ろ過装置の破断膜モジュール検出装置
【課題】本発明は、破断した膜モジュールを特定できる破断膜モジュール検出装置を提供する。
【解決手段】膜エレメントを収納した膜モジュールと、前記膜モジュールに原水を供給する原水供給配管と、前記膜モジュールから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えたろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、前記各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって前記各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランス信号が上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランス信号が下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備える。
【解決手段】膜エレメントを収納した膜モジュールと、前記膜モジュールに原水を供給する原水供給配管と、前記膜モジュールから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えたろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、前記各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって前記各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランス信号が上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランス信号が下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
上下水道などのろ過処理に用いられるろ過装置の破断した膜モジュールを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ろ過流量の低下を用いて膜の破断を検知するろ過装置として、精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜を使用した上水道用ろ過装置において、透過膜を前後2段に構成し、この際、後段の透過膜は、前段の透過膜と同等もしくは大きな膜孔径を有する透過膜とし、前段の透過膜の損傷時に、後段の透過膜の一次側の圧力の急上昇もしくは後段透過膜のろ過水量の急低下により、前段の透過膜の損傷を検知するとともに、損傷した前段の透過膜から漏出した不純物を後段の透過膜で阻止することを特徴とする上水道用ろ過装置が知られている(特許文献1)。
また、音を検出して膜の破断を検知するろ過装置として、膜ろ過処理を行う膜モジュールの一次側及び二次側のいずれか一方に加圧空気を供給する加圧空気供給手段と、膜モジュールの一次側及び二次側のいずれか他方に設けられた音響センサと、該音響センサで集音した音に基づいて膜破断の有無を判定する判定手段とを備えていることを特徴とするものが知られている(特許文献2)。
他にも、音を用いて膜の破断を検知するろ過装置として、分離膜によって原液室と透過液室とに区画された膜モジュールを用いて、透過水あるいは濃縮水を得る膜分離装置において、原液室の原液を排出する手段と、透過液室の透過液を吸引し減圧する手段と、膜モジュール内に発生する音波を検知する手段とを設けたことを特徴とする膜分離装置が知られている(特許文献3)。
さらに他にも、音を用いて膜の破断を検知する方法として、中空繊維ろ過モジュールの完全性をチェックし、かつ、完全にまたは部分的に破損した繊維からの漏れを検知するための方法であって、この方法は、
− ろ過モジュールのメンブレンの一方の側に配置されるエミッターによりノイズまたは音響信号を発すること;
− メンブレンの他の側で、破損した繊維が液体の流れに晒されていてもいなくても、この破損した繊維から生じるノイズまたは音響信号を検知すること;
− この様にして得られたノイズ信号を増幅すること; 及び
− 結果として増幅された信号を閾値ノイズレベルと、同じ周波数レンジ内で比較すること、
に特徴を有する方法が知られている(特許文献4)。ずなわち、この方法は、音の発信源から発せられた音を、膜で隔てられた場所で集音し、この音の減衰特性を検知、比較している。
【特許文献1】特開平6−15271号公報
【特許文献2】特開2005−296908号公報
【特許文献3】特開2006−218372号公報
【特許文献4】特開2005−525211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の発明は、膜を二重に用いるため高価である問題点があった。
また、特許文献2および3の発明は、加圧空気を供給または減圧するので、破断検知中はろ過を継続できないという問題点があった。
また、特許文献4の発明は、膜モジュール内に気泡がある場合、音が気泡により減衰するため、誤検知するという問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、膜破断による水流変化を検知することで、容易に破断した膜モジュールを特定できる破断膜モジュール検出装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、膜モジュールに収納した膜エレメントと、前記膜エレメントに原水を供給する原水供給配管と、前記膜エレメントから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えたろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、前記各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって前記各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランス信号が上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランス信号が下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
