説明

アクリル酸塩系水溶性重合体、製造方法及びその用途

【課題】安全性に優れ、しかも低添加量で増粘性やほぐれ促進性を発現させることができることから、増粘剤やほぐれ促進剤等として食品用や飼料用等の様々な用途に好適に適用することが可能であり、食感や取り扱い性を向上させることができるアクリル酸塩系水溶性重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アクリル酸塩系単量体を重合して製造されるアクリル酸塩系水溶性重合体であって、該重合体は、0.2質量%、25℃での水溶液粘度が550mPa・S以上であり、残存単量体濃度が1質量%以下であり、不溶解分が0.15質量%以下であり、中和度が98〜102モル%であるアクリル酸塩系水溶性重合体、及び、上記アクリル酸塩系水溶性重合体を含む食品添加物又は飼料用添加物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル酸塩系水溶性重合体、製造方法及びその用途に関する。より詳しくは、各種分野で好適に用いることができ、特に食品添加物や飼料用添加物等に好適に用いることができ、増粘剤やほぐれ促進剤等として優れた機能を発揮するアクリル酸塩系水溶性重合体、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸塩系水溶性重合体は、例えば、増粘剤やほぐれ促進剤等として食品用や飼料用として用いられている。このような用途に用いる場合は、粘度や残存する単量体の量等においてより高品質のものが求められることになる。その他にも、医薬用、塗料用、土木・建築用、その他一般工業用において、増粘剤、粘着剤、凝集剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤等として種々の分野で多岐にわたって使用されている。
【0003】
ところで、従来のアクリル酸塩系重合体としては一般的に熱重合による方法が用いられているが、概して熱重合法は重合完結までに長時間要すため生産性が充分に優れたものではない場合が多い。また、重合時間が長いことに伴って、枝分かれ成分が生成する確率が高くなる。このため熱重合品は不溶解分が比較的多く含まれるものであった。この問題点を解消すべく、特定のカチオン及び特定の水酸基を有する水溶性化合物の共存下、熱重合させることにより完全に中和したアクリル酸塩系重合体の製造方法(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。
この重合体は不溶解分が比較的少なく良好な評価を得てはいるものの不溶解分の低減には限界があった。更に、重合時間を短縮し、生産性を充分に優れたものとすると共に、食品添加物用途等にも好適に用いることができるように、品質を充分に高いものとする工夫の余地があった。
【0004】
一方、熱重合以外の方法として、光を照射することにより重合体を得る方法が知られている。従来の光重合を用いる製造方法としては、アクリルアミドを主体とし、照射光量を重合過程で変化させる方法が開示されている。例えば、第1段の光量が20〜300W/mであり、第2段の光量が300〜2000W/mであるもの(例えば、特許文献2参照。)、種類の異なるランプを用いて光量を変化させるもの(例えば、特許文献3及び4参照。)、紫外線吸収剤を添加するとともに、光量を変更させるもの(例えば、特許文献5参照。)、表面温度が最高温度を示した時点以降、第2段目を照射する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながらこれらの文献には、ポリアクリル酸塩の実施例が開示されておらず、例えば、特許文献2においては、規定の光量ではポリアクリル酸塩に適用するには高すぎるものであり、ポリアクリル酸塩の場合、このような光量で重合しても粘度の大きな重合体は得られないことになる。また、特許文献3及び4においては、種類の異なるランプを用いる必要があり、種々の重合体を製造する場合、ランプを頻繁に交換する必要が生じ、また、第二段以降で光強度を漸増する必要があり厳しい管理が必要となるおそれがあった。
更に特許文献5における紫外線吸収剤の添加や光量変更の目的は、反応の制御(暴走抑制)にあり、得られる重合体の品質をよりよいものとするためのものではなく、残存モノマーの低減や高粘度化という観点からの検討はなされていない。更に、紫外線吸収剤の添加は製品の純度低下につながり、製品安全性にも不安が残るものであった。
そして特許文献6においては、カチオン系重合体を得るものであるが、実施例1のピーク温度が98℃と高いものであり、ポリアクリル酸塩に適用した場合、このような高いピーク温度では高粘度物は得られないことになる。
【0005】
またメタクロイル基含有単量体必須とするもの(例えば、特許文献7参照。)、ビニル系単量体を必須とするもの(例えば、特許文献8参照。)が開示されている。
しかしながらこれらの文献にも、ポリアクリル酸塩の実施例がなく、例えば、特許文献7においては、反応率が95モル%以下(好ましくは20〜80モル%)の段階で光強度を5倍に上昇させるものであり、ポリアクリル酸塩の製造において反応率が20〜80%の段階で光強度を5倍に上昇させれば、粘度が高い重合体が得られず、残存モノマーの低減にもつながらないことになる。このように特許文献7は、アクリル酸塩系単量体とは異なるメタクロイル基含有単量体必須として用いるものであって、残存モノマーの低減は副次的なものであり、不溶解分の低減を主目的とするものである。また、特許文献8においては、第2段以降で7万J/m以上の積算光量で光照射するものであり、このような高積算光量をアクリル酸塩重合体に照射した場合、粘度の低い重合体しか得られないことになる。更に、照射に長時間要し生産性も悪くなる。このように、従来の光重合方法では、得られるアクリル酸塩系水溶性重合体が、粘度、残存する単量体の量及び不溶解分の量において必ずしも充分なものではなく、これらに関し優れた物性を有するアクリル酸塩系水溶性重合体、及び、このような重合体を製造する方法とする工夫の余地があった。
【特許文献1】特開平6−56912号公報(第2頁)
【特許文献2】特公昭55−12445号公報(第1、2、5−9頁)
【特許文献3】特開平10−298215号公報(第2、4、5頁)
【特許文献4】特開平11−35612号公報(第2、4、5頁)
【特許文献5】特開昭55−50002号公報(第1、2、7頁)
【特許文献6】特開昭63−295604号公報(第1、4、5頁)
【特許文献7】特開2001−335603号公報(第2、5−8頁)
