説明

ろ過装置及び方法

【課題】繊維のほつれを防止し、懸濁物質の高い除去率を安定的に長時間継続して得ることができるろ過装置と方法を提供する。
【解決手段】内部に繊維ろ材からなるろ過層2と、その下部に処理水の集水装置3とを有するろ過塔1と、該1の上部に処理されるべき原水の導入管Aと、該下部に空気を供給する供給管Dと3から2上部以上に立ち上げられた処理水流出管Fとを備えたろ過装置において、前記繊維ろ材が、両端部が溶着されている構造の繊維ろ材からなり、該ろ材は、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維、該繊維の2つの集合体又は該繊維と熱可塑性繊維との集合体からなり、繊維方向に引き揃えられており、また、前記1内の2上部には、ろ材の流出阻止用の多孔部材4を設置でき、該ろ過塔の上部に排水管C、下部に通水管Eを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水、工場排水、用水などの懸濁粒子を含有する懸濁水の高速ろ過分離方法及び装置に関し、懸濁水(以下「原水」ともいう)中の懸濁粒子を高速度でろ過除去できる技術に関する。本発明は、特に下水処理施設に流入する下水の高速固液分離技術、又は有機性の懸濁粒子を含有する合流式下水道の雨天時越流水(CSOと略称される)、又は各種産業排水、用水処理として極めて好適な革新技術である。
【背景技術】
【0002】
最近合流式下水道における雨天時越流水(CSO)の公共用水域への汚濁負荷が大きな問題になっている。また、下水処理施設に流入する下水は、まず最初沈殿池で沈殿分離されたのち、活性汚泥処理されるが、最初沈殿池におけるSSの除去率が悪いため、凝集剤を添加して凝集沈殿処理する例が北欧で普及している。しかし、この方法は、汚泥発生量が多く、凝集沈殿速度が小さく、大きな沈殿池を必要とする欠点がある。そのためCSO及び下水を極力コンパクトな設備で固液分離できる新技術が待望されている。
従来、アンスラサイト、砂、各種粒状固体(例えば粒状プラスチック)のビーズ系をろ材とするろ過法が検討されている。例えば、下水処理分野では、活性汚泥処理水のような比較的粒径の大きな懸濁物質が対象に、前述のアンスラサイト、砂などを用いてろ過を行うことが多い。この場合、排水の通水速度としては100〜500m/dで行うことが多い。
【0003】
また、通水速度を上げるために、ろ材粒径を大きくして目詰まりを少なくする場合があるが、この場合、SSの除去率が悪化してしまうなどの問題点が生じた。特に、下水などが含む有機性SSは粘着力が強いので、これら下水などを対象としてSS除去率が高く、かつ目詰まりが少ないという相反する要求を満足できる技術が要望されている。
上記のビーズ系のろ材に代わる方法として、例えば、特公昭62−55885号公報や特開平10−305204号公報では、繊維長5〜50mmの有機繊維からなる短繊維をからみ合わせた多数の繊維塊をろ材にしてろ過する装置がある。このろ材を用いたろ過装置は、懸濁物質を含む排水を処理する際に、600m/d以上の高速でろ過を行うことができる。
【0004】
このような繊維ろ材にろ過過程で付着した懸濁物質をはがす、いわゆる逆洗する場合には、ろ過塔内に洗浄水と空気、又はいずれかを供給することで繊維ろ材から懸濁物質を剥離させる。従来、この逆洗工程では、繊維ろ材が激しい流動状態にさらされることで、繊維ろ材から短繊維がほつれ、ほつれた短繊維が流出することなどがあった。また、ひどい場合には、繊維ろ材の形状そのものが大きく崩れ、所望の処理性能を確保できない場合などもあった。
また、特開2004−89766号公報では、ろ過塔の内部に合成繊維糸フリンジ(ふさ毛)付き部材又は繊維束紐状部材を、上端を固定部材で固定して多数垂下させたろ過塔の下部から懸濁水を流入させて、上向流として通過させてろ過を行い、上部からろ過処理水を流出させる方法が記載されている。このろ材を用いたろ過塔では、下水などの懸濁水を目詰まりが少ない状態で、1440m/dという高速でろ過することができる。この場合、懸濁物質を付着した繊維部材の逆洗が容易ではなく、長時間運転すると、懸濁物質がひも状内部まで浸透し、洗浄効果が不十分となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62−55885号公報
【特許文献2】特開平10−305204号公報
