説明

ひけが少なく優れた表面外観を有する強化ポリアミド組成物およびその物品

本発明は、a)少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドと、b)少なくとも2種の半結晶性ポリアミドb1)およびb2)と、c)少なくとも1種のガラス強化剤と、を含む樹脂組成物、ならびに良好な機械的特性、優れた表面外観および少ないひけに関して良好な特性バランスを示す、その造形品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化ポリアミド組成物の分野に関し、特に、ひけが少なく優れた表面外観を有する物品を製造するための強化ポリアミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリアミド組成物は、その良好な機械的特性、耐熱性、耐衝撃性および耐化学性のため、ならびに複雑度や複雑さが異なるさまざまな物品に都合よくかつ高い融通性で成形してよいことを理由として、自動車用部品、電気/電子部品、家庭用品および家具を含めた広範囲の利用分野において使用するために望ましいものである。
【0003】
一例として、熱可塑性ポリアミド組成物は、携帯電話、携帯情報端末、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、グローバルポジショニングシステム受信機、携帯ゲーム機、ラジオ、カメラおよびカメラ付属品などのハンドヘルド電子デバイス用のハウジングを作るのに特に適している。このような利用分野は、例えば電磁波の吸収を通して、ハンドヘルド電子デバイスの意図された操作性と干渉することなく機械的特性と美的外見(例えば表面外観および少ないひけ)との良好なバランスを示すポリアミド組成物を必要とすることから、要求度の高い利用分野である。
【0004】
機械的特性を改善する試みにおいては、例えばガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維、雲母、珪灰石、タルク、炭酸カルシウムなどのさまざまな強化剤を樹脂に添加して強化ポリアミド組成物を得ることが、従来の実践法であった。ガラス繊維は、熱可塑性ポリマー内で優れた分散を提供し、標準的条件下で良好な機械的特性を導く。その上、ポリアミド組成物から作られたこのようなデバイスのハウジングは、高頻度の過酷な使用に耐えることが重要である。多くの場合、このような組成物が良好な剛性と耐衝撃性を有すること、およびそれらが優れた表面外観を示すことが望ましい。
【0005】
ポリアミド66などの半結晶性ナイロンは、優れた機械的特性を提供することがわかっている。しかしながら、例えばポリアミド66から形成された物品は、水分を吸収した時点で機械的特性の有意な変化を示し、したがってこのような利用分野には適していない。その上、半結晶性ポリマーは金型内での結晶化の間に収縮を示す。これは、成形済み構成要素の一部の部位において、ひけ(sink mark)として公知の表面欠陥を導き得る。典型的に、ひけは、多くの場合補強リブの反対側にある局所的に比較的厚みの大きい部位内に出現する。ひけとは、射出成形されたプラスチック部品の表面上の陥没またはえくぼ状のくぼみであり、こうして成形品の劣悪な表面品質を導く。ひけは、えくぼ、クレータまたは波しわとして現われる不完全性である。このような欠陥は、それに付随して美的表面外観が損なわれ、物品を塗装した後でもひけは目に見える状態で残ることから、望ましくなく許容されない。成形品上のひけを低減しようとして、非晶質ポリアミドを使用または添加することが提案されてきた。それにも関わらず、非晶質ナイロンは通常、比較的低い機械的特性を有し、例えばより脆性が高い。非晶質ポリアミドと、それに匹敵するか、またはそれより少ない量の半結晶性ポリマーをメルトブレンドすることが、機械的特性を改善するための公知の1つの方法である。しかしながら、このようなブレンドは、劣悪な表面外観か、またはひけが過度に多い物品かのいずれかを結果としてもたらすことから、満足のいく機械的特性と表面外観を同時に提供しない。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0167415号明細書は、脂肪族部分結晶質ポリアミドおよび細長い形状をもつ平面ガラス繊維を含む、強化ポリアミド成形用材料を開示している。開示された実施例は、非晶質ポリアミド(PA6I/6T)と脂肪族部分結晶質ポリアミド(PA66)のブレンド50重量%と、平面ガラス繊維50重量%とを含む。この組成物は、良好な機械的特性と光沢の観点から見て、良好な表面外観を示すものの、深いひけを示す。
【0007】
残念なことに、既存の技術は、表面外観および少ないひけに関して高品質の美的外見と良好な機械的特性とを組合せることができていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表面外観、少ないひけ形成および良好な機械的特性に関して、良好な特性バランスを有する強化ポリアミド組成物に対するニーズがなおも存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
意外にも、a)少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドと、b)少なくとも2種の半結晶性ポリアミドb1)およびb2)と、c)少なくとも1種のガラス強化剤と、を含む樹脂組成物が、表面外観、少ないひけ形成および良好な機械的特性に関して、良好な特性バランスを示すということが発見された。