【特許文献8】特開2002−3518公報(第2、6−9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、安全性に優れ、しかも低添加量で増粘性やほぐれ促進性を発現させることができることから、増粘剤やほぐれ促進剤等として食品用や飼料用等の様々な用途に好適に適用することが可能であり、食感や取り扱い性を向上させることができるアクリル酸塩系水溶性重合体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、アクリル酸塩系水溶性重合体について種々検討したところ、中和度を特定の範囲のものとし、水溶液の粘度を特定値以上とすると共に残存単量体の濃度及び不溶解分の濃度を特定値以下とすると、高品質のアクリル酸塩系水溶性重合体とすることができることを見いだした。また、アクリル酸塩系水溶性重合体の製造方法について種々検討したところ、特定の条件下で光重合によりアクリル酸塩系水溶性重合体を製造すると、重合時間を短いものとすることができるためか、枝分かれ構造を有する不溶解分を少なくすることができ、高品質のアクリル酸塩系水溶性重合体とすることができることを見いだした。また、光重合方法によると、光照射強度及び照射時間を容易に設定及び変更できることに起因して、重合時間をより短縮することができ、生産性のよいものとすることができることを見いだした。更に、このようにして得られたアクリル酸塩系水溶性重合体は、不溶解分を少ないものとすることができるため、従来の用途に加えて、特に品質の高いものが求められる食品用や飼料用の用途にも好適に用いられることができ、増粘剤やほぐれ促進剤等として優れた機能を発揮することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、アクリル酸塩系単量体を主成分とする単量体を重合して製造されるアクリル酸塩系水溶性重合体であって、上記重合体は、0.2質量%、25℃での水溶液粘度が550mPa・S以上であり、残存単量体濃度が1質量%以下であり、不溶解分が0.15質量%以下であり、中和度が98〜102モル%であるアクリル酸塩系水溶性重合体である。
本発明はまた、アクリル酸塩系単量体を主成分とする単量体を光重合してアクリル酸塩系水溶性重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、重合液のpHを7.5〜11.0に調整し、光重合開始剤の存在下、10W/m以下の近紫外線を照射して重合する工程と、次いで、10W/mを超える近紫外線を照射することにより重合を完結する工程とを含むアクリル酸塩系重合体の製造方法でもある。
本発明は更に、上記アクリル酸塩系水溶性重合体を含む食品添加物又は飼料用添加物でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体は、0.2質量%、25℃での当該重合体を含有する水溶液の粘度が、550mPa・S以上のものである。アクリル酸塩系水溶性重合体の粘度が550mPa未満であると、粘度が低すぎて食品等に用いた場合、その粘弾性が低下し、本発明の作用効果を充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、600mPa・S以上であり、更に好ましくは、700mPa・S以上である。また、粘度の上限については特に制限はないが1000mPa・sを超えると、一般的に不溶解分も増加傾向にあり、好ましくないものである。
上記粘度は、イオン交換水499gにアクリル酸塩系水溶性重合体1.0gを添加し、50分間攪拌した後に25℃とし、B形粘度計(30rpm、10分後の読値)で測定することにより求めることができる。
【0010】
上記アクリル酸塩系水溶性重合体は、残存単量体濃度(残存モノマー濃度)が、1質量%以下のものである。アクリル酸塩系水溶性重合体において、残存単量体濃度が1質量%を超えると、品質が低いものとなり、本発明の作用効果を充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、0.8質量%以下であり、更に好ましくは、0.6質量%以下である。
上記残存単量体濃度(残存モノマー濃度)は、食品添加物公定書第7版436、437頁、又は、飼料添加物の成分規格等収載書第10版239、240頁に記載のポリアクリル酸ナトリウム、純度試験の項に記載の以下の方法で測定されるものである。
【0011】
〔残存モノマー〕
本品約1gを精密に量り、300mlのヨウ素瓶に入れ、水100mlを加え、時々振り混ぜながら約24時間放置して溶かす。この液に臭素酸カリウム・臭化カリウム試液10mlを正確に量って加え、よく振り混ぜ、塩酸10mlを手早く加え、直ちに密栓して再びよく振り混ぜた後、ヨウ素瓶の上部にヨウ化カリウム試液約20mlを入れ、暗所で20分間放置する。次に栓を緩めてヨウ化カリウム試液を流し込み、直ちに密栓をしてよく振り混ぜた後、0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する(指示薬 デンプン試液2mL)。別に同様の方法で空試験を行い、次式により含量を求める。
次式によって残存モノマーの量を求めるとき、その量は1%以下でなければならない。
【0012】
【数1】

【0013】
ただし、a:空試験における0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験における0.1mol/1チオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)
【0014】
上記不溶解分は、0.15質量%以下であることが好ましい。アクリル酸塩系水溶性重合体において、不溶解分が0.15質量%を超えると、品質が低いものとなり、本発明の作用効果を充分に発揮できないおそれがある。より好ましくは、0.10質量%以下であり、更に好ましくは、0.07質量%以下であり、特に好ましくは、0.05質量%以下である。最も好ましくは、含まれないことである。
上記不溶解分は、イオン交換水499gにアクリル酸塩系水溶性重合体1.0gを添加し、50分間攪拌した後に25℃とし、500μmの網目のふるいを用いて濾過することにより、含水状態の不溶物を取り出し、下記計算式;
不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100
に基づいて算出される値である。なお、本明細書中、不溶解分は、水溶液中のアクリル酸塩系水溶性重合体を上記フィルタで濾過後、1分以内に測定される値とする。なお、濾過及び秤量は、25℃、湿度60%以上の条件で行う。
【0015】
上記アクリル酸塩系水溶性重合体はまた、アクリル酸塩系重合体が有する酸基と中和された状態の基の総和を100モル%として示したときの、中和された状態の基の含有量(中和度)が98モル%以上102モル%以下であることが好ましい。すなわち、アクリル酸塩系水溶性重合体は、完全中和されたものであることが好ましく、中和度を上記範囲とすることで、少ない添加量で高い増粘性を示すという利点がある。より好ましくは、99モル%以上101モル%以下である。
【0016】
上記中和された形態の基とは、酸基における解離し得る水素イオンが他のカチオンで置換された基である。したがって中和度の求め方としては、例えば、アクリル酸塩系水溶性重合体を形成する単量体成分がアクリル酸をxモル、アクリル酸の塩としてアクリル酸ナトリウムをyモル、ノニオン性単量体をnモル含むとし、これらがすべて重合したとすると、ノニオン性単量体がイオン性ではなく、中和された形態ではないために、下記式により求められることになる。