【特許文献3】特開2004−89766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、簡単かつコンパクトな装置によって下水、各種廃水、用水など各種原水中の懸濁粒子を高速ろ過できる新技術を提供することを課題とする。特に、繊維ろ材から短繊維がほつれるのを防止することで、懸濁物質の高い除去率を安定的に得ることができ、更に高い除去率を長時間継続することができる高速ろ過装置とその装置を用いたろ過方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、内部に繊維ろ材からなるろ過層と、その下部に処理水の集水装置とを有するろ過塔と、該ろ過塔の上部に処理されるべき被処理水の導入管Aと、該下部に空気を供給する供給管Dと、前記集水装置からろ過層上部以上に立ち上げられた処理水流出管Fとを備えたろ過装置において、前記繊維ろ材は、両端部が溶着されている構造の繊維ろ材であることを特徴とするろ過装置としたものである。
前記ろ過装置において、繊維ろ材が、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と芯鞘構造の複合熱可塑性繊維との集合体、又は、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と熱可塑性繊維の集合体からなり、繊維方向に引き揃えられているものがよい。
【0008】
前記ろ過装置において、前記ろ過塔内のろ過層上部には、前記繊維ろ材の直径、又は直線部の長さのうち最も短い長さよりも小さいな目開きを有する多孔部材を、水面に対して水平から垂直の任意の角度でろ材の流出阻止用として設置し、前記ろ過塔上部にろ材の洗浄水を排水する排水管Cと、該下部にろ材を洗浄する洗浄水を上向流で通水する通水管Eとを備えることができ、また、前記ろ過塔内の集水装置内又は前記処理水流出管Fには、前記ろ過層内の液を排水する排出管Gを備えることができ、さらに、前記ろ過塔下部に、空気を供給する供給管Dとは別に、流量調整可能な空気の供給管D’を備えることができる。
【0009】
また、本発明では、懸濁物質を含有する被処理水を、前記のろ過装置に通して、被処理水中の懸濁物質をろ過することを特徴とするろ過方法としたものである。
前記ろ過方法において、ろ過性能が低下すると、ろ過塔下部に備えた空気を供給する供給管Dから空気を供給して、ろ過槽内の繊維ろ材を揺動させて繊維ろ材に付着した固形物を剥離する洗浄工程を行うことができる。
また、前記ろ過方法において、排出管Gを備えたろ過装置を用いて、ろ過性能が低下すると、ろ過塔内の繊維ろ材に付着した固形物を剥離する洗浄工程と、前記洗浄工程の後に、前記排出管Gからろ過層内のろ材とろ材の空隙にある液を全量又は一部を排水することでろ材を圧密させる圧密工程とを実施するのがよく、前記洗浄工程は、ろ過塔内に空気を供給して繊維ろ材を揺動させて行うことができる。
さらに、前記ろ過方法において、別に設けた流量調整可能な空気の供給管D’を備えたろ過装置を用いて、ろ過性能が低下したときに行う洗浄工程を、空気の供給管Dと空気の供給管D’から供給する空気の量に流量差を発生させることでろ過層の繊維ろ材に旋回流を起こしつつ行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施により、上部に処理されるべき原水の導入管Aと、ろ過塔内に扁平矩形状の繊維ろ材と、下部に処理水の集水装置と空気を供給する供給管D、集水装置から少なくともろ過層上部以上に立ち上げられた処理水流出管Fを備えたろ過塔において、前記繊維ろ材が、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と熱可塑性繊維との集合体からなり、繊維方向に引き揃えられており、また繊維ろ材の両端部が溶着されている扁平矩形状の繊維ろ材を用いることで、繊維ろ材から短繊維がほつれることなく、懸濁物質の高い除去率を安定的に得ることができ、更に高い除去率を高速で長時間継続することができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の装置の一例を示すフロー構成図。
【図2】本発明の装置の他の例を示すフロー構成図。
【図3】本発明の装置の他の例を示すフロー構成図。
【図4】本発明で用いる繊維ろ材の一例を示す斜視構成図。
【図5】本発明で用いる繊維ろ材の他の例を示す斜視構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のろ過装置の一例を示すフロー構成図である。
図1において、1はろ過塔、2は繊維ろ材からなるろ過層、3は集水装置、5は水位計であり、上部に処理されるべき原水の導入管Aと、下部に処理水の集水装置3と空気を供給する供給管D、集水装置3から少なくともろ過層2上部以上に立ち上げられた処理水流出管F(ヘッダ管ともいう)を備え、被処理水(以下原水ともいう)中の懸濁物質をろ過する。
原水は、下水処理の二次処理水や最初沈殿池流出水、雨天時流出水、各種産業排水、用水処理等、懸濁物質を含む排水、用水であり、前段に凝集操作を行った処理水でもよい。
