説明

アシタザノラスト含有組成物

【課題】本発明の目的は、アシタザノラスト及び/又はその塩を使用して、優れたヒスタミン遊離抑制作用を発現できる組成物を提供することである。
【解決手段】(A)アシタザノラスト及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と共に、(B)イミダゾリン系の充血除去剤を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシタザノラスト及び/又はその塩とイミダゾリン系の充血除去剤とを含有する組成物に関する。更に、本発明は、アシタザノラスト及び/又はその塩とイミダゾリン系の充血除去剤とを含有し、光暴露による変色が抑制されている、安定な水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
I型アレルギー症状は、アレルゲンとの接触により肥満細胞や好塩基球からヒスタミン等の化学伝達物質が遊離されることにより引き起こされることが知られている。I型アレルギー症状を予防乃至改善するには、ヒスタミンの遊離自体を抑制することが有効であり、従来から、抗アレルギー効果を目的として、ヒスタミン遊離抑制作用を有する薬物が開発され使用されている。その一方、近年、アレルギー患者の増加やアレルギー症状の重篤化が問題になっており、より一層優れた抗アレルギー作用を示す医薬品の開発が望まれている。
【0003】
アシタザノラストは、ヒスタミン遊離抑制作用を有しており、抗アレルギー剤として点眼剤に配合され使用されている(例えば、特許文献1参照)。アシタザノラストのヒスタミン遊離抑制作用を増強させることができれば、抗アレルギー作用を一層効果的に発揮させることが可能になり、ひいては前述する現代社会の要請に応えることにもなる。しかしながら、アシタザノラストのヒスタミン遊離抑制作用を増強させて、抗アレルギー作用を高める手法については知られていない。
【0004】
本発明者等は、アシタザノラストを薬理活性成分として配合した医薬組成物の処方を種々検討している過程において、アシタザノラスト及びイミダゾリン系の充血除去剤を含む水性組成物では、光暴露により不可避的に組成物が黄色に変色するという欠点があることを確認した。従来、酸化防止剤、還元剤、キレート剤等の添加剤の配合が、水性組成物の変色抑制手段として有効な場合があることが知られている。しかしながら、従来の変色抑制手段は、その変色の要因、組成物中の配合成分の種類、変色抑制の為に配合する添加剤の種類等によって、その有効性は大きく異なるため、あらゆる水性組成物の変色抑制に対して普遍的に適用できるものではないことが分かっている。そのため、水性組成物の変色抑制は、水性組成物の配合成分に応じて、個別具体的な検討が必要とされるため、アシタザノラストとイミダゾリン系の充血除去剤とを含む水性組成物の変色抑制には、如何なる手段を講じることが有効であるかは従来技術から類推すらできないのが現状である。
【特許文献1】特開平01−29312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、アシタザノラストとイミダゾリン系の充血除去剤とを含有する水性組成物の有用性のみならず、該水性組成物の変色を抑制するための有効な手段についても、一切分かっていない。
【0006】
そこで、本発明は、第一に、アシタザノラスト及び/又はその塩を使用して、ヒスタミン遊離抑制作用を一層効果的に発現させる組成物を提供することを目的とする。更に本発明は、第二に、アシタザノラスト及び/又はその塩とイミダゾリン系の充血除去剤を含有し、光暴露による変色が抑制されている、安定な水性組成物を提供することを目的とする。そして更に、本発明は、アシタザノラスト及び/又はその塩とイミダゾリン系の充血除去剤を含有する水性組成物の光暴露による変色を抑制する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、(A)アシタザノラスト及び/又はその塩と(B)イミダゾリン系の充血除去剤を組み合わせることによって、優れたヒスタミン遊離抑制作用を発現できることを見出した。更に、(A)アシタザノラスト及び/又はその塩と(B)イミダゾリン系の充血除去剤を含有する水性組成物に、(C)(c-1)チオ硫酸塩、(c-2)亜硫酸塩、(c-3)エチレンジアミン四酢酸又はその塩、(c-4)クエン酸又はその塩、(c-5)ビタミンE、(c-6)塩化ベンザルコニウム、(c-7)ソルビン酸又はその塩、(c-8)アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩、(c-9)塩化ベンゼトニウム、(c-10)アラントイン及び(c-11)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種を配合することによって、光暴露による変色が抑制されて優れた安定性を備えさせることができ、医薬乃至薬学上の有用性が高い水性組成物を提供できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる組成物である:
項1.(A)アシタザノラスト及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び
(B)イミダゾリン系の充血除去剤を含有することを特徴とする組成物。
項2. (B)成分が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、メチゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の組成物。
項3. 水性組成物である、項1又は2に記載の組成物。
項4. 局所粘膜適用剤である、項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
項5. 更に、(C)(c-1)チオ硫酸塩、(c-2)亜硫酸塩、(c-3)エチレンジアミン四酢酸又はその塩、(c-4)クエン酸又はその塩、(c-5)ビタミンE、(c-6)塩化ベンザルコニウム、(c-7)ソルビン酸又はその塩、(c-8)アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩、(c-9)塩化ベンゼトニウム、(c-10)アラントイン及び(c-11)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
【0009】
また、本発明は、下記に掲げる変色抑制方法である:
項6. (A)アシタザノラスト及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(B)イミダゾリン系の充血除去剤を含有する水性組成物に、(C)(c-1)チオ硫酸塩、(c-2)亜硫酸塩、(c-3)エチレンジアミン四酢酸又はその塩、(c-4)クエン酸又はその塩、(c-5)ビタミンE、(c-6)塩化ベンザルコニウム、(c-7)ソルビン酸又はその塩、(c-8) アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩、(c-9)塩化ベンゼトニウム、(c-10)アラントイン及び(c-11)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、上記水性組成物の変色抑制方法。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、水性組成物とは水を含有する組成物のことである。該水性組成物として、例えば、組成物中に水を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、特に好ましくは50重量%以上含有するものが例示される。
1.組成物
本発明の組成物は、下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の組成物は、(A)成分としてアシタザノラスト及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。アシタザノラストとは、3-(1H-テトラゾール-5-イル)オキサニリックアシッド(IUPAC名)、分子式C9H7N5O3で示される公知の化合物である。該化合物は、公知の方法により合成される。
【0012】
また、アシタザノラストの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。このような塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、その他の金属塩(アルミニウム塩等)等の無機塩;メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機塩が例示される。これらのアシタザノラストの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0013】
本発明で使用されるアシタザノラスト及びその塩は、1/2水和物や1水和物等の水和物の形態であってもよい。
【0014】
本発明において、好適には、(A)成分としてアシタザノラスト・1水和物が使用される。
【0015】
本発明の組成物中の上記(A)成分の配合割合は、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、本発明の組成物が水性組成物であれば、通常、水性組成物中の(A)成分の配合割合として、(A)成分が総量で0.001〜2.0w/v%、好ましくは0.005〜1.0w/v%、更に好ましくは0.01〜0.5w/v%、特に好ましくは0.05〜0.11w/v%が例示される。
【0016】
また、本発明の組成物は、(B)成分としてイミダゾリン系の充血除去剤を含有する。充血除去剤とは、充血を緩和乃至消失する作用を有し、血管収縮薬として使用されている薬物のことである。また、イミダゾリン系の充血除去剤とは、イミダゾリン骨格を有する化合物からなる充血除去剤のことを指す。本発明で使用される(B)成分は、充血除去剤として作用し、且つイミダゾリン骨格を有する化合物であることを限度として特に制限されないが、好ましくは、2−イミダゾリン骨格を有する化合物からなる充血除去剤が例示される。このような充血除去剤として、具体的には、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、メチゾリン及びこれらの塩が挙げられる。上記化合物の塩の形態としては、塩酸塩、硝酸塩等の無機酸塩が例示される。また、上記化合物及びその塩は、水和物の形態であってもよい。これらの中で、一層優れたヒスタミン遊離抑制作用を発現させるという観点から、好ましくは、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、及びこれらの塩が挙げられる。中でも特に、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、及び硝酸ナファゾリンが好適である。
【0017】
本発明の組成物において、上記のイミダゾリン系の充血除去剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明の組成物中の上記(B)成分の配合割合は、該(B)成分の種類、上記(A)成分の配合割合、該組成物の用途や形態等に応じて異なるが、例えば、本発明の組成物が水性組成物であれば、例えば、(B)成分が総量で0.00005〜2.0w/v%、好ましくは0.0001〜1.0w/v%、更に好ましくは0.0005〜0.5w/v%、特に好ましくは0.001〜0.1w/v%が例示される。
【0019】
本発明の組成物は、水を実質的に含まない組成物であってもよいが、皮膚又は粘膜への適用が容易である水性組成物であることが望ましい。一方、アシタザノラスト及びイミダゾリン系の充血除去剤を含む水性組成物では、光暴露により不可避的に組成物が黄色に変色する傾向があるので、本発明の組成物を水性組成物にする場合には、変色を抑制させる成分を配合しておくことが望ましい。
【0020】
本発明の組成物を水性組成物にする場合には、上記(A)及び(B)成分に加えて、以下に説明する(C)成分を含有しておくことが望ましい。本発明において、(C)成分とは、(c-1)チオ硫酸塩、(c-2)亜硫酸塩、(c-3)エチレンジアミン四酢酸又はその塩、(c-4)クエン酸又はその塩、(c-5)ビタミンE、(c-6)塩化ベンザルコニウム、(c-7)ソルビン酸又はその塩、(c-8)アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩、(c-9)塩化ベンゼトニウム、(c-10)アラントイン及び(c-11)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種である。これらの(C)成分を配合することによって、(A)及び(B)成分を含む水性組成物が光暴露を受けることによって不可避的に生じる変色(黄変)を抑制することが可能になる。
【0021】
上記の(C)成分として使用される具体的化合物については、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、制限されない。
【0022】
上記(c-1)成分として使用されるチオ硫酸塩としては、具体的には、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙げられる。チオ硫酸塩として、好ましくは、チオ硫酸ナトリウムである。チオ硫酸塩は、1種単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0023】