【0010】
第2の態様において、本発明は、本発明の樹脂組成物の造形ステップを含む物品の製造方法を提供している。
【0011】
第3の態様において、本発明は、本発明の樹脂組成物で製造された造形品を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書全体を通して使用されているように「約(about)」および「〜または約〜(at or about)」という語句は、問題の量または値が、指定された値であっても、またはほぼ等しい他の何らかの値であってよいことを意味するように意図されている。この語句は、類似の値が本発明に係る同等の結果または効果を促進することを伝えるように意図されている。
【0013】
ポリアミドは、1種以上のジカルボン酸および1種以上のジアミンおよび/または1種以上のアミノカルボン酸の縮合生成物である。
【0014】
本発明に係る樹脂組成物は好ましくは、20重量%または約20重量%〜50重量%または約50重量%、より好ましくは20重量%または約20重量%〜40重量%または約40重量%、そしてさらに好ましくは25重量%または約25重量%〜35重量%または約35重量%の少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドを含み、ここで重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0015】
非晶質ポリアミドは、明確な融点をもたず、ガラス転移温度(Tg)は110〜180℃の間にある。
【0016】
半芳香族ポリアミドは、芳香族基を含むモノマーから誘導されるホモポリマー、コポリマー、ターポリマーまたはより高次のポリマーである。
【0017】
非晶質半芳香族ポリアミドは有利には、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−エチルジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン(MPMD)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(IND)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)イソプロピリジン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノメチルシクロヘキサン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン(MACM)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(IPD)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、2,2−ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン(PACP)、1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン(ND)およびそれらの混合物,から選択されたモノマー単位(i)を、テレフタル酸(T)またはテレフタル酸(T)と1種以上の他のカルボン酸、例えばイソフタル酸(I)、フタル酸、2−メチルテレフタル酸およびジカルボン酸ナフタレンの混合物であり得る芳香族カルボン酸から選択されたモノマー単位(ii)と組合せた形で含んでいてよい。非晶質ポリアミドは同様に、コモノマーとして一定量のラクタム種も含んでいてよい。
【0018】
好ましくは、ヘキサメチレンジアミン、PACM、TMD、MACMおよびそれらの混合物から選択されるモノマー単位(i)を、テレフタル酸(T)またはテレフタル酸(T)とイソフタル酸(I)の混合物から選択されるモノマー単位(ii)と組合せる。
【0019】
さらに一層好ましくは、ヘキサメチレンジアミン、PACMおよびそれらの混合物から選択されるモノマー単位(i)を、テレフタル酸(T)とイソフタル酸(I)の混合物から選択されるモノマー単位(ii)と組合せる。
【0020】
テレフタル酸とイソフタル酸の混合物は好ましくは、2重量%または約2重量%〜60重量%または約60重量%のテレフタル酸(T)および40重量%または約40重量%〜98重量%または約98重量%のイソフタル酸(I)を含み、より好ましくは10重量%または約10重量%〜40重量%または約40重量%のテレフタル酸、および60重量%または約60重量%〜90重量%または約90重量%のイソフタル酸を含み、ここで重量百分率はテレフタル(terphthalic)酸とイソフタル酸の和に基づいている。
【0021】
以下のリストは、半芳香族コポリアミド(PA)中のモノマーおよび反復単位を同定するために用いられる略語を例示している。
HMD ヘキサメチレンジアミン(または二酸と組合せて使用される場合は6)
AA アジピン酸
I イソフタル酸
T テレフタル酸
DMD デカメチレンジアミン
DDMD ドデカメチレンジアミン
DDA デカン二酸
DDDA ドデカン二酸
TDDA テトラデカン二酸
MXD メタ−キシリレンジアミン
MPMD 2−メチルペンタメチレンジアミン
TMD 2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
IND 2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