【0013】
ここで用いる繊維ろ材は、以下の工程を含む製造方法によって製造された繊維ろ材である。なお、繊維ろ材が1種類の芯鞘構造の複合熱可塑性繊維のみからなる場合は、以下の工程1は不要である。
(工程1) 芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造の複合熱可塑性繊維、又は、芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と単一成分からなる熱可塑性繊維を混綿し混綿体とする混綿工程
(工程2) 芯鞘構造の複合熱可塑性繊維又は前記混綿体をロープ状のスライバーとするスライバー工程
(工程3) 該スライバーに熱風を吹き掛け、該スライバーの一部を溶着させた溶着部を形成する溶着工程
(工程4) 該溶着部を有するスライバーを溶着切断する切断工程
以下それぞれの工程の詳細を記す。
【0014】
(混綿工程)
混綿工程において、複合熱可塑性繊維は、芯鞘型複合繊維であり、芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造を有している。
芯成分の材質としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維等が用いられる。これらは単独で用いても複数を混合して用いてもよい。これらの中でも、芯成分の材質は汎用性及び強度の観点からポリエステル繊維を用いることが好ましい。
また、鞘成分の材質としては、ポリエステルと脂肪族化合物との共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が用いられる。これらは単独で用いても複数を混合して用いてもよい。これらの中でも、鞘成分の材質は、芯成分の材質がポリエステル繊維を使用している場合、同一成分を含有させる方が、強度が優れるため、ポリエステルと脂肪族化合物との共重合体を用いることが好ましい。
複合熱可塑性繊維の繊度は、1〜50dtexであることが好ましい。複合熱可塑性繊維の繊度が1dtex未満であると、繊度が、上記範囲内にある場合と比較して、繊維間の空隙が小さくなりすぎ、繊度が50dtexを超えると、繊維間の空隙が大きくなりすぎて、共に懸濁粒子を補足できなくなる恐れがある。
【0015】
芯成分に対する鞘成分の比率は、芯成分:鞘成分が1:0.5〜1であることが好ましい。鞘成分の比率が0.5未満であると、繊度が上記範囲内にある場合と比較して、バインダーとしての接着力が不十分となり、鞘成分の比率が1を超えると、繊度が上記範囲内にある場合と比較して、溶着しにくくなる。
ここで、鞘成分は、芯成分よりも融点が低いものが用いることが好ましい。この場合、繊維ろ材の製造方法においては、鞘成分が溶着し接着剤の働きをする、いわゆるバインダー効果を発揮する。
鞘成分の融点は、80〜200℃であることが好ましく、芯成分の融点は、160〜250℃であることが好ましい。この場合、複合熱可塑性繊維によるバインダー効果を確実に発揮させることができる。
また、鞘成分と芯成分の融点の差は、30℃以上であることが好ましい。融点の差が、30℃未満であると、融点の差が上記範囲内にある場合と比較して、芯成分と鞘成分とが共に溶着してしまい、複合熱可塑性繊維が形状を維持できなくなる場合がある。
【0016】
また、混綿工程において、単一成分からなる熱可塑性繊維の材質としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維等が用いられる。これらの中でも、前記熱可塑性繊維の材質は汎用性、強度、及び水に沈みやすいといった観点から、ポリエステル繊維であることが好ましい。
単一成分からなる熱可塑性繊維の繊度は、1〜50dtexであることが好ましい。前記熱可塑性繊維の繊度が1dtex未満であると、繊度が、上記範囲内にある場合と比較して、繊維間の空隙が小さくなりすぎ、繊度が50dtexを超えると、繊維間の空隙が大きくなりすぎて、共に懸濁粒子を補足できなくなる恐れがある。
また、その融点は、複合熱可塑性繊維の鞘成分の融点よりも高いほうが好ましく、且つ160〜250℃であることが好ましい。この場合、複合熱可塑性繊維によるバインダー効果を発揮させても繊維ろ材の形状を維持することができる。
【0017】
混綿工程においては、複合熱可塑性繊維の綿状物同士、又は、複合熱可塑性繊維の綿状物と単一熱可塑性繊維の綿状物とを混合する。
