説明

アスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置

【課題】本体スクリードに搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリード及びエキステンションスクリードを加熱するとともに本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部における熱風漏れ及び圧損を抑えてエキステンションスクリードの加熱効率を向上させる。
【解決手段】熱風を生成する熱風式加熱機が搭載されるとともに熱風を通過させる本体スクリード加熱用ダクト3が固定状態で内設された本体スクリード1と、該本体スクリード1に連結され熱風を通過させるエキステンションスクリード加熱用ダクト5が非固定状態で内設されたエキステンションスクリード2とを備え、本体スクリード加熱用ダクト3及びエキステンションスクリード加熱用ダクト5の各端部近傍のうち何れか一方の端部近傍を何れか他方の端部近傍に差し込むことにより本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5とを連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置に関するものであり、特に、本体スクリードに搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリード及びエキステンションスクリードを加熱するとともに本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部における熱風漏れ及び圧損を抑えてエキステンションスクリードの加熱効率を向上させることが可能なアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、次のような舗装機械(アスファルトフィニッシャ)における熱風式スクリード加熱装置が知られている。この従来技術は、中央のメインスクリード部の左右にエキステンションスクリード部が連結され、メインスクリード部下面のメインスクリードプレート上に中空状のメイン熱風通路が形成され、左右のエキステンションスクリード部下面のエキステンションスクリードプレート上に中空状のエキステンション熱風通路がそれぞれ形成されている。
【0003】
また、メインスクリードプレート上及びエキステンションスクリードプレート上の中空状部内に近接してそれぞれ熱風ダクトが左右方向に配設され、該熱風ダクトの下面に小さな放熱口が複数設けられている。これらの熱風ダクトは、それぞれ所定温度の熱風を所望量通過させてメイン熱風通路及びエキステンション熱風通路を介してメインスクリードプレート及びエキステンションスクリードプレートを加熱すべく機能する。
【0004】
そして、メインスクリード部に搭載された第1の熱風式加熱機で生成された熱風でメインスクリード部及びエキステンションスクリード部の一部を加熱し、エキステンションスクリード部に設けた第2の熱風式加熱機で生成された熱風でエキステンションスクリード部の他部(先端側部分)を加熱して、エキステンションスクリード部の長さ方向全域を効率よく加熱できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、本体スクリード(メインスクリード部)に搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリードプレート及びエキステンションスクリードプレートを加熱するようにした第1の従来技術としては、例えば図4に示すようなものがある。同図において、熱風を生成する図示しない熱風式加熱機が搭載された本体スクリード1にエキステンションスクリード2が連結されている。図では本体スクリード1の右側のみにエキステンションスクリード2が連結されているが、本体スクリード1の左側にも図示しないエキステンションスクリードが連結されている。
【0006】
本体スクリード1の下方側には、前記熱風式加熱機で生成された熱風を通過させる本体スクリード加熱用ダクト3が支持具4で支持固定されて内設されている。一方、エキステンションスクリード2の下方側にもエキステンションスクリード加熱用ダクト5が支持具6で支持固定されて内設されている。そして、本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5とが連結部材としての導風用インシュレーション7で連結されている。
【0007】
前記本体スクリード加熱用ダクト3における本体スクリードプレート8との対向面には複数の放熱口3a,…が開穿され、本体スクリード加熱用ダクト3は、該複数の放熱口3a,…から熱風を噴出して本体スクリードプレート8を加熱する。また、前記エキステンションスクリード加熱用ダクト5にもエキステンションスクリードプレート9との対向面に複数の放熱口5a,…が開穿され、エキステンションスクリード加熱用ダクト5は、該複数の放熱口5a,…から熱風を噴出してエキステンションスクリードプレート9を加熱する。
【0008】
さらに、本体スクリードに搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリードプレート及びエキステンションスクリードプレートを加熱するようにした第2の従来技術としては、例えば図5に示すようなものがある。同図において、この従来技術では、対向する本体スクリード加熱用ダクト3の端面とエキステンションスクリード加熱用ダクト5の端面とが、面合わせ部10で面合わせされることにより、本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5とが連結されている。図5において、該連結部以外の構成は、前記図4におけるものとほぼ同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−90599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の従来技術においては、メインスクリード部に搭載された第1の熱風式加熱機で生成された熱風でメインスクリード部及びエキステンションスクリード部の一部を加熱し、エキステンションスクリード部に設けた第2の熱風式加熱機で生成された熱風でエキステンションスクリード部の他部(先端側部分)を加熱して、エキステンションスクリード部の長さ方向全域を効率よく加熱できるようにしている。
