説明

アクセス制御装置および端末装置ならびにそれらを利用した無線通信システム

【課題】無線装置の数が増加しても、パケット信号の衝突確率の増加を抑制する技術を提供する。
【解決手段】抽出部164は、第1の期間において、複数の端末装置のそれぞれからパケット信号を受信する。ここで、受信した複数のパケット信号の報知元には、車両に搭載された第1種の端末装置と、歩行者に携帯された第2種の端末装置とが混在している。集約部168は、受信した各パケット信号に含まれた位置情報を集約する。変復調部154、RF部152、アンテナ150は、集約した位置情報が含まれたパケット信号を、前記第1の期間とは別の第2の期間において、報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、特に位置情報が含まれたパケット信号を送信するアクセス制御装置および端末装置ならびにそれらを利用した無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交差点の出会い頭等の衝突事故を防止するために、他の車両の運転者に自車両の位置を認識させるとともに、自車両の運転者に他の車両の位置を認識させることが有効である。具体的には、各車両に無線装置を搭載させ、無線装置間において、GPS(Global Positioning System)によって検出した現在の位置情報等が含まれたパケット信号を互いに交換する。運転者は、パケット信号に含まれた位置情報をもとに、他の車両がこれから交差点へ進入することを認識する。さらに、歩行者によって携帯された無線装置も、位置情報が含まれたパケット信号を送信することによって、運転者は、歩行者の存在も認識できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線装置が車両に搭載されるだけではなく、運転者にも携帯されれば、交差点近傍に存在する無線装置の数が増大する。そのため、トラヒック量が増加し、パケット信号の衝突確率も増加する。その結果、パケット信号に含まれたデータが他の無線装置へ伝送されなくなる。このような状態が発生すれば、交差点の出会い頭の衝突事故を防止するという目的が達成されなくなる。無線装置の数が増加した場合であっても、パケット信号の衝突確率の増加を抑制することが望まれる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線装置の数が増加しても、パケット信号の衝突確率の増加を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のアクセス制御装置は、第1の期間において、複数の端末装置のそれぞれからパケット信号を受信する受信部と、受信部において受信した各パケット信号に含まれた位置情報を集約する集約部と、集約部において集約した位置情報が含まれたパケット信号を、第1の期間とは別の第2の期間において、報知する報知部とを備える。受信部において受信した複数のパケット信号の報知元には、車両に搭載された第1種の端末装置と、歩行者に携帯された第2種の端末装置とが混在している。
【0007】
本発明の別の態様は、端末装置である。この装置は、位置情報を取得する取得部と、取得部において取得した位置情報が含まれたパケット信号を第1の期間において報知する報知部と、報知部において報知したパケット信号を受信したアクセス制御装置であって、かつ他の端末装置からのパケット信号も受信したアクセス制御装置から、第1の期間とは別の第2の期間において、アクセス制御装置において集約された位置情報が含まれたパケット信号を受信する受信部と、受信部において受信したパケット信号を処理する処理部とを備える。処理部は、受信部において受信したパケット信号に含まれた複数の位置情報を抽出する抽出部と、抽出部において抽出した複数の位置情報の中に、取得部において取得した位置情報から所定の範囲内の位置情報が存在する場合、報知部へパケット信号の報知を中止させる指示部とを備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、無線通信システムである。この無線通信システムは、第1の無線通信システムに対応した複数の第1種の端末装置と、第1の無線通信システムとは別の第2の無線通信システムに対応した複数の第2種の端末装置と、複数の第1種の端末装置のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第1種の端末装置の位置情報が含まれたパケット信号を受信する第1種のアクセス制御装置と、複数の第2種の端末装置のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第2種の端末装置の位置情報が含まれたパケット信号を受信する第2種のアクセス制御装置とを備える。第1種のアクセス制御装置は、第2種のアクセス制御装置において受信された各パケット信号に含まれた位置情報の集約結果をパケット信号にて報知し、第2種のアクセス制御装置は、第1種のアクセス制御装置において受信された各パケット信号に含まれた位置情報の集約結果をパケット信号にて報知し、複数の第1種の端末装置は、第1種のアクセス制御装置からのパケット信号を受信し、複数の第2種の端末装置は、第2種のアクセス制御装置からのパケット信号を受信する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線装置の数が増加しても、パケット信号の衝突確率の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1のアクセス制御装置の構成を示す図である。
【図3】図3(a)−(b)は、図2のフレーム生成部において生成されるフレームのフォーマットを示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る端末装置の構成を示す図である。
【図5】図1の通信システムにおけるパケット信号の報知手順を示すシーケンス図である。
【図6】図4の端末装置におけるパケット信号の報知中止の決定手順を示すフローチャートである。
【図7】図4の端末装置におけるパケット信号の報知中止の別の決定手順を示すフローチャートである。
【図8】図4の端末装置におけるパケット信号の報知中止のさらに別の決定手順を示すフローチャートである。
【図9】図1の通信システムにおける停止命令の通知手順を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の変形例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図11】図10の第1種アクセス制御装置の構成を示す図である。
【図12】図10の通信システムにおけるパケット信号の報知手順を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の別の変形例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図14】図13の第1種アクセス制御装置の構成を示す図である。
