説明

アスファルトプラント

【課題】 煙突から排出される排ガスより効果的に熱回収を図り、有効利用可能としたアスファルトプラントを提供する。
【解決手段】 煙突15の周囲に水循環配管30を備え、ドライヤ2運転時には、この水循環配管30内に水を循環供給して煙突15から放出される排ガスと熱交換させて熱回収を図ると共に、こうして回収した熱エネルギーは温水という形で貯水タンク29に貯め置く。そして、ドライヤ2停止時には、任意の骨材を骨材貯蔵サイロ10a〜10cからドライヤ2、垂直搬送装置3、分岐シュート27、ベルトコンベヤ28を介して循環供給しつつ、その状態で貯水タンク29に貯め置いた温水を熱源としてヒートポンプユニット34にて外気を加熱し、その高温の温風を供給ダクト41を介してドライヤ2に供給し、骨材の予備乾燥処理に有効利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物を製造するアスファルトプラントには、アスファルト混合物の原料となる骨材をバーナからの熱風に晒して加熱乾燥処理するドライヤが備えられており、該ドライヤから導出される排ガスはサイクロンやバグフィルタ等の集塵機を経由させて集塵処理した後、煙突より大気中へと放出している。このようにアスファルトプラントにおいては、ドライヤにて骨材を加熱乾燥処理する際に多くの熱エネルギーを使用しているが、その一部は排ガスと共に大気中へと放出されており、省エネルギーの観点からその量をできるだけ減らすべく以前より様々な方法・手段を用いて熱回収が図られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2009−1996号公報)では、新規骨材を加熱するバージンドライヤと、アスファルト舗装廃材を加熱するリサイクルドライヤと、該リサイクルドライヤから排出される排ガスを脱臭処理する脱臭炉とを備えて成るアスファルト合材製造設備において、脱臭炉から導出される排ガスの一部をバージンドライヤに供給して熱回収を図るようにした装置が記載されている。また、特許文献2(特開2009−179935号公報)では、脱臭炉から導出される排ガスの一部を、上記文献と同様にバージンドライヤに供給すると共に、各ドライヤや脱臭炉のバーナへ燃焼用空気として供給して熱回収を図るようにした装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−1996号公報
【特許文献2】特開2009−179935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにアスファルトプラントにおいては、以前より種々の方法・手段を用いて排ガスから熱回収を図って有効利用するようにしているが、それでもなお煙突からは100℃以上もの排ガスが放出されており、本発明者らはまだ熱回収できる余地があるのではないかと考えた。
【0006】
本発明は上記の点に鑑み、煙突から排出される排ガスより効果的に熱回収を図り、有効利用可能としたアスファルトプラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載のアスファルトプラントでは、骨材加熱用のドライヤに排ガス導出用の排気煙道を介して煙突を連結し、該煙突の近傍には保温機能を有した貯水タンクを備え、該貯水タンクにはタンク内の水を前記煙突に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながら貯水タンクへと循環させる水循環配管を連結する一方、所定温度に昇温させた貯水タンク内の温水を熱源として外気を加熱するヒートポンプユニットを備えると共に、該ヒートポンプユニットにて加熱した外気をドライヤに供給する供給ダクトを備えたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載のアスファルトプラントでは、前記ドライヤ下流の垂直搬送装置に経路変更手段を具備した分岐シュートを備え、該分岐シュートの下位には分岐シュート側に排出される