【0017】
【数2】

【0018】
上記式において、分母はアクリル酸塩系水溶性重合体の製造に使用した酸基量と中和された形態の基量のモル数の和である。分子は中和された形態の基量と中和点を越えて存在する余剰のカチオンのモル数との和である。上記式により中和度(中和された形態の基の含有割合)をモル%として得ることができる。
【0019】
本発明はまた、アクリル酸塩系単量体を光重合してアクリル酸塩系水溶性重合体を製造する方法であって、該製造方法は、アクリル酸塩系単量体、重合開始剤等を含む重合用の重合液のpHを7.5〜11.0に調整し、光重合開始剤の存在下、10W/m以下の近紫外線を照射して重合する工程と、次いで、10W/mを超える近紫外線を照射することにより重合を完結する工程とを含むアクリル酸塩系重合体の製造方法でもある。このような製造方法は、上述した本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体の好ましい製造方法でもある。すなわち、上記アクリル酸塩系水溶性重合体は、光重合で製造したものであるアクリル酸塩系水溶性重合体もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
【0020】
上記製造方法においては、10W/m以下の近紫外線を照射して重合する工程と、次いで、10W/mを超える近紫外線を照射することにより重合を完結する工程とを含むものである。このように異なる強度の近紫外線を2段階に分けて照射することにより、単量体の重合が促進され、得られる重合体を高粘度のものとすることができると共に、重合体中に残存する単量体を低減でき、得られるアクリル酸塩系水溶性重合体を上述のような品質の高いものとすることができる。
【0021】
上記最初の近紫外線を照射して重合する工程としては、照射強度を10W/m以下とすることが好ましい。10W/mを超える場合、光量が高過ぎて充分に高い粘度の重合体を得ることができず、また、不溶解分をより少なくすることができないおそれがある。より好ましくは、8W/m以下であり、更に好ましくは、6W/m以下である。下限値としては、1W/m以上であることが好ましい。1W/m未満であると、重合反応を充分に促進できないおそれがある。より好ましくは、1.5W/m以上であり、更に好ましくは、2W/m以上である。
【0022】
上記重合工程は、10W/m以下の近紫外線の照射時間が15分以上であることが好ましい。照射時間が15分未満であると、重合反応を充分に促進できず、高粘度の重合体が得られないおそれがある。より好ましくは、20分以上であり、更に好ましくは、25分以上である。照射時間の上限としては、100分未満であることが好ましく、100分以上である場合には、生産性が低くなり、本発明の作用効果が充分に得られないことになる。より好ましくは、80分未満であり、更に好ましくは、60分未満である。
【0023】
上記2段階目の近紫外線を照射することにより重合を完結する工程としては、照射強度を10W/mを超えるものとすることが好ましい。10W/m以下である場合、光量が低過ぎて残存する単量体を充分に減少させることができないおそれがある。より好ましくは、12W/mを超えるものあり、更に好ましくは、15W/mを超えるものである。上限値としては、100W/m以下であることが好ましい。100W/mを超えるものであると、照射強度が強過ぎて、残存する単量体を充分に低減できないおそれがある。より好ましくは、80W/m以下であり、更に好ましくは、50W/m以下である。
上記2段階目の近紫外線の照射時間としては、残存する単量体を充分に低減でき照射時間であれば特に限定されないが、1〜30分であることが好ましい。より好ましくは、3〜20分であり、更に好ましくは、5〜15分である。
【0024】
上記重合工程において近紫外線を照射する装置としては、例えば、ネオアーク(N)、ネオアーク(W)、ネオアーク(WW)、マスターカラーCDM(3000K)、マスターカラーCDM(4200K)、ネオアークビーム(N)、ネオアークビーム(WW)、ネオアークビーム(屋外兼用)、ネオアークEベース(N)、ネオアークEベース(WW)、HQIランプ(D)、HQIランプ(NDL)、HQIランプ(WDL)、ダイナビーム2、陽光ランプ、HL−ネオハライド2(透明形)、HL−ネオハライド2(拡散形)、HL−ネオハライド(透明形)、HL−ネオハライド(拡散形)、ネオハライドランプ(透明形)、ネオハライドランプ(拡散形)、カラーHIDランプ(B)、カラーHIDランプ(G)、ネオカラー(高演色形)、ネオカラー(高彩度形)、HL−ネオルックスD、ツイン・ネオルックス・L、ツイン・ネオルックス、HL−ネオルックス、ネオルックス、蛍光水銀ランブ、白熱色蛍光水銀ランプ、透明水銀ランプ、ブラックライト水銀ランプ、チョークレス水銀ランプ等が挙げられる。また、近紫外線の波長領域としては、300nm以上であり、また、500nm以下であることが好適である。300nm未満の波長の紫外線を照射した場合、重合反応が急激化し、高粘度で残存単量体の量が少ないアクリル酸塩系重合体が得られない場合がある。
【0025】
上記製造方法においては、近紫外線を照射して重合する間は、近紫外線の照射強度を変化させるものであるが、上記照射強度が10W/m以下になるように調節して重合を開始させることが好ましい。なお、本明細書中、近紫外線の光照射強度は、近紫外線が照射される反応液の上面部、すなわち反応液表面において測定される光照射強度である。光照射強度は、下記の光量計で測定することができる。
装置:UVメーター
メーカー:株式会社カスタム
型式:本体 UVA−365
センサー UVセンサー(スペクトラ応答性 300nm〜400nm)
なお、近紫外線の強度に関する問題としては、その強度が強すぎると重合制御が困難となる問題、すなわち突沸問題と不溶解分が増える傾向にあるという品質問題がある。最初は強度を弱くして次いで強度を強くすることで、このような問題に対しても有利となる。
【0026】
上記近紫外線の強度を変更する方法としては、照射強度の異なる紫外線ランプを用いる方法、インバーター制御により照射強度を増減する方法、紫外線ランプと重合液との間に、減光版を設置する方法等により近紫外線の照射強度を変更することができる。実験室レベルでは例えば、図2及び図3に示すように、照射強度の異なる紫外線ランプを用いると共に、2段階目の照射時に紫外線ランプに反射笠を付けて照射強度を増すことにより、照射強度を変更することができる。また、上記重合工程として、ベルト重合法を用いる場合、ベルトと紫外線ランプとの間に、パンチングメタル等の減光版を設置する等して近紫外線射強度を変更することができ、同一のランプを用いる場合であっても異なる複数の減光版を用いることで、照射強度を適宜変更することができるので、強度の異なった近紫外線を2段階で照射することができ、本発明の方法として用いることができる。
【0027】
上記重合工程においては、重合液のピーク温度を70℃以下に抑制することが好ましい。
