説明

つや消しされたポリアクリラート成形体用の成形材料

成形材料の全質量をそれぞれ基準としてA)(メタ)アクリラート(コ)ポリマーからか又は(メタ)アクリラート(コ)ポリマーの混合物からなるポリマーマトリックス49.5質量%〜99.5質量%、B)セラミックビーズ0.5質量%〜15.0質量%を含有する成形材料、ここで前記成形材料が、0.1cm3/10min〜5.0cm3/10minのISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるメルトボリュームフローレイトMVRを有する。前記成形材料は、ビロードのようにマットでかつ好ましくは粗い表面を有する成形体の製造に使用されることができる。この種の成形体は、特に、家庭電化製品、通信装置、ホビー用具又はスポーツ用具の部品、自動車組立、船舶組立又は航空機組立におけるボディー部品又はボディー部品の部品として、照明、合図又はシンボル用の部品として、小売店又は化粧品カウンター、容器、家庭装飾又はオフィス装飾、家具用途、シャワードア及びオフィスドアとして、並びに建築工業における部品として、壁として、窓枠、腰掛け、ランプカバー、散乱板として及び自動車グレージングに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つや消しされた成形体用の成形材料並びに相応する成形体及び前記成形体の使用に関する。
【0002】
技術水準
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をベースとする成形材料は、多種多様な用途に使用される。このためには、前記材料は通常、押し出されるか又は射出成形されて成形品となる。これらの成形体は、典型的なPMMA特性、例えば高い耐引っかき性、耐候性、耐熱成形性、卓越した機械的特有値、例えば引張弾性率及び良好な耐応力亀裂性(Spannungsrissbestaendigkeit)により特徴付けられる。
【0003】
押出PMMA成形体又は同時押出PMMA成形体の使用分野は極めて多方面にわたっている:例えば、押出プレート又は同時押出プレートは、屋外分野用、特に自動車取付部材、構造部材、スポーツ用品表面及びランプカバー(Leuchtenabdeckungen)用に、並びに屋内分野において、特に家具工業において、自動車のランプカバー及び内装用に、使用される。
【0004】
透明で滑らかな表面を有する押出PMMA成形体又は同時押出PMMA成形体に加えて、この種の用途のためには、しばしばマットでかつ好ましくは粗い表面は、それらのより快い触覚及び光学的効果に基づいて、望まれる。そのような表面はたいてい、添合した有機粒子又は無機粒子を含有する成形材料の使用によって実現される。
【0005】
こうして改質されたこれらの成形材料は、しかし有機つや消し剤の使用の場合に、良好な機械的性質、特に満足すべき耐摩耗性を示さない。また、相応する成形体の良好な耐候性はしばしば、大量の光安定剤の使用によってのみ保証されることができる。
【0006】
例えばタルクのような通常の無機つや消し剤の加工の際に不利であるのは、PMMA成形材料中への煩雑な添合である。例えば、無機つや消し剤を均一に前記成形材料中へ添合するためには、配合の際に極めて高い剪断エネルギーを用いて操作されなければならない。前記成形材料中への散乱剤(Streumittels)の均質な分布が保証されていない場合には、このことは、これから製造された押出PMMA成形体又は同時押出PMMA成形体の表面(欠陥又は不規則性、例えば膨れきず(Pickel))で分かる。さらに、この種の成形体のその他の材料特性も改善に値する。
【0007】
国際公開(WO)第02/068519号には、例えばPMMAのようなマトリックスと、その中に分散された例えばW-410 Zeeospheres(登録商標)のようなセラミックビーズとからなる硬い表面材料が記載されている。前記セラミックビーズには、機能性コーティングが設けられており、このコーティングが前記マトリックスの樹脂と反応し、かつ前記ビーズは前記マトリックスと共有結合する。国際公開(WO)第02/068519号の表面材料は、高い耐炎性により特徴付けられる。
【0008】
国際公開(WO)第03/054099号は、最上層が透明な樹脂と、例えばセラミックビーズのようなつや消し剤とを含む、粘着テープに関する。
【0009】
国際公開(WO)第97/21536号には、例えばセラミックビーズのようなつや消し剤を熱可塑性ポリマー中へ導入することができる押出法が開示されている。
【0010】
米国特許(US)第5,787,655号明細書には、例えばセラミックビーズのような無機ビーズが添合されている熱可塑性ポリマーからなるスリップ防止(rutschfesten)フィルムが記載されている。
【0011】
米国特許(US)第5,562,981号明細書は、貨物トレーラーの車体(Aufbau)に関する。前記トレーラーの側壁は、前記壁を追加的に強化するために、セラミックビーズが混合された繊維強化プラスチックを含む。
【0012】
国際公開(WO)第2005/105377号には、少なくとも280℃の加工温度を有する熱可塑性プラスチック、超砥粒及び充填剤、例えばセラミックビーズからなる組成物が開示されている。この組成物は研磨器具(Schleifutensilien)の製造に使用される。
【0013】
課題及び解決手段
本発明の目的は、目下、微細につや消しされた(feinmattierter)表面を有する成形体の製造に使用されることができる成形材料を見出すことにあった。その場合に、前記成形材料が、できるだけ単純な方法で、特に相対的に低いエネルギー消費で、製造可能及び加工可能であるべきである。さらに、前記成形材料から製造可能な物品が、できるだけ良好な光学的性質及び機械的性質、できるだけ高い長期安定性及び耐候性並びにできるだけ少ない光沢を有し、できるだけ均質で、ビロードのようにマットな(samtmatte)表面を有するべきである。さらにまた、前記成形材料から製造可能な物品は、できるだけ粗い表面を有するべきである。
【0014】
これらの課題並びに前記の考察から必然的に導き出されうるか又は直接的にもたらされるさらなる課題は、当該請求項1の全ての特徴を有する成形材料によって解決される。この請求項を引用する従属請求項は、前記成形材料の特に好都合な態様を記載し、かつ別の請求項は、前記成形材料の特に有利な使用に関する。
【0015】
組成物の全質量をそれぞれ基準として、
A)(メタ)アクリラート(コ)ポリマーからか又は(メタ)アクリラート(コ)ポリマーの混合物からなるポリマーマトリックス 49.5質量%〜99.5質量%、
B)セラミックビーズ 0.5質量%〜15.0質量%、