MACM 3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン
IPD 3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン
PACM ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン
PACP 2,2−ビス(p−アミノシクロヘキシル)プロパン
ND 1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン
6 ε−カプロラクタムから形成されたポリマー反復単位
66 HMDとAAから形成されたポリマー反復単位
610 HMDとDDAから形成されたポリマー反復単位
612 HMDとDDDAから形成されたポリマー反復単位
1010 DMDとDDAから形成されたポリマー反復単位
1012 DMDとDDDAから形成されたポリマー反復単位
6I HMDとIから形成されたポリマー反復単位
6T HMDとTから形成されたポリマー反復単位
IPDI IPDとIから形成されたポリマー反復単位
IPDT IPDとTから形成されたポリマー反復単位
PACMI PACMとIから形成されたポリマー反復単位
PACMT HMDとTから形成されたポリマー反復単位
TMDT TMDとTから形成されたポリマー反復単位
【0022】

【0023】
11 11−アミノウンデカン酸から形成されたポリマー反復単位
12 12−アミノドデカン酸から形成されたポリマー反復単位
【0024】
当該技術分野では、「6」という用語を単独で使用した場合、
【0025】

【0026】
から形成されたポリマー反復単位を呼称するという点に留意されたい。あるいは、Tなどの二酸と組合せて使用された場合(例えば6T)「6」は、HMDを意味する。ジアミンおよび二酸を含む反復単位では、ジアミンが最初に呼称される。さらに、「6」がジアミンと組合せた形で使用される場合(例えば66)、最初の「6」はジアミンHMDを意味し、第2の「6」はアジピン酸を意味する。同様にして、他のアミノ酸またはラクタムから誘導された反復単位は、炭素原子の数を表わす単一の数字として呼称される。
【0027】
好ましくは、本発明に係る樹脂組成物の中に含まれる少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドは、PA6I/6T;PA6I/6T/PACMI/PACMT;PA6I/MACMI/MACMT、PA6I/6T/MACMI、PA12/MACMT、PA TMDT、PA6I/6T/IPDI/IPDT、PA6/TMDT/6Tを含む。
【0028】
より好ましくは、少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドは、PA6I/6T;PA6I/6T/PACMI/PACMTまたはその混合物であり、さらに一層好ましくは、少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドはPA6I/6T(ヘキサメチレンイソフタルアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)である。
【0029】
本発明に係る樹脂組成物は、好ましくは、10重量%または約10重量%〜40重量%または約40重量%、より好ましくは10重量%または約10重量%〜30重量%または約30重量%そしてさらに一層好ましくは14重量%または約14重量%〜26重量%または約26重量%の少なくとも2種の半結晶性ポリアミドb1)およびb2)を含み、重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0030】
半結晶性ポリアミドは、4〜12個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合により生産できる。半結晶性ポリアミドの中に含まれるカルボン酸モノマーには、脂肪族カルボン酸類、例えばアジピン酸(C6)、ピメリン酸(C7)、スベリン酸(C8)、アゼライン酸(C9)、セバシン酸(C10)およびドデカン二酸(C12)が含まれるが、これらに限定されない。ジアミンは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−エチルテトラメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/またはそれらの混合物を含む(ただしこれらに限定されない)4個以上の炭素原子を有するジアミンから選択可能である。半結晶性ポリアミドは同様に、コモノマーとして、例えば1mole%または約1mole%〜25mole%または約25mole%の量のテレフタル酸も含んでいてよい。
【0031】
半結晶性ポリアミドの適切な例としては、PA6,6(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド));PA6,10(ポリ(ヘキサメチレンセバカミド));PA6,12ポリ(ヘキサメチレンドデカノアミド);PA10,10(ポリ(デカメチレンセバカミド))およびそれらのコポリマーおよびブレンドが含まれる。
【0032】