上記(c-2)成分として用いられる亜硫酸塩としては、具体的には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、二亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸カリウム等が挙げられる。本発明で使用される亜硫酸塩は、水和物の形態であってもよい。亜硫酸塩として、好ましくは亜硫酸水素塩、特に好ましくは亜硫酸水素ナトリウムである。亜硫酸塩は、1種単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0024】
上記(c-3)成分として使用されるエチレンジアミン四酢酸の塩としては、具体的には、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム(エデト酸ナトリウム)、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸バリウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸コバルトエチレンジアミン四酢酸銅、エチレンジアミン四酢酸ニアンモニウム、エチレンジアミン四酢酸ニリチウム、エチレンジアミン四酢酸ニカリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄、エチレンジアミン四酢酸ランタン、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸マンガン、エチレンジアミン四酢酸ニッケル、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸亜鉛等を挙げることができる。エチレンジアミン四酢酸又はその塩は、水和物の形態で使用することもできる。水和物の形態のものとして、具体的には、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの2水和物が例示できる。上記(c-3)成分として、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムである。本発明において、上記(c-3)成分として、エチレンジアミン四酢酸又はその塩を1種単独で使用してもよく、またこれらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
また、上記(c-4)成分として使用されるクエン酸の塩としては、無機塩や有機塩が挙げられる。具体的には、クエン酸ナトリウム(クエン酸三ナトリウム)、クエン酸二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸トリエチル)等が挙げられる。上記(c-4)成分のクエン酸またはその塩は、水和物又は無水物のいずれの形態を使用してもよい。上記(c-4)成分としては、クエン酸及びクエン酸ナトリウムが好ましい。本発明において、上記(c-4)成分として、クエン酸又はその塩を1種単独で使用してもよく、またこれらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0026】
上記(c-5)成分として使用されるビタミンEとしては、α-, β-, γ-,又はδ-トコフェロール;α-, β-, γ-,又はδ-トコトリエノール;これら誘導体(例えば、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール);ビタミンEリノレート等が挙げられる。上記トコフェロール及びトコトリエノールは、d体(天然ビタミンE等)又はdl体の別を問わず使用できる。これらの中で、好ましくは、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロールである。本発明において、上記ビタミンEは、1種単独で使用しても、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
上記(c-7)成分として使用されるソルビン酸の塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、その他の金属塩(アルミニウム塩等)等の無機塩;メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩等の有機塩が例示される。上記(c-7)成分として、好ましくはソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウムを挙げることができる。
【0028】
上記(c-8)成分として使用されるアルキルジアミノエチルグリシンの塩としては、例えば塩酸塩が挙げられる。
【0029】
上記(c-11)成分として使用されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリソルベート120等が例示される。上記(c-11)成分として、好ましくはポリソルベート80を挙げることができる。
【0030】
上記(C)成分の内、好ましくは、(c-1)、(c-2)、(c-3)、(c-5)、(c-6)、(c-7)、(c-8)、及び(c-11)成分、更に好ましくは(c-1)、(c-2)、(c-6)、及び(c-7)成分であり、これらを使用することによって、一層効果的に光暴露による変色抑制が可能になる。
【0031】
水性組成物中の(C)成分の配合割合は、該(C)成分の種類、上記(A)及び(B)成分の配合割合、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定される。水性組成物中の(C)成分の配合割合としては、(C)成分が総量で0.0001〜5.0w/v%、好ましくは0.0005〜2.0w/v%となる割合が例示される。より具体的には、(C)成分が総量で更に0.001〜1.0w/v%、特に好ましくは0.003〜0.85w/v%が例示される。
【0032】
また、水性組成物中の各(C)成分毎の配合割合の具体例として、以下の範囲が好適に例示される:
(c-1)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-1)成分が総量で0.001〜2.0w/v%、好ましくは0.01〜1.0w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%、特に好ましくは0.1〜0.2w/v%が例示される。
(c-2)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-2)成分が総量で0.001〜2.0w/v%、好ましくは0.01〜1.0w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%、特に好ましくは0.1〜0.4w/v%が例示される。
(c-3)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-3)成分が総量で0.0001〜2.0w/v%、好ましくは0.0005〜1.0w/v%、更に好ましくは0.001〜0.5w/v%、特に好ましくは0.003〜0.2w/v%が例示される。