また、本発明は、請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールを前記原水供給配管に並列に配置し、前記流量バランス検出部は、原水供給配管の前記各膜モジュールへ分岐する分岐部位にあることを特徴とする(請求項2)。
また、本発明は、請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールからろ過水を取り出した後1つに集水するろ過水配管を備え、前記流量バランス検出部は、ろ過水配管の集水する集水部位にあることを特徴とする(請求項3)。
【0007】
また、本発明は、請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記各膜エレメント群のろ過水側は中間連通配管を介して直列に接続され、前記ろ過水配管は、前記各膜エレメント群の両端のろ過水側からろ過水を取り出した後、配管圧損が同じになる部位で1つに集水し、前記流量バランス検出部は、中間連通配管に配置したことを特徴とする(請求項4)。
【0008】
また、本発明は、請求項4に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納したことを特徴とする(請求項5)
また、本発明は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記ろ過水配管に閉止弁を備え、前記制御部は、前記上限警報または下限警報を発信した場合、前記閉止弁を閉めることを特徴とする(請求項6)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膜を二重に設けることなく、ろ過運転を行いながら膜破断の監視を行なうことができる。そして、請求項6の発明によれば、上限警報、または、下限警報が発信された時に、ろ過水配管に備えた閉止弁を閉じるので、ろ過水に原水が混入することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかるろ過装置の破断膜モジュール検出装置は、膜モジュールに収納した膜エレメントと、膜エレメントに原水を供給する原水供給配管と、膜エレメントから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えており、さらに、膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランスが上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランスが下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備えることとする。
【0011】
図1は、実施例1、2にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図である。
【実施例1】
【0012】
流量バランス検出部が3aにある場合、2つの膜エレメント群1を別々の膜モジュール2に収納し、膜モジュールを原水供給配管4に並列に配置し、流量バランス検出部3aが、原水供給配管の前記各膜モジュールへ分岐する分岐部位にある。図2に流量バランス検出部3aの構造を示す。流量バランス検出部3aは、羽根20と固定子21を備え、羽根20は、固定子21を軸として回転運動可能に設置されている。従って、羽根20は、水流の多い方向に向く特性がある。さらに、ろ過水配管5の集水部位より下流に閉止弁7を備え、流量バランス検出部3aの信号を受けた制御部が、上限警報または下限警報を発信した場合、閉止弁7を閉めることとするのがより望ましい。
【実施例2】
【0013】
また、2つの膜エレメント群1を別々の膜モジュール2に収納し、膜モジュール2からろ過水を取り出した後1つに集水するろ過水配管5を備え、流量バランス検出部3bを、ろ過水配管5の集水する集水部位に設置しても良い。この場合の流量バランス検出部3bの構造を図3に示した。図2と同様に流量バランス検出部3bは、羽根20と固定子21を備え、羽根20は、固定子21を軸として回転運動可能に設置されている。羽根20は、水流の多い配管側(破断側)の流路幅が大きくなるように動く特性がある。
【実施例3】
【0014】
図4は、本発明の別の態様にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図である。
各膜エレメント群1のろ過水側は中間連通配管8を介して直列に接続され、ろ過水配管5は、各膜エレメント群の両端のろ過水側からろ過水を取り出した後、配管圧損が同じになる部位で1つに集水し、流量バランス検出部3cは、中間連通配管8に配置することとしてもよい。
【0015】
いずれの膜エレメントも破断していない時は、ろ過水側の圧損は膜エレメント両端方向に対称になるので、中間連通配管8に備えた流量バランス検出部3cのろ過水は、ほとんど移動しない。一方、どちらかの膜エレメントが破断した時は、破断した膜エレメント側のろ過水流量が増えるので、破断した部位から中間連通配管8の方向にろ過水が流れる。このことから、流量バランスが変化した膜モジュールは、破断が発生したことを検知できる。図1のように、ろ過水配管5の集水部位より下流に閉止弁7を備え、流量バランス検出部3cの信号を受けた制御部が、上限警報または下限警報を発信した場合、閉止弁7を閉めることとするとより望ましい。