上記重合液のピーク温度が70℃を超えると、重合反応が過度に進行することとなり、得られる重合体の粘度が充分に高いものとならないおそれがある。より好ましくは、65℃以下であり、更に好ましくは、60℃以下である。重合液のピーク温度の下限としては、粘度が充分なものとなる温度であればよく、25℃以上であることが好ましい。より好ましくは、30℃以上であり、更に好ましくは、35℃以上である。なお,上記ピーク温度は、通常、上記初期の近紫外線の照射において達成されるものであるが、ピーク温度に達する時期的制限はない。
【0028】
本発明におけるアクリル酸塩系水溶性重合体は、アクリル酸及び/又はアクリル酸塩により構成されるアクリル酸塩系単量体を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体である。
上記アクリル酸塩系単量体とは、アクリル酸塩及びアクリル酸塩と少量のアクリル酸の混合物を表わす。アクリル酸塩としては、アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわちアクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アンモニウムが好適である。これらの中でも、アクリル酸ナトリウムが好ましい。上記アクリル酸塩系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明のアクリル酸塩系単量体を主成分とする単量体とは、使用される原料である単量体成分の量を100モル%として当該アクリル酸塩系単量体を80モル%を超えて使用するものであることが好ましい。
なお食品添加物及び飼料添加物以外の用途の場合、上記単量体成分は、必要に応じアクリル酸塩系単量体以外の他の単量体を含んでいてもよい。食品添加物及び飼料用添加物以外の用途の場合は、アクリル酸塩系単量体以外の単量体は全単量体中20モル%以下が好ましい。より好ましくは、10モル%以下であり、更に好ましくは、5モル%以下であり、特に好ましくは、1モル%以下である。
【0029】
上記単量体成分の重合時における反応液中の濃度、すなわち上記単量体成分の重合開始時における反応液中すなわちアクリル酸塩系単量体を含む重合液中の濃度は、30〜42質量%であることが好ましい。より好ましくは、33〜40質量%であることである。更に好ましくは、35〜38質量%である。
なお、上記の反応液中の単量体成分の濃度は、重合に使用する全単量体成分を含む反応液を100質量%として求めたものである。
【0030】
上記製造方法においては、上記重合液のpHを7.5〜11.0に調整して重合させることが好ましい。重合液のpHが7.5未満であると、重合後、製造された重合体水溶液の粘度が低くなるおそれがあり、pHが11.0を超えると、上記重合体水溶液の粘度が低くなると共に残存単量体が増加するおそれがある。より好ましくは、8.0〜10.5であり、更に好ましくは、8.5〜10.0である。なお、重合液のpHは25℃での測定値である。
【0031】
上記重合液を用いて行われる重合工程は、また、光重合開始剤を用いて重合させることが好ましい。光重合開始剤を用いて重合させることで、不溶解分を大幅に低下せしめることができると共に重合体を高粘度のものとすることができ、また、残存する単量体の量を低減することができる。
上記光重合開始剤としては、その作用効果を発揮するものであれば特に限定されないが、アゾ系開始剤が好ましい。アゾ系開始剤としては、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、1,1′−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2′−アゾビス(2−N−シクロへキシルアミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(1,1′−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−1,1′−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が好適である。これらの中でも、2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩等のアゾ系水溶性開始剤がより好ましい。このように、上記重合工程は、重合開始剤がアゾ系水溶性開始剤であるアクリル酸塩系重合体の製造方法アゾ系水溶性開始剤もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
【0032】
上記光重合開始剤としては、アゾ系水溶性開始剤以外の光重合開始剤を用いることができる。このような光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)とベンゾフェノンとの共融混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369)と2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651)との3:7の混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:3の混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI403)と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184)との1:1の混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173)との1:1の液状混合物、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、
【0033】
オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの共融混合物、4−メチルベンゾフェノンとベンゾフェノンとの液状混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドとオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]とメチルベンゾフェノン誘導体との液状混合物、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、α−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート、アクリル化アミンシナジスト、ベンゾイン(iso−及びn−)ブチルエステル、アクリルスルホニウム(モノ、ジ)ヘキサフルオロリン酸塩、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルスルフィド、2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、