骨材をドライヤ上流の骨材貯蔵サイロに送り返す搬送装置を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のアスファルトプラントによれば、骨材加熱用のドライヤに排ガス導出用の排気煙道を介して煙突を連結し、該煙突の近傍には保温機能を有した貯水タンクを備え、該貯水タンクにはタンク内の水を前記煙突に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながら貯水タンクへと循環させる水循環配管を連結する一方、所定温度に昇温させた貯水タンク内の温水を熱源として外気を加熱するヒートポンプユニットを備えると共に、該ヒートポンプユニットにて加熱した外気をドライヤに供給する供給ダクトを備えたので、煙突から放出される排ガスより効果的に熱回収が図れ、この回収熱を基に加熱した外気をドライヤに供給することにより骨材を予備乾燥させることができ、排ガス熱を有効利用することが可能となる。
【0010】
また、請求項2記載のアスファルトプラントによれば、前記ドライヤ下流の垂直搬送装置に経路変更手段を具備した分岐シュートを備え、該分岐シュートの下位には分岐シュート側に排出される骨材をドライヤ上流の骨材貯蔵サイロに送り返す搬送装置を備えたので、ドライヤ停止時に、骨材貯蔵サイロから任意の骨材を切り出し、バーナの燃焼を行わずにドラムの回転のみを行うドライヤ、垂直搬送装置、分岐シュート、搬送装置を介して循環させつつ、この状態で排ガスから回収した回収熱を基に加熱した外気をドライヤに供給することにより、任意の骨材を好適に予備乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るアスファルトプラントの一実施例を示す概略説明図である。
【図2】本発明に係るアスファルトプラントの別の実施例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアスファルトプラントにあっては、骨材貯蔵サイロから切り出される砂や砕石等の骨材を加熱乾燥処理するドライヤを備え、該ドライヤには排ガス導出用の排気煙道を介して煙突を連結している一方、ドライヤの下流にはドライヤにて加熱乾燥した骨材を送り出す垂直搬送装置と、振動篩、骨材貯蔵ビン、骨材計量槽、ミキサ等から成るプラント本体とを備えている。また、煙突の近傍には、例えば外周を断熱材等で覆って保温機能を具備させた貯水タンクを備えていると共に、該貯水タンクにはタンク内の水を煙突の外壁面に沿わせるように供給して煙突から排出される排ガスとの熱交換により昇温させながら貯水タンクへと循環させる水循環配管を連結している一方、こうして所定温度に昇温させた貯水タンク内の温水を熱源として外気を加熱するヒートポンプユニットを備えていると共に、該ヒートポンプユニットにて加熱した高温の外気をドライヤに供給する供給ダクトを備えている。
【0013】
前記ヒートポンプユニットは、熱媒を循環させる熱媒循環配管と、該熱媒循環配管の途中に介在させた蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁とから構成され、熱媒循環配管内を流れる熱媒は先ず蒸発器で熱源である温水から熱エネルギーを吸収して蒸発し、気体となった熱媒は圧縮機にて加圧されて高温高圧となり、続いて凝縮器にて放熱して加熱対象として供給される外気を加熱させる一方、放熱によって冷えた熱媒は液化した後、膨張弁にて急激に減圧されて低温低圧となり、再び蒸発器へと送られる。このようにして上記サイクルを繰り返すことにより、熱源である温水から回収した回収熱を基に加熱対象である外気を効率よく加熱可能としている。
【0014】
また、前記垂直搬送装置の排出シュートには経路変更手段である切換ダンパーを回動自在に具備した分岐シュートを備え、該分岐シュートの下位には分岐シュート側に排出される骨材を前記骨材貯蔵サイロに送り返す搬送装置としてベルトコンベヤを備えている。
【0015】
