説明

アシルアミノチアゾール誘導体の製造法

【課題】優れたヒトc-mpl-Ba/F3細胞増殖作用、及び巨核球コロニー形成促進作用に基づく血小板増多活性を有し、血小板減少症治療に有用な2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法の提供。
【解決手段】式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。


[式中の記号は、以下の意味を示す。-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。-A=:-N=、若しくは-CH=。-X:ハロゲン。-Y-:(a)-A=が-N=である場合、-NR3-。(b)-A=が-CH=である場合、-O-。-R2:置換されている低級アルキル。-R3:-H、若しくは低級アルキル。あるいは、R2とR3は隣接する窒素原子と一体となって、置換されたピペリジン-1-イル;若しくはオキソ基で置換されたピペラジン-1-イル;を示してもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、殊に血小板減少症治療剤として有用な新規2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその塩の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板は生理的止血、及び病的血栓形成に主要な働きを果たす無核の血球細胞であり、生体内において、血小板は前駆細胞である巨核球から絶えず産生される。血小板産生は他の血球と同様に多能性幹細胞に由来し、多能性幹細胞は巨核球系の前駆細胞になり、それから巨核芽球、前巨核球、巨核球になる。この巨核球の成熟の過程において未熟な巨核球は細胞分裂を伴わずにDNA合成だけを行って多倍数体となる。その後、細胞質の成熟が始まり、血小板分離膜が形成され、細胞質が断裂して血小板が放出される。
一方、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、又は悪性腫瘍の化学療法、放射線療法等における種々の造血障害による血小板の減少は出血傾向を招く等の重篤な症状を引き起こすため、それらの治療を目的に血小板を増多させる様々な技術の開発の試みが行われてきた。現在、血小板減少症治療の有力な手段は血小板輸血であるが、十分量の血小板が供給されている状況ではなく、また、移入した血小板の寿命が短い等の理由により、血小板減少症を十分に改善することは困難である。さらに、血小板輸血にはウイルス感染、同種抗体の産生、移植細胞対宿主病(Graft Versus Host Disease:GVHD)等の問題点がある。このため、種々の症状あるいは治療によって引き起こされる造血機能の抑制状態を緩和し、血小板数の回復を促進させる薬剤の開発が期待されている。
【0003】
そのような中、巨核球系細胞への分化に関与する主要な因子であり、c-Mplリガンドであるトロンボポエチン(以下TPO)がクローニングされ、巨核球系細胞の分化・増殖を刺激して血小板産生を促進することが報告された(Kaushansky K. et. al., Nature, 369, 568-571, 1994:非特許文献1、及びLok S. et. al., Nature, 369, 565-568, 1994:非特許文献2)。TPOはすでに血小板増多剤として臨床試験が行われており、ヒトでの有用性と忍容性が確認されつつある。しかし、TPOの一種であるPEG-rHuMGDF(TPOのN末端から163番目のアミノ酸がポリエチレングリコールで修飾されたもの)の臨床試験において、中和抗体が確認された(Li J. et. al., Blood, 98, 3241-3248, 2001:非特許文献3、及びBasser R. L. et. al., Blood, 99, 2599-2602, 2002:非特許文献4)ため、TPOの免疫原性が懸念されている。また、TPOは蛋白質であるため、消化管内で分解されてしまい、経口投与薬剤としては実用的ではない。同様の理由で低分子ペプチドも経口投与薬剤としては実用的ではないと考えられる。このような状況下、血小板減少症治療を目的とした、免疫原性が少なく経口投与可能な非ペプチド性c-Mplリガンドの開発が進められている。
【0004】
上記のような化合物としては、ベンゾジアゼピン誘導体(特許文献1)、アシルヒドラゾン誘導体(特許文献2)、ジアゾナフタレン誘導体(特許文献3)、ピロロカルバゾール誘導体(特許文献4)、ピロロフェナンスリジン誘導体(特許文献5)、ピロロフタルイミド誘導体(特許文献6)が知られている。
【0005】
また、国際公開WO 01/07423号(特許文献7)には、下記一般式(VII)で示される化合物が血小板増多作用を有することが記載されている。
【化14】

(式中の記号は、該公報参照)
該公報では、X1として置換されていてもよいチアゾール、Y1として-NHCO-を含む化合物についての記載がある。しかし、本発明の製造法の目的物においては、該公報におけるチアゾリル基のごときA1基を有する置換基で置換されることはない。しかも、該公報においては、チアゾール5位がN-置換メチルアミノメチル基で置換されている化合物については、実施例その他による具体的開示は一切ない。
【0006】
また、国際公開WO 01/53267号(特許文献8)には、下記一般式(VIII)で示される化合物が血小板増多作用を有することが記載されている。
【化15】