好ましくは、少なくとも2種の半結晶性ポリアミドの1種b1)は、非晶質半芳香族ポリアミドb1)と完全な混和性を有し、少なくとも2種の半結晶性ポリアミドの1種b2)は、非晶質半芳香族ポリアミドと部分混和性を有する。少なくとも2種の半結晶性ポリアミドは、少なくとも第1の半結晶性ポリアミドb1)と第2の半結晶性ポリアミドb2)とを含む。好ましくは少なくとも2種の半結晶性ポリアミドの1種はb1)PA66である。そして好ましくは、少なくとも2種の半結晶性ポリアミドのうちの第2のものはb2)PA1010、PA612、PA610またはそれらの混合物である。
【0033】
好ましくは、b1)は、5重量%または約5重量%〜20重量%または約20重量%の量で存在し、b2)は、5重量%または約5重量%〜20重量%または約20重量%の量で存在するが、ここで構成要素b1)+b2)の和が10重量%または約10重量%〜40重量%または約40重量%の間にあることを条件とし、重量百分率は樹脂組成物の合計重量、すなわち本発明に係る構成要素a)、b)およびc)の和に基づいている。
【0034】
樹脂組成物の強度を向上させる目的で、組成物に少なくとも1種のガラス強化剤が添加される。好ましくは、本発明に係る樹脂組成物は、10重量%または約10重量%〜70重量%または約70重量%、より好ましくは25重量%または約25重量%〜65重量%または約65重量%、そしてなお一層好ましくは35重量%または約35重量%〜55重量%または約55重量%の少なくとも1種のガラス強化剤を含み、ここで重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0035】
好ましくは、少なくとも1種のガラス強化剤は、欧州特許第0190011号明細書および欧州特許第196194号明細書中に記載されているものなどの非円形断面繊維質ガラス充填剤である。これらの繊維質ガラス充填剤は、非円形断面を特徴とする。非円形断面は、例えば卵形、楕円形、まゆ形または矩形の形状を有する。
【0036】
これらの種類の非円形断面繊維質ガラス充填剤は、その断面縦横比により記述され従来の繊維質ガラス充填剤と区別され、その繊維質の性質により従来のガラスフレークと区別される。本発明に関連して「繊維質」という用語は、1つまたは多数のガラスフィラメントで構成されていることを意味する。「断面縦横比」は、繊維質ガラス充填剤をその長手方向軸に対して垂直に切断し、断面の長軸(すなわちその最長線寸法)と断面の短軸(すなわち長軸に垂直なその最短線寸法)の間の比を測定することにより測られる。比較としては、典型的に用いられる円形断面繊維は、約1という断面縦横比を有する。ガラスフレーク充填剤は、その非繊維質の性質によって、非円形断面ガラス充填剤と区別される。理論により束縛されることは望まないが、繊維質非円形断面ガラス充填剤を使用することによって、充填剤とポリマー材料の間の結合強度の増加が可能になると考えられている。従来の繊維質円形断面ガラス充填剤のものよりも大きいその比表面積に起因して、このような繊維質非円形断面ガラス充填剤は、標準的な条件下で、円形断面形状を有する従来の繊維質ガラス充填剤に比べてa)耐衝撃性、b)反り安定性そしてc)射出成形中の流動性の有意な改善を伴う、補強効果の改善を生み出す。非円形断面形状を有する繊維質ガラス充填剤の使用については国際公開第2008/070157号パンフレット内でポリアミド組成物において説明されている。4または約4超の断面縦横比を有する繊維質ガラス充填剤の例は、矩形または平面形状のものである。本発明の樹脂組成物中で使用される好ましいガラス強化剤は、4または約4の非円形断面縦横比を有する繊維質ガラス充填剤である。
【0037】
繊維質非円形断面ガラス充填剤の部分量を、円形断面を有する繊維質強化剤またはガラスフレークまたは粒状強化剤などのその他の強化剤と交換することができる。好ましくは、約1重量%〜約50重量%の繊維質非円形断面ガラス充填剤を、他の強化剤と交換することができる。
【0038】
本発明に係る樹脂組成物はさらに1種以上の熱安定剤を含んでいてよい。1種以上の熱安定剤を、銅塩および/またはその誘導体、例えばハロゲン化銅または酢酸銅、二価マンガン塩および/またはその誘導体、およびその混合物から選択されてよい。好ましくは、銅塩は、ハロゲン化物化合物および/またはリン化合物と組合せて使用され、より好ましくは銅塩はヨウ化物または臭化物化合物と組合せた形で、さらに一層好ましくはヨウ化カリウムまたは臭化カリウムと組合せた形で使用される。存在する場合、1種以上の熱安定剤は、0.1重量%または約0.1重量%〜3重量%または約3重量%、または好ましくは0.1重量%または約0.1重量%〜1重量%または約1重量%、またはより好ましくは0.1重量%または約0.1重量%〜0.7重量%または約0.7重量%の量で存在し、ここで重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0039】
本発明に係る樹脂組成物はさらに、1種以上の酸化防止剤、例えばリン酸塩または亜リン酸塩安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、ヒンダードアミン安定剤、芳香族アミン安定剤、チオエステルおよびフェノール系酸化防止剤を含んでいてよい。存在する場合、この1種以上の酸化防止剤は、0.1重量%または約0.1重量%〜3重量%または約3重量%、または好ましくは0.1重量%または約0.1重量%〜1重量%または約1重量%、またはより好ましくは0.1重量%または約0.1重量%〜0.7重量%または約0.7重量%を構成し、ここで重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0040】