そして、上記アスファルトプラントにてアスファルト混合物を製造するときには、骨材貯蔵サイロより切り出される砂や砕石等の骨材をドライヤに供給し、ドライヤの一端側に備えたバーナからの熱風に晒して加熱乾燥処理する一方、ドライヤから排気煙道を介して導出される排ガスはその途中に備えた集塵機にて集塵処理した後、排気煙道末端の煙突より大気中へと放出する。このとき、煙突近傍に備えた貯水タンク内の水を水循環配管を介して煙突の外壁面に沿わせるように循環させており、その間に水循環配管内を流れる水と煙突から放出される排ガスとで熱交換が行われ、やがて貯水タンク内の水は数十℃程度の温水に入れ替わっていく。なお、前記の通り貯水タンクは断熱材で覆われており、タンク内の温水は暫くの間一定温度に保たれている。
【0016】
一方、アスファルト混合物の製造を終え、ドライヤの運転停止時には、ドライヤのバーナを停止してドラムの回転だけを行わせると共に、その下流の垂直搬送装置の排出シュートに備えた切換ダンパーを回動させて排出経路を分岐シュート側に切り換え、かつ該分岐シュート下位から骨材貯蔵サイロに伸びるベルトコンベヤを稼働させておき、その状態で骨材貯蔵サイロより任意の骨材、例えば砂を切り出してドライヤに供給し、垂直搬送装置、分岐シュート、ベルトコンベヤを介して元の骨材貯蔵サイロに送り返すようにして循環させる。そして、この状態で、前記貯水タンクに貯め置いた温水を熱源としてヒートポンプユニットにて外気を加熱させ、この加熱した高温の外気を供給ダクトを介して前記ドライヤに供給し、循環中の砂等の骨材を予備乾燥させる。
【0017】
このように、ドライヤ運転時には煙突の外壁面に沿わせるように備えた水循環配管に水を循環させて排ガスから効果的に熱回収を図り、回収した熱エネルギーは温水という形で貯水タンク内に貯め置ける一方、ドライヤ停止時にはドライヤ内に砂等の骨材を循環供給させつつ、前記貯水タンクに貯め置いた温水を熱源としてヒートポンプユニットにて外気を効率よく加熱し、この高温の外気を供給ダクトにて前記ドライヤに供給することにより、排ガスからの回収熱を骨材の予備乾燥に有効利用することが可能となり、アスファルトプラントにおける省エネルギー化が期待できる。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図中の1は本発明のアスファルトプラントであり、各種の骨材を加熱するドライヤ2と、該ドライヤ2にて加熱した骨材を送り出す垂直搬送装置3と、該垂直搬送装置3にて送り出される骨材を篩い分けて計量し、アスファルトや石粉等を添加して混合するプラント本体4等を主体として構成している。
【0020】
前記ドライヤ2は、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム5を機台6上に回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させるようにしており、ドラム5一端部に備えたバーナ7よりドラム5内に熱風を送り込むと共に、ドラム5他端部の排気煙道8下流の排風機9にて燃焼ガスを吸引排気する一方、骨材貯蔵サイロ10a、10b、10cから切り出される砂や砕石等の骨材をベルトコンベヤ11を介してドラム5内に供給し、ドラム5内を転動流下させる間に所定温度まで加熱する。
【0021】
そして、この加熱した骨材はドラム5一端側の排出部12より排出して下流の垂直搬送装置3に投入し、該垂直搬送装置3にてプラント本体4上部まで持ち上げて、排出シュート13よりプラント本体4に供給する。また前記排気煙道8の下流にはバグフィルタ等の集塵機14を備え、排ガス中のダストを捕捉して清浄となった排ガスを煙突15から大気中に放出する。
【0022】
プラント本体4は、垂直搬送装置3より送り出されてくる骨材を受け入れて篩い分ける振動篩16、該振動篩16にて篩い分けた骨材を粒度別に貯蔵する骨材貯蔵ビン17、該骨材貯蔵ビン17に貯蔵した各粒度の骨材を累積計量する骨材計量槽18、また石粉貯蔵ビン19からスクリューフィーダ20にて供給される石粉を計量する石粉計量槽21、アスファルトタンク22から供給ポンプ23にて供給されるアスファルトを計量するアスファルト計量槽24、及びこれら各計量槽にて計量した骨材、石粉、アスファルト等を混合してアスファルト混合物を製造するミキサ25等を備えている。