(式中の記号は、該公報参照)
該公報では、X1として置換されていてもよいチアゾール、Y1として-NHCO-を含む化合物についての記載がある。しかし、本発明の製造法の目的物においては、該公報におけるW1基を有する置換基で置換されることはない。しかも、該公報においては、チアゾール5位がN-置換メチルアミノメチル基で置換されている化合物については、実施例その他による具体的開示は一切ない。
【0007】
また、国際公開WO 02/62775号(特許文献9)には、下記一般式(IX)で示される化合物が血小板増多作用を有することが記載されている。
【化16】

(式中の記号は、該公報参照)
該公報では、2-アシルアミノチアゾールの5位に窒素原子が直接置換した化合物についての記載がある。しかし、本発明の製造法の目的物のごとくチアゾール5位がN-置換メチルアミノメチル基で置換されている化合物については記載も示唆もない。
【0008】
また、国際公開WO 03/062233号(特許文献10)には、下記一般式(X)で示される化合物が血小板増多作用を有することが記載されている。
【化17】

(式中の記号は、該公報参照)
該公報では、2-アシルアミノチアゾールの5位に窒素原子が直接置換した化合物についての記載がある。しかし、本発明の製造法の目的物のごとくチアゾール5位がN-置換メチルアミノメチル基で置換されている化合物については記載も示唆もない。
上記文献には、いずれも本発明の製造法の目的物である化合物の記載はなく、従って、本発明の製造法については記載も示唆もされていない。
上記のような状況下、血小板減少症治療を目的とした、免疫原性が少なく経口投与可能な非ペプチド性c-Mplリガンドの開発が切望されている。
【特許文献1】特開平11-152276号公報
【特許文献2】国際公開第99/11262号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/35446号パンフレット
【特許文献4】国際公開第98/09967号パンフレット
【特許文献5】特開平10-212289号公報
【特許文献6】特開2000-44562公報
【特許文献7】国際公開第01/07423号パンフレット
【特許文献8】国際公開第01/53267号パンフレット
【特許文献9】国際公開第02/62775号パンフレット
【特許文献10】国際公開第03/062233号パンフレット
【非特許文献1】ネイチャー(Nature)、1994年、第369号、p.568-571
【非特許文献2】ネイチャー(Nature)、1994年、第369号、p.565-568
【非特許文献3】ブラッド(Blood)、2001年、第98巻、p.3241-3248
【非特許文献4】ブラッド(Blood)、2002年、第99巻、p.2599-2602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、優れた血小板増多作用を有する新規な2-アシルアミノチアゾール誘導体を見いだし、その製造法につき鋭意研究し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明によれば、以下の(A)〜(F)が提供される。
(A)製造法群Pより選択される1つの製造法である、式(I)
【化18】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-A=:-N=、若しくは-CH=。
-X:ハロゲン。
-Y-:(a)-A=が-N=である場合、-NR3-。(b)-A=が-CH=である場合、-O-。
-R2:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。
-R3:-H、若しくは低級アルキル。
あるいは、R2とR3は隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシル、及び-CO2-低級アルキルからなる群より選択される基で置換されたピペリジン-1-イル;若しくはオキソ基で置換されたピペラジン-1-イル;を示してもよい。]
で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
なお、製造法群Pは、以下の(1)乃至(5)の製造法からなる群である。
(1)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、-CO2-低級アルキルで置換されたピペリジン-1-イルである場合:
式(1A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化19】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R1A:低級アルキル。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入することを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(2)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシルで置換されたピペリジン-1-イルである場合:
式(2A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化20】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R2A:低級アルキル。]
を加水分解反応に付すことを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(3)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである場合;又は、-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルである場合:
式(3A)で示されるピリジン誘導体
【化21】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-W:脱離基。]
に対して、式(3B)で示されるアミン誘導体
【化22】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R3B2:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。
-R3B3:-H、若しくは低級アルキル。
あるいは、R3B2とR3B3は隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルを示してもよい。]
を付加し、R3B2が保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(4)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が低級アルキルスルホニルアミノで置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである場合:
式(4A)で示されるアミノピリジン誘導体
【化23】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R4A:アミノで置換されている低級アルキル。
-R3:-H、若しくは低級アルキル。]
に対して、低級アルキルスルホニル化剤を作用させることを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(5)-A=が-CH=であり、従って-Y-が-O-である場合:
式(5A)で示されるフェニルエーテル誘導体
