説明

たばこ材料充填機

【課題】たばこ材料を細径容器に短時間で充填でき、もって無煙たばこの製造効率の向上が図れるたばこ材料充填機を提供する。
【解決手段】たばこ材料充填機2は、細径容器4を起立状態で保持する保持トレイ40と、細径容器4の先端側の開口端6に当接可能な軟質の合成樹脂製の連結プラグ104を下端部103に有する導入パイプ100であって、細径容器4内に挿入される導入パイプ100及び導入パイプ100と連通する漏斗部材102を有する導入装置72と、導入装置72を昇降可能な上部シリンダ74と、漏斗部材102に一定量のたばこ材料を供給するオーガ式定量供給装置70と、細径容器4の基端側の開口端8と連通している保持トレイ40の下面開口54と密着するゴム製のサクションパッド174を有する吸引管164と、吸引管164を昇降可能な下部シリンダ168と、吸引管164に接続されている吸引ポンプ166とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこ材料に着火することなく吸気によってたばこの香味を味わう無煙たばこの製造に用いられるたばこ材料充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ材料を通気性の筒状容器に充填し、この筒状容器を空気の取り入れ部と吸い口部とを有するホルダ内に保持し、筒状容器内の充填物に着火せず筒状容器内を通過する空気を吸い込むことで、たばこの香味を味わえるようにした無煙たばこが知られている(特許文献1)。
一般的に、このタイプの無煙たばこのたばこ材料は、たばこの葉を裁刻又は細かく粉砕し、これに水や香味料等を添加して得られた粉状のたばこ粒であり、このようたばこ粒は計量されたのち、その一定量を自然落下させて前記筒状容器内に充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−2331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記筒状容器には、通常のシガレットと同等か、それ以下の内径を有する細径容器が使用されている。このような細径容器は、その開口端径が小さいので、たばこ粒の充填の際、たばこ粒同士が連なる、所謂ブリッジ現象を起こして詰まり易く、その充填が困難になる場合がある。
また、充填にたばこ粒の自然落下を利用しているので、たばこ粒の充填には時間がかかる。
このため、たばこ粒の充填作業は、無煙たばこの製造効率を低下させる要因の一つとなっていた。
【0005】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、たばこ材料を細径容器に詰まりなく確実に充填することができ、しかも、その充填に要する時間を短縮することができ、もって無煙たばこの製造効率の向上が図れるたばこ材料充填機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のたばこ材料充填機は、筒形状をなし、一端内に通気性のプラグを有し且つ他端が開口した容器に、たばこ葉を裁刻又は細かく粉砕した粉状のたばこ材料を充填するたばこ材料充填機であって、前記容器を、前記一端が下端となり且つ前記他端の開口が上向きの上端開口となる起立容器として保持する保持手段と、前記起立容器内に前記上端開口から前記たばこ材料を供給する供給手段と、前記起立容器内に前記上端開口から前記下端へ向かう空気の流れを発生させる気流発生手段とを備えていることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
具体的には、前記供給手段は、前記たばこ材料を一定量ずつ供給可能な定量供給装置と、前記定量供給装置から供給されたたばこ材料を前記起立容器の前記上端開口まで導き、前記起立容器内に導入させる導入装置とを含み、前記気流発生手段は、前記起立容器の前記下端に接続可能な吸引装置を含む構成とする(請求項2)。
この構成によれば、吸引装置の働きにより起立容器内に負圧を加えることができるので、起立容器の上端開口から下方へ向かうダウンフローを発生させることができる。このため、定量供給装置により供給された一定量のたばこ材料は、起立容器の上端開口より起立容器内へ吸い込まれていく。
【0008】
好ましくは、前記吸引装置は、前記起立容器の下方に配置された吸引管と、前記吸引管の上端に設けられ、前記吸引管の下端に密着可能なサクションパッドと、前記吸引管及び前記サクションバッドを通じて前記起立容器内を排気する吸引源とを含む構成とする(請求項3)。
この構成によれば、サクションパッドが、起立容器と吸引管との気密性を保持する。このため、吸引装置を作動させると、起立容器内に漏れなくダウンフローを発生させることができる。
【0009】