単一熱可塑性繊維の線状物と混合するときの混合割合は、複合熱可塑性繊維1質量部に対し、単一熱可塑性繊維が1.5〜4質量部であることが好ましい。単一熱可塑性繊維の混合割合が1.5質量部未満であると、混合割合が上記範囲内にある場合と比較して、繊維ろ材の強度が不十分となる恐れがあり、単一熱可塑性繊維の混合割合が4質量部を超えると、混合割合が上記範囲内にある場合と比較して、複合熱可塑性繊維のバインダー効果が不十分となる恐れがある。
混綿工程においては、複数の繊維を混合させることで、繊維ろ材の表面の毛羽の長さや量を調整することが可能となる。これにより、得られる繊維ろ材は、懸濁粒子を効率良く捕集できるようになる。
【0018】
(スライバー工程)
スライバー工程は、混綿工程で得られた混綿体又は複合熱可塑性繊維を、ロープ状のスライバーにする工程である。この工程は、前記混綿体又は繊維を紡績用カード機にかけ薄い平面状のウェブとした後、練条機を通してドラフトし、ロープ状のスライバーにする工程である。
ここで、スライバーとは、撚りをかけないロープ状にした繊維の束をいう。
スライバー工程においては、混綿体又は繊維をドラフトして延伸しロープ状のスライバーとすることで、繊維方向が引き揃えられる。これにより、スライバーの引張り強度が向上するという利点がある。
また、ロープ状のスライバーの直径は5〜20mmの範囲であることが好ましい。直径が5mm未満であると、繊維ろ材の幅が狭くなりろ過装置からろ材が流出しやすくなる欠点があり、直径が20mmを超えると、繊維ろ材自体が大きくなることで比表面積が減少し、水中の懸濁物質を捕捉するために必要な表面積が小さくなる欠点がある。
【0019】
(溶着工程)
溶着工程は、スライバーに熱風を吹き掛け、スライバー内の一部の繊維同士を溶着させた溶着スライバーとする工程である。
溶着スライバーは、一部にスライバーの繊維同士を溶着させた溶着部が形成されている。これにより、得られる繊維ろ材は、ほつれが防止されると共に、長期間、摩耗に耐えうる耐久性を有することになる。「一部」とは定量的な表現をできるものではないが、溶着は芯成分と鞘成分とからなる芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と単一成分からなる熱可塑性繊維の格子点で行われ、格子点が多いほどほつれにくくなる。
また、通水時には水圧で繊維の間隙が埋められ、逆洗時には繊維の間隙が離れ効率良く懸濁粒子を脱離させることが可能となる。
かかる溶着工程において、熱風の温度は120〜180℃であることが好ましい。
【0020】
(切断工程)
切断工程は、溶着スライバーを連続的に溶着切断することにより全長が5〜20mmの扁平矩形状の繊維ろ材とする工程である。溶着切断の方法としては、熱刃による方法、超音波の振動による超音波切断、レーザによる切断が挙げられる。先ず、熱刃による方法を記す。
切断工程においては、溶着スライバーを長手方向に進行させると共に、十分に加熱された熱刃昇降移動させることにより、連続的に溶着スライバーが切断され、個々の扁平矩形状の繊維ろ材となる。繊維ろ材は、左右の縁が溶着されているので、カットによるほつれの発生が抑制される。
溶着切断において、熱刃の温度は700℃以上であることが好ましい。この場合、溶着スライバーを瞬時にカットすると共に、溶着スライバーの縁を確実に溶着することができる。
こうして扁平矩形状の繊維ろ材が得られる。
【0021】
図4は、本発明で用いる繊維ろ材を示す概略斜視図である。
図4において、6は切断溶着部、7は一部溶着部、8は繊維である。
図4に示すように、本発明で用いる繊維ろ材は、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と熱可塑性繊維との集合体からなり、繊維方向に引き揃えられ且つ一部の繊維同士が溶着されており、全体的に中心部がやや膨らんだ扁平矩形状となっている。
また、扁平矩形状の繊維ろ材は、長手方向に複数の繊維が引き揃えられた束となっている。
ここで、各1本の短繊維は、繊維ろ材の長手方向の全長よりも大きいことが好ましい。これにより、繊維が引き抜かれることが抑制される。
また、繊維ろ材において、長手方向に垂直に切断した両端部は、溶着切断により溶着固化されている。また、多数の溶着部が散在した状態となっている。
したがって、繊維ろ材は、ほつれが防止されると共に、長期間、摩耗に耐えうる耐久性を有することになる。
【0022】
次に、レーザによる切断方法を記す。
図5に示す繊維ろ材は、レーザによってスライバー状の繊維を切断すると共に、切断面を融着させる方法によって製造した繊維ろ材である。図5においても図4同様に、6は切断溶着部、7は一部溶着部、8は繊維である。レーザを用いた切断方法では、切断面がロープ状のスライバーのままで溶着されている関係で、繊維がほつれにくく、長期にわたり繊維ろ材の使用が可能となる。
【0023】
