、というような目的を達成するのには十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−305460号
【特許文献2】特開平10−187023号
【特許文献3】特開2002−258730号
【特許文献4】特開2002−258737号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、タブレット型多機能端末をそろばん学習装置として機能させ、低年齢の児童であっても、実際のそろばんを操作している感覚でそろばんの運指・運珠を学習させると共に、児童のそれぞれのレベルに即した適切なリードを提供しながら容易にそろばんを学習できる様々な機能を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるそろばん学習装置は、指で接触して操作するマルチタッチ方式のタッチインターフェイスを搭載し、指で接触した部分の接触位置を判別して検出信号を出力する操作表示手段と、そろばんの珠・枠・梁・桁を含むそろばん画像を操作表示手段に表示させるための表示位置・大きさ・表示座標・色と表示された珠を指で接触したときの画面座標と珠位置に対応する数値とを含むそろばん画像データを記憶するそろばん画像データ記憶手段と、0〜9の数に対してそれぞれ割り当てられた珠の位置及び配列のデータと、0〜9のそれぞれの数に1〜9のそれぞれの数を加算または減算する180通りの計算に関連づけられた運珠及び運指の手順のデータと、を含む運珠データを記憶する運珠データ記憶手段と、計算問題を操作表示手段に表示させるとともに、そろばん画像の珠の操作を判断するための問題データを記憶する問題データ記憶手段と、操作表示手段が出力する検出信号を受信して接触画面座標と一連の連続した同一接触を識別する接触識別IDを取得して出力する接触認識手段と、そろばん画像データ記憶手段に記憶されたそろばん画像データに基づくそろばん画像の表示や問題データ記憶手段に記憶された問題データに基づく計算問題の表示を含む操作表示手段に対する表示の制御及び接触認識手段が出力する接触画面座標及び接触識別IDと運珠データ記憶手段に記憶された運珠データと問題データ記憶部に記憶された問題データとに基づく珠の移動の表示制御と操作の正誤の判断を実行する表示制御手段とを備えている。
【0011】
本発明によるそろばん学習プログラムは、指で接触して操作するマルチタッチ方式のタッチインターフェイスを搭載し、指で接触した部分の接触位置を判別して検出信号を出力する操作表示手段と、そろばんの珠・枠・梁・桁を含むそろばん画像を操作表示手段に表示させるための表示位置・大きさ・表示座標・色と表示された珠を指で接触したときの画面座標と珠位置に対応する数値とを含むそろばん画像データを記憶するそろばん画像データ記憶手段と、0〜9の数に対してそれぞれ割り当てられた珠の位置及び配列のデータと、0〜9のそれぞれの数に1〜9のそれぞれの数を加算または減算する180通りの計算に関連づけられた運珠及び運指の手順のデータと、を含む運珠データを記憶する運珠データ記憶手段と、計算問題を操作表示手段に表示させるとともに、そろばん画像の珠の操作を判断するための問題データを記憶する問題データ記憶手段と、を備えたタブレット型多機能端末を、操作表示手段が出力する検出信号を受信して接触画面座標と一連の連続した同一接触を識別する接触識別IDを取得して出力する接触認識手段と、そろばん画像データ記憶手段に記憶されたそろばん画像データに基づくそろばん画像の表示や問題データ記憶手段に記憶された問題データに基づく計算問題の表示を含む操作表示手段に対する表示の制御及び接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データとに基づいて珠の移動の表示制御を実行する表示制御手段として機能させる。
【0012】
本発明によるそろばん学習プログラムは、さらに、上記表示制御手段を、操作表示手段に表示されたそろばん画像上での指の接触に基づいて接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データとから珠を移動させる方向及び距離を決定し、移動後の珠の位置にそろばん画像上の珠の表示を変更させるとともに、移動後の珠の配置が示す数字を運珠データに基づいて該当する桁の上部に表示させるように機能させる。
【0013】
本発明によるそろばん学習プログラムは、さらに、上記表示制御手段を、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、操作表示手段に表示されたそろばん画像上での指の接触による計算問題に従った操作について接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データとから珠を移動させる方向及び距離を決定し、移動後の珠の位置にそろばん画像上の珠の表示を変更させるとともに、移動後の珠の位置が正しいかどうかを問題データと運珠データとに基づいて判断し、珠の位置が正しくない場合は移動前の位置に珠の表示を復帰させるように機能させる。
【0014】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記タブレット型多機能端末にさらに音声出力部を備えることにより、上記表示制御手段を、珠の位置が正しくない場合は音声出力部から警告音声を出力させて移動前の位置に珠の表示を復帰させるよう機能させる。
【0015】
本発明によるそろばん学習プログラムは、さらに、上記表示制御手段を、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、操作表示手段に表示されたそろばん画像上での指の接触による計算問題に従った操作を導くために、問題データと運珠データとそろばん画像データに基づいて、計算問題として表示されている数字の順番に従って、操作させる珠の色を順次変化させるよう機能させる。
【0016】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記タブレット型多機能端末にさらに計時部を備えることにより、上記表示制御手段を、計算問題に従ったそろばん画像上の珠の接触と次の接触との時間を計測させて、予め設定した時間を経過したと判断したときに次に操作すべき珠の色を変化させるよう機能させる。
【0017】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記表示制御手段を、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、操作表示手段に表示された計算問題の特定の数字が指で接触されたことを接触認識手段を介して検知したしたときは、計算問題に従った操作を導くために、問題データと運珠データとそろばん画像データに基づいて、計算問題中の当該数字の計算を実行する珠の動作を、操作表示手段のそろばん画像に表示させるよう機能させる。