を含有し、ここで成形材料がISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定される0.1cm3/10min〜5.0cm3/10minの範囲内のメルトボリュームフローレイトMVRを有する組成物を提供することによって、簡単に予測できない方法で、微細につや消しされた表面を有する成形体の製造に卓越して適している成形材料を得ることができた。その場合に、前記成形材料は、匹敵しうる単純な方法で、特に相対的に低いエネルギー消費で、製造可能及び加工可能であり、かつ要求の大きい部材形状の実現も可能にする。
【0016】
同時に、前記成形材料から製造可能な物品は、以下の有利な性質の組合せにより特徴付けられる:
・これらは、極めて良好な光学的性質、特に、極めて低い光沢を有すると共に比較的均質でビロードのようにマットな表面を有する。この効果は、前記成形体の興味深い表面粗さによりさらに強化された。
・これらは、卓越した機械的性質、特に、極めて良好な耐摩耗性、衝撃強さ及びノッチ付き衝撃強さ、高い弾性率及び高い引張強さ、高い引っかき硬度(Ritzhaerte)及び高いビカット軟化温度並びに低い熱膨張係数を示す。
・前記成形体の長期安定性及び耐候性は同様に卓越している。
【0017】
発明の実施の形態
ポリマーマトリックスA)
ポリマーマトリックスA)は、(メタ)アクリラート(コ)ポリマーからか又は(メタ)アクリラート(コ)ポリマーの混合物からなる。
【0018】
(メタ)アクリラート(コ)ポリマー
本発明の特に好ましい第一の実施態様の範囲内で、前記マトリックスの(メタ)アクリラート(コ)ポリマーは、メタクリル酸メチル少なくとも80.0質量%と、メタクリル酸メチルと共重合可能な別のモノマーの場合により20.0質量%までとのホモポリマー又はコポリマーを含む。前記(メタ)アクリラート(コ)ポリマーは、好都合には80.0質量%〜100.0質量%、好ましくは90.0質量%〜99.5質量%がラジカル重合されるメタクリル酸メチル単位から、及び場合により0.0質量%〜20.0質量%、好ましくは0.5質量%〜10.0質量%がラジカル重合可能な別のコモノマー、例えばC1〜C4−アルキル(メタ)アクリラート、特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はアクリル酸ブチルからなる。好ましくは、前記マトリックスの平均分子量Mwは90,000g/mol〜200,000g/mol、特に95,000g/mol〜180,000g/molの範囲内である。
【0019】
好ましくは、前記ポリマーマトリックスは、メタクリル酸メチル96.0質量%〜100.0質量%、好ましくは97.0質量%〜100.0質量%、特に好ましくは98.0質量%〜100.0質量%及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル及び/又はアクリル酸ブチル0.0質量%〜4.0質量%、好ましくは0.0質量%〜3.0質量%、特に0.0質量%〜2.0質量%の(メタ)アクリラート(コ)ポリマーからなる。
【0020】
前記(メタ)アクリラート(コ)ポリマーは、45.0ml/g〜80.0ml/g、好ましくは50.0ml/g〜75.0ml/gの25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)を好ましくは有する。これは、80,000〜200,000(g/mol)、好ましくは100,000〜170,000の範囲内の分子量Mw(質量平均)に相当しうる。分子量Mwの測定は、例えばゲル浸透クロマトグラフィーにより又は光散乱法により行われることができる(例えばH. F. Mark他, Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, 2nd. Edition, Vol. 10, p.1以降, J. Wiley, 1989参照)。
【0021】
ビカット軟化温度VET(ISO 306-B50)は、好ましくは少なくとも100℃、特に好ましくは少なくとも104℃、さらにより好ましくは104℃〜114℃及び殊に105℃〜110℃である。
【0022】
前記ポリマーのメルトボリュームフローレイトMVR(ISO 1133、230℃/3.8kg)は、好都合には0.5cm3/10min〜5.0cm3/10minの範囲内、特に好ましくは1.0cm3/10min〜2.9cm3/10minの範囲内である。
【0023】
無水マレイン酸を含有する(メタ)アクリラート(コ)ポリマー
本発明の特に好ましい第二の実施態様の範囲内で、前記マトリックスの(メタ)アクリラート(コ)ポリマーは、メタクリル酸メチル、スチレン及び無水マレイン酸のコポリマーを含む。
【0024】
25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)は、好ましくは65ml/g以上、より好ましくは68ml/g〜75ml/gである。これは、130000g/molの分子量Mw(質量平均)(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いる、校正標準としてのポリメタクリル酸メチルに関するMwの測定)に相当しうる。分子量Mwの測定は、例えばゲル浸透クロマトグラフィーにより又は光散乱法により行われることができる(例えばH. F. Mark他, Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, 2nd. Edition, Vol. 10, p.1以降, J. Wiley, 1989参照)。
【0025】
ビカット軟化温度VET(ISO 306-B50)は、好都合には少なくとも112℃、特に好ましくは114℃〜124℃、殊に118℃〜122℃である。
【0026】
前記ポリマーのメルトボリュームフローレイトMVR(ISO 1133、230℃/3.8kg)は、好都合には0.5cm3/10min〜5.0cm3/10minの範囲内、特に好ましくは1.0cm3/10min〜2.9cm3/10minの範囲内である。
【0027】
特に適した量割合は次の通りである:
メタクリル酸メチル 50質量%〜90質量%、好ましくは70質量%〜80質量%、
スチレン10質量%〜20質量%、好ましくは12質量%〜18質量%及び
無水マレイン酸5質量%〜15質量%、好ましくは8質量%〜12質量%。
【0028】
さらに、ポリマー混合物の使用も、極めて特に有用であることが分かっている。これらは好ましくは、