本発明に係る樹脂組成物はさらに、1種以上の衝撃改質剤を含んでいてよい。好ましい衝撃改質剤は、イオノマー、カルボキシ官能化ポリオレフィンおよび/またはその混合物を含む、ポリアミド組成物のために典型的に使用されるものを含む。
【0041】
イオノマーは、ポリマーの有機主鎖に加えて金属イオンを含む熱可塑性樹脂である。イオノマーは、オレフィン、例えばエチレンおよびα、β−不飽和C3−C8カルボン酸、例えばアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)またはマレイン酸モノエチルエステル(MAME)から形成されたイオンコポリマーであり、ここで、このコポリマー中のカルボン酸部分の少なくとも一部分は中和されて、対応するカルボン酸塩を形成している。好ましくは、酸コポリマーの酸部分の約5〜約99.9%が、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属、マンガンまたは亜鉛などの遷移金属、およびそれらの混合物から選択される中和剤により、名目上中和されている。イオノマーは任意選択により、アルキル基が1〜8個の炭素原子を有しているアクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルから選択される軟化用コモノマーを含んでいてよい。全体に、イオノマーをE/X/Yコポリマーとして記載でき、式中、Eはエチレンなどのオレフィンであり、Xはα、β不飽和C3〜C8カルボン酸であり、Yは軟化用コモノマーであり、XはE/X/Y(コポリマー)の2重量%または約2重量%〜30重量%または約30重量%であり、Yは、E/X/Y(コポリマー)の約0〜約40重量%の量で存在でき、ここで、カルボン酸官能基は、少なくとも部分的に中和されている。本発明において使用するための適切なイオノマーはE.I.du Pont de Nemours and Company、(Wilmington、Delaware)からSurlyn(登録商標)の商標で市販されている。
【0042】
カルボキシル官能化ポリオレフィン類は、カルボキシ部分がポリオレフィン主鎖自体の上かまたは側鎖上のいずれかの上に付着されているポリオレフィン類である。「カルボキシ官能化ポリオレフィン」というのは、ホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであり得るポリマーが、カルボキシル部分でグラフト化および/または共重合されていることを意味する。「カルボキシル部分」とは、ジカルボン酸類、ジエステル類、ジカルボン酸モノエステル類、酸無水物類およびモノカルボン酸類およびエステル類のうちの1種以上などのカルボキシル基を意味する。有用な衝撃改質剤としては、ポリオレフィン主鎖自体の上かまたは側鎖上のいずれかにジカルボキシル部分が付着されているポリオレフィン類であるジカルボキシル置換ポリオレフィン類が含まれる。「ジカルボキシル部分」とは、ジカルボン酸類、ジエステル類、ジカルボン酸モノエステル類および酸無水物類のうちの1種以上などのジカルボキシル基を意味する。
【0043】
官能化されるポリオレフィンは、ホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであってよい。官能化ポリオレフィン類の例としては官能化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレンアルファ−オレフィン、エチレンプロピレンジエンメチレンコポリマー(EPDM)、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)コポリマーおよびスチレンブタジエンスチレン(SBS)コポリマーが含まれる。
【0044】
エチレンアルキル(メタ)アクリレートコポリマーは、エチレンコモノマーと少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートコモノマーの共重合から誘導される熱可塑性エチレンコポリマーであり、ここでアルキル基は1〜10個の炭素原子そして好ましくは1〜4個の炭素原子を含む。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレートおよび/またはアルキルを意味する。エチレンアルファ−オレフィンコポリマーはエチレンおよび1種以上のアルファ−オレフィンを含む。アルファ−オレフィンの例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン−1、4−メチル1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセンおよび1−ドデセンが含まれるが、これらに限定されない。エチレンプロピレンジエンコポリマー(EPDM)は、エチレン、3〜10個の炭素原子を有する少なくとも1種のアルファ−オレフィン、そして共重合性非共役ジエン、例えばノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどのターポリマーである。好ましくは、カルボキシル官能化ポリオレフィン衝撃改質剤は、無水物官能化ポリオレフィンである。無水物官能化ポリオレフィンがカルボキシル官能化ポリオレフィンとして使用される場合、0.2重量%または約0.2重量%〜6重量%または約6重量%、好ましくは0.5重量%または約0.5重量%〜3重量%または約3重量%の無水物を含んでいてよく、ここで重量百分率は無水物官能化ポリオレフィンの合計重量に基づいている。ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよびEPDMポリマーと、カルボキシル部分を含む不飽和化合物で官能化されたポリオレフィンとのブレンドを、衝撃改質剤として使用してもよい。