【化24】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R5A:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入し、R5Aが保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(B)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、-CO2-低級アルキルで置換されたピペリジン-1-イルである(A)記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(1A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化25】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R1A:低級アルキル。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入することを含む、(A)に記載の製造法。
(C)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシルで置換されたピペリジン-1-イルである(A)記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(2A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化26】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R2A:低級アルキル。]
を加水分解反応に付すことを含む、(A)に記載の製造法。
(D)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである(A)記載の式(I)の化合物;又は、-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルである(A)記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(3A)で示されるピリジン誘導体
【化27】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-W:脱離基。]
に対して、式(3B)で示されるアミン誘導体
【化28】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R3B2:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。
-R3B3:-H、若しくは低級アルキル。
あるいは、R3B2とR3B3は隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルを示してもよい。]
を付加し、R3B2が保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、(A)に記載の製造法。
(E)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が低級アルキルスルホニルアミノで置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである(A)記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(4A)で示されるアミノピリジン誘導体
【化29】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R4A:アミノで置換されている低級アルキル。
-R3:-H、若しくは低級アルキル。]
に対して、低級アルキルスルホニル化剤を作用させることを含む、(A)に記載の製造法。
(F)-A=が-CH=であり、従って-Y-が-O-である(A)記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(5A)で示されるフェニルエーテル誘導体
【化30】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R5A:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入し、R5Aが保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、(A)に記載の製造法。
【0011】
なお、式(I)で示される本発明の製造法の目的化合物における-R1として、好ましくはノルマルブチル、若しくはシクロブチルである。
また、式(I)で示される本発明の製造法の目的化合物における-Xとして、好ましくはクロロ若しくはフルオロであり、クロロが特に好ましい。
また、-Y-R2が、カルボキシル、及び-CO2-低級アルキルからなる群より選択される基で置換されたピペリジン-1-イルを示す場合、当該ピペリジン-1-イルに置換するカルボキシル、又は-CO2-低級アルキルは、当該ピペリジンの4位に置換していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、優れた血小板増多作用を有する、新規2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその塩を有利に製造する製造法を提供するものとして有用である。
また、本発明の製造法により製造される、本発明の製造法の目的物に係る2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその塩は、優れた血小板増多作用を有する化合物である。従って、これらの化合物は再生不良性貧血、骨髄異形成症候群における血小板減少症、悪性腫瘍の化学療法、放射線療法による血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、肝疾患における血小板減少症、HIVによる血小板減少症等、種々の血小板減少症の治療及び/又は予防に有用であり、また、化学療法や放射線療法により血小板減少が生じる可能性がある場合、それらの療法を施す前にあらかじめ投与しておくこともできる。
本発明の製造法の目的物に係る化合物の薬理作用は以下の試験により確認された。
【0013】
(i)ヒトc-mpl-Ba/F3細胞増殖試験
96ウェルマイクロプレートに、2×105 cells/mlのヒトc-mpl-Ba/F3細胞(ヒトc-mplを強制発現させたBa/F3細胞安定形質転換株)を、各濃度の被験化合物を添加した10%牛胎児血清含有RPMI1640培地(100 μl/ウェル)にて37 ℃で培養した。培養開始24時間後にWST-1/1-methoxy PMS(細胞計測キット,同仁)の10 μl/ウェルを添加した。添加直後及び2時間後にA450/A650の吸光度をマイクロプレートリーダー(Model 3350: Bio-Rad)にて測定し、2時間での吸光度の増加を各被験化合物の増殖活性とした。その結果を表1に示す。
【0014】
なお、表中の記号は以下の意味を示す。
pot:化合物A(化合物A及びrhTPOにおいてはrhTPO)の最大細胞増殖活性値の30%の細胞増殖を促進する被験化合物濃度
Efficacy:化合物A(化合物A及びrhTPOにおいてはrhTPO)の最大細胞増殖活性値を100%としたときの被験化合物の最大細胞増殖活性値。
なお、化合物Aとは、上述の特許文献10の実施例9の化合物を示す。
【0015】
【表1】