図6,7,8,9,10に流量バランス検出部3cの具体例を示した。図6の流量バランス検出部3cは、軸受け部10と、羽根車11と、テーパー部9を備えている。水流が発生すると羽根車が回転し、水流方向と水流強度が判明する。テーパー部9を備えることとすると流路が狭まり、より少ない水流でも羽根車11が感知できるようになる。図6は、水車型の羽根車の例である。羽根車の回転数を検知する方法は、軸受け部10に備えた磁石とコイルで生じる電磁変化を検出する方法や、図7,8に示すように羽根車の音を測定する方法も行える。図7の回転軸は、前記羽根車に連動しており、その周囲に突起部13を備えている。そして、板状の弾性体は、この突起部13に引っかかるように設置されている。羽根車が回転すると、弾性体14が曲げられ、さらに羽根車が回転すると、弾性体14は突起部13から外れ、隣の突起部13に衝突し、衝突音を発生させる。この衝突音により、羽根車が回転していることを検知することができる。そして、音響センサ15a,15bにより音を測定する。弾性体14から発生する音は、特定の周波数を持っているため、音響センサから得られた音の信号を、フィルター回路で処理することにより、雑音から弾性体14から発生した音の信号を容易に抽出することができる。水流方向の検出は、音響センサ15a,15bの信号を比較し、ドップラー効果による音の周波数変化により検出する。
図10には、光を用いて羽根車の回転を検出する方法を示す。羽根車の回転軸の延長線上にレーザー発振器などの光源17を取り付け、羽根車に向けて光を照射する。羽根車の軸には、光源17から発射された光の方向に対して僅かに傾けた状態で鏡16を取り付けておく。この鏡16によって反射された光は、羽根車の回転に伴って発振器の周りを回転する。羽根車の回転方向および回転速度は、受光器18,18a,18b,18cにより検出する。羽根車の回転方向および回転速度が判れば、水の流れる方向およびろ過水の流速を知ることができる。
【0016】
図11では、図5の構成をした多数の膜モジュールを接続したろ過装置の構成図である。膜モジュールA,B,C,Dの中に膜エレメント1が収納され、中間連通配管8でろ過水側が連通されている。そして、中央の中間連通配管部分に流量バランス検出部3cを備えている。そして、膜モジュールの両端のろ過水配管に閉止弁7を備え、ろ過中は、閉止弁7は開いている。制御部6は、前記上限警報または下限警報を発信する場合、膜破断した膜モジュールの閉止弁のみを閉める。
【0017】
図11の構成とすれば、破断した膜モジュールが判明するのみならず、流量バランス検出部3cのどちら側の膜エレメントが破断したか判明するため、破断した膜エレメントの特定が速やかにできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図
【図2】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図3】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図4】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図5】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図
【図6】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図7】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図8】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図9】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図
【図10】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図11】図5の構成をした多数の膜モジュールを接続したろ過装置の構成図
【符号の説明】
【0019】
1 膜エレメント群
2 膜モジュール
3,3a,3b,3c 流量バランス検出部
4 原水供給配管
5 ろ過水配管
6 制御部
7 閉止弁
8 中間連通配管
9 テーパー部
10 軸受け部
11,12 羽根車
13 突起部
14 弾性体
15a,15b 音響センサ
16 鏡
17 光源
18,18a,18b,18c 受光器
20 羽根
21 固定子
【技術分野】
【0001】
上下水道などのろ過処理に用いられるろ過装置の破断した膜モジュールを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ろ過流量の低下を用いて膜の破断を検知するろ過装置として、精密ろ過膜もしくは限外ろ過膜を使用した上水道用ろ過装置において、透過膜を前後2段に構成し、この際、後段の透過膜は、前段の透過膜と同等もしくは大きな膜孔径を有する透過膜とし、前段の透過膜の損傷時に、後段の透過膜の一次側の圧力の急上昇もしくは後段透過膜のろ過水量の急低下により、前段の透過膜の損傷を検知するとともに、損傷した前段の透過膜から漏出した不純物を後段の透過膜で阻止することを特徴とする上水道用ろ過装置が知られている(特許文献1)。
また、音を検出して膜の破断を検知するろ過装置として、膜ろ過処理を行う膜モジュールの一次側及び二次側のいずれか一方に加圧空気を供給する加圧空気供給手段と、膜モジュールの一次側及び二次側のいずれか他方に設けられた音響センサと、該音響センサで集音した音に基づいて膜破断の有無を判定する判定手段とを備えていることを特徴とするものが知られている(特許文献2)。
他にも、音を用いて膜の破断を検知するろ過装置として、分離膜によって原液室と透過液室とに区画された膜モジュールを用いて、透過水あるいは濃縮水を得る膜分離装置において、原液室の原液を排出する手段と、透過液室の透過液を吸引し減圧する手段と、膜モジュール内に発生する音波を検知する手段とを設けたことを特徴とする膜分離装置が知られている(特許文献3)。
さらに他にも、音を用いて膜の破断を検知する方法として、中空繊維ろ過モジュールの完全性をチェックし、かつ、完全にまたは部分的に破損した繊維からの漏れを検知するための方法であって、この方法は、
− ろ過モジュールのメンブレンの一方の側に配置されるエミッターによりノイズまたは音響信号を発すること;
− メンブレンの他の側で、破損した繊維が液体の流れに晒されていてもいなくても、この破損した繊維から生じるノイズまたは音響信号を検知すること;