(c-4)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-4)成分が総量で0.005〜5.0w/v%、好ましくは0.01〜2.0w/v%、更に好ましくは0.05〜1.0w/v%、特に好ましくは0.1〜0.85w/v%が例示される。
(c-5)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-5)成分が総量で0.0005〜1.0w/v%、好ましくは0.001〜0.5w/v%更に好ましくは0.005〜0.1w/v%、特に好ましくは0.01〜0.05w/v%。が例示される。
(c-6)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-6)成分が総量で0.0005〜0.5w/v%、好ましくは0.001〜0.1w/v%、更に好ましくは0.005〜0.05w/v%、特に好ましくは0.01〜0.02w/v%が例示される。
(c-7)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-7)成分が総量で0.005〜2.0w/v%、好ましくは0.01〜1.0w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%、特に好ましくは0.1〜0.2w/v%が例示される。
(c-8)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-8)成分が総量で0.001〜2.0w/v%、好ましくは0.005〜1.0w/v%、更に好ましくは0.01〜0.5w/v%、特に好ましくは0.05〜0.1w/v%が例示される。
(c-9)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-9)成分が総量で0.0001〜0.5w/v%、好ましくは0.0005〜0.1w/v%、更に好ましくは0.001〜0.05w/v%、特に好ましくは0.005〜0.01w/v%が例示される。
(c-10)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-10)成分が総量で0.005〜2.0w/v%、好ましくは0.01〜1.0w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%、特に好ましくは0.1〜0.3w/v%が例示される。
(c-11)成分の場合
水性組成物の総量に対して、(c-11)成分が総量で0.005〜2.0w/v%、好ましくは0.01〜1.0w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%、特に好ましくは0.05〜0.3w/v%が例示される。
【0033】
また、上記(C)成分は、上記配合割合を充足し、更に(A)成分との配合比が以下の範囲を満たしておくことが望ましい:(A)成分100重量部に対して、(C)成分が、通常0.005〜500000重量部、好ましくは0.05〜40000重量部、更に好ましくは0.2〜10000重量部、特に好ましくは2.5〜2000重量部が例示される。
【0034】
本発明において、水性組成物に使用される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等を使用できる。これらの定義は第一四改正日本薬局方に基づく。
【0035】
また、本発明の組成物を水性組成物にする場合、該水性組成物は、必要に応じて、溶解補助剤を含有してもよい。かかる溶解補助剤としては、トロメタモール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン;ポリビニルピロリドン、ポリソルベート等の界面活性剤;プロピレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、有機アミンは、上記(A)成分を溶解させて製剤化する上で、好適な溶解補助剤である。これらの溶解補助剤は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0036】
溶解補助剤を配合する場合、水性組成物中の該溶解補助剤の配合割合としては、水性組成物の場合であれば、通常0.0005〜5w/v%、好ましくは0.005〜3w/v%、更に好ましくは0.05〜1.03w/v%となる割合が例示される。
【0037】
本発明の組成物を水性組成物にする場合、該水性組成物は更に緩衝剤を含有していてもよい。水性組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。上記緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤は好適である。当該ホウ酸緩衝剤の具体例として、ホウ酸及びその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)が例示される。特に、ホウ酸、ホウ砂が好適である。
【0038】
水性組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、水性組成物において、該緩衝剤が0.01〜3w/v%、好ましくは0.1〜2w/v%、更に好ましくは0.3〜2w/v%、特に好ましくは0.5〜2w/v%となる割合が例示される。
【0039】
また、水性組成物は、生体に許容される範囲内のpHに調節することができる。適切なpHは、該水性組成物の適用部位、剤形等により異なるが、通常3.5〜9、好ましくは4〜8、更に好ましくは4.5〜7程度である。pHや浸透圧の調節は、前記緩衝剤、或いは後述するpH調整剤、等張化剤、塩類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
【0040】
水性組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤型等により異なるが、通常0.4〜2、好ましくは0.5〜1.8、更に好ましくは0.6〜1.6程度である。浸透圧の調整は、無機塩、多価アルコール、糖アルコール、糖類等の添加により行うことができる。
【0041】
水性用組成物の浸透圧比は、第十四改正日本薬局方に基づき0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を用いて測定する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650°Cで40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
【0042】