表中、比較化合物1とは、上述の特許文献7の化合物番号A-1の化合物であり;比較化合物2とは、上述の特許文献8の化合物番号A-14の化合物であり;比較化合物3とは、上述の特許文献8の化合物番号J-14の化合物であり;比較化合物4とは、上述の特許文献9の実施例2の化合物である。比較化合物1〜4、及び化合物Aの構造を以下に示す。
【化31】

上記の結果より、本発明の製造法の目的物である化合物がヒトc-Mplを介したBa/F3細胞増殖作用を有することが確認された。
【0016】
(ii)巨核球コロニー形成促進作用測定試験
ヒト造血前駆細胞を豊富に含むヒトCD34+細胞をMegaCultTM-C(StemCell Technologies社)を用いて2 well chamberスライドにて被験物質存在下で10-14日間、37 ℃で培養した。添付の説明書に従って、脱水、固定した後、巨核球系細胞特異的に結合する、抗glycoprotein IIb/IIIa抗体にて染色した。染色された巨核球細胞の3個以上の集団を1コロニーとし、1 wellあたりのコロニー数を顕鏡にて測定した。各被験化合物のEC30値を用量曲線より算出した。
【0017】
その結果、本発明の製造法の目的物である化合物のEC30値は、実施例2の化合物が20 nM、実施例10の化合物が34 nM、実施例12の化合物が36 nMであり、本発明の製造法の目的物である化合物が優れた巨核球コロニー形成促進作用を有することが確認された。
【0018】
(iii)マウス経口投与試験
雄性ICRマウスに、0.5%メチルセルロース水溶液にて溶解若しくは懸濁させた被験化合物3 mg/kg若しくは10 mg/kg(比較化合物1〜3においては100 mg/kg)を経口投与した。投与2時間後に、腹部下大静脈より1/10容3.8%クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として採血した。12,000 rpmで3分間遠心分離して得られた血漿を56 ℃で30分間加温したものを(i)記載のヒトc-mpl-Ba/F3細胞増殖試験の系に最終濃度0.3%、1%若しくは3%血漿(比較化合物1〜3においては10%)になるように添加し、細胞増殖活性を測定した。各被験化合物の最大の細胞増殖活性を100%としたときの各血漿の細胞増殖活性(%)を求めた。その結果を表2に示す。
【0019】
【表2】

表中の比較化合物1〜3は、上記表1における比較化合物1〜3とそれぞれ同一の化合物である。
【0020】
上記の結果より、本発明の製造法の目的物である化合物がマウスにて経口活性を有することが確認された。特に、比較化合物では、「100 mg/kg−10%希釈の条件」においても経口活性をほとんど示さなかったのにもかかわらず、本発明の製造法の目的物である化合物では「より低用量である3 mg/kg若しくは10 mg/kg−より高希釈である3%希釈以下の条件」においても良好な経口活性を有することが見出されたことは、極めて意外であり、これはチアゾール5位置換基としてN-置換メチルアミノメチル基を導入したことにより達成されたものと考えられる。なお、比較化合物2及び比較化合物3では、より低用量(10 mg/kg p.o.)においても細胞増殖活性は10%以下であった。
【0021】
また、ヒト造血幹細胞を移植後、ヒト血小板産生が認められたマウスに対し、本発明の製造法の目的物である化合物を投与することにより、血小板増多活性が認められることが確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の製造法の目的物である化合物をさらに説明すると、以下の通りである。
本明細書中、「低級」なる語は、特に断らない限り炭素数1乃至6個の直鎖状又は分枝状の炭素鎖を意味する。
従って、「低級アルキル」とは、C1-6のアルキルを示し、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられ、好ましくはC1-3アルキルのメチル、エチル、プロピル、イソプロピルである。
「シクロアルキル」とは、一部不飽和結合を有していてもよいC3-8の炭素環を意味し、具体的には例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロブテニル、シクロヘキセニル、シクロオクタジエニル等が挙げられる。
「ハロゲン」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードが挙げられ、好ましくはフルオロ、クロロである。
「N-R1-N-メチルアミノメチル基」とは、アミノ基がR1で示される基及びメチルで置換されているアミノメチル基を意味する。
式(3A)において-Wで示される「脱離基」とは、式(3B)で示されるアミン誘導体による置換反応において脱離基として機能する基であればいずれでもよく、具体的には例えば、フルオロ、クロロ等のハロゲン;メタンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等のスルホニルオキシ基を挙げることができる。好ましくは、フルオロ又はクロロである。
-R3B2及び-R5Aにおける「-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい」とは、当該-OH若しくはアミノを、容易に-OH若しくはアミノに転化可能な基に置き換えておいてもよいことを意味し、そのような-OH若しくはアミノに転化可能な基としては、以下の基を挙げることができる。
-OHに転化可能な基:アセチルオキシ基等の低級アルキルカルボニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基;ベンジルオキシ基;tert-ブチルジメチルシリルオキシ基等のトリ低級アルキルシリルオキシ基;など
アミノに転化可能な基:tert-ブチルオキシカルボニルアミノ基等の低級アルキルオキシカルボニル基;メタンスルホニルアミノ基等の低級アルキルスルホニルアミノ基;アセチルアミノ基等の低級アルキルカルボニルアミノ基;など
【0023】
本発明の製造法の目的物である式(I)で示される化合物には、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を含む場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものの製造法をすべて包含する。また、本発明の製造法の目的物である化合物は互変異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物の製造法が含まれる。また、ラベル体、即ち、本発明の製造法の目的物である化合物の1つ以上の原子を放射性同位元素若しくは非放射性同位元素で置換した化合物の製造法も本発明に包含される。
【0024】
また、本発明の製造法の目的物である化合物は、塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容されうる塩である限りにおいて本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸などの有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属を含む無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。さらに、本発明は、本発明の製造法の目的物である化合物及びその製薬学上許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質の製造法も包含する。なお、本発明には、生体内において代謝されて式(I)で示される化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグの製造法もすべて包含される。本発明の製造法の目的物である化合物におけるプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157-2161(1985)に記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198ページに記載されている基が挙げられる。
【0025】
(製造法)
本発明の製造法につき、以下詳細に説明する。なお、官能基の種類によっては、当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基、すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基、アミノ基などを挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis (third edition)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
【0026】
(第1製法)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、-CO2-低級アルキルで置換されたピペリジン-1-イルである、式(I)の化合物の製造法
【化32】

