説明

アジリジンのフッ素化による放射性標識

本発明は、18Fでの放射性標識に適当な又は18Fで既に放射性標識されている新規化合物、そのような化合物の調製方法、及び画像診断用のそのような化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適当なフッ素同位体、好ましくは18Fにより標識するのに適当な又は既に標識されている新規化合物、そのような化合物の調製方法、そのような化合物を含んで成る組成物、そのような化合物又は組成物を含んで成るキット、及び、画像診断法、好ましくはポジトロン放出断層撮影法(PET)のためのそのような化合物、組成物又はキットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
分子画像診断は、腫瘍学、神経学及び心臓病学の分野における大部分の従来法よりも早く病気の進行や治療効果を検出する可能性がある。光学画像診断及びMRIとして開発された幾つかの有望な分子画像診断技術のうち、ポジトロン放出断層撮影法(PET)は、それの高感受性並びに定量的及び速度論的データを提供できることで、薬剤開発のために特に注目されている。
【0003】
過去数年間、PETを使った生体内走査が増加している。PETは医学道具でもあり研究道具でもある。それは腫瘍の医学的画像診断及び転移の探査、並びにある種の広範性脳疾患、例えば様々なタイプの認知症を引き起こす脳疾患の臨床診断のために、臨床腫瘍学において多用されている。生体分子に安定的に結合された放射性核種から成る放射性トレーサーが、疾患の生体内画像診断に使用される。
【0004】
診断剤としての使用に向けて効果的な放射性医薬トレーサーをデザインすることにおいて、薬剤は適当な生体内標的指向性と薬物速度論的特性を有することが必須である。Fritzberg他、J. Nucl. Med. 1992, 33:394は更に、放射性核種化学及び関連する結合が、生体分子キャリヤーの結合及び標識化学的修飾を最適化する必要性を高めることを記載している。よって放射性核種の種類、生体分子の種類及び互いにそれらを結合するのに使用する方法は、放射性トレーサー特性に重要な影響を及ぼし得る。
【0005】
PET走査法に使用する放射性核種は、典型的には短い半減期を有する同位体、例えば11C(〜20分)、13N(〜10分)、15O(〜2分)、68Ga(〜68分)又は18F(〜110分)である。それらの短い半減期のため、PETスキャナーからの送達時間内で遠く離れすぎないサイクロトロン中で放射性核種を製造しなければならない。それらの放射性核種は、体内の標的部位、例えば腫瘍に放射性核種を運ぶ機能を有する、生物学的に活性な化合物又は生体分子中に取り込まれる。
【0006】
ポジトロン放出同位体としては炭素、窒素及び酸素が挙げられる。それらの同位体は標的化合物中の非放射性相当物と置き換わり、生物学的に機能し且つPET画像診断法用の元の分子と化学的に同一であるトレーサーを生成する。他方で、18Fは、診断用トレーサーの調製とその後の生化学的過程の研究を可能にする比較的長い半減期(109.6分)を有するために、最も便利な標識用同位体である。加えて、それの低β+エネルギー(635 keV)も有利である。
【0007】
PETトレーサーは、生物学的に重要な分子であるか、またはしばしばそれを含む。PET用に開発された生体分子は、患者への特異的標的を目的として開発されており、例えばFDG、FLT、L−DOPA、メチオニン及びデオキシチミジンがある。それらの特異的用途のため、そのような生体分子はしばしば「標的用剤(targeting agent)」と呼称される。
【0008】
ペプチドは、神経伝達物質、ホルモン及び抗生物質としての作用をはじめとする多数の生理学的過程において重要な役割を果たしている生体分子である。研究は神経科学、免疫学、薬理学及び細胞生物学のような分野におけるそれらの重要性を証明している。或るペプチドは化学的伝達物質として作用しうる。それらは標的細胞表現上のレセプターに結合し、そしてリガンドの生物学的効果を標的組織に伝達する。よって、リガンドの特異的レセプター結合特性を、該リガンドを放射性核種で標識することにより利用することができる。理論上は、レセプターに対するリガンドの高親和力が、レセプター発現組織における放射標識リガンドの保持を促進する。しかしながら、どのペプチドを効率的に標識できるか及びどんな条件下で標識が起こるかはまだ研究中である。リガンドペプチドのレセプター特異性は、化学反応の間に変わる場合があることが良く知られている。従って最適なペプチド構成物を決定しなければならない。
【0009】
腫瘍は、ペプチドが特異的に結合する様々なレセプター型を過剰発現する。Boerman他、Seminar in Nuclear Medicine, 2000年7月, 30 (3): 195-208は、腫瘍中に含まれるレセプターに結合するペプチドの非網羅的リスト、即ちソマトスタチン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)レセプターに結合するボンベシン、ガストリン、コレシストキニン(CCK)及びカルシトニンを提供している。
【0010】
生体分子への放射性核種の結合は、放射性核種と生体分子間のリンカーの存在又は不在をもたらす様々な方法により達成される。ここで様々なリンカーが知られている。C.J. Smith他、”Radiochemical investigations of 177Lu-DOTA-8-Aoc-BBN[7-14]NH2: an in vitro/in vivo assessment of the targeting ability of this new radiopharmaceutical for PC-3 human prostate cancer cells.”Nucl. Med. Bio, 2003, 30(2):101-9は、リンカーがDOTA-Xであり、ここでXは炭素テザー(鎖)である、放射性標識ボンベシンを開示している。しかしながら、放射性標識177Lu(半減期6.5日)は、生来のボンベシンの生物学的半減期と一致せず、それが177Lu-DOTA-X-ボンベシンを腫瘍の画像診断用に不適切な放射性トレーサーにする。
【0011】
E. Garcia Garayoa他、“Chemical and biological characterization of new Re(CO)3/[99mTc](CO)3 bombesin analogues.” Nucl. Med. Biol., 2007:17-28は、放射性核種[99mTc]とボンベシンの間のスペーサーを開示しており、ここで該スペーサーは−β-Ala-β-Ala−及び3,6−ジオキサ−8−アミノオクタン酸である。E. Garcia Garayoa他は、別のスペーサーが安定性に対して又はレセプター親和力に対して有意な効果がなかったと結論付けている。
【0012】
上記に挙げたリンカーは、特定の放射性核種のために特異的にデザインされ、そして放射性結合法の種類及び化学的条件を決定づける。
【0013】
より最近になって、PET用途での64Cu,86Y及び68Gaの標識のための大環状キレート化剤にペプチドが結合されている。しかしながら、そのような放射性核種は生体内異化と相互作用し、望ましくない生理学的効果とキレート結合を引き起こす。
【0014】
18F−標識ペプチドを獲得するために様々な前駆体又は出発物質を使用する様々な放射性フッ素化法が発表されている。ペプチドサイズがより小さいため、放射性標識ペプチドを使ってより高い標的−バックグラウンド比と迅速な血中クリアランスの両方をしばしば達成することができる。よって、短命のポジトロン放出断層撮影法(PET)同位体がペプチドを標識するための潜在的な候補である。多数のポジトロン放出核種の中で、好ましい物理的及び核特性により、フッ素−18が生物活性ペプチドの標識のための最良の候補であるようだ。18Fでペプチドを標識することの主な欠点は、18F標識剤の面倒で時間のかかる調製である。ペプチドの複雑な性質及び一次構造に付随する幾つかの官能基のため、18F標識ペプチドは直接フッ素化により調製されない。よって、18F標識ペプチドに関係する難点は、下記に示すような補欠分子族の使用により軽減された。幾つかのそのような補欠分子族は、N−スクシンイミジル−4−〔18F〕フルオロベンゾエート、m−マレイミド−N−(p−〔18F〕フルオロベンジル)ベンズアミド、N−(p−〔18F〕フルオロフェニル)マレイミド、及び4−〔18F〕フルオロフェナシルブロミドをはじめ、文献中に提案されている。18Fによるペプチド及びタンパク質の標識に今日使用されている方法論の殆ど全てが、フッ素標識シントンの活性エステルを使用する。
【0015】
【化1】

