説明

アクリルを含有する単分散パールポリマーの製造方法

本発明は、好ましくは5〜500μmの粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマーの製造方法と、さらにはそれらの官能化によりイオン交換体を与えることと、に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単分散アクリル含有イオン交換体の製造方法と、これに必要な中間体(単分散アクリル含有ビーズポリマーと称され、かつ好ましくは5〜500μmの粒度を有する)と、さらには単分散アクリル含有イオン交換体の使用と、に関する。
【背景技術】
【0002】
弱酸性陽イオン交換体は、一般的には、架橋アクリルビーズポリマーを加水分解することにより取得される。たとえば、架橋されたポリメチルアクリレートまたはポリアクリロニトリルのビーズポリマーを硫酸または水酸化ナトリウムの溶液との反応によりカルボキシレート含有ビーズに変換する。架橋アクリルビーズポリマーをベースとして、アクリレート基とジアミンとの反応により、同様に、弱塩基性陰イオン交換体を取得することが可能である。これらの弱塩基性陰イオン交換体をアルキル化することにより、強塩基性陰イオン交換体を製造することが可能である。
【0003】
最近、可能なかぎり均一な粒度(これ以降では「単分散」と称する)を有するイオン交換体は、ますます重要性が高くなってきている。その理由は、多くの用途において、単分散イオン交換体の交換体床がより有利な流体力学的性質を有することから、経済的利点を達成しうる点にある。単分散イオン交換体は、単分散ビーズポリマーを官能化することにより取得可能である。
【0004】
単分散ビーズポリマーを製造できる可能性のある一方法は、いわゆるシード/フィード法であり、この方法によれば、単分散ポリマー(「シード」)をモノマー中で膨潤させ、次に、これを重合させる。シード/フィード法については、たとえば、(特許文献1)および(特許文献2)に記載されている。
【0005】
(特許文献3)には、マイクロカプセル化架橋ビーズポリマーがシードとして使用されるシード−フィード法が開示されている。
【0006】
シード−フィード技術による単分散イオン交換体の公知の製造方法の問題は、単分散シードの提供である。頻繁に利用される方法は、通常の(すなわち広い)粒度分布のビーズポリマーを分別することである。この方法の欠点は、単分散度の増加に伴って篩分け時の所望の標的画分の収率が大幅に減少することである。
【0007】
アトマイゼーション技術により、的を絞って単分散ビーズポリマーを製造することが可能である。イオン交換体に好適なアトマイゼーション法については、たとえば、(特許文献4)および(特許文献5)に記載されている。これらのアトマイゼーション法に共通した特徴は、技術的にきわめて複雑な点である。アトマイゼーション法では、一般に、500〜1200μmの粒度を有するイオン交換体が得られる。より小さい粒度を有するイオン交換体は、製造不可能であるか、または経費を著しく増大させた場合のみ製造可能である。
【0008】
(特許文献6)には、1〜50μmの範囲内の均一な粒度を有するポリマー粒子の製造方法が開示されている。この方法では、好ましくは0.05〜0.5μmの粒度を有するエマルジョンポリマーがシードとして使用される。供給工程を多数回反復する必要があるので、小さい直径のシード粒子を使用することは、不利である。
【0009】
(特許文献7)には、1〜30μmの粒度を有する架橋単分散ビーズポリマーが開示されている。これらのビーズポリマーは、シード粒子が使用されるシード−フィード法により取得される。
【0010】
単分散ビーズポリマーまたは単分散イオン交換体を製造するための多数の方法およびプロセスがこれまでに報告されているが、公知の方法はすべて、実質的に完全にスチレン含有ビーズポリマーをベースとする。
【0011】
(非特許文献1)において、フレッシェ(Frechet)らは、非架橋単分散シードポリマーをベースとする5μm以下の直径を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーの製造について記載している。
【0012】
これとは対照的に、(特許文献8)には、500μm以下の直径を有する単分散ゲル型イオン交換体が開示されている。この場合、フィードとして、シードポリマーのモノマー混合物が添加される。この混合物は、50〜99.9重量%のスチレンと、コモノマーとして、たとえば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、またはアクリロニトリルのような共重合性化合物と、を含有する。
【0013】
30〜500μmの範囲内の狭い分布のアクリル含有ビーズポリマーまたは狭い分布の弱酸性陽イオン交換体は、慣例的には、広い粒度分布を有するビーズポリマーまたは弱酸性陽イオン交換体を分別することにより取得される。この方法の欠点は、単分散度の増加に伴って分別時の所望の標的画分の収率が大幅に減少することである。
【0014】
これまで、的を絞って5〜500μmの粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマーから単分散アクリル含有イオン交換体を製造する方法は、存在しない。
【特許文献1】欧州特許第00 98 130 B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 101 943 B1号明細書
【特許文献3】EP−A 0 826 704
【特許文献4】欧州特許第0 046 535 B1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 051 210 B1号明細書
【特許文献6】EP−A 0 448 391
【特許文献7】EP−A 0 288 006
【特許文献8】DE−A 102 37601
【非特許文献1】フレッシェ(Frechet)ら、Chemistry of Materials 1998年、第10巻、385−291頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本出願の目的は、的を絞って単分散アクリル含有イオン交換体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合(free-radical-initiated polymerization)させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
b)シードポリマーの非水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有するモノマーフィードを添加し、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化により単分散アクリル含有イオン交換体に変換することと、
を特徴とする、単分散アクリル含有イオン交換体の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態では、方法工程a’)において、方法工程a)から得られるシードポリマーの水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、
0.1〜5重量%の開始剤と、
95〜99.9重量%のモノエチレン性不飽和化合物と、ただし、架橋剤なし、
を含有する少なくとも1種のモノマーフィードを添加することが可能であり、このモノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させ、非架橋単分散シードポリマーを与える。方法工程b)で方法を継続する前に、方法工程a’)を1回〜数回反復することが可能である。この手段により、1〜300μmの範囲内の任意の粒度の非架橋シードポリマーを取得することが可能である。
【0018】
本発明は、方法工程c)に記載の単分散アクリル含有イオン交換体だけでなく、方法工程b)により取得可能な中間体すなわち架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーにも関する。
【0019】
本発明に関連して、数回とは、10回まで、好ましくは8回まで、とくに好ましくは6回までのモノマーフィードの添加を意味する。
【0020】