【0018】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記表示制御手段を、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、表示された計算問題の数字を、計算問題に従った操作に従って、どの段階の数字を計算を行っているかを、接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データに基づいて、計算中の数字を枠で囲って表示させるよう機能させる。また、計算問題の操作を所定の計算パターンに分けてどの計算パターンに従った操作を行うかを案内するために、上記表示制御手段を、計算中の数字の枠の色を計算パターンに従って変化させるよう機能させる。
【0019】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記タブレット型多機能端末にさらに音声出力部を備えることにより、計算問題の操作を所定の計算パターンに分けてどの計算パターンに従った操作を行うかを案内するために、上記表示制御手段を、計算中の数字毎に計算パターンに従った音声を音声出力部に出力させるよう機能させる。
【0020】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記表示制御手段を、珠の位置が正しくないと判断した回数が所定の回数に達した場合に、操作表示手段に表示されたそろばん画像を計算問題開始の画面表示に復帰させるよう機能させる。
【0021】
本発明によるそろばん学習プログラムは、上記タブレット型多機能端末を、さらに、カスタム運珠データの入力・編集手段及び記憶手段として、あるいは、カスタム問題データの入力・編集手段及び記憶手段として機能させる。
【0022】
本発明によるそろばん学習プログラムは、操作表示手段に表示させるそろばん画像を、そろばん画像データに基づいて、黒色を背景として珠の色を黒に限りなく近く表示させ、計算に従ったそろばん画像上の指接触による操作が正しいと判断した場合は、移動させた珠の表示を灰色に変化させるよう、上記表示制御手段を機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、マルチタッチ方式の入力が可能な多機能端末を使用するので、実際のそろばんを操作するのと同じような感覚で画面上に接触し、あるいは接触したまま移動させ、接触を解除する、という一連の動作状態と画面上の座標を得ることが出来、あたかも実際のそろばんを操作するのと同じ感覚で、そろばんの運指・運珠の練習が可能である。本発明によるそろばん学習装置及びそろばん学習プログラムは、ただ単純に多機能端末を用いてそろばんをシュミレートするだけではなく、学習者が表示された問題をそろばんの珠を移動させながら計算する計算過程を監視し、誤った操作を行った場合には警告して操作前の状態に復帰させる等により、正しい操作を確実に学習者に覚えさせることを可能にする。また、そろばんを学習するために、指導者が設定可能な様々なメニューが準備されており、指導者がカスタム問題を作成することも可能で、学習者のレベルに即した指導を行うことが出来る。例えば、音声による案内や色の変化による案内等、多機能端末ならではの聴覚的及び視覚的な効果を利用した学習が可能である。指導者がそばについていなくても、低年齢の児童がマンツーマンで指導を受けるのと同じような感覚でそろばんを学習できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願発明の実施の形態によるそろばん学習プログラムをインストールしてそろばん学習装置として機能させるためのタブレット型多機能端末の構成を示すブロック図である。
【図2】そろばん学習画面の一例を示した図である。
【図3】そらばん学習プログラムが起動されると表示されるメニュー画面の一例を示した図である。
【図4】自由そろばんのメニューが選択された場合の画面表示の一例を示した図である。
【図5】自由そろばんのメニューが選択された場合の画面表示の一例を示した図である。
【図6】暗算力養成のメニューが選択された場合の画面表示の一例を示した図である。
【図7】初期設定変更のメニューが選択された場合に表示される設定表示画面の一例を示した図である。
【図8】指導者用機能を搭載したタブレット型多機能端末の構成を示すブロック図である。
【図9】初期設定変更のメニューが選択された場合に表示される設定変更画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本願発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本願発明の実施の形態によるそろばん学習プログラムをインストールしてそろばん学習装置として機能させるためのタブレット型多機能端末の構成を示すブロック図である。
【0026】
本願明細書では、パーソナルコンピュータや携帯情報端末(スマートフォンを含む)のうち、タッチインターフェイスを搭載したディスプレイを主たる入出力インターフェイスとする、板状の、持ち運び可能なコンピュータをタブレット型多機能端末という。本実施の形態では、特に、タッチインターフェイスにおいて、同時に複数の箇所に接触することで複雑な操作を可能とするマルチタッチ式のタッチインターフェイスを搭載したタブレット型多機能端末を採用している。
【0027】
図1に示すタブレット型多機能端末は、操作表示部2、通信部3、音声出力部4、制御部5及び記憶部6を備えている。
【0028】
操作表示部2は、マルチタッチ式のタッチインターフェイスを搭載したパネルで、液晶パネルのような表示装置と例えば静電容量方式によるタッチパッドのような位置入力装置とを組み合わせたものである。静電容量方式によるタッチパネルは、表面全体に電界を形成し、指で接触した部分の表面電化の変化を縦横に走る多数の電極列によって検出して接触位置を判別し、検出信号を制御部5に送信する。
【0029】
通信部3は、通信回線(無線によるものを含む)を介してプログラム等の各種データを受信して制御部5に出力し、あるいは制御部5から各種データを通信回線を介して外部に送信するための通信インターフェイスとして、データの送受信やデータ変換等の処理を行う。
【0030】
音声出力部4は、スピーカ等で構成され、制御部5からの命令により効果音等を出力する。
【0031】
制御部5は、演算処理を実行するCPU、タブレット型多機能端末を動作させるための基本プログラム等を記憶しているROM、CPUに対する作業領域を確保し一時的に処理データ等を記憶するRAM,等により構成されているが、図1ではこれらのハードウェアの図示を省略し、以下に記載する機能を表すブロックのみを図示している。
【0032】
制御部5は、接触認識部51、表示制御部52、音声処理部53、計時部54、設定表示部55を備えている。接触認識部51は、操作表示部2において指の操作による接触を検知した検出信号を受けて、接触画面座標等を求めて表示制御部52に送る。表示制御部52は、接触認識部51から受けた接触画面座標等と記憶部6から求めたデータ等に基づいて、操作表示部2の表示を制御する。音声処理部53は、プログラム等に従って、音声出力部4からの音声の出力を制御する。計時部54は、プログラム等に従って、必要な場合に計時を実行する。設定表示部55は、設定されているデータを表示させると共に、通信部3を介して設定の変更や運珠や問題に関するカスタムデータをダウンロードし、記憶部6にインストールさせる。これらの機能は、ROMに記憶された基本プログラムや、記憶部6に記憶されているそろばん学習プログラムやデータが制御部5にロードされて、CPUにより処理が実行されることにより実現される。