【0034】
ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチル及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、ジフェニルジスルフィド及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、アゾ系水溶性開始剤と併用することが好ましい。
【0035】
上記光重合開始剤の使用量としては、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、1g以下が好ましい。これにより、アクリル酸塩系水溶性重合体の分子量や重合率を充分に高いものとすることができる。より好ましくは、0.001g以上であり、また、0.5g以下である。
【0036】
本発明においては、熱重合開始剤を光重合開始剤と併用することが好適である。熱重合開始剤を併用することにより、残存する単量体の量を低減することができる。
上記熱重合開始剤としては、水性媒体に可溶な広い範囲の重合開始剤が使用可能であるが、例えば、過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4′−アゾビス−(4−シアノバレリン酸)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;過酢酸、過コハク酸等の有機過酸化物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩や過酸化水素等がより好ましく、過硫酸アンモニウムが更に好ましい。
【0037】
上記熱重合開始剤の使用量としては、上記単量体成分100質量%に対して、0.01〜1質量%が好ましい。これら熱重合開始剤の分解を促進するために、有機又は無機系の還元剤を併用することも可能である。
還元剤を使用する場合は、単量体成分100質量%に対して、0.01〜3質量%が好ましい。
【0038】
上記重合工程では、必要に応じて連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜硫酸(水素)塩、チオグリコール酸、チオ酢酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸系化合物;次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸系化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、亜硫酸(水素)塩が好ましい。より好ましくは、亜硫酸水素ナトリウムである。
上記連鎖移動剤の使用量としては、重合濃度や光重合開始剤との組み合わせ等により適宜設定すればよいが、重合に使用される単量体成分1モルに対して、0.0001g以上が好ましく、また、0.2g以下が好ましい。0.001g以上で0.1g以下が更に好ましく、0.005g以上で0.05g以下が特に好ましい。
【0039】
上記重合溶媒としては、水が好適に用いられる。また、水以外にも親水性有機溶媒等を適宜併用してもよい。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類、低級エーテル類等が好適である。
【0040】
上記重合工程における重合方法としては、上記反応液が水溶液の形態である水溶液重合による方法が好ましい。水溶液重合においては、例えば、窒素ガスをバブリングする等の方法により、水溶液中に溶解している溶存酸素を予め除去した状態で重合を行うことが好ましい。また、重合操作方法としては、回分式でも連続式でもよいが、静置重合による方法が好ましい。なお、静置重合の中の1つの重合形態としてベルト重合がある。
【0041】
上記重合工程における重合条件としては、単量体成分の組成、光重合開始剤や必要に応じて添加する熱重合開始剤の種類や使用量等に応じて適宜設定すればよいが、重合開始時における単量体成分の反応液中の濃度(単量体濃度)としては、28質量%以上であり、また、60質量%以下であり、より好ましくは、30〜42質量%であり、更に好ましくは、35〜38質量%である。上記重合開始時とは、重合するために所定量の単量体成分を含む反応液を調製し、重合させるときである。上記単量体濃度は反応液を100質量%としての濃度である。単量体濃度を高くすることで重合体の増粘作用を更に高めることができる。また、生産性を向上させることができる面でより有利である。しかしあまり単量体濃度が高すぎる場合、不溶解分が増加し好ましくない。また、重合ピーク温度としては、−5℃以上であり、また、70℃以下であることが好ましいが、重合を開始する温度としては、50℃以下であることが好ましい。より好ましくは、30℃以下であり、更に好ましくは、20℃以下である。重合開始温度が低い方が突沸等の異常反応に基づく危険がなくなると共に、高濃度での反応が容易となるため、生産性の面で有利である。また、上記の重合温度は、得られる当該アクリル酸塩系水溶性重合体の物性をより良好にするためにも有効な重合条件である。
【0042】
本発明においては、光重合を2段階で行い、またあわせて上記のpH等の重合条件や光重合開始剤を併用することによって、得られる重合体の凝集作用や増粘作用をより高めることができ、また不溶解分も少なくすることができるという作用効果を発揮することとなる。更に重合時間を短縮することが可能となり、生産性の面で有利である。
【0043】
本発明の製造方法においては、上記重合工程により得られる重合物を好ましくは50℃〜200℃で乾燥させることにより、乾燥物であるアクリル酸塩系水溶性重合体を得ることができる。重合物を乾燥させる方法としては、例えば、乾燥しやすいように、重合物を切断する等の方法により重合物の表面積を大きくしたり、減圧乾燥したりすることが好ましい。乾燥温度が50℃よりも低いと、重合物を充分に乾燥させることができないおそれがあり、200℃よりも高いと、重合物の熱架橋が起こり、不溶解分が多くなるおそれがある。また、220℃よりも高い場合には、重合物の主鎖や架橋点の切断が起こるおそれがある。よって、より好ましい乾燥温度は、50〜180℃である。更に好ましくは、80〜150℃である。なお乾燥時間としては、重合物に含まれる水分量や乾燥温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0044】
本発明は更に、上記アクリル酸塩系水溶性重合体が、ポリアクリル酸ナトリウムであるアクリル酸塩系水溶性重合体でもある。そしてアクリル酸塩系水溶性重合体の用途として食品添加物又は飼料用添加物が好ましい形態である。すなわち、上記アクリル酸塩系水溶性重合体を含む食品添加物又は飼料用添加物もまた、本発明の一つである。