[式中、R1A、X、R1は上述の意味を示し、AcOHは酢酸、Acはアセチルを意味する。]
(工程A)
本工程は、R1で置換されたメチルアミン誘導体を用いたマンニッヒ(Mannich)反応を用いて、化合物(1A)のチアゾール5位にR1で置換されたメチルアミノ基を導入し、本発明の製造法の目的物に係る化合物(I)を製造する工程である。Albertson, N. F.; J Am Chem Soc 1948, 70, 669.や、Bhargava, P. N.; Sharma, S. C.; Bull Chem Soc Jpn 1965, 38, 909.に記載された方法、あるいはそれに準じた方法を採用することができる。
(工程B、工程C)
本工程は、化合物(1A)のチアゾール5位にアセトキシメチル基を導入して化合物(1A−1)とした後、塩基性条件化、R1で置換されたメチルアミン誘導体による求核置換反応を経て本発明の製造法の目的物に係る化合物(I)を製造する工程である。
工程Bのアセトキシメチル化は、化合物(1A)に対し、酢酸溶媒下、ホルムアルデヒド水溶液若しくはパラホルムアルデヒドを作用させ、室温乃至加熱下、若しくは室温乃至還流下に行うことができる。なお、酢酸溶媒に代えて、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;等の反応に不活性な溶媒下、酢酸を加えて反応させることもできるが、その場合には反応性が低下する傾向がある。また、さらに無水酢酸を加えて反応を行うこともできる。
工程Cの求核置換反応は、化合物(1A−1)に対し、ハロゲン化炭化水素類;芳香族炭化水素類;エーテル類;酢酸エチル(EtOAc)等のエステル類;アセトニトリル;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO)等の反応に不活性な有機溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、及び/又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基存在下、R1で置換されたメチルアミン誘導体を作用させることにより行うことができる。なお、反応を加速させるために、ジメチルアミノピリジン等の触媒を加えてもよい。また、有機塩基及び/又は無機塩基に代えて、R1で置換されたメチルアミン誘導体を過剰に用いてもよい。反応は用いる塩基によって異なるが、冷却乃至室温下、室温下乃至加熱下、室温下乃至還流下に行うことができる。
なお、本製造法の原料化合物である化合物(1A)は、本願明細書実施例記載の方法のほか、それに準じた方法、当業者にとって自明である方法、又はそれらを組み合わせることにより、容易に製造することができる。
【0027】
(第2製法)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシルで置換されたピペリジン-1-イルである、式(I)の化合物の製造法
【化33】

[式中の記号は上述の意味を示す。]
本製法は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基を、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、2-プロパノール等のアルコール類若しくは水、又はこれらの混合溶媒中、化合物(2A)に作用させて加水分解反応に付すことにより、本発明の製造法の目的物に係る化合物(I)を製造する方法である。加水分解反応は、上述のProtective Groups in Organic Synthesisに記載の方法や、それらに準じた方法、又は当業者にとって自明である方法を用いることができる。
なお、本製造法の原料化合物である化合物(2A)は、本願明細書実施例記載の方法のほか、それに準じた方法、当業者にとって自明である方法、又はそれらを組み合わせることにより、容易に製造することができる。また、第1製法で製造した本発明の製造法の目的物に係る化合物が、本製造法の原料化合物である化合物(2A)として用いられることもある。
【0028】
(第3製法)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである、式(I)の化合物;又は、-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルである、式(I)の化合物の製造法
【化34】

[式中の記号は上述の意味を示す。]
(工程A)
本工程は、化合物(3A)の脱離基Wを化合物(3B)で置換する工程である。化合物(3A)における脱離基Wは、前述の通り、式(3B)で示されるアミン誘導体による置換反応において脱離基として機能する基であればいずれでもよく、具体的には例えば、フルオロ、クロロ等のハロゲン;メタンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等のスルホニルオキシ基を挙げることができる。好ましくは、フルオロ又はクロロである。
反応は、無溶媒中、又は芳香族炭化水素類;エーテル類;ハロゲン化炭化水素類;DMF;DMSO;N-メチルピロリドン;エステル類;アセトニトリル等の反応に不活性な溶媒、又はアルコール類中、化合物(3A)と化合物(3B)とを等モル乃至一方を過剰量用い、室温乃至加熱還流下に行うことができる。化合物によっては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、及び/又は炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の金属塩塩基の存在下に行うのが有利な場合がある。
(工程B)
本工程は、R3B2が保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合に、その保護基を脱離させる工程である。この保護基の脱離は、反応は、上述のProtective Groups in Organic Synthesisに記載の方法や、それらに準じた方法、又は当業者にとって自明である方法を用いることができる。
なお、本製造法の原料化合物である化合物(3A)は、本願明細書実施例記載の方法のほか、それに準じた方法、当業者にとって自明である方法、又はそれらを組み合わせることにより、容易に製造することができる。
(第4製法)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が低級アルキルスルホニルアミノで置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである、式(I)の化合物の製造法
【化35】