【0016】
RM=反応性成分
LG=18Fにより置換することができる脱離基
X=RMとの反応用の官能基
【0017】
Okarvi他、“Recent progress in fluorine-18 labelled peptide radiopharmaceuticals.” Eur. J. Nucl. Med., 2001年7月, 28(7):929-38は、PETで使われる18F−標識生物活性ペプチドにおける最近の発展の概説を与える。
【0018】
Zhang Xianzhong他、“18F-labelled bombesin analogs for targeting GRP receptor-expressing prostate cancer.”J. Nucl. Med., 2006, 47(3):492-501は、上述した2段階法に関する。[Lys3]ボンベシン([Lys3]BBN)及びアミノカプロン酸−ボンベシン(7-14)(Aca-BBN(7-14))を、Lys3アミノ基とAcaアミノ基をそれぞれ、わずかに塩基性条件(pH 8.5)下でN−スクシンイミジル−4−18F−フルオロベンゾエート(18F-SFB)と結合させることにより、18Fで標識した。不運にも、得られた18F−FB−[Lys3]BBNは比較的代謝不安定であり、信頼できる腫瘍の画像診断への18F−FB−[Lys3]BBNの使用の範囲を狭めるという結果を有する。
【0019】
Poethko Thorsten他、“Two-step methodology for high-yield routine radiohalogenation of peptides: 18F-labelled RGD and octreotide analogs.” J. Nucl. Med., 2004年5月, 45(5):892-902は、RGD及びオクトレオチド類似体を標識するための2段階法に関する。この方法は、18F−標識アルデヒド又はケトンの放射性合成の段階と18F−標識アルデヒド又はケトンのアミノオキシ官能化ペプチドへの化学選択的連結の段階を開示している。
【0020】
Poethko Thorsten他、“First 18F-labelled tracer suitable for routine clinical imaging of somatostatin receptor-expressing tumors using positron emission tomography.”Clin. Cancer Res., 2004年6月, 1, 10(11):3593-606は、臨床的に汎用するソマトスタチン−レセプター(sst)画像診断に適した最適な薬物動態を有する18F−標識炭水化物Tyr(3)−オクトレオテート(TOCA)類似体の合成にこの2段階法を適用する。
【0021】
WO 2003/080544 A1及びWO 2004/080492 A1は、上述した2段階法を使った画像診断用の生物活性ペプチドの放射性フッ素化法に関する。
【0022】
18F−標識化合物は、それらの利用可能性のため並びに生体分子の標識方法の開発のため重要性を増している。18Fで標識された或る化合物が高品質の画像を生じることが示された。加えて、18Fの長寿命がより長い撮像時間を可能にし、且つ複数の患者用の放射性トレーサーバッチの調製及び別の施設への該トレーサーの配送を可能にし、該技術を臨床研究者らに一層広く利用可能にするだろう。更に、PETカメラの開発及び多くのPETセンターでの機器類の有効利用が増加することが観察されている。よって、18Fで標識された新規トレーサーを開発することが益々重要である。
【0023】
より複雑な生体分子、例えばペプチド中に18Fを取り込ませる幾つかのアプローチが次の文献中に記載されている:European J. Nucl. Med. Mol. Imaging, 2001, 28:929-938; European J. Nucl. Med. Mol. Imaging, 2004, 31:1182-1206; Bioconjugate Chem., 1991, 2:44-49; Bioconjugate Chem., 2003, 14:1253-1259。
【0024】
それらの方法は間接的である。それらはトレーサー合成に少なくとも二段階の操作を必要とする。従って、それらは時間を消費し、原子核崩壊の結果としてPET画像の解像度を低下させる。
【0025】
どんな癌の好結果治療においても最も重要な点は早期検出である。同様に、腫瘍及び転移を正確に診断することが重要である。
【0026】
レセプター発現組織の定量的な生体内レセプター画像診断及びPETを用いるレセプター状態の定量への18F−標識ペプチドの日常的使用は、18F−標識ペプチドの日常的な大規模合成のための適当な放射性フッ素化法がないことにより制限される。ペプチドによるレセプター親和力の損失を伴わずに迅速に実施することができ且つ正の画像診断(バックグラウンドの減少)をもたらし、放射性トレーサーが安定であり且つ増強されたクリアランス特性を示す放射性フッ素化法が明らかに必要とされている。
【0027】
18Fによるアジリジンの開環を記載している既知の刊行物は少数しかない:L. Tron他は、アデノシンレセプター標識剤としての[18F]FNECAの合成の際に120℃でアシル活性化アジリジン成分と18Fとの反応を提供している。所望の生成物は1%の収率で得られた。アジリジンを担持している前駆体は大部分反応しないままであった。(Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals. 2000, 43:807-815.)驚くべきことに、本発明者らは、アジリジンの異なる活性化により、ずっと低い温度で所望の開環生成物への完全な変換が観察できることを発見した。
【0028】
W. Feindel他は、100又は145℃で1,3−置換尿素のアジリジン環上の18F−TBAFの求核攻撃により、化学療法薬BCNUの類似体である[18F]BFNUと[18F]CFNUを低収率で合成した。(Canadian Journal Chemistry, 1984, 62:2107-2112.)
【0029】
上述したアジリジン前駆体は、アミン、チオール、ヒドロキシル、カルボン酸機能のような化学官能基に又は複雑な標的剤の他の化学基に、更に変換することなく本発明により達成されるように結合することはできない。
【0030】
更に、そこで使用される高温は、本明細書中で標的剤として使用するペプチドのような敏感な生物活性分子には適用できない。
【0031】
低温フッ素化についての更なる刊行物は管理できる量であり、
18Fフッ素化において好ましい下記のような求核性フッ素化試薬:
TBAF: Carbohydrate Research, 2003, 338(24):2825-34;Journal of Organic Chemistry, 1989, 54(22):5324-5330;Carbohydrate Research, 1980, 83:142-145;Tetrahedron Asymmetry, 2004, 15(20):3307-3322;
KHF2: Carbohydrate Research, 1992, 230:89-106;又は
KF:Journal of Organic Chemistry, 2004, 69(2):335-338
を使うよりもむしろ下記のものを使って実施される:
【0032】
BF3・OEt2:Synlett 2004, 12:2218-2220;Recl. Trav. Chim. Pays-Bas 1992, 111(2):59-68;
HF*ピリジン(オラー試薬):Journal of Chemical Research, Synopses 1983, 10:246-7;Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry, 1983, 9:2045-51;Journal of Organic Chemistry, 1981, 46(24):4938-48;Journal of Fluorine Chemistry, 1980, 16(3):277-83;Journal of Fluorine Chemistry, 1980, 16(2);183-7;Journal of Organic Chemistry, 1980, 45(26):5328-33;Tetrahedron Letters, 1980, 21(3):289-92;Journal of Fluorine Chemistry, 1990, 49(2):231-46;Tetrahedron, 1987, 43(11):2485-92;Tetrahedron Letters, 1978, 35:3247-50;Journal of Fluorine Chemistry, 1981, 18:93-96;Journal of Fluorine Chemistry, 1980, 16:277-84;Journal of Medical Chemistry, 1990, 33(9):2603-2610;Journal of Fluorine Chemistry, 1980, 16:538-539;
ポリフッ化水素ピリジニウム:Journal of Fluorine Chemistry, 1983, 23:481;
DAST:Tetrahedron, 1999, 55(48):13819-13830;又は
LiBF4:Journal of Organic Chemistry, 1989, 54(22):5324-30。
【0033】
18F標識2−フルオロエチルアミン、−アミド及び−スルホンアミドの調製は、通常18F−2−フルオロエチルアミン又は−2−ブロモフルオロエタンを提供する少なくとも二段階法により通常実施される。適当なアジリジンの開環は、一段階合成によるそのような構造成分を提供するかもしれない。
【0034】
アジリジンを含有するペプチドは、幾つかの刊行物中に記載されているが、それらの合成の目的、それらの置換パターン及びそれらの用途は本明細書に言及される放射性標識用の前駆体としての使用とは異なる。
【0035】
様々なチオール求核試薬との部位選択的結合にアジリジン−2−カルボン酸含有ペプチドを使った、部位選択的及び立体選択的ペプチド修飾方法が下記文献中に記載されている:
Journal of the American Chemical Society, 2005, 127(20):7359-7369。Journal of the American Chemical Society, 2004, 126(40):12712-12713。
【0036】
アルギニンを模倣し且つクラスI主要組織適合性複合体(MHC)糖タンパク質HLA-B27のアルギニン特異的P2ポケット中に共有結合するようにデザインされたアジリジン含有側鎖を有するリガンドが合成されており、それはシステイン67を特異的にアルキル化する。Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 1996, 93(20):10945-10948。
【0037】
構造的考察に基づき且つアミンオキシダーゼをブロックする既知の方策と同様にして潜在的なLSD1阻害剤としてのアジリジン含有リジン誘導体が調製されている。Journal of the American Chemical Society, 2006, 128(14):4536-4537。
【0038】
アジリジン修飾ペプチドを有する小分子が、うつ病を患っている患者を治療するための抗うつ化合物として主張されている。WO 99/22758 A。
【0039】
更に、アジリジン化合物は、表題化合物の合成の中間体であるとR. Rocchiccioli他、“Alcaloides Peptidiques -I. Approche de la synthese des alcaloides peptidiques. 2.Preparation d’ansapeptides a 15, 17 et 18 chainons”, Tetrahedron, 1978, 34:2917-26により開示されている。
【0040】
I. Funaki他、“Synthesis of 3-aminopyrrolidin-2-ones by an intramolecular reaction of aziridinecaroboxamides”, Tetrahedron, 1996, 52:9909-24は、4,5−二置換−3−アミノ−γ−ラクタムを製造するためのN−置換アジリジンカルボキサミドを開示している。
【0041】
T. Wakamiya他、“Synthesis of threo-3-methylcysteine from threonine”, Bull. Chem. Soc. Jpn., 1982, 55(12):3878-81は、3−メチルシステインを生成するためのチオ安息香酸と3−メチル−2−アジリジンカルボン酸誘導体との反応を開示している。
【0042】
K. Nakajima他、“Studies on 2-aziridinecarboxylic acid. VII. Formation of dehydroamino acid peptides via isomerization of peptides conatining 2-aziridinecarboxylic acid by tertiary amines”, Bull. Chem. Soc. Jpn., 1982, 55(10):323-36は、第三アミンによるベンジルオキシカルボニル−2−アジリジンカルボン酸誘導体の処理により調製されたデヒドロヒダントイン誘導体を開示している。
【0043】
K. Okawa他、“Studies of hydroxy amino acids. V. Synthesis and N-acylation of 3-methyl-L-azylylglycine benzyl ester”, Chem. Letters, 1975:591-94は、ヒドロキシアミノ酸誘導体に対するβ−脱離反応の中間体としてのアジリジン誘導体を開示している。
【0044】
K. Nakajima他、“The reaction of peptides containing β-hydroxy-α-amino acid with Mitsubobu reagents”, Peptide Chemistry, 1983, 20:19-24は、2−アジリジンカルボン酸誘導体を開示している。
【0045】
D. Tanner他、“Nucleophilic ring opening of C2-symmetric aziridines. Synthetic equivalents for the β-cation of aspartic acid”, Tetrahedron Letters, 1990, 31(13):1903-6は、求核攻撃を受けてアスパラギン酸のβ−カチオンから形式上誘導される生成物を提供する2,3−アジリジン二カルボン酸エステルを開示している。
【0046】
WO 2001/32622 A1は、HFでフッ素化される(S)−(+)−2−ベンジル−1−(p−トリルスルホニル)アジリジンを含んで成るニコチン受容体アゴニストの正モジュレーターを開示している。
【0047】
Sz. Lehel他、“Synthesis of 5’-N-(2-[18F]Fluorethyl)-carboxamidoadenosine: A promising tracer for investigation of adenosine receptor system by PET technique”, J. Labelled Cpd. and Radiopharm., 2000, 43:807-815は、標的化合物を得るためのアジリジン前駆体を開示している。
【0048】
タンパク質と反応させるとそれと結合して共有結合ペプチドリガンド−タンパク質複合体を形成することによって、結合の速度論を変更するために使われる、アジリジンを含有する反応性ペプチドリガンドの調製は、WO 98/14208 Aに記載されている。
【0049】
従って、本発明の目的は、時間、費用及び放射性化合物の追加の精製工程を省くため、及び腫瘍の検出用のレセプター特異的ペプチドに基づいて放射性トレーサーを獲得するための放射性フッ素化法を提供するために、二以上の化学的段階ではなくたった一段階で複雑な生体分子のフッ素放射性標識、特に18F標識のための実用的で且つ温和な技術を開発することである。
【発明の概要】
【0050】
第一の観点では、本発明は、好ましい一段階放射性標識目的で適当に活性化されているアジリジン環を含んで成る新規化合物であって、ここで標的用剤が直接又は適当なリンカーを介して、アジリジン環又はアジリジン環に縮合されている五員の炭素環もしくは複素環に結合される。それらの化合物は、一段階放射性標識、即ち放射性ハロゲン化、更に好ましくは放射性フッ素化のための前駆体である。
【0051】
第二の観点では、本発明は、アジリジン環の開環フッ素化反応により、特にフッ素同位体により、得られる化合物、及びそれの無機又は有機酸の医薬上許容される塩、それの水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグに関する。
【0052】
第三の観点では、本発明は、フッ素化された化合物並びにそれの無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグに向けられる。
【0053】
第四の観点では、本発明は、本発明の第一観点に従った化合物を適当な反応条件下で適当なフッ素化剤と反応させることにより、そのような化合物を調製する方法に関する。そのような方法は、一般化学式I,II及びIIIのいずれか1つを有する化合物をフッ素化剤と反応させる段階を含んで成る。
【0054】
第五の観点では、本発明は、本発明の第一観点に従った化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、又は本発明に第四観点に従った方法により調製された化合物を含む、フッ素化化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物又もしくはプロドラッグと、更に医薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤又はアジュバントとを含んで成る組成物に関する。
【0055】
第六の観点では、本発明は、本発明の第一観点に従った化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ(前駆体)を、該前駆体との混合物として提供される許容される担体、希釈剤、賦形剤又はアジュバントと共に含んで成るキット又は第三観点に従ったフッ素化化合物の製造のためのキットに関する。更なる観点では、本発明は、本発明の第三観点に従ったフッ素化化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、又は例えば粉末形での本発明の第五観点に従った組成物、及び前記フッ素化化合物又はそれの塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグの、又はヒトを含む動物へのそれの投与のための前記組成物の、生理学的に許容される溶液を調製するための適当な溶媒を含有するキットに関する。
【0056】
第七の観点では、本発明は、画像診断、特にポジトロン放出断層撮影法のための、上述したような任意のフッ素化化合物又はそれの塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、又は各々の組成物もしくはキットの使用に向けられる。更に、本発明は、医薬として使用される、好ましくは造影剤として使用される、より好ましくはポジトロン放出断層撮影法の造影剤として使用される、フッ素化化合物、より好ましくは18F同位体で標識されたフッ素化化合物に向けられる。この観点の別の変形では、本発明は、生物学的アッセイ及びクロマトグラフィー同定に使用される、フッ素化化合物、より好ましくは19Fで標識されており且つ一般化学式IIを有するフッ素化化合物にも関する。
【0057】
第八の観点では、本発明は、患者に検出可能な量の一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A,II-F-B, III-F-A及びIII-F-Bのいずれか一つ又はBとB-Aそれぞれを有する標識化合物を患者に導入することを含んで成る、病気を画像診断する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0059】
発明の詳細な説明
本発明の明細書及び請求の範囲内で以後使用する時、単独での又は別の基の一部としての「アルキル」という語は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル、ヘキシル、デシルを指して言う。アルキル基は、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1〜C4アルコキシ基又はC6〜C12アリール基(この基は1〜3個のハロゲン原子により置換されてもよい)により置換されてもよい。より好ましいアルキルは、C1〜C10アルキル、C1〜C6アルキル、又はC1〜C4アルキルである。
【0060】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、単独での又は別の基の一部としての「シクロアルキル」という語は、3〜20個の炭素原子を有するアルキル基の単環式又は二環式鎖を言い、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを言う。より好ましくは、シクロアルキルはC3〜C10シクロアルキル又はC5〜C8シクロアルキル、より好ましくはC6シクロアルキルである。
【0061】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、単独での又は別の基の一部としての「ヘテロシクロアルキル」という語は、シクロアルキルの3〜20個の単環もしくは二環原子を有し;且つ炭素原子と1,2,3又は4個の酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子とを含有する基を言う。より好ましくは、ヘテロシクロアルキルはC3〜C10ヘテロシクロアルキル、C5〜C8ヘテロシクロアルキル又はC5〜C14ヘテロシクロアルキル、最も好ましくはC6ヘテロシクロアルキルである。
【0062】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アラルキル」という語は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、フェニルブチル及びジフェニルエチルのようなアリール置換アルキル基を言う。
【0063】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アリールオキシ」という語は、その基が酸素を介して核に結合されている、酸素を有するアリール基を言い、その例はフェノキシである。
【0064】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アルケニル」及び「アルキニル」という語は、アルキルについて定義されたのと同様であるが、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合又は三重結合をそれぞれ含有する。より好ましくはC2〜C6アルケニル又はC2〜C6アルキニルである。
【0065】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「低級の直鎖状又は分枝状アルキル」という語は次の意味を有するものとする:不飽和を含まず且つ1〜8個の炭素原子を有する、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状の、一価又は二価の基であり、例えば非限定的にメチル、エチル、n−プロピル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、n−ヘプチル等である。
【0066】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アラルケニル」という語は、上記に定義したアルケニルに連結された芳香族構造(アリール)を言う。
【0067】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アルコキシ(又はアルキルオキシ)、アリールオキシ及びアラルケニルオキシ」という語は、酸素により連結されているアルキル、アリール及びアラルケニル基をそれぞれ言い、ここでアルキル、アリール及びアラルケニル部分は上記に定義されている。
【0068】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「無機もしくは有機酸の塩」「無機酸」もしくは「有機酸」という語は無機酸、非限定的に:炭酸、硝酸、リン酸、塩化水素酸、過塩素酸もしくは硫酸のような酸又はそれの塩、例えば硫酸水素カリウム;又は適当な有機酸、例えば非限定的に脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、芳香族環式、複素環式カルボン酸及びスルホン酸のような酸であり、その例としては蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、ピルビン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、フマル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、パモ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ファントテン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びスルファニル酸がそれぞれ挙げられる。
【0069】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、単独での又は別の基の一部としての「アリール」という語は、環部分に6〜12個の炭素原子、好ましくは環部分に6〜10個の炭素原子を含有する単環式又は二環式芳香族基を言い、例えばフェニル、ナフチル又はテトラヒドロナフチルである。
【0070】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、単独での又は別の基の一部としての「ヘテロアリール」という語は、5〜14個の環原子;環状配列で共有する6,10又は14のπ電子を有し;そして炭素原子と1,2,3又は4個の酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子とを含有する基を言う(ヘテロアリール基の例は、チエニル、ベンゾ〔b〕チエニル、ナフト〔2,3−b〕チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル及びフェノキサジニルである)。
【0071】
置換されたという用語を使用するときは常に、「置換された」を使う表現で指摘される原子上の1又は複数の水素が、指摘した原子の通常の原子価を超えないことを前提として、指摘した基からの選択肢により置換されることを意味し、そして該置換が化学的に安定な化合物、即ち、反応混合物から有用な純度への単離と医薬組成物への製剤化を受けるのに十分な位に強固である化合物中に置換を引き起すことを意味する。置換基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1〜C4アルコキシ基又はC6〜C12アリール基(これらの基は例えば1〜3個のハロゲン原子により置換されてもよい)から選択され得る。
【0072】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「フッ素同位体」(F)という語は、フッ素原子要素の全ての同位体を指して言う。フッ素同位体(F)は放射性又は非放射性同位体から選択される。放射性フッ素同位体は18Fから選択される。非放射性「cold」同位体は19Fから選択される。
【0073】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「プロドラッグ」という語は、式IIに従って活性な親薬物を放出する、任意の共有結合により結合した化合物を意味する。本明細書を通して使用する「プロドラッグ」という語は、薬理学的に許容される誘導体、例えばエステル、アミド及びリン酸を意味し、結果として起こる該誘導体の生体内生物変換が式(I)の化合物に定義される活性薬剤であるような誘導体を意味する。プロドラッグを一般的に記載しているGoodmann & Gilmanによる参考文献(The Pharmacological Basis of Therapeutics,第8版, McGraw-HiM, Int.編, 1992, “Biotransformation of Drugs”, 13-15頁)は本明細書中に組み込まれる。本発明の化合物のプロドラッグは、日常的な操作か生体内のいずれかで修飾が開裂されるような方法で化合物中に存在する官能基を親化合物に変更することにより調製される。本発明の化合物のプロドラッグとしては、例えばヒドロキシ基、例えば不斉炭素原子上のヒドロキシ基、又は該プロドラッグを患者に投与すると開裂して遊離ヒドロキシル基もしくは遊離アミノ基を生成する任意の基に結合させる化合物が挙げられる。
【0074】
プロドラッグの典型例は、例えばWO 99/33795, WO 99/33815, WO 99/33793及びWO 99/33792中に記載されており、それらは全て参考として本明細書中に組み込まれる。プロドラッグは、優れた水溶解度、増加した生物利用能により特徴づけられ、そして生体内で活性阻害剤へと容易に代謝される。
【0075】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アミノ酸配列」及び「ペプチド」という語は、少なくとも2つのアミノ酸の(多重)縮合により得られるポリアミドとして定義される。
【0076】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アミノ酸」という語は、少なくとも1つのアミノ基と少なくとも1つのカルボキシル基を含んで成るが、分子内に1つもペプチド結合をもたない任意の分子を意味する。言い換えれば、アミノ酸はカルボン酸官能基と少なくとも1つの遊離水素を好ましくはそのα位に有するアミン窒素を含有するが、分子構造中に1つもアミド結合をもたない分子である。よって、N末端に遊離アミノ基とC末端に遊離カルボキシル基を有するジペプチドは、上記定義の単一「アミノ酸」として見なすべきではない。そのような縮合から得られる2つの隣接アミノ酸残基の間のペプチド結合は、「ペプチド結合」として定義される。任意に、ポリアミド骨格の窒素原子(上記にNHと示されたもの)が例えばC1〜C6アルキル、好ましくはCH3により独立にアルキル化されることがある。
【0077】
本明細書中で用いるアミド結合は、次の構造を有する任意の共有結合
【化2】