上記アクリル酸塩系水溶性重合体は、上述のように、粘度、残存単量体濃度、不溶解分及び中和度が特定の範囲であるために、従来の用途に加えて、例えば、食品や飼料等に添加した場合に好適な粘弾性が得られることになると共に、安全性に優れたものとなり、更に、少量の添加量で優れた増粘性を示すことになる。これらの特徴の中でも、不溶解分が少量であることから、高品質なものとなり、食品や飼料等に特に有用なものとなる。例えば、アイスクリーム等の増粘剤として使用した場合、食感が滑らかとなる。このように、上記アクリル酸塩系水溶性重合体は、食品添加物及び飼料用添加物に求められる特性や規格を満足するものである。このようなアクリル酸塩系水溶性重合体としては、上述の重合方法により好適に得ることができる。
【0045】
上記食品添加物及び飼料用添加物に求められる特性や規格としては、食品添加物公定書(第7版)及び飼料添加物の成分規格等収載書(第10版)に記載されており、ポリアクリル酸ナトリウムの特性として、下記の性状、確認試験、純度試験、乾燥原料及び強熱残分が挙げられている。
【0046】
〔性状〕本品は、白色の粉末で、においがない。
〔確認試験〕
(1)本品0.2gに水100mLを加え、よくかき混ぜて溶かし、これを試料溶液とする。この試料溶液10mLに塩化カルシウム試液1mLを加えて振り混ぜるとき、直ちに白色の沈殿を生じる。
(2)本品を灰化して得た残留物は、ナトリウム塩の定性反応を呈する。
【0047】
〔純度試験〕
(1)遊離アルカリ 本品0.20gを量り、水60mlを加え、よくかき混ぜて溶かし、これに塩化カルシウム溶液3mlを加え、水浴上で約20分間加熱し、冷後、ろ過する。ろ紙上の残留物を水洗し、洗液をろ液に合わせ、更に水を加えて100mlとし、これを試料溶液とする。試料溶液50mlをとり、フェノールフタレイン試液2滴を加えるとき、液は紅色を呈さない。
【0048】
(2)硫酸塩 (1)の試料溶液20mLをとり、希塩酸1mLを加えて硫酸塩の試験を行うとき、その量は0.005mol/L硫酸0.4mLに対応する量以下でなければならない(0.49%以下)。
【0049】
(3)重金属 本品1.0gをとり、重金属試験法第2法により試験を行うとき、その量は鉛標準液2.0mLに対応する量以下でなければならない(20ppm以下)。
(4)ヒ素 本品0.5gをとり、ヒ素試験法第3法により試験を行うとき、これに適合しなければならない(4ppm以下)。
【0050】
(5)残存モノマー 本品約1gを精密に量り、300mLのヨウ素瓶に入れ、水100mLを加え、時々振り混ぜ、約24時間放置して溶かす。臭素酸カリウム・臭化カリウム試液10mLを正確に加えてよく振り混ぜ、更に塩酸10mLを手早く加え、直ちに密栓してよく振り混ぜた後、ヨウ素ビンの上部にヨウ化カリウム試液約20mLを入れ、暗所に20分間放置する。次に栓を緩めてヨウ化カリウム試液を流し込み、直ちに栓をしてよく振り混ぜた後、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬 デンプン試液2mL)。別に同様の方法で空試験を行い、次式によって残存モノマーの量を求めるとき、その量は1%以下でなければならない。
【0051】
【数3】

【0052】
ただし、a:空試験における0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の消費量(ml)
b:本試験における0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の消費量(ml)
【0053】
(6)低重合物 本品2gに水200mLを加え、ときどき振り混ぜ、約24時間放置して溶かす。これをかき混ぜながら10mol/Lの塩酸50mlを滴加し、約40℃の水浴中でかき混ぜながら30分間加温した後、24時間放置する。生じた沈殿をろ過し、ろ液にフェノールフタレイン試液1滴を加え、水酸化ナトリウム溶液(2→5)をろ液がわずかに紅色を呈するまで加えた後、薄めた塩酸(1→30)を紅色が消えるまで滴加する。次いで水200mLを加え、かき混ぜながら塩化カルシウム試液25mlを滴加した後、約40℃の水浴中でかき混ぜながら30分間加温する。生じた沈殿を重量既知のガラスろ過器(1G4)で吸引ろ過し、残留物を水約10mLずつで3回洗い、105℃で4時間乾燥し、次式によって低重合物の含量を求めるとき、その量は5%以下でなければならない。
【0054】
【数4】

【0055】
〔乾燥減量〕
10.0%以下(1.5g、105℃、4時間)
〔強熱残分〕
乾燥後76.0%以下(1g)
【0056】
なお上記規格において、〔純度試験〕(3)硫酸塩は、0.48g以下であることが要求されるものであり、必須成分として含まれることを意味するものではない。本発明においては、アクリル酸塩系水溶性重合体の製造過程で熱重合開始剤としての過硫酸塩を使用することがなく、上記基準を満たすものである。
【0057】
本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体は、上記規格をみたすものであり、その用途としては、食品添加物公定書(第5版)D−873、874頁記載のものに好適に適用することができる。
【0058】
〔用途〕
本品の粘度は非常に高く、他の合成糊料に比較して常温で約10倍の粘性を持っている。特に加熱処理や中性塩類及び有機酸類に対する粘度変化が少ないこと、及びアルカリ側で粘度が増大することは、他の合成糊料との著しい相違点である。したがって本品の食品に対する使用量は極めて少量ですみ、増粘剤として0.2%以下に制限されている理由である。ただし本品は電解質であるために金属イオンによる影響が大きいから注意する必要がある。
本品の食品に対する効用の理化学的性質は次のように列挙できる〔第2版食品添加物公定書注解810、(1968)金原出版〕。
【0059】
(1)原料粉中のたん白質の粘着力を強める。
(2)デンプン粒子を相互に結び付けて、たん白質網目構造中へ分散浸透させる。
(3)生地(Dough)にち密な素地を形成させ、表面はなめらかで光沢を持つ。
(4)安定な生地コロイドを形成しているため、可溶性デンプンの滲出を防止する。
(5)抱水性が強いため、生地中に水分を均一に保持し、乾操を防止する。
(6)生地の展延性を向上させる。
(7)原料粉中の油脂分を生地中に分散し、安定化させる。
【0060】
要するにたん白質に対して電解質としての相互作用が働き、たん白質構造を変えることによって食品の粘弾性を増し、組織の改良をはかることができる。特にめん類などの粉食生地の物理的性質の改良に効果があり、小麦粉に対して0.05〜0.1%の添加で、有効なめん類改良剤として利用価値が高い。
更に本品は高分子凝集剤として糖液、塩水、飲料などの清澄促進剤として用いられ、最近では水産加工工場における廃水中よりの有効たん白質の回収、公害問題における廃水浄化などに利用面が拡大されている。
【0061】
次に実際の食品についての応用例をあげる。
(1)パン、ケーキ類、めん類、マカロニ、スパゲッティなど:歩留りの向上、食感及び風味の向上。
(2)水産練り製品、つくだ煮、缶詰、乾燥のり:組織の強化、新鮮味の保持、濃厚味の付与。
(3)ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ジャム、クリーム、みそ、しょう油:濃化剤及び安定剤として。