【0033】
記憶部6は、例えば不揮発性で書換え可能な半導体メモリで構成されており、タブレット型多機能端末をそろばん学習装置として機能させるためのデータやプログラムを記憶する。記憶部6は、そろばん学習プログラムを記憶するそろばん学習プログラム記憶部61、そろばん学習プログラムを実行するために必要なそろばん表示画像に関するデータを記憶するそろばん画像データ記憶部62、そろばんの指の使い方や珠の動かし方のデータを保存する運珠データ記憶部63、そろばんの計算練習に使用する問題のデータを記憶する問題データ記憶部64、様々な機能の設定データを記憶する設定データ記憶部65を備えている。なお、図1に示した記憶部6の各ブロックの構成は、必ずしも物理的な構成を示すものではなく、記憶するデータの機能に従って各記憶部を表現しているものである。
【0034】
次に、本実施の形態において実行される学習プログラムの動作を説明する前提として、図2に示すそろばん学習画面の例を参照しながら、記憶部6に含まれる、そろばん画像データ記憶部62、運珠データ記憶部63、問題データ記憶部64、設定データ記憶部65に記憶されるデータの詳細について説明する。
【0035】
図2に示すそろばん学習画面21は、本発明によるそろばん学習装置を使用した学習において、典型的に用いられる画面の例を示したものである。画面に向かって右側に4桁のそろばん画像201が表示され、左側には問題が表示され、画面上部にはテキストのタイトルとして「MMテキスト6」、テキストのページとして「(1)ページ」、問題の進行状況として「1(4だいめ)」が表示されている。通常そろばんの学習では、紙に記載された計算問題をそろばんで計算する。従って、そろばん学習装置を用いた場合にも、紙によるテキストとセットで学習が進められる。画面に表示されているテキストのタイトルとページは、紙のテキストのどの頁のどの問題を練習しているかを示している。
【0036】
まず、図2に示す学習画面21の画面右側に表示されたそろばん画像201の珠の動作に関するデータについて説明する。
【0037】
そろばんは、一桁(0〜9)を、1つの5珠aと、4つの1珠bとで表す。そろばんの梁eの上側に5珠aを、下側に4つの1珠bを縦一列に配列し、一桁を表している。そして、梁e側に寄っている珠の状態で数を表す。例えば、すべての珠が梁eに寄っていれば9を表し、図2に示すようにすべての珠が梁eから離れていれば0を表す。
【0038】
そろばんでは、数字表記と同様に、左側列が上位桁(大きい位)、右側列が下位桁(小さい位)を表し、一列で一桁を表している。また、計算の際は、筆算と異なり、上位桁から下位桁へと計算桁が移動するが、繰り上がり/繰り下がりの計算は、上位側へと計算桁が移動する。
【0039】
このように、0〜9の数字と、これらの数字に対して割り当てられた上記のそろばん珠の位置や配列とが、関連づけられたデータとして、運珠データ記憶部63に記憶されている。
【0040】
そろばん学習画面21でそろばんを学習するためには、さらにそろばんで計算を行うための運珠法(指の使い方や珠の動かし方)についてのデータが必要である。運珠法は指導者により異なる場合があるが、一桁のすべての珠の動かし方を登録出来るようにすることにより、対応が可能になる。一桁のすべての珠の動かし方は、初期状態の0から9の珠位置の10通りのそれぞれに対して、1〜9のそれぞれの数を足すための9通りの動かし方と、1〜9のそれぞれの数を引くための9通りの動かし方があるので、全部で180通りを登録する。また、この運珠法の180通りは、1通りにつき、最大3手で完結する。その3手とは、5珠を動かす、1珠を動かす、繰り上がり/繰り下がりをする、の3種類であり、一桁のすべての珠の動かし方は、これらの動作の1つ又はそれぞれの動作の2つもしくは3つの組合せで定義することが出来る。すなわち、一桁の運珠は3手までの動作に分解でき、その手数を順次行うことにより計算を行うことができる。
【0041】
例えば、7から6を引く場合に、7を表す珠の状態から答えの1を表す珠の状態に変形させるには、1珠を一つ下げて5珠を上げる2手の方法や、1珠の一つ下げと5珠上げとを同時に2本指(人指し指と親指)で行う1手のやり方が考えられる。この場合、その分解した珠の動かし方の手順を登録する際にどの指で行うかも登録しておけば、どの指でどの珠を動かすかを判別するデータとなる。
【0042】
運珠データ記録部63には、0〜9のそれぞれの数に、1〜9のそれぞれの数を加算または減算する180通りの計算に関連づけて、これら180通りの計算に対応する標準的な運珠及び運指の手順が記憶されている。
【0043】
複数桁の珠で数値Xが表されている場合に、数値Xに対する数値Yの加算又は減算を行うには、Yの最上位桁から一桁毎に順番に着目して登録されている運珠法のデータを参照し、手数に分解し、順次珠の移動を行い手順終了後に一つ下位の桁に直目を移動していく処理を最下位桁まで繰り返せば、一つの計算が終了する。繰り上がり/繰り下がりは、一つ上位桁に1を加算又は減算する計算として割り込み処理を行えば処理可能になる。このように、上述した一桁の計算についての180通りの運珠及び運指の手順を記憶するようにすれば、複数桁の計算にも対応することが出来る。
【0044】
次に、図2に示すそろばん学習画面21のそろばん画像201の表示に関するデータについて説明する。
【0045】
最初に、プログラムによる動作とは直接関連しないが、本願発明では、低年齢の児童でもそろばんを学習するのに適した、表示画面上のそろばん画像の大きさやレイアウトを決定することは重要である。具体的には、操作性やレイアウトを考慮した、珠(aやb)、枠d、梁e、桁fを含むそろばんの図を作成する。なお、表示画面上で見やすさや珠の色彩を変化させることを考慮し、珠は標準的な表示色や指別の色彩など、複数同形異色で作成する。
【0046】
上記したそろばんの設計図に基づいて設定された、そろばん学習画面21に表示するそろばん全体の枠d、梁e、桁fの表示位置や大きさ、個々の珠(a、b)の表示座標(ONポジション、OFFポジション)や大きさや色、個々の珠に指で接触された場合の画面座標等の位置情報、桁を構成する珠の状態(珠位置に対応する数値等)のデータが、そろばん画像データ記憶部62に記憶されている。
【0047】
次に、問題データ記憶部64に記憶されている問題データについて説明する。問題データは、図2に示すような操作表示部2に表示されたそろばん画像201を利用して計算問題を学習する場合に、画面の左側に計算問題を表示させるとともに、学習者がそろばん画像201上で正しく操作を行ったか否か等を判断するための処理に使用される。図2では、8+4+5+4の問題が表示されており、入力桁数は一桁、入力口数は4口、である。問題データ記憶部64には、あらかじめ標準的な問題集の問題データが記憶されており、そのまま学習が可能である。
【0048】
設定データ記憶部65は、上記した問題集や後述する各種機能の設定に関するデータや、設定表示画面を表示させるためのデータを記憶している。