[式中、R1、X、R4A、R3は前述の意味を示し、R4Bは低級アルキルスルホニルアミノで置換されている低級アルキルを示す。]
本製法は、化合物(4A)のR4Aにおけるアミノ基を、低級アルキルスルホニル化剤を用いて低級アルキルスルホニル化することにより、本発明の製造法の目的物に係る化合物(I)を製造する方法である。低級アルキルスルホニル化は、上述のProtective Groups in Organic Synthesisに記載の方法や、それらに準じた方法、又は当業者にとって自明である方法を用いることができる。
なお、本製造法の原料化合物である化合物(4A)は、本願明細書実施例記載の方法のほか、それに準じた方法、当業者にとって自明である方法、又はそれらを組み合わせることにより、容易に製造することができる。また、第3製法で製造した本発明の製造法の目的物に係る化合物が、本製造法の原料化合物である化合物(4A)として用いられることもある。
(第5製法)-A=が-CH=であり、従って-Y-が-O-である、式(I)の化合物の製造法
【化36】

[式中の記号は前述の意味を示す。]
(工程A)
本工程は、第1製法工程Aに準じて行うことができる。
(工程B、工程C)
本工程は、第1製法工程B及び/又は工程Cに準じて行うことができる。
(工程D、工程E)
本工程は、第3製法工程Bに準じて行うことができる。
なお、本製造法の原料化合物である化合物(5A)は、本願明細書実施例記載の方法のほか、それに準じた方法、当業者にとって自明である方法、又はそれらを組み合わせることにより、容易に製造することができる。
【0029】
さらに、式(I)で示されるいくつかの化合物は、以上のように得られた本発明の製造法の目的物に係る化合物から公知のアルキル化、アシル化、置換反応、酸化、還元、加水分解等、当業者が通常採用しうる工程を任意に組み合わせることにより製造することもできる。
【0030】
このようにして製造された本発明の製造法の目的物である化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法などの一般的なラセミ体分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオ混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィーなどにより分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0031】
本発明の製造法の目的物である化合物を有効成分とする医薬は、式(I)で示される本発明の製造法の目的物である化合物の1種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用担体、賦形剤、その他添加剤を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、静注、筋注等の注射剤、又は坐剤、経鼻、経粘膜、経皮などによる非経口投与のいずれの形態であってもよい。
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種以上の活性物質が、少なくとも1種の不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤等を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性のフィルムで被覆してもよい。
【0032】
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノール(EtOH)を含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を含有する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、EtOH等のアルコール類、ポリソルベート80等がある。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定剤、溶解補助剤等の補助剤を含んでいてもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
【0033】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重あたり約0.0001〜50 mg/kg、好ましくは約0.001〜10 mg/kgが適当で、さらに好ましくは0.01〜1 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合は、1日の投与量は体重あたり約0.0001〜1 mg/kg、好ましくは約0.0001〜0.1 mg/kgが適当で、1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明の製造法を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において使用される原料化合物には新規な物質も含まれており、そのような原料化合物の公知物からの製造法を参考例として説明する。
【0035】
参考例1
4-クロロ-2-アセチルチオフェンのエーテル溶液に氷冷下にて臭素を加え、室温にて2時間撹拌しブロム体を得た。ブロム体のEtOH溶液に室温でチオ尿素を加え、80 ℃にて一晩撹拌し、2-アミノ-4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾールを得た。
FAB-MS(M+H)+:217.
【0036】
参考例2
参考例1の化合物、及び5,6-ジクロロニコチン酸のピリジン懸濁液に-30 ℃でオキシ塩化リンを加え、徐々に昇温し室温で一晩撹拌し、5,6-ジクロロ-N-[4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]ニコチンアミドを得た。
参考例2の方法と同様にして表3に示す参考例3を、対応する原料を使用して製造した。
【0037】
なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様。)。
Rf:参考例番号。
Data:物理学的データ(MS:FAB-MS(M+H)+)。
R:一般式中の置換基(Py:ピリジル、Ac:アセチル、Ph:フェニル、di:ジ。置換基の前の数字は置換位置を示し、従って、例えば5,6-diCl-3-Pyは5,6-ジクロロピリジン-3-イルを示す。)。
【0038】
【表3】