− この様にして得られたノイズ信号を増幅すること; 及び
− 結果として増幅された信号を閾値ノイズレベルと、同じ周波数レンジ内で比較すること、
に特徴を有する方法が知られている(特許文献4)。ずなわち、この方法は、音の発信源から発せられた音を、膜で隔てられた場所で集音し、この音の減衰特性を検知、比較している。
【特許文献1】特開平6−15271号公報
【特許文献2】特開2005−296908号公報
【特許文献3】特開2006−218372号公報
【特許文献4】特開2005−525211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の発明は、膜を二重に用いるため高価である問題点があった。
また、特許文献2および3の発明は、加圧空気を供給または減圧するので、破断検知中はろ過を継続できないという問題点があった。
また、特許文献4の発明は、膜モジュール内に気泡がある場合、音が気泡により減衰するため、誤検知するという問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は、膜破断による水流変化を検知することで、容易に破断した膜モジュールを特定できる破断膜モジュール検出装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、膜モジュールに収納した膜エレメントと、前記膜エレメントに原水を供給する原水供給配管と、前記膜エレメントから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えたろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、前記各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって前記各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランス信号が上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランス信号が下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
また、本発明は、請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールを前記原水供給配管に並列に配置し、前記流量バランス検出部は、原水供給配管の前記各膜モジュールへ分岐する分岐部位にあることを特徴とする(請求項2)。
また、本発明は、請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールからろ過水を取り出した後1つに集水するろ過水配管を備え、前記流量バランス検出部は、ろ過水配管の集水する集水部位にあることを特徴とする(請求項3)。
【0007】
また、本発明は、請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記各膜エレメント群のろ過水側は中間連通配管を介して直列に接続され、前記ろ過水配管は、前記各膜エレメント群の両端のろ過水側からろ過水を取り出した後、配管圧損が同じになる部位で1つに集水し、前記流量バランス検出部は、中間連通配管に配置したことを特徴とする(請求項4)。
【0008】
また、本発明は、請求項4に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納したことを特徴とする(請求項5)
また、本発明は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、前記ろ過水配管に閉止弁を備え、前記制御部は、前記上限警報または下限警報を発信した場合、前記閉止弁を閉めることを特徴とする(請求項6)。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膜を二重に設けることなく、ろ過運転を行いながら膜破断の監視を行なうことができる。そして、請求項6の発明によれば、上限警報、または、下限警報が発信された時に、ろ過水配管に備えた閉止弁を閉じるので、ろ過水に原水が混入することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかるろ過装置の破断膜モジュール検出装置は、膜モジュールに収納した膜エレメントと、膜エレメントに原水を供給する原水供給配管と、膜エレメントから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えており、さらに、膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランスが上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランスが下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備えることとする。
【0011】
図1は、実施例1、2にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図である。
【実施例1】
【0012】
流量バランス検出部が3aにある場合、2つの膜エレメント群1を別々の膜モジュール2に収納し、膜モジュールを原水供給配管4に並列に配置し、流量バランス検出部3aが、原水供給配管の前記各膜モジュールへ分岐する分岐部位にある。図2に流量バランス検出部3aの構造を示す。流量バランス検出部3aは、羽根20と固定子21を備え、羽根20は、固定子21を軸として回転運動可能に設置されている。従って、羽根20は、水流の多い方向に向く特性がある。さらに、ろ過水配管5の集水部位より下流に閉止弁7を備え、流量バランス検出部3aの信号を受けた制御部が、上限警報または下限警報を発信した場合、閉止弁7を閉めることとするのがより望ましい。
【実施例2】
【0013】