集水装置3は、砂利を敷き詰めたものから、有孔ブロック型、ホイラー型、ストレーナ型、ポーラスボトム型、多孔管型など任意のものを選択することができるが、特に、有孔ブロック型は、ブロックが軽く施工が容易であるので、繊維ろ材の集水装置としては好ましい。
原水は、導入管Aを通して連続的に通水され、ろ過塔内に充填された繊維ろ材によってろ過される。ろ過された処理水は、処理水流出管Fを通して系外に排出される。ろ過工程のおける通水速度は、従来の砂ろ過層を用いたろ過よりも装置をコンパクトにするという観点と、通水速度が速い場合に原水中の懸濁物質がショートパスして処理水と共に流出してしまうのを抑制するために、500〜2000m/dが好ましい。また、このとき繊維ろ材の充填高さとしては、逆洗頻度を高めないこと、繊維ろ材層上部のフリーボード部を極端に高くならないように設計するため300〜2000mm程度が好ましい。
【0024】
ある程度の量の原水をろ過した繊維ろ材は、その内部や表面が懸濁物質に覆われているので、定期的、或いはろ過抵抗の上昇を検出して、洗浄される。洗浄は、ろ過塔下部から空気を供給し、繊維ろ材から懸濁物質を剥離する。通気速度や通気時間は、概ね、繊維ろ材に付着した懸濁物質が剥離する速度と時間をとり、通気速度0.1〜5.0m/min、通気時間3〜30minで実施される。
繊維ろ材から剥離した懸濁物質を含む洗浄後の廃水は、導入管Aから原水を供給しながら、排出管G又は処理水流出管Fを通して系外に排出することで、再生された繊維ろ材を再度使用する(洗浄工程)。また、別途、洗浄水の供給管をろ過塔上部や下部から供給して(図示せず)、洗浄廃水を排出管G又は処理水流出管Fから排出してもよい。洗浄水には、下水二次処理水や工業用水、雨水、ろ過原水など任意の液を用いることができる。
【0025】
ろ過性能を向上させるために、洗浄工程の後に、水中に沈んだ繊維ろ材をより高密度に充填するために、集水装置3に設置された排出管Gからろ過塔内の液を一部又は全量を排水する圧縮工程Bを設けるとよい。繊維ろ材内の空隙は95%以上と高く、水中で水分を含んだ状態でも繊維ろ材の見かけ比重は1.1前後であり、従来のただ単に、繊維ろ材を水中に自然沈降させた状態では、水分を含む繊維(比重約1.1)と水(比重約1)の比重差が小さいがために繊維ろ材同士が密に充填しているとは言えず、繊維ろ材と繊維ろ材の隙間(空隙ともいう)が大きかった。しかし、本発明の構造を持ったろ過方法及び装置において、ろ過層2内の液の一部又は全量を排水することで、水に濡れた繊維ろ材(比重約1.1)と空気の密度差(比重約0.001)が大きくなるため、繊維ろ材は自重によって、空隙を埋めるように高密度化していく。
続いてろ過を再開すると、ろ過層2内の繊維ろ材は十分に圧密され、空隙が少なくなっていることから、被処理水中の懸濁物質の捕捉が良好で、懸濁物質の除去率が高い。従来のただ単に繊維ろ材を沈降させて充填したときよりも、水抜きを行い高密度化した状態でろ過した方が、空隙が少なくなるためにろ過性能は高くなる。無論、ろ過の際、高密度に充填したろ材は膨張することはない。
【0026】
図2に示すろ過装置は、図1のろ過装置に繊維ろ材の流出防止用の多孔部材4を設置している。繊維ろ材の逆洗工程における通水や通気過程では、繊維ろ材が洗浄水の排水管Cから流出する懸念がある。特に通気過程では、繊維ろ材から懸濁物質を多く剥離しようすると通気速度が高くなり、この場合、空気の上昇流速にのって繊維ろ材が排水管Cから流出してしまう場合があった。そのため、繊維ろ材の直径、又は直線部の長さのうち最も短い長さよりも小さいな目開きを有する、ろ材の流出阻止用多孔部材4を、水面に対して水平から垂直の任意の角度で設置する。流出防止用の多孔部材は、ステンレス製の各種織方による網を用いたストレーナや、ウエッジワイヤ、バースクリーンなど各種の部材を用いることができるが、少なくとも目開きは、繊維ろ材の直径、又は直線部の長さのうち最も短い長さよりも小さくする。取り付け角度は、ろ過槽水面に水平に設置し、ろ過槽全面を覆うようなかたちでもよいし、洗浄水の排出管付近に垂直方向あるは水平に対して任意の角度で設置してもよい。なお、ろ材の流出阻止用多孔部材4の設置位置は、少なくとも排水管Cよりも下方とする。
【0027】
いずれにしても、繊維ろ材が洗浄水の水流におされて多孔部材にへばりつくのを防止するために、多孔部材の水に接触している面積当たりの洗浄水の流速(水面積負荷ともいう)が10〜200m/hとなるような多孔部材4を設置する。10m/h以下の水面積負荷の多孔部材では、過剰な設備であり、イニシャルコストが高く、200m/h以上の水面積負荷では繊維ろ材が多孔部材にへばりつく。特に、逆洗工程で洗浄水の通水速度を可変で運転する場合は、前記の水面積負荷の範囲となるように洗浄水の供給速度を制御する機構を設けると良い。