【0039】
参考例4
参考例2の化合物のTHF溶液に、トリエチルアミン、及びイソニペコチン酸エチルを加え、50 ℃で一晩撹拌し、1-(3-クロロ-5-{[4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]カルバモイル}ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。
FAB-MS(M+H)+:511.
【0040】
参考例5
参考例2の化合物に酢酸、ホルムアルデヒド水溶液(36%)、及びN-ブチル-N-メチルアミンを加え、80 ℃で一晩撹拌し、N-[5-{[ブチル(メチル)アミノ]メチル}-4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]-5,6-ジクロロニコチンアミドを得た。
FAB-MS(M+H)+:489.
【0041】
参考例6
2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチン酸のDMF溶液に、イソニペコチン酸エチルを加え、80 ℃で撹拌し、2-クロロ-6-[4-(エトキシカルボニル)ピペリジン-1-イル]-5-フルオロニコチン酸を得た。
FAB-MS(M+H)+:331.
【0042】
参考例7
参考例6の化合物のTHF-EtOH溶液に、トリエチルアミン、及び10%パラジウム担持炭素を加え、4気圧水素雰囲気下、室温で攪拌し、6-[4-(エトキシカルボニル)ピペリジン-1-イル]-5-フルオロニコチン酸を得た。
FAB-MS(M+H)+:297.
【0043】
参考例8
参考例1の化合物、及び参考例7の化合物のピリジン懸濁液に-30 ℃でオキシ塩化リンを加え、徐々に昇温し室温で一晩撹拌し、1-(5-{[4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]カルバモイル}-3-フルオロ-2-ピリジル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステルを得た。
FAB-MS(M+H)+:495.
【0044】
実施例1
参考例4の化合物150 mgに酢酸3 ml、ホルムアルデヒド水溶液(36%)24 μl、及びN-ブチル-N-メチルアミン47 μlを加え90 ℃で18時間攪拌した。減圧下溶媒を留去したのち飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をヘキサン:EtOAc(7:1〜5:1)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1-(5-{[5-{[ブチル(メチル)アミノ]メチル}-4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]カルバモイル}-3-クロロ-2-ピリジル)ピペリジン-4-カルボン酸 エチルエステル 147 mgを得た。
【0045】
実施例2
実施例1の化合物2300 mgのEtOH 30.0 ml懸濁液に1M水酸化ナトリウム水溶液11.3 mlを加え、50 ℃で2時間攪拌した。室温にて1M塩酸水溶液11.3 mlを加え、生じた沈殿を濾取し、50%エタノール水溶液で洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体1200 mgを50%アセトニトリル水溶液120 mlに溶解させ、室温にて1M塩酸水溶液3.2 mlを加え、5時間攪拌後、生じた沈殿を濾取し、50%エタノール水溶液で洗浄した。得られた固体を減圧乾燥し、1-(5-{[5-{[ブチル(メチル)アミノ]メチル}-4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]カルバモイル}-3-クロロ-2-ピリジル)ピペリジン-4-カルボン酸 塩酸塩950 mgを得た。
【0046】
実施例3
参考例5の化合物300 mgのTHF 6 ml溶液にエタン-1,2-ジアミン184 mg、トリエチルアミン0.17 mlを加え、50 ℃で1日間攪拌した。エタン-1,2-ジアミンを736 mg追加し、さらに8時間撹拌した。続いて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をEtOAc、続いてクロロホルム:MeOH=10:1を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、6-[(2-アミノエチル)アミノ]-N-[5-{[ブチル(メチル)アミノ]メチル}-4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]-5-クロロニコチンアミド 290 mgを得た。
【0047】
実施例4
実施例3の化合物290 mgをTHF 10 mlに溶解し、トリエチルアミン315 μlを加え0 ℃に冷却した。その溶液にメタンスルホニルクロリド48 μlを加えて室温で1時間攪拌した。反応液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出し、水、飽和食塩水で有機層を洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:MeOH=10:1)にて精製後、4M塩化水素-ジオキサン溶液を加え攪拌、得られた沈殿を濾取、減圧下乾燥し、279 mgのN-[5-{[ブチル(メチル)アミノ]メチル}-4-(4-クロロチオフェン-2-イル)チアゾール-2-イル]-5-クロロ-6-({2-[(メチルスルホニル)アミノ]エチル}アミノ)ニコチンアミド 塩酸塩を得た。
【0048】
以下の表4〜7に、実施例化合物の構造と物理学的データを示す。なお、表中の記号は以下の意味を示す(以下同様。)。
Ex:実施例番号(Exの欄に数字のみが記載されている場合、その実施例番号の化合物がフリー体であることを示し、数字に続く斜線(/)及び「HCl」が記載されている場合、その実施例番号の化合物が塩酸塩であることを示す。)。
Syn:製造方法(数字はその番号を実施例番号として有する実施例化合物と同様に、対応する原料を用いて合成したことを示す。)。
R:一般式中の置換基(Me:メチル、Et:エチル、cPr:シクロプロピル、iPr:イソプロピル、nBu:ノルマルブチル、cBu:シクロブチル、iBu:イソブチル、Ms:メタンスルホニル、pipa:ピペラジン-1-イル、oxo:オキソ)。
【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
【表6】