方法工程b)の後、単分散アクリル含有ビーズポリマーは、5〜500μm、好ましくは10〜400μm、とくに好ましくは20〜300μm、なかでもとくに好ましくは51〜300μmの粒度を有する。平均粒度および粒度分布を決定するには、篩分け分析または画像解析のような慣用的方法が好適である。本発明に係る単分散アクリル含有イオン交換体の粒度分布幅の尺度として、体積分布の90%値(Φ(90))と10%値(Φ(10))との比をもとめる。90%値(Φ(90))は、粒子の90%よりも大きい直径を与える。それに対応して、粒子の10%は、10%値(Φ(10))の直径よりも小さい。本発明に関連して、単分散粒度分布とは、Φ(90)/Φ(10)≦1.5、好ましくはΦ(90)/Φ(10)≦1.25であることを意味する。
【0021】
方法工程a)に記載の非架橋シードポリマーの作製では、モノエチレン性不飽和化合物が使用され、ポリエチレン性不飽和化合物や架橋剤は使用されない。
【0022】
本発明によれば、好適なモノエチレン性化合物は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステルである。好ましいのは、スチレン、メチルアクリレート、およびブチルアクリレートである。異なるモノエチレン性不飽和化合物の混合物もまた、きわめて好適である。
【0023】
非架橋シードポリマーの作製では、開始剤を用いて非水性溶媒の存在下で上述のモノエチレン性不飽和化合物を重合させる。本発明に好適な溶媒は、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびアルコールである。好ましいのは、アルコール、特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノールである。種々の溶媒の混合物、特に種々のアルコールの混合物もまた、非常に好適である。アルコールはまた、50重量%以下の水、好ましくは25重量%以下の水を含有しうる。溶媒混合物を使用する場合、非極性溶媒、特に、ヘキサン、ヘプタン、およびトルエンなどの炭化水素を、50重量%以下の分率で組み合わせて使用することが可能である。
【0024】
モノエチレン性不飽和化合物対溶媒の比は、1:2〜1:30、好ましくは1:3〜1:15である。
【0025】
方法工程a)に記載のシードポリマーは、好ましくは、溶媒に溶解された高分子量分散剤の存在下で調製される。
【0026】
好適な高分子量分散剤は、天然および合成の高分子化合物である。例としては、セルロース誘導体(たとえば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルアセテート、部分鹸化ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマー、さらにはスチレンと無水マレイン酸とコポリマーが挙げられる。ポリビニルピロリドンが好ましい。高分子量分散剤の含有率は、溶媒を基準にして、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。
【0027】
分散剤に加えて、イオン性または非イオン性の界面活性剤を使用することも可能である。本発明に関連して、好適な界面活性剤は、たとえば、スルホコハク酸ナトリウム塩、メチルトリカプリルアンモニウムクロリド、またはエトキシル化ノニルフェノールである。好ましいのは、4〜20個のエチレンオキシド単位を有するエトキシル化ノニルフェノールである。界面活性剤は、溶媒を基準にして0.1〜2重量%の量で使用可能である。
【0028】
方法工程a)に記載されるように生成されるシードポリマーを調製するのに好適な開始剤は、温度を上昇させたときにフリーラジカルを生成する化合物である。例として挙げられうるのは、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ビス(p−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、およびtert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサンなどのペルオキシ化合物、さらには2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)または2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)などのアゾ化合物である。溶媒が水分を含有する場合、ナトリウムまたはカリウムのペルオキシ二硫酸塩もまた、開始剤として好適である。
【0029】
また、非常に好適な化合物は、脂肪族ペルオキシエステルである。これらの例は、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシオクトエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−アミルペルオキシピバレート、tert−アミルペルオキシオクトエート、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−アミルペルオキシネオデカノエート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジピバロイル−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(2−ネオデカノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジ−tert−ブチルペルオキシアゼレート、またはジ−tert−アミルペルオキシアゼレートである。
【0030】
開始剤は、モノエチレン性不飽和化合物の合計量を基準にして、一般的には0.05〜6.0重量%、好ましくは0.2〜5.0重量%、とくに好ましくは1〜4重量%の量で使用される。
【0031】
適切であれば、溶媒に可溶な禁止剤を使用することが可能である。好適な禁止剤の例は、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、カテコール、tert−ブチルカテコール、フェノール類とアルデヒド類との縮合生成物などのフェノール系化合物である。さらなる有機禁止剤は、ジエチルヒドロキシルアミンまたはイソプロピルヒドロキシルアミンなどの窒素化合物である。本発明によれば、レゾルシノールが禁止剤として好ましい。禁止剤の濃度は、モノエチレン性不飽和化合物の合計量を基準にして、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
【0032】
重合温度は、開始剤の分解温度により、さらには溶媒の沸点により規制されるが、典型的には50〜150℃、好ましくは60〜120℃の範囲内である。ゲートアジテーターなどを用いて一定した攪拌を行いながら溶媒の沸点で重合させることが有利である。低い攪拌速度が使用される。4リットル実験用反応器を用いる場合、ゲートアジテーターの攪拌速度は、100〜250rpm、好ましくは100rpmである。重合時間は、一般的には2時間以上、たとえば2〜30時間である。
【0033】
方法工程a)に記載されるように本発明に従って作製されるシードポリマーは、単分散性が高く、0.5〜20μm、好ましくは2.2〜15μmの粒度を有する。粒度は、とくに、溶媒の選択による影響を受ける可能性がある。たとえば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、およびtert−ブタノールなどの高級アルコールを用いると、メタノールのときよりも大きい粒子が生成される。溶媒中に水またはヘキサンの画分が存在すると、粒度はより小さい値に変化する可能性がある。トルエンを添加すると、粒度は増大する。
【0034】
シードポリマーは、沈降、遠心分離、または濾過などの従来法により単離可能である。分散剤を分離するために、混合物をアルコールおよび/または水で洗浄し、乾燥させる。
【0035】
方法工程a’)で使用されるモノエチレン性不飽和化合物は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステルである。好ましいのは、スチレン、メチルアクリレート、およびブチルアクリレートである。異なるモノエチレン性不飽和化合物の混合物もまた、きわめて好適である。方法工程a’)の好ましい実施形態では、アクリルモノマーの割合は、反復するごとに増大される。アクリルモノマーの定義については、方法工程b)を参照しうる。
【0036】
方法工程a’)のモノマーフィードで必須なものとして使用される開始剤として、方法工程a)に記載のフリーラジカル発生剤が考慮の対象となる。開始剤は、モノマーフィードを基準にして、一般的には0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3重量%の量で使用される。当然ながら、上述のフリーラジカル発生剤の混合物、たとえば、さまざまな分解温度を有する開始剤の混合物を使用することも可能である。