図2に示す装置では、繊維ろ材の流出を懸念することなく、高速で通水、通気を実施することができ、従来に比べて大幅に洗浄時間が圧縮できると共に、洗浄効率があがり、続くろ過工程でのろ過性能が良好となる。
上記に示す図1、図2に示す装置を用いて、上記のろ過工程と逆洗工程を繰り返しても、本発明では、短繊維塊からなる繊維ろ材が、繊維方向に引き揃えられ、且つ一部又は両端の繊維同士が溶着されていることから、繊維ろ材から短繊維がほつれにくい形態となっており、長期安定したろ過の性能を達成することができる。
【0028】
図3に示す装置は、前記ろ過塔下部に空気を供給する供給管Dとは別に、流量調整可能な空気の供給管D’が設置されている。なお、供給管D’は、供給管Dから分岐されていても良いし、別途ブロアに設置されていても良い。供給管Dと供給D’から供給される空気量は流量差を生じるように制御可能である。若しくは、空気を供給管Dと供給管D’の交互に供給しても良い。逆洗時、それぞれの供給管から供給される流量差を起こすことで、ろ過層内の繊維ろ材の旋回流を起こすことが可能であり、少ない空気量で繊維ろ材の洗浄を行なうことができる。通気速度や通気時間は、概ね、繊維ろ材に付着した懸濁物質が剥離する速度と時間をとり、通気速度0〜5.0m/min、通気時間3〜30minで実施される。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。
実施例1
図2に示すφ160mmのろ過装置を用いて、繊維ろ材(密度90kg/m)を用いたろ過を行った。繊維ろ材は、以下の工程よって製造したものを用いた。
(混綿工程)融点が230℃の芯成分及び融点が110℃の鞘成分からなる塊状の複合ポリエステル繊維(4.4dtex)を30質量部と、融点が230℃の単一成分からなる塊状のポリエステル繊維(20dtex)を70質量部とを混綿し混綿体を得た。
(スライバー工程)次いで、混綿体を紡績用カード機、練条機に通し、スライバー(質量100g/m、直径10mm)とした。
(溶着工程)次いで、スライバーに、150℃の熱風を吹き掛けることにより、鞘成分を溶着させて、複合ポリエステル繊維と単一成分からなるポリエステル繊維とを一体化させ、冷却することにより棒状の溶着スライバーを得た。なお、かかる溶着スライバーは、表面に羽毛状、ループ状の毛羽を有していた。
(切断工程)その後、溶着スライバーを、約800℃の熱刃で全長7mmとなるようにカットし、本発明の繊維ろ材を得た。なお、カット面の端部においては、繊維同士が融着されていた。
繊維ろ材の真比重1.38であり、長さ10mm、幅7mmである。
【0030】
予めろ過塔内には、繊維ろ材を20L分(見掛け容積)充填した。
原水の通水量は20m/d、ろ過層内の流速は1000m/dとし、処理水は処理水流出管Fから連続排出した。原水中のSSが繊維ろ材に捕捉されると、ろ過性能が落ちるため、12時間ごとに逆洗工程を実施した。逆洗方法は、空気供給管Dから空気を供給して、SSが付着した繊維ろ材をゆらし、繊維ろ材からSSを剥離した。その後、洗浄水の通水管Eから洗浄水を供給し、洗浄水の排出管CよりSSを含む洗浄水を排出させた。通気速度は1.5m/min、通水速度は1.0m/minとした。以上の逆洗工程を5回繰り返し、ろ過を再開した。
約6ヶ月後のろ過性能は、原水のSS濃度10mg/Lに対して処理水のSSは4mg/Lであった。また、繊維ろ材は、使用時とほぼ同じ形状を有しており、繊維ろ材から短繊維がほつれた形跡は見られなかった。
【0031】
実施例2
図2に示すφ160mmのろ過装置を用いて、繊維ろ材(密度90kg/m)を用いたろ過を行った。繊維ろ材は、実施例1同様とした。
予めろ過塔内には、繊維ろ材を20L分(見掛け容積)充填した。
原水の通水量は20m/d、ろ過層内の流速は1000m/dとし、処理水は処理水流出管Fから連続排出した。原水中のSSが繊維ろ材に捕捉されると、ろ過性能が落ちるため、12時間ごとに逆洗工程を実施した。逆洗方法は、空気供給管Dから空気を供給して、SSが付着した繊維ろ材をゆらし、繊維ろ材からSSを剥離した。その後、洗浄水の通水管Eから洗浄水を供給し、洗浄水の排出管CよりSSを含む洗浄水を排出させた。通気速度は1.5m/min(0.03m/min)、通水速度は1.0m/minとした。以上の逆洗工程を5回繰り返した後、排出管Gより弁Yを開くことでろ過塔内の洗浄水を排水し、集水装置内の水位が400mmとなったのを圧力式の水位計が検知したら、弁Yを閉める信号を出した(圧密工程)。その後、ろ過を再開した。
約6ヶ月後のろ過性能は、原水のSS濃度10mg/Lに対して処理水のSSは2mg/Lであり、良好な処理性能を得ることができた。また、繊維ろ材は、使用時とほぼ同じ形状を有しており、繊維ろ材から短繊維がほつれた形跡は見られなかった。実施例1に比べ、ろ過性能が向上したのは、圧密工程を設けることで、繊維ろ材が密に充填されたためである。