【0062】
(4)ジュース、酒類など:分散剤。
(5)アイスクリーム、キャラメル、羊かんなど:食味の向上と安定効果。
(6)冷凍食品、水産加工品:グレーズ加工剤。
【0063】
本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体は、上記の様々な用途に好適に適用することが可能であり、例えば、麺類に練り込み、浸漬、又は、噴霧することにより、麺類のほぐれを向上させることができる。上記アクリル酸塩系水溶性重合体では、少量の添加量で優れた作用効果を発揮することができるため、麺や麺つゆに対して悪影響を及ぼさない。
また不溶解分が少ないことから、食品用や飼料用として使用した場合、例えば、麺やアイスクリーム等の食品が滑らかとなり、食感が向上するという長所がある。また、当該不溶解分が多いと、食品用や飼料用として使用する場合、食味も低下するという不具合が生じる。不溶解分を少なくするために、上記アクリル酸塩系重合体を事前に水中に溶解した後、金網等のフィルターで不溶解分を除去した後、使用することも可能である。しかしこの場合、煩雑な管理工程が増えることになり、好ましくないものである。
【0064】
上記アクリル酸塩系水溶性重合体を食品添加物として使用する場合、アクリル酸塩系水溶性重合体を単独で使用してもその作用効果を発揮することとなるが、水溶性多糖類、乳化剤、有機酸又はその塩の少なくとも1種とを併用することで、分散性が向上し、麺表面上のほぐれ効果が発揮されることになり、使用量を更に少量とすることができる。
【0065】
本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体はまた、飼料用用途に用いることができ、例えば、動物や魚の飼料添加物としても好適に使用することができる。本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体を、例えば、動物、例えばブタの胃潰瘍防止剤等として好適に使用できるものである。
飼料用添加物の成分規格等収載書にはまた、製剤の規格として、下記事項が挙げられている。
【0066】
〔成分規格〕
本品は、「ポリアクリル酸ナトリウム」に、アルブミン、カゼイン、カラゲーナン、寒天、キサンタンガム、グァーガム、グルテン、米ぬか油かす、小麦粉、ゼラチン、デキストリン、α−デンプン、とうもろこし粉、トラカントガム、ファーセレラン、ふすま、ベントナイト、無水ケイ酸及びその塩類等を混和した粉末である。
【0067】
〔確認試験〕
本品の表示量に従い「ポリアクリル酸ナトリウム」0.2gに対応する量をとり、140℃で1時間乾燥する。次に、この製剤を分液漏斗に入れ、四塩化炭素100mLを加えて激しく振り混ぜた後、5分間静置し、下層の沈殿層(ポリアクリル酸ナトリウム含有層)を分離する。これに、エタノール・水混液(1:1)50mLを加え、よくかくはんした後、数分間静置し、上層部を吸引除去する。このとき、ポリアクリル酸ナトリウムは、中間の帯状の層に分離されている。次いで、中間層をガラスろ過器(G3)で吸引ろ過する。このとき、下層の沈殿物は捨てる。次に、漏斗上の残留物を200mL三角フラスコに移し乾燥する。これに水100mLを加え、よくかき混ぜて溶かし、以下、「ポリアクリル酸ナトリウム」の確認試験(1)及び(2)を準用する。
【0068】
本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体は、残存単量体量が少なく、不溶解分の濃度を少ないものとすることができるので、安全性に優れ、しかも低添加量で増粘効果等を得ることができることとなる。また不溶解分が少ないので食感が向上するので、食品添加物あるいは飼料用添加物としても優れている。
【発明の効果】
【0069】
本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体は、上述の構成よりなり、安全性に優れ、しかも低添加量で増粘性やほぐれ促進性を発現させることができ、食感や取り扱い性を向上させることができるという優れた特性を有するため、食品添加物又は飼料用添加物に好適に用いることができると共に、その他の様々な用途にも好適に適用することが可能なものである。また、その製造方法は、生産性のよいものであり、上記用途に用いるアクリル酸塩系水溶性重合体を好適に製造することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0071】
実施例1
図1示したように測温抵抗体を備えた容量500ccのガラス製ビーカー(86mmφ×118H)にアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液63.2g、グリセリン(GC)0.585gを入れ希水酸化ナトリウム水溶液でPHを10.0に調整した後、イオン交換水を添加して全量を64.5gにした。スターラーチップを投入し、サランラップ(旭化成工業株式会社製)1枚でビーカー上部を覆った。次いで、細い配管を通じてビーカー内の液を窒素バブリングすることにより、液層部及びサランラップ下部(ビーカー内の気層部の酸素を除去した。次に、光重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩(和光純薬工業株式会社製、商品名V−50)の4質量%水溶液0.311g及び過硫酸アンモニウム(APS)0.2質量%水溶液0.249gを添加混合した。この重合液中のアクリル酸ナトリウムの濃度は36質量%であった。
【0072】
グリセリンの添加量はアクリル酸ナトリウムに対して2.5質量%であった。また、V−50の使用量はアクリル酸ナトリウム1モルに対して0.05gであった。APSの使用量はアクリル酸ナトリウム1モルに対して0.002gであった。PHは10.0で液温は22℃であった。また、液厚は約10mmであった。
該重合液を図2に示した近紫外線ランプ(東芝ライテック株式会社製、商品名ブラックライト水銀ランプ、型式H100BL−L 横置き、反射笠なし)の下部に置いた。なお、光強度は重合液の上面位置での光強度が3.7W/mとなるように、事前にランプと重合液上面間の距離(49cm)が設定されてある。
【0073】
なお、光量計は株式会社 カスタム社製のUVメータ(モデルUVA−365)を使用した。
直ちに重合が開始し21分でピーク温度57.5℃となった。23分まで3.7W/mでの光強度で照射を行なった後、該重合液(ゲル状)を図3に示した近紫外線ランプ(東芝ライテック株式会社製、商品名ブラックライト水銀ランプ、型式H400BL−L 立置き、反射笠付)の下部に置いた。なお、光強度は重合液(ゲル)の上面位置での光強度が17W/mとなるように、事前にランプと重合液(ゲル)上面間の距離(15cm)が設定されてある。この光強度で8分間重合を継続した後、光照射を終了した。
このようにして得られた含水ゲルを、ハサミで薄く切断した後、熱風循環式乾燥機を用いて150℃、1.5時間乾燥した。次いで該乾燥物を卓上型粉砕機で粉砕し850μmの網目をパスするものとなるように分級した。