【0037】
シードポリマーと方法工程a’)のモノマーフィードとの重量比は、1:1〜1:1000、好ましくは1:2〜1:100、とくに好ましくは1:3〜1:30である。
【0038】
方法工程a)または上流の方法工程a’)のシードポリマーへのモノマーフィードの添加は、一般的には、シードポリマーの水性ディスパージョンにモノマーフィードの微細な水性エマルジョンが添加されるように進行する。1〜10μmの平均粒度を有する微細なエマルジョンは、きわめて好適であり、乳化助剤(たとえばイソオクチルスルホスクシネートナトリウム塩など)を用い、ローター−ステーターミキサーまたはミキサー−ジェットノズルを用いて作製可能である。
【0039】
方法工程a’)に記載のモノマーフィードの成分は、一緒にあるいは個別にシードポリマーに添加することが可能であり、各成分は、先に記載したように微細なエマルジョンの形態で各工程で添加される。すべての添加された有機相全体(モノマーフィード)の組成は、本発明にとってきわめて重要である。複数の計量工程で計量する場合、最初の計量工程で開始剤の全量を添加することが有利であり得る。
【0040】
方法工程a’)のモノマーフィードは、開始剤の分解温度未満の温度で、たとえば室温で、添加可能である。比較的長時間かけて、たとえば、0.25〜5時間かけて、攪拌しながらモノマーフィード含有エマルジョンを計量導入することが有利である。エマルジョンを完全に添加した後、混合物をさらに攪拌し、モノマーフィードをシード粒子中に浸透させる。1〜15時間のさらなる攪拌時間を設けることが得策である。シードポリマーサスペンジョンおよびモノマー混合物エマルジョンの作製で使用される水の量は、広い許容範囲内においてはそれほど重要ではない。一般的には、5〜50%の濃度のサスペンジョンまたはエマルジョンが使用される。
【0041】
結果として生じるシードポリマーとモノマーフィードと水との混合物もまた、方法工程a’)で少なくとも1種の分散剤と共に混合される。この場合、ゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、または(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーなどの天然および合成の水溶性ポリマーが好適である。セルロース誘導体、特に、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエステルまたはセルロースエーテルもまた、きわめて好適である。使用される分散剤の量は、水相を基準にして、一般的には0.05〜1%、好ましくは0.1〜0.5%である。
【0042】
方法工程a’)の水相はさらに、12〜3、好ましくは10〜4の値に水相のpHを設定する緩衝系を含有しうる。とくにきわめて好適な緩衝系は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはホウ酸塩を含有する。
【0043】
また、方法工程a’)で禁止剤を水性相に溶解して使用することが有利なこともある。禁止剤としては、無機物質だけでなく有機物質も考慮の対象となる。無機禁止剤の例は、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウム、または亜硝酸カリウムなどの窒素化合物である。有機禁止剤の例は、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、カテコール、tert−ブチルカテコール、またはフェノール類とアルデヒド類との縮合生成物などのフェノール系化合物である。さらなる有機禁止剤は、たとえば、ジエチルヒドロキシルアミンまたはイソプロピルヒドロキシルアミンなどの窒素化合物である。本発明によれば、レゾルシノールが禁止剤として好ましい。禁止剤の濃度は、水性相を基準にして、5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm、とくに好ましくは20〜250ppmである。
【0044】
本発明に関連して、方法工程a’)で用いられる高温は、当業者によれば開始剤の分解温度(一般的には60〜130℃)までの温度上昇を意味するもの解釈される。これにより、シード粒子中に膨潤導入されたモノマーフィードの重合が開始される。重合は、2時間以上、たとえば3〜10時間持続する。
【0045】
本発明のさらなる実施形態では、モノマーフィードは、使用される開始剤の少なくとも1種が活性である温度で1〜6時間の比較的長い時間をかけて添加される。一般的には、この手順では、60〜130℃、好ましくは60〜95℃の温度が利用される。
【0046】
供給工程(すなわち、モノマーフィードの添加、膨潤、および重合)を数回反復することにより、最終的に、0.5〜20μmの粒度を有する単分散シードポリマーから、300μm以下の粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを取得しうる。
【0047】
重合後、慣用的方法により、たとえば、濾過またはデカンテーションにより、方法工程a’)から得られた単分散非架橋シードビーズポリマーを単離し、適切であれば、1回または反復して洗浄した後、乾燥し、所望により篩い分けし、そして貯蔵することが可能である。
【0048】
方法工程b)で、アクリルモノマーのフィードを有するa)またはa’)から得られたシードポリマーを開始剤および架橋剤と混合する。
【0049】
本発明によれば、方法工程b)のモノマーフィードは、30〜98.9重量%のアクリルモノマー、好ましくは50〜97.9重量%のアクリルモノマーを含有する。本発明に関連して、アクリルモノマーとは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、およびグリシジルメタクリレート、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、またはメタクリルアミドなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステルである。好ましいのは、アクリロニトリル、アクリルアミド、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびグリシジルメタクリレートである。異なるアクリルモノマーの混合物もまた、きわめて好適である。
【0050】
本発明のとくに好ましい変形形態では、方法工程b)のモノマーフィード中にスチレンは存在しない。しかしながら、方法工程b)のモノマーフィードは、適切であれば、さらなるコモノマーを含有しうる。好適なコモノマーは、α−メチルスチレン、エチルビニールエーテル、メチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン類、N−ビニルピリジン類、2−ビニルピリジン類、4−ビニルピリジン類などのアクリルモノマーと共重合可能な化合物である。コモノマーの量は、いずれの場合にも、添加された活性化モノマーフィードを基準にして、0〜68.9重量%、好ましくは0〜48.9重量%である。
【0051】
本発明によれば、方法工程b)のモノマーフィードは、添加された活性化モノマーフィードを基準にして、1〜60重量%の架橋剤を含有する。架橋剤とは、分子中に2個以上の重合性オレフィン性二重結合を有する化合物である。例として挙げられうるのは、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、またはオクタジエンである。ジビニルベンゼン、オクタジエン、またはジエチレングリコールジビニルエーテルが好ましい。ジビニルベンゼンは、ジビニルベンゼンの異性体に加えてエチルビニルベンゼンをも含有する市販品質で使用可能である。
【0052】
方法工程b)のモノマーフィード中の架橋剤の量は、いずれの場合にも、添加された活性化モノマーフィードを基準にして、好ましくは2〜30重量%、とくに好ましくは3〜18重量%である。
【0053】
方法工程b)のモノマーフィードで必須なものとして使用される考慮の対象となる開始剤は、方法工程a)に記載されているフリーラジカル発生剤である。開始剤は、モノマーフィードを基準にして、一般的には0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜2重量%の量で利用される。当然ながら、上述のフリーラジカル発生剤の混合物、たとえば、さまざまな分解温度を有する開始剤の混合物を使用することも可能である。
【0054】
シードポリマーと方法工程b)のモノマーフィードとの重量比は、1:1〜1:1000、好ましくは1:2〜1:100、とくに好ましくは1:3〜1:30である。