【0032】
実施例3
図3に示すφ160mmのろ過装置を用いて、繊維ろ材(密度90kg/m)を用いたろ過を行った。繊維ろ材は、実施例2同様とした。実施例2との違いは、空気の供給管を分岐し、それぞれ1/2ずつの供給量で空気の供給量が可能なことであり、その他の条件は実施例2と同じである。
予めろ過塔内には、繊維ろ材を20L分(見掛け容積)充填した。
原水の通水量は20m/d、ろ過層内の流速は1000m/dとし、処理水は処理水流出管Fから連続排出した。原水中のSSが繊維ろ材に捕捉されると、ろ過性能が落ちるため、12時間ごとに逆洗工程を実施した。逆洗方法は、空気供給管D及び供給管D’から空気を供給して、SSが付着した繊維ろ材をゆらし、繊維ろ材からSSを剥離した。その後、洗浄水の通水管Eから洗浄水を供給し、洗浄水の排出管CよりSSを含む洗浄水を排出させた。通気速度は0.75m/min(0.015m3/min)、通水速度は1.0m/minとし、供給管Dと供給管D’を交互運転とすることで繊維ろ材を旋回流を起こすことで洗浄した。以上の逆洗工程を5回繰り返した後、排出管Gより弁Yを開くことでろ過塔内の洗浄水を排水し、集水装置内の水位が400mmとなったのを圧力式の水位計が検知したら、弁Yを閉める信号を出した(圧密工程)。その後、ろ過を再開した。
約6ヶ月後のろ過性能は、原水のSS濃度10mg/Lに対して処理水のSSは2mg/Lであり、実施例2同様に良好な処理性能を得ることができた。また、繊維ろ材は、使用時とほぼ同じ形状を有しており、繊維ろ材から短繊維がほつれた形跡は見られなかった。実施例2に比べ、洗浄時繊維ろ材に旋回流を起こして洗浄したことで、少ない空気量で効果的に洗浄をすることができた。
【0033】
実施例4
図2に示すφ160mmのろ過装置を用いて、繊維ろ材(密度90kg/m)を用いたろ過を行った。繊維ろ材は以下のようにして製造した。
(混綿工程)芯鞘構造の複合ポリエステル繊維(4.4dtex)を80質量部と、芯鞘構造の複合ポリエステル繊維(6.6dtex)を20質量部とを混綿し混綿体を得た。
(スライバー工程)次いで、混綿体を紡績用カード機、練条機に通し、スライバー(質量100g/m、直径10mm)とした。
(溶着工程)次いで、スライバーに、150℃の熱風を吹き掛けることにより、鞘成分を溶着させて、2種の複合ポリエステル繊維を一体化させ、冷却することにより棒状の溶着スライバーを得た。なお、かかる溶着スライバーは、表面に羽毛状、ループ状の毛羽を有していた。
(切断工程)その後、溶着スライバーを、レーザカットで全長7mmとなるようにカットし、本発明の繊維ろ材を得た。なお、カット面の端部においては、繊維同士が融着されていた。
繊維ろ材の真比重1.38であり、長さ7mm、直径φ7mmである。
【0034】
予めろ過塔内には、繊維ろ材を20L分(見掛け容積)充填した。
原水の通水量は20m/d、ろ過層内の流速は1000m/dとし、処理水は処理水流出管Fから連続排出した。原水中のSSが繊維ろ材に捕捉されると、ろ過性能が落ちるため、12時間ごとに逆洗工程を実施した。逆洗方法は、空気供給管Dから空気を供給して、SSが付着した繊維ろ材をゆらし、繊維ろ材からSSを剥離した。その後、洗浄水の通水管Eから洗浄水を供給し、洗浄水の排出管CよりSSを含む洗浄水を排出させた。通気速度は1.5m/min(0.03m/min)、通水速度は1.0m/minとした。以上の逆洗工程を5回繰り返した後、排出管Gより弁Yを開くことでろ過塔内の洗浄水を排水し、集水装置内の水位が400mmとなったのを圧力式の水位計が検知したら、弁Yを閉める信号を出した(圧密工程)。その後、ろ過を再開した。
約6ヶ月後のろ過性能は、原水のSS濃度10mg/Lに対して処理水のSSは2mg/Lであり、良好な処理性能を得ることができた。また、繊維ろ材は、使用時とほぼ同じ形状を有しており、繊維ろ材から短繊維がほつれた形跡は見られなかった。実施例1に比べ、ろ過性能が向上したのは、圧密工程を設けることで、繊維ろ材が密に充填されたためである。
【0035】
比較例1
この例は、実施例1の比較例であり、繊維ろ材を製造するときの切断工程でカット面を融着させていない以外は実施例1と同じとした。ろ過装置、ろ過方法、逆洗方法も実施例1と同様である。
約6ヶ月後のろ過性能は、原水のSS濃度10mg/Lに対して処理水のSSは5mg/Lであり、実施例1にくらべ低下した。繊維ろ材を確認すると、ろ材の両端が少しほつれ、使用時に比べ、全体的に大きくなっていた。そのため、繊維ろ材と繊維ろ材の空隙が大きくなり、懸濁物質が処理水にリークしやすくなったと推測される。