【0049】
以上、記憶部6に記憶されているデータの詳細について説明したので、以下では、これらのデータを利用しながら、制御部5がどのように画面表示等を制御するかについて説明する。
【0050】
図3は、そろばん学習プログラムが起動されると表示されるメニュー画面の一例を示したものである。制御部5の表示制御部52(図1参照)は、メニュー画面から問題集そろばんのメニューが選択されると、そろばん画像データ記憶部62のデータに従って、操作表示部2に、図2に示すようなそろばん学習画面21を操作表示部2に表示させる。画面上の珠a又はbに指で接触して珠を動かす(すなわち、画面に指を接触させたまま移動させる)ようにすると、操作表示部2からの検出信号が制御部5の接触認識部51に送信され、最初に接触された部分の接触画面座標と接触識別IDを取得する。この接触識別IDとは、「指の接触〜接触したままの移動〜指が離れる」の一連の連続した同一接触を識別するIDである。この取得された接触画面座標と、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データとから、表示制御部52は、どの桁のどの珠が接触されたかを求め、その珠のデータに接触画面座標と接触識別IDを記憶する。そして、画面に指を接触させたまま移動させることにより連続した画面座標を取得し、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データから珠が移動した方向と距離を計算し、珠の移動可能位置(ONポジションからOFFポジションの間に移動は制限される)に、操作表示部2に表示するそろばんの画面表示を変更させる。その際に、1珠bの移動であれば、1珠bの移動に連動して移動される同桁内の他の1珠bの表示も移動するように制御する。また、上記した計算された移動方向と距離を移動決定データとし、本実施の形態において提供される様々な機能における処理が、この移動決定データに基づいて実行される。
【0051】
以下、本実施の形態におけるそろばん学習プログラムおよびそろばん学習装置で提供される様々な機能について、機能別に説明する。提供される主な機能は、図3のメニュー画面に示す通り、自由そろばん、問題集そろばん、暗算力養成、初期設定変更である。問題集そろばんのメニューでは、さらに問題を学習するためのいくつかの機能が提供されている。
【0052】
<1.自由そろばん>
この自由そろばんの機能は、学習者にそろばん画像の珠を自由に移動させて、その移動された位置が表す数字をそろばん画像の該当する桁の上部に表示する機能である。図4及び図5は、この機能が選択された画面表示の例を示したものである。自由そろばんのメニューが選択されると、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従って、図4に示すようなそろばん画像401のみを操作表示部2に表示させる。このそろばん画像401では、一桁ごとに異なった色で珠を表示させると(例えば、右側の桁から、一列毎に、ピンク、黄色、緑、水色と表示させる)、学習者に桁の移動等を理解させるために役立つ。
【0053】
自由そろばんメニューが選択されて最初に表示させる図4に示すそろばん画像401は、すべての珠a、bが梁eから離れていて0の状態を表している。図4に示した画面上のいずれかの珠に指で接触して移動させると、指で接触された位置及びその移動から接触認識部51を介して接触画面座標と接触識別IDを取得した表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データから珠を移動させる方向と距離を決定し、移動後の珠の位置に珠の表示を変更させるとともに、移動後の珠の位置が表す数字をそろばん画像の該当する桁の上部に表示させる。例えば、図4に示したそろばん画像401の画面上で、学習者が、3の位では一番目の珠bを上に移動操作し、2の位では珠aと2番目の珠bを移動操作し、1の位では珠aのみを移動操作すると、図5のそろばん画像501で示すように、珠の形がそれぞれの桁の上部に数字で1,7,5と表示される。この機能により、珠の位置がどのような数を表すかを学習者に認識させ、学習者に正しい珠の置き方を学習させるものである。
【0054】
<2.問題集そろばん>
この問題集そろばんの機能は、図2に示している画面のように、画面の左側に計算問題が表示され、この問題を計算するために学習者が画面の右側に表示されているそろばん画像201を指で操作して、運珠・運指を学習するためのメニューであり、以下に記載する「基本操作の習得」、「運指お知らせ」、「問題の枠の色によるパターン認識」、「音による計算パターンの誘導」、「音と色による計算自動誘導」、「珠の動きによる計算誘導」「計算やり直し」の機能が設けられている。なお、「基本操作の習得」を除く機能については、後述する指導者からのデータファイルを受信して記憶部6にインストールすることにより設定の変更が可能となる。
【0055】
[基本操作の習得]
問題集そろばんのメニューが選択されると、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従ってそろばん画像201を操作表示部2の右側に表示させるとともに、選択された計算問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、計算問題を構成する数字やバーを操作表示部2の左側に縦方向に表示させる(図2参照)。そして、学習者が計算問題の最初の数字をそろばん上に置くために、画面上の珠に指で接触して操作したときに、接触された位置から接触認識部51を介して接触画面座標と接触識別IDを取得した表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データから珠を移動させる方向と距離を決定し、移動後の珠の位置に珠の表示を変更させるとともに、移動後の珠の位置について、当該問題データと、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データとから、学習者が正しい操作を行ったか否か判断する。そして、表示制御部52は、操作が正しくないと判断した場合には、音声処理部53を制御させて、音声出力部4から「間違ったよ!」などの警告音を出力させるとともに、移動した珠をもとの位置に復帰させるよう表示画面を制御する。
【0056】
縦に表示されている計算問題の2番目の数字からは、学習者はたし算あるいはひき算を行うための操作を行うことになる。そして、学習者が2番目の数字を1番目に置いた珠に対して問題で指定されているたし算あるいはひき算に該当する運珠・運指を画面上の珠に指で接触して操作したときに、接触された位置から接触認識部51を介して接触画面座標と接触識別IDを取得した表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データから珠を移動させる方向と距離を決定し、移動後の珠の位置に珠の表示を変更させるとともに、移動の方向と距離と移動後の珠の位置について、当該問題データと、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データと、運珠データ記憶部63に記憶されている運珠データとから、学習者が正しい操作を行ったか否か判断する。そして、表示制御部52は、操作が正しくないと判断した場合には、音声処理部53を制御させて、音声出力部4から「間違ったよ!」などの警告音を出力させるとともに、移動した珠をもとの位置に復帰させるよう表示画面を制御する。