本発明の組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて含有してもよい。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、眼調節薬成分、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、糖類、高分子化合物又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、前述以外の水溶性高分子、局所麻酔薬成分、ステロイド成分、緑内障治療成分、白内障治療成分等が例示できる。本発明において好適な成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
【0043】
充血除去成分:α−アドレナリン作動薬、例えば、β−フェニルエチルアミン誘導体(エピネフリン、エフェドリン、フェニレフリン、メチルエフェドリンなど)、及びそれらの薬学上又は生理的に許容される塩(例えば、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、などの無機酸塩;酒石酸水素エピネフリンなどの有機酸塩など)など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0044】
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピンなど。
【0045】
抗炎症薬成分又は収斂薬成分:例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、硝酸銀、プラノプロフェン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなど。
【0046】
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アンレキサノクス、イブジラスト、タザノラスト、トラニラスト、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、メブヒドロリン、フェネタジン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン(cetirizine)、ロラタジン(loratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、スプラタスト、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸レボカバスチン、フマル酸ケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ペミロラストカリウム、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸エメダスチン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸イプロヘプチン、塩酸オロパタジンなど。
【0047】
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、ユビキノン誘導体など。
【0048】
アミノ酸類:例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルタミン酸、クレアチニン、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸マグネシウム、イプシロン−アミノカプロン酸、グリシン、アラニン、アルギニン、リジン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ吉草酸、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0049】
抗菌薬成分又は殺菌薬成分:例えば、硫酸アミノデオキシカナマイシン、硫酸カナマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ストレプトマイシン、トブラマイシン、硫酸ミクロノマイシン、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロラムフェニコール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾールジエタノールアミン、スルフイソキサゾールモノエタノールアミン、スルフイソメゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、スルベニシンナトリウム、塩酸セフメノキシム、ベンジルペニシリンカリウム、硫酸ベルベリン、塩化ベルベリン、ホウ酸、コリスチンメタスルホン酸ナトリウム、エリスロマイシン、ラクトビオン酸エリスロマイシン、キタサマイシン、スピラマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸ポリミキシン、ジベカシン、アミカシン、硫酸アミカシン、アシクロビル、イオドデオキシサイチジン、イドクスウリジン、シクロサイチジン、シトシンアラビノシド、トリフルオロチミジン、ブロモデオキシウリジン、ポリビニルアルコールヨウ素、ヨウ素、アムホテリシンB、イソコナゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、ナイスタチン、ピマリシン、フルオロシトシン、ミコナゾールなど。
【0050】
糖類:例えば単糖類、二糖類、具体的にはグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、アロース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、スクロース、セロビオース、グルコビオース、ビシアノース、ルチノース、ラクトース、プルラン、ラクツロース、ラフィノース、マルチトール、スタキオース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
【0051】
高分子化合物又はその誘導体:例えば、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、ダルマンガム、トラガント、ベンゾインゴム、ローカストビーンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸、キチンおよびその誘導体、キトサンおよびその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、セラミド、ポリビニルアルコール(完全、または部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン、リボ核酸、デオキシリボ核酸、およびその薬学上許容される塩類など。
【0052】
セルロース又はその誘導体:例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロースなど。