【0011】
また、図4に示した第1の従来技術においては、本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとが連結部材としての肉厚の導風用インシュレーション連結されているため、この導風用インシュレーションの部分で熱風通路が狭くなり、エキステンションスクリード側に送られる熱風量が少なくなってエキステンションスクリードの加熱効率を高めることが難しくなる。
【0012】
さらに、図5に示した第2の従来技術においては、本体スクリード加熱用ダクトは本体スクリードの下方側に支持具で支持固定され、エキステンションスクリード加熱用ダクトはエキステンションスクリードの下方側に支持具で支持固定されている。そして、対向する本体スクリード加熱用ダクトの端面とエキステンションスクリード加熱用ダクトの端面とが、面合わせ部で面合わせされることにより、本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとが連結されている。このため、アスファルトフィニッシャの稼動に伴って本体スクリードプレート又はエキステンションスクリードプレートに磨耗が生じた際に、前記面合わせ部に高さ方向のずれが生じて熱風漏れや圧損が発生して、前記と同様にエキステンションスクリード側に送られる熱風量が少なくなってエキステンションスクリードの加熱効率が低下してしまう。
【0013】
そこで、本体スクリードに搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリード及びエキステンションスクリードを加熱するとともに本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部における熱風漏れ及び圧損を抑えてエキステンションスクリードの加熱効率を向上させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、熱風を生成する熱風式加熱機が搭載されるとともに前記熱風を通過させる本体スクリード加熱用ダクトが固定状態で内設された本体スクリードと、該本体スクリードに連結され前記熱風を通過させるエキステンションスクリード加熱用ダクトが非固定状態で内設されたエキステンションスクリードとを備え、前記本体スクリード加熱用ダクト及び前記エキステンションスクリード加熱用ダクトの各端部近傍のうち何れか一方の端部近傍を何れか他方の端部近傍に差し込むことにより前記本体スクリード加熱用ダクトと前記エキステンションスクリード加熱用ダクトとを連結したアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、本体スクリード加熱用ダクトに連結されているエキステンションスクリード加熱用ダクトは、エキステンションスクリードに非固定状態で内設されているため前記連結部を通じて本体スクリード加熱用ダクトの上下動等の動きに追動する。したがってアスファルトフィニッシャの稼動に伴って本体スクリードプレート又はエキステンションスクリードプレートに磨耗等が生じて本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部に高さ方向にずれ傾向が生じても、このずれ傾向がエキステンションスクリード加熱用ダクトの追動性に吸収されて該連結部にずれは発生することがない。この結果、該連結部における熱風漏れや圧損の発生が抑えられる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記本体スクリード加熱用ダクトの端部近傍を上記エキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部近傍に差し込むことにより前記本体スクリード加熱用ダクトと前記エキステンションスクリード加熱用ダクトとを連結するとともに前記エキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部は前記本体スクリード側における前記本体スクリード加熱用ダクトの支持具に当接され、前記エキステンションスクリードの他端部には型枠スライダが取り付けられ、該型枠スライダに内蔵された弾性材製のインシュレーションを上記エキステンションスクリード加熱用ダクトの他端部に押し付けることにより該エキステンションスクリード加熱用ダクトの他端部を閉塞するとともに前記型枠スライダに内蔵された弾性材製のインシュレーションを当該エキステンションスクリード加熱用ダクトの抜け止めとして機能させたアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結は、具体的には、本体スクリード加熱用ダクトの端部近傍をエキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部近傍に差し込むことにより行われる。そして、該エキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部は本体スクリード側における本体スクリード加熱用ダクトの支持具に当接し、他端部には型枠スライダに内蔵された弾性材製のインシュレーションが押し付けられて該他端部が閉塞されるとともに抜け止めが行われてエキステンションスクリード内における該エキステンションスクリード加熱用ダクトの長手方向の位置決めが行われる。