【図15】図13の通信システムにおけるパケット信号の報知手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、車両に搭載された端末装置、歩行者に携帯された端末装置間においてデータ通信を実行する通信システムに関する。端末装置は、移動速度や位置等の情報(以下、これらを「データ」という)を格納したパケット信号(以下、データが格納されたパケット信号を「データ」ということもある)をブロードキャスト送信する。一方、端末装置は、他の端末装置によってブロードキャスト送信されたパケット信号を受信するとともに、データをもとに、当該他の端末装置が搭載された他の車両や他の歩行者の接近を認識する。歩行者が端末装置を携帯することによって、車両だけに端末装置を搭載する場合よりも、交差点における端末装置の数が増加する。その結果、パケット信号の衝突確率が増加し、端末装置にパケット信号が受信されにくくなる。これに対応するために、本実施例では次の処理を実行する。
【0013】
本実施例に係る通信システムは、複数の端末装置の他にアクセス制御装置を含み、アクセス制御装置は、例えば、交差点に設置される。アクセス制御装置は、複数のスロットが含まれたフレームを繰り返し規定する。また、アクセス制御装置は、予め定められたスロットを制御スロットとして予約し、制御情報を格納したパケット信号(以下、これを「制御情報」ということもある)を当該制御スロットにてブロードキャスト送信する。制御情報には、アクセス制御装置を識別するための情報(以下、「識別情報」という)が含められる。端末装置は、制御情報を受信することによって、制御情報に対応したフレームを生成する。端末装置は、フレームに含まれた複数のスロットのうち、制御スロットと、制御スロット以外のスロットを識別する。なお、以下の端末装置の説明において、スロットとは、制御スロットを除外したスロットのことを示す場合がある。
【0014】
端末装置は、複数のスロットのそれぞれに対してキャリアセンスを実行することによって、他の端末装置によって使用されていないスロット(以下、「空きスロット」という)を推定する。端末装置は、空きスロットの中から、データを送信するために使用すべきひとつのスロットを所定のアルゴリズムを使用して選択する。端末装置は、選択したスロットにおいて、データをブロードキャスト送信する。アクセス制御装置は、複数の端末装置のそれぞれからデータを受信し、各データに含まれた位置情報を集約する。アクセス制御装置は、集約した位置情報を制御情報に格納してブロードキャスト送信する。各端末装置は、制御情報を受信するだけで、他の端末装置からの位置情報を受信できる。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。これは、ひとつの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、アクセス制御装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、歩行者16と総称される第1歩行者16a、第2歩行者16b、第3歩行者16c、第4歩行者16d、第5歩行者16e、第6歩行者16f、第7歩行者16g、第8歩行者16h、第9歩行者16iを含む。なお、各車両12には、図示しない端末装置が搭載され、各歩行者16は、図示しない端末装置を携帯する。また、アクセス制御装置10によってエリア200が形成されている。
【0016】
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。第1歩行者16aから第9歩行者16iは、交差点付近に存在する。
【0017】
各車両12に搭載された端末装置や各歩行者16に携帯された端末装置は、データを取得し、データが格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。ここで、本発明の変形例を説明する前に、端末装置が公知の無線LANに対応する場合、つまりCSMA/CAに対応する場合の動作を説明する。各端末装置は、キャリアセンスを実行して送信可能であると判定した場合に、データをブロードキャスト送信する。そのため、複数の端末装置からのデータが衝突する場合がある。また、端末装置の数が増加するにつれて、衝突の発生確率が増加する。特に、交差点のような場所では、車両12同士や、車両12と歩行者16との衝突事故が発生しやすいにもかかわらず、データの衝突も発生しやすくなり、データを必要とするような場所においてデータの利用がなされなくなる。また、端末装置間において遮蔽物が存在することによっても、データが受信されなくなる。
【0018】
そこで、通信システム100は、交差点において、信号機のような高所にアクセス制御装置10を配置する。高所は、車両12の高さよりも高い場所を意味する。アクセス制御装置10は、図示しないGPS衛星から受信した信号をもとに、複数のスロットを含んだフレームが繰り返されるように生成する。ここで、複数のスロットのうちの一部が制御スロットとして使用される。アクセス制御装置10は、制御スロットにて制御情報を報知する。複数の端末装置は、アクセス制御装置10によって報知された制御情報を受信し、制御情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置のそれぞれにおいて生成されるフレームは、アクセス制御装置10において生成されるフレームに同期する。
【0019】
また、複数の端末装置のそれぞれにおいて生成されるスロットは、互いに同期される。端末装置は、複数のスロットのそれぞれにおいてキャリアセンスを実行し、空きスロットを推定する。また、端末装置は、空きスロットの中から、ひとつのスロットを所定のアルゴリズムを使用して選択する。さらに、端末装置は、選択したスロットにて、データを報知する。アクセス制御装置10は、各データに含まれた位置情報を集約し、集約した位置情報を制御情報に含め、制御情報を報知する。端末装置は、複数のフレームにわたって、フレーム内の相対的なタイミングが同一のスロットを選択し続ける。なお、端末装置は、制御情報を受信できていない場合であっても、データを報知してもよい。これは、当該端末装置が、アクセス制御装置10によって形成されたエリア200の中に存在しない場合に相当する。その際、端末装置は、CSMA/CAを実行する。端末装置は、他の端末装置からのデータを受信できなくても、アクセス制御装置10からの制御情報を受信できれば、他の端末装置が搭載された車両12や歩行者16の位置情報を認識する。
【0020】
図2は、アクセス制御装置10の構成を示す。アクセス制御装置10は、アンテナ150、RF部152、変復調部154、処理部156、GPS測位部158、フレーム生成部160、制御部162を含む。また、処理部156は、抽出部164、分類部166、集約部168を含む。GPS測位部158は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。GPS測位部158は、時刻の情報をフレーム生成部160へ出力する。
【0021】
フレーム生成部160は、GPS測位部158から時刻の情報を取得する。フレーム生成部160は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム生成部160は、「0msec」となるタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。また、フレーム生成部160は、各フレームを複数に分割することによって、複数のスロットを生成する。例えば、各フレームが200分割されることによって、「500μsec」のスロットが200個生成される。
【0022】