【0078】
を意味し、ここで一方の分子によりカルボニル基が提供されそしてもう一方の分子によりNH基が提供され、それらが互いに連結される。そのような多重縮合から得られる2つの隣接アミノ酸残基間のアミド結合は、「ペプチド結合」として定義される。任意に、ポリアミド骨格の窒素原子(上記にNHと示されたもの)が例えば−C1〜C6アルキル、好ましくは−CH3により独立にアルキル化されることがある。
【0079】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、アミノ酸残基は、別のアミノ酸とペプチド結合を形成することにより対応するアミノ酸から誘導される。
【0080】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、アミノ酸配列は天然の及び/又は合成の/人工のアミノ酸残基、タンパク形成及び/又は非タンパク形成アミノ酸残基を含んで成ることができる。非タンパク形成アミノ酸残基は、(a)タンパク形成アミノ酸のホモ誘導体、(b)タンパク形成アミノ酸残基のβ−ホモ誘導体、及び(c)更に非タンパク形成アミノ酸残基として更に分類することができる。
【0081】
従って、アミノ酸残基は、次の対応するアミノ酸から、例えば
・タンパク形成アミノ酸、即ちAla, Arg, Asn, Asp, Cys, Gln, Glu, Gly, His, Ile, Leu, Lys, Met, Phe, Pro, Ser, Thr, Trp, Tyr及びVal;又は
・非タンパク形成アミノ酸、例えば
【0082】
・側鎖がメチレン基により伸長されているタンパク形成アミノ基のホモ誘導体、例えばホモアラニン(Hal)、ホモアルギニン(Har)、ホモシステイン(Hcy)、ホモグルタミン(Hgl)、ホモヒスチジン(Hhi)、ホモイソロイシン(Hil)、ホモロイシン(Hle)、ホモリジン(Hly)、ホモメチオニン(Hme)、ホモフェニルアラニン(Hph)、ホモプロリン(Hpr)、ホモセリン(Hse)、ホモスレオニン(Hth)、ホモトリプトファン(Htr)、ホモチロシン(Hty)及びホモバリン(Hva);
【0083】
・α−炭素とカルボキシル基の間にメチレン基が挿入されているタンパク形成アミノ酸のβ−ホモ類似体、例えばβ−ホモアラニン(βHal)、β−ホモアルギニン(βHar)、β−ホモアスパラギン(βHas)、β−ホモシステイン(βHcy)、β−ホモグルタミン(βHgl)、β−ホモヒスチジン(βHhi)、β−ホモイソロイシン(βHil)、β−ホモロイシン(βHle)、β−ホモリジン(βHly)、β−ホモメチオニン(βHme)、β−ホモフェニルアラニン(βHph)、β−ホモプロリン(βHpr)、β−ホモセリン(βHse)、β−ホモスレオニン(βHth)、β−ホモトリプトファン(βHtr)、β−ホモチロシン(βHty)、及びβ−ホモバリン(βHva);
【0084】
・更なる非タンパク形成アミノ酸、例えばα−アミノアジピン酸(Aad)、β−アミノアジピン酸(βAad)、α−アミノ酪酸(Abu)、α−アミノイソ酪酸(Aib)、β−アラニン(βAla)、4−アミノ酪酸(4-Abu)、5−アミノ吉草酸(5-Ava)、6−アミノヘキサン酸(6-Ahx)、8−アミノオクタン酸(8-Aoc)、9−アミノノナン酸(9-Anc)、10−アミノデカン酸(10-Adc)、12−アミノドデカン酸(12-Ado)、α−アミノスベリン酸(Asu)、アゼチジン−2−カルボン酸(Aze)、β−シクロヘキシルアラニン(Cha)、シトルリン(Cit)、デヒドロアラニン(Dha)、γ−カルボキシグルタミン酸(Gla)、α−シクロヘキシルグリシン(Chg)、プロパルギルグリシン(Pra)、ピログルタミン酸(Glp)、α−tert−ブチルグリシン(Tle)、4−ベンゾイルフェニルアラニン(Bpa)、δ−ヒドロキシリジン(Hyl)、4−ヒドロキシプロリン(Hyp)、アロ−イソロイシン(alle)、ランチオニン(Lan)、(1−ナフチル)アラニン(1-Nal)、(2−ナフチル)アラニン(2-Nal)、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)、オルニチン(Orn)、フェニルグリシン(Phg)、ピペコール酸(Pip)、サルコシン(Sar)、セレノシステイン(Sec)、スタチン(Sta)、β−チエニルアラニン(Thi)、1,2,3,4−テトラヒドロイソチノリン−3−カルボン酸(Tic)、アロスレオニン(aThr)、チアゾリジン−4−カルボン酸(Thz)、γ−アミノ酪酸(GABA)、イソシステイン(iso-Cys)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、2,4−ジアミノ酪酸(Dab)、3,4−ジアミノ酪酸(γβDab)、ビフェニルアラニン(Bip)、パラ位で−C1〜C6アルキル、−ハライド、−NH2、−CO2Hにより置換されたフェニルアラニン又はPhe(4-R)(ここでR=−C1〜C6アルキル、−ハライド、−NH2又は−CO2H);ペプチド核酸(PNA, P.E. Nielsen, Acc. Chem. Res. 32, 624-30参照);
【0085】
・又はそれらのN−アルキル化類似体、例えばそれらのN−メチル化類似体
から誘導される。
【0086】
環状アミノ酸はタンパク形成又は非タンパク形成であることができ、例えばPro, Aze, Glp, Hyp, Pip, Tic及びThzであることができる。
【0087】
他の例及び詳細については、例えばJ.H. Jones, J. Peptide Sci., 2003, 9, 1-8を参照することができ、それは参考として本明細書中に組み込まれる。
【0088】
本発明の明細書及び請求の範囲中で使用する時、「非タンパク形成アミノ酸」及び「非タンパク形成アミノ酸残基」という語は、タンパク形成アミノ酸の誘導体も包含する。例えば、タンパク性アミノ酸残基の側鎖を誘導体化し、それによりタンパク形成アミノ酸残基を「非タンパク形成」にすることができる。アミノ酸配列の末端のタンパク形成アミノ酸残基のC末端及び/又はN末端の誘導体にも同じことが当てはまる。
【0089】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、タンパク形成アミノ酸残基は、L又はD−配置のいずれかのAla, Arg, Asn, Asp, Cys, Gln, Glu, Gly, His, Ile, Leu, Lys, Met, Phe, Pro, Ser, Thr, Trp, Tyr及びValから成る群より選択されたタンパク形成アミノ酸から誘導され;Thr及びIle中の第二の不斉中心はR又はS配置のいずれを有してもよい。従って、例えば、天然に起こり得るアミノ酸配列の任意の翻訳後修飾、例えばN−アルキル化は、対応する修飾アミノ酸残基を「非タンパク形成」にするが、前記アミノ酸残基は本来はタンパク質中に組み込まれている。好ましくは、修飾アミノ酸はN−アルキル化アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸、ランチオニン、デヒドロアミノ酸、及びアルキル化グアニジン成分を有するアミノ酸から選択される。
【0090】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「ペプチド模倣体」という語は、ペプチドに関連するが異なる性質を有する分子を言う。ペプチド模倣体は、ペプチドを模倣するようにデザインされた小さいタンパク様鎖である。それらは、典型的には分子の性質を変更するための現存のペプチドの修飾から生じる。例えば、それらは分子の安定性又は生物活性を変更するための修飾から生じてもよい。これは現存のペプチドからの薬剤様化合物の開発において役割を果たし得る。それらの修飾は、天然には存在しないであろうペプチドへの変更を含む。
【0091】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、単独での「ペプチド類似体」という語は、構造及び/又は機能の面で天然のペプチドと類似している合成又は天然化合物を言う。
【0092】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「医薬上許容される塩」という語は、無機及び有機酸、例えば鉱酸、例としては非限定的に、炭酸、硝酸又は硫酸のような酸、又は有機酸、例としては非限定的に脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のような酸の塩が挙げられ、その例は蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、ピルビン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、パモ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ファントテン酸、トルエンスルホン酸及びスルファニル酸の塩である。
【0093】
異性体の不斉中心又は別の形が本発明の一般化学式A,I,II,III又はIVを有する化合物中に存在するならば、後述するように、鏡像体及びジアステレオ異性体を包含するそのような異性体の全ての形がその中に包含される。不斉中心を含む化合物は、ラセミ体混合物としてもしくは鏡像体上豊富な混合物として使用することができ、又は周知の技術を使ってラセミ体混合物を分離し、そして個々の鏡像体を単独で使用することができる。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス異性体とトランス異性体の両方が本発明の範囲内に含まれる。化合物が互換異性体形、例えばケト−エノール互換異性体で存在する場合、それらが同等で又は一方が優先的に存在すかどうかに関わらず、各互換異性体が本発明の範囲内に含まれると意図される。
【0094】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「オリゴヌクレオチド」という語は、次の意味:典型的には20個以下の塩基を有するヌクレオチドの短鎖配列を有するだろう。例としては、非限定的に、Svenn Klussmannによる本“The aptamers handbook. Functional oligonucleotides and their application”, Wiley-VCH, 2006中で命名されそして言及された分子である。そのようなオリゴヌクレオチドの一例はTTA1(J. Nucl. Med., 2006, 4月, 47(4):668-78)である。
【0095】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「アプタマー」という語は、4〜100ヌクレオチドを含んで成るオリゴヌクレオチドを言い、ここで少なくとも2つの単一オリゴヌクレオチドがホスホジエステル結合を介して互いに連結されている。前記アプタマーは標的分子に特異的に結合する能力を有する(例えば、M. Famulok, G. Mayer, “Aptamers as Tools in Molecular Biology and Immunology”, “Combinatorial Chemistry in Biology, Current Topics in Microbiology and Immunology”(M. Famulok, CH Wong, EL Winnacker編)中、Springer Verlag Heidelberg, 1999, 第243巻, 123-136を参照のこと)。或る種の標的に対して特異性を有する前記アプタマーを生成するための当業者に周知の多数の方法がある。その一例はWO 01/09390 A中に与えられ、その開示は参考として本明細書中に組み込まれる。前記アプタマーは、置換された又は未置換の天然及び非天然ヌクレオチドを含んで成ってもよい。アプタマーは例えば自動シンセサイザーを使って試験管内で合成することができる。本発明に係るアプタマーは、例えばピリミジンのリボース骨格の2′−フルオロ置換基に対する及びプリン核酸中の2′−O−メチル置換基に対する2′−OH基の置換により、ヌクレアーゼ分解に対して安定化することができる。加えて、3′ヌクレオチドを反転させて、最後から二番目の塩基に3′−3′結合を有する新しい5′−OH基を形成させることにより、アプタマーの3′末端をエキソヌクレアーゼ分解に対して保護することができる。
【0096】
本発明の目的上、「ヌクレオチド」という語は、窒素含有塩基、五炭糖、及び1又は複数のリン酸基を含んで成る分子を指して言う。前記塩基の例は、非限定的に、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル及びチミンを含んで成る。非天然の、置換された又は未置換の塩基も含まれる。五炭糖の例は、非限定的に、D−リボース及びD−2−デオキシリボースを含んで成る。別の天然の及び非天然の、置換された又は未置換の五炭糖も含まれる。本発明に用いられるヌクレオチドは、1〜3個のリン酸基を含んで成ることができる。
【0097】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「ハロゲン」という語はF,Cl,Br及びIを指す。
【0098】
異性体中心の不斉中心又は別の形が化合物中に存在する場合、鏡像体及びジアステレオ同位体を包含するそのような異性体の全ての形がその中に包含される。不斉中心を含む化合物は、ラセミ体混合物としてもしくは鏡像体上豊富な混合物として使用することができ、又は周知の技術を使ってラセミ体混合物を分離し、そして個々の鏡像体を単独で使用することができる。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス異性体とトランス異性体の両方が本発明の範囲内に含まれる。化合物が互換異性体形、例えばケト−エノール互換異性体で存在し得る場合、それらが同等で又は一方が優先的に存在すかどうかに関わらず、各互換異性体が本発明の範囲内に含まれると意図される。
【0099】
本明細書全体を通して使用する略号は次の意味を有する:
Ts:トシル
Ns:ニトロフェニルスルフェニル
Cbz:カルボベンゾキシ
Bz:ベンゾイル
Bn:ベンジル
Boc:tert−ブトキシカルボニル
Fmoc:9−フルオレニルメトキシカルボニル
Tr:トリフェニルメチル
【0100】
本発明の目的は後述するように解決される。
第一の観点では、本発明は標識目的用に適当に活性化されているアジリジン環を含んで成る新規化合物であって、標的剤基は、直接に又は適当なリンカーを経由して、アジリジン環か又はアジリジン環に縮合されている縮合五員炭素環又は複素環のいずれかに結合されている、新規化合物を提供する。
【0101】
本発明の第一観点に係る好ましい第一の変形では、そのような化合物は一般化学式Iにより表わすことができる:
【化3】

【0102】
上式中
RはTs,2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されたフェニルスルホニル、Ns, Cbz, Bz, Bn, Boc, Fmoc、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、Tr又はアシルを表し;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の又は直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, ハロゲン, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)(NR3)2を表し;
【0103】
3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルを表し;
1とR4は独立に、水素、置換された及び未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルから成る群より選択され;
Lは標的用剤基との結合に適当なリンカーを表し;そして
Bは標的用剤基を表す。
【0104】
この第一変形によれば、本発明は更に、一般化学式Iを有する化合物の無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグに関する。
【0105】
この第一変形の好ましい態様では、RはTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されているフェニルスルホニル、又はNsであることができ;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, Cl, Br, I, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)(NR3)2を表し;
3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルを表す。
【0106】
この第一変形のより好ましい態様では、Rは2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル又は1〜5個のR2成分により置換されているフェニルスルホニルであることができ;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、又はOR3を表し、R3は置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルを表す。
【0107】
この第一変形の好ましい態様では、R1とR4は、独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルから成る群より選択することができる。
この第一変形のより好ましい態様では、R1とR4が水素を表す。
【0108】
第一観点に従ったこの好ましい第一変形では、式Iと合同である次の別の一般化学式Aを使って定義することができる:
RG--L1--B1--Y--E (A)
【0109】
式中
RGは、フッ素同位体と付加物を形成して化学的に且つ生物学的に安定な結合を提供することができる、L1に結合した1もしくは複数の原子基又は反応性成分であり、
1は反応性基(RG)が結合する成分基又は結合であり、
1はスペーサーにリンカーを結合する官能基又は官能基を含有する鎖であり、
Yは結合又はスペーサーであり、そして
Eは生体分子である。
【0110】
上記一般化学式Iを有する化合物は、RGがN−置換アジリジン:
【化4】

【0111】
(ここでJはSO2,COであり、
ただしJがSO2であるならば、Wは未置換の又は置換されたフェニル、NH2、NHR3、N(R3)2、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで前記フェニル環の置換は独立に又は一緒になって直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルから選択され、そしてR3はC1〜C6アルキル又はアラルキルであり、
更にJがCOであるならば、Wは未置換の又は置換されたフェニル、ベンジルオキシ、フルオレニルメチル、メトキシ、エトキシ又はアリルオキシであり、ここで前記フェニル環の置換は独立に又は一緒になって直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルから選択されることを前提とする)
であるならば、上記一般化学式Aを使って定義することができる。
【0112】
一般化学式Aに関して言うと、より好ましい態様では、RGはN−ベンゼンスルホニルアジリジニル、N−p−トルエンスルホニルアジリジニル、N−2,4,6−トリイソプロピルスルホニルアジリジニル、N−3,4−ジメトキシフェニルスルホニルアジリジニルを含んで成る群より選択される。より好ましくは、RGはN−ベンゼンスルホニルアジリジニル、p−トルエンスルホニルアジリジニル又はN−2,4,6−トリイソプロピルスルホニルアジリジニルであることができる。
【0113】
一般化学式Aに関して言うと、より好ましい態様では、L1は結合又は直鎖状もしくは分枝状C1〜C6アルキルであることができる。更により好ましくは、L1は結合である。
【0114】
更に、一般化学式Aに関して言うと、好ましい態様では、−B1−は結合、-C(=O)-, -(CH2)d-C(=O)-, -SO-, -C≡C-C(=O)-, -[CH2]m-D-[CH2]-C(=O)-, -[CH2]m-D-[CH2]n-SO2-, -C(=O)-O-, -NR10-, -O-, -(S)p-, -C(=O)NR12-, -C(=S)NR12-, -C(=S)O-, C1〜C6シクロアルキル、アルケニル、ヘテロシクロアルキル、未置換の又は置換されたアリール、未置換の又は置換されたヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキレンオキシ、アリーレンオキシ、アラルコキシ、-SO2NR13-, NR13SO2-, -NR13C(=O)O-, -NR13C(=O)NR12-, -NH-NH- 及び-NH-O-を含んで成る群より選択することができ、
【0115】
ここでdは1〜6の整数であり、
m及びnは独立に0〜5の任意整数であることができ、
Dは結合、−S−,−O−又は−NR9−を表し、
9は水素、C1〜C10アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアラルキルを表し、
pは1〜3の任意整数であることができ、
10とR12は独立に、水素、C1〜C10アルキル、アリール、ヘテロアリール又はアラルキルを表し、そして
13は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状のC1〜C6アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルを表す。
【0116】
更に、一般化学式Aに関して言うと、より好ましくは、−B1−は好ましくは-C(=O)-及び-C≡C-C(=O)-から選択され、更により好ましくは−B1−は-C(=O)−である。
【0117】
一般化学式Iを有する化合物に関するこの別の定義において、RGは次の成分:
【化5】

に相当し、基L1−B1はL(リンカー)に相当し、そして基Y−EはB(標的用剤)に相当し、ここでEは生体分子である。
【0118】
本発明の好ましい化合物は以下のものである:
1−(トルエン−4−スルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly−Val−βAla−Phe−Gly−アミド、
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly−Val−βAla−Phe−Gly−アミド、
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸〔(3−{3−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}プロピルカルバモイル)メチル〕アミド。
【0119】
本発明の第一観点に従った好ましい第二変形において、そのような化合物は一般化学式IIにより表わされる:
【0120】
【化6】

【0121】
式中
1とR4は独立に水素、置換された及び未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルを含んで成る群より選択され、
Lは標的用剤基と結合するのにそしてアジリジン環の適当な活性化のための適当なリンカーを表し、
Bは標的用剤基を表す。
【0122】
第二変形によれば、本発明は更に、一般化学式IIを有する化合物の無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグにも関する。
【0123】
この第二変形の好ましい態様では、R1とR4は独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択される。
【0124】
本発明の第一観点に従った第三変形において、そのような化合物は一般化学式IIIにより表わされる:
【0125】
【化7】

【0126】
式中
RはTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されているフェニルスルホニル、Ns, Cbz, Bz, Bn, Boc, Fmoc, メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、Tr又はアシルを表し、
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシキロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, Cl, Br, I, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)N(R3)2を表し;ここでR3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルを表し;
1及びR4は独立に、水素、置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルを含んで成る群より選択され;
Xは水素により置換されたN又はCを表し;
Lは標的用剤基との結合に適したリンカーを表し;そして
Bは標的用剤基を表す。
【0127】
この第三変形によれば、本発明は更に、一般化学式IIIを有する化合物の無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグにも関する。
【0128】
この第三変形の好ましい態様では、RはTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されたフェニスルホニル、又はNsであることができ;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, Cl, Br, I, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3, C(=O)N(R3)2を表し、ここでR3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、又はアリールを表し;
1及びR4は独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択され;
Xは水素により置換されたN又はCを表す。
【0129】
更に好ましい態様では、RはTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、又は1〜5個のR2成分により置換されたフェニルスルホニルを表し;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、OR3, SR3, Cl, Br, I, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)N(R3)2を表し、ここでR3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、又はアリールを表し;
1及びR4は独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択され;そして
XはNを表す。
【0130】
全ての変形において、リンカー−L−は、好ましくは置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヘテロシクロアルキル、未置換の又は置換されたアリール、未置換の又は置換されたヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキルオキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、-C(=O)-, -C(=O)O-, -C(=O)NH-, -C(=O)N-(CH2)n-C(=O)-, -C(=O)-(CH2)n-C(=O)-, -SO2-, -SO2NR3-, NR3SO2-, -NR3C(=O)O-, -NR3C(=O)NR3-, -NR3-, -NH-NH-, -NH-O-, -(CH2)n-C(=O)-NR3-CH2-C(=O)-, -SO2-(未置換の又は置換されたアリール)-(CH2)n-C(=O)-,
【0131】
【化8】