【0023】
また、前記垂直搬送装置3の排出シュート13には、経路変更手段である切換ダンパー26を回動自在に具備した分岐シュート27を備え、該分岐シュート27の下位には分岐シュート側に排出される骨材を元の骨材貯蔵サイロ10a〜10cに送り返す搬送装置としてベルトコンベヤ28を備えている。
【0024】
なお、本実施例においては、垂直搬送装置3にて送り出される骨材の経路を分岐シュート27側に切り換えるための経路変更手段として切換ダンパー26を採用しているが、これに限定するものではなく、例えばスライドゲートなども好適に採用することができる。また、本実施例では、経路変更手段や分岐シュート27を垂直搬送装置3出口側の排出シュート13に備えるようにしているが、垂直搬送装置3入口側のドライヤ2排出部12に備えるようにしてもよく、その場合にも、分岐シュート下位には骨材を元の骨材貯蔵サイロ10a〜10cに送り返すための搬送装置を備えるようにする。
【0025】
前記煙突15の近傍には、外周を断熱材等で覆うなどして保温機能を具備させた貯水タンク29を備えていると共に、該貯水タンク29にはタンク内の水を煙突15の外壁面に蛇行させながら沿わせるように供給して煙突15から放出される排ガスと熱交換させることにより昇温させながら貯水タンク29へと循環させる水循環配管30を連結している。このとき、プラント運転時の煙突15からは約100〜120℃程度の排ガスが放出されており、これと循環する水とを所定時間熱交換させることにより貯水タンク29内の水を約50℃程度の温水に入れ替えられる構成としている。なお、本実施例においては、水循環配管30を煙突15の外壁面に沿わせるように配置して排ガスと熱交換させるようにしているが、煙突15内部に配置しても良い。
【0026】
また、前記水循環配管30の供給ポンプ31下流側には流路切換弁32を介在させて水循環配管30内の水(温水)を貯水タンク29へと送り返す戻り配管33を連結しており、供給ポンプ31駆動時に流路を戻り配管33側に切り換えたときには貯水タンク29内の水(温水)を煙突15に向かわせることなく戻り配管33側だけで循環可能としている。また、前記戻り配管33の途中には、配管内部を流下する水(温水)を熱源として外気を加熱させるヒートポンプユニット34を備えている。
【0027】
前記ヒートポンプユニット34は、熱伝導性に優れる銅管等の熱媒循環配管35を備え、該熱媒循環配管35内に、例えば代替フロンやアンモニア、CO等の熱媒体を循環供給させている一方、熱媒循環配管35の途中には蒸発器36、圧縮機37、凝縮器38、膨張弁39とを順に介在させている。そして、熱媒循環配管35内を流れる熱媒は、先ず熱交換器である蒸発器36にて熱源である温水から熱エネルギーを吸収して蒸発し、気体となった熱媒は下流の圧縮機(コンプレッサー)37にて加圧されて高温高圧となり、続いてその下流の熱交換器である凝縮器38にて放熱して加熱対象として供給される外気を加熱する一方、放熱によって冷えた熱媒は再び液化した後、その下流の膨張弁39にて急激に減圧されて低温低圧となって、再度蒸発器36へと送られる。このようにして上記サイクルを繰り返すことにより、熱源である温水から回収した回収熱を基に、圧縮機(コンプレッサー)用の僅かな駆動電力だけで、加熱対象である外気を効率よく加熱可能としている。
【0028】
また、前記ヒートポンプユニット34の凝縮器38に加熱対象である外気を送風する送風機40を備えていると共に、前記凝縮器38には熱媒との熱交換によって加熱される高温の外気を前記ドライヤ2に供給する供給ダクト41を連結している。
【0029】