ここで、フレームに含まれた複数のスロットのうちの一部が、「制御スロット」として確保されている。例えば、ひとつのフレームに含まれた200個のスロットのうち、先頭から2個のスロットが制御スロットとされる。また、制御スロットは、アクセス制御装置10が制御情報をブロードキャスト送信するために使用されるスロットである。さらに、フレームに含まれた複数のスロットのうちの残りが、図示しない端末装置がアクセス制御装置10へデータを送信するために確保される。なお、このような制御スロットの配置は、端末装置にとって既知である。
【0023】
図3(a)−(b)は、フレーム生成部160において生成されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。図示のごとく、第iフレームから第i+2フレームのように、複数のフレームが繰り返されるように規定されている。また、各フレームの期間は、例えば、「100msec」である。図3(b)は、ひとつのフレームの構成を示す。図示のごとく、ひとつのフレームは、M個のスロットによって構成されている。例えば、Mは「200」であり、各スロットの期間は「500μsec」である。また、フレームの先頭部分に配置されたスロットが制御スロットに相当する。ここでは、第1スロットと第2スロットの2つのスロットが、前述の制御スロットとして規定される。図1に戻る。
【0024】
RF部152は、受信処理として、各スロットにおいて、図示しない他の端末装置からのパケット信号をアンテナ150にて受信する。ここで、図3(a)のような複数のスロットを含んだフレームが繰り返されるような規定がなされている場合に、複数のスロットの中から選択されたスロットにて、データがフレームの周期で報知されている。また、データには、報知元になる端末装置の識別番号が含まれている。そのため、RF部152は、端末装置から、フレームの周期にてデータを受信する。RF部152は、アンテナ150を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部152は、ベースバンドのパケット信号を変復調部154に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。
【0025】
また、RF部152には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。RF部152は、送信処理として、各スロットにおいて、変復調部154から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部152は、無線周波数のパケット信号をアンテナ150から送信する。また、RF部152には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
【0026】
変復調部154は、受信処理として、RF部152からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部154は、復調した結果を処理部156に出力する。また、変復調部154は、送信処理として、処理部156からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部154は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部152に出力する。ここで、通信システム100が、OFDM変調方式に対応する場合、変復調部154は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
【0027】
処理部156は、フレーム生成部160から、フレームのタイミングと、フレームに含まれたスロットのタイミングとに関する情報を受けつける。処理部156は、フレームに含まれた複数のスロットのうち、制御スロットのタイミングを特定する。図3(b)の場合、第1スロットと第2スロットという2つの制御スロットが特定される。また、制御スロットを特定した結果、フレームに含まれた制御スロット以外のスロットも特定される。処理部156は、フレーム中の制御スロット以外のスロットのそれぞれにおいて、端末装置のそれぞれからパケット信号を受信する。処理部156において受信した複数のパケット信号の報知元には、車両12に搭載された端末装置(以下、「第1種端末装置」という)と、歩行者16に携帯された端末装置(以下、「第2種端末装置」という)とが混在している。
【0028】
抽出部164は、受信したパケット信号から、位置情報、種別情報、速度情報を抽出する。ここで、種別情報とは、第1種端末装置および第2種端末装置を識別するための情報である。抽出部164は、抽出した情報の組合せを分類部166へ出力する。分類部166は、抽出部164において抽出された情報の組合せを受けつける。ここで、組合せは、複数の端末装置の数だけ入力される。分類部166は、各組合せに含まれた種別情報をもとに、第1種端末装置についての位置情報と、第2種端末装置についての位置情報とを分類する。つまり、分類部166は、第1種端末装置に対する位置情報からひとつの組合せ(以下、「第1組合せ」という)を生成し、第2種端末装置に対する位置情報から別の組合せ(以下、「第2組合せ」という)を生成する。分類部166は、第1組合せと第2組合せとを集約部168へ出力する。
【0029】
集約部168は、抽出部164から、第1組合せと第2組合せとを受けつける。また、集約部168は、第1組合せと第2組合せとを別々のパケット信号に格納する。集約部168は、フレームの先頭に配置された制御スロットに、第1組合せが格納されたパケット信号を割り当てる。また、集約部168は、フレームの2番目に配置された制御スロットに、第2組合せが格納されたパケット信号を割り当てる。これは、異なった制御スロットに配置されたパケット信号に、車両12に搭載された端末装置からの位置情報と歩行者16に携帯された端末装置の位置情報とをそれぞれ割り当てることに相当する。
【0030】
変復調部154、RF部152は、1番目の制御スロットにて、第1組合せが格納されたパケット信号をアンテナ150からブロードキャスト送信する。また、変復調部154、処理部156は、2番目の制御スロットにて、第2組合せが格納されたパケット信号をアンテナ150からブロードキャスト送信する。これは、第1種端末装置についての位置情報が集約されたパケット信号と、第2種端末装置についての位置情報が集約されたパケット信号とを制御スロットの期間において別々に報知することに相当する。なお、これらのパケット信号は、前述の制御情報に相当する。
【0031】
制御情報の宛先は、第1種端末装置および第2端末装置である。制御情報を受信した端末装置は、各スロットのタイミングを認識し、端末装置間の通信のために確保したスロットのうちの少なくともひとつを使用する。また、端末装置は、複数のフレームにわたってデータを報知する場合に、フレーム内での相対的なタイミングが同一のスロットを使用すればよい。制御部162は、アクセス制御装置10全体の処理を制御する。
【0032】
なお、変復調部154において受信したデータの品質がしきい値よりも悪化しており、かつ悪化したデータがフレーム中に所定数以上含まれる場合、処理部156は、トラヒック量が多くなりすぎていると判定する。その際、処理部156は、端末装置に対して送信を停止させるための命令(以下、「停止命令」という)を制御情報に含ませる。変復調部154、RF部152、アンテナ150は、停止命令が含まれた制御情報(以下、これも「停止命令」という)をブロードキャスト送信する。停止命令を受信した端末装置は、データのブロードキャスト送信を停止する。停止期間は、予め定められていてもよいし、制御情報にて示されてもよい。