【0052】
【表7】

【0053】
以下の表8に、いくつかの実施例化合物のNMRデータを示す。データは、テトラメチルシランを内部標準とし、特に記載がない場合はDMSO-d6を測定溶媒とする1H-NMRにおけるピークのδ(ppm)を示す。
【0054】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造法群Pより選択される1つの製造法である、式(I)
【化1】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-A=:-N=、若しくは-CH=。
-X:ハロゲン。
-Y-:(a)-A=が-N=である場合、-NR3-。(b)-A=が-CH=である場合、-O-。
-R2:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。
-R3:-H、若しくは低級アルキル。
あるいは、R2とR3は隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシル、及び-CO2-低級アルキルからなる群より選択される基で置換されたピペリジン-1-イル;若しくはオキソ基で置換されたピペラジン-1-イル;を示してもよい。]
で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
なお、製造法群Pは、以下の(1)乃至(5)の製造法からなる群である。
(1)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、-CO2-低級アルキルで置換されたピペリジン-1-イルである場合:
式(1A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化2】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R1A:低級アルキル。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入することを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(2)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシルで置換されたピペリジン-1-イルである場合:
式(2A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化3】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R2A:低級アルキル。]
を加水分解反応に付すことを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(3)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである場合;又は、-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルである場合:
式(3A)で示されるピリジン誘導体
【化4】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-W:脱離基。]
に対して、式(3B)で示されるアミン誘導体
【化5】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R3B2:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。
-R3B3:-H、若しくは低級アルキル。
あるいは、R3B2とR3B3は隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルを示してもよい。]
を付加し、R3B2が保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(4)-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が低級アルキルスルホニルアミノで置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである場合:
式(4A)で示されるアミノピリジン誘導体
【化6】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R4A:アミノで置換されている低級アルキル。
-R3:-H、若しくは低級アルキル。]
に対して、低級アルキルスルホニル化剤を作用させることを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
(5)-A=が-CH=であり、従って-Y-が-O-である場合:
式(5A)で示されるフェニルエーテル誘導体
【化7】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R5A:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入し、R5Aが保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、式(I)で示される2-アシルアミノチアゾール誘導体又はその製薬学的に許容される塩の製造法。
【請求項2】
-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、-CO2-低級アルキルで置換されたピペリジン-1-イルである請求項1記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(1A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化8】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R1A:低級アルキル。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入することを含む、請求項1に記載の製造法。
【請求項3】
-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、カルボキシルで置換されたピペリジン-1-イルである請求項1記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(2A)で示されるピペリジンエステル誘導体
【化9】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R2A:低級アルキル。]
を加水分解反応に付すことを含む、請求項1に記載の製造法。
【請求項4】
-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである請求項1記載の式(I)の化合物;又は、-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、R2とR3が隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルである請求項1記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(3A)で示されるピリジン誘導体
【化10】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-W:脱離基。]
に対して、式(3B)で示されるアミン誘導体
【化11】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R3B2:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。
-R3B3:-H、若しくは低級アルキル。
あるいは、R3B2とR3B3は隣接する窒素原子と一体となって、オキソ基で置換されたピペラジン-1-イルを示してもよい。]
を付加し、R3B2が保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、請求項1に記載の製造法。
【請求項5】
-A=が-N=であり、従って-Y-が-NR3-であり、-R2が低級アルキルスルホニルアミノで置換されている低級アルキルであり、-R3が-H、若しくは低級アルキルである請求項1記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(4A)で示されるアミノピリジン誘導体
【化12】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-R1:低級アルキル、若しくはシクロアルキル。
-X:ハロゲン。
-R4A:アミノで置換されている低級アルキル。
-R3:-H、若しくは低級アルキル。]
に対して、低級アルキルスルホニル化剤を作用させることを含む、請求項1に記載の製造法。
【請求項6】
-A=が-CH=であり、従って-Y-が-O-である請求項1記載の式(I)の化合物の製造法であって、
式(5A)で示されるフェニルエーテル誘導体
【化13】

[式中の記号は、以下の意味を示す。
-X:ハロゲン。
-R5A:-OH、アミノ、及び低級アルキルスルホニルアミノからなる群より選択される基で置換されている低級アルキル。なお、当該低級アルキルの置換基が-OH若しくはアミノである場合、それらの基は保護されていてもよい。]
に対してN-R1-N-メチルアミノメチル基を導入し、R5Aが保護された-OH若しくは保護されたアミノである場合には、さらにその保護基を脱離させることを含む、請求項1に記載の製造法。

【公開番号】特開2006−219481(P2006−219481A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3657(P2006−3657)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】