そして、上記構成のアスファルトプラント1にてアスファルト混合物を製造するときには、ドライヤ2に骨材貯蔵サイロ10a〜10cより切り出される砂や砕石等の骨材を供給してバーナ7からの熱風に晒して所定温度に加熱し、加熱した骨材は下流の垂直搬送装置3を介して排出シュート13よりプラント本体4に送り出すと共に、プラント本体4では投入された骨材を振動篩16にて篩い分けて下位の骨材貯蔵ビン17に粒度別に貯蔵する。そして、骨材貯蔵ビン17より各粒度の骨材を下位の骨材計量槽18に順次払い出して累積計量してミキサ25に投入すると共に、石粉計量槽21、アスファルト計量槽24にて別途計量した石粉やアスファルトをそれぞれ前記ミキサ25に投入して所定時間混合し、所望のアスファルト混合物を製造する。また、ドライヤ2から排気煙道8を介して導出される排ガスはその途中に備えた集塵機14にて集塵処理した後、排気煙道8末端の煙突15より大気中へと放出される。
【0030】
このとき、煙突15近傍に備えた貯水タンク29からは水循環配管30を介して煙突15の外壁面に沿わせるように水が供給され、煙突15より放出される約100〜120℃程度の排ガスと熱交換させて徐々に昇温させながら貯水タンク29へと循環させており(図1中の二点鎖線矢印A1参照)、貯水タンク29内の水は最終的に約50℃程度の温水に入れ替わっていく。そして、アスファルト混合物の製造が終了すれば、水循環配管30の供給ポンプ31を停止し、保温機能を有する貯水タンク29にて温水を上記温度に維持しながら貯め置く。
【0031】
一方、アスファルト混合物の製造が暫く無く、ドライヤ2の運転が行われないときには、バーナ7の燃焼を行わずにドラム5の回転のみを行うと共に、垂直搬送装置3の排出シュート13の切換ダンパー26を回動させて排出シュート13の経路を分岐シュート27側に切り換え、かつ該分岐シュート27下位に備えたベルトコンベヤ28を稼働させておき、その状態で骨材貯蔵サイロ10a〜10cのうち、例えば砂貯蔵用の貯蔵サイロ10aから砂を切り出して前記ドライヤ2に供給し、垂直搬送装置3、分岐シュート27、ベルトコンベヤ28を介して元の砂貯蔵用の貯蔵サイロ10aに送り返すようにして循環させる(図1中の二点鎖線矢印B参照)。
【0032】
そして、この状態で、貯水タンク29に連結した水循環配管30途中の流路切換弁32を切り換え操作して流路を戻り配管33側に切り換えた後、供給ポンプ31を駆動させて貯水タンク29内の温水を戻り配管33を介して循環させると共に(図1中の二点鎖線矢印A2参照)、同時にヒートポンプユニット34の熱媒循環配管35内の熱媒も循環させる。このとき、熱媒は先ず蒸発器36にて熱源である温水から熱エネルギーを吸収して蒸発し、気体となった熱媒は下流の圧縮機37(コンプレッサー)にて加圧されて高温高圧となり、更に下流の凝縮器38にて放熱して送風機40より供給される外気を熱交換によって加熱させる一方、放熱で冷えて液化した熱媒は下流の膨張弁39にて急減圧されて低温低圧となり、再び蒸発器36へと送られて循環する(図1中の二点鎖線矢印C参照)。そして、こうして加熱した高温の外気を供給ダクト41を介して前記ドライヤ2のドラム5内に供給し、循環中の砂を予備乾燥させるのに有効利用する。また、予備乾燥された砂は垂直搬送装置3の排出シュート13より払い出されるが、その途中より分岐シュート27側へ排出され、ベルトコンベヤ28にて元の砂貯蔵用の貯蔵サイロ10aに送り返されて再び貯蔵される。
【0033】
なお、戻り配管33にて循環する温水の温度は約50℃程度とあまり高いものではないが、ヒートポンプユニット34ではこの程度の温水を熱源として加熱対象の外気を十分に高温に加熱することができ、このような高温の外気をドラム5内に送風することにより、ドラム5内を流下する砂を好適に乾燥処理できる。
【0034】
このように、アスファルトプラント1にてアスファルト混合物を製造するとき、即ちドライヤ2運転時には、煙突15から放出される排ガスと煙突15周囲に巡らせた水循環配管30内の水とを熱交換させることによって効果的に熱回収を図りつつ、回収熱は温水として保温機能を有した貯水タンク29内に貯め置ける一方、アスファルト混合物の製造が暫く無いとき、即ちドライヤ2停止時には、骨材貯蔵サイロ10a〜10cより切り出される任意の骨材をドライヤ2、垂直搬送装置3、分岐シュート27、搬送装置28を介して循環供給しつつ、前記貯水タンク29に貯め置いた温水を熱源としてヒートポンプユニット34にて外気を効率よく加熱し、この高温の外気を供給ダクト41を介して前記ドライヤ2に供給させることにより骨材を予備乾燥処理でき、排ガスからの回収熱を好適に有効利用することが可能となる。