【0132】
を表し、
ここでnは1〜3であることができ、−A−は−S−又は−NR3−を表し;
3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルを表す。
【0133】
リンカー−L−は、より好ましくは、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、−(置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル)−C(=O)-、-C(=O)-, -C(=O)NH-, -C(=O)N-(CH2)n-C(=O)-又は-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-を含んで成る群より選択され、ここでn=1〜3である。
【0134】
更に、全ての変形において、標的用剤基Bは、好ましくはペプチド、小分子及びオリゴヌクレオチドを含んで成る群より選択された生体分子を含んで成る。該生体分子はペプチド模倣物であることもできる。
【0135】
生体分子が小分子であるならば、リンカー−L−は好ましくは-C(=O)-ではない。よって、そのような場合、−L−は好ましくは、
置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヘテロシクロアルキル、未置換の又は置換されたアリール、未置換の又は置換されたヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキルオキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、-C(=O)O-, -C(=O)NH-, -C(=O)N-(CH2)n-C(=O)-及び-C(=O)-(CH2)n-C-(=O)-, -SO2-, -SO2NR3-, -NR3SO2-, NR3C(=O)O-, -NR3C(=O)NR3-, -NR3-, -NH-NH-, -NH-O-(CH2)n-C(=O)-NR3-CH2-C(=O)-, -SO2-(未置換の又は置換されたアリール)-(CH2)n-C(=O)-,
【0136】
【化9】

【0137】
から成る群より選択することができ、
ここでnは1〜3であることができ、
−A−は−S−又は−NR3−を表し、
ここでR3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルを表すか;
あるいは更により好ましくは、
直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、−(置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル)−C(=O)-, -C(=O)NH-, -C(=O)N-(CH2)n-C(=O)-又は-C(=O)-(CH2)2-C(=O)-を含んで成る群より選択することができ、ここでn=1〜3である。
【0138】
標的用剤基Bは、反応性成分Yが任意に連結された生体分子Eであり、Yは生体分子と化合物の残部とを連結する働きをし、例えば-NR’-, -(CH2)n-NR′-,-(CH2)n-O-又は-(CH2)n-S-であることができ、ここでR′は水素又はアルキルであり、そしてnは1〜6の整数である。よって、BはY−Eであり、ここでYは結合又はスペーサーである。
【0139】
より好ましい態様では、Yは天然しくは非天然のアミノ酸配列又は非アミノ酸基から選択されたスペーサーである。
【0140】
より好ましくは、Yは2〜20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列であることができる。
【0141】
より好ましくは、YはArg-Ser, Arg-Ava, Lys(Me)2-β-Ala, Lys(Me)2-Ser, Arg-β-Ala, Ser-Ser, Ser-Thr, Arg-Thr, S-アルキルシステイン、システイン酸、チオアルキルシステイン(S-S−アルキル)又は
【0142】
【化10】

【0143】
(ここでk及びlは0〜4である)
であることができる。
【0144】
より好ましくは、Yは
NH-(CH2)p-C(=O)
(ここでpは2〜10の整数である)、
NH-(CH2-CH2-O)q-CH2-CH2-C(=O)
(ここでqは0〜5の整数である)、
-NH-シクロアルキル-CO-
(ここでシクロアルキルはC5〜C8シクロアルキルから選択され、より好ましくはC6原子シクロアルキルから選択される)、及び
-NH-ヘテロシクロアルキル-(CH2)v-CO-
(ここでヘテロシクロアルキルは炭素原子と1,2,3又は4個の酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子、より好ましくは1又は2個のヘテロ原子、更により好ましくは1個のヘテロ原子とを含有するC5〜C8ヘテロシクロアルキルから選択され、そしてvは1〜2の整数である)
から選択される非アミノ酸成分である。
【0145】
Eは生体分子である。生体分子Eは好ましくはペプチド、ペプチド模倣物、小分子及びオリゴヌクレオチドを含んで成る群より選択される。
【0146】
本発明の明細書及び請求の範囲中で以後使用する時、「標的用剤」及び「生体分子」という語は、それらの結合した放射性核種を生態系中の特定の部位に標的指向する又は送達する化合物又は成分に向けられる。標的用剤又は生体分子は、哺乳類の体内の標的部位に結合するか又はそこに蓄積する任意化合物又は化学成分であることができ、即ち、該化合物は周囲組織よりも標的部位に大部分が局在化する。
【0147】
生態系の或る部位を標的指向するのに有効な小分子は生体分子Eとして使用することができる。小さな有機分子は「小化学要素」でもある。本明細書中で使用する時、「小化学要素」という語は、次の意味を有するべきである:小化学要素は200〜800、又は150〜700、好ましくは200〜700、より好ましくは250〜700、更により好ましくは300〜700、更により好ましくは350〜700、そして最も好ましくは400〜700の分子量を有する化合物である。本明細書中で使用する小化学要素は、一般化学式I,II及びIIIの化合物中の分子の残部にLを経由して連結された、少なくとも1つの芳香族又はヘテロ芳香族環を更に含んでもよくそして/又は第一及び/あるいは第二アミン、チオール又はヒドロキシル基を有してもよい。そのような標的用剤成分は当業界で既知であり、それらを調製する方法も既知である。
【0148】
小分子標的用剤/生体分子は、好ましくは次の参考文献中に記載されたものから選択することができる:P.L. Jager, M.A. Korte, M.N. Lub-de Hooge, A. van Waarde, K.P. Koopmans, P.J. Perik and E.G.E. de Vries, Cancer Imaging, (2005) 5, 27-32; W.D. Heiss and K. Herholz, J. Nuc. Med. (2006) 47(2), 302-312;及びT. Higuchi & M. Schwaiger, Curr. Cardiol. Rep. (2006) 8(2), 131-138。より具体的には、小分子標的用剤/生体分子の例を下記に列挙する。
【0149】
【表1】

【0150】
更なる様々な小分子標的用剤/生体分子並びにそれの標的がW.D. Heiss & K. Herholz, 前掲の表1中及びT. Higuchi, M. Schwaiger,前掲の表1中に与えられている。
【0151】
更に好ましい生体分子は、糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、抗体、アプタマー、脂質、ホルモン(ステロイド及び非ステロイド)、神経伝達物質、薬物(合成又は天然)、レセプターアゴニスト及びアンタゴニスト、デンドリマー、フラーレン、ウイルス粒子、並びに他の標的用分子/生体分子(例えば癌標的用分子)である。
【0152】
更に、生体分子Eはペプチドであることができる。Eは2〜100アミノ酸、より好ましくは4〜100アミノ酸を含んで成るペプチドであることができる。
【0153】
本発明の更に好ましい態様では、生体分子は、ソマトスタチン並びにその誘導体及び関連ペプチド、ソマトスタチン受容体特異的ペプチド、神経ペプチドY並びにその誘導体及び関連ペプチド、神経ペプチドY1及びその類似体、ボンベシン並びにその誘導体及び関連ペプチド、ガストリン、ガストリン放出ペプチド及びその誘導体及び関連ペプチド、上皮増殖因子(様々な起源のEGF)、インスリン増殖因子(IGF)及びIGF−1、インテグリン(α3β1,αvβ3,αvβ5,allb3)、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト、形質転換増殖因子、特にTGF−α;アンギオテンシン;コレシストキニン受容体ペプチド、コレシストキニン(CCK)及びその類似体;ニューロテンシン及びその類似体、チロトロピン放出ホルモン、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)及びその関連ペプチド、ケモカイン、細胞表面基質メタロプロテイナーゼの基質及び阻害剤、プロラクチン及びその類似体、腫瘍壊死因子、インターロイキン(IL-1, IL-2, IL-4又はIL-6)、インターフェロン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)及びその関連ペプチドを含んで成る群より選択されるペプチドであることができる。そのようなペプチドは4〜100アミノ酸を含んで成り、そのアミノ酸は天然及び非天然アミノ酸から選択され、そして修飾された天然及び非天然アミノ酸も含んで成る。
【0154】
本発明の更に好ましい態様では、生体分子はボンベシン及びボンベシン類似体、好ましくは下記に列挙する配列を有するもの、ソマトスタチン及びソマトスタチン類似体、好ましくは下記に列挙する配列を有するもの、神経ペプチドY1及びその類似体、好ましくは下記に列挙する配列を有するもの、血管作動性腸管ペプチド(VIP)及びその類似体を含んで成る群より選択される。
【0155】
本発明の更に好ましい態様では、生体分子はボンベシン、ソマトスタチン、神経ペプチドY1、血管作動性腸管ペプチド(VIP)及びそれらの類似体を含んで成る群から選択することができる。
【0156】
本発明の更にずっと好ましい態様では、生体分子Eはボンベシン、ソマトスタチンもしくは神経ペプチドY1またはその誘導体であることができる。
本発明の更にずっと好ましい態様では、生体分子はボンベシン又はその誘導体であることができる。
【0157】
ボンベシンは、前立腺癌、乳癌及び転移癌中のヒトGRP受容体に対して高特異性で結合するヒトガストリン放出ペプチド(GRP)の類似体である14アミノ酸ペプチドである。本発明の更により好ましい態様では、生体分子Eは配列III又はIVを有するボンベシン類似体を含んで成る:
【0158】
AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-NT1T2(A型)III
ここでT1=T2=H、T1=H,T2=OH、T1=CH3,T2=OH
AA1=Gln, Asn, Phe(4-CO-NH2)
AA2=Trp, D-Trp
AA3=Ala, Ser, Val
AA4=Val, Ser, Thr
AA5=Gly, (N-Me)Gly
AA6=His, His(3-Me), (N-Me)His, (N-Me)His(3-Me)
AA7=Sta, スタチン類似体及び異性体、4-Am,5-MeHpA, 4-Am,5-MeHxA及びγ−置換アミノ酸
AA8=Leu, Cpa, Cba, CpnA, Cha, t-buGly, tBuAla, Met, Nle, iso-Bu-Gly
【0159】
AA1-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-NT1T2(B型)IV
ここでT1=T2=H、T1=H,T2=OH、T1=CH3,T2=OH
AA1=Gln, Asn, Phe(4-CO-NH2)
AA2=Trp, D-Trp
AA3=Ala, Ser, Val
AA4=Val, Ser, Thr
AA5=βAla, 下記に示すようなβ2-及びβ3-アミノ酸
【0160】
【化11】

【0161】
ここでSCはタンパク形成アミノ酸及びタンパク形成アミノ酸の相同体中に見つかる側鎖を表し、
AA6=His, His(3-Me), (N-Me)His, (N-Me)His(3-Me)
AA7=Phe, Tha, Nal,
AA8=Leu, Cpa, Cba, CpnA, Cha, t-BuGly, tBuAla, Met, Nle, iso-Bu-Gly。
【0162】
従って、本発明の更により好ましい態様では、生体分子は配列III又はIVを有するボンベシン類似体を含んで成る群より選択される。
【0163】
更に好ましい態様では、ボンベシン類似体は次の配列を有する:
配列番号 E
・配列番号1 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-Sta-Leu-NH2
・配列番号2 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(Me)-Sta-Leu-NH2
・配列番号3 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-Sta-Leu-NH2
・配列番号4 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-Sta-Leu-NH2
・配列番号7 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-Sta-Cpa-NH2
・配列番号8 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号12 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号17 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
【0164】
・配列番号23 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Cpa-NH2
・配列番号27 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-FA02010-Cpa-NH2
・配列番号28 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-4-Am,5-MeHpA-tbuGly-NH2
・配列番号30 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-Sta-tBuGly-NH2
・配列番号32 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号33 Gln-DTrp-Ala-Val-Gly-His-4-Am,5-MeHpA-tbuGly-NH2
・配列番号34 Gln-DTrp-Ala-Val-Gly-His-4-Am,5-MeHxA-Cpa-NH2
・配列番号35 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-Sta-Cpa-NH2
【0165】
・配列番号36 Gln-DTrp-Ala-Val-Gly-His-Sta-tBuAla-NH2
・配列番号42 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-Sta-Cpa-NH2
・配列番号43 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-Sta-tBuGly-NH2
・配列番号46 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号48 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号49 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-NMeHis-4-Am,5-MeHpA-Cpa-NH2
・配列番号49 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-NMeHis(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号50 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-NMeHis-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
【0166】
・配列番号51 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-AHMHxA-Leu-NH2
・配列番号52 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-NMeHis-Tha-Cpa-NH2
・配列番号53 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-NMeHis-Phe-Cpa-NH2
・配列番号54 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-NMeHis-Phe-Leu-NH2
・配列番号55 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-DHis-Phe-Leu-NH2
・配列番号56 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His-βhLeu-Leu-NH2
・配列番号57 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His-βhIle-Leu-NH2
・配列番号58 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His-βhLeu-tBuGly-NH2
【0167】
・配列番号59 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His(3Me)-Phe-Tha-NH2
・配列番号60 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His(3Me)-Phe-Nle-NH2
・配列番号61 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-NMeHis-Phe-tbuGly-NH2
・配列番号62 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-NMeHis-Tha-tbuGly-NH2
・配列番号63 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His(3Me)-Tha-tBuGly-NH2
・配列番号64 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His(3Me)-Phe-Cpa-NH2
・配列番号65 Gln-Trp-Ala-NMeVal-βAla-His-Phe-Leu-NH2
・配列番号66 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His-NMePhe-Leu-NH2
【0168】
・配列番号67 Gln-DTrp-Ala-Val-βAla-His-Phe-Leu-NH2
・配列番号68 Gln-Trp-DAla-Val-βAla-His-Phe-Leu-NH2
・配列番号69 Gln-Trp-Ala-DVal-βAla-His-Phe-Leu-NH2
・配列番号70 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His-DPhe-Leu-NH2
・配列番号71 Gln-Trp-Ala-Val-βAla-His-βhIle-tbuGly-NH2
・配列番号72 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-4-Am,5-MeHpA-Cpa-NH2
・配列番号73 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-Sta-Cpa-NH2
・配列番号74 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-Sta-tbuAla-NH2
【0169】
・配列番号75 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His-4-Am,5-MeHpA-tbuAla-NH2
・配列番号77 Gln-Trp-Ala-Val-His(Me)-Sta-Leu-NH2
・配列番号82 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-FA4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号90 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号91 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-4-Am,5-MeHpA-Leu-NH2
・配列番号101 Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA−4−アミノ−5−メチルヘプタン酸−Leu-NH2
・配列番号102 Gln-Trp-Ala-Val-NMeGly-His(3Me)-4-Am,5-MeHpA−4−アミノ−5−メチルヘプタン酸−Cpa-NH2
【0170】
より好ましくは、ボンベシン類似体はフッ素原子(F)により付加的に標識され、フッソ原子(F)は18F又は19Fから選択される。より好ましくはボンベシン類似体は18Fで放射性標識される。ボンベシン類似体は好ましくは本発明の放射性フッ素化法を使って放射性標識される。
【0171】
前立腺癌、乳癌及び転移癌中に存在するヒトGRP受容体に特異的に結合する上記ボンベシン類似体は、一般化学式Iを有する化合物の一部分であることができ、それらは生体分子を形成し、生体分子は任意に該生体分子と本発明の化合物(式I,II)の残部との間の結合、例えば−NR′,−NR′−(CH2)n−,−O−(CH2)n−又は−S−(CH2)n−(ここでR′は水素又はアルキルであり、そしてnは1〜6の整数である)として働く反応性成分Zに連結されてもよい。ボンベシン類似体は配列番号1〜配列番号102の配列を有するペプチドであることができ、そして好ましくはそれらのうちの1つを有することができる。より好ましくは、ボンベシン類似体はフッソ同位体(F)で付加的に放射性標識され、ここでFは18F又は19Fである。より好ましくは、ボンベシン類似体は本発明の放射性フッ素化法を使って放射性標識される。
【0172】
より好ましい態様では、ソマトスタチン類似体は次の配列を有する:
・配列番号104 c[Lys-(NMe)Phe-1Nal-D-Trp-Lys-Thr]
・配列番号105 c[Dpr-Met-(NMe)Phe-Tyr-D-Trp-Lys]
【0173】
より好ましい態様では、神経ペプチドY1類似体は次の配列を有する:
・配列番号106 DCys-Leu-Ile-Thr-Arg-Cys-Arg-Tyr-NH2
・配列番号107 DCys-Leu-Ile-Val-Arg-Cys-Arg-Tyr-NH2
はジスルフィド結合を示す)
【0174】
より好ましい態様では、該ペプチドは次の配列のいずれか1つを有するテトラペプチドである:
・バリル−β−アラニル−フェニルアラニル−グリシンアミド
・バリル−β−アラニル−ヒスチジル(π−Me)−グリシンアミド
【0175】
更に好ましい態様では、標的用剤Bは4〜100ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを含んで成る群より選択することができる。好ましいオリゴヌクレオチドはTTA1(実験の項目を参照のこと)である。
【0176】
本発明の更に好ましい態様では、生体分子Eは、生物活性分子と本発明の化合物(式I,II,III)の残部との間の結合として働く反応性成分、例えば−NR′、NR′−(CH2)n−,−O−(CH2)n−又は−S−(CH2)n−(ここでR′は水素又はアルキルであり、そしてnは1〜6の整数である)と一緒に、標的部位に結合するのに適した上述の生物活性分子のいずれかの組み合わせを含んで成ることができる。
【0177】
第二観点によれば、本発明は、適当な前駆体分子を標的用剤又はそれの前駆体と反応させることにより、新規化合物、好ましくは一般化学式I,II及びIIIのいずれか1つを有する化合物を調製する方法に向けられる。
【0178】
本発明の第三観点は、新規フッ素化化合物並びにそれの無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグに関する。
【0179】
この第三観点の第一変形では、本発明は、本発明の第一観点の新規化合物の1つ、より好ましくは一般化学式I,II及びIIIを有する化合物のいずれか1つのアジリジン環の開環フッ素化反応により得られる化合物に関する。この第一変形では、本発明はそれの医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグにも関する。
【0180】
この第三観点の第二変形では、本発明は、一般化学式I-F-A及びI-F-Bのいずれか1つを有するフッ素化化合物に関する。
【0181】
【化12】