これにより、エキステンションスクリード内における該エキステンションスクリード加熱用ダクトの長手方向の位置調整が不要となる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、エキステンションスクリードプレートの裏面側には、上記エキステンションスクリード加熱用ダクトを支持する支持部材を突設したアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、エキステンションスクリードプレートの裏面側に支持部材が突設されることで、エキステンションスクリード加熱用ダクトは片持ち支持になることなく、該エキステンションスクリード加熱用ダクトはエキステンションスクリード内において上下方向にも位置決めされてエキステンションスクリードプレートに対する安定した加熱体として機能する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明は、本体スクリードプレート又はエキステンションスクリードプレートに磨耗等が生じて本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部に高さ方向にずれ傾向が生じても、このずれ傾向がエキステンションスクリード加熱用ダクトの追動性に吸収されて該連結部にはずれが発生しない。これにより該連結部における熱風漏れや圧損の発生が抑えられてエキステンションスクリードの加熱効率を向上させることができるという利点がある。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、エキステンションスクリード加熱用ダクトは、その一端部が本体スクリード側における本体スクリード加熱用ダクトの支持具に当接し、他端部は型枠スライダに内蔵された弾性材製のインシュレーションが押し付けられて該他端部が閉塞されるとともに抜け止めが行われる。したがって、エキステンションスクリードに非固定状態で内設されているエキステンションスクリード加熱用ダクトの長手方向の位置調整が不要となって該エキステンションスクリード加熱用ダクトに対する容易組立性が得られるという利点がある。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の効果に加えてさらに、エキステンションスクリード加熱用ダクトがエキステンションスクリード内において上下方向にも位置決めされて、エキステンションスクリードプレートに対する安定した加熱体として機能させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例に係るアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置においてエキステンションスクリード加熱用ダクトがエキステンションスクリードの下方側に非固定状態で内設されていることをダクト部分等の一部を断面で示す要部背面図。
【図2】図1の構成において本体スクリードプレートに磨耗が生じても本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部には、ずれが発生しないことをダクト部分等の一部を断面で示す要部背面図。
【図3】本発明の実施例において本体スクリードにエキステンションスクリードが連結されない場合の該本体スクリードの端部部分の構成を示す要部背面図。
【図4】第1の従来技術において前記図1に対応した部分を示す背面図。
【図5】第2の従来技術において前記図1に対応した部分を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、本体スクリードに搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリード及びエキステンションスクリードを加熱するとともに本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部における熱風漏れ及び圧損を抑えてエキステンションスクリードの加熱効率を向上させるという目的を達成するために、熱風を生成する熱風式加熱機が搭載されるとともに前記熱風を通過させる本体スクリード加熱用ダクトが固定状態で内設された本体スクリードと、該本体スクリードに連結され前記熱風を通過させるエキステンションスクリード加熱用ダクトが非固定状態で内設されたエキステンションスクリードとを備え、前記本体スクリード加熱用ダクト及び前記エキステンションスクリード加熱用ダクトの各端部近傍のうち何れか一方の端部近傍を何れか他方の端部近傍に差し込むことにより前記本体スクリード加熱用ダクトと前記エキステンションスクリード加熱用ダクトとを連結したことにより実現した。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図3を参照して説明する。なお、図1乃至図3において、前記図4における部材及び部位と同一ないし均等のものは、前記と同一符合を以って示し、重複した説明を省略する。まず、本実施例に係るアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置の構成を説明する。
【0026】
図1において、本実施例では、本体スクリード加熱用ダクト3が、本体スクリード1の下方側に支持具4で支持固定されて内設されているのに対し、エキステンションスクリード加熱用ダクト5は、エキステンションスクリード2の下方側に非固定状態で内設されている。そして、本体スクリード加熱用ダクト3の端部近傍3bがエキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部近傍5bに差し込まれることにより該本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5とが連結されている。