また、2つの膜エレメント群1を別々の膜モジュール2に収納し、膜モジュール2からろ過水を取り出した後1つに集水するろ過水配管5を備え、流量バランス検出部3bを、ろ過水配管5の集水する集水部位に設置しても良い。この場合の流量バランス検出部3bの構造を図3に示した。図2と同様に流量バランス検出部3bは、羽根20と固定子21を備え、羽根20は、固定子21を軸として回転運動可能に設置されている。羽根20は、水流の多い配管側(破断側)の流路幅が大きくなるように動く特性がある。
【実施例3】
【0014】
図4は、本発明の別の態様にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図である。
各膜エレメント群1のろ過水側は中間連通配管8を介して直列に接続され、ろ過水配管5は、各膜エレメント群の両端のろ過水側からろ過水を取り出した後、配管圧損が同じになる部位で1つに集水し、流量バランス検出部3cは、中間連通配管8に配置することとしてもよい。
【0015】
いずれの膜エレメントも破断していない時は、ろ過水側の圧損は膜エレメント両端方向に対称になるので、中間連通配管8に備えた流量バランス検出部3cのろ過水は、ほとんど移動しない。一方、どちらかの膜エレメントが破断した時は、破断した膜エレメント側のろ過水流量が増えるので、破断した部位から中間連通配管8の方向にろ過水が流れる。このことから、流量バランスが変化した膜モジュールは、破断が発生したことを検知できる。図1のように、ろ過水配管5の集水部位より下流に閉止弁7を備え、流量バランス検出部3cの信号を受けた制御部が、上限警報または下限警報を発信した場合、閉止弁7を閉めることとするとより望ましい。
図6,7,8,9,10に流量バランス検出部3cの具体例を示した。図6の流量バランス検出部3cは、軸受け部10と、羽根車11と、テーパー部9を備えている。水流が発生すると羽根車が回転し、水流方向と水流強度が判明する。テーパー部9を備えることとすると流路が狭まり、より少ない水流でも羽根車11が感知できるようになる。図6は、水車型の羽根車の例である。羽根車の回転数を検知する方法は、軸受け部10に備えた磁石とコイルで生じる電磁変化を検出する方法や、図7,8に示すように羽根車の音を測定する方法も行える。図7の回転軸は、前記羽根車に連動しており、その周囲に突起部13を備えている。そして、板状の弾性体は、この突起部13に引っかかるように設置されている。羽根車が回転すると、弾性体14が曲げられ、さらに羽根車が回転すると、弾性体14は突起部13から外れ、隣の突起部13に衝突し、衝突音を発生させる。この衝突音により、羽根車が回転していることを検知することができる。そして、音響センサ15a,15bにより音を測定する。弾性体14から発生する音は、特定の周波数を持っているため、音響センサから得られた音の信号を、フィルター回路で処理することにより、雑音から弾性体14から発生した音の信号を容易に抽出することができる。水流方向の検出は、音響センサ15a,15bの信号を比較し、ドップラー効果による音の周波数変化により検出する。
図10には、光を用いて羽根車の回転を検出する方法を示す。羽根車の回転軸の延長線上にレーザー発振器などの光源17を取り付け、羽根車に向けて光を照射する。羽根車の軸には、光源17から発射された光の方向に対して僅かに傾けた状態で鏡16を取り付けておく。この鏡16によって反射された光は、羽根車の回転に伴って発振器の周りを回転する。羽根車の回転方向および回転速度は、受光器18,18a,18b,18cにより検出する。羽根車の回転方向および回転速度が判れば、水の流れる方向およびろ過水の流速を知ることができる。
【0016】
図11では、図5の構成をした多数の膜モジュールを接続したろ過装置の構成図である。膜モジュールA,B,C,Dの中に膜エレメント1が収納され、中間連通配管8でろ過水側が連通されている。そして、中央の中間連通配管部分に流量バランス検出部3cを備えている。そして、膜モジュールの両端のろ過水配管に閉止弁7を備え、ろ過中は、閉止弁7は開いている。制御部6は、前記上限警報または下限警報を発信する場合、膜破断した膜モジュールの閉止弁のみを閉める。
【0017】
図11の構成とすれば、破断した膜モジュールが判明するのみならず、流量バランス検出部3cのどちら側の膜エレメントが破断したか判明するため、破断した膜エレメントの特定が速やかにできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図
【図2】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図3】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図4】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図5】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図
【図6】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図7】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図8】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図9】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の配置図
【図10】本発明にかかる破断膜モジュール検出装置の構成図
【図11】図5の構成をした多数の膜モジュールを接続したろ過装置の構成図
【符号の説明】
【0019】
1 膜エレメント群
2 膜モジュール
3,3a,3b,3c 流量バランス検出部
4 原水供給配管
5 ろ過水配管
6 制御部
7 閉止弁
8 中間連通配管
9 テーパー部
10 軸受け部
11,12 羽根車
13 突起部
14 弾性体
15a,15b 音響センサ
16 鏡
17 光源
18,18a,18b,18c 受光器
20 羽根