【0055】
a)またはa’)から得られたシードポリマーへの方法工程b)のモノマーフィードの添加は、一般的には、モノマーフィードの微細な水性エマルジョンがシードポリマーの水性ディスパージョンに添加されるように進行する。きわめて好適なエマルジョンは、1〜10μmの平均粒度を有する微細なエマルジョンであり、乳化助剤(たとえばイソオクチルスルホスクシネートナトリウム塩)を用い、ローター−ステーターミキサーまたはミキシング−ジェットノズルを用いて作製可能である。
【0056】
方法工程b)のモノマーフィードの成分は、一緒にあるいは個別に、a)またはa’)から得られたシードポリマーに添加可能であり、先に記載したように、各成分は、微細なエマルジョンの形態で各工程で添加される。すべての添加された有機相全体(モノマーフィード)の組成は、本発明にとってきわめて重要である。複数の計量工程で計量する場合、最初の計量工程で開始剤の全量を添加することが有利なこともある。
【0057】
方法工程b)のモノマーフィードの添加は、開始剤の分解温度未満の温度で、たとえば、室温で、進行しうる。比較的長時間かけて、たとえば、0.25〜5時間かけて、モノマーフィードを含有するエマルジョンを攪拌しながら添加することが有利である。エマルジョンを完全に添加した後、混合物をさらに攪拌し、モノマーフィードをシード粒子中に浸透させる。1〜15時間のさらなる攪拌時間を設けることが得策である。シードポリマーサスペンジョンおよびモノマー混合物エマルジョンの作製で使用される水の量は、広い許容範囲内においてはそれほど重要ではない。一般的には、5〜50%の濃度のサスペンジョンまたはエマルジョンが使用される。
【0058】
方法工程b)で結果として生じるシードポリマーとモノマーフィードと水との混合物は、少なくとも1種の分散助剤と共に混合される。この場合、ゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、または(メタ)アクリル酸もしくは(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーなどの天然および合成の水溶性ポリマーが好適である。また、とくにきわめて好適な化合物は、セルロース誘導体、特に、セルロースエステルまたはセルロースエーテル、たとえば、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースである。方法工程b)で使用される分散助剤の量は、水相を基準にして、一般的には0.05〜1%、好ましくは0.1〜0.5%である。
【0059】
方法工程b)の水相はさらに、12〜3、好ましくは10〜4の値に水相のpHを設定する緩衝系を含有しうる。とくにきわめて好適な緩衝系は、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはホウ酸塩を含有する。
【0060】
方法工程b)で禁止剤を水性相に溶解して使用することが有利なこともある。方法工程b)では、禁止剤としては、無機物質だけでなく有機物質も考慮の対象となる。無機禁止剤の例は、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウム、または亜硝酸カリウムなどの窒素化合物である。有機禁止剤の例は、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、カテコール、tert−ブチルカテコール、またはフェノール類とアルデヒド類との縮合生成物などのフェノール系化合物である。さらなる有機禁止剤は、ジエチルヒドロキシルアミンまたはイソプロピルヒドロキシルアミンなどの窒素化合物である。本発明によれば、レゾルシノールが禁止剤として好ましい。禁止剤の濃度は、水性相を基準にして、5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm、とくに好ましくは20〜250ppmである。
【0061】
方法工程b)で用いられる高温は、当業者によれば開始剤の分解温度(一般的には60〜130℃)までの温度上昇を意味するもの解釈される。この手段により、シード粒子中に膨潤導入されたモノマーフィードの重合が開始される。重合は、2時間以上、たとえば3〜10時間持続する。
【0062】
本発明のさらなる実施形態では、方法工程b)のモノマーフィードの添加は、使用される開始剤の少なくとも1種が活性である温度で1〜6時間の比較的長い時間をかけて進められる。一般的には、この手順では、60〜130℃、好ましくは60〜95℃の温度が利用される。
【0063】
方法工程b)により、方法工程a)またはa’)の単分散シードポリマーから、好ましくは500μm以下の粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマーを取得しうる。この場合、拡張率は、重合転化率およびa)またはa’)から得られるシードポリマーと方法工程b)のモノマーフィードとの重量比から生じる。
【0064】
重合後、慣用的方法により、たとえば、濾過またはデカンテーションにより、方法工程b)から得られた単分散アクリル含有ビーズポリマーを単離し、適切であれば、1回または反復して洗浄した後で乾燥し、所望により篩い分けし、そして貯蔵することが可能である。
【0065】
方法工程c)では、単分散イオン交換体を作製するために、単分散アクリル含有ビーズポリマーを出発原料として使用する。イオン交換体を与えるビーズポリマーの反応は、公知の方法に従って進行させることが可能である。たとえば、弱酸性陽イオン交換体は、方法工程b)から得られた単分散アクリル含有ビーズポリマーを加水分解することにより作製される。好適な加水分解剤は、強塩基または強酸、たとえば、水酸化ナトリウム溶液または硫酸などである。
【0066】
加水分解後、加水分解生成物と残留加水分解剤との反応混合物を室温に冷却し、そして最初に水で希釈して洗浄する。
【0067】
水酸化ナトリウム溶液を加水分解剤として使用した場合、弱酸性陽イオン交換体がナトリウム形で作製される。いくつかの用途では、陽イオン交換体をナトリウム形から酸形に変換することが得策である。この変換は、5〜50%、好ましくは10〜20%の濃度の硫酸を用いて行われる。
【0068】
所望により、その結果として生じる本発明に係る弱酸性陽イオン交換体を、精製のために、70〜145℃、好ましくは105〜130℃の温度で、脱イオン水により処理することが可能である。
【0069】
弱塩基性陰イオン交換体は、たとえば、本発明に係る方法により方法工程b)から作製された単分散アクリル含有ビーズポリマーをアミノアルコールまたは二官能性アミンと反応させることにより、作製可能である。好ましいアミノアルコールは、N,N’−ジメチル−2−アミノエタノールである。好ましい二官能性アミンは、(N,N’−ジメチル)−3−アミノプロピルアミン(「アミンZ」)である。
【0070】
メチルクロリドなどのようなアルキル化剤で四級化することにより、公知の方法で、弱塩基性陰イオン交換体から強塩基性陰イオン交換体を作製することが可能である。
【0071】
本発明に係る方法により取得される単分散アクリル含有イオン交換体は、単分散性が高くかつ安定性がとくに高い点で卓越しており、これもまた、方法工程b)に基づく単分散アクリル含有ビーズポリマーと同様に本発明の対象となる。
【0072】
したがって、本発明はまた、
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
b)方法工程a)から得られたシードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下でモノマーフィードを添加し[ここで、モノマーフィードは、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する]、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化することと、
により取得可能である単分散アクリル含有イオン交換体に関する。
【0073】
しかしながら、本発明はまた、
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
a’)方法工程a)から得られたシードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下で少なくとも1種のモノマーフィードを添加し(ここで、このモノマーフィードは、0.1〜5重量%の開始剤と、95〜99.9重量%のモノエチレン性不飽和化合物と、を含有する)、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させ、非架橋単分散シードポリマーを与えることと、