【0027】
この連結態様において、該エキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部は本体スクリード1側における本体スクリード加熱用ダクト3の支持具4に当接され、エキステンションスクリード2の他端部には、未舗装面のへりに設置される型枠上をスライドさせる型枠スライダ11が取り付けられ、該型枠スライダ11に内蔵された弾性材製のインシュレーション12がエキステンションスクリード加熱用ダクト5の他端部に押し付けられている。
【0028】
この弾性材製のインシュレーション12により該エキステンションスクリード加熱用ダクト5は、その他端部が閉塞されるとともに前記型枠スライダ11に内蔵された弾性材製のインシュレーション12が当該エキステンションスクリード加熱用ダクト5の抜け止めとして機能している。
【0029】
また、エキステンションスクリードプレート9の裏面側(エキステンションスクリード加熱用ダクト5と対向する側)には、エキステンションスクリード加熱用ダクト5を支持する複数個の支持部材13,…が突設されて、エキステンションスクリード加熱用ダクトは片持ち支持になることなく、エキステンションスクリード2内において上下方向にも位置決めされている。
【0030】
次に、上述のように構成されたアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置の作用を説明する。本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5との連結が、本体スクリード加熱用ダクト3の端部近傍3bをエキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部近傍5bに差し込むことにより行われている。そして、該エキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部が本体スクリード1側における本体スクリード加熱用ダクト3の支持具4に当接し、他端部には型枠スライダ11に内蔵された弾性材製のインシュレーション12が押し付けられて該他端部が閉塞されるとともに抜け止めが行われている。これとともに、エキステンションスクリード加熱用ダクト5の熱膨張による延びは弾性材製のインシュレーション12により吸収される。
【0031】
上記のようなエキステンションスクリード加熱用ダクト5の取付け態様により、エキステンションスクリード2内における該エキステンションスクリード加熱用ダクト5の長手方向の位置決めが行われて、エキステンションスクリード2内における該エキステンションスクリード加熱用ダクト5の長手方向の位置調整が不要となる。
【0032】
また、エキステンションスクリードプレート9の裏面側に複数個の支持部材13,…が突設されていることで、エキステンションスクリード加熱用ダクト5は片持ち支持になることなく、該エキステンションスクリード加熱用ダクト5はエキステンションスクリード2内において上下方向にも位置決めされ、エキステンションスクリードプレート9に対する安定した加熱体として機能する。
【0033】
前記のような本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5との連結態様において、エキステンションスクリード加熱用ダクト5は、エキステンションスクリード2に非固定状態で内設されている。このため、該エキステンションスクリード加熱用ダクト5は、前記連結部を通じて本体スクリード加熱用ダクト3の上下動等の動きに追動する。
【0034】
したがってアスファルトフィニッシャの稼動に伴って、例えば図2に示すように、本体スクリードプレート8に磨耗が生じて本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5との連結部に、本体スクリード加熱用ダクト3側が下がる方向にずれ傾向が生じても、このずれ傾向はエキステンションスクリード加熱用ダクト5の追動性に吸収されて該連結部にずれは発生することがない。この結果、該連結部における熱風漏れや圧損の発生が抑えられる。
【0035】
上記と逆に、エキステンションスクリードプレート9側に磨耗が生じて前記連結部に、本体スクリード加熱用ダクト3側が上がる方向にずれ傾向が生じても、このずれ傾向は、上記と同様にエキステンションスクリード加熱用ダクト5の追動性に吸収されて該連結部にずれは発生することがない。
【0036】
そして、本体スクリード加熱用ダクト3は、該複数の放熱口3a,…から所定温度の熱風を噴出して本体スクリードプレート8を加熱する。また、所定温度の熱風が所望量流れるエキステンションスクリード加熱用ダクト5においても複数の放熱口5a,…から熱風を噴出してエキステンションスクリードプレート9を加熱する。
【0037】
図3は、本体スクリード1にエキステンションスクリード2が連結されない場合の該本体スクリード1の端部部分の構成を示している。この場合は、本体スクリード1の端部に型枠スライダ11が直接取り付けられる。そして、該型枠スライダ11に内蔵された弾性材製のインシュレーション12が本体スクリード加熱用ダクト3の端部に押し付けられて、その端部が密閉される。
【0038】
上述したように、本実施例に係るアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置においては、本体スクリード加熱用ダクト3に連結されているエキステンションスクリード加熱用ダクト5は、エキステンションスクリード2に非固定状態で内設されているため前記連結部を通じて本体スクリード加熱用ダクト3の上下動等の動きに追動する。したがって、本体スクリードプレート8又はエキステンションスクリードプレート9に磨耗等が生じて本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5との連結部に高さ方向にずれ傾向が生じても、このずれ傾向がエキステンションスクリード加熱用ダクト5の追動性に吸収されて該連結部にはずれが発生しない。これにより該連結部における熱風漏れや圧損の発生が抑えられてエキステンションスクリード2の加熱効率を向上させることができる。