【0035】
なお、本実施例では、煙突15から放出される排ガスから熱回収をする媒体として水を採用しているが、その他の液媒体、例えばオイル等でも同様に熱回収をすることは可能である。ただし、骨材加熱用のドライヤ2から導出される排ガス温度がせいぜい100〜120℃程度であることから、水でも沸騰するようなことはなく十分に対応でき、コスト面やハンドリング等を考慮すると水を採用するのが好ましいと考えられる。
【0036】
また、ドライヤ2停止時に循環供給して予備乾燥させる骨材は任意のものでかまわないが、本実施例のように、比較的含水比が高くばらつきも大きい砂を予備乾燥させることにより含水比を一定に安定させることができ、製造するアスファルト混合物の品質向上が期待できる。
【0037】
また、本実施例では、ドライヤ2から排出される乾燥処理した骨材をベルトコンベヤ28等の搬送装置にて元の骨材貯留サイロ10a〜10cへ戻すようにしているが、必ずしもそのようにする必要はなく、例えば、ドライヤ2排出部12で一旦抜き取り、ショベルカー等の重機で適宜搬送してサイロ10a〜10cへ戻すようにしても良く、これであれば装置コストを低廉に抑えることができて採用し易いものとなる。
【0038】
また、本実施例では、ドライヤ2から放出される排ガス熱より熱回収する際、煙突15にて熱回収を図るようにしているが、例えば煙突15よりも上流側の排気煙道8の外周面に沿わせるように水循環配管30を周設することにより、排気煙道8にて熱回収を図るようにすることも十分可能である。
【0039】
更に、本実施例では、新規の骨材を加熱するドライヤ2のみを備えたアスファルトプラント1において、前記ドライヤ2の排ガスを放出する煙突15にて排ガスから熱回収を図るようにした場合を示したが、例えば、新規骨材用のドライヤ2に加えて、アスファルト舗装廃材を加熱する廃材ドライヤを併設したアスファルトプラントにおいて、前記ドライヤ2の排ガスと廃材ドライヤの排ガスとを合流させて一緒に放出する集合煙突にて熱回収を図るようにしても良い。この場合、新規骨材の加熱処理が無く、アスファルト舗装廃材の加熱処理だけが行われるときには、廃材ドライヤから導出される排ガスから熱回収を図りつつ、この回収熱を熱源としてヒートポンプユニット34にて加熱した外気を停止中の新規骨材用のドライヤ2に供給し、このドライヤにて砂等の骨材を予備乾燥処理するといった運転も可能となる。
【0040】
なお、煙突15から放出される排ガス温度は、新規骨材を加熱するドライヤ2単独の場合には約100〜120℃程度であるのに対し、廃材ドライヤとの集合煙突の場合には約150〜160℃程度と若干高温であるため、より効果的な熱回収が期待できる。
【実施例2】
【0041】
図2は本発明の別の実施例を示すもので、図2において図1と同一符号は同一の構成要素を示し、その説明は省略する。図2に示されるアスファルトプラント1´では、砂等の骨材を予備的に乾燥処理するための骨材予備乾燥設備42を追加設置しており、骨材加熱用のドライヤ2とは別に予備乾燥用ドライヤ43を備えていると共に、該予備乾燥用ドライヤ43にて乾燥処理した骨材を貯留する骨材貯蔵サイロ44等の設備を備えている。
【0042】