d)55ml/g以下、好ましくは50ml/g以下、特に45ml/g〜55ml/gの25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)(これは、95000g/molの分子量Mw(質量平均)(ゲル浸透クロマトグラフィーを用いる、校正標準としてのポリメタクリル酸メチルに関するMwの測定)に相当しうる)により特徴付けられる、少なくとも1つの低分子量(メタ)アクリラート(コ)ポリマーを、
e)65ml/g以上、好ましくは68ml/g〜75ml/gの25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)により特徴付けられる、より高分子量の(メタ)アクリラート(コ)ポリマー及び/又は
f)50ml/g〜55ml/g、好ましくは52ml/g〜54ml/gの25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)(これは、80,000〜200,000(g/mol)、好ましくは100,000〜150,000の範囲内の分子量Mw(質量平均)に相当しうる)により特徴付けられる、d)とは異なる別の(メタ)アクリラート(コ)ポリマー
との混合物で含み、
ここで成分d)、e)及び/又はf)はそれぞれ、それ自体が個々のポリマーと並びにポリマーの混合物とみなして理解されることができ、d)、e)及び/又はf)は、好ましくは合計100.0質量%になり、かつポリマー混合物d)、e)及び/又はf)はさらに常用の添加剤、助剤及び/又は充填剤を含有していてよい。
【0029】
次の割合が特に好ましい:
成分d):好ましくは25.0質量%〜75.0質量%、より好ましくは40.0質量%〜60.0質量%、特に45.0質量%〜55.0質量%。
成分e)及び/又はf):10.0質量%〜50.0質量%、好ましくは12.0質量%〜40.0質量%。
【0030】
成分d)及びe)は好都合にはそれぞれ、メタクリル酸メチル、スチレン及び無水マレイン酸のコポリマーである。
【0031】
特に適した量割合は次の通りである:
メタクリル酸メチル50質量%〜90質量%、好ましくは70質量%〜80質量%、
スチレン10質量%〜20質量%、好ましくは12質量%〜18質量%及び
無水マレイン酸5質量%〜15質量%、好ましくは8質量%〜12質量%。
【0032】
成分f)は好ましくは、メタクリル酸メチル少なくとも80質量%と、メタクリル酸メチルと共重合可能な別のモノマーの場合により20質量%までとのホモポリマー又はコポリマーである。
【0033】
成分f)は好都合には、80.0質量%〜100.0質量%、好ましくは90.0質量%〜99.5質量%が、ラジカル重合されたメタクリル酸メチル単位から、及び場合により0.0質量%〜20.0質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%が、ラジカル重合可能な別のコモノマー、例えばC1〜C4−アルキル(メタ)アクリラート、特にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はアクリル酸ブチルからなる。好ましくは、前記マトリックスの平均分子量Mwは90,000g/mol〜200,000g/mol、特に100,000g/mol〜150,000g/molの範囲内である。
【0034】
成分f)は好ましくは、メタクリル酸メチル95.0質量%〜99.5質量%及びアクリル酸メチル0.5質量%〜5.0質量%、好ましくは1.0質量%〜4.0質量%のコポリマーである。
【0035】
成分f)は好ましくは、少なくとも107℃、特に好ましくは108℃〜114℃のビカット軟化温度VET(ISO 306-B50)を有する。メルトボリュームフローレイトMVR(ISO 1133、230℃/3.8kg)は、好ましくは2.5cm3/10min以上である。
【0036】
前記のコポリマーは、それ自体として知られた方法でラジカル重合により得られることができる。欧州特許出願公開(EP-A)第264 590号明細書には、メタクリル酸メチル、ビニル芳香族化合物、無水マレイン酸並びに場合により低級アルキルアクリラートからなるモノマー混合物からの成形材料の製造方法が例えば記載されており、前記方法の場合に、重合は、50%の転化率まで重合不可能な有機溶剤の存在又は不在で実施され、かつ前記重合は少なくとも50%の転化率から75℃〜150℃の温度範囲内で有機溶剤の存在で少なくとも80%の転化率まで続けられ、かつ引き続き低分子量揮発性成分が蒸発される。
【0037】
特開昭(JP-A)60-147 417号公報には、耐高熱成形性(hochwaermeformbestaendigen)ポリメタクリラート成形材料の製造方法が記載されており、前記方法の場合にメタクリル酸メチル、無水マレイン酸及び少なくとも1つのビニル芳香族化合物のモノマー混合物が、溶液重合又はバルク重合に適している重合反応器中へ、100℃〜180℃の温度で供給され、かつ重合される。独国特許出願公開(DE-OS)第44 40 219号明細書には、別の製造方法が記載されている。
【0038】
成分A)は、例えば、メタクリル酸メチル3000g、スチレン600g及び無水マレイン酸400gのモノマー混合物を、重合開始剤としての過酸化ジラウロイル1.68g及びt−ブチルペルイソノナノアート0.4g、分子量調節剤としての2−メルカプトエタノール6.7g、並びに紫外線吸収剤としての2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンズトリアゾール4g及び離型助剤としてのパルミチン酸4gと混合することによって、製造されることができる。
【0039】
生じた混合物は重合室中へ充填され、かつ10分間脱気される。その後、水浴中で60℃で6時間、及び50℃の水浴温度で25時間重合される。約25時間後に、重合混合物は144℃でその最大温度に達する。重合室を取り除いた後に、前記ポリマーは、さらに120℃で12時間、熱風乾燥器(Luftschrank)中で温度調節される(getempert)。
【0040】
生じたコポリマーは澄明であり、かつ8mmの厚さのプレスプレートで1.4のDIN 6167(D65/10゜)による黄色値及び90.9%のDIN 5033/5036による光透過TD65を有する。コポリマーのビカット軟化温度VETは、ISO 306-B50によれば121℃であり、還元粘度nsp/cは65ml/gであり、約130,000Daの平均分子量Mw(ポリメタクリル酸メチル標準を基準として)に相当する。
【0041】