【0033】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0034】
図4は、本発明の実施例に係る端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。また、処理部56は、タイミング特定部60、取得部62、生成部64、通知部70、受付部72、指示部74を含み、タイミング特定部60は、制御情報抽出部66、スロット決定部68を含む。端末装置14は、前述の第1種端末装置と第2種端末装置に対応する。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ150、RF部152、変復調部154と同様の処理を実行する。そのため、ここでは、これらの説明を省略する。
【0035】
取得部62は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、図示しない車両12や歩行者16の存在位置、進行方向、移動速度等を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。ここで、第1端末装置の場合に車両12の存在位置等が取得され、第2種端末装置の場合に歩行者16の存在位置等が取得される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部62は、取得した情報を生成部64へ出力する。
【0036】
制御情報抽出部66は、変復調部54からの復調結果を受けつける。また、制御情報抽出部66は、復調結果を監視することによって、制御情報が含まれたスロット、つまり制御スロットを受信していることを認識する。例えば、制御情報には、予め定められたユニークワードが含められており、制御情報抽出部66は、相関処理によってユニークワードを検出した場合に、制御スロットの受信を認識する。また、制御情報抽出部66は、制御情報が含まれたスロットを受信しているタイミングを基準として、フレームおよびスロットの同期を確立する。
【0037】
具体的に説明すると、制御情報抽出部66は、検出した制御スロットを基準にフレームを生成する。制御スロットは、例えば、図3(b)の第1スロットに相当するので、制御情報抽出部66は、第1スロットを基準にしてフレームを生成する。つまり、制御情報抽出部66は、制御スロットに対応したフレームに同期するように、複数のスロットが含まれたフレームを生成する。これは、制御情報抽出部66は、制御情報から、フレームのタイミングと、フレームに含まれたスロットのタイミングとに関する情報を抽出することに相当する。制御情報抽出部66は、生成したフレームに関する情報をスロット決定部68へ出力する。
【0038】
スロット決定部68は、制御情報抽出部66において生成したフレームに含まれた複数のスロットのそれぞれに対する干渉電力をキャリアセンスにて測定する。キャリアセンスは、フレーム中の制御スロット以外のスロットでなされる。また、スロット決定部68は、干渉電力をもとに、空きスロットを推定する。具体的に説明すると、スロット決定部68は、所定のしきい値を予め記憶しており、各スロットでの干渉電力としきい値とを比較する。また、スロット決定部68は、しきい値よりも小さい干渉電力のスロットを空きスロットと推定し、そのうちのひとつをランダムに特定する。なお、スロット決定部68は、干渉電力が最小のスロットを特定してもよい。その結果、スロット決定部68は、制御スロット情報に同期したスロットであって、かつフレームの周期で到来するスロットを決定する。なお、制御情報抽出部66において制御情報が抽出されない場合、スロット決定部68は、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。スロット決定部68は、特定したスロットや決定した送信タイミングを生成部64へ通知する。
【0039】
生成部64は、取得部62において取得された情報を含めるようにデータを生成する。つまり、生成部64は、測位した存在位置が含まれたデータを生成する。また、生成部64は、種別情報もデータに含める。生成部64は、スロット決定部68において特定したスロットにて、変復調部54、RF部52、アンテナ50を介してデータをブロードキャスト送信する。これは、制御情報が受信されている場合に、制御情報をもとにしたタイミングにて、データがブロードキャスト送信されることに相当する。一方、制御情報が受信されていない場合、スロット決定部68において決定した送信タイミングにて、データがブロードキャスト送信される。
【0040】
受付部72は、アンテナ50、RF部52、変復調部54を介して、パケット信号を受けつける。ここで、パケット信号は、制御情報やデータに相当する。パケット信号が制御情報である場合、報知元はアクセス制御装置10であり、制御スロットにて受信される。一方、パケット信号がデータであり、報知元は他の端末装置14であり、制御スロット以外のスロットにて受信される。受付部72は、受けつけたパケット信号から位置情報等を抽出する。前述のごとく、制御情報には、アクセス制御装置10において集約された位置情報等が含まれているので、パケット信号が制御情報である場合、受付部72は、パケット信号に含まれた複数の位置情報等を抽出する。受付部72は、通知部70および指示部74へ位置情報等を出力する。
【0041】
なお、第2種端末装置の受付部72は、2番目の制御スロットに配置された制御情報を受けつけなくてもよい。当該制御信号には、第2種端末装置についての位置情報が含まれている。この位置情報は、図1の歩行者16の位置情報に相当する。一般的に、歩行者16は、端末装置14によって通知されなくても、他の歩行者16の接近を目で十分確認できるので、2番目の制御スロットに配置された制御情報の受信は省略可能である。
【0042】
通知部70は、受付部72から位置情報等を受けつけ、取得部62から現在の位置情報を受けつける。通知部70は、受けつけた位置情報を比較して、図示しない他の車両12や他の歩行者16の接近等をモニタやスピーカを介して通知する。例えば、受付部72から受けつけた位置情報と、取得部62から受けつけた位置情報との間の距離がしきい値よりも小さくなった場合に、通知部70は接近を通知する。このような情報を通知された運転手や歩行者16は、注意を喚起される。なお、他の車両12や他の歩行者16の接近をモニタにて通知する場合、通知部70は、カーナビゲーション装置によって表示される地図画像上に他の車両12や他の歩行者16の画像を合成してもよい。
【0043】
指示部74は、第2種端末装置のみに含まれる。指示部74は、受付部72から複数の位置情報を受けつけ、その中から他の第2種端末装置の位置情報を選択する。さらに、指示部74は、取得部62から現在の位置情報を受けつけ、受けつけた位置情報と、選択した位置情報との距離を導出する。この距離は、他の第2種端末装置ごとに導出される。また、指示部74は、しきい値よりも小さい距離が存在する場合、つまり現在の位置から所定の範囲内に他の歩行者16が存在する場合、生成部64へデータの報知を中止させる。歩行者16が密集している場合、誰かがデータをすれば、歩行者16の集団が第1種端末装置に認識されるからである。