【0057】
縦に表示されている計算問題の3番目以降の数字に対する操作について、同様の処理を問題の最後の数字まで繰り返す。
【0058】
このような機能により、学習者は正しい操作を行わなければ、先に進むことが出来ず、学習者が常に正しい珠の動きになるように監視できるようになっている。
【0059】
[運指お知らせ(珠の色での誘導)]
画面で表示されている計算問題のそれぞれの数字に対応して、動かす珠を色による表示の変化で表示させ、学習者に正しい運指を導く機能である。この機能が設定されていると、選択された計算問題に対して、表示制御部52は、問題データ記憶64に記憶された問題データと、運珠データ記憶部63に記憶された運珠データと、そろばん画像データ記憶部62に記憶されたそろばん画像データとから、例えば、親指で動かす珠であれば青色に、人差し指で動かす珠であれば赤色に、変化させるように表示を制御する。この機能では、運指の色による誘導について、常時・3秒・5秒・7秒・10秒のように、タイミングを設定することが出来る。常時に設定されていると、表示制御部52は、表示された問題を計算する順番に従って、常に動かす珠を色で表示させて、運指を案内する。一方、タイミングが例えば5秒に設定されていると、表示制御部52は、1回の珠の動作後に計時部54によって計時を開始させ、学習者が次に動作(接触)を開始するまでに5秒が経過したことを検知すると、学習者が次に動かす珠が分からず計算が止まってしまったと判断し、問題データ記憶64に記憶された問題データと、運珠データ記憶部63に記憶された運珠データと、そろばん画像データ記憶部62に記憶されたそろばん画像データとから、例えば、親指で動かす珠であれば青色に、人差し指で動かす珠であれば赤色に、変化させるように表示を制御し、運指・運珠を誘導する。
【0060】
[問題の枠の色による計算パターンA認識]
縦に表示されている計算問題の、現在計算中の数字に枠を表示し(図2中、kの符号で示す)、どの段階の計算を行っているかを表示するとともに、問題のパターンを、数字を囲む枠の色分けで表示させることにより、学習者がどのパターンを使って計算したらよいかを判断できるようにする機能である。例えば、白の枠は1手で完結、青の枠は2手で完結(5の分解/結合がある)、赤は2手で完結(繰り上がり/繰り下がりがある)、緑は3手で完結(5の分解/結合と繰り上がり/繰り下がりがある)ということを示すものである。
【0061】
この機能が設定されている場合には、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従ってそろばん画像を操作表示部2に表示させるとともに、選択された計算問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、問題を操作表示部2に表示させ、計算問題の最初の数字については計算を行わずに珠を置くだけなので、表示制御部52は、白枠を最初の数字の周囲に表示させる。2番目以下に計算する数字については、表示制御部52は、最初の数字についての操作が終了したと判断すると、問題として表示されている次の計算を行う段階の数字に枠を表示させると共に、問題データ記憶部64に記憶されている当該問題データから問題パターンに該当する枠の色を決定して、枠の色を表示させる。
【0062】
[音による計算パターンBの誘導]
珠の動き方により特定の音声を出力させて、問題の計算パターンを音により判断し習得できるようにするものであり、計算の仕組みが分からない幼児であっても、容易に計算パターンによる運珠を習得できるようになる。この機能で記載している計算パターンは、上記した問題の枠の色による計算パターンと同一ではない。
【0063】
この機能が設定されている場合には、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従ってそろばん画像を操作表示部2に表示させるとともに、選択された問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、問題の画像を操作表示部2に表示させる。そして、計算問題の2番目以下に表示された計算する数字について、表示制御部52は、そろばん画像の操作に基づくデータに従って、問題として表示された数字に対して計算を行う段階の数字に枠を表示させると共に、問題データ記憶部64に記憶されている当該問題データと運珠データ記憶部63に記憶する運珠データから、該当する計算パターンを識別し、計算パターンに従って、音声処理部53を制御させて、音声出力部4から、識別された計算パターンに該当する音声を出力させる。
【0064】
例えば、計算パターンに応じて、1珠を動かす場合は「ピン」の音声、5珠を動かす場合は「ポン」、10桁に繰り上がる場合は「パン」の音声を出力させる。具体的には、1+9は「ピン」「パン」、4+1は「ポン」「ピン」、5+9は「ピン」「ポン」「パン」と音声出力させ、これらのたし算の計算パターンを習得させる。この方法により、幼児であっても難しいひき算の方法を容易に覚えられるようになる。5+9=14「ピン」「ポン」「パン」であり、14−9=5は「パン」「ポン」「ピン」というように、ひき算の計算方法はたし算の反対の音になるので、音により容易にひき算を覚えることが出来る。
【0065】
[音と色による計算自動誘導]
学習者のそろばん画像に対する操作が所定時間行われなかった場合に、計算方法がわからなくなったと判断して、「教えるよ」などの音声を出力させ、操作させる珠の表示を使う指の色に変化させることにより、計算操作を誘導する機能である。
【0066】
この機能が設定されている場合には、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従ってそろばん画像を操作表示部2に表示させるとともに、選択された問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、問題の画像を操作表示部2に表示させる。そして、問題表示から学習者の指による操作表示部2への接触の時間や、指接触による一つの操作から次の操作を行うまでの時間を、常に計時部54で計時させ、予め設定用データ記憶部65に記憶されている設定時間データを読み出して、当該設定時間を経過して指接触を接触認識部51を介して検出されなかった場合は、音声処理部53は音声出力部4に対して例えば「教えるよ」などの音声を出力させるとともに、計算問題に表示された計算する数字について、表示制御部52は、問題データ記憶部64に記憶されている当該問題データと運珠データ記憶部63に記憶する運珠データから、次に操作すべき珠の画像の色の表示を所定の色に変化させるように制御する。例えば、親指で操作すべき珠を青色で、人差し指で操作すべき珠を赤色で表示させる。
【0067】
[珠の動きによる計算誘導]