【0045】
存在する場合、この1種以上の衝撃改質剤は最高30重量%または約30重量%、または好ましくは3重量%または約3重量%〜25重量%または約25重量%、またはより好ましくは5重量%または約5重量%〜20重量%または約20重量%を構成し、ここで重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0046】
本発明に係る樹脂組成物はさらに、1種以上の充填剤、例えば炭酸カルシウム、炭素繊維、タルク、雲母、珪灰石、焼成粘土(calcinated clay)、カオリン、硫酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、アルミニウム炭酸ナトリウム、バリウムフェライトおよびチタン酸カリウムを含んでいてよい。存在する場合、この1種以上の充填剤は、1重量%または約1重量%〜60重量%または約60重量%、好ましくは1重量%または約1重量%〜40重量%または約40重量%、またはより好ましくは1重量%または約1重量%〜35重量%または約35重量%の量で存在し、ここで重量百分率は樹脂組成物の合計重量に基づいている。
【0047】
本発明の樹脂組成物はさらに、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、カーボンブラック、置換レゾルシノール類、サリチル酸塩類、ベンゾトリアゾール類およびベンゾフェノン類などの紫外線安定剤を含んでいてよい。
【0048】
本発明に係る樹脂組成物はさらに、改質剤およびその他の成分、例えば流動増強用添加剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、成核剤、結晶化促進剤および、ポリマー配合技術において公知のその他の加工助剤を含んでいてよい。
【0049】
上述の充填剤、改質剤およびその他の成分は、粒子の寸法の少なくとも1つが1〜1000nmの範囲内にあるいわゆるナノ材料の形を含めた、当該技術分野において周知の形および量で樹脂組成物中に存在していてよい。
【0050】
樹脂組成物は、溶融混合されたブレンドであり、ここでポリマー構成要素は全て、互いに充分分散し合っており、非ポリマー成分は全てポリマーマトリクス内によく分散し、このマトリクスによって結合させられ、こうしてブレンドが一体化して全体を形成するようになっている。本発明のポリマー構成要素および非ポリマー成分を組合せるために、任意の溶融混合方法を使用し得る。例えば、ポリマー構成要素および非ポリマー成分を、溶融混合機、例えば一軸または二軸スクリュー押出機、ブレンダー、一軸または二軸スクリュー混練機、またはバンバリーミキサーに対して、1ステップ添加によって一度に全てまたは段階的に添加し、次に溶融混合してよい。ポリマー構成要素および非ポリマー成分を段階的に添加する場合、ポリマー構成要素および/または非ポリマー成分の一部分をまず最初に添加し、溶融混合し、残りのポリマー構成要素および非ポリマー成分は後続して添加され、充分混合された組成物が得られるまでさらに溶融混合される。
【0051】
別の態様においては、本発明は、本発明に係る樹脂組成物を造形するステップを含む1つの物品を製造するための方法および、本発明の樹脂組成物から作られた造形品に関する。「造形」とは、例えば押出し、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、熱成形、回転成形およびメルトキャストなどのあらゆる造形技術を意味するが、射出成形が好ましい。造形品の例としては、自動車用部品、電気/電子部品、家庭用品および家具がある。
【0052】
本発明に係る樹脂組成物は、携帯式電子デバイスのハウジングを製造するために特に適している。「携帯式電子デバイスハウジング」とは、デバイスのカバー、バックボーンなどを意味している。ハウジングは単一の物品であってもよいし、あるいは2つ以上の構成要素を含んでいてもよい。「バックボーン」とは、電子機器、マイクロプロセッサ、スクリーン、キーボードおよびキーパッド、アンテナ、バッテリソケットなどのデバイスのその他の構成要素を取付ける構造的構成要素を意味する。バックボーンは、電話の外部から見えないかまたは部分的にしか見えない内部構成要素であってよい。ハウジングは、デバイスの内部構成要素のために衝撃および汚染および/または環境要因(例えば液体、塵埃など)による損傷に対する保護を提供してもよい。ハウジング構成要素、例えばカバーは同様に、スクリーンおよび/またはアンテナなどのデバイスの外部に対し曝露されている一部の構成要素のための実質的な、または一次的な構造的支持、およびこれらの構成要素の衝撃保護を提供してもよい。「携帯式電子デバイス」というのは、さまざまな場所に便利に輸送され使用されるように設計されている電子デバイスを意味する。携帯式電子デバイスの代表例としては、携帯電話、携帯情報端末、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、ラジオ、カメラおよびカメラ付属品、腕時計、計算機、音楽プレーヤー、グローバルポジショニングシステム受信機、携帯ゲーム機、ハードドライブおよびその他の電子記憶デバイスなどが含まれる。