【0182】
式中、R,R1,R4,L及びBは上記に示した意味を有し;そしてFは上記に定義したようなフッ素同位体である。
【0183】
この第二変形によれば、本発明は更に、一般化学式I-F-A及びI-F-Bのいずれか1つを有する化合物の無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグにも関する。
【0184】
第二観点に従ったこの好ましい態様では、本発明は更に、一般化学式Bを有するフッ素で標識された放射性医薬品に関する:
F--L2--B2--Y--E B
【0185】
ここで
Fはフッ素同位体であり、
2はFが結合している成分基又は結合であり、
2は、スペーサーYによりL2と連結する官能基を含有する官能基又は鎖であり、
Yは結合又はスペーサーであり、
Eは生体分子である。
【0186】
好ましい態様では、Fは18F又は19Fである。
【0187】
より好ましくは、Fが18Fである場合、フッ素で標識された放射性医薬品は一般化学式B-Aを有する:
[18]F--L2--B2--Y--E B-A
【0188】
より好ましくは、Fが19Fである場合、フッ素で標識された放射性医薬品は一般化学式B-Bを有する:
[19]F--L2--B2--Y--E B-B
【0189】
ここでL2はβ位にFが結合しているα−(置換)アミノエチルであり、J及びWは上記のように定義される:
【化13】

【0190】
一般化学式BのB2は、一般化学式A及び好ましい態様のB1と同一である。
一般化学式BのYは、一般化学式A及び好ましい態様のYと同一である。
一般化学式BのEは、一般化学式A及び好ましい態様のEと同一である。
【0191】
この第三観点の第三変形では、本発明は一般化学式II-F-A及びII-F-Bのいずれか1つを有するフッ素化化合物に関する:
【0192】
【化14】

ここでR,R1,R4,L及びBは上記に与えた意味を有し;Fは上記に定義したようなフッ素同位体である。
【0193】
この第三変形によれば、本発明は更に、一般化学式II-F-A及びII-F-Bのいずれか1つを有する化合物の無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグにも関する。
【0194】
この第三観点の第四変形では、本発明は、一般化学式III-F-A及びIII-F-Bのいずれか1つを有するフッ素化化合物に関する:
【0195】
【化15】

ここでR,R1,R4,L及びBは上記に与えた意味を有し;Fは上記に定義したフッ素同位体である。
【0196】
この第四変形によれば、本発明は更に、一般化学式III-F-A及びIII-F-Bのいずれか1つを有する化合物の無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグにも関する。
【0197】
第五観点では、本発明は、本発明の第一観点に係る化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、例えば一般化学式I,II及びIIIのいずれか1つを有する化合物、本発明の第三観点に係るフッ素化化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、例えば一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A及びIII-F-Bのいずれか1つを有する化合物、を含んで成る組成物に関する。該組成物は医薬上供される担体、希釈剤、賦形剤又はアジュバントを更に含んで成る。
【0198】
第六観点では、本発明は、第三観点の化合物の製造のための、許容される担体、希釈剤、賦形剤又はアジュバントと共に予め決められた量の第一観点の一般化学式I,II及びIIIの化合物を含有する密封バイアルを含んで成るキットに関する。
【0199】
更なる観点では、本発明は、例えば粉末形の、上記に定義したようなフッ素化化合物のいずれか又は該化合物を含んで成る組成物、及びヒトを含む動物への投与用の該化合物又は組成物の溶液を調製するための適当な溶剤を含有する容器を含んで成るキットに向けられる。
【0200】
第七観点では、本発明は、画像診断、特にポジトロン放出断層撮影法のための、上記に定義した任意のフッ素化化合物、又は各々の組成物もしくはキットの使用に向けられる。この使用は、最も好ましくは腫瘍の画像診断、炎症性及び/又は神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の多発性硬化症の画像診断、又は血管形成関連疾患、例えば固形腫瘍の増殖及び関節リウマチの画像診断に役立つ。
【0201】
更に、この観点での本発明は、医薬としての使用、好ましくは造影剤としての使用、より好ましくはポジトロン放出断層撮影法用の造影剤としての使用のための、18F同位体で標識されたフッ素化化合物に向けられる。この観点の別の変形では、本発明は、生物学的アッセイ及びクロマトグラフィー同定において使用されるフッ素化化合物、より好ましくは19Fで標識され且つ一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A又はIII-F-Bのいずれか1つを有するフッ素化化合物の使用に関する。より好ましくは、本発明は、一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A又はIII-F-Bのいずれか1つを有する化合物の製造のための、測定剤としての一般化学式I,II及びIIIのいずれか1つを有する化合物の使用に関する。
【0202】
第八観点では、本発明は更に、病気を画像診断する方法であって、検出可能な量の一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A, III-F-Bを有する標識化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグを患者に導入し、そして患者を画像診断することを含んで成る方法に関する。
【0203】
本発明の化合物は、様々な癌、例えば非限定的に、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌を含む肺癌、食道、胆嚢、膀胱、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺、前立腺及び皮膚のような癌腫、リンパ腫及び骨髄腫の造血性腫瘍、間葉起源の腫瘍、中枢末梢神経系の腫瘍、他の腫瘍、例えば黒色腫、セミノーマ、四肢癌腫、骨肉腫、色素沈着、角質黄色腫及び甲状腺ろ胞癌並びにカポジ肉腫といった癌腫の画像診断に有用である。
【0204】
最も好ましくは、その使用は腫瘍の画像診断だけでなく、炎症性及び/又は神経変性疾患、例えば多発性硬化症もしくはアルツハイマー病の画像診断、又は血管形成関連疾患、例えば固形腫瘍の増殖及び関節リウマチの画像診断のためでもある。
【0205】
本発明により提供される式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A及びIII-F-Bを有する放射性標識化合物は、任意の医薬上許容される担体中、例えば常用の媒質、例えば水性食塩水媒質中、又は血清培地中で、静脈注射用の医薬組成物として、静脈内投与することができる。そのような媒質は、例えば浸透圧を調整するための医薬上許容される塩、緩衝剤、保存剤等のような常用の製薬材料も含有してよい。好ましい媒質の中には生理的食塩水及び血漿がある。適当な医薬上許容される担体は当業者に周知である。この点で、例えばRemington's Practice of Pharmacy, 第11版, 及びJ. of Pharmaceutical Science & Technology, 第52巻, 5号, 9月-10月, 第238-311頁及び第240-311頁の表も参照することができる。この両刊行物とも参考として本明細書中に組み込まれる。
【0206】
例えば水性媒質中の、一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A及びIII-F-Bを有するフッ素化化合物及び医薬上許容される担体の濃度は、特定の使用分野によって異なる。画像診断標的(例えば腫瘍)の十分な視覚化が達成された時、医薬上許容される担体中に十分な量が存在する。
【0207】
本発明によれば、中性組成物として又は医薬上許容される対イオンとの塩としての一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A及びIII-F-Bを有する放射性標識化合物は、単位注射量で投与される。当業者に既知である常用の担体、例えば滅菌食塩溶液又は血漿のいずれも、診断的に造影される種々の臓器、腫瘍等への注射可能な溶液を調製するための放射性標識後に使用することができる。一般に、診断薬として投与すべき単位投与量は、約0.1 mCi〜約100 mCi、好ましくは1 mCi〜20 mCiの放射能を有する。放射治療剤の場合は、治療単位投与量は約10 mCi〜700 mCi、好ましくは50 mCi〜400 mCiである。単位投与量で注射する溶液は、約0.01 ml〜約30 mlである。静脈投与後の診断目的には、生体内の臓器又は腫瘍の画像診断は数分の程度で行うことができる。しかしながら、所望であれば、患者への注入後に数時間又はそれ以上で画像診断が行われる。大部分の場合、シンチグラフィー画像の撮影を可能にするのに十分な量の投与量が、約0.1時間以内に造影されるべき領域中に蓄積するだろう。診断目的のシンチグラフィー画像診断のいずれの常法も本発明に従って使用できる。
【0208】
よって、本発明の態様は、造影剤としてすぐ使用できる化合物の18Fフッ素化を伴う方法を含む。フッ素化にかけられる化合物は、画像診断目的の標的用剤を既に含有する。本発明の好ましい態様は、18Fでフッ素化する前の、前駆体分子(標的用剤を含んでもよい)の形成を含み、この形成は、動物、特にヒトへの投与用の化合物の調製より前の工程の最終段階である。
【0209】
本明細書中に記載されるアジリジンの使用は該工程を容易にする。よって、アジリジンから出発して次いで18Fフッ素化にかけられる、所望のPET造影剤が提案される。
【0210】
そのようなアジリジン上の置換基としては、標的用剤のその後の付加に備えてデザインされた連結基又は反応性基が挙げられる。連結基は脂肪族又は芳香族分子を含み、そして選択された適当に官能化された標的用剤への結合を容易に形成することができる。様々なそのような基が当業界で既知である。その例としては、いずれかの側にあるカルボン酸、カルボン酸クロリド及び活性エステル、スルホン酸、スルホニルクロリド、アミン、ヒドロキシド、チオール等が挙げられる。
【0211】
本明細書中で考慮されるのは、アジリジン環と標的用剤の間のイオン性、疎水性及び他の非共有結合に備える基でもある。
【0212】
第四観点では、本発明は、上記に定義したような第一観点に係る新規アジリジン化合物の1つを適当なフッ素化剤と反応させることにより、そのような化合物を調製する方法に向けられる。
【0213】
適当な条件としては、非限定的に、当業者に既知である例えば典型的な反応容器(例えばWheatonバイアル)中で又はマイクロリアクター中で実施される放射性フッ素化反応が挙げられる。この反応は、典型的な方法、例えば油浴、ヒートブロック又はマイクロ波を使用することによって加熱される。
【0214】
好ましくは、前記フッ素化剤はK18F,H18F,KH182又は18Fのテトラアルキルアンモニウム塩であることができ、最も好ましくはK18Fである。
溶媒を使用してもよく、溶媒はDMF,DMSO,MeCN,DMA,DMAAであることができ、好ましくはDMSOである。溶媒は上記に指摘したような溶媒の混合物であることもできる。
【0215】
放射性フッ素化反応は、塩基としての炭酸カリウム及びクラウンエーテルとしての“クリプトフィックス(kryptofix)”を含むジメチルホルムアミド中で実施することができる。しかし専門家に周知である別の溶媒も使用できる。好ましい態様では、フッ素化剤は4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ〔8.8.8〕ヘキサコサンK18F(クラウンエーテル塩Kryptofix K18F),K18F,H18F,KH182又は18Fのテトラアルキルアンモニウム塩である。より好ましくは、フッ素化剤はK18F,H18F又はKH182である。
【0216】
言及される可能な条件としては、非限定的に、溶媒としてのジメチルスルホキシド及びアセトニトリル、並びに塩基としてのテトラアルキルアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウムカーボネートが挙げられる。そのような反応には補助溶媒として水及び/又はアルコールを含めることができる。放射性フッ素化反応は1〜45分間実施される。好ましい反応時間は3〜40分間である。更に好ましい反応時間は5〜30分である。
【0217】
この新規条件は、18F放射性標識反応における無機酸及び/又は有機酸の使用を含む。好ましくは有機酸が18F放射性標識反応に使用される。より好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族、複素環式カルボン酸及びスルホン酸が18F放射性標識反応に使用される。最も好ましくは脂肪族カルボン酸が使用され、例えば非限定的にプロピオン酸、酢酸及び蟻酸が使用される。
【0218】
該方法は、好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下の反応温度のもとで行うことができる。
【0219】
一般化学式I-F-A, I-F-B, II-F-A, II-F-B, III-F-A及びIII-F-Bのいずれか1つを有する化合物を調製する好ましい方法では、一般化学式I,II及びIIIのいずれか1つを有する化合物の放射性フッ素化段階が、90℃以下、より好ましくは10〜90℃の範囲内の温度で、更により好ましくは室温〜80℃の反応温度で、更により好ましくは10℃〜70℃の範囲内の温度で、更により好ましくは30℃〜60℃の範囲内の温度で、更により好ましくは45〜55℃の範囲内の温度で、そして最も好ましくは50℃の温度で実施される。
【0220】
新規方法は、最終生成物が前駆体から一段階で調製されることを保証する。所望により唯一の精製段階を実施するので、それによって調製を短時間で達成することができる(18Fの半減期を考慮すると)。典型的な補欠分子族調製では、100℃以上の温度を使用するのは非常にまれである。本発明は、最終生成物の生物学的特性を保存する温度で(80℃以下)調製を達成する方法を提供する。
【0221】
標識の例
第一例
18Fフッ素(40 GBqまで)を、110-120℃で20〜30分間窒素流の下で加熱することにより、Kryptofix 222(1.5 ml MeCN中5 mg)及び炭酸セシウム(0.5 mlの水中2.3 mg)の存在下で共沸的に乾燥した。この時間の間に、3×1mlのMeCNを添加しそして蒸発させた。乾燥後、150μlのDMSO中の前駆体(2mg)の溶液を添加した。反応容器を密封し、50〜70℃で5〜15分間加熱して標識を行った。反応液を室温に冷却し、水(2.7 ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLCを使って分析した。調製用HPLC比により生成物を得、所望の18F標識ペプチドを与えた。
【0222】
更に精製することなく、当業者は、上記記載を使って、本発明の十分な範囲利用することができると思われる。従って、以下の特定態様は、単に開示の残部を例示するものであり且つどんな形にせよ限定するものでないと理解すべきである。
【0223】
本明細書中に引用される全ての出願、特許及び刊行物の全開示は本明細書中に参考として組み込まれる。
【0224】
次の例は、一般的に又は具体的に記載された本発明の反応体及び/又は操作条件を、上記実施例に使用したものに置換することにより、同様な好結果で反復することができる。
【0225】
上記記載から、当業者は、本発明の本質的特徴を容易に理解でき、且つ本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な用途及び条件に合うように本発明の様々な変更及び改良を行うことができる。
【0226】
化合物の調製のための一般法
分子のE−Z−Y−部分の標的用剤のラジカル部分、好ましくはペプチド部分は、ペプチド合成の技術分野において既知である一般的に確立された技術、例えば固相ペプチド合成に従って便利に調製することができる。それらは交互の保護と脱保護を使用する、Fmoc−固相ペプチド合成である。それらの方法はペプチド文献中に十分に論述されている。(参考文献:“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis : A practical approach”, W.C.Chan & P.D. White編, Oxford University Press 2000)(略語については説明を参照こと)。
【0227】
実施例
前駆体混合物の調製/合成の例を下記に示し、そしてそれは本明細書中に記載の本発明の幾つかの態様の例示である。これらの実施例はいかなる形でも本発明の精神及び範囲を制限すると解釈してはならない。それらの前駆体のアジリジン成分は容易にフッ素化することができ、例えば18Fでフッ素化することができる。非放射性(19F)化合物を調製したが、それは例えば標識生成物のHPLC分析用に、比較参考物として必要である。
【0228】
一般化学式I,II及びIIIを有する化合物の調製方法
スキーム1は、一般化学式Iを有する化合物の合成の可能な方法を示す。
【0229】
一般化学式Iを有する化合物は、市販のアジリジン1を使って出発するか又はアジリジン1の形成の方へのアルコールのメシル化もしくはトシル化及び求核置換を経由してα−アミノアルコールから合成することができる(示していない)。アジリジン上の置換パターンに依存して、不活性な保護基、例えばトリチルによる適当な官能基化の第一段階を実施する必要があるかもしれない。置換パターンがより安定なアジリジンをもたらすならば、それぞれフッ素化に必要な電子不足活性基が、合成配列の開始点から連続的に含められるかもしれない。ここに示す手順では、アジリジンをまずトリチルで保護し、次いでメチルエステル2のけん化を行う。生じた酸3を活性エステル4に変換した後にグリシンで処理するか、又は直接グリシンと結合させて伸長したリンカーを有するアジリジン誘導体5を与える。カルボキシレート官能基で直接置換されたアジリジンのようにn=0であるならば、これはアミドで置換されたアジリジンよりも低安定性である。このリンカー伸長はn>0ならば必要ない。次の段階でトリチル保護基を開裂させ、そして幾つかの別の基、好ましくは置換されたアリールスルホニル基を導入して(6)、求核置換(フッ素化)に対してアジリジンを活性化する。7へのけん化は構成要素の構築をもたらし、それを標的用剤に付加して標識用前駆体8を与えることができる。
【0230】
スキーム1
【化16】