b)方法工程a’)から得られたシードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下でモノマーフィードを添加し[ここで、モノマーフィードは、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する]、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化することと、
により取得可能である単分散アクリル含有イオン交換体に関する。
【0074】
しかしながら、本発明はまた、
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
b)シードポリマーの水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する少なくとも1種のモノマーフィードを添加し、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させることと、
により取得可能である好ましくは5〜500μmの粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマーに関する。
【0075】
本発明はまた、
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
a’)方法工程a)から得られたシードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下で少なくとも1種のモノマーフィードを添加し(ここで、このモノマーフィードは、0.1〜5重量%の開始剤と、95〜99.9重量%のモノエチレン性不飽和化合物と、を含有する)、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させ、非架橋単分散シードポリマーを与えることと、
b)方法工程a’)から得られたシードポリマーの水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有するモノマーフィードを添加し、モノマーフィードをシード中に膨潤導入し、高温で重合させることと、
により取得可能である好ましくは5〜500μmの粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマーに関する。
【0076】
本発明に従って作製される単分散アクリル陰イオン交換体は、
− 水溶液または有機溶液およびそれらの蒸気からアニオンを除去するために、
− 水溶液または有機溶液およびそれらの蒸気から着色粒子を除去するために、
− 製糖業、酪農業、澱粉業、製薬業などにおいて、グルコース溶液、乳清、低粘度ゼラチン液、フルーツジュース、果汁液、および糖質、好ましくは単糖または二糖、特に、ショ糖、ビート糖溶液、果糖溶液を脱色および脱塩するために、
− 地表水からフミン酸を除去するなどのように水溶液から有機成分を除去するために、
− 抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製するために、
− イオン交換クロマトグラフィーにより水溶液のイオン分を分析するために、
使用される。
【0077】
したがって、本発明はまた、
− 本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体を用いて、水溶液もしくは有機溶液およびそれらの蒸気からアニオンをまたは水溶液もしくは有機溶液およびそれらの蒸気から着色粒子を除去する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体を用いて、製糖業、酪農業、澱粉業、製薬業などにおいて、グルコース溶液、乳清、低粘度ゼラチン液、フルーツジュース、果汁液、および糖質、好ましくは単糖または二糖、特に、ショ糖、ビート糖溶液、果糖溶液を脱色および脱塩する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体を用いて、地表水からフミン酸を除去するなどのように水溶液から有機成分を除去する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体を用いて、抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体を用いて、イオン交換クロマトグラフィーにより水溶液のイオン分を分析する方法.
に関する。
【0078】
さらに、本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体は、化学工業および電子工業において水の精製および処理に使用することが可能である。
【0079】
さらに、本発明に係る単分散アクリル含有陰イオン交換体は、とくに製糖業において、水溶液の脱塩のために、ゲル型および/またはマクロポーラス型陽イオン交換体と組み合わせて使用することが可能である。
【0080】
本発明に従って作製される単分散アクリル含有陽イオン交換体は、さまざまな用途で使用される。たとえば、それらはまた、飲料水処理にさらにはグルコースやフルクトースのクロマトグラフ分離のために使用される。
【0081】
したがって、本発明は、
− 水溶液または有機溶液から陽イオン、着色粒子、または有機成分を除去するための、
− 水溶液または有機溶液を中性交換により軟化するための、
− 化学工業、電子工業の水および発電所からの水を精製および処理するための、
− 抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製するための、
− イオン交換クロマトグラフィーにより水溶液のイオン分を分析するための、
本発明に係る単分散アクリル含有陽イオン交換体の使用に関する。
【0082】
したがって、本発明はまた、
− 本発明に係る単分散アクリル含有陽イオン交換体を使用することを特徴とする、化学工業、電子工業の水および発電所からの水を精製および処理する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陽イオン交換体を使用することを特徴とする、水溶液または有機溶液から陽イオン、着色粒子、または有機成分を除去する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陽イオン交換体を使用することを特徴とする、水溶液または有機溶液を中性交換により軟化する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陽イオン交換体を使用することを特徴とする、抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製する方法.
− 本発明に係る単分散アクリル含有陽イオン交換体を使用することを特徴とする、イオン交換クロマトグラフィーにより水溶液のイオン分を分析する方法.
に関する。
【0083】
方法工程b)に記載されるように本発明に従って作製される単分散アクリル含有ビーズポリマーはまた、さまざまな用途で、たとえば、生物活性成分をそれらの溶液から分離および精製するために、水溶液または有機溶液から着色粒子または有機成分を除去するために、さらにはキレート化剤、酵素、および抗体のような有機分子の担体として、使用可能である。
【0084】
したがって、本発明は、
− 抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製するための、
− 水溶液または有機溶液から着色粒子または有機成分を除去するための、
− 担体に吸着されるかまたは担体上に存在する官能基との反応により共有結合的もしくはイオン結合的に固着されるキレート化剤、酵素、および抗体のような有機分子の担体としての、
方法工程b)から得られる本発明に係る単分散アクリル含有ビーズポリマーの使用に関する。
【0085】
したがって、本発明はまた、
− 方法工程b)に基づく本発明に係る単分散アクリル含有ビーズポリマーが使用されることを特徴とする、抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製する方法.
− 方法工程b)に基づく本発明に係る単分散アクリル含有ビーズポリマーが使用されることを特徴とする、水溶液または有機溶液から着色粒子または有機成分を除去する方法.
− 方法工程b)に基づく本発明に係る単分散アクリル含有ビーズポリマーが担体として使用されることを特徴とする、キレート化剤、酵素、および抗体のような有機分子を担体に結合する方法.