成分d)は、例えばメタクリル酸メチル6355g、スチレン1271g及び無水マレイン酸847gのモノマー混合物を、重合開始剤としてのt−ブチルペルネオデカノアート1.9g及びt−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート0.85g及び分子量調節剤としての2−メルカプトエタノール19.6g並びにパルミチン酸4.3gと混合することによって、例えば製造される。生じた混合物は重合室中へ充填され、かつ例えば10分間脱気されることができる。その後、水浴中で、例えば60℃で6時間、その後55℃の水浴温度で30時間、重合されることができる。約30時間後に、重合混合物は約126℃でその最大温度に達する。水浴から重合室を取り除いた後に、前記ポリマーは成分a)に相応して重合室中でさらに約7時間、例えば117℃で熱風乾燥器中で温度調節される。
【0042】
つや消しB):セラミックビーズ
本発明による成形材料はさらに、セラミックビーズ0.5質量%〜15.0質量%を含有する。セラミックは、大体において無機の微粒状原料から、水添加下に室温で成形され、かつその後乾燥された物品を指し、これらは引き続き900℃を上回る焼成プロセスにおいて、硬くより耐久性のある物品に焼結される。前記概念は、金属酸化物に基づく原料も含まれる。さらに、繊維強化セラミック材料、例えば炭化ケイ素セラミック、例えば出発物質としてケイ素含有有機ポリマー(ポリカルボシラン)から製造されることができる炭化ケイ素セラミックも、本発明により使用可能なセラミックの群に属する。
【0043】
前記セラミックビーズは好都合には、ポリマーマトリックスと非共有結合されており、かつ原則的に、物理的な分離法、例えば適した溶剤、例えばテトラヒドロフラン(THF)での抽出法により、前記ポリマーマトリックスから分離されることができる。
【0044】
さらに、前記セラミックビーズは、好ましくは球状の形態を有し、その際に完璧な球形からの少しの逸脱は当然生じうる。
【0045】
前記セラミックビーズは好都合には、1〜200μmの範囲内の直径を有する。セラミックビーズの平均直径(メディアン値D50)は好ましくは1.0μm〜15.0μmの範囲内である。D95値は、好ましくは35μm又はそれ未満、特に好ましくは13μm又はそれ未満である。前記ビーズの最大直径は、好ましくは40μm又はそれ未満、特に好ましくは13μm又はそれ未満である。前記ビーズの粒度は好ましくはふるい分析によって測定される。
【0046】
前記セラミックビーズの密度は、好都合には2.1g/cm3〜2.5g/cm3の範囲内である。
【0047】
前記セラミックビーズの具体的な組成は、本発明にとって重要な意味を持たない。好ましいビーズは、それらの全質量をそれぞれ基準として、
SiO2、特に好ましくは非結晶質SiO2 55.0質量%〜62.0質量%、
Al23 21.0質量%〜35.0質量%、
Fe23 7.0質量%まで、
Na2O 11.0質量%まで及び
2O 6.0質量%まで
を含有する。
【0048】
BET窒素吸着法によって測定される前記セラミックビーズの表面積は、好ましくは0.8m2/g〜2.5m2/gの範囲内である。
【0049】
さらに、本発明の目的のためには、内部が空であるようなセラミックビーズを使用することが特に有用であることが分かっている。その場合に、前記セラミックビーズは好ましくは、410MPaの圧力の適用により90%を上回る前記ビーズが破壊されることができないような圧縮強さを有する。
【0050】
本発明の範囲内で極めて特に適したセラミックビーズは、とりわけ、3M Deutschland GmbH社のZeeospheres(登録商標)、特にタイプW-210、W-410、G-200及びG-400である。
【0051】
耐衝撃性改良剤(Schlagzaehmodifizierungsmittel) C)
本発明による成形材料は、好ましくは耐衝撃性改良剤、特に好ましくは架橋ポリ(メタ)アクリラートをベースとする耐衝撃性改良剤を含有する。その場合に、耐衝撃性改良剤は好ましくはポリマーマトリックスA)と非共有結合されている。好ましくは、成分C)は、二シェル構造又は三シェル構造を有する。
【0052】
特に好ましい耐衝撃性改良剤は、二層の、特に好ましくは三層のコア−シェル構造を有し、かつ乳化重合により得られることができるポリマー粒子である(例えば欧州特許出願公開(EP-A)第0 113 924号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 522 351号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 465 049号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A)第0 683 028号明細書参照)。これらのエマルションポリマーの典型的な粒度は、100nm〜500nm、好ましくは200nm〜450nmの範囲内である。
【0053】
1つのコア及び2つのシェルを有する三層のもしくは三相の構造は、特に次のような性質を有しうる。最も内部の(硬質の)シェルは例えば、メタクリル酸メチル、低い含分のコモノマー、例えばアクリル酸エチル及び架橋剤含分、例えばアリルメタクリラートから本質的になっていてよい。中央の(軟質の)シェルは例えば、アクリル酸ブチル及び場合によりスチレン並びに架橋剤含分、例えばアリルメタクリラートから構成されていてよいのに対し、最も外側の(硬質の)シェルは本質的にはたいてい前記マトリックスポリマーに相当し、それにより、相溶性及び前記マトリックスへの良好な結合が引き起こされる。耐衝撃性改良剤中のポリアクリル酸ブチル含分は、耐衝撃性作用にとって決定的であり、かつ好ましくは20.0質量%〜40.0質量%の範囲内、特に好ましくは25.0質量%〜40.0質量%の範囲内である。
【0054】
本発明の目的に特に適している別の耐衝撃性改良されたポリメタクリラート成形材料は、例えば、欧州特許出願公開(EP-A)第0 113 924号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 522 351号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 465 049号明細書、欧州特許出願公開(EP-A)第0 683 028号明細書及び米国特許(US)第3,793,402号明細書に記載されている。極めて特に適した商業的に入手可能な製品は、例えば、Mitsubishi Rayon社のMETABLEN(登録商標) IR 441である。
【0055】
前記成形材料中には、好都合には、架橋ポリマー粒子のエラストマー相である耐衝撃性改良剤5.0質量%〜50.0質量%、好ましくは10.0質量%〜20.0質量%、特に好ましくは10.0質量%〜15.0質量%が含まれている。前記耐衝撃性改良剤は、それ自体として知られた方法でパール重合によるか又は乳化重合により得られる。