また、前記導入装置は、前記起立容器の上方に配置され、前記定量供給装置からたばこ材料の供給を受ける漏斗部材と、前記漏斗部材から下方に延び、前記漏斗部材に供給されたたばこ材料を下端から前記起立容器内に送出可能で且つ前記上端開口よりも小径の導入パイプと、前記導入パイプの下端部外周に設けられ、前記起立容器内へのたばこ材料の導入時、前記導入パイプと前記上端開口との間を気密に連結する連結ジョイントとを含む構成とすることが好ましい(請求項4)。
この構成によれば、連結ジョイントが、起立容器と導入装置との気密性を保持する。このため、吸引装置を作動させると、漏斗部材から起立容器にかけて漏れなくダウンフローを発生させることができる。
【0010】
より好ましくは、前記導入装置及び前記起立容器を相対的に接離させる昇降手段を更に備え、前記連結ジョイントは、前記導入パイプの外周に前記導入パイプの軸線方向に摺動自在に嵌められた円筒形状をなし、前記起立容器の外径よりも大径で且つ上部にフランジを有するとともに、下端部に前記上端開口の開口縁に密着可能な可撓性の密着面を有し、前記導入装置は、前記連結ジョイントの外側を囲んで配置され、前記連結ジョイントを前記フランジにて支持する上向きの支持面を有したジョイントホルダと、前記連結ジョイントを下方に向けて押圧付勢する付勢ばねとを更に含む構成とする(請求項5)。
【0011】
この構成によれば、導入装置及び起立容器を相対的に接離できるので、たばこ材料充填機への起立容器の取り付け取り外しが簡単に行え、作業効率の向上に寄与する。また、連結ジョイントは、起立容器の開口と密着する密着面が可撓性を有しており、しかも、付勢ばねにより付勢されているので、起立容器と当接した際の衝撃吸収性に優れ、起立容器を破損することを防止することができる。
【0012】
また、前記連結ジョイントの前記密着面は、前記下端部の外周に形成され、下方に向けて先細状をなす雄テーパ面である構成とすることが好ましい(請求項6)。
この構成によれば、雄テーパ面によって起立容器に対する連結ジョイントのセンタリングがなされ、これにより連結ジョイントが起立容器の上端開口に良好に密着する。
【0013】
また、前記連結ジョイントの前記密着面は、前記下端部の下面に形成され、上方に向けて先細状をなす雌テーパ面である構成とすることが好ましい(請求項7)。
この構成によれば、雌テーパ面によって起立容器に対する連結ジョイントのセンタリングがなされ、これにより連結ジョイントが起立容器の上端開口に良好に密着する。
【0014】
また、前記導入装置は、前記ジョイントホルダと前記連結ジョイントとの間に確保された遊びを更に含む構成とすることが好ましい(請求項8)。
この構成によれば、連結ジョイントがその軸線に直交する方向への移動が可能となるので、センタリング機能を発揮でき、これにより連結ジョイントが起立容器の上端開口に良好に密着する。
【0015】
また、前記導入装置は、前記漏斗部材及び前記導入パイプに振動を加えるバイブレータを更に含む構成とすることが好ましい(請求項9)。
この構成によれば、漏斗部材及び導入パイプ内でたばこ材料が詰まることを抑えることができる。
【0016】
また、前記気流発生手段は、前記漏斗部材内を通じ、前記導入パイプに向けて圧縮空気を吹き出すエアブロー装置を更に含む構成とすることが好ましい(請求項10)。
この構成によれば、漏斗部材内に供給されたたばこ材料が、圧縮空気に押されて強制的に導入パイプ内へ押し込まれていく。これにより、吸引装置によるダウンフローとの相乗効果により、たばこ材料を起立容器内へより速く充填することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るたばこ材料充填機によれば、起立容器内にその上端開口から下端へ向かう空気の流れを発生させることができるので、この空気の流れを利用してたばこ材料を起立容器内へ迅速に導入することができる。このため、従来のようにたばこ材料の自然落下だけを利用して充填していた場合に比べ、たばこ材料の充填作業を確実に且つ短時間に行え、無煙たばこの製造効率向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】無煙たばこを示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るたばこ材料充填機を一部切り欠いて示す正面図である。
【図3】連結プラグと細径容器とを拡大して示した概略構成図である。
【図4】図2のたばこ材料充填機を作動させた状態を示す概略構成図である。
【図5】導入装置を下降させたときの連結プラグと細径容器とを拡大して示した概略構成図である。
【図6】第2の実施形態に係る連結パッドを示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るたばこ材料充填機の動作を示す概略構成図である。