【0036】
比較例2
この例は、実施例2の比較例であり、繊維ろ材を製造するときの切断工程でカット面を融着させていない以外は実施例2と同じとした。ろ過装置、ろ過方法、逆洗方法も実施例2と同様である。
約6ヶ月後のろ過性能は、原水のSS濃度10mg/Lに対して処理水のSSは3mg/Lであり、実施例2にくらべ低下した。繊維ろ材を確認すると、ろ材の両端が少しほつれ、使用時に比べ、全体的に大きくなっていた。そのため、繊維ろ材と繊維ろ材の空隙が大きくなり、懸濁物質が処理水にリークしやすくなったと推測される。
【符号の説明】
【0037】
1:ろ過塔、2:繊維ろ材を充填したろ過層、3:集水装置、4:多孔部材、5:水位計、6:切断溶着部、7:一部溶着部、8:繊維、A:原水の導入管、C:洗浄水の排水管、D、D’:空気供給管、E:洗浄水の通水管、F:処理水流出管、G:排出管、Y:弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に繊維ろ材からなるろ過層と、その下部に処理水の集水装置とを有するろ過塔と、該ろ過塔の上部に処理されるべき被処理水の導入管Aと、該下部に空気を供給する供給管Dと、前記集水装置からろ過層上部以上に立ち上げられた処理水流出管Fとを備えたろ過装置において、前記繊維ろ材は、両端部が溶着されている構造の繊維ろ材であることを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
前記繊維ろ材が、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と芯鞘構造の複合熱可塑性繊維との集合体、又は、芯鞘構造の複合熱可塑性繊維と熱可塑性繊維との集合体からなり、繊維方向に引き揃えられていることを特徴とする請求項1記載のろ過装置。
【請求項3】
前記ろ過塔内のろ過層上部には、前記繊維ろ材の直径、又は直線部の長さのうち最も短い長さよりも小さいな目開きを有する多孔部材を、水面に対して水平から垂直の任意の角度でろ材の流出阻止用として設置し、前記ろ過塔上部にろ材の洗浄水を排水する排水管Cと、該下部にろ材を洗浄する洗浄水を上向流で通水する通水管Eとを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のろ過装置。
【請求項4】
前記ろ過塔内の集水装置内又は前記処理水流出管Fには、前記ろ過層内の液を排水する排出管Gを備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のろ過装置。
【請求項5】
前記ろ過塔下部に、空気を供給する供給管Dとは別に、流量調整可能な空気の供給管D’が設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のろ過装置。
【請求項6】
懸濁物質を含有する被処理水を、請求項1〜5のいずれか1項に記載のろ過装置に通して、被処理水中の懸濁物質をろ過することを特徴とするろ過方法。
【請求項7】
前記ろ過方法において、ろ過性能が低下すると、ろ過塔下部に備えた空気を供給する供給管Dから空気を供給して、ろ過槽内の繊維ろ材を揺動させて繊維ろ材に付着した固形物を剥離する洗浄工程を行うことを特徴とする請求項6記載のろ過方法。
【請求項8】
懸濁物質を含有する被処理水を請求項4記載のろ過装置に通水して、被処理水中の懸濁物質をろ過する方法において、ろ過性能が低下すると、ろ過塔内の繊維ろ材に付着した固形物を剥離する洗浄工程と、前記洗浄工程の後に、前記排出管Gからろ過層内のろ材とろ材の空隙にある液を全量又は一部を排水することでろ材を圧密させる圧密工程とを実施することを特徴とするろ過方法。
【請求項9】
前記洗浄工程は、ろ過塔内に空気を供給して繊維ろ材を揺動させて行うことを特徴とする請求項8記載のろ過方法。
【請求項10】
懸濁物質を含有する被処理水を請求項5記載のろ過装置に通水して、被処理水中の懸濁物質をろ過する方法において、ろ過性能が低下すると、固形物を剥離する洗浄工程をろ過塔下部に設置された空気を供給する供給管Dと供給管D’から供給する空気の量に流量差を発生させることで、ろ過層の繊維ろ材に旋回流を起こしつつ行うことを特徴とするろ過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−96222(P2012−96222A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218872(P2011−218872)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(591030651)水ing株式会社 (94)
【Fターム(参考)】