説明

アイコネクタの取付構造

【課題】 本発明は、配管接続用のアイコネクタを座面に固定するためのアイコネクタの取付構造に関し、ユニオンボルトの締め付け時に生じるアイコネクタの共回りを容易,確実に防止することを目的とする。
【解決手段】 座面にガスケットを介して配管接続用のアイコネクタを配置し、前記アイコネクタをユニオンボルトにより前記座面に固定してなるアイコネクタの取付構造において、前記ガスケットの両面に突出部を形成し、前記突出部を前記アイコネクタおよび前記座面に形成される凹部に係合してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管接続用のアイコネクタを座面に固定するためのアイコネクタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関では、内燃機関の各部に種々の配管が接続されている。そして、このような配管の接続は、例えば、図4に示すように、内燃機関に形成される座面1に、ガスケット2を介して配管3接続用のアイコネクタ4を配置し、アイコネクタ4をユニオンボルト5により座面1に固定することにより行われている。
【特許文献1】実開平4−105296号公報
【特許文献2】特開平7−12156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したアイコネクタの取付構造では、ユニオンボルト5の締め付け時に、アイコネクタ4が共回りし、アイコネクタ4に接続される配管3に多大な応力が作用するおそれがあるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、ユニオンボルトの締め付け時に生じるアイコネクタの共回りを容易,確実に防止することができるアイコネクタの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明のアイコネクタの取付構造は、座面にガスケットを介して配管接続用のアイコネクタを配置し、前記アイコネクタをユニオンボルトにより前記座面に固定してなるアイコネクタの取付構造において、前記ガスケットの両面に突出部を形成し、前記突出部を前記アイコネクタおよび前記座面に形成される凹部に係合してなることを特徴とする。
第2の発明のアイコネクタの取付構造は、第1の発明のアイコネクタの取付構造において、前記突出部を、前記ガスケットに形成される貫通穴にリベット締めされるリベットにより形成してなることを特徴とする。
【0005】
第3の発明のアイコネクタの取付構造は、第1または第2の発明のアイコネクタの取付構造において、前記突出部および前記凹部を、半球状に形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明のアイコネクタの取付構造では、ガスケットの両面に突出部を形成し、突出部をアイコネクタおよび座面に形成される凹部に係合したので、座面に対するガスケットおよびアイコネクタの回動が阻止される。従って、ユニオンボルトの締め付け時に生じるアイコネクタの共回りを容易,確実に防止することができる。
第2の発明のアイコネクタの取付構造では、ガスケットに形成される貫通穴にリベットをリベット締めすることにより突出部が形成される。従って、ガスケットに突出部を容易に形成することができる。また、強度の高い突出部を形成することができる。
【0007】
第3の発明のアイコネクタの取付構造では、突出部および凹部が半球状に形成される。従って、凹部に突出部を容易,確実に係合することができる。また、アイコネクタおよび座面に形成される凹部が半球状であるため、凹部の形成によるアイコネクタおよび座面の強度低下を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のアイコネクタの取付構造の一実施形態を示している。
この実施形態では、内燃機関の被取付部11の座面11aに、ガスケット13を介してアイコネクタ15が固定されている。
アイコネクタ15は、図2に示すように、本体部15aと配管取付部15bを有している。本体部15aは、円柱状をしており、図1に示すように、中央に空間部15cが形成されている。空間部15cの両側には開口穴15d,15eが形成されている。
【0009】
配管取付部15bは、本体部15aから側方に突出して形成されている。配管取付部15bには、空間部15cに連通する流体通路穴15fが形成されている。そして、配管取付部15bの端部には、配管17の一端が挿入固定されている。
アイコネクタ15の開口穴15d,15eおよび空間部15cには、ユニオンボルト19の軸部19aが挿通されている。ユニオンボルト19の頭部19bには、ワッシャ19cが一体形成されている。ワッシャ19cとアイコネクタ15との間には、ガスケット21が配置されている。
【0010】
ユニオンボルト19の軸部19aには、雄螺子部19dが形成されている。この雄螺子部19dは、被取付部11の座面11aに開口する流体穴11bの雌螺子部11cに螺合されている。
ユニオンボルト19には、アイコネクタ15の空間部15cとなる位置に、開口穴19eが形成されている。この開口穴19eは、ユニオンボルト19の軸部19aの軸長方向に形成される連通穴19fを介して軸部19aの先端に開口されている。
【0011】
この実施形態では、被取付部11の座面11aとアイコネクタ15との間に配置されるガスケット13には、その両面に突出部23a,23bが形成されている。一方、アイコネクタ15および座面11aには、突出部23a,23bに対応する位置に凹部15h,11dが形成されている。そして、突出部23a,23bが、アイコネクタ15および座面11aに形成される凹部15h,11dに係合されている。
【0012】
突出部23aは、図3の(a)に示すように、リベット25の頭部からなる。このリベット25を、ガスケット13に形成される貫通穴13aに挿入し、周知の方法によりリベット締めすることにより、図3の(b)に示すように、突出部23bが形成される。この実施形態では、突出部23a,23bは、半球状に形成されている。