【図8】第3の実施形態に係るたばこ材料充填機を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明に係るたばこ材料充填機(以下、単に充填機という)について説明する前、先ず、図1を参照し、無煙たばこを説明する。
【0020】
無煙たばこ22は、通常のシガレットの形状や大きさと類似する円筒形状の吸引ホルダ20を備え、この吸引ホルダ20内にたばこカートリッジ18が収容されている。このたばこカートリッジ18は細径容器4を含み、この細径容器4はその両端が開口した円筒形状をなす。細径容器4の先端側及び基端側の開口端6,8には通気性の蓋16,10がそれぞれ嵌められている。そして、細径容器4内には、蓋16,10に当接した状態でフィルタ11,12が配設されている。なお、フィルタ11,12の代わりにメッシュ構造体を配設しても構わない。この細径容器4内は、フィルタ11とフィルタ12との間に前述したたばこ粒14が充填されている。なお、吸引ホルダ20にはその基端に吸い口部24が取り付けられているとともに、その先端にキャップ26が取り外し可能に嵌合され、このキャップ26には空気取り入れ口28が形成されている。
【0021】
充填機2は図2に示され、前述した細径容器4内にその開口端6を通じてたばこ粒14を充填するために使用される。ここで、充填機2に供給される細径容器4はその開口端8に蓋10及びフィルタ12を既に備えているものの、蓋16及びフィルタ11が未装着の空の状態にある。
図2から明らかなように、充填機2は基準線Sを有し、この基準線Sは鉛直方向に延びている。充填機2は、鉛直方向中央にて、細径容器4をその開口端6を上向きとした鉛直姿勢に保持するホルダユニット30と、このホルダユニット30の上方に配置され、細径容器4内にたばこ粒14を供給する供給ユニット32と、ホルダユニット30の下方に配置され、細径容器4内を吸引する吸引ユニット34とを備えている。これらホルダユニット30、供給ユニット32及び吸引ユニット34は、基準線Sに沿い互いに離間して配置されている。
【0022】
詳しくは、充填機2は水平なベースプレート36を備えており、このベースプレート36上には、図2でみて基準線Sの左側に支持台38が配置され、この支持台38上に前述したホルダユニット30が支持されている。
ホルダユニット30は、細径容器4を保持可能な保持トレイ40と、この保持トレイ40を保持するトレイ用フレーム42とからなる。
【0023】
保持トレイ40は直方体形状をなす台座であり、その中央に細径容器4を挿入し鉛直姿勢にして固定可能な固定孔44を備えている。この固定孔44は基準線Sと同軸に位置付けられ、基準線Sに沿い保持トレイ40を貫通して延びる縦孔である。より詳しくは、図3から明らかなように、固定孔44の下端にはインナフランジ56が形成され、このインナフランジ56は固定孔44の内径を縮径させている。それ故、固定孔44内にその上端開口50から細径容器4が開口端8側より挿入されたとき、ここでの挿入はインナフランジ56に開口端8が当接することで停止される。それ故、固定孔44内に挿入された細径容器4は基準線Sと一致する軸線を有する一方、上方を向いた開口端6を有する。
【0024】
トレイ用フレーム42は、図2に示すように、水平なトレイアーム60及びスペーサ62からなる。トレイアーム60は、平板形状をなし、支持台38側の基端部58と、この基端部58から保持トレイ40に向け、基準線Sを横断して延びる先端部66とを有する。
トレイアーム60はその基端部58がスペーサ62を介して支持台38上にボルト64により固定され、一方、その先端部66上に保持トレイ40が載置されている。更に、トレイアーム60の先端部66にはアーム貫通孔68が形成され、このアーム貫通孔68は基準線Sと同軸の軸線を有し、且つ、吸引ユニット34の進入を許容する内径寸法を有している。
【0025】
一方、供給ユニット32は、たばこ粒14を一定量ずつ供給可能な定量供給装置70と、定量供給装置70より供給されたたばこ粒14を細径容器4内にその開口端6を通じて導入する導入装置72と、導入装置72を基準線Sに沿って昇降させる上部シリンダ74と、導入装置72の下限位置を決定するストッパ装置144とを備えている。
詳しくは、図2に示すように、上部シリンダ74は基準線Sを挟んで支持台38とは反対側に配置され、駆動機構フレーム76に支持されている。この駆動機構フレーム76は、ベースプレート36から立設された後壁78及び側壁80を有し、この後壁78は基準線Sの側方に沿った幅を有し、側壁80は基準線Sから遠く離れた側の後壁78の側縁に設けられ、後壁78と直交している。
【0026】