【0044】
前述のごとく、受付部72は、制御情報だけでなく、データも受けつける。指示部74は、所定期間にわたって、同一の第2種端末装置からのパケット信号を受け続けている場合、本端末装置14が当該第2種端末装置の近傍に存在し続けていると判定する。指示部74は、そのように判定した場合、生成部64へデータの報知を中止させてもよい。さらに、指示部74は、取得部62からの位置情報をもとに移動しているか否かを判定する。具体的に説明すると、指示部74は、異なったタイミングに取得した位置情報間の差異を計算し、差異の大きさが誤差の範囲に含まれれば、移動していないと判定する。所定期間にわたって移動していない場合、指示部74は、生成部64へデータの報知を中止させてもよい。制御部58は、端末装置14全体の動作を制御する。
【0045】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図5は、通信システム100におけるパケット信号の報知手順を示すシーケンス図である。図4の端末装置14は、第1種端末装置142、第2種端末装置144と示され、第1種端末装置142は、第1第1種端末装置142a、第2第1種端末装置142bを総称し、第2種端末装置144は、第1第2種端末装置144a、第2第2種端末装置144bを総称する。第1第2種端末装置144aは、データが含まれたパケット信号を報知する(S10)。第1第1種端末装置142aは、データが含まれたパケット信号を報知する(S12)。第2第2種端末装置144bは、データが含まれたパケット信号を報知する(S14)。
【0046】
第2第1種端末装置142bは、データが含まれたパケット信号を報知する(S16)。アクセス制御装置10は、パケット信号の報知元にしたがって、第1組合せと第2組合せへ位置情報等を分類する(S18)。また、アクセス制御装置10は、第1組合せを第1パケット信号に格納し、第2組合せを第2パケット信号に格納することによって、位置情報を集約する(S20)。アクセス制御装置10は、第1パケット信号を報知するとともに(S22、S24、S26、S28)、第2パケット信号を報知する(S30、S32、S34、S36)。ここで、ステップ22からステップ28は、単一の動作であり、ステップ30からステップ36も、単一の動作である。
【0047】
図6は、端末装置14におけるパケット信号の報知中止の決定手順を示すフローチャートである。指示部74は、パケット信号に含まれた位置情報を取得する(S50)。指示部74は、取得部62から現在の位置情報を取得する(S52)。指示部74は、距離を計算する(S54)。距離が所定の範囲内であれば(S56のY)、指示部74は、生成部64に報知を中止させる(S58)。一方、距離が所定の範囲内でなければ(S56のN)、処理は終了される。これは、生成部64がパケット信号を報知することに相当する。
【0048】
図7は、端末装置14におけるパケット信号の報知中止の別の決定手順を示すフローチャートである。指示部74は、同一の第2種端末装置からのパケット信号を一定期間にわたって受信していれば(S70のY)、生成部64に報知を中止させる(S72)。一方、指示部74は、同一の第2種端末装置からのパケット信号を一定期間にわたって受信していなければ(S70のN)、処理を終了させる。
【0049】
図8は、端末装置14におけるパケット信号の報知中止のさらに別の決定手順を示すフローチャートである。指示部74は、取得部62から現在の位置情報を取得し(S80)、移動しているか否かを判定する(S82)。一定期間にわたって移動していない場合(S84のY)、指示部74は、生成部64に報知を中止させる(S86)。一方、移動している場合(S84のN)、処理は終了される。
【0050】
図9は、通信システム100における停止命令の通知手順を示すシーケンス図である。第1第2種端末装置144aは、データが含まれたパケット信号を報知する(S100)。第1第1種端末装置142aは、データが含まれたパケット信号を報知する(S102)。第2第2種端末装置144bは、データが含まれたパケット信号を報知する(S104)。第2第1種端末装置142bは、データが含まれたパケット信号を報知する(S106)。アクセス制御装置10は、データの報知停止を決定する(S108)。アクセス制御装置10は、停止命令を報知する(S110、S112、S114、S116)。
【0051】
次に本発明の変形例を説明する。本発明の変形例は、本発明の実施例と同様に、アクセス制御装置と複数の端末装置とが含まれた通信システムに関する。実施例では、端末装置には、第1種端末装置と第2種端末装置とが含まれているが、いずれもアクセス制御装置との通信が可能である。一方、変形例では、アクセス制御装置にも、第1種アクセス制御装置と第2アクセス制御装置とが含まれており、第1種アクセス制御装置は第1種端末装置のみと通信可能であり、第2アクセス制御装置は第2種端末装置のみと通信可能である。そのため、第1種アクセス制御装置は、第1種端末装置についての位置情報を集約し、第2種アクセス制御装置は、第2種端末装置についての位置情報を集約する。第1種アクセス制御装置と第2種アクセス制御装置は、集約した情報を互いに交換する。第1種アクセス制御装置と第2種アクセス制御装のそれぞれは、前述のごとく、制御情報を報知する。
【0052】
図10は、本発明の変形例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、第1種アクセス制御装置102、第2種アクセス制御装置104、第1種端末装置142、第2種端末装置144を含む。なお、第1種アクセス制御装置102、第2種アクセス制御装置104、第1種端末装置142、第2種端末装置144は、複数含まれてもよいが、ここでは説明を簡潔にするために、それぞれひとつずつ示される。
【0053】
第1種端末装置142は、図示しない車両12に搭載された端末装置14であり、第1種端末装置142は、所定の無線通信システム(以下、「第1種無線通信システム」という)に対応する。ここで、無線通信システムには、実施例における通信システム100、無線LANシステム、携帯電話システム等が含まれる。第2種端末装置144は、図示しない歩行者16に携帯された端末装置14であり、第2種端末装置144は、第1種無線通信システムとは別の無線通信システム(以下、「第2種無線通信システム」という)に対応する。なお、第2種無線通信システムは、第1種無線通信システムと同一の無線通信システムであり、周波数が異なっていてもよい。つまり、第1種無線通信システムと第2種無線通信システムとは、互いに独立して動作すればよい。
【0054】
第1種アクセス制御装置102は、第1種無線通信システムに対応し、複数の第1種端末装置142のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第1種端末装置142の位置情報が含まれたパケット信号を受信する。当該パケット信号は、前述のデータに相当する。第1種アクセス制御装置102は、実施例と同様に、パケット信号に含まれた位置情報等、つまり第1種端末装置142についての位置情報等を集約する。この集約結果は、前述の「第1組合せ」に相当する。第2種アクセス制御装置104は、第2種無線通信システムに対応し、複数の第2種端末装置144のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第2種端末装置144の位置情報が含まれたパケット信号を受信する。当該パケット信号も、前述のデータに相当する。第2種アクセス制御装置104は、実施例と同様に、パケット信号に含まれた位置情報等、つまり第2種端末装置144についての位置情報等を集約する。この集約結果は、前述の「第2組合せ」に相当する。