【0056】
本発明の特に好ましいさらなる実施態様の範囲内で、耐衝撃性改良剤は、パール重合を用いて得ることができる、50μm〜500μm、好ましくは80μm〜120μmの範囲内の平均粒度を有する架橋粒子である。これらは通例、メタクリル酸メチル少なくとも40.0質量%、好ましくは50.0質量%〜70.0質量%、アクリル酸ブチル20.0質量%〜40.0質量%、好ましくは25.0質量%〜35.0質量%並びに架橋性モノマー、例えば多官能性(メタ)アクリラート、例えばアリルメタクリラート0.1質量%〜2.0質量%、好ましくは0.5質量%〜1.0質量%及び場合により別のモノマー、例えばC1〜C4−アルキル(メタ)アクリラート、例えばアクリル酸エチル又はアクリル酸ブチル、好ましくはアクリル酸メチル、又は他のビニル系重合可能なモノマー、例えばスチレン0.0質量%〜10.0質量%、好ましくは0.5質量%〜8.0質量%からなる。
【0057】
常用の添加剤、助剤及び/又は充填剤
本発明による成形材料は、さらに常用の添加剤、助剤及び/又は充填剤、例えば熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、特に可溶性又は不溶性の染料もしくは着色剤を含有していてよい。
【0058】
紫外線安定剤及びラジカルスカベンジャー
場合により含まれている紫外線保護剤は例えば、ヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基のような置換基がたいてい2位及び/又は4位にあるベンゾフェノンの誘導体である。これらには、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが含まれる。さらに、置換ベンズトリアゾールが紫外線保護添加剤として極めて適しており、それらには、とりわけ2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ベンズトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−(α,α−ジメチル−ベンジル)−フェニル]−ベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)−ベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンズトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−s−ブチル−5−t−ブチルフェニル)−ベンズトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンズトリアゾールが含まれる。
【0059】
さらに、使用可能な紫外線保護剤は、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルエステル、2−エトキシ−2′−エチル−シュウ酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2′−エチル−シュウ酸ビスアニリド及び置換安息香酸フェニルエステルである。
【0060】
前記紫外線保護剤は、前記のような低分子化合物として、安定化すべきポリメタクリラート材料中に含まれていてよい。しかしまた、前記マトリックスポリマー分子中の紫外線吸収基は、共重合後に、重合可能な紫外線吸収化合物、例えばベンゾフェノン誘導体又はベンズトリアゾール誘導体のアクリル誘導体、メタクリル誘導体又はアリル誘導体と共有結合されていてよい。
【0061】
化学的に異なる紫外線保護剤の混合物であってもよい紫外線保護剤の割合は、通例、本発明によるポリメタクリラート樹脂の全ての成分の総計を基準として、0.01質量%〜1.0質量%、とりわけ0.01質量%〜0.5質量%、特に0.02質量%〜0.2質量%である。
【0062】
ラジカルスカベンジャー/紫外線安定剤の例として、ここでは、立体障害アミン類を挙げることができ、これらはHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)という名前で知られている。これらは、塗料及びプラスチックにおける、とりわけポリオレフィンプラスチックにおける老化過程の阻害のために、使用されることができる(Kunststoffe, 74 (1984) 10, p.620〜623; Farbe + Lack, 96巻, 9/1990, p.689〜693)。HALS化合物は、その中に含まれているテトラメチルピペリジン基によって安定化作用をする。この種類の化合物は、ピペリジン窒素上で、非置換であってよいだけでなく、アルキル基又はアシル基で置換されていてよい。前記立体障害アミン類は紫外領域において吸収しない。これらは形成されたラジカルを捕捉し、このことはそしてまた紫外線吸収剤にはできない。
【0063】
混合物としても使用されることができる安定化作用のあるHALS化合物の例は、次のものである:
ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバカート,8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ(4,5)−デカン−2,5−ジオン、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−スクシナート、ポリ−(N−β−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン−コハク酸エステル)又はビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバカート。
【0064】
ラジカルスカベンジャー/紫外線安定剤は、本発明による成形材料中で、全ての成分の総計を基準として0.01質量%〜1.5質量%の量で、とりわけ0.02質量%〜1.0質量%の量で、特に0.02質量%〜0.5質量%の量で、使用される。
【0065】
滑剤もしくは離型剤
射出成形法のためには、射出成形型への成形材料の考えられる付着を減少させることができるかもしくは完全に防止することができる滑剤もしくは離型剤が特に重要である。
【0066】
助剤として、それに応じて、例えば、C20未満、好ましくはC16〜C18炭素原子を有する飽和脂肪酸又はC20未満、好ましくはC16〜C18炭素原子を有する飽和脂肪アルコールの群から選択される滑剤が含まれていてよい。好ましくは、前記成形材料を基準として、多くとも0.25質量%、例えば0.05質量%〜0.2質量%の低い量割合が含まれている。