学習者が計算問題を行っていく過程において、ある数字の計算を行う段階で操作がわからなくなった場合に、学習者が表示されている計算問題中のその数字を指で触ると、「教えるね」などの音声を出力させ、操作すべき珠の動きを表示させる機能である。珠の動きを表示させてすぐに元の状態に復帰させる設定にすることもできる。実際に珠の動きを学習者に見せることで、学習者は言葉や色ではなく、珠の動きをイメージとして記憶して、それを真似して計算することができる。これは、幼稚園児などの年齢の低い学習者が学ぶ場合に適した機能であり、計算のやり方だけでなく、学習者のイメージ力をアップさせることが出来るので、暗算力も向上させる効果が期待できる。
【0068】
この機能が設定されている場合には、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従ってそろばん画像を操作表示部2に表示させるとともに、選択された問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、問題の画像を操作表示部2に表示させる。操作表示部2に表示されている計算問題の特定の数字に対する学習者の指による接触を接触認識部51を介して検知した表示制御部52は、音声出力部4を制御して「教えるね」などの音声を出力させるとともに、問題データ記憶部64に記憶されている当該問題データと運珠データ記憶部63に記憶する運珠データとそろばん画像データ記憶部に記憶するそろばん画像データとから、次に操作すべき珠の動作を表示させるために操作表示部2の画面表示を制御する。珠の復帰モードが選択されている場合には、表示制御部52は、一旦移動させた珠をすぐに元の状態に復帰させるよう操作表示部2の画面表示を制御する。
【0069】
[計算やり直し]
あらかじめ回数を設定しておき、学習者が計算問題を行う場合に、珠の操作を誤った回数が設定された回数に達すると、その問題を最初からやり直す状態に戻す機能であり、間違いを許容する回数をあらかじめ制限することにより、学習者に集中した練習を行わせるためのものである。
【0070】
この機能が設定されている場合には、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従ってそろばん画像を操作表示部2に表示させるとともに、選択された計算問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、問題を操作表示部2に表示させ、学習者が計算問題に対する操作を順次行っていく過程において、問題データ記憶部64に記憶されている当該問題データと運珠データ記憶部63に記憶する運珠データから操作毎に正しい操作を行ったかどうかを判断し、誤った操作の回数があらかじめ設定されている回数に達すると、操作表示部2に対して、表示画面をリセットして計算問題開始の画面に戻すよう画面表示を制御する。
【0071】
<3.暗算力養成>
珠算式暗算は、そろばんの珠を頭にイメージして、その珠を実際のそろばんと同じように動かして計算をする方法である。従って、学習者の頭の中に実際には見えていないそろばんをイメージさせることを習得させるのは簡単ではない。暗算が上達できない学習者は、実際には存在しないイメージのそろばんで計算をするために、間違った位置に珠を足したり、繰り上がった珠の位置がずれるなどして、正しい答えを出すことが出来ない。
【0072】
そこで、暗算力養成のメニューが選択された場合には、表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62のデータに従って、限りなく黒に近いシンプルなそろばん画像を操作表示部2に表示させるとともに、選択された計算問題の問題データを問題データ記憶部64から抽出して、問題の画像を操作表示部2に表示させる。図6は、この機能が選択された場合の画面表示の例を示している。図6では、そろばん画像601を見やすく表示するために背景を白にしているが、実際に使用する表示画面では、背景は黒である。また、そろばん画像601は、枠や桁はなく、梁と楕円形で表現されている珠のみで構成されたシンプルな画像である。珠の色は、図6では見やすくするために、格子模様で塗りつぶされているが、実際に使用する表示画面では、珠の色は限りなく黒に近いものである。そして、学習者が限りなく黒に近い画面の珠に指で接触して操作したときに、接触された位置から接触認識部51を介して接触画面座標と接触識別IDを取得した表示制御部52は、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データから珠を移動させる方向と距離を決定し、移動後の珠の位置が、当該問題データと、そろばん画像データ記憶部62に記憶されているそろばん画像データとから、学習者が正しい操作を行ったと判断した場合にのみ、移動した位置の珠の色を灰色に変化させるように操作表示部2を制御する。
【0073】
このように、学習者が暗算を行う時に頭の中に思い浮かべるそろばんの珠に限りなく近いイメージを表示させ、その珠を実際に動かしながら練習することによって、計算問題に従って正しい位置の珠を動かし、正しい繰り上がりの場所を触ったときにのみ珠の色が変化して珠が移動するので、正しいイメージが形成されていくことになり、確実に暗算力を高めていくことができる。図6のそろばん画像601では、4+3+8+9の計算を行い、正しい答の24を示す珠が灰色に変化したことを示している。
【0074】
<4.初期設定変更>
図7は、初期設定変更のメニューが選択された場合に表示される設定表示画面の一例を示している。初期設定変更のメニューが選択されると、設定表示部55は、設定データ記憶部65から設定表示に必要なデータを取得し、表示制御部52を制御して、操作表示部2に、図7に示したような画面を表示させる。この画面では、前述した「運指お知らせ」の機能について、「教えるよ」などの呼びかけ音声のON/OFF,珠の色の変化による「運指お知らせ」の機能の設定のON/OFFの切り替えと常時あるいは秒数の設定、珠の動きによる「運指お知らせ」機能の設定のON/OFFと珠の動きの復帰動作のあり/なしの設定、「音による計算パターンBの誘導」の機能の設定のON/OFFの切り替え、「問題の枠の色による計算パターンA認識」の機能の設定のON/OFFの切り替え、「計算やり直し」の機能の設定のON/OFFの切り替えと回数の設定、がどのような設定となっているかを見ることができる。また、情報読込バーを操作することにより、後述する指導者用そろばん学習装置を使用して作成したカスタム問題ファイルやカスタム運珠ファイルをダウンロードして、問題データ記憶64や運珠データ記憶部63(図1参照)にインストールすることが出来る。インストールされたカスタム問題ファイルのカスタム問題を学習する場合には、図3に示すメニュー画面の「カスタム問題集」を選択する。
【0075】
<5.指導者用機能>
以上で、本発明によるそろばん学習装置の基本的な実施形態の説明を終える。この基本的な実施形態は、主として学習者専用のそろばん学習装置である。次に、指導者用機能を搭載したそろばん学習装置の実施形態について、図8及び図9を用いて説明する。
【0076】