21 固定子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜エレメントを収納した膜モジュールと、前記膜モジュールに原水を供給する原水供給配管と、前記膜モジュールから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えたろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、
前記膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、前記各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって前記各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランス信号が上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランス信号が下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備えたことを特徴とするろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項2】
2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールを前記原水供給配管に並列に配置し、前記流量バランス検出部は、原水供給配管の前記各膜モジュールへ分岐する分岐部位にあることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項3】
2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールからろ過水を取り出した後1つに集水するろ過水配管を備え、前記流量バランス検出部は、ろ過水配管の集水する集水部位にあることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項4】
前記各膜エレメント群のろ過水側は中間連通配管を介して直列に接続され、前記ろ過水配管は、前記各膜エレメント群の両端のろ過水側からろ過水を取り出した後、配管圧損が同じになる部位で1つに集水し、前記流量バランス検出部は、中間連通配管に配置したことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項5】
2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納したことを特徴とする請求項4に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項6】
前記ろ過水配管に閉止弁を備え、前記制御部は、前記上限警報または下限警報を発信した場合、前記閉止弁を閉めることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項1】
膜エレメントを収納した膜モジュールと、前記膜モジュールに原水を供給する原水供給配管と、前記膜モジュールから流出したろ過水が通流するろ過水配管とを備えたろ過装置の破断膜モジュール検出装置において、
前記膜エレメントは同数同形状のものが2群あり、前記各膜エレメント群からの配管圧損が同じになる平衡部位にあって前記各膜エレメント群に通流する物質の流量バランスを検出する流量バランス検出部と、前記流量バランス信号が上限閾値より大きい場合に上限警報を発信し、さらに、前記流量バランス信号が下限閾値より小さい場合に下限警報を発信する制御部とを備えたことを特徴とするろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項2】
2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールを前記原水供給配管に並列に配置し、前記流量バランス検出部は、原水供給配管の前記各膜モジュールへ分岐する分岐部位にあることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項3】
2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納し、前記膜モジュールからろ過水を取り出した後1つに集水するろ過水配管を備え、前記流量バランス検出部は、ろ過水配管の集水する集水部位にあることを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項4】
前記各膜エレメント群のろ過水側は中間連通配管を介して直列に接続され、前記ろ過水配管は、前記各膜エレメント群の両端のろ過水側からろ過水を取り出した後、配管圧損が同じになる部位で1つに集水し、前記流量バランス検出部は、中間連通配管に配置したことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項5】
2つの前記膜エレメント群を別々の膜モジュールに収納したことを特徴とする請求項4に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【請求項6】
前記ろ過水配管に閉止弁を備え、前記制御部は、前記上限警報または下限警報を発信した場合、前記閉止弁を閉めることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のろ過装置の破断膜モジュール検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−238041(P2008−238041A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81670(P2007−81670)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
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