【0055】
第1種アクセス制御装置102と第2種アクセス制御装置104とは、有線のネットワークにて接続されており、両者は集約結果を互いに交換する。つまり、第1種アクセス制御装置102は、第1組合せを第2種アクセス制御装置104へ出力し、第2種アクセス制御装置104は、第2集約結果を第1種アクセス制御装置102へ出力する。第1種アクセス制御装置102は、入力した第2組合せをパケット信号にてブロードキャスト送信する。また、第1種アクセス制御装置102は、第1組合せをパケット信号にてブロードキャスト送信してもよい。一方、第2種アクセス制御装置104は、第1組合せをパケット信号にてブロードキャスト送信する。また、第2種アクセス制御装置104は、第2組合せをパケット信号にてブロードキャスト送信してもよい。
【0056】
各第1種端末装置142は、第1種無線通信システムにて第1種アクセス制御装置102からのパケット信号を受信する。第1種端末装置142は、パケット信号に含まれた位置情報をもとに、図示しない車両12や歩行者16の位置を認識する。第2種端末装置144は、第2種無線通信システムにて第2種アクセス制御装置104からのパケット信号を受信する。第2種端末装置144も、パケット信号に含まれた位置情報をもとに、図示しない車両12の位置を認識する。
【0057】
図11は、第1種アクセス制御装置102の構成を示す。第1種アクセス制御装置102は、アンテナ150、RF部152、変復調部154、処理部156、GPS測位部158、フレーム生成部160、制御部162、IF部170を含む。また、処理部156は、抽出部164、集約部168を含む。アンテナ150、RF部152、GPS測位部158、フレーム生成部160は、図2と同一であるので、ここでは説明を省略する。なお、アンテナ150、RF部152、変復調部154は、第1種無線通信システムに対応しており、図示しない第2種端末装置144とは通信不可能である。また、説明を簡潔にするために、第2種無線通信システムは第1種無線通信システムと周波数だけが異なっているものとする。そのため、図示しない第2種アクセス制御装置104は、図11に示した第1種アクセス制御装置102と同様のタイプである。
【0058】
抽出部164は、図1と同様に、受信したパケット信号から、位置情報、種別情報、速度情報を抽出する。なお、パケット信号の報知元は、図示しない第1種端末装置142である。抽出部164は、抽出したこれらの情報の組合せを分類部166へ出力する。集約部168は、抽出部164において抽出された情報の組合せを受けつける。集約部168は、第1種端末装置に対する位置情報からひとつの組合せを生成する。生成した組合せが、前述の「第1組合せ」に相当する。集約部168は、第1組合せをIF部170へ出力する。IF部170は、有線ネットワークのインターフェイスを有しており、有線ネットワークを介して図示しない第2種アクセス制御装置104に接続する。IF部170は、集約部168から第1組合せを受けつけ、第1組合せを第2種アクセス制御装置104へ出力する。また、IF部170は、第2種アクセス制御装置104からの第2組合せを受けつけ、第2組合せを集約部168へ出力する。
【0059】
その結果、集約部168は、第1組合せと第2組合せとを保持する。また、集約部168は、第1組合せと第2組合せとを別々のパケット信号に格納する。集約部168は、フレームの先頭に配置された制御スロットに、第1組合せが格納されたパケット信号を割り当てる。また、集約部168は、フレームの2番目に配置された制御スロットに、第2組合せが格納されたパケット信号を割り当てる。変復調部154、RF部152は、1番目の制御スロットにて、第1組合せが格納されたパケット信号をアンテナ150からブロードキャスト送信する。また、変復調部154、処理部156は、2番目の制御スロットにて、第2組合せが格納されたパケット信号をアンテナ150からブロードキャスト送信する。制御情報の宛先は、第1種端末装置142である。
【0060】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図12は、通信システム100におけるパケット信号の報知手順を示すシーケンス図である。第1第2種端末装置144aは、第2種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S130)。第2第2種端末装置144bは、第2種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S132)。第2種アクセス制御装置104は、第1第2種端末装置144aおよび第2第2種端末装置144bからのパケット信号を受信し、位置情報等を第2組合せに集約する(S134)。第1第1種端末装置142aは、第1種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S136)。第2第1種端末装置142bは、第1種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S138)。第1種アクセス制御装置102は、第1第1種端末装置142aおよび第2第1種端末装置142bからのパケット信号を受信し、位置情報等を第1組合せに集約する(S140)。
【0061】
第2種アクセス制御装置104は、第1種アクセス制御装置102に第2組合せを通知する(S142)。第1種アクセス制御装置102は、第2種アクセス制御装置104に第1組合せを通知する(S144)。第2種アクセス制御装置104は、第1組合せと第2組合せとをパケット信号にて報知する(S146、S148)。第1種アクセス制御装置102は、第1組合せと第2組合せとをパケット信号にて報知する(S150、S152)。ここで、ステップ146とステップ148は、単一の動作であり、ステップ150とステップ152も、単一の動作である。
【0062】
次に本発明の別の変形例を説明する。本発明の別の変形例は、本発明の実施例や変形例と同様に、アクセス制御装置と複数の端末装置とが含まれた通信システムに関する。また、別の変形例は、本発明の変形例と同様に、第1種無線通信システムと第2種無線通信システムとを使用する。しかしながら、別の変形例において第1種無線通信システムと第2種無線通信システムとを使用すべき区間が、変形例とは異なる。別の変形例では、第1種端末装置と第1種アクセス制御装置との間に加えて、第1種アクセス制御装置から第2種端末装置への区間にも第1種無線通信システムが使用される。一方、第2種端末装置から第2種アクセス制御装置への区間には第2種無線通信システムが使用される。
【0063】
図13は、本発明の別の変形例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、図10と同様に、第1種アクセス制御装置102、第2種アクセス制御装置104、第1種端末装置142、第2種端末装置144を含む。なお、第1種アクセス制御装置102、第2種アクセス制御装置104、第1種端末装置142、第2種端末装置144は、複数含まれてもよいが、ここでは説明を簡潔にするために、それぞれひとつずつ示される。