図8に示すタブレット型多機能端末は指導者用機能を搭載したそろばん学習装置の構成を示すブロック図であるが、図1に示す構成とは、制御部5の設定変更処理部56のみが異なっている。図8に示したそろばん学習装置は、図1に示したそろばん学習装置の機能を基本的にすべて備えているので、その部分の説明は省略し、以下、追加されている指導者用機能についてのみ説明する。
【0077】
指導者用機能とは、問題集そろばんにおける各種機能の設定のON/OFFの切り替えや設定の変更、カスタム問題集の作成・編集、カスタム運珠の編集、の3つの機能である。
【0078】
図9は、初期設定変更のメニューが選択された場合に表示される設定変更画面の一例を示している。初期設定変更のメニューが選択されると、設定変更処理部56は、設定データ記憶部65から設定表示及び設定変更に必要なデータを取得し、表示制御部52を制御して、操作表示部2に、図9に示したような画面を表示させる。この画面では、「運指お知らせ」の機能について、「教えるよ」などの呼びかけ音声のON/OFF,珠の色の変化による「運指お知らせ」の機能の設定のON/OFFの切り替えと常時あるいは秒数の設定、珠の動きによる「運指お知らせ」機能の設定のON/OFFと珠の動きの復帰動作のあり/なしの設定、「運指お知らせ」の機能の設定のON/OFFの切り替えと常時あるいは秒数の設定、「音による計算パターンBの誘導」の機能の設定のON/OFFの切り替え、「問題の枠の色による計算パターンA認識」の機能の設定のON/OFFの切り替え、「計算やり直し」の機能の設定のON/OFFの切り替えと回数の設定、をそれぞれが表示されているバーを指で接触操作することにより実行することができる。
【0079】
さらに、運珠方法(指の使い方や、珠の動かし方)について、標準か設定かのどちらかを選択することができる。標準が選択(ON)されていると、初期設定で搭載されている標準的な指の使い方や玉の動かし方(具体的には、運珠データ記憶63に初期設定で記憶されている運珠データに基づく)で、そろばん学習プログラムが実行される。一方、運珠方法について、設定が選択(ON)されていると、カスタム運珠ファイルが運珠データ記憶部63に読み込めれている場合には、カスタム運珠により、そろばん学習プログラムが実行される。
【0080】
設定変更画面で設定・変更が実行されると、設定変更処理部55は、設定・変更データを設定データ記憶部65に記憶させ、以降、そろばん学習プログラムに従って実行される各種の処理や制御はこの設定データ記憶65に記憶された設定データを参照しながら実行される。
【0081】
図9で示す設定変更画面の「カスタム問題集作成・編集」バーを指接触により選択すると、図3で示すメニュー画面の「問題集そろばん」に該当する標準搭載問題集の加えて、自由に追加編集可能なカスタム問題集を作成・編集するための、カスタム問題集作成・編集画面が表示される。カスタム問題集作成・編集画面では、例えば、複数の問題を、プリントの問題集のように、頁ごとやテキストごとに登録可能であり、1問ごとに、画面表示されたテンキーを使用して問題の数字を一口ごとに入力し、小計及び回答を入力することが出来る。作成・編集された問題データは、カスタム問題集ファイルとして、問題データ記憶部64に保存されると共に、カスタム問題集ファイルを、他のそろばん学習装置がダウンロード出来るように、通信部3を介してアップロードすることができる。この機能により、指導者は、学習者毎に、その学習者に適したカスタム問題を提供することが可能となる。
【0082】
図9で示す設定変更画面の「カスタム運珠編集」バーを指接触により選択すると、カスタム運珠方法の編集画面が表示され、標準設定を参照しながら変更が必要な運珠データの設定変更を行い、カスタム運珠ファイルとして、運珠データ記憶部63に保存すると共に、カスタム運珠ファイルを、他のそろばん学習装置がダウンロード出来るように、通信部3を介してアップロードすることができる。
【0083】
<6.通信機能の利用>
タブレット型多機能端末に通信部3を介してテレビ、ディスプレー、プロジェクター等の外部表示機器を接続することにより、外部表示機器の表示部にそろばん学習プログラムにより操作表示部2に表示されるものと同じ画面表示を大きく表示させることが出来る。これにより、複数の学習者に同時に指導することが可能になる。
【0084】
また、複数の学習者にそれぞれタブレット型多機能端末を持たせて学習させ、それぞれのタブレット型多機能端末を通信部3を介して指導者用のサーバー等に接続させることにより、指導者側でそれぞれの学習者の進行状況等を監視することが出来るようになる。
【0085】
指導者用のサーバーや端末に、学習者の間違った問題の操作状況のデータ履歴を記録させるようにすると、指導者の次回の指導やアドバイスの有効な準備資料となる。
【0086】
さらに、表示できるそろばん画像の桁数を増加させることにより、掛け算や割り算の指導及び計算の監視をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
2 操作表示部
3 通信部
4 音声出力部
5 制御部
6 記憶部
51 接触認識部
52 表示制御部
53 音声処理部
54 計時部
55 設定表示部
56 設定変更処理部
61 そろばん学習プログラム記憶部
62 そろばん画像データ記憶部
63 運珠データ記憶部
64 問題データ記憶部
65 設定データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指で接触して操作するマルチタッチ方式のタッチインターフェイスを搭載し、指で接触した部分の接触位置を判別して検出信号を出力する操作表示手段と、
そろばんの珠・枠・梁・桁を含むそろばん画像を操作表示手段に表示させるための表示位置・大きさ・表示座標・色と表示された珠を指で接触したときの画面座標と珠位置に対応する数値とを含むそろばん画像データを記憶するそろばん画像データ記憶手段と、
0〜9の数に対してそれぞれ割り当てられた珠の位置及び配列のデータと、0〜9のそれぞれの数に1〜9のそれぞれの数を加算または減算する180通りの計算に関連づけられた運珠及び運指の手順のデータと、を含む運珠データを記憶する運珠データ記憶手段と、
計算問題を操作表示手段に表示させるとともに、そろばん画像の珠の操作を判断するための問題データを記憶する問題データ記憶手段と、
操作表示手段が出力する検出信号を受信して接触画面座標と一連の連続した同一接触を識別する接触識別IDを取得して出力する接触認識手段と、
そろばん画像データ記憶手段に記憶されたそろばん画像データに基づくそろばん画像の表示や問題データ記憶手段に記憶された問題データに基づく計算問題の表示を含む操作表示手段に対する表示の制御及び接触認識手段が出力する接触画面座標及び接触識別IDと運珠データ記憶手段に記憶された運珠データと問題データ記憶部に記憶された問題データとに基づく珠の移動の表示制御と操作の正誤の判断を実行する表示制御手段と、
を備えたそろばん学習装置。
【請求項2】