【0053】
好ましくは、本発明に係る携帯式電子デバイスハウジングは、デバイスが携帯電話である場合のものである。
【0054】
好ましい実施形態において、本発明のハウジングは、携帯電話ハウジングである。
【0055】
本発明をさらに詳細に説明するために、以下の実施例が提供される。本発明を実施するために現在企図されている好ましい形態を説明するこれらの実施例は、例示を目的としており、本発明を限定するように意図されたものではない。
【実施例】
【0056】
本発明の実施例および比較例にしたがって樹脂組成物を調製するために、以下の材料を使用した。
【0057】
半芳香族非晶質ポリアミド:ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸(T)およびイソフタル酸(I)で作られたポリアミドコポリマー(T:I=30重量%:70重量%、なお重量百分率はテレフタル(terphthalic)酸およびイソフタル酸の和に基づいている)、このポリマーはPA6I/6Tと呼ばれる。
【0058】
半結晶性ポリアミド1:アジピン酸および1,6−ヘキサメチレンジアミンで作られたポリアミドコポリマー、このポリマーはPA66と呼ばれる。
【0059】
半結晶性ポリアミド2:ドデカン二酸および1,6−ヘキサメチレンジアミンで作られたポリアミドコポリマー、このポリマーはPA612と呼ばれる。
【0060】
半結晶性ポリアミド3:セバシン酸およびデカメチレンジアミンで作られたポリアミンコポリマー、このポリマーはPA1010と呼ばれる。
【0061】
ガラス強化剤:非円形断面形状、3mmの切断長および約4の断面縦横比を有するガラス繊維。これらの繊維質非円形断面ガラス充填剤は、日東紡績株式会社から市販されている(製品番号CSG3PA820)。
【0062】
加工助剤:Licomont(登録商標)CAV102の商標でClariant Produkte、(Gerstholfen、Germany)により供給されているモンタン酸カルシウム。
【0063】
酸化防止剤:Irganox(登録商標)1098という商標でCiba Specialty Chemicals、(Tarrytown、New York、USA)により供給されているN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)。
【0064】
HALS:Chimasorb(登録商標)944という商標でCiba Specialty Chemicals、(Tarrytown、New York、USA)により供給されるポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6−,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−1,6−ヘキサンジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]。
【0065】
カーボンブラックマスターバッチ:25重量%のカーボンブラックを含むポリアミドPA6
【0066】
配合
約300rpmのスクリュー速度、110kg/時の処理能力および手で測定した約290℃の溶融温度を用いて約280℃で作動する40mmの二軸スクリュー押出機(Berstorff ZE40)内で、表1に示す成分をメルトブレンドすることにより、実施例の組成物を調製した。スクリュー側フィーダを通してメルトにガラス繊維を添加した。表1に示された成分数量は、樹脂組成物の合計重量に基づく重量%単位で記されている。
【0067】
配合した混合物を、レースまたはストランドの形に押出し、水浴中で冷却し、顆粒状に細断し、水分の取込みを防ぐためアルミニウムライニングを施した密封袋に入れた。冷却および切断条件を調整して、材料の水分レベルを確実に0.15%未満に保った。
【0068】
機械的特性
ISO527−2/1B/1にしたがって引張係数を測定した。ISO527に準じて4mmの幅および20mmの供試体厚みで、射出成形したISO棒試料(溶融温度:約290℃;金型温度;約90℃および保持圧力;90MPa)について測定を行なった。供試体を23℃で、成形時乾燥状態(DAM(Dried as molded))で測定した。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物で作った10個の供試体(E1−E2)および比較用組成物で作った供試体(C1−C3)について機械的特性を測定した。結果はそれらの平均である。結果は、「引張係数」および「シャルピー衝撃切欠き」という表題の下で表1に示されている。
【0070】
ひけ測定および表面外観
表面外観およびひけの測定を、射出成形した供試体(溶融温度:約290℃;金型温度:約90℃および保持圧力:90MPa)について行なった。170×26×2mmの矩形形状を有する供試体を、光沢面を有する(すなわちテクスチュア無し)金型内で成形した。供試体には2×26×2mmのリブを備えた。供試体を23℃で、成形時乾燥状態(DAM)で測定した。
【0071】
ひけは、光学顕微鏡で査定した。供試体を、リブを通り垂直断面で切断した。成形品表面内の陥没の深さを測定することによって、ひけを判定した。
【0072】
表面外観は目視により査定した。光沢ある平滑な外観を有する表面の評点を「3」とみなし、粗く非常に劣悪な外観を有する表面の評点を「0」とみなした。
【0073】
【表1】

【0074】