に関する。
【0086】
[実施例]
〔実施例1〕
1a)シードポリマー1の作製
ゲートアジテーター、冷却器、温度検知器、さらにはサーモスタットおよび温度記録計を有する4リットルのフラットフランジ槽中に、2681.14gのメタノール、205.71gのアルドリッチ(Aldrich)製ポリビニルピロリドンK30、6.86gのエチルメタクリレート、および336.00gのメチルメタクリレートを仕込む。100rpmで攪拌された最初の仕込み物を窒素下で1時間にわたり55℃に加熱する。次に、10.29gの2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)と188.57gのメタノールとよりなる溶液を添加する。モノマー混合物を55℃で20時間重合させ、次に、室温に冷却する。これにより、6μmの直径を有するビーズポリマーが作製される。生成物を一晩かけて沈降させる。次に、上澄み溶液をデカンテーションする。2回にわたり毎回2リットルのメタノール中にさらに2回にわたり毎回2リットルの脱イオン水中に浸漬し、攪拌し、沈降させ、そしてデカンテーションにより除去することにより、沈降物を洗浄する。その後、約20%の濃度の水性サスペンジョンを作製し、固形分含有率を測定する。これにより、85.5%の収率が得られる。
【0087】
1b)アクリル含有ビーズポリマー1の作製
ゲートアジテーター、冷却器、温度検知器、さらにはサーモスタットおよび温度記録計を有する4リットルのフラットフランジ槽内において、150rpmの攪拌および窒素の供給を行いながら、801.49gの脱イオン水および16.89gの濃度75%のジオクチルナトリウムスルホスクシネート中で、1a)で作製された332.01gの濃度20.09%のシードサスペンジョンをホモジナイズする。
【0088】
24000rpmでウルトラタラックス(Ultraturrax)を用いて、100gの脱イオン水および2.0gの濃度75%のジオクチルナトリウムスルホスクシネート中で、180.0gのメチルアクリレート、20.0gのジエチレンジグリコールジビニルエーテル、および2.67gの濃度75%のジベンジルペルオキシドを1分間乳化する。100gの脱イオン水を用いて、この混合物を最初の仕込み物中にフラッシュ導入する。2時間の膨潤時間の後、これにより8.6μmのビーズが作製される。これは、63.3%の効率に相当する。次に、混合物を1時間にわたり80℃に加熱し、80℃で12時間重合させる。次に、それを室温に冷却する。全バッチを一晩かけて沈降させ、その後、上澄み溶液をデカンテーションにより除去する。3回にわたり2リットルの脱イオン水中に浸漬し、攪拌し、沈降させ、そしてデカンテーションすることにより、沈降物を洗浄する。次に、約20%の濃度のサスペンジョンを作製し、固形分含有率を測定する。収率は75.8%である。
【0089】
1c)アクリル含有ビーズポリマー1の鹸化
ゲートアジテーター、蒸留ブリッジ、温度検知器、さらにはサーモスタットおよび温度記録計を有する4リットルのフラットフランジ槽中に、200rpmで、366gの濃度50%のNaOH溶液と共に549gの脱イオン水を仕込む。攪拌しながら、150gのアクリル含有ビーズポリマー1を少しずつ導入する。混合物を1.5時間にわたり100℃に加熱する。次に、それをこの温度で6時間攪拌し、その後、室温に冷却する。鹸化された生成物は、12.1μmの直径を有する。脱イオン水を用いて、それを5リットルにし、放置し、そしてデカンテーションにより除去する。pHが中性になるまで、全手順を反復する(この例では5回)。約20%の濃度のサスペンジョンを作製し、固形分含有率を測定する。ナトリウム形の単分散弱酸性陽イオン交換体1の収率は、99%である。
【0090】
弱酸性陽イオン交換体1のイオン交換
ゲートアジテーター、冷却器、温度検知器、さらにはサーモスタットおよび温度記録計を有する4リットルのフラットフランジ槽中に、c)で作製した472gの濃度16.95%のサスペンジョンを仕込む。200rpmで、274.67gの濃度14.56%の硫酸溶液(全水相を基準にして6%)を6時間かけて滴下する。サスペンジョンを一晩にわたり約15時間攪拌する。イオン交換生成物は、10μmの直径を有する。それを沈降させ、デカンテーションにより除去する。次に、それを脱イオン水で洗浄する。2リットルにして、沈降および傾瀉除去を行う。pHが中性になるまで、全手順を反復する(この例では6回)。約20%の濃度のサスペンジョンを作製し、固形分含有率を測定する。収量は63.2gである。
【0091】
〔実施例2〕
2a)シードポリマー2の作製
2400gのn−ブタノールおよび180gのポリビニルピロリドン(ルビスコール(Luviskol)(登録商標)K30)を4リットルの三口フラスコ中で60分間攪拌し、均一溶液を得た。次に、反応器を20L/時の窒素ストリームでフラッシュし、150rpmでさらに攪拌しながら300gのスチレンを数分間かけて添加した。反応器を80℃まで加熱した。71℃の温度に到達したとき、3gのアゾジイソ酪酸と117gのn−ブタノールとの溶液を40℃に熱してすべてを一度に添加した。攪拌速度を2分間で300rpmに増大させた。150rpmに戻した後、窒素ストリームを遮断した。反応混合物を80℃で20時間保持した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その結果生じたポリマーを遠心分離により単離し、メタノールで2回さらに水で2回洗浄した。これにより、この方法で、10重量%の固形分含有率を有するシードポリマー2の水性ディスパージョン2970gを得た。粒度は2.9μmであり、Φ(90)/Φ(10)は1.29であった。
【0092】
2a’−1)シードポリマー2’−1の作製
プラスチック槽内で、ウルトラタラックス(Ultraturrax)(13500rpmで3分間)を用いて、300gのスチレン、9.24gの濃度75重量%のジベンゾイルペルオキシド、500gの水、3.62gのエトキシル化ノニルフェノール(アルコパル(Arkopal)(登録商標)N060)、0.52gのイソオクチルスルホスクシネートナトリウム塩、および2gの3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−アルファ,アルファ’,アルファ”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(イルガノックス(Irganox)(登録商標)1330禁止剤)から、微細なエマルジョン−Iを作製した。2245gの脱イオン水および2a)から得られた404gの水性ディスパージョン中の5gのメチルヒドロキシエチルセルロースの溶液を、20L/時の窒素ストリームでフラッシュされた4リットルの三口フラスコ中に仕込んだ。室温で攪拌しながら微細なエマルジョン−Iを3時間かけて一定の速度でポンプ導入した。次に、バッチを室温でさらに13時間放置し、次に、80℃に9時間加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その結果生じたポリマーを遠心分離により単離し、メタノールで2回さらに水で2回洗浄し、そして水中に分散させた。これにより、この方法で、22.6重量%の固形分含有率を有するシードポリマー2’−1の水性ディスパージョン1300gを得た。粒度は6.6μmであり、Φ(90)/Φ(10)は1.33であった。
【0093】
2a’−2)シードポリマー2’−2の作製
工程2a’−1を反復したが、ただし、以下のものを使用した:
− 200gのスチレンと100gのメチルアクリレートとの混合物を用いてエマルジョン−Iのときと類似の方法で作製されたエマルジョンII
− 2a’−1)から得られた170gのディスパージョン
【0094】
得られたビーズポリマーを水で4回洗浄し、そして水中に分散させた。これにより、9.9重量%の固形分含有率を有するシードポリマー2’−2の水性ディスパージョン1420gを得た。粒度は10.6μmであり、Φ(90)/Φ(10)は1.37であった。
【0095】
2a’−3)シードポリマー2’−3の作製
工程2a’を反復したが、ただし、以下のものを使用した:
− 100gのスチレンと200gのメチルアクリレートとの混合物を用いてエマルジョン−Iのときと類似の方法で作製されたエマルジョン−III、および
− 2a’−2)から得られた404gのディスパージョン、
【0096】
製造中および計量中、エマルジョン−IIIを0〜5℃に保持し、計量終了後、バッチを室温で14時間放置し、そして80℃に7時間加熱した。
【0097】
得られたビーズポリマーを水で4回洗浄し、そして水中に分散させた。これにより、9.1重量%の固形分含有率を有するシードポリマー2’−3の水性ディスパージョン1370gを得た。粒度は21μmであり、Φ(90)/Φ(10)は1.41であった。
【0098】
2b)アクリル含有ビーズポリマー2の作製
プラスチック槽内で、ウルトラタラックス(Ultraturrax)(10000rpmで3分間)を用いて、0〜5℃の温度で、285gのメチルアクリレート、15gのジエチレングリコールジビニルエーテル、0.03gのヒドロキノン、9.24gのジベンゾイルペルオキシド、500gの水、3.62gのエトキシル化ノニルフェノール(アルコパル(Arkopal)(登録商標)N060)、0.52gのイソオクチルスルホスクシネートナトリウム塩、および2gの3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−アルファ,アルファ’,アルファ”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(イルガノックス(Irganox)(登録商標)1330禁止剤)から、微細なエマルジョン−IVを作製した。
【0099】
2245gの脱イオン水中の10gのメチルヒドロキシエチルセルロースの溶液、2a’−3)から得られた440gの水性ディスパージョン、および460gの脱イオン水を、20L/時の窒素ストリームでフラッシュされた4リットルの三口フラスコ中に仕込んだ。室温で攪拌しながら、0〜5℃に保持された微細なエマルジョン−IVを3時間かけて一定の速度でポンプ導入した。次に、バッチを室温でさらに14時間放置し、次に、80℃に5時間加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その結果生じたポリマーを遠心分離により単離し、メタノールで2回さらに水で2回洗浄し、そして水中に分散させた。これにより、この方法で、26.2重量%の固形分含有率を有するアクリル含有ビーズポリマー2の水性ディスパージョン622gを得た。粒度は39μmであり、Φ(90)/Φ(10)は1.44であった。
【0100】
2c)加水分解による弱酸性陽イオン交換体2の形成
2b)から得られた681gの水性ディスパージョンを濾別し、580mlの脱イオン水と共に4L三口フラスコ中に仕込んだ。攪拌しながらバッチを加熱して還流させた(100rpm)。次に、2時間かけて256gの濃度50%の水酸化ナトリウム溶液を添加し、その後、75分間かけて1280gを添加した。温度を適切に上昇させることにより、バッチを還流状態に保持した。反応時間は、合計で7時間であった。計量終了後、230mlの水を留去した。最終温度は、120℃であった。その後、反応混合物を室温に冷却し、粘稠ディスパージョンを5リットルの水で希釈し、水を大量に使用して陽イオン交換ビーズを篩(シーブ)上で洗浄した。その結果生じたナトリウム形の陽イオン交換体を3リットルの濃度6%の硫酸によりH形に変換し、脱イオン水を用いて中性になるまで篩上で洗浄した。真空濾過器で濾過した後、これにより、660gのH形の微細な弱酸性水湿潤陽イオン交換ビーズを得た。固形分含有率は23%であり、粒度は50μmであり、そしてΦ(90)/Φ(10)は1.29であった。弱酸性基の含有率は、湿潤樹脂1mlあたり2.12mmolであった。
【0101】
〔実施例3〕
2a’−3)から得られた水性ディスパージョンから開始して、以下の手順に従った:
【0102】
3b)アクリル含有ビーズポリマー3の作製
プラスチック槽内で、ウルトラタラックス(Ultraturrax)(10000rpmで3分間)を用いて、285gのアクリロニトリル、15gのジエチレングリコールジビニルエーテル、9.24gのジベンゾイルペルオキシド、500gの水、4.50gのエトキシル化ノニルフェノール(アルコパル(Arkopal)(登録商標)N060)、0.80gのイソオクチルスルホスクシネートナトリウム塩、および6gの3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−アルファ,アルファ’,アルファ”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(イルガノックス(Irganox)(登録商標)1330禁止剤)から、微細なエマルジョン−Vを作製した。
【0103】
2245gの脱イオン水中の10gのメチルヒドロキシエチルセルロースの溶液、2a’−3)から得られた440gの水性ディスパージョン、および460gの脱イオン水を、20L/時の窒素ストリームでフラッシュされた4リットルの三口フラスコ中に仕込んだ。室温で、微細なエマルジョン−Vを3時間かけて攪拌しながら一定の速度でポンプ導入した。次に、バッチを室温でさらに14時間放置し、次に、80℃に6時間加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却し、その結果生じたポリマーを遠心分離により単離し、ジメチルホルムアミドで2回さらに水で2回洗浄し、そして水中に分散させた。これにより、この方法で、12.9重量%の固形分含有率を有するアクリル含有ビーズポリマー3の水性ディスパージョン761gを得た。粒度は43μmであり、Φ(90)/Φ(10)は1.38であった。
【0104】
3c)加水分解による弱酸性陽イオン交換体3の形成
3b)から得られた711gの水性ディスパージョンを濾別し、300mlの脱イオン水と共に4L三口フラスコ中に仕込んだ。攪拌しながらバッチを加熱して還流させた(100rpm)。次に、2時間かけて132gの濃度50%の水酸化ナトリウム溶液を添加し、その後、75分間かけて638gを添加した。温度を適切に上昇させることにより、バッチを還流状態に保持した。反応時間は、合計で7時間であった。計量終了後、450mlの水を留去した。最終温度は、120℃であった。その後、反応混合物を室温に冷却し、粘稠淡色ディスパージョンを5リットルの水で希釈し、水を大量に使用して陽イオン交換ビーズを篩上で洗浄した。その結果生じたナトリウム形の陽イオン交換体を3リットルの濃度6%の硫酸によりH形に変換し、脱イオン水を用いて中性になるまで篩上で洗浄した。真空濾過器で濾過した後、これにより、550gのH形の微細な弱酸性水湿潤陽イオン交換ビーズを得た。固形分含有率は22%であり、粒度は50μmであり、そしてΦ(90)/Φ(10)は1.42であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
b)前記シードポリマーの非水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有するモノマーフィードを添加し、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化により単分散アクリル含有イオン交換体に変換することと、
を特徴とする、単分散アクリル含有イオン交換体の製造方法。
【請求項2】
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
b)前記シードポリマーの水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、モノマーフィードを添加し[ここで、前記モノマーフィードは、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する]、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化することと、
により取得可能である単分散アクリル含有イオン交換体。