【0231】
スキーム2は、一般化学式IIを有する化合物の合成の可能な経路を示す。
【0232】
一般化学式IIを有する化合物は、適当な置換されたアリール誘導体13を使って出発し、クロロスルホニル基を導入して14にし、次いで市販のニートのアジリジンを付加することにより置換されたアジリジン15を提供することにより合成することができる。けん化が構成要素16を与え、それを標的用剤に付加して標識用前駆体17を与えることができる。
【0233】
スキーム2
【化17】

【0234】
スキーム3は、一般化学式IIIを有する化合物の合成の可能な経路を示す。
【0235】
一般化学式IIIを有する化合物は、ジヒドロピロール20と4−クロロ−4−オキシ酪酸メチルエステル21の反応から出発して、置換されたジヒドロピロール22を与えることにより合成することができる。エポキシ化(23)、アジドによるエポキシドの開環(24)、生じたアルコールのトシル化(25)、アジドのシュタウディンガー(Staudinger)還元に続くトシレートの置換(26)のような下記段階を用いて、所望のアジリジン26を生成する。活性化基Rの異なる型、好ましくは置換されたアリールスルホニル基を導入して、27を与えることができる。けん化が構成要素28を与え、それを直接又は活性エステル29を介して標的用剤に付加し、標識用前駆体30を与えることができる。
【0236】
スキーム3
【化18】

【0237】
実験の詳細は下記の実験の部から明らかであろう。
【0238】
標識された誘導体をもたらすフッ素化反応は、全てのそのような様々な型のアジリジン化合物のフッ素化反応の典型例として、スキーム4に示される。
スキーム4
【0239】
a)I型
【化19】

【0240】
b)II型
【化20】

【0241】
c)III型
【化21】

【0242】
実験の部
実施例1
一般化学式Iを有する化合物及び対応するモデル化合物の調製
n=0の場合のスキーム1に従った調製。
1−トリチルアジリジン−2−カルボン酸メチルエステル2aの調製
【0243】
【化22】

【0244】
3 g(29.6ミリモル)のアジリジン1aを50 mlのジクロロメタンに溶かし、0℃に冷却した後、6.17 ml(44.51ミリモル)のトリエチルアミンと9.93 g(35.61ミリモル)のトリチルクロリドを添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、9.96g(98%)の2aが得られた。
【0245】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.41 (m,6H), 7.30-7.17 (m,9H), 3.77 (s,3H), 2.26 (dd,1H), 1.89 (dd,1H), 1.42 (dd,1H) ppm。
【0246】
1−トリチルアジリジン−2−カルボン酸3aの調製
【化23】

【0247】
7.45 g(21.69ミリモル)の2aを55 mlのテトラヒドロフランに溶かし、0℃に冷却し、そして34.7 ml(34.71ミリモル)の1N水酸化ナトリウム溶液で処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮し、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、6.91 g(97%)の3aが得られた。
【0248】
1H-NMR (MeOD):δ=7.45 (m,6H), 7.30-7.17 (m,9H), 2.16 (dd,1H), 1.78 (dd,1H), 1.40 (dd,1H) ppm。
【0249】
1−トリチルアジリジン−2−カルボン酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イルエステル4aの調製
【化24】

【0250】
910 mg(2.76ミリモル)の3aをジクロロメタンに溶かし、1.34 g(3.04ミリモル)のBOPと318 mg(2.76ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミドを添加し、そしてその溶液を0℃に冷却した。次いで0.76 ml(4.42ミリモル)のエチルジイソプロピルアミンをゆっくり添加し、その反応液を室温で一晩攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%クエン酸とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、760 mg(64%)の4aが得られた。
【0251】
1H-NMR (MeOD):δ=7.45 (m,6H), 7.30-7.17 (m,9H), 2.84 (s,4H), 2.44 (m,1H), 2.09 (dd,1H), 1.60 (dd,1H) ppm。
【0252】
{〔1−(トリチル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸メチルエステル5aの調製
【化25】

【0253】
218 mg(1.74ミリモル)のグリシンメチルエステル塩酸塩をDMF中に溶かし、そして0.36 ml(2.6ミリモル)のトリエチルアミンで処理した。室温で30分後、740 mg(1.74ミリモル)の4aを添加した。反応混合物を50℃で2時間攪拌し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、550 mg(79%)の5aが得られた。
【0254】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.45 (m,6H), 7.30-7.17 (m,9H), 4.22 (dd,1H), 4.10 (dd,1H), 3.81 (s,3H), 2.05 (m,2H), 1.50 (dd,1H) ppm。
【0255】
{〔1−(トルエン−4−スルホニル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸メチルエステル6aaの調製
【化26】

【0256】
2.3 g(5.74ミリモル)の5aを95 mlのクロロホルムに溶かし、0℃に冷却し、そして完全な変換が達成されるまでトリフルオロ酢酸で処理した。次いで混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で中和し、濃縮した。残渣を95 mlの酢酸エチル及び95 mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に懸濁し、次いでそれを(11.49ミリモル)のスルホン酸クロリドで処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、(21−47%)の6aaが得られた。
【0257】
1H-NMR (MeOD):δ=7.83 (d,2H), 7.45 (d,2H), 3.89 (s,2H), 3.67 (s,3H), 3.30 (d,1H), 2.76 (d,1H), 2.50 (d,1H), 2.44 (s,3H) ppm。
【0258】
{〔1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸メチルエステル6abの調製
【化27】

【0259】
この化合物は6aaと同様にして調製した。
1H-NMR (MeOD):δ=7.33 (s,2H), 4.33 (sept,2H), 3.98 (d,2H), 3.73 (s,3H), 3.43 (dd,1H), 2.98 (sept,1H), 2.87 (d,1H), 2.60 (s,1H), 1.32-1.28 (m,18H) ppm。
【0260】
{〔1−(3,4−ジメトキシベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸メチルエステル6acの調製
【化28】

【0261】
この化合物は6aaと同様にして調製した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.56 (dd,1H), 7.41 (d,1H), 7.00 (d,1H), 6.62 (bt,1H), 4.03 (dd,1H), 3.97 (s,3H), 3.92 (dd,1H), 3.73 (s,3H), 3.28 (dd,1H), 2.83 (d,1H), 2.46 (d,1H)。
【0262】
{〔1−(トルエン−4−スルホニル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸7aaの調製
【化29】

【0263】
(1.18ミリモル)の6aaを15 mlのテトラヒドロフラン中に溶かし、0℃に冷却し、そして0.71 ml(1.42ミリモル)の2N水酸化ナトリウム溶液で処理した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、濃縮した。残渣を水中に取り、注意深くクエン酸で中和し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。生成物7aa(90〜97%)を更に精製せずに使用した。
1H-NMR (MeOD):δ=7.83 (d,2H), 7.44 (d,2H), 3.86 (s,2H), 3.30 (d,1H), 2.76 (d,1H), 2.51 (d,1H), 2.44 (s,3H) ppm。
【0264】
{〔1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸7abの調製
【化30】

【0265】
この化合物は7aaと同様にして調製した。
1H-NMR (MeOD):δ=7.27 (s,2H), 4.27 (sept,2H), 3.90 (d,2H), 3.99 (dd,1H), 2.93 (sept,1H), 2.78 (d,1H), 2.55 (d,1H), 1.30-1.23 (m,18H) ppm。
【0266】
{〔1−(3,4−ジメトキシベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボニル〕アミノ}酢酸7acの調製
【化31】

【0267】
この化合物は7aaと同様にして調製した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.56 (dd,1H), 7.39 (d,1H), 6.99 (d,1H), 6.78 (bt,1H), 4.09 (dd,1H), 3.96 (s,3H), 3.94 (dd,1H), 3.95 (s,3H), 3.32 (dd,1H), 2.80 (d,1H), 2.46 (d,1H) ppm。
【0268】
1−(トルエン−4−スルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド8aaaの調製
【化32】

【0269】
DMF中で浸潤した樹脂に結合したジ又はテトラペプチド0.1ミリモルを濾過し、1.5 mlのDMF中の0.3ミリモルの7aa、113.7 mg(0.3ミリモル)のHBTU及び104.5μl(0.6ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンの溶液に添加した。その混合物を4時間振盪し、濾過し、そして残った樹脂をDMFとジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥した。次いで樹脂を85%TFA、5%水、5%フェノール及び5%トリイソプロピルシランを含有する混合物1.5 mlで2時間処理し、濾過し、次いで20 mlのMTBE中で生成物を沈澱させた。その沈殿物をHPLCにより精製すると、7〜23%の8aaaが得られた。
HPLC-MS (ES+): m/z(%)=672(100)。
【0270】
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド8abaの調製
【化33】

【0271】
この化合物は、7abから出発して8aaaと同様にして調製した。
HPLC-MS (ES+): m/z(%)=784(100)。
【0272】
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−〔(3−{3−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}プロピルカルバモイル)メチル〕アミド8abbの調製
【0273】
【化34】

【0274】
60 mg(0.15ミリモル)の7abを4 mlのジクロロメタンに溶かし、次いで46μl(0.29ミリモル)のDICと76.5 mg(0.15ミリモル)の3−(3−アミノプロピル)−1−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオンを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、87 mg(65%)の8abbが得られた。
【0275】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.56 (s,1H), 7.21 (s,2H), 7.01 (t,1H), 6.72 (t,1H), 6.35 (t,1H), 4.51 (m,1H), 4.28 (sept,2H), 4.16 (m,1H), 4.08 (dd,1H), 3.97 (m,2H), 3.76 (dd,1H), 3.67 (dd,1H), 3.57 (dd,1H), 3.44 (dd,1H), 3.21 (s,3H), 3.18 (s,3H), 3.16 (m,2H), 2.92 (sept,1H), 2.86 (d,1H), 2.66 (d,1H), 2.36 (m,1H), 2.05 (dd,1H), 1.91 (s,3H), 1.82-1.76 (m,6H), 1.54-1.37 (m,14H), 1.30-1.26 (div.d,18H) ppm。
【0276】
フッ素化を試験するためのモデル化合物の調製
1−トリチルアジリジン−2−カルボン酸ヘンジルアミド9aの調製
【化35】

【0277】
6 g(14.07ミリモル)の4aを300 mlのジクロロメタンに溶かし、次いで1.57 ml(14.07ミリモル)のベンジルアミンを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、3.27 g(55%)の9aが得られた。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.43-7.20 (m,20H), 7.12 (t,1H), 4.76 (dd,1H), 4.35 (dd,1H), 2.09 (dd,1H), 2.02 (d,1H), 1.52 (d,1H) ppm。
【0278】
1−(トルエン−4−スルホニル)アジリジン−2−カルボン酸ベンジルアミド10aaの調製
【化36】

【0279】
220 mg(0.53ミリモル)の9aをクロロホルムに溶かし、0℃に冷却し、そして完全な変換が達成されるまでトリフルオロ酢酸で処理した。pH 6-7に達するまで飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加し、該溶液を濃縮した。残渣を15 mlの酢酸エチル中に取り、15 mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液に次いで(1.05ミリモル)のスルホン酸クロリドで処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、(43〜65%)の10aaが得られた。
【0280】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.81 (d,2H), 7.36 (d,2H), 7.29-7.26 (m,4H), 7.10 (dd,2H), 6.41 (bt,1H), 4.36 (dd,1H), 3.30 (dd,1H), 2.93 (d,1H), 2.47 (s,3H), 2.41 (d,1H) ppm。
【0281】
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸ベンジルアミド10abの調製
【化37】

【0282】
この化合物は10aaと同様にして調製した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.35-7.27 (m,4H), 7.17 (s,2H), 7.15 (m,1H), 6.32 (t,1H), 4.37 (dd,1H), 4.35 (dd,1H), 4.20 (sept,2H), 3.42 (dd,1H), 2.91 (sept,1H), 2.87 (d,1H), 2.38 (d,1H), 1.26 (d,6H), 1.19 (2d,12H) ppm。
【0283】
1−(3,4−ジメトキシベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸ベンジルアミド10acの調製
【化38】

【0284】
この化合物は10aaと同様にして調製した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.51 (dd,1H), 7.34-7.26 (m,5H), 7.11-7.08 (m,1H), 6.97 (d,1H), 6.41 (bt,1H), 4.39 (dd,1H), 4.33 (dd,1H), 3.97 (s,3H), 3.89 (s,3H), 3.29 (dd,1H), 2.83 (d,1H), 2.42 (d,1H) ppm。
【0285】
モデル化合物のフッ素化
N−ベンジル−3−フルオロ−2−(トルエン−4−スルホニルアミノ)プロピオンアミド11aaの調製
【化39】

【0286】
0.079ミリモルの10aaをDMSO中に溶かし、次いで32.75 mg(0.087ミリモル)のKryptofix 222及び5.05 mg(0.87ミリモル)のKFを添加した。反応混合物を50℃〜80℃で1時間攪拌し、酢酸エチル中に取り、そして飽和塩化アンモニウム溶液で抽出した。合わせた水性相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、(23〜71%)の11aaが得られた。
【0287】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.76 (d,2H), 7.38-7.26 (m,5H), 7.19 (d,2H), 6.72 (bt,1H), 5.41 (d,1H), 4.84 (ddd,1H), 4.45 (dd,1H), 4.40 (dd,1H), 4.20 (ddd,1H), 3.95 (m,1H), 2.44 (s,3H) ppm。
【0288】
N−ベンジル−3−フルオロ−2−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)プロピオンアミド11abの調製
【化40】

【0289】
この化合物は11aaと同様にして調製した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.35-7.16 (m,7H), 6.84 (bt,1H), 5.40 (d,1H), 4.90 (ddd,1H), 4.51 (dd,1H), 4.40 (dd,1H), 4.25 (ddd,1H), 4.06 (m,1H), 4.02 (sept,2H), 2.91 (sept,1H), 1.19 (m,18H) ppm。
【0290】
N−ベンジル−2−(3,4−ジメトキシベンゼンスルホニルアミノ)−3−フルオロプロピオンアミド11acの調製
【化41】

【0291】
この化合物は11aaと同様にして調製した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.48 (dd,1H), 7.34-7.26 (m,5H), 7.18 (d,1H), 6.92 (d,1H), 6.71 (bt,1H), 5.43 (d,1H), 4.84 (ddd,1H), 4.45 (dd,1H), 4.41 (dd,1H), 4.26 (ddd,1H), 3.95 (s,3H), 3.93 (m,1H), 3.90 (s,3H) ppm。
【0292】
フッ素化
3−フルオロ−2−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)プロピオン−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド32abaの調製
【化42】

【0293】
4 mg(5.1μM)のアジリジン8abaを、0.5 mlのDMSO中の1.2 mg(20.4μM)のKFと7.7 mg(20.4μM)のKryptofixの混合物で50℃にて15分間処理した。次いで反応混合物をHPLC−MSにより分析すると所望の生成物32abaへの10%の変換を示した。
HPLC-MS (ES+): m/z (%)=804.14(100)。
【0294】
3−フルオロ−N−〔(3−{3−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}プロピルカルバモイル)メチル〕−2−(トルエン−4−スルホニルアミノ)プロピオンアミド32abbの調製
【0295】
【化43】

【0296】
30 mg(0.033ミリモル)の8abbを1.5 mlのDMSO中に溶かし、次いで13.6 mg(0.036ミリモル)のKryptofix K222及び2.1 mg(0.036ミリモル)のKFを添加した。出発材料の完全な変換に達するまで反応混合物を50℃で30分間攪拌した。次いで該混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、ブラインで洗浄し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、5 mg(16%)の32abbが得られた。
【0297】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.62 (s,1H), 7.52 (dd,1H), 7.30 (t,1H), 7.18 (s,2H), 6.84 (d,1H), 6.34 (dd,1H), 4.89 (ddd,1H), 4.51 (m,1H), 4.42 (ddd,1H), 4.32 (dd,1H), 4.19-4.15 (m,2H), 4.11 (sept,2H), 4.01-3.97 (m,2H), 3.71-3.66 (m,2H), 3.57 (dd,1H), 3.30 (m,1H), 3.21 (s,3H), 3.18 (s,3H), 3.02 (m,1H), 2.91 (sept,1H), 2.40 (ddd,1H), 2.07-2.03 (m,2H), 1.88 (s,3H), 1.86-1.83 (m,2H), 1.80-1.72 (m,4H), 1.60-1.45 (m,16H), 1.27-1.24 (div.d,18H) ppm。
【0298】
実施例2
一般化学式IIを有する化合物及び対応するモデル化合物の調製
n=1を有するスキーム2に従った調製
(2−クロロスルホニル−3,5−ジメトキシフェニル)酢酸メチルエステル14aの調製
【0299】
【化44】