【0053】
局所麻酔薬成分:例えば、塩酸オキシブプロカイン、塩酸コカイン、塩酸コルネカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸ピペロカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸ヘキソチオカイン、塩酸リドカインなど。
【0054】
ステロイド成分:例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロキシメステロン(hydroxymesterone)、カプロン酸ヒドロコルチゾン、カプロン酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、デキサメタゾンメタスルホベンゾエートナトリウム、デキサメタゾン硫酸ナトリウム、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、メタスルホ安息香酸デキサメタゾンナトリウム、メチルプレドニゾロンなど。
【0055】
緑内障治療成分:例えば、イソプロピルウノプロストン、エピネフリン、塩酸アプラクロニジン、塩酸カルテオロール、塩酸ジピベフリン、塩酸ドルゾラミド、塩酸ピロカルピン、塩酸ブナゾシン、塩酸ブプラノロール、塩酸ベタキソロール、塩酸ベフノロール、カルバコール、塩酸レボブノロール、ジピバル酸エピネフリン、臭化ジスチグミン、ニプラジロール、マレイン酸チモロール、ラタノプロストなど。
【0056】
白内障治療成分:例えば、グルタチオン、ピレノキシン、5,12−ジヒドロアザペンタセンジスルホン酸ナトリウム(Sodium5,12-dihydro azapentacene disulfonate)など。
【0057】
外用、粘膜用製剤などにおける各種成分の配合量は当該技術分野で既知であり、本発明の組成物中の上記成分の配合量は、組成物の剤型、活性成分の種類等に応じて適宜選択される。例えば、本発明の組成物を水性組成物にする場合、該水性組成物全体に対して0.0001〜30w/v%、好ましくは、0.001〜10w/v%程度の範囲から選択できる。
【0058】
また、本発明の組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して含有させてもよい。それらの成分または添加物として、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などの調製に一般的に使用される担体(水性溶媒、水性または油性基剤など)、増粘剤、糖類、糖アルコール類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、香料又は清涼化剤、キレート剤、緩衝剤、安定化剤、溶解剤等の各種添加剤を挙げることができる。
【0059】
以下に本発明の組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
【0060】
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど。
【0061】
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリンなど。
【0062】
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0063】
界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)−ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)ブロックコポリマー (具体的には、ポロクサマー407など)、エチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物(具体的には、ポロキサミンなど)、モノオレイン酸POEソルビタン、POE硬化ヒマシ油(具体的には、POE(60)硬化ヒマシ油など)、ステアリン酸ポリオキシルなどの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤など。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0064】
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニドなど)、グローキル(ローディア社製 商品名)など。
【0065】
pH調節剤:例えば、塩酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウムなど。
【0066】
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコールなど。
【0067】
香料又は清涼化剤:例えば、カンフル、ゲラニオール、ボルネオール、メントール、リュウノウ、ウイキョウ油、ケイヒ油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油など。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0068】
キレート剤:例えば、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸など。
【0069】
緩衝剤:アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤など。具体的には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなど。
【0070】
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウムなど。
【0071】
溶解剤、基剤:オクチルドデカノール、オリーブ油、ゴマ油、酸化チタン、臭化カリウム、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油、パラフィン、ヒマシ油、プラスチベース、ラッカセイ油、ラノリン、ワセリン、プロピレングリコールなど。
【0072】
本発明の組成物を水性組成物にする場合、その用途に応じて種々の形態をとることができる。例えば、水性組成物の形態として、液剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。好ましくは液剤である。
【0073】
液剤の具体例としては、点眼剤[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、人工涙液、洗眼剤[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等]、点鼻剤、鼻洗浄液、口腔咽頭薬、含嗽薬(含嗽用剤)、点耳薬等を挙げることができる。また、半固形剤の具体例としては眼軟膏剤が例示される。