比較例(C1−C3)により示されている通り、一定合計量のポリアミドについて、非晶質半芳香族ポリアミドの量の増加は、それぞれC1およびC3について、20から1ミクロンへとひけの低減に大幅な改善を導いた。それにも関わらず、非晶質半結晶性ポリアミドの量のこの増加は、同時に、成形された供試体の表面外観を優れた表面外観(C1)から非常に劣悪な表面外観(C3)へと大幅に劣化させることになった。組成物中のポリアミドの同じ一定合計量、およびC2と比較した場合に良好な機械的特性を維持するための非晶質半結晶性ポリアミドの匹敵する量について、本発明に係る組成物(E1およびE2)は、ひけ低減と優れた表面外観の良好なバランスを示した。反対に、C2は非常に劣悪な表面外観を示した。
【0075】
ハンド電子デバイス用ハウジングを製造するために従来使用されている非晶質半芳香族ポリアミドと半結晶性ポリアミドを含むポリアミド組成物と比べると、本発明に係るポリアミド組成物すなわち少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドおよび少なくとも2種の異なる半結晶性ポリアミドを含む組成物は、良好な機械的特性、優れた表面外観、およびひけの低減に関して、良好な特性バランスを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドと;
b)少なくとも2種の半結晶性ポリアミドb1)およびb2)と;
c)少なくとも1種のガラス強化剤と、
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
a)前記少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドが20重量%または約20重量%〜50重量%または約50重量%の量で存在し;
b)前記少なくとも2種の半結晶性ポリアミドb1)およびb2)が、10重量%または約10重量%〜40重量%または約40重量%の量で存在し;
c)前記少なくとも1種のガラス強化剤が10重量%または約10重量%〜70重量%または約70重量%の量で存在し、重量百分率が前記樹脂組成物の合計重量に基づいている、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
a)前記少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドがPA6I/6T;PA6I/6T/PACMI/PACMT;PA6I/MACMI/MACMT、PA6I/6T/MACMI、PA12/MACMT、PA TMDT、PA6I/6T/IPDI/IPDT、PA6/TMDT/6Tおよびその混合物から選択され;
b)前記少なくとも2種の半結晶性ポリアミドの1種b1)がPA66であり、前記少なくとも2種の半結晶性脂肪族ポリアミドの1種b2)がPA1010、PA612、PA610およびその混合物から選択される、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
a)前記少なくとも1種の非晶質半芳香族ポリアミドがPA6I/6Tであり;
b)前記少なくとも2種の半結晶性ポリアミドの1種b1)がPA66であり、前記少なくとも2種の半結晶性脂肪族ポリアミドの1種b2)がPA1010、PA612、PA610およびその混合物から選択される、
請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
b1)が5重量%または約5重量%〜20重量%または約20重量%の量で存在し、b2)が5重量%または約5重量%〜20重量%の量で存在するが、ここでb1)とb2)の和が10重量%または約10重量%〜40重量%または約40重量%であることが条件であり、前記重量百分率は前記樹脂組成物の前記合計重量に基づいている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ガラス強化剤が、繊維質非円形断面ガラスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
円形断面を有する繊維質強化剤およびガラスフレークからなる群から選択される1種以上の追加の強化剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
さらに1種以上の酸化防止剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記樹脂組成物を造形するステップを含む、物品の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記樹脂組成物から形成された、造形品。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記樹脂組成物で製造された携帯式電子デバイスのハウジングである、請求項10に記載の造形品。
【請求項12】
デバイスが携帯電話である、請求項11に記載の携帯式電子デバイス。

【公表番号】特表2012−513499(P2012−513499A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542561(P2011−542561)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069142
【国際公開番号】WO2010/075351
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】