【0300】
0.4 ml(6ミリモル)のクロロスルホン酸を−10℃において4 mlのジクロロメタンに溶かし、次いで2 mlのジクロロメタン中の600 mg(2.85ミリモル)の(3,5−ジメトキシ−2−メチルフェニル)酢酸メチルエステル13aの溶液をゆっくり添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌し、50 mlの酢酸エチルエステルで希釈し、そして10 mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。相を分離し、水性相を酢酸エチルエステルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮すると、451 mg(51%)の粗製14aが得られ、それを更に精製せずに次の段階に使用した。
【0301】
1H-NMR (CDCl3):δ=6.54 (d,1H), 6.37 (d,1H), 4.03 (s,5H), 3.89 (s,3H), 3.72 (s,3H) ppm。
【0302】
〔2−(アジリジン−1−スルホニル)−3,5−ジメトキシフェニル〕酢酸メチルエステル15aの調製
【化45】

【0303】
0.22 ml(4.2ミリモル)のアジリジンを0℃において、3.5 mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液と7 mlの酢酸エチルの混合物中に溶かし、次いで432 mg(1.4ミリモル)の(2−クロロスルホニル−3,5−ジメトキシフェニル)酢酸メチルエステル14aを添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、307 mg(70%)の15aが得られた。
【0304】
1H-NMR (CDCl3):δ=6.52 (d,1H), 6.38 (d,1H), 4.05 (s,2H), 3.95 (s,3H), 3.86 (s,3H), 3.71 (s,3H), 2.44 (s,4H) ppm。
【0305】
実施例3
一般化学式IIIを有する化合物及び対応するモデル化合物の調製
n=1を有するスキーム3に従った調製
4−(2,5−ジヒドロピロール−1−イル)−4−オキソ酪酸メチルエステル22aの調製
【0306】
【化46】

【0307】
1 g(22.14ミリモル)の2,5−ジヒドロピロール20を60 mlのジクロロメタン中に溶媒し、0℃に冷却し、次いで3.3 ml(26.57ミリモル)の4−クロロ−4−オキソ酪酸メチルエステル21aと4.6 ml(33.21ミリモル)のトリエチルアミンをゆっくり添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、2.42g(60%)の22aが得られた。
【0308】
1H-NMR (CDCl3):δ=5.86 (m,1H), 5.80 (m,1H), 4.28-4.21 (m,4H), 3.69 (s,3H), 2.70 (m,2H), 2.57 (m,2H) ppm。
【0309】
4−(6−オキサ−3−アザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル)−4−オキソ酪酸メチルエステル23aの調製
【化47】

【0310】
2.24 g(12.23ミリモル)の22aを70 mlのジクロロメタン中に溶かし、次いで4.9 g(22.01ミリモル,77%)のmCPBAをゆっくり添加した。反応混合物を室温で4日間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、炭酸水素塩とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、1.34 g(55%)の23aが得られた。
1H-NMR (CDCl3):δ=4.01 (d,1H), 3.86 (d,1H), 3.82 (dd,1H), 3.78 (dd,1H), 3.73 (s,3H), 3.62 (d,1H), 3.44 (d,1H), 2.82-2.52 (m,4H) ppm。
【0311】
4−((3S,4S)−3−アジド−4−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−4−オキソ酪酸メチルエステル24aの調製
【化48】

【0312】
7.6g(38.15ミリモル)のエポキシド23aを250 mlのDMF中に溶かし、3.47g(53.41ミリモル)のアジ化ナトリウムで処理した。反応混合物を100℃で5時間攪拌し、冷却し、ジクロロメタンで希釈し、水とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮すると、4.6g(50%)の粗製24aが得られ、これを更に精製せずに次の段階に使用した。
1H-NMR (CDCl3,ジアステレオマーの混合物):δ=4.26 (m,1H), 4.03 (m,1H), 3.88-3.44 (m,4H), 3.67 (s,3H), 2.70-2.51 (m,4H) ppm。
【0313】
4−〔(3S,4S)−3−アジド−4−(トルエン−4−スルホニルオキシ)ピロリジン−1−イル〕−4−オキソ酪酸メチルエステル25aの調製
【化49】

【0314】
3.91g(16.14ミリモル)の24aをジクロロメタンに溶かし、0℃に冷却した後、5.6 ml(40.35ミリモル)のトリエチルアミン、590 mg(4.84ミリモル)のDMAP及び5.39g(28.25ミリモル)のトシルクロリドを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮し、酢酸エチル中に取り、飽和塩化アンモニウム溶液とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、4.07g(64%)の25aが得られた。
【0315】
1H-NMR (CDCl3,ジアステレオマーの混合物):δ=7.82 (d,2H), 7.79 (d,2H), 7.41 (d,2H), 7.38 (d,2H), 4.83 (m,1H), 4.76 (m,1H), 4.33 (m,1H), 4.13 (m,1H), 3.83-3.79 (m,2H), 3.68 (s,6H), 3.70-3.53 (m,6H), 2.66 (m,4H), 2.56-2.46 (m,4H), 2.48 (s,3H), 2.47 (s,3H) ppm。
【0316】
4−(3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル)−4−オキソ酪酸メチルエステル26aの調製
【化50】

【0317】
820 mg(2.07ミリモル)の25aを32 mlのアセトニトリル中に溶かし、次いで564 mg(2.14ミリモル)のトリフェニルホスフィンを添加した。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した後、0.9 ml(49ミリモル)の水を加えた。室温で一晩攪拌した後、0.8 ml(5.77ミリモル)のトリエチルアミンを加え、そして混合物を室温で更に5時間攪拌し、濃縮した。残渣をNH2−シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、263 mg(64%)の26aが得られた。
【0318】
1H-NMR (CDCl3):δ=3.91 (d,1H), 3.74 (d,1H), 3.68 (s,3H), 3.55 (d,1H), 3.42 (d,1H), 2.80-2.72 (bm,2H), 2.65 (dd,2H), 2.51 (dd,2H) ppm。
【0319】
4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕酪酸メチルエステル27aの調製
【化51】

【0320】
250 mg(1.26ミリモル)の26aを24 mlの酢酸エチルと24 mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液中に溶かし、次いで764 mg(2.52ミリモル)の2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニルクロリドを添加した。反応混合物を一晩攪拌し、次いで相を分離し、そして水性相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、265 mg(45%)の27aが得られた。
【0321】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.18 (s,2H), 4.28 (sept,2H), 3.94 (d,1H), 3.79 (d,1H), 3.70 (dd,1H), 3.67 (s,3H), 3.62 (dd,1H), 3.58 (dd,1H), 3.42 (dd,1H), 2.91 (sept,1H), 2.72-2.40 (m,4H), 1.27-1.24 (m,18H) ppm。
【0322】
4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕酪酸28aの調製
【化52】

【0323】
30 mg(0.065ミリモル)の27aを1 mlのTHF中に溶かし、0℃に冷却し、そして0.045 mlの2N NaOHで処理した。反応混合物を室温で5時間攪拌し、濃縮し、水で希釈し、そして10%水性クエン酸によりpHを4に調整した。この水性溶液を酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濃縮すると28 mg(96%)の28aが得られ、これを更に精製せずに使用した。
1H-NMR (CDCl3):δ=7.18 (s,2H), 4.27 (sept,2H), 3.95 (d,1H), 3.79 (d,1H), 3.70 (dd,1H), 3.62 (dd,1H), 3.58 (dd,1H), 3.45 (dd,1H), 2.91 (sept,1H), 2.70-2.45 (m,4H), 1.27-1.24 (m,18H) ppm。
【0324】
4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕酪酸2,5−ジオキシピロリジン−1−イルエステル29aの調製
【化53】

【0325】
180 mg(0.4ミリモル)の28aを3.6 mlのジクロロメタンに溶かし、次いで265 mg(0.6ミリモル)のBOPと50.6 mg(0.44ミリモル)のN−ヒドロキシスクシンイミドを添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いで0.12 ml(0.72ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。この混合物を室温で一晩攪拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%クエン酸、飽和炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、85 mg(39%)の29aが得られた。
【0326】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.17 (s,2H), 4.27 (sept,2H), 3.97 (d,1H), 3.77 (d,1H), 3.70 (dd,1H), 3.62-3.58 (m,2H), 3.42 (dd,1H), 2.99-2.87 (m,3H), 2.83 (s,4H), 2.58 (m,2H), 1.28-1.22 (div.d,18H) ppm。
【0327】
N−ベンジル−4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕ブチルアミド30aaの調製
【化54】

【0328】
A:96 mg(0.18ミリモル)の29aを2 mlのDMF中に溶かし、次いで0.019 ml(0.18ミリモル)のベンジルアミドを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、31 mg(30%)の30aaが得られた。
【0329】
B:78 mg(0.17ミリモル)の28aを4 mlのジクロロメタンに溶かし、次いで84.2 mg(0.19ミリモル)のBOPと18.9μl(0.17ミリモル)のベンジルアミンを添加した。この混合物を0℃に冷却し、0.044 ml(0.26ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%クエン酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、68 mg(73%)の30aaが得られた。
【0330】
1H-NMR (CDCl3):δ=7.33-7.23 (m,5H), 7.17 (s,2H), 6.31 (bt,1H), 4.39 (d,2H), 4.27 (sept,2H), 3.90 (d,1H), 3.77 (d,2H), 3.67 (dd,1H), 3.63-3.57 (m,2H), 3.36 (dd,1H), 2.91 (sept,1H), 2.61-2.43 (m,4H), 1.28-1.21 (div.d, 18H) ppm。
【0331】
4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕酪酸−βAla-Phe−アミド30abの調製
【化55】

【0332】
30 mg(0.067ミリモル)の28aを1 mlのジクロロメタンと0.2 mlのDMF中に溶かし、次いで10.42μl(0.067ミリモル)のDICと18.7 mg(0.067ミリモル)のジペプチドを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、21 mg(48%)の30abが得られた。
MS (ES+): m/z (%)=654(100)。
【0333】
4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕酪酸3−(3−アミノプロピル)−1−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン30acの調製
【0334】
【化56】

【0335】
50 mg(0.11ミリモル)28aを1.5 mlのジクロロメタンに溶かし、そこに26.1μl(0.17ミリモル)のDICを添加した。30分後、1 mlのジクロロメタンに溶かした58.1 mg(0.11ミリモル)の3−(3−アミノプロピル)−1−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオンを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮し、そして残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、61 mg(57%)の30acが得られた。
【0336】
1H-NMR (MeOD):δ=7.68 (s,1H), 7.30 (s,2H), 6.32 (t,1H), 4.60 (m,1H), 4.37 (sept,2H), 4.19 (dd,1H), 3.98 (t,2H), 3.89 (d,1H), 3.85-3.68 (m,5H), 3.64 (dd,2H), 3.43 (d,1H), 3.24 (s,6H), 3.20 (t,2H), 2.97 (sept,1H), 2.59-2.23 (m,6H), 1.95 (s,3H), 1.84-1.44 (m,23H), 1.30-1.24 (div.d,18H) ppm。
【0337】
フッ素化
N−ベンジル−4−〔3−フルオロ−4−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)ピロリジン−1−イル〕−4−オキソブチルアミド35aaの調製
【化57】

【0338】
12 mg(0.022ミリモル)の30aaを0.7 mlのDMSO中に溶かし、次いで1.42 mg(0.024ミリモル)のKFと9.21 mg(0.024ミリモル)のKryptofix K222を添加した。反応混合物を50℃で1時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、6 mg(48%)の35aaが得られた。
MS (ESI+): m/z(%)=560(100),257(18)。
【0339】
N−〔((S)−1−カルバモイル−2−フェニルエチルカルバモイル)メチル〕−4−〔(3S,4S)−3−フルオロ−4−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)ピロリジン−1−イル〕−4−オキソブチルアミド35abの調製
【化58】

【0340】
17 mg(0.026ミリモル)の30abを0.8 mlのDMSO中に溶かし、次いで1.66 mg(0.029ミリモル)のKFと10.77 mg(0.029ミリモル)のKryptofix K222を添加した。反応混合物を50℃で3時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、7.8 mg(44.5%)の35abが得られた。
MS (ESI+): m/z(%)=674(100),658(57)。
【0341】
3−(3−アミノプロピル)−1−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン4−〔3−フルオロ−4−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)ピロリジン−1−イル〕−4−オキソブチルアミド35acの調製
【0342】
【化59】