【0067】
例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸とパルミチン酸との工業用混合物が適している。さらに、例えば、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、並びにn−ヘキサデカノールとn−オクタデカノールとの工業用混合物が適している。
【0068】
特に好ましい滑剤もしくは離型剤はステアリルアルコールである。
【0069】
成形材料のメルトボリュームフローレイトMVR
本発明の範囲内で、前記成形材料は、0.1cm3/10min〜5.0cm3/10minの範囲内のISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるメルトボリュームフローレイトMVRを有する。その場合に、ISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるMVRは、好ましくは少なくとも0.2cm3/10min、特に好ましくは少なくとも0.3cm3/10min、好都合には少なくとも0.4cm3/10min、特に少なくとも0.5cm3/10minである。さらに、ISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるMVRは、好ましくは3.5cm3/10min未満、特に好ましくは3.0cm3/10min未満、好都合には1.5cm3/10min未満、極めて特に好ましくは1.4cm3/10min未満、殊に1.1cm3/10min未満及び最も好ましくは0.9cm3/10min未満である。耐衝撃性改良剤を有する成形材料については、ISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるMVRは、好ましくは0.1cm3/10min〜3.0cm3/10minの範囲内である。耐衝撃性改良剤を有しない成形材料については、ISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるMVRは、好ましくは0.5cm3/10min〜5.0cm3/10minの範囲内である。
【0070】
本発明による成形材料の製造
本発明による成形材料は、粉末、粒子又は好ましくはグラニュールとして存在していてよい成分をドライブレンドすることによって、製造されることができる。さらに、この成形材料は、ポリマーマトリックス及び場合により耐衝撃性改良剤の溶融状態での溶融及び混合、又は個々の成分の乾燥したプリミックスの溶融及び前記セラミックビーズの添加によって製造されることもできる。これは、例えば一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機中で行われることができる。得られた押出物は、引き続き造粒されることができる。常用の添加剤、助剤及び/又は充填剤は、直接混合されるか又は後で最終消費者によって必要に応じて添加されることができる。
【0071】
成形体への加工
本発明による成形材料は、ビロードのようにマットでかつ好ましくは粗い表面を有する成形体の製造用の出発物質として適している。前記成形材料の成形(Umformung)は、それ自体として知られた方法で、例えば弾粘性(elastoviskosen)状態を経ての加工により、すなわち混練、圧延(Walzen)、カレンダー掛け(Kalandrieren)、押出し又は射出成形により、行われることができ、その際に押出し及び射出成形、特に押出しは、当該の場合に好まれる。
【0072】
前記成形材料の射出成形はそれ自体として知られる方法で、220℃〜260℃の範囲内の温度(材料温度)及び好ましくは60℃〜90℃の金型温度で行われることができる。滑らかなもしくは鏡のように滑らかな内部表面を有する型空間(キャビティ)を有する金型を使用する際に、つや消しされた成形体が得られる。粗い内部表面を有する型空間(キャビティ)を有する金型の使用の場合に、いっそう強度につや消しされた成形体が得られる。
【0073】
前記押出しは好ましくは220℃〜260℃の温度で実施される。
【0074】
成形体
このようにして得ることができる成形体は好ましくは、次の性質により特徴付けられる:
DIN 4768による粗さ値Rzは好都合には、0.3μm又はそれ以上、好ましくは少なくとも0.7μm、特に好ましくは2.5μm〜20.0μmである。DIN 67530 (01/1982)による光沢度(R60°)は、好ましくは多くとも45%、特に好ましくは多くとも38%である。DIN 5036による透過は、好ましくは40%〜93%の範囲内、特に好ましくは55%〜93%の範囲内、殊に55%〜85%の範囲内である。DIN 5036による強度半値角は、好ましくは1°〜55°の範囲内、特に好ましくは2°〜40°の範囲内、殊に8°〜37°の範囲内である。
【0075】
本発明の特に好ましい第一の実施態様の範囲内で、前記成形体のビカット軟化温度VET(ISO 306-B50)は、好ましくは少なくとも90℃、特に好ましくは少なくとも95℃、極めて特に好ましくは少なくとも100℃であり、かつ好都合には90℃〜170℃、特に102℃〜130℃である。さらに、前記成形体は好ましくは次の性質の1つ又はそれ以上、特に好ましくはできるだけ多くを有する:
I.少なくとも50MPa、特に65MPa〜90MPaの範囲内のISO 527 (5 mm/min)による引張破壊応力(Bruchspannung)、
II.3200MPaよりも大きいISO 527による弾性率、
III.20KJ/m2よりも大きいISO 179/1eUによる衝撃強さ及び
IV.8×10-5/゜Kよりも小さい、特に好ましくは7.1×10-5/゜Kよりも小さいISO 11359による線膨張係数。
【0076】
この種の成形体は通常、耐衝撃性改良剤を含有しない成形材料から得られる。
【0077】
本発明の特に好ましい第二の実施態様の範囲内で、前記成形体のビカット軟化温度VET(ISO 306-B50)は、好ましくは少なくとも90℃、特に好ましくは少なくとも95℃であり、かつ好都合には90℃〜170℃、特に95℃〜110℃である。さらに、前記成形体は好ましくは次の性質の1つ又はそれ以上、特に好ましくはできるだけ多くを有する:
I.少なくとも30MPa、特に34MPa〜50MPaの範囲内のISO 527 (50 mm/min)による降伏応力、
II.1400MPaよりも大きいISO 527による弾性率、
III.4KJ/m2よりも大きいISO 179/1eUによるノッチ付き衝撃強さ及び