上部シリンダ74は、角形のシリンダ本体82を有し、このシリンダ本体82は側壁78の上部に取り付けられ、その下方へ延びるピストンロッド84及びこのピストンロッド84の両側をピストンロッド84と平行に延び、シリンダ本体82を貫通する一対のガイドロッド86を有する。これらピストンロッド84及びガイドロッド86の下端には板状の昇降ヘッド88が取り付けられている。上部シリンダ74は、ピストンロッド84を伸縮させることで、昇降ヘッド88を昇降させることができ、ここでの昇降ヘッド88の昇降はシリンダ本体82に対し、一対のガイドロッド86を介して案内される。
【0027】
昇降ヘッド88の下面には、平板状の水平な上部フレーム90がボルト94を介して締結されており、この上部フレーム90は昇降ヘッド88から基準線Sに向けて延び、基準線Sを横断する先端部96を有する。この先端部96には基準線Sと同軸にしてパイプ挿通孔98が形成され、このパイプ挿通孔98は先端部96を貫通している。
上部フレーム90の先端部96には導入装置72が設けられており、この導入装置72は、ステンレス鋼製の導入パイプ100と、金属製の漏斗部材102と、連結プラグ104等からなる。
【0028】
詳しくは、導入パイプ100は、上部フレーム90のパイプ挿通孔98に挿通され、基準線Sと一致した軸線を有する一方、その軸線方向の略中間部分にて上部フレーム90に固定されている。すなわち、導入パイプ100は、上部フレーム90の上下に略同じ長さだけ突出している。また、導入パイプ100は、細径容器4の内径よりも小さい外径を有し、細径容器4内に挿入可能である。
【0029】
漏斗部材102は、基準線Sに沿って延びる直方体形状をなし、内部に基準線Sと同軸の漏斗孔99を有する。詳しくは、漏斗孔99は、漏斗部材102の上面にて開口した上部開口106を有し、上部開口106から下方へ延びるストレート孔部108と、ストレート孔部108の下端から下方に向けて先細状をなすテーパ孔部110とからなり、テーパ孔部110の表面には、低摩擦特性に優れたフッ素樹脂がコーティングされている。
【0030】
更に、漏斗部材102は漏斗孔99と同軸のパイプ挿入孔112を有し、このパイプ挿入孔112はテーパ孔部110の下端から下方へ延び、漏斗部材102の下面にて開口している。パイプ挿入孔112は導入パイプ100の外径寸法と同じ寸法の内径を有する。
このような漏斗部材102は、上部フレーム90の上方へ突出した導入パイプ100の上部101をパイプ挿入部112に受け入れた状態で、上部フレーム90の先端部96上に載置され、複数の皿ねじ116によりねじ止めされている。
【0031】
一方、連結プラグ104は、軟質の合成樹脂製の中空筒であり、導入パイプ100の下端部103を貫通させている。すなわち、連結プラグ104は導入パイプ100の下端部103を囲み、且つ、導入パイプ100に対して上下動自在にして下端部103に取り付けられている。詳しくは、図3に示すように、連結プラグ104は、導入パイプ100の外径寸法と同じ内径寸法を有するプラグボディ124と、このプラグボディ124の上端に設けられ、その径方向外側へ張り出したプラグフランジ122と、プラグボディ124の下端部を下方に向けて先細り状としたテーパ端126とを有する。なお、連結プラグ104は、軟質の合成樹脂材料のほか、ゴム等の弾性体で形成しても構わない。
【0032】
図3から明らかなように、連結プラグ104はプラグホルダ120に保持されており、このプラグホルダ120は、導入パイプ100からの連結プラグ104の抜け落ちを阻止する。具体的には、プラグホルダ120は上部フレーム90の下面から下方に延び、上部フレーム90にボルト128で締結される基端部130と、基端部130の下端から基準線Sに向けて水平に延びる保持アーム132とを有している。この保持アーム132の先端部は基準線Sを横断し、連結プラグ104を装着させたプラグ装着孔134を有する。すなわち、プラグ装着孔134の内径は、連結プラグ104のプラグフランジ122の外径よりは小さく、且つ、プラグボディ124の外径よりは僅かに大きい。それ故、プラグホルダ120からの連結プラグ104の落下はプラグフランジ122により阻止されている。更に、プラグ挿入孔134とプラグボディ124との間には、僅かな環状の遊び136が確保されており、この遊び136は、基準線Sに対し、水平方向への連結プラグ104の変位を許容する。
【0033】
また、プラグフランジ122と、上部フレーム90との間には、導入パイプ100を囲むようにして圧縮コイルばね(以下、プラグばねという)142が配設されている。このプラグばね142は、連結プラグ104を下方に向けて付勢している。
以上のような導入装置72は、上部シリンダ74におけるピストンロッド84の伸縮に連動し、その全体が基準線Sに沿って昇降可能である。
【0034】