予備乾燥用ドライヤ43は、前記ドライヤ2とほぼ同様の構造で、内周部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム45を機台46上に回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させており、この予備乾燥用ドライヤ43の一端側にはヒートポンプユニット34の凝縮器38に連結した供給ダクト41の他端部を連結し、凝縮器38にて加熱した高温の外気をドラム45内に送り込むようにしていると共に、予備乾燥用ドライヤ43他端部の排気ダクト47を骨材加熱用ドライヤ2の排気煙道8に連結し、予備乾燥用ドライヤ43から導出される含塵空気をドライヤ2から導出される排ガスと合流させて一緒に集塵処理した上で煙突15より放出するようにしている。そして、骨材ホッパ48から切り出される砂等の骨材をベルトコンベヤ49を介してドラム45内に供給することにより、ドラム45内を流下する骨材から水分を飛ばして乾燥処理可能としている。
【0043】
なお、前記骨材ホッパ48には任意の骨材を貯留させるとよいが、前記したように、比較的含水比が高くばらつきも大きい砂を貯留させ、予備乾燥用ドライヤ43にて予備乾燥させるようにすると含水比を一定に安定させることができ、製造するアスファルト混合物の品質向上が期待できて好ましい。また、予備乾燥用ドライヤ43のサイズは骨材加熱用のドライヤ2よりも比較的小型のものを採用しており、骨材ホッパ48から切り出される少量の骨材を好適に乾燥処理可能なように図っている。
【0044】
また、予備乾燥用ドライヤ43にて乾燥処理した骨材は、下流の垂直搬送装置50にて持ち上げられ、骨材貯蔵サイロ44に一旦貯留される。この骨材貯蔵サイロ44に貯留された骨材は、アスファルト混合物の製造のタイミングに合わせて適宜払い出され、ベルトコンベヤ51にて骨材加熱用のドライヤ2に供給可能としている。
【0045】
また、煙突15の近傍に備えられる貯水タンク29には、前記同様にタンク内の水を供給ポンプ31にて煙突15に供給して排ガスと熱交換させることにより昇温させながら貯水タンク29へと循環させる水循環配管30と、これとは別にタンク内の水(温水)を供給ポンプ52にて煙突へ向かわせることなく循環させる第二の水循環配管53とを連結していると共に、該第二の水循環配管53の途中には、前記同様に配管内部を流下する水(温水)を熱源として送風機40から送風される外気を加熱するヒートポンプユニット34を備えており、該ヒートポンプユニット34の凝縮器38には加熱させた高温の外気を前記予備乾燥用ドライヤ43に供給する供給ダクト41を連結している。
【0046】
そして、上記構成のアスファルトプラント1´にてアスファルト混合物を製造するときには、前記同様に、ドライヤ2に骨材貯蔵サイロ10a〜10cより切り出される砕石等の骨材を供給して加熱処理する一方、排気煙道8末端の煙突15では排ガスと貯水タンク29から循環供給される水とを熱交換させて熱回収を図り、タンク内の水を温水に入れ替えて貯め置く(図2中の二点鎖線矢印A1参照)。
【0047】
そして、アスファルト混合物の製造時、非製造時にかかわらず、適宜のタイミングにて、予備乾燥用ドライヤ43のドラム45を回転させつつ、骨材ホッパ48から、例えば砂を切り出して予備乾燥用ドライヤ43に供給する一方(図2中の二点鎖線矢印D参照)、この状態で貯水タンク29の第二の水循環配管53に温水を循環させると共に(図2中の二点鎖線矢印A2参照)、同時にヒートポンプユニット34の熱媒循環配管35内の熱媒も循環させる。このとき、熱媒は、前記同様に、先ず蒸発器36にて熱源である温水から熱エネルギーを吸収して蒸発し、気体となった熱媒は下流の圧縮機37にて加圧されて高温高圧となり、更に下流の凝縮器38にて放熱して送風機40より供給される外気を熱交換によって加熱させる一方、放熱で冷えて液化した熱媒は下流の膨張弁39にて急減圧されて低温低圧となり、再び蒸発器36へと送られて循環する(図2中の二点鎖線矢印C参照)。そして、こうして加熱した高温の外気を供給ダクト41を介して予備乾燥用ドライヤ43に供給し、骨材ホッパ48から切り出される砂を予備乾燥処理する。
【0048】