IV.12×10-5/゜Kよりも小さいISO 11359による線膨張係数。
【0078】
この種の成形体は通常、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含有する成形材料から得られる。
【0079】
使用
本発明による成形体は、特に、家庭電化製品、通信装置、ホビー用具又はスポーツ用具の部品、自動車組立、船舶組立又は航空機組立におけるボディー部品又はボディー部品の部品として、照明、合図又はシンボル用の部品として、小売店(Verkaufsstellen)又は化粧品カウンター(Kosmetikverkaufsstaender)、容器(Behaeltnisse)、家庭装飾又はオフィス装飾、家具用途、シャワードア及びオフィスドアとして、並びに建築工業における部品、特にプレートとして、壁として、特に防音壁として、窓枠、腰掛け、ランプカバー、散乱板(Streuscheiben)として及び自動車グレージングに使用されることができる。典型的な自動車外部部材は、例えばスポイラー、日除け(Blenden)、屋根モジュール又は外部ミラーケーシングである。
【実施例】
【0080】
以下に、本発明は、実施例によって、より詳細に説明されるが、これにより本発明の思想が限定されるものではない。
【0081】
ポリマーマトリックスとして、Roehm GmbH社のPLEXIGLAS(登録商標) 7H、PLEXIGLAS(登録商標) 8N、PLEXIGLAS(登録商標) zk6BR及びPLEX(登録商標) 8908Fを使用した。
【0082】
セラミックビーズとして、3M Deutschland GmbH社の製品Zeeospheres W-210、W-410、G-200及びG-400を使用した。
【0083】
個々の成分を、一軸スクリュー押出機を用いてブレンドした。個々の例の組成は、第1表に詳細に記録されている。
【0084】
成形材料のボリュームフローインデックス(Volumen-Fliessindex)MVR(試験規格ISO 1133:1997)及び密度を測定した。
【0085】
ブレンドされた成形材料から、試験体を射出成形及びテープ押出し(Baendchenextrusion)によって製造した。加工の際に、テープ押出しの場合も射出成形の場合も金属摩耗は確認されなかった。相応する試験体を、以下の方法に従って試験した:
【0086】
射出成形−成形体
ビカット(16h/80℃):ビカット軟化温度の測定(試験規格DIN ISO 306:1994年8月)
KSZ(シャルピー179/1eU):シャルピー−ノッチ付き衝撃強さの測定(試験規格:ISO 179:1993)
SZ(シャルピー179/1eU):シャルピー−衝撃強さの測定(試験規格:ISO 179:1993)
弾性率:弾性率の測定(試験規格:ISO 527-2)
引張強さ:引張破壊応力(試験規格:ISO 527; 5 mm/min)、降伏応力(試験規格:ISO 527; 50 mm/min)及び/又は降伏伸び(Streckdehnung)(試験規格:ISO 527; 50 mm/min)の測定
透過(T):DIN 5036による
強度半値角(IHW):LMT社のLMT-Goniometer-Messplatz GO-T-1500を用いてDIN 5036により測定
線膨張係数: ISO11359 (0℃〜50℃)
引っかき硬度:エリクセン413による
引っかき硬さ
【0087】
テープ(Baendchen):
表面粗さ:DIN 4768による粗さ深さ(Rauheitsgroessen)Ra、Rz及びRt。Ra値<2μmは0.8mmのカットオフを用いて、Ra≧2μmの場合に2.5mmのカットオフを用いて、決定した。粗さ測定は、製造者がRank Taylor Hobson GmbHである型式Talysurf 50を用いて実施した。
光沢:DIN 67530 (01/1982):"平滑な塗料表面及びプラスチック表面上での光沢評価のための補助手段としての反射率計"による光沢測定。
【0088】
前記ブレンド及び相応する成形品の試験の結果は、第2表に示されている。明らかに、本発明により達成される改善が認識される:
つや消しとしてのセラミックビーズの使用により、相応する成形材料から、より低い光沢及び均一な微細につや消しされた表面及び興味深い表面粗さを有するテープが押し出されることができる。さらに、改善された散乱作用、前記膨張係数の減少、及び衝撃強さ、ノッチ付き衝撃強さ、弾性率及び耐引っかき性のような機械的性質の改善が観察される。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料の全質量をそれぞれ基準として、
A)(メタ)アクリラート(コ)ポリマーからか又は(メタ)アクリラート(コ)ポリマーの混合物からなるポリマーマトリックス49.5質量%〜99.5質量%、
B)セラミックビーズ0.5質量%〜15.0質量%
を含有する成形材料であって、
成形材料が、0.1cm3/10min〜5.0cm3/10minのISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるメルトボリュームフローレイトMVRを有する
ことを特徴とする、成形材料。
【請求項2】
セラミックビーズが、ポリマーマトリックスと非共有結合されている、請求項1記載の成形材料。
【請求項3】
セラミックビーズが、D50値として測定される1.0μm〜15.0μmの範囲内の平均直径を有する、請求項1又は2記載の成形材料。
【請求項4】
セラミックビーズが、D95値として測定される3μm〜35μmの範囲内の平均直径を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項5】
セラミックビーズが、2.1g/cm3〜2.5g/cm3の範囲内の密度を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項6】
セラミックビーズが、それらの全質量をそれぞれ基準として、
SiO2 55.0質量%〜62.0質量%、
Al23 21.0質量%〜35.0質量%、
Fe23 7.0質量%まで、
Na2O 11.0質量%まで及び
2O 6.0質量%まで
を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項7】
セラミックビーズが、0.8m2/g〜2.5m2/gの範囲内のBET窒素吸着法により測定される表面積を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項8】