図2から明らかなように、前述したストッパ装置144は、駆動機構フレーム76の後壁78に取り付けられ、上部シリンダ74よりも下方に位置付けられている。具体的には、ストッパ装置144は後壁78にボルト146で固定されたストッパホルダ148と、ストッパホルダ148にねじ込まれ、ストッパホルダ148を上下方向に貫通するストッパボルト150と、ストッパボルト150を所定位置で固定する固定ナット152とを備えている。このストッパ装置144は、上部フレーム90の下端面154がストッパボルト150の上端156に当接することにより、導入装置72の下限位置を決定する。ここで、導入装置72の下限位置は、ストッパボルト150のねじ込み量を調節し、その上端の位置を可変することで調整可能である。
【0035】
本実施形態の場合、前述した定量供給装置70はオーガ式のものであって、漏斗部材102の上方に配設されたホッパ158を備え、このホッパ158内にはたばこ粒14が貯留されている。ホッパ158の下端からは供給管118が下方の漏斗部材102に向けて延びている。供給管118は漏斗部材102の漏斗孔99内に位置付けられた下端を有し、この下端に供給口160を有する。供給管118内にはオーガスクリュー162が回転可能に配置され、このオーガスクリュー162は供給口160からホッパ158に向けて延び、その上端部はホッパ158内に突出している。オーガスクリュー162の上端は駆動装置(図示せず)に接続され、この駆動装置はオーガスクリュー162を一方向に回転させることができる。上述のオーガ式定量供給装置70は、オーガスクリュー162の回転回数に応じた一定量ずつのたばこ粒14を供給口160から漏斗部材102の漏斗孔99内に供給することができる。
【0036】
次に、前述した吸引ユニット34は、吸引管164、吸引ポンプ166、下部シリンダ168等からなる。
下部シリンダ168は、上部シリンダ74と同様な構成を有し、駆動機構フレーム76の下部に配設されている。なお、下部シリンダ168については、上部シリンダ74と同じ機能を発揮する箇所には、同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0037】
吸引管164は基準線S上に配置され、台座170から立設された状態にあって、その上端にサクションパッド174を有している。台座170は、下部シリンダ168の昇降ヘッド88に連結された下部フレーム176に皿ねじ182によりねじ止めされている。詳しくは、下部フレーム176は前述した上部フレーム90と同様に水平に延び、基準線Sを横断する先端部180を有し、この先端部180に台座170が載置されている。
【0038】
サクションパッド174はゴム製の円筒形状をなし、吸引管164に連通している。詳しくは、サクションパッド174は、上述した保持トレイ40の下面開口54よりも大径であり、その内径は下面開口54の内径よりも大きい。
吸引管164は、サクションパッド174と台座170との間にスイベルジョイント184を備え、このスイベルジョイント184を介して可撓性を有する連結ホース186の一端に接続されている。この連結ホース186は前述した吸引ポンプ166に向けて延び、この吸引ポンプ166にその他端にて接続されている。
【0039】
吸引管164は、下部シリンダ168の働きにより、基準線Sに沿って昇降可能である。
次に、前述した充填機2の作用について以下に説明する。
まず、細径容器4をフィルタ12側の開口端8を下にし、保持トレイ40の固定孔44に挿入する。その後、上部シリンダ74を作動させて、導入装置72を下降させるとともに、下部シリンダ168も作動させて、吸引管164を上昇させる。これにより、細径容器4は導入装置72と吸引管164で上下方向から挟み込むことができる。
【0040】
より詳しくは、図4に示すように、吸引管164が上昇すると、サクションパッド174はトレイアーム60のアーム貫通孔68を通じて保持トレイ40の下面48に当接する。サクションパッド174は、柔軟性を有するゴム製であるので、保持トレイ40の下面48に密着し、これにより、細径容器4は保持トレイ40の固定孔44及びサクションパッド174を介して吸引管164に気密性を十分に確保ししつ接続される。
【0041】
一方、導入装置72が下降すると、導入パイプ100の下端部103が細径容器4の上側の開口端6を通じて細径容器4内に進入した後、連結プラグ104のテーパ端126が開口端6の周縁に当接する。詳しくは、図5から明らかなように、細径容器4の開口端6と連結プラグ104のテーパ端126が当接した後、導入装置72全体が更に下降すると、プラグばね142の押圧力に抗してプラグパッド104は上昇し、そのプラグフランジ122がプラグホルダ120から持ち上がる。ここで、連結プラグ104が軟質の合成樹脂製であることと、プラグばね142の付勢作用により、連結プラグ104のテーパ端126は細径容器4の開口端6の内周に良好に密着し、導入パイプ100は細径容器4に対し、気密を確保した状態で接続可能であるとともに、接続時の衝撃も十分に緩和可能となる。
【0042】