【0074】
このようにしてポリアクリル酸ナトリウムからなるアクリル酸塩系水溶性重合体(1)を得た。
アクリル酸塩系水溶性重合体(1)の粘度を次のようにして測定した。
容量500ccのビーカーにイオン交換水499gを入れ、マグネチックスターラーで攪拌下、上記アクリル酸塩系水溶性重合体(1)を固形分換算で1g添加した後、ジャーテスター100rpmで50分間攪拌することにより溶解させ、25℃に温度調節した後、B形粘度計(30rpm、10分後の読値)で測定する。アクリル酸塩系水溶性重合体(1)の粘度は660mPa・Sであった。
【0075】
アクリル酸塩系水溶性重合体(1)の不溶解分を次のようにして測定した。即ち、上記粘度を測定した後のアクリル酸塩系水溶性重合体(1)の水溶液500gを500μmの網目のふるいで濾過することにより含水状態の不溶物を取り出した。そして、この不溶物を乾燥しないように直ちに(1分以内)秤量し、下記計算式に基づいて不溶解分を算出した。
【0076】
不溶解分(質量%)={不溶解分の質量(g)/500(g)}×100
なお、上記濾過及び秤量も25℃、湿度60%の状態で行なった。
アクリル酸塩系水溶性重合体(1)の不溶解分は0.05%であった。
アクリル酸塩系水溶性重合体(1)の残存モノマーは食品添加物公定書のポリアクリル酸ナトリウム項に記載の方法で測定した。アクリル酸塩系水溶性重合体(1)の残存モノマーは0.38%であった。
【0077】
実施例2〜4
表1に示した条件とした他は、実施例1と同様に重合を行い重合物(ゲル)を得た。重合物(ゲル)を実施例1と同様に処理し物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0078】
【表1】

【0079】
比較例1〜4
表2に示した条件とした他は、実施例1と同様に重合を行い重合物(ゲル)を得た。重合物(ゲル)を実施例1と同様に処理し物性を測定した。その結果を表2に示した。
【0080】
比較例5
容量5Lのビーカーにアクリル酸ナトリウム37質量%水溶液4865部及びグリセリン45部を入れ攪拌下、希水酸化ナトリウム水溶液でPHを12.8に調整した。次いでイオン交換水を添加して全量を4989部にした。この液に窒素ガスをバブリングすることにより溶存酸素を除去した。
次いで、窒素ガスバブリング下、熱重合開始剤として過流酸アンモニウム1質量%水溶液11.1部を添加することにより重合液を調整した。該重合液中のモノマー濃度は36質量%であった。グリセリンの添加量はアクリル酸ナトリウムに対して2.5質量%であった。過硫酸アンモニウムの添加量はアクリル酸ナトリウム1モルに対して0.0058gであった。
【0081】
該重合液を図1(特開平11−35606号公報)に示した重合容器に仕込んだ後、ガラスコックを閉じると共に温度計を挿入して、重合容器内部を密閉した。この重合容器を予め35℃に調整された恒温水槽(加温装置)に浸漬し、重合(水溶液静置重合)を開始した。従って、重合開始時の水槽温度は35℃である。
重合容器を恒温水槽に浸漬した後、重合が徐々に進行して、浸漬した時点から4.5時間経過後に重合温度がピークに達して68℃(ピーク温度)となった。この間、水槽温度は35℃に保持した。
そして、重合温度がピーク温度に達した後、さらに0.5時間、水槽温度を35℃に保持した。
【0082】
これにより一次反応を終了した。その後、水槽温度を35℃から75℃に0.2時間で昇温した。そして75℃を1.5時間保持することにより熟成し、重合(二次反応)を完結させた。
重合終了後、重合容器を冷却し、ボルト・ナットを弛めて型枠を開き、内容物を取り出した。得られた内容物は透明なゲル状であった。該ゲル状物を実施例1と同様に処理し物性を測定した。その結果を表2に示した。
【0083】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体を製造する重合装置の一形態を示す図である。
【図2】図2は、本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体の製造方法において、最初の光重合工程の実施の一形態を示す図である。
【図3】図3は、本発明のアクリル酸塩系水溶性重合体の製造方法において、第2段階目の光重合工程の実施の一形態を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1、13、24:サランラップ(旭化成工業株式会社製)
2:容量500ccのビーカー
3、14:測温抵抗体
4、15、25:重合液
11:ブラックライト水銀ランプ(H100BL−L)、東芝ライテック株式会社製
12、21:ランプホルダー、東芝ライテック株式会社製
22:ブラックライト水銀ランプ(H400BL−L)、東芝ライテック株式会社製
23:反射笠(SN−4057T)、東芝ライテック株式会社製

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸塩系単量体を主成分とする単量体を重合して製造されるアクリル酸塩系水溶性重合体であって、
該重合体は、0.2質量%、25℃での水溶液粘度が550mPa・S以上であり、残存単量体濃度が1質量%以下であり、不溶解分が0.15質量%以下であり、中和度が98〜102モル%であることを特徴とするアクリル酸塩系水溶性重合体。
【請求項2】
前記アクリル酸塩系水溶性重合体は、光重合で製造したものであることを特徴とする請求項1記載のアクリル酸塩系水溶性重合体。
【請求項3】
アクリル酸塩系単量体を主成分とする単量体を光重合してアクリル酸塩系水溶性重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、重合液のpHを7.5〜11.0に調整し、光重合開始剤の存在下、10W/m以下の近紫外線を照射して重合する工程と、次いで、10W/mを超える近紫外線を照射することにより重合を完結する工程とを含むことを特徴とするアクリル酸塩系重合体の製造方法。
【請求項4】
前記重合工程は、重合開始剤がアゾ系水溶性開始剤であることを特徴とする請求項3記載のアクリル酸塩系重合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載のアクリル酸塩系水溶性重合体が、ポリアクリル酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2記載のアクリル酸塩系水溶性重合体。
【請求項6】
請求項5記載のアクリル酸塩系水溶性重合体を含むことを特徴とする食品添加物又は飼料用添加物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−213773(P2006−213773A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25576(P2005−25576)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】