このとき、貯水タンク29に連結した水循環配管30と第二の水循環配管53とは、経路がそれぞれ独立していると共に、個別に供給ポンプ31、52を備えているので、例えば、骨材加熱用のドライヤ2から導出される排ガスから水循環配管30にて熱回収を行ってタンク内の水を温水に入れ替えつつ、それと同時に第二の水循環配管53にその温水を循環させ、その温水を熱源としてヒートポンプユニット34にて骨材予備乾燥用の外気を加熱させるといったことが可能となり、アスファルト混合物の製造のスケジュール等に縛られることなく砂等の骨材を効率よく予備乾燥処理することができる。
【0049】
そして、予備乾燥された砂は垂直搬送装置50を介して骨材貯蔵サイロ44に一旦貯留しておき、ドライヤ2稼働時に前記骨材貯蔵サイロ44から適宜量の砂を切り出してベルトコンベヤ51を介してドライヤ2へ供給し、骨材貯蔵サイロ10a〜10cから切り出される砕石等の他の骨材と共に加熱処理していく。
【0050】
このように、本実施例においては、骨材加熱用のドライヤ2とは別に、砂等の骨材を予備乾燥処理する専用のドライヤ43を備えたので、アスファルトプラント1´にてアスファルト混合物の製造があるとき、或いは無いときにかかわらず、適宜のタイミングにて砂等の骨材を予備乾燥処理することができ、排ガスから回収した回収熱を好適に有効利用することが可能となる。
【0051】
なお、ドライヤにて乾燥処理する対象物は骨材以外でも良く、例えば、含水比が比較的高く取り扱いにくい建設汚泥等を骨材加熱用ドライヤ2に供給すると共に、この骨材加熱用ドライヤ2にヒートポンプユニット34にて加熱した外気を送り込むようにすれば、建設汚泥等を比較的簡単に取り扱いやすい状態に乾燥処理することができる。その場合、アスファルトプラントにてアスファルト混合物の製造が無く、骨材加熱用ドライヤ2が非稼働時のタイミングを見計らって建設汚泥を供給して乾燥処理した後、ドライヤ2排出部12にて抜き取るようにしても良いし、或いは前記予備乾燥用ドライヤ43のように、骨材加熱用ドライヤ2とは別に建設汚泥等の乾燥処理用ドライヤを設置するようにすれば、アスファルト混合物の製造時・非製造時にかかわらず、適宜のタイミングにて建設汚泥等を好適に乾燥処理することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…アスファルトプラント 2…ドライヤ
3…垂直搬送装置 4…プラント本体
7…バーナ 8…排気煙道
10a、10b、10c…骨材貯蔵サイロ
13…排出シュート 15…煙突
16…振動篩 17…骨材貯蔵ビン
18…骨材計量槽 25…ミキサ
26…切換ダンパー(経路変更手段) 27…分岐シュート
28…ベルトコンベヤ(搬送装置) 29…貯水タンク
30…水循環配管 32…流路切換弁
33…戻り配管 34…ヒートポンプユニット
35…熱媒循環配管 36…蒸発器
37…圧縮機 38…凝縮器
39…膨張弁 40…送風機
41…供給ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材加熱用のドライヤに排ガス導出用の排気煙道を介して煙突を連結し、該煙突の近傍には保温機能を有した貯水タンクを備え、該貯水タンクにはタンク内の水を前記煙突に沿わせるように供給して排ガスとの熱交換により昇温させながら貯水タンクへと循環させる水循環配管を連結する一方、所定温度に昇温させた貯水タンク内の温水を熱源として外気を加熱するヒートポンプユニットを備えると共に、該ヒートポンプユニットにて加熱した外気をドライヤに供給する供給ダクトを備えたことを特徴とするアスファルトプラント。
【請求項2】
前記ドライヤ下流の垂直搬送装置に経路変更手段を具備した分岐シュートを備え、該分岐シュートの下位には分岐シュート側に排出される骨材をドライヤ上流の骨材貯蔵サイロに送り返す搬送装置を備えたことを特徴とする請求項1記載のアスファルトプラント。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−149142(P2011−149142A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8617(P2010−8617)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】