また、連結プラグ104のテーパ端126及びプラグ挿入孔134と連結プラグ104との間の遊び136は互いに協働して、開口端6に対する連結プラグ104のセンタリング機能を発揮し、開口端6への連結プラグ104の差込みを円滑にする。
ここで、導入装置72が下限位置に到達すると、導入パイプ100の下降が停止されることから、連結プラグ104が細径容器4の開口端6内に過度に差し込まれることなく、細径容器4の破損を確実に防止することができる。
【0043】
この後、吸引ポンプ166を作動させ、サクションパッド174を介して、細径容器4、導入パイプ100及び漏斗部材102内の空気を吸引することにより、これらの内部に図4中矢印Aで示すようなダウンフローが発生する。
このような状態で、オーガスクリュウ162を所定の回数だけ回転させ、一定量のたばこ粒14を漏斗部材102の漏斗孔99に供給すると、この漏斗孔99の内面はフッ素樹脂でコーティングされているので、たばこ粒14は、漏斗孔99から導入パイプ100内に円滑に導入される。また、この際には、上述のダウンフローが発生しているので、たばこ粒14は一気に導入パイプ100を通過して細径容器4内に充填され、極めて短時間に充填作業が終了する。
【0044】
充填後、吸引ポンプ166による吸引を止め、上部シリンダ74を作動させて、導入装置72を上昇させて細径容器4から連結プラグ104を抜き出す一方、下部シリンダ168を作動させて吸引管164を下降させ、保持トレイ40の下面48からサクションパッド174を離間させる。この状態で、たばこ粒14が充填された細径容器4を保持トレイ40から取り出し、後工程へ搬送する。
この後、上述の動作が繰り返され、新たな空の細径容器4にたばこ粒14が同様に充填される。
【0045】
本発明は、上述した第1の実施形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、第1の実施形態では、オーガ式定量供給装置70を用いているが、体積計量装置により計量した一定量のたばこ粒14をコンベア等で搬送し、漏斗部材102の漏斗孔99に供給する構成としてもよい。
また、定量供給装置70は基準線Sに沿って配置されている必要はなく、その供給口160から漏斗部材102の漏斗孔99内にたばこ粒14を供給できればよく、基準線Sに対し斜め又は横向きに配置されていてもよい(図4中、二点鎖線で示す供給管を参照)。
【0046】
更に、第1の実施形態では、通常のシガレットと同等の大きさの吸引ホルダ20に収容される細径容器4にたばこ粒を充填する充填機について説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、導入パイプ100の外径を種々変更することにより、通常のシガレットよりも大径あるいは小径の吸引ホルダに収容される各種内径寸法の細径容器4にたばこ粒を充填する構成としてもよい。
更にまた、第1の実施形態では、円筒形状の細径容器4について説明したが、本発明は、この態様に限定されるものではなく、横断面が、楕円形状、多角形状等の細径容器4を採用することもできる。なお、このとき導入パイプ100及び連結プラグ104の形状を斯かる細径容器4の形状に合致するように変更しても構わない。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の充填機2は、連結プラグ及びその周辺の構成を変更したことを除き、第1の実施形態の充填機2と同様であるので、変更した部分のみ説明し、同一箇所には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態の場合、連結プラグ104に代えて連結パッド200が使用され、この連結パッド200は、図6に示すように、その中心に貫通孔202を有する軟質の合成樹脂製の円筒体であり、上下に開口端204,206を有する。上側の開口端204はその外周にパッドフランジ208を有し、このパッドフランジ208は、連結パッド200の外径よりも大径である。貫通孔202の下端部は開口端206の下面から上方に向けて縮径されたテーパ孔部210として形成され、このテーパ孔部210の下端径は細径容器4の外径よりも大である。更に、貫通孔202はテーパ孔部210よりも上側の部位が段付き孔に形成され、開口端204側から大径孔部236及び小径孔部237となっている。小径孔部237の内径は、導入パイプ100の外径と同一であるが、大径孔部236の内径は、導入パイプ100の外径よりも大であり、よって、大径孔部236と小径孔部237との間の境界には段差部212が形成されている。なお、連結パッド200は、軟質の合成樹脂材料のほか、ゴム等の弾性体で形成しても構わない。
【0049】