【0064】
第1種端末装置142は、図10と同様であるので、ここでは説明を省略する。第2種端末装置144は、図示しない歩行者16に携帯された端末装置14であり、第2種端末装置144は、第2種アクセス制御装置104へデータを送信するとともに、第1種アクセス制御装置102からの制御情報を受信する。つまり、第1種無線通信システムにて制御情報が受信され、第2種無線通信システムにてデータが報知される。これは、送信対象のアクセス制御装置10と受信対象のアクセス制御装置10とが異なっており、送信のために使用される無線通信システムと受信のために使用される無線通信システムとが異なっていることに相当する。
【0065】
第2種アクセス制御装置104は、第2種無線通信システムに対応し、複数の第2種端末装置144のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第2種端末装置144の位置情報が含まれたパケット信号を受信する。第2種アクセス制御装置104は、実施例と同様に、パケット信号に含まれた位置情報等を集約することによって、前述の第2組合せを生成する。第2種アクセス制御装置104は、第1種アクセス制御装置102へ第2組合せを出力する。第1種アクセス制御装置102は、第1種無線通信システムに対応し、複数の第1種端末装置142との間でパケット信号による通信を実行するとともに、複数の第2種端末装置144へパケット信号を送信する。つまり、第1種アクセス制御装置102にとって、受信対象となる端末装置14と送信対象となる端末装置14とが異なる。第1種アクセス制御装置102は、実施例と同様に、パケット信号に含まれた位置情報等を集約することによって、前述の第1組合せを生成する。また、第1種アクセス制御装置102は、第2種アクセス制御装置104から第2組合せを受けつける。
【0066】
第1種アクセス制御装置102は、第1組合せと第2組合せとを異なったパケット信号にてブロードキャスト送信する。各第1種端末装置142および各第2種端末装置144は、第1種無線通信システムにて第1種アクセス制御装置102からのパケット信号を受信する。第1種端末装置142および第2種端末装置144は、パケット信号に含まれた位置情報をもとに、図示しない車両12や歩行者16の位置を認識する。
【0067】
図14は、第1種アクセス制御装置102の構成を示す。第1種アクセス制御装置102は、アンテナ150、RF部152、変復調部154、処理部156、GPS測位部158、フレーム生成部160、制御部162を含む。また、処理部156は、抽出部164、集約部168、入力部172を含む。アンテナ150、RF部152、GPS測位部158、フレーム生成部160、抽出部164は、図11と同一であるので、ここでは説明を省略する。なお、アンテナ150、RF部152、変復調部154は、第1種無線通信システムに対応しており、図示しない第2種端末装置144からのパケット信号を受信できない。図示しない第2種アクセス制御装置104は、図14に示した第1種アクセス制御装置102と同様のタイプであるが、受信機能のみを有する。
【0068】
集約部168は、抽出部164において抽出された情報の組合せを受けつける。集約部168は、第1種端末装置に対する位置情報からひとつの組合せを生成する。生成した組合せが、前述の「第1組合せ」に相当する。入力部172は、有線ネットワークのインターフェイスを有しており、有線ネットワークを介して図示しない第2種アクセス制御装置104に接続する。入力部172は、第2種アクセス制御装置104からの第2組合せを受けつけ、第2組合せを集約部168へ出力する。
【0069】
その結果、集約部168は、第1組合せと第2組合せとを保持する。また、集約部168は、第1組合せと第2組合せとを別々のパケット信号に格納する。集約部168は、フレームの先頭に配置された制御スロットに、第1組合せが格納されたパケット信号を割り当てる。また、集約部168は、フレームの2番目に配置された制御スロットに、第2組合せが格納されたパケット信号を割り当てる。変復調部154、RF部152は、1番目の制御スロットにて、第1組合せが格納されたパケット信号をアンテナ150からブロードキャスト送信する。また、変復調部154、処理部156は、2番目の制御スロットにて、第2組合せが格納されたパケット信号をアンテナ150からブロードキャスト送信する。制御情報の宛先は、第1種端末装置142および第2種端末装置144である。
【0070】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図15は、通信システム100におけるパケット信号の報知手順を示すシーケンス図である。第1第2種端末装置144aは、第2種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S170)。第2第2種端末装置144bは、第2種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S172)。第1第1種端末装置142aは、第1種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S174)。第2第1種端末装置142bは、第1種無線通信システムにて、データが含まれたパケット信号を報知する(S176)。第2種アクセス制御装置104は、第1第2種端末装置144aおよび第2第2種端末装置144bからのパケット信号を受信し、位置情報等を第2組合せとして集約し、第2組合せを第1種アクセス制御装置102へ通知する(S178)。
【0071】
第1種アクセス制御装置102は、第1第1種端末装置142aおよび第2第1種端末装置142bからのパケット信号を受信し、位置情報等を第1組合せとして集約するとともに、第2種アクセス制御装置104からの第2組合せを受けつける。その結果、第1種アクセス制御装置102は、第1組合せと第2組合せに位置情報等を集約する(S180)。第1種アクセス制御装置102は、第1組合せと第2組合せとをパケット信号にて報知する(S182、S184、S186、S188)。ここで、ステップ182から188は、単一の動作である。
【0072】
本発明の実施例によれば、アクセス制御装置から端末装置へのパケット信号を所定のスロットに集約させるので、無線装置の数が増加しても、パケット信号の衝突確率の増加を抑制できる。また、アクセス制御装置から端末装置へのパケット信号を所定のスロットに集約させるので、アクセス制御装置からのパケット信号を受信すれば、他の端末装置の位置情報を取得できる。また、アクセス制御装置からのパケット信号を受信すればよいので、他の端末装置からのパケット信号が受信されなくても、他の端末装置の位置情報を取得できる。また、他の端末装置からのパケット信号が受信されなくても、他の端末装置の位置情報が取得されるので、位置情報の取得確率を向上できる。
【0073】
また、第1組合せが含まれたパケット信号と、第2組合せが含まれたパケット信号とが別々に報知されるので、車両の存在位置と歩行者の存在位置とを効率的に認識できる。また、第1組合せが含まれたパケット信号と、第2組合せが含まれたパケット信号とが別々に報知されるので、第2種端末装置は、第1組合せのみを受信すれば、車両の存在位置を認識できる。また、第2種端末装置は、第1組合せのみを受信すればよいので、消費電力を低減できる。また、第2種端末装置は、他の第2種端末装置が存在すると、パケット信号を報知しないので、トラヒックの増加を抑制できる。また、第2種端末装置は、他の第2種端末装置が存在すると、パケット信号を報知しないので、消費電力を抑制できる。