セラミックビーズの内部が空である、請求項1から7までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項9】
成形材料が、その全質量を基準として、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤C) 0.1質量%〜50.0質量%を含有し、前記耐衝撃性改良剤C)はポリマーマトリックスへ非共有結合されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項10】
耐衝撃性改良剤C)がポリ(メタ)アクリラート単位を含有する、請求項9記載の成形材料。
【請求項11】
耐衝撃性改良剤C)が、2シェル構造又は3シェル構造を有する、請求項9又は10記載の成形材料。
【請求項12】
ポリマーマトリックスA)が、メタクリル酸メチル96.0質量%〜100.0質量%及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル及び/又はアクリル酸ブチル0.0〜4.0質量%の(メタ)アクリラート(コ)ポリマーを含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項13】
ポリマーマトリックスA)が、メタクリル酸メチル、スチレン及び無水マレイン酸のコポリマーを含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項14】
ポリマーマトリックスA)が、
メタクリル酸メチル50〜90質量%、
スチレン10〜20質量%及び
無水マレイン酸5〜15質量%
のコポリマーを含有する、請求項13記載の成形材料。
【請求項15】
成形材料が、次の成分:
d)55ml/g以下の25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)により特徴付けられる、低分子量(メタ)アクリラート(コ)ポリマー
e)65ml/g以上の25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)により特徴付けられる、より高分子量の(メタ)アクリラート(コ)ポリマー及び/又は
f)50ml/g〜55ml/gの25℃でのクロロホルム中の溶液粘度(ISO 1628 - 第6部)により特徴付けられる、d)とは異なる別の(メタ)アクリラート(コ)ポリマー
を含有し、ここで成分d)、e)及び/又はf)はそれぞれ、それ自体が個々のポリマーと並びにポリマーの混合物とみなして理解されることができる、請求項1から14までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項16】
成形材料が、0.1cm3/10min〜3.0cm3/10minの範囲内のISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるメルトボリュームフローレイトMVRを有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項17】
成形材料が、0.5cm3/10min〜5.0cm3/10minの範囲内のISO 1133に従い230℃及び3.8kgで測定されるメルトボリュームフローレイトMVRを有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項18】
助剤として滑剤が含まれている、請求項1から17までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項19】
滑剤としてステアリルアルコールが含まれている、請求項18記載の成形材料。
【請求項20】
成形材料グラニュールの形で存在する、請求項1から19までのいずれか1項記載の成形材料。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか1項記載の成形材料を変形させる(umformt)ことを特徴とする、成形体の製造方法。
【請求項22】
前記成形材料を押し出すか又は射出成形する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
請求項21又は22記載の方法によって製造可能な成形体。
【請求項24】
少なくとも0.3μmのDIN 4768による粗さ値Rz及び多くとも45のDIN 67530による光沢度(R60°)を有する、請求項23記載の成形体。
【請求項25】
40%〜93%の範囲内のDIN 5036による透過及び1°〜55°の範囲内のDIN 5036による強度半値角を有する、請求項23記載の成形体。
【請求項26】
次の性質
a.少なくとも90℃のISO 306-B50によるビカット軟化温度、
b.少なくとも50MPaのISO 527による5mm/minでの引張破壊応力、
c.3200MPaを上回るISO 527による弾性率、
d.20KJ/m2を上回るISO 179/1eUによる衝撃強さ及び
e.8×10-5/゜K未満のISO 11359による線膨張係数
の1つ又はそれ以上を有する、請求項23、24又は25記載の成形体。
【請求項27】
次の性質
a.少なくとも90℃のISO 306-B50によるビカット軟化温度、
b.少なくとも30MPaのISO 527による50 mm/minでの降伏応力、
c.1400MPaを上回るISO 527による弾性率、
d.4kJ/m2を上回るISO 179/1eUによるノッチ付き衝撃強さ及び
e.12×10-5/゜K未満のISO 11359による線膨張係数
の1つ又はそれ以上を有する、請求項23、24又は25記載の成形体。
【請求項28】
家庭電化製品、通信装置、ホビー用具又はスポーツ用具の部品、自動車組立、船舶組立又は航空機組立におけるボディー部品又はボディー部品の部品として、照明、合図又はシンボル用の部品として、小売店又は化粧品カウンター、容器、家庭装飾又はオフィス装飾、家具用途、シャワードア及びオフィスドアとして、並びに建築工業における部品として、壁として、窓枠、腰掛け、ランプカバー、散乱板として及び自動車グレージングのための、請求項23から27までのいずれか1項記載の成形体の使用。

【公表番号】特表2010−516875(P2010−516875A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547549(P2009−547549)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061647
【国際公開番号】WO2008/092516
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】