【請求項3】
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
b)方法工程a)から得られた前記シードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下でモノマーフィードを添加し[ここで、前記モノマーフィードは、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する]、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させることと、
により取得可能である好ましくは5〜500μmの粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマー。
【請求項4】
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
a’)a)から得られた前記シードポリマーの水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、0.1〜5重量%の開始剤と95〜99.9重量%のモノエチレン性不飽和化合物とを含有するが架橋剤を含有しない少なくとも1種のモノマーフィードを添加し、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、重合させることと、
b)方法工程a’)から得られた前記シードポリマーの非水性ディスパージョンに、分散剤の存在下で、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有するモノマーフィードを添加し、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化により単分散アクリル含有イオン交換体に変換することと、
を特徴とする、単分散アクリル含有イオン交換体の製造方法。
【請求項5】
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
a’)a)から得られた前記シードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下で少なくとも1種のモノマーフィードを添加し(ここで、このモノマーフィードは、0.1〜5重量%の開始剤と95〜99.9重量%のモノエチレン性不飽和化合物とを含有するが、架橋剤を含有しない)、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させ、架橋単分散ビーズポリマーを与えることと、
b)方法工程a’)から得られた前記シードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下でモノマーフィードを添加し[ここで、前記モノマーフィードは、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する]、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させ、好ましくは5〜500μmの粒度を有する架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを与えることと、
c)これらの架橋単分散アクリル含有ビーズポリマーを官能化することと、
により取得可能である単分散アクリル含有イオン交換体。
【請求項6】
a)非水性溶媒の存在下でモノエチレン性不飽和化合物をフリーラジカル開始重合させることにより、0.5〜20μmの粒度を有する非架橋単分散シードポリマーを作製することと、
a’)a)から得られた前記シードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下で少なくとも1種のモノマーフィードを添加し(ここで、前記モノマーフィードは、0.1〜5重量%の開始剤と95〜99.9重量%のモノエチレン性不飽和化合物とを含有するが、架橋剤を含有しない)、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させ、非架橋ビーズポリマーを与えることと、
b)方法工程a’)から得られた前記シードポリマーの水性ディスパージョンに分散剤の存在下でモノマーフィードを添加し(ここで、前記モノマーフィードは、
0.1〜2重量%の開始剤と、
1〜60重量%の架橋剤と、
30〜98.9重量%のアクリルモノマー(このうちの49.9重量%以下をスチレンで置き換えることが可能である)と、
を含有する)、前記モノマーフィードを前記シード中に膨潤導入し、高温で重合させることと、
により取得可能である好ましくは5〜500μmの粒度を有する単分散アクリル含有ビーズポリマー。
【請求項7】
方法工程b)の前記モノマーフィードが微細な水性エマルジョンの形態で添加されることを特徴とする、請求項1または4に記載の方法。
【請求項8】
方法工程a)でモノエチレン性化合物としてスチレンが存在しかつ方法工程a’)で少なくとも1種のモノマーフィードが20〜49.9%のスチレンを含有することを特徴とする、請求項6に記載の単分散アクリル含有ビーズポリマー。
【請求項9】
請求項1および4の方法工程c)で方法工程b)から得られた前記単分散アクリル含有ビーズポリマーが強塩基または強酸により加水分解されることを特徴とする、単分散弱酸性陽イオン交換体の製造方法。
【請求項10】
請求項1および4の方法工程b)に従って取得された単分散アクリル含有ビーズポリマーを方法工程c)でジアミンまたはアミノアルコールと反応させることを特徴とする、陰イオン交換体の製造方法。
【請求項11】
− 水溶液または有機溶液から陽イオン、着色粒子、または有機成分を除去するための、
− 水溶液または有機溶液を中性交換により軟化するための、
− 化学工業、電子工業の水および発電所からの水を精製および処理するための、
− 乳清、低粘度ゼラチン液、フルーツジュース、果汁液、および糖質水溶液を脱色および脱塩するための、
− 抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製するための、
− イオン交換クロマトグラフィーにより水溶液のイオン分を分析するための、
請求項9に記載されるように取得可能である単分散アクリル含有陽イオン交換体の使用。
【請求項12】
− 水溶液または有機溶液およびそれらの蒸気からアニオンを除去するための、
− 水溶液または有機溶液およびそれらの蒸気から着色粒子を除去するための、
− グルコース溶液、乳清、低粘度ゼラチン液、フルーツジュース、果汁液、および糖質、好ましくは単糖または二糖、特に、ショ糖、ビート糖溶液、果糖溶液を脱色および脱塩するための、
− 地表水からフミン酸を除去するなどのように水溶液から有機成分を除去するための、
− 抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製するための、
− イオン交換クロマトグラフィーにより水溶液のイオン分を分析するための、
請求項10に記載されるように取得可能である単分散アクリル含有陰イオン交換体の使用。
【請求項13】
− 抗生物質、酵素、ペプチド、核酸などのような生物活性成分を反応混合物や発酵液のようなそれらの溶液から分離および精製するための、
− 水溶液または有機溶液から着色粒子または有機成分を除去するための、
− キレート化剤、酵素、および抗体のような有機分子の担体としての、
請求項3または6に記載されるように取得可能である単分散アクリル含有ビーズポリマーの使用。

【公表番号】特表2007−534793(P2007−534793A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551765(P2006−551765)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000670
【国際公開番号】WO2005/075078
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】