【0074】
なお、上記コンタクトレンズ用組成物は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用できる。また、上記コンタクトレンズ用組成物は、特に酸素透過性のハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズに対して吸着し難い成分から構成されているため、これらのコンタクトレンズに対してより好適に使用される。
【0075】
本発明の組成物は、(A)成分及び(B)成分を含有しており、抗アレルギー作用が増強されて発揮され、更には充血除去作用、眼圧低下作用等を初めとする有用な薬理作用をも発揮できるので、粘膜に局所適用することにより使用される局所粘膜適用剤(例えば、点眼剤、洗眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、鼻洗浄液等)として特に有用である。中でも好ましくは、点眼剤、洗眼剤及び点鼻剤であり、更に好ましくは点眼剤である。
【0076】
本発明の組成物は、公知の方法により製造できる。
【0077】
本発明の組成物は、その形態や用途に応じた容器や包装体に収容して保存、使用される。例えば、水性組成物であれば、ガラス製やプラスチック製の各種容器に収容して保存、使用される。特に、上記(A)〜(C)成分を含む水性組成物は、光暴露を受けても変色することなく安定であるという利点があるので、該水性組成物を収容する容器として、光透過性の容器、即ち外部から容器内を視認可能な透明容器が好適である。
【0078】
水性組成物を収容できるプラスチック容器の樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)など)、セルロースアセテート類などが例示できる。好ましい樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であり、特に好ましい樹脂は、ポリエステル系樹脂である。
【0079】
該ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分(フタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分など)とジオール成分とで構成された樹脂が使用できる。具体的には、芳香族ポリエステル系樹脂、例えば、ポリアルキレンテレフタレート[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレートなど]、ポリアルキレンナフタレート[ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンナフタレートなど]、ポリシクロアルキレンテレフタレート[ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)など]、ポリアリレート類(ビスフェノール類(ビスフェノール−Aなど)とフタル酸類(フタル酸、テレフタル酸)とで構成された樹脂など)などのホモポリエステルが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂には、前記ホモポリエステル単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステル、前記ホモポリエステルの共重合体(PETとPCTとの共重合体など)なども含まれる。中でも、オレフィン系樹脂(ポリエチレンなど)、芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなど)及びポリカーボネート系樹脂が好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノール−Aなど)をベースとする芳香族ポリカーボネートである。
【0080】
2.変色抑制方法
前述するように、(A)アシタザノラスト及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び(B)イミダゾリン系の充血除去剤を含有する水性組成物に、上記(C)成分を配合することにより、光暴露によって不可避的に生じる変色(黄変)を抑制し、水性組成物を安定に保持することが可能になる。従って、本発明は、他の観点から、(A)成分及び(B)成分を含有する水性組成物に、(C)成分を配合することを特徴とする、(A)成分及び(B)成分含有水性組成物の変色抑制方法を提供する。当該変色抑制方法において、使用される(A)成分、(B)成分、(C)成分、及びその他の配合成分の種類や配合濃度、水性組成物の形態等については、前記「1.組成物」の場合と同様である。
【発明の効果】
【0081】
本発明によれば、以下の優れた効果が奏される:
1) (A)アシタザノラスト及び/又はその塩及び(B)イミダゾリン系の充血除去剤を組み合わせて含有することにより、ヒスタミン遊離抑制作用が増強されて、一層優れた抗アレルギー作用を発揮できる。それ故、本発明の組成物は、抗アレルギー用の製剤として有用である。
2) (A)及び(B)成分を含有する水性組成物に不可避的に生じる光暴露による変色(黄変)が、上記(C)成分を配合することによって抑制できるので、(A)〜(C)成分を含有する水性組成物は、長期間の保存や使用に供されても、澄明な外観を保持でき、安定性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
以下に、試験例、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下の試験例1及び2で使用した「PIPESバッファー」は、25mM PIPES(Piperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid))、118mM NaCl、7.5mM KCl、5.6mM グルコース、0.4mM MgCl2、3mM CaCl2 、0.1%BSA(Bovine Serum Albumin)を含む水溶液(pH7.2)である。
【0083】
試験例1 ヒスタミン遊離抑制作用の確認試験−1
表1に記載の処方に従い、各種組成物を調製した(実施例1、比較例1−2、コントロール)。これらの組成物を用いて、以下の試験を行い、各組成物のヒスタミン遊離抑制作用を評価した。
【0084】
【表1】

【0085】
<試験方法>
ラット好塩基球白血病細胞RBL-2H3株を10容量%FBS添加DME(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)培地で2.3×105cells/mlとなるように懸濁し、この細胞懸濁液100μLをで96ウェルマイクロプレートの各ウェル播種した。37℃、5% CO2下で終夜(over nighit)インキュベートし、細胞をウェルの底面に接着させた後、表1に示す各組成物100μLをウェルに添加し、37℃、5% CO2下で1時間インキュベートした。次いで、10μMカルシウムイオノフォア(A23187、SIGMA社製 Cat.C7522;PIPESバッファーにて希釈)100μLを各ウェルに添加し、37℃で30分間インキュベートした。その後、各ウェルの上清を回収し、得られた上清のヒスタミン濃度をELISA法により定量した。定量したヒスタミン濃度から、下式に従って、ヒスタミン遊離抑制率(%)を算出した。