図6から明らかなように導入パイプ100は、連結プラグ200内に上側の開口端204から挿入され、その下端部はテーパ孔部210に進入することなく小径孔部237に嵌合されている。それ故、導入パイプ100の外面214と連結パッド200における大径孔部236の内面216との間には環状隙間218が確保されている。この環状隙間218には、パッドばね143の下部が受け入れられている。詳しくは、パッドばね143は段差部212と、上部フレーム90の下端面140との間にて、導入パイプ100を囲むように配設されている。このパッドばね143は、円筒状のパッドリテーナ222に対し、連結パッド200を下方に向けて押圧付勢している。
【0050】
詳しくは、パッドリテーナ222は、上部フレーム90の下端面140にボルト220を介してフランジ結合されている。即ち、バッドリテーナ222はその上端にフランジ230を有し、このフランジ230がボルト220により上部フレーム90に固定されている。なお、パッドリテーナ222の下端部は下方に向けて先細となるテーパ状に形成されている。
パッドリテーナ222はその内部にパッド収容孔228を有し、このパッド収容孔228はパッドリテーナ222の上面及び下面に上端開口224及び下端開口226として開口している。
【0051】
バッド収容孔228は段付き孔であり、開口端224側の大径孔部231、下端開口226側の小径孔部233、そして、これら大径孔部231と小径孔部233との間の段差部234を有する。大径孔部231の内径は、パッドフランジ208の外径よりも僅かに大きく、小径孔部233の内径は、連結パッド200の外径よりも僅かに大きい。それ故、連結パッド200は、パッド収容孔228内に上端開口224から挿入され、そして、そのパッドフランジ208が掛止されることで、パッド収容孔228に保持される。このとき、連結パッド200と小径孔部233との間には環状の遊び238が確保され、また、その下端はパッドリテーナ222の下面から所定の長さだけ下方に突出する。そして、パッドリテーナ222の段差部234は前述したパッドばね143による連結パッド200の押圧付勢力をそのパットフランジ208を介して受け止めている。
【0052】
上述の連結パッド200を備える導入装置72の動作について、図7を参照しながら以下に説明する。
図7(a)は、上部シリンダ74により導入装置72を下降させる前の状態を示している。この後、上部シリンダ74を作動させ、導入装置72を下降させると、図7(b)に示すように、まず、連結パッド200の下端、即ち、テーパ孔部210が細径容器4の開口端6と当接する。更に、導入装置72の下降が進むと、図7(c)に示すように、テーパ孔部210及び前述した遊び238の協働作用により細径容器4の開口端6に対する連結パッド200のセンタリングがなされ、これにより、連結パッド200のテーパ孔部210は細径容器4の開口端6に良好に密着することができる。この後、導入装置72の下降が更に進むと、パッドばね143の押圧力に抗して連結パッド200が押し上げられ、これに伴い導入パイプ100が細径容器4内に進入していく。
【0053】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の充填機2は、たばこ粒14の充填効率を更に高めるため、バイブレータ240及びエアブローノズル242が更に付加されている点のみで、第1の実施形態のものと相違し、その他の点については第1の実施形態と同様であるので、変更した部分のみ説明し、同一箇所には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
第3の実施形態の充填機2は、図8に示すように、漏斗部材102の外面244に配設されたバイブレータ240を備え、このバイブレータ240はその作動により、漏斗部材102を含めて導入パイプ100を振動させることで、漏斗部材102及び導入パイプ100内でのたばこ粒14の詰まりを有効に抑えることができる。この結果、たばこ粒14が漏斗部材102及び導入パイプ100内をスムーズに通過し、たばこ粒14の充填作業の効率を向上させることができる。
【0055】
更に、この実施形態の充填機2は、2個のエアブローノズル242を備えており、これらエアブローノズル242は漏斗部材102の上方にて供給管118を挟むように配置され、漏斗部材102の漏斗孔99に向けて開口したノズル口を有する。これらエアブローノズル242は、図示しないコンプレッサに接続されており、このコンプレッサにより加圧された空気をノズル口から漏斗孔99内にエアブローとして勢いよく吹き出すことができる。この結果、供給管118から漏斗孔99内に供給されたたばこ粒14を導入パイプ100内へ押し込むことができる。
【0056】
上述のエアブローは、吸引装置164によるダウンフローとの相乗効果で、たばこ粒14の充填作業の効率を更に向上させることができる。