【0343】
20 mg(0.021ミリモル)の30acを0.7 mlのDMSO中に溶かし、次いで1.34 mg(0.023ミリモル)のKFと8.66 mg(0.023ミリモル)のKryptofix K222を添加した。反応混合物を50℃で3時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製すると、5.6 mg(27%)の35acが得られた。
MS (ESI+): m/z(%)=977(10),832(47),135(100)。
【0344】
放射化学
一般的な放射性標識法
1.モデル化合物とチミジン誘導体
18F−フッ素を、Kryptofix 222(1mlのMeCN中5 mg)と炭酸カリウム(0.5 mlの水中1mg)又は炭酸セシウム(0.5 mlの水中2.5 mg)の存在下で窒素雰囲気下100〜120℃にて20〜30分間加熱することにより共沸的に乾燥した。この時間の間に、1ml MeCNを2〜3回添加し、そして窒素流を用いて真空下で蒸発させ、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体又はKryptofix 222/Cs2CO3複合体(9.9 Gbqまで)を与えた。乾燥後、前駆体の溶液(DMSO中6.8〜30 mMを150〜200μl)を添加した。反応容器を密封し、50℃〜90℃の範囲内で15〜30分間加熱して標識を行った。粗製反応混合物を分析用HPLCにより分析した。次いで生成物ピークを、[F−19]非放射性標準と反応混合物との同時注入により確認した。
【0345】
2.天然のヒスチジンを含有するペプチド
18F−フッ素を、Kryptofix 222(1mlのMeCN中5 mg)と炭酸セシウムカ(0.5 mlの水中2.5 mg)の存在下で窒素雰囲気下70〜90℃にて15〜30分間加熱することにより共沸的に乾燥した。この時間の間に、1ml MeCNを2〜3回添加し、そして窒素流を用いて真空下で蒸発させた。乾燥後、前駆体の溶液(DMSO中7〜9 mMを150〜200μl)を添加した。反応容器を密封し、50℃〜90℃で15分間加熱して標識を行った。粗製反応混合物を分析用HPLCにより分析した。次いで生成物ピークを、[F−19]非放射性標準と反応混合物との同時注入により確認した。
【0346】
追加の点:
i) 溶媒はDMF, DMSO, MeCN, DMA, DMAA等であることができ、好ましくはDMSOである。溶媒は上記の溶媒の混合物であることもできる。
ii) 温度範囲はRT〜160℃であることができるが、好ましくは50℃〜90℃の範囲内である。
【0347】
例A.3−〔18F〕フルオロ−N−ベンジル−2−(4−メチルフェニルスルホンアミド)プロパンアミド11aa−18Fの放射性合成
18F〕フッ素を、Kryptofix 222(5 mg)、水(500μl)中の炭酸カリウム(1mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(10 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間110℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体(2.34 GBq)を得た。無水DMSO(200μl)中のN−ベンジル−1−トシルアジリジン−2−カルボキサミド10aa(2 mg)の溶液を添加した。70℃で15分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Nucleosil C18カラム、250×4 mm,5μÅ,1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配15分間で10〜40%B)を使って分析すると、取り込み率は95%であった。F−18標識生成物を同一カラム上でのF−19非放射性標準と同時注入することにより確認した。
【0348】
例B.3−〔18F〕フルオロ−N−ベンジル−2−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホンアミド)プロパンアミド11ab−18Fの放射性合成
18F〕フッ素を、Kryptofix 222(5 mg)、水(500μl)中の炭酸カリウム(1mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(10 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間100℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体(9.9 GBq)を得た。無水DMSO(200μl)中のN−ベンジル−1−(2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル)アジリジン−2−カルボキサミド10ab(2 mg)の溶液を添加した。60℃で15分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Nucleosil C18カラム、250×4 mm,5μÅ,1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配20分間で40〜95%B)を使って分析すると、取り込み率は97%であった。F−18標識生成物を同一カラム上でのF−19非放射性標準と同時注入することにより確認した。
【0349】
例C.3−〔18F〕フルオロ−N−ベンジル−2−(3,4−ジメトキシフェニルスルホンアミド)プロパンアミド11ac−18Fの放射性標識
18F〕フッ素を、Kryptofix 222(5 mg)、水(500μl)中の炭酸カリウム(1mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(10 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間100℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体(9.9 GBq)を得た。無水DMSO(200μl)中のN−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシフェニルスルホニル)アジリジン−2−カルボキサミド10ac(2 mg)の溶液を添加した。70℃で15分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Nucleosil C18カラム、250×4 mm,5μÅ,1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配15分間で10〜60%B)を使って分析すると、取り込み率は97%であった。F−18標識生成物を同一カラム上でのF−19非放射性標準と同時注入することにより確認した。
【0350】
例D.N−ベンジル−4−〔3−〔18F〕フルオロ−4−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)ピロリジン−1−イル〕−4−オキソブチルアミド35aa−18Fの放射性合成
18F〕フッ素(5 GBq)を、Kryptofix 222(5 mg)、水(500μl)中の炭酸カリウム(1mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(10 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間110℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体(2.34 GBq)を得た。無水DMSO(200μl)中のN−ベンジル−4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕ブチルアミド30aa(2 mg, 3.7μモル)の0.0185M溶液を添加した。90℃で15分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Lichrosorb RP18カラム、250×4 mm,5μÅ,1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配30分間で40〜95%B)を使って分析すると、取り込み率は96%であった。F−18標識生成物を同一カラム上でのF−19非放射性標準と同時注入することにより確認した。
【0351】
例E.3−フルオロ−2−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)プロピオン−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド32aba−18Fの放射性合成
18F〕フッ素(1.78 GBq)を、Kryptofix 222(5 mg)、水(500μl)中の炭酸カリウム(1mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(10 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間110℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体を得た。無水DMSO(200μl)中の1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド8aba(2 mg)の0.0127M溶液を添加した。60℃で15分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Lichrosorb RP18カラム、250×4 mm,5μÅ,1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配20分間で15〜95%B)を使って分析すると、取り込み率は49%であった。F−18標識生成物を同一カラム上でのF−19非放射性標準と同時注入することにより確認した。
【0352】
例F.3−フルオロ−N−〔(3−{3−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}プロピルカルバモイル)メチル〕−2−(トルエン−4−スルホニルアミノ)プロピオンアミド32abb−18Fの放射性合成
18F〕フッ素(4.9 GBq)を、Kryptofix 222(5.5 mg)、水(500μl)中の炭酸セシウム(2.5 mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(5 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間110℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/Cs2CO3複合体を得た。無水DMSO(200μl)中の1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸〔(3−{3−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフランー2−イル〕−5−メチル−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}プロピルカルバモイル)メチル〕アミド8abb(2 mg)の0.011M溶液を添加した。90℃で20分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Lichrosphere 100 RP 18eカラム、5μm, 1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配10分間で5〜95%B+10分間同組成95%B)を使って分析すると、取り込み率は87%であった。
【0353】
F−18標識生成物をシリカカートリッジ(Macherey-Nagel)を通して精製し、そして別の1ml MeCNですすいだ。脱保護段階は、精製済みの生成物に1M HCl(0.5 ml)を添加し、そして周囲温度で5分間反応することにより行った。分析用HPLCを使って別の注入を行った後、最終のF−18標識生成物が完全に脱保護されたことを確かめるために、F−19非放射性標準と共に同時注入した。放射化学的純度:87%。
【0354】
例G.3−(3−アミノプロピル)−1−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン4−〔3−フルオロ−4−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルアミノ)ピロリジン−1−イル〕−4−オキソブチルアミド35ac−18Fの放射性合成
【0355】
18F〕フッ素(6.94 GBq)を、Kryptofix 222(5 mg)、水(500μl)中の炭酸カリウム(1mg)及びMeCN(1ml)の溶液を用いてQMAライトカートリッジ(Waters)から反応バイアル(5 ml)中に溶出させた。窒素流を用いて真空中で10分間110℃に加熱することにより溶媒を除去した。無水MeCN(1ml)を加え、上記と同様に蒸発させた。この段階を繰り返して、乾燥したKryptofix 222/K2CO3複合体を得た。無水DMSO(200μl)中の4−オキソ−4−〔6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)−3,6−ジアザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサ−3−イル〕酪酸3−(3−アミノプロピル)−1−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン30ac(2 mg)の0.0104M溶液を添加した。90℃で15分間加熱した後、反応液を室温にまで冷却し、MeCN(1ml)で希釈した。粗製反応混合物を分析用HPLC(Lichrosphere 100 RP 18eカラム,5μm,1ml/分,溶媒A:H2O;溶媒B:MeCN,勾配10分間で5〜95%B+10分間同組成B)を使って分析すると、取り込み率は83%であった。
【0356】
F−18標識生成物をシリカカートリッジ(Macherey-Nagel)を通して精製し、そして別の1ml MeCNですすいだ。脱保護段階は、精製済みの生成物に1M HCl(0.5 ml)を添加し、そして周囲温度で5分間反応することにより行った。分析用HPLCを使って別の注入を行った後、最終のF−18標識生成物が完全に脱保護されたことを確かめるために、F−19非放射性標準と共に同時注入した。放射化学的純度:100%。
【0357】
不活性標準物の同時注入を用いた反応混合物のHPLCクロマトグラムについては図1を参照されたい。
【0358】
β−フルオロアミンの加水分解安定性
【化60】

【0359】
β−フルオロアミノ酸誘導体11ab−18Fは中性及び塩基性条件下で非常に安定である(図2)。
【0360】
β−フルオロアミンの血漿安定性
675μlのEtOHを反応バイアルに添加し、次いで70μlの血漿溶液の5アリコートを異なる時間の間インキュベートした。
【0361】
【化61】

11ac-18Fはヒト血漿を有する溶液中で安定である(図3)。
【0362】
【化62】

35aa−18Fはヒト血漿を有する溶液中で安定である(図4)。
【0363】
試験管内結合親和性
ヒトボンベシン受容体2(GRPR)に対するボンベシン類似体の試験管内結合親和性と特異性を、GRPR特異的放射性リガンドとして125I−〔Tyr4〕−ボンベシン(Perkin Elmer; 比活性81.4 TBq/ミリモル)を使った競合受容体結合アッセイを使って評価した。該アッセイは、GRPR含有細胞膜(Perkin Elmer)及び小麦胚芽アグルチニン(WGA)被覆PVTビーズ(Amersham Bioscience)を使って、シンチレーション近接アッセイ(SPA)技術に基づいて実施した(J.W. Carpenter他、Meth. Mol. Biol., 2002, 190:31-49)。
【0364】
簡単に言えば、GRPR含有膜とWGA-PVTビーズをアッセイ緩衝液〔50 mM Tris/HCl, pH 7.2, 5 mM MgCl2, 1 mM EGTA, 完全プロテアーゼ阻害剤(Roche Diagnostics GmbH)及び0.3%PEI〕中で混合して約100μg/mlタンパク質及び40 mg/ml PVT-SPAビーズの最終濃度を与えた。リガンド125I−〔Tyr4〕−ボンベシンをアッセイ緩衝液中0.5 nMに希釈した。試験化合物をDMSO中に希釈して1mM原液を与えた。その後、それらをアッセイ緩衝液中に8pM〜1.5μMに希釈した。
【0365】
次いでアッセイを次の通りに実施した:まず、結合について試験すべき化合物溶液10μlを、白色の384ウエルプレート(Optiplate-384, Perkin-Elmer)中に入れた。次に、20μlのGRPR/WGA-PVTビーズ混合物及び20μlのリガンド溶液を添加した。室温で90分間のインキュベーション後、別の50μlのアッセイ緩衝液を添加し、プレートを密封し、そして室温で520×gにて10分間遠心分離した。TopCount (Perkin Elmer)中でウエル当たり1分の合計時間でシグナルを測定した。GraFitデータ分析ソフトウエア(Erithacus Software Ltd.)を使った非線形回帰により、IC50を算出した。更に、試験化合物についてのIC50に基づいてKI並びにKD及びリガンド125I−〔Tyr4〕−ボンベシンの濃度を算出した。実験は四重反復試料を使って実施した。
【0366】
H−Y−Eの合成:固相ペプチド合成(SPPS)は、不溶性支持体又は樹脂、例えばポリスチレンに固定された伸長するペプチド鎖へのアミノ酸残基の付加を伴う。該ペプチドのC末端をまず、そのアミノ基がN−保護剤フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基により保護されている市販の支持体(例えばRinkアミド樹脂)に固定する。適当な脱保護剤、例えばFMOCに対してはピペリジンを使ってアミノ保護基を除去し、そして次のアミノ酸残基(N保護形の)を、カップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と共に添加する。ペプチド結合が形成したら、試薬を支持体から洗い流す。最終残基(Y)の付加の後、固体支持体に結合されたペプチドは、RG--L1--B1--OHのカップリングにすぐに使用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識目的で適当に活性化されているアジリジン環を含んで成る化合物であって、ここで該アジリジン環に又は該アジリジン環に縮合された五員の炭素環式もしくは複素環式環のいずれかに、直接又は適当なリンカーを介して標的用剤基が取り付けられている化合物。
【請求項2】
一般化学式I:
【化1】

〔式中
RはTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されているフェニルスルホニル、Ns,Cbz, Bz, Bn, Boc, Fmoc, メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、Tr又はアシルであり;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の又は直鎖状又は分枝状のC1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, ハロゲン, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)(NR3)2を表し;
3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルを表し;
1とR4は独立に、水素、置換された及び未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルから成る群より選択され;
Lは標的用剤基との結合に適当なリンカーを表し;そして
Bは標的用剤基を表す〕
を有する、請求項1に記載の化合物、及びそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項3】
RがTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されたフェニスルホニル、又はNsであり;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, Cl, Br, I, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3, C(=O)N(R3)2であり、ここでR3は水素であるか、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルを表し;そして
1及びR4は独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択される、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Rが2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル又は1〜5個のR2により置換されたフェニルスルホニルであり;
ここでR2が水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、又はOR3を表し、ここでR3は置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキルを表し;そして
1及びR4が水素を表す、
請求項2又は3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
一般化学式II:
【化2】

(式中
1とR4は独立に水素、置換された及び未置換の、直鎖状又は分枝状のC1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルを含んで成る群より選択され;
Lは標的用剤基と結合するのにそしてアジリジン環の適当な活性化に適したリンカーを表し;そして
Bは標的用剤を表す)
を有する、請求項1に記載の化合物、並びにそれの無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項6】
1とR4が独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
一般化学式III:
【化3】

〔式中
RはTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されているフェニルスルホニル、Ns, Cbz, Bz, Bn, Boc, Fmoc, メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、Tr又はアシルを表し;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, Cl, Br, I, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)N(R3)2を表し;
ここでR3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキルを表し;
1及びR4は独立に、水素、置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル及びヘテロアラルキルを含んで成る群より選択され;
Xは水素により置換されたN又はCを表し;
Lは標的用剤基との結合に適したリンカーを表し;そして
Bは標的用剤基を表す〕
を有する、請求項1に記載の化合物、並びにそれの無機又は有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項8】
RがTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、1〜5個のR2成分により置換されたフェニスルホニル、又はNsであり;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、OH, OR3, NH2, NHR3, N(R3)2, SH, SR3, Cl, Br, I, NO2, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3, C(=O)N(R3)2を表し、R3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、又はアリールを表し;
1及びR4が独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択され;
Xが水素により置換されたN又はCを表す、
請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
RがTs、2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニル、3,4−ジメトキシフェニルスルホニル、未置換のフェニルスルホニル、又は1〜5個のR2成分により置換されたフェニルスルホニルであり;
ここでR2は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、OR3, SR3, Cl, Br, I, C(=O)R3, C(=O)OR3, C(=O)NHR3又はC(=O)N(R3)2を表し、R3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、又はアリールを表し;
1及びR4が独立に、水素並びに置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキルを含んで成る群より選択され;そして
XがNを表す、
請求項7又は8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
1−(トルエン−4−スルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド、
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸−Gly-Val-βAla-Phe-Gly−アミド、
1−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル)アジリジン−2−カルボン酸〔(3−{3−〔(2R,4S,5R)−4−(1−メトキシシクロヘキシルオキシ)−5−(1−メトキシシクロヘキシルオキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル〕−5−メチル−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イル}プロピルカルバモイル)メチル〕アミド
を含んで成る、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記リンカー−L−が、置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、置換されたアリール、置換されたヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルキレンオキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、-C(=O)-, -C(=O)O-, -C(=O)NH-, -C(=O)N-(CH2)n-C(=O)-, -C(=O)-(CH2)n-C(=O)-, -SO2-, -SO2NR3-, NR3SO2-, -NR3C(=O)O-, -NR3C(=O)NR3-, -NR3-, -NH-NH-, -NH-O-, -(CH2)n-C(=O)-NR3-CH2-C(=O)-, -SO2-(未置換の又は置換されたアリール)-(CH2)n-C(=O)-,
【化4】

を含んで成る群より選択され、
ここでnは1〜3であり、−A−は−S−又は−NR3−を表し、R3は水素、置換された又は未置換の、直鎖状又は分枝状C1〜C6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキルを表す、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
−L−が、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキレン、−(置換された及び未置換の、直鎖状及び分枝状C1〜C6アルキレン)−C(=O)-, -C(=O)-, -C(=O)NH-, -C(=O)N-(CH2)n-C(=O)-又は-C(=O)-(CH2)n-C(=O)-を含んで成る群より選択され、ここでn=1〜3である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
標的用剤基Bが、ペプチド、ペプチド模倣物、小分子及びオリゴヌクレオチドを含んで成る群より選択された生体分子を含んで成る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
標的用剤基Bが、2〜100アミノ酸を含有するペプチドを含んで成る群より選択された生体分子を含んで成る、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
適当な前駆体分子を標的用剤又はその前駆体と反応させることによる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の調製方法。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物のアジリジン環の開環フッ素化反応により得られるフッ素化化合物、並びにそれらの無機及び有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項17】
一般化学式I-F-A及びI-F-B:
【化5】

(ここでR,R1,R4,L及びBは請求項1〜14のいずれか一項に与えられた意味を有し、そしてFはフッ素同位体である)
のいずれか1つを有するフッ素化化合物、並びにそれらの無機および有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項18】
一般化学式II-F-A及びII-F-B:
【化6】

(ここでR,R1,R4,L及びBは請求項1〜14のいずれか一項に与えられた意味を有し、そしてFはフッ素同位体である)
のいずれか1つを有するフッ素化化合物、並びにそれらの無機および有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項19】
一般化学式III-F-A及びIII-F-B:
【化7】

(ここでR,R1,R4,L及びBは請求項1〜14のいずれか一項に与えられた意味を有し、そしてFはフッ素同位体である)
のいずれか1つを有するフッ素化化合物、並びにそれらの無機および有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物及びプロドラッグ。
【請求項20】
前記フッ素同位体が放射性又は非放射性同位体、より好ましくは18F又は19Fである、請求項16〜19のいずれか一項に記載のフッ素化化合物。
【請求項21】
前記放射性フッ素同位体が18Fである、請求項16〜20のいずれか一項に記載のフッ素化化合物。
【請求項22】
請求項16〜22のいずれか一項に記載のフッ素化化合物の調製方法であって、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を、適当な反応条件下で、適当なフッ素化剤と反応させることによる方法。
【請求項23】
前記フッ素化剤がK18F,H18F,KH182又は18Fのテトラアルキルアンモニウム塩である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記フッ素化剤がK18Fである、請求項22及び23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
反応温度が100℃以下に調整される、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
反応温度が80℃以下に調整される、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
DMF,DMSO,MeCN,DMA,DMAA及びその混合物を含んで成る群より選択された溶媒が使用される、請求項22〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
DMSOである溶媒が使用される、請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物もしくはそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、又は請求項16〜21のいずれか一項に記載のフッ素化化合物もしくはそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラック;及び医薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤又はアジュバントを含んで成る組成物。
【請求項30】
請求項16〜21のいずれか一項に記載の化合物の製造のための、予め決められた量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ、及び医薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤又はアジュバントを含有するバイアルを含んで成るキット。
【請求項31】
請求項16〜21のいずれか一項に記載のフッ素化化合物又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグ又は、例えば粉末形の、それらを含んで成る請求項30に記載の組成物のいずれか1つ、及び、ヒトを含む動物への投与のための前記フッ素化化合物又は組成物の溶液を調製するための適当な溶媒を含んで成る容器、を含んで成るキット。
【請求項32】
請求項16〜21のいずれか一項に記載のフッ素化化合物の、又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグの、又は請求項30に記載の組成物の、又は請求項31及び32のいずれか一項に記載のキットの、医薬品の製造のための使用。
【請求項33】
請求項16〜21のいずれか一項に記載のフッ素化化合物の、又はそれの無機もしくは有機酸の医薬上許容される塩、水和物、錯体、エステル、アミド、溶媒和物もしくはプロドラッグの、又は請求項29に記載の組成物の、又は請求項30及び31のいずれか一項に記載のキットの、画像診断剤の製造のための使用。
【請求項34】
前記画像診断剤がポジトロン放出断層撮影法用である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
腫瘍の画像診断、炎症性及び/又は神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の多発性硬化症の画像診断、又は血管形成関連疾患、例えば固形腫瘍の増殖及び関節リウマチの画像診断のための、請求項33及び34のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2010−522140(P2010−522140A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545069(P2009−545069)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007968
【国際公開番号】WO2008/083729
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】