【0039】
エキステンションスクリード加熱用ダクト5は、その一端部が本体スクリード1側における本体スクリード加熱用ダクト3の支持具4に当接し、他端部は型枠スライダ11に内蔵された弾性材製のインシュレーション12が押し付けられて該他端部が閉塞されるとともに抜け止めが行われる。したがって、エキステンションスクリード2に非固定状態で内設されているエキステンションスクリード加熱用ダクト5の長手方向の位置調整が不要となって該エキステンションスクリード加熱用ダクト5に対する容易組立性が得られる。
【0040】
エキステンションスクリードプレート9の裏面側に支持部材13が突設されているため、エキステンションスクリード加熱用ダクト5がエキステンションスクリード2内において上下方向にも位置決めされて、エキステンションスクリードプレート9に対する安定した加熱体として機能させることができる。
【0041】
なお、上記実施例においては、本体スクリード加熱用ダクト3の端部近傍3bがエキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部近傍5bに差し込まれることにより該本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5とが連結されている。しかし、本発明は、これと逆に、エキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部近傍5bを本体スクリード加熱用ダクト3の端部近傍3bに差し込むことによっても該本体スクリード加熱用ダクト3とエキステンションスクリード加熱用ダクト5とを連結することもできる。
【0042】
そして、この連結態様をとったときは、エキステンションスクリード加熱用ダクト5の周面に適宜形状の係止部材を固着し、この係止部材を本体スクリード加熱用ダクト3の端部に係止させる。これにより、エキステンションスクリード加熱用ダクト5の一端部側が位置決めされる。
【0043】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本体スクリードに搭載された熱風式加熱機で生成された熱風で本体スクリード及びエキステンションスクリードを加熱するとともに本体スクリード加熱用ダクトとエキステンションスクリード加熱用ダクトとの連結部における熱風漏れ及び圧損を抑えてエキステンションスクリードの加熱効率を向上させることが不可欠な後端部に連結式のスクリードを装備したアスファルトフィニッシャに広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 本体スクリード
2 エキステンションスクリード
3 本体スクリード加熱用ダクト
3b 本体スクリード加熱用ダクトの端部近傍
4 支持具
5 エキステンションスクリード加熱用ダクト
5b エキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部近傍
6 支持具
7 導風用インシュレーション
8 本体スクリードプレート
9 エキステンションスクリードプレート
10 面合わせ部
11 型枠スライダ
12 インシュレーション
13 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風を生成する熱風式加熱機が搭載されるとともに前記熱風を通過させる本体スクリード加熱用ダクトが固定状態で内設された本体スクリードと、該本体スクリードに連結され前記熱風を通過させるエキステンションスクリード加熱用ダクトが非固定状態で内設されたエキステンションスクリードとを備え、前記本体スクリード加熱用ダクト及び前記エキステンションスクリード加熱用ダクトの各端部近傍のうち何れか一方の端部近傍を何れか他方の端部近傍に差し込むことにより前記本体スクリード加熱用ダクトと前記エキステンションスクリード加熱用ダクトとを連結したことを特徴とするアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置。
【請求項2】
上記本体スクリード加熱用ダクトの端部近傍を上記エキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部近傍に差し込むことにより前記本体スクリード加熱用ダクトと前記エキステンションスクリード加熱用ダクトとを連結するとともに前記エキステンションスクリード加熱用ダクトの一端部は前記本体スクリード側における前記本体スクリード加熱用ダクトの支持具に当接され、前記エキステンションスクリードの他端部には型枠スライダが取り付けられ、該型枠スライダに内蔵された弾性材製のインシュレーションを上記エキステンションスクリード加熱用ダクトの他端部に押し付けることにより該エキステンションスクリード加熱用ダクトの他端部を閉塞するとともに前記型枠スライダに内蔵された弾性材製のインシュレーションを当該エキステンションスクリード加熱用ダクトの抜け止めとして機能させたことを特徴とする請求項1記載のアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置。
【請求項3】
エキステンションスクリードプレートの裏面側には、上記エキステンションスクリード加熱用ダクトを支持する支持部材を突設したことを特徴とする請求項1又は2記載のアスファルトフィニッシャにおけるスクリード加熱ダクト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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