なお、上記した実施形態においては、導入装置を昇降可能としたが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、導入装置を固定とし、保持トレイを昇降可能とし、細径容器及び吸引管の双方を導入パイプに対して昇降態様としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
2 たばこ材料充填機
4 細径容器
14 たばこ粒
30 ホルダユニット
32 供給ユニット
34 吸引ユニット
40 保持トレイ
44 固定孔
70 オーガ式定量供給装置(定量供給装置)
72 導入装置
74 上部シリンダ
100 導入パイプ
102 漏斗部材
104 連結プラグ
164 吸引管
166 吸引ポンプ
168 下部シリンダ
174 サクションパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状をなし、一端内に通気性のプラグを有し且つ他端が開口した容器に、たばこ葉を裁刻又は細かく粉砕した粉状のたばこ材料を充填するたばこ材料充填機であって、
前記容器を、前記一端が下端となり且つ前記他端の開口が上向きの上端開口となる起立容器として保持する保持手段と、
前記起立容器内に前記上端開口から前記たばこ材料を供給する供給手段と、
前記起立容器内に前記上端開口から前記下端へ向かう空気の流れを発生させる気流発生手段と
を備えていることを特徴とするたばこ材料充填機。
【請求項2】
前記供給手段は、
前記たばこ材料を一定量ずつ供給可能な定量供給装置と、
前記定量供給装置から供給されたたばこ材料を前記起立容器の前記上端開口まで導き、前記起立容器内に導入させる導入装置と
を含み、
前記気流発生手段は、
前記起立容器の前記下端に接続可能な吸引装置を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のたばこ材料充填機。
【請求項3】
前記吸引装置は、
前記起立容器の下方に配置された吸引管と、
前記吸引管の上端に設けられ、前記吸引管の下端に密着可能なサクションパッドと、
前記吸引管及び前記サクションバッドを通じて前記起立容器内を排気する吸引源と
を含むことを特徴とする請求項2に記載のたばこ材料充填機。
【請求項4】
前記導入装置は、
前記起立容器の上方に配置され、前記定量供給装置からたばこ材料の供給を受ける漏斗部材と、
前記漏斗部材から下方に延び、前記漏斗部材に供給されたたばこ材料を下端から前記起立容器内に送出可能で且つ前記上端開口よりも小径の導入パイプと、
前記導入パイプの下端部外周に設けられ、前記起立容器内へのたばこ材料の導入時、前記導入パイプと前記上端開口との間を気密に連結する連結ジョイントと
を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のたばこ材料充填機。
【請求項5】
前記導入装置及び前記起立容器を相対的に接離させる昇降手段を更に備え、
前記連結ジョイントは、
前記導入パイプの外周に前記導入パイプの軸線方向に摺動自在に嵌められた円筒形状をなし、前記起立容器の外径よりも大径で且つ上部にフランジを有するとともに、下端部に前記上端開口の開口縁に密着可能な可撓性の密着面を有し、
前記導入装置は、
前記連結ジョイントの外側を囲んで配置され、前記連結ジョイントを前記フランジにて支持する上向きの支持面を有したジョイントホルダと、
前記連結ジョイントを下方に向けて押圧付勢する付勢ばねと
を更に含むことを特徴とする請求項4に記載のたばこ材料充填機。
【請求項6】
前記連結ジョイントの前記密着面は、前記下端部の外周に形成され、下方に向けて先細状をなす雄テーパ面である
ことを特徴とする請求項5に記載のたばこ材料充填機。
【請求項7】
前記連結ジョイントの前記密着面は、前記下端部の下面に形成され、上方に向けて先細状をなす雌テーパ面である
ことを特徴とする請求項5に記載のたばこ材料充填機。
【請求項8】
前記導入装置は、前記ジョイントホルダと前記連結ジョイントとの間に確保された遊びを更に含む
ことを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載のたばこ材料充填機。
【請求項9】
前記導入装置は、
前記漏斗部材及び前記導入パイプに振動を加えるバイブレータを更に含む
ことを特徴とする請求項4〜8の何れかに記載のたばこ材料充填機。
【請求項10】
前記気流発生手段は、
前記漏斗部材内を通じ、前記導入パイプに向けて圧縮空気を吹き出すエアブロー装置を更に含む
ことを特徴とする請求項4〜9の何れかに記載のたばこ材料充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−182710(P2011−182710A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51714(P2010−51714)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】