【0074】
また、第1種端末装置と第2種端末装置とに対して別の無線通信システムを使用するので、第2種端末装置が増加した場合でも、第1種端末装置に与える影響を低減できる。また、第2種端末装置から第2種アクセス制御装置への回線と、第1種アクセス制御装置とに対して別の無線通信システムを使用するので、第2種端末装置が増加した場合でも、第1種端末装置に与える影響を低減できる。
【0075】
アクセス制御装置からの制御情報にしたがって生成したスロットにてデータを報知するので、複数の端末装置間の同期を確立できる。また、複数の端末装置間の同期が確立されるので、データの衝突確率を低減できる。また、スロット内にてデータを報知するので、複数のデータの一部が重なって衝突するような状況の発生を低減できる。また、スロット内にてデータを報知するので、フレームの利用効率を向上できる。また、空きスロットを推定し、空きスロットのうちのいずれかを選択するので、通信量が増加した場合であってもパケット信号の衝突確率を低減できる。また、キャリアセンスの結果をもとに空きスロットを推定するので、端末装置の周囲の状況に応じた空きスロットを推定できる。
【0076】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0077】
本発明の別の変形例において、フレーム生成部160は、複数のスロットにて形成されたフレームが規定される。しかしながらこれに限らず例えば、フレーム生成部160は、フレームに複数のスロット以外の期間を設けてもよい。具体的には、フレームの一部の期間に複数のスロットが配置され、残りの期間では、複数の端末装置14間においてCSMA/CAがなされてもよい。その際、アクセス制御装置は、CSMA/CAの期間では、空きスロットや衝突スロットの検出を実行しない。本変形例によれば、端末装置14は、スロットによる通信とCSMA/CAによる通信を選択できるので、通信の自由度を向上できる。つまり、フレームは、複数のスロットを少なくとも含んでいればよい。
【0078】
本発明の変形例や別の変形例において、アクセス制御装置10から報知される制御情報や、ひとつの端末装置14から報知されるデータは、ひとつのスロットに割り当てられている。しかしながらこれに限らず例えば、制御情報やデータが、ふたつ以上のスロットに割り当てられていてもよい。本変形例によれば、制御情報やデータの通信速度を向上できる。
【0079】
本発明の実施例において、処理部156は、複数の端末装置14についての位置情報を第1組合せと第2組合せとに分類している。しかしながらこれに限らず例えば、処理部156は、分類を実行せず、位置情報を集約してパケット信号に格納してもよい。本変形例によれば、アクセス制御装置10の処理を簡易化できる。
【符号の説明】
【0080】
10 アクセス制御装置、 14 端末装置、 50 アンテナ、 52 RF部、 54 変復調部、 56 処理部、 58 制御部、 60 タイミング特定部、 62 取得部、 64 生成部、 66 制御情報抽出部、 68 スロット決定部、 70 通知部、 72 受付部、 74 指示部、 100 通信システム、 150 アンテナ、 152 RF部、 154 変復調部、 156 処理部、 158 GPS測位部、 160 フレーム生成部、 162 制御部、 164 抽出部、 166 分類部、 168 集約部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間において、複数の端末装置のそれぞれからパケット信号を受信する受信部と、
前記受信部において受信した各パケット信号に含まれた位置情報を集約する集約部と、
前記集約部において集約した位置情報が含まれたパケット信号を、前記第1の期間とは別の第2の期間において、報知する報知部とを備え、
前記受信部において受信した複数のパケット信号の報知元には、車両に搭載された第1種の端末装置と、歩行者に携帯された第2種の端末装置とが混在していることを特徴とするアクセス制御装置。
【請求項2】
前記集約部は、第1種の端末装置についての位置情報と、第2種の端末装置についての位置情報とを別々に集約し、
前記報知部は、第1種の端末装置についての位置情報が集約されたパケット信号と、第2種の端末装置についての位置情報が集約されたパケット信号とを第2の期間において別々に報知することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御装置。
【請求項3】
位置情報を取得する取得部と、
前記取得部において取得した位置情報が含まれたパケット信号を第1の期間において報知する報知部と、
前記報知部において報知したパケット信号を受信したアクセス制御装置であって、かつ他の端末装置からのパケット信号も受信したアクセス制御装置から、前記第1の期間とは別の第2の期間において、前記アクセス制御装置において集約された位置情報が含まれたパケット信号を受信する受信部と、
前記受信部において受信したパケット信号を処理する処理部とを備え、
前記処理部は、
前記受信部において受信したパケット信号に含まれた複数の位置情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部において抽出した複数の位置情報の中に、前記取得部において取得した位置情報から所定の範囲内の位置情報が存在する場合、前記報知部へパケット信号の報知を中止させる指示部とを備えることを特徴とする端末装置。
【請求項4】
第1の無線通信システムに対応した複数の第1種の端末装置と、
前記第1の無線通信システムとは別の第2の無線通信システムに対応した複数の第2種の端末装置と、
前記複数の第1種の端末装置のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第1種の端末装置の位置情報が含まれたパケット信号を受信する第1種のアクセス制御装置と、
前記複数の第2種の端末装置のそれぞれからのパケット信号であって、かつ各第2種の端末装置の位置情報が含まれたパケット信号を受信する第2種のアクセス制御装置とを備え、
前記第1種のアクセス制御装置は、前記第2種のアクセス制御装置において受信された各パケット信号に含まれた位置情報の集約結果をパケット信号にて報知し、
前記第2種のアクセス制御装置は、前記第1種のアクセス制御装置において受信された各パケット信号に含まれた位置情報の集約結果をパケット信号にて報知し、
前記複数の第1種の端末装置は、前記第1種のアクセス制御装置からのパケット信号を受信し、
前記複数の第2種の端末装置は、前記第2種のアクセス制御装置からのパケット信号を受信することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−258887(P2010−258887A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108075(P2009−108075)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】