指で接触して操作するマルチタッチ方式のタッチインターフェイスを搭載し、指で接触した部分の接触位置を判別して検出信号を出力する操作表示手段と、そろばんの珠・枠・梁・桁を含むそろばん画像を操作表示手段に表示させるための表示位置・大きさ・表示座標・色と表示された珠を指で接触したときの画面座標と珠位置に対応する数値とを含むそろばん画像データを記憶するそろばん画像データ記憶手段と、0〜9の数に対してそれぞれ割り当てられた珠の位置及び配列のデータと、0〜9のそれぞれの数に1〜9のそれぞれの数を加算または減算する180通りの計算に関連づけられた運珠及び運指の手順のデータと、を含む運珠データを記憶する運珠データ記憶手段と、計算問題を操作表示手段に表示させるとともに、そろばん画像の珠の操作を判断するための問題データを記憶する問題データ記憶手段と、を備えたタブレット型多機能端末を
操作表示手段が出力する検出信号を受信して接触画面座標と一連の連続した同一接触を識別する接触識別IDを取得して出力する接触認識手段と、
そろばん画像データ記憶手段に記憶されたそろばん画像データに基づくそろばん画像の表示や問題データ記憶手段に記憶された問題データに基づく計算問題の表示を含む操作表示手段に対する表示の制御及び接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データとに基づいて珠の移動の表示制御を実行する表示制御手段として、
機能させる、そろばん学習プログラム。
【請求項3】
上記表示制御手段は、操作表示手段に表示されたそろばん画像上での指の接触に基づいて接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データとから珠を移動させる方向及び距離を決定し、移動後の珠の位置にそろばん画像上の珠の表示を変更させるとともに、移動後の珠の配置が示す数字を運珠データに基づいて該当する桁の上部に表示させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項4】
上記表示制御手段は、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、操作表示手段に表示されたそろばん画像上での指の接触による計算問題に従った操作について接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データとから珠を移動させる方向及び距離を決定し、移動後の珠の位置にそろばん画像上の珠の表示を変更させるとともに、移動後の珠の位置が正しいかどうかを問題データと運珠データとに基づいて判断し、珠の位置が正しくない場合は移動前の位置に珠の表示を復帰させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項5】
上記タブレット型多機能端末はさらに音声出力部を備え、上記表示制御手段は、珠の位置が正しくない場合は音声出力部から警告音声を出力させて移動前の位置に珠の表示を復帰させる、請求項4に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項6】
上記表示制御手段は、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、操作表示手段に表示されたそろばん画像上での指の接触による計算問題に従った操作を導くために、問題データと運珠データとそろばん画像データに基づいて、計算問題として表示されている数字の順番に従って、操作させる珠の色を順次変化させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項7】
上記タブレット型多機能端末はさらに計時部を備え、上記表示制御手段は、計算問題に従ったそろばん画像上の珠の接触と次の接触との時間を計測させて、予め設定した時間を経過したと判断したときに次に操作すべき珠の色を変化させる、請求項6に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項8】
上記表示制御手段は、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、操作表示手段に表示された計算問題の特定の数字が指で接触されたことを接触認識手段を介して検知したしたときは、計算問題に従った操作を導くために、問題データと運珠データとそろばん画像データに基づいて、計算問題中の当該数字の計算を実行する珠の動作を、操作表示手段のそろばん画像に表示させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項9】
上記表示制御手段は、操作表示手段に計算問題とそろばん画像を表示させ、表示された計算問題の数字を、計算問題に従った操作に従って、どの段階の数字を計算を行っているかを、接触認識手段から取得した接触画面座標及び接触識別IDと運珠データとそろばん画像データに基づいて、計算中の数字を枠で囲って表示させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項10】
計算問題の操作を所定の計算パターンに分けてどの計算パターンに従った操作を行うかを案内するために、上記表示制御手段は、計算中の数字の枠の色を計算パターンに従って変化させる、請求項8に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項11】
上記タブレット型多機能端末はさらに音声出力部を備え、計算問題の操作を所定の計算パターンに分けてどの計算パターンに従った操作を行うかを案内するために、上記表示制御手段は、計算中の数字毎に計算パターンに従った音声を音声出力部に出力させる、請求項8に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項12】
上記表示制御手段は、珠の位置が正しくないと判断した回数が所定の回数に達した場合に、操作表示手段に表示されたそろばん画像を計算問題開始の画面表示に復帰させる、請求項4に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項13】
上記タブレット型多機能端末を、さらに、カスタム運珠データの入力・編集手段及び記憶手段として機能させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項14】
上記タブレット型多機能端末を、さらに、カスタム問題データの入力・編集手段及び記憶手段として機能させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。
【請求項15】
上記表示制御手段は、操作表示手段に表示させるそろばん画像を、そろばん画像データに基づいて、黒色を背景として珠の色を黒に限りなく近く表示させ、計算に従ったそろばん画像上の指接触による操作が正しいと判断した場合は、移動させた珠の表示を灰色に変化させる、請求項2に記載のそろばん学習プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−256036(P2012−256036A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111047(P2012−111047)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(500308299)
【Fターム(参考)】