上述したアイコネクタの取付構造では、例えば、アイコネクタ15の配管取付部15bに固定される配管17からのオイル、冷却水、燃料、空気等の流体が、流体通路穴15fを介して本体部15aの空間部15cに流入する。そして、ユニオンボルト19の開口穴19eおよび連通穴19fを通り雄螺子部19dの先端から被取付部11側に流出する。
【0013】
あるいは、被取付部11側からの流体が、ユニオンボルト19の連通穴19fおよび開口穴19eを通り空間部15cに流入する。そして、流体通路穴15fを通り配管17に流入する。
そして、アイコネクタ15の上下に配置されるガスケット13,21により、アイコネクタ15から流体が漏洩することが防止される。
【0014】
上述したアイコネクタの取付構造では、被取付部11の座面11aへのアイコネクタ15の取り付けが、以下述べるようにして行われる。
先ず、被取付部11の座面11aにガスケット13を載置し、ガスケット13に形成される突出部23bを、座面11aに形成される凹部11dに係合する。次に、ガスケット13に、配管17が接続されたアイコネクタ15を載置し、アイコネクタ15に形成される凹部15hをガスケット13に形成される突出部23aに係合する。
【0015】
次に、アイコネクタ15の開口穴15d,15eおよび空間部15cに、ガスケット21を介して、ユニオンボルト19の軸部19aを挿通する。そして、ユニオンボルト19の頭部19bを工具により回動し、軸部19aの先端の雄螺子部19dを、座面11aに形成される雌螺子部11cに螺合することにより被取付部11の座面11aにアイコネクタ15が取り付けられる。
【0016】
上述したアイコネクタの取付構造では、ガスケット13の両面に突出部23a,23bを形成し、突出部23a,23bをアイコネクタ15および座面11aに形成される凹部15h,11dに係合したので、ユニオンボルト19を締め付けた時に、座面11aに対するガスケット13およびアイコネクタ15の回動が阻止される。従って、ユニオンボルト19の締め付け時に生じるアイコネクタ15の共回りを容易,確実に防止することができる。そして、これにより、アイコネクタ15に接続される配管17に多大な応力が作用するおそれを解消することができる。
【0017】
また、ガスケット13に形成される貫通穴13aにリベット25をリベット締めすることにより突出部23a,23bを形成したので、ガスケット13に突出部23a,23bを容易に形成することができる。そして、強度の高い突出部23a,23bを形成することができる。
さらに、突出部23a,23bおよび凹部15h,11dを半球状に形成したので、凹部15h,11dに突出部23a,23bを容易,確実に係合することができる。また、アイコネクタ15および座面11aに形成される凹部15h,11dが半球状であるため、凹部15h,11dの形成によるアイコネクタ15および座面11aの強度低下を少なくすることができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0018】
(1)上述した実施形態では、ガスケット13に形成される貫通穴13aにリベット25をリベット締めすることにより突出部23a,23bを形成した例について説明したが、例えば、ガスケットに突出部を一体的に形成しても良い。
(2)上述した実施形態では、ガスケット13の両面の対向する位置に突出部23a,23bを形成した例について説明したが、対向させずに異なる位置に形成しても良い。
【0019】
(3)上述した実施形態では、本発明を内燃機関の配管17の接続に適用した例について説明したが、例えば、ブレーキ装置における配管の接続等に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のアイコネクタの取付構造の一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1のアイコネクタを示す上面図である。
【図3】図1のガスケットへの突出部の形成方法を示す上面図である。
【図4】従来のアイコネクタの取付構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
11 被取付部
11a 座面
11d 凹部
13 ガスケット
13a 貫通穴
15 アイコネクタ
15h 凹部
17 配管
19 ユニオンボルト
23a,23b 突出部
25 リベット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面にガスケットを介して配管接続用のアイコネクタを配置し、前記アイコネクタをユニオンボルトにより前記座面に固定してなるアイコネクタの取付構造において、
前記ガスケットの両面に突出部を形成し、前記突出部を前記アイコネクタおよび前記座面に形成される凹部に係合してなることを特徴とするアイコネクタの取付構造。
【請求項2】
請求項1記載のアイコネクタの取付構造において、
前記突出部を、前記ガスケットに形成される貫通穴にリベット締めされるリベットにより形成してなることを特徴とするアイコネクタの取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のアイコネクタの取付構造において、
前記突出部および前記凹部を、半球状に形成してなることを特徴とするアイコネクタの取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−100871(P2007−100871A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292736(P2005−292736)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】