【0086】
【数1】

【0087】
<結果>
得られた結果を図1に示す。アシタザノラストと塩酸テトラヒドロゾリンを組み合わせた場合(実施例1)には、アシタザノラスト単独の場合(比較例1)及び塩酸テトラヒドロゾリン単独の場合(比較例2)の相加的作用を遙かに凌ぐ、優れたヒスタミン遊離抑制作用が認められた。
【0088】
試験例2 ヒスタミン遊離抑制作用の確認試験−2
表2に記載の処方に従い、各種組成物を調製した(実施例2−3、比較例3−5、コントロール)。これらの組成物を用いて、上記試験例1と同様の方法でヒスタミン遊離抑制作用を評価した。
【0089】
【表2】

【0090】
得られた結果を図2に示す。アシタザノラトと塩酸ナファゾリンを組み合わせた場合(実施例2及び3)には優れたヒスタミン遊離抑制作用が認められ、そのヒスタミン遊離抑制率は、アシタザノラスト単独の場合(比較例3)及び塩酸ナファゾリン単独の場合(比較例4及び5)の相加的作用を遙かに上回っていた。
【0091】
試験例3 変色抑制効果確認試験−1
表3に記載の処方に従い、アシタザノラスト及びテトラヒドロゾリンを含有する水性組成物を調製した(コントロール、実施例4−14)。これらの水性組成物を用いて、以下の試験を行い、その光に対する安定性について評価した。
【0092】
各々の水性組成物を透明ガラス製アンプル管(容量10mL)に10mLずつ充填し、これらを試験サンプルとした(n=2)。この試験サンプルに対して、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温25℃の下、5000lxの光を120時間連続照射し、試験溶液を積算照射量60万lx・hrの光に曝光した。光照射前と後の試験サンプルについて、変色(黄色への着色化)の指標として波長420nmの吸光度(下式中A420と表記する)を測定し、下式に従って、変色抑制率(%)を算出した。また、参考のために、光照射前後において、各試験サンプル中のアシタザノラスト及びテトラヒドロゾリン濃度を測定した。
【0093】
【数2】

【0094】
【表3】

【0095】
得られた結果を表3に併せて示す。この結果から実施例4−14の組成物では、コントロールに比して、変色抑制率が高く、光に対して安定であることが確認された。また、本試験において、試験終了後に水性組成物の外観を目視にて確認したところ、コントロールの水性組成物では変色が明らかに認められたのに対し、実施例4−14の水性組成物では変色が抑制されていた。
【0096】
また、水性組成物の変色の有無に拘わらず、光照射前後でアシタザノラスト及びテトラヒドロゾリン含量が一定であることが確認され、これら両成分を含有することにより生じる変色は、アシタザノラスト又はテトラヒドロゾリンの分解が直接の原因ではないことも確認された。
【0097】
試験例4 変色抑制効果確認試験−2
表4に記載の処方に従い、アシタザノラスト及びナファゾリン又はオキシメタゾリンを含有する水性組成物を調製した(コントロール、実施例15−16)。これらの水性組成物について、光に対する安定性を評価した。なお、光に対する安定性の評価は、光照射条件を5000lxの光による72時間連続照射(積算照射量:36万lx・hr)にすること以外は、上記試験例3と同様の方法で実施した。
【0098】
得られた結果を表4に示す。この結果から実施例15−16の水性組成物では、コントロールに比して、変色抑制率が高く、光に対して安定であることが確認された。また、試験終了後に各水性組成物の外観を目視にて確認したところ、コントロールの水性組成物では変色が明らかに認められたのに対し、実施例15−16の水性組成物では変色が抑制されていた。
【0099】
【表4】

【0100】
参考試験例1
表5に記載の処方に従い、水性組成物を調製した(参考例1−4)。これらの水性組成物を用いて、上記試験例3又は4と同様の方法で、その光に対する安定性について評価した。その結果、参考例1−4のいずれの水性組成物においても、変色は殆ど認められなかった。以上の結果から、上記表3及び4に示すコントロールの水性組成物の変色は、アシタザノラストとイミダゾリン系充血除去剤とを併用する場合に生じ、アシタザノラスト又はイミダゾリン系充血除去剤を単独で使用する場合には生じないことが確認された。
【0101】
【表5】

【0102】
実施例17−37
表6及び7に示す各種処方の点眼剤(実施例17−37)を調製した。
【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
実施例38−41
表8に示す処方の洗眼剤(実施例38)、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤(実施例39)、コンタクトレンズ装着液(実施例40)、及びコンタクトレンズ消毒剤(実施例41)を調製した。
【0106】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】試験例1において、実施例1及び比較例1−2の水性組成物について、ヒスタミン遊離抑制率(%)を測定した結果を示す図である。
【図2】試験例2において、実施例2−3及び比較例3−5の水性組成物について、ヒスタミン遊離抑制率(%)を測定した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アシタザノラスト及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、及び
(B)イミダゾリン系の充血除去剤
を含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
(B)成分が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、メチゾリン、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水性組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
局所粘膜適用剤である、請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−312627(P2006−312627A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106867(P2006−106867)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】