説明

アスファルト舗装廃材再生装置

【課題】 排ガスの一部をバーナの燃焼用空気として利用し、バーナに燃焼用空気として導入する外気量から前記排ガス量に相当する分だけ減じさせることにより、総排ガス量を削減して燃費の向上と共に集塵装置等の負荷を低減させる。
【解決手段】 循環ダクト16より更に分岐ダクト20を分岐させて備え、この分岐ダクト20をバーナ6先端のスロート21に連結して排ガスの一部をバーナ6の二次燃焼用空気として導入させると共に、分岐ダクト20には排風機22と、この排風機22の回転数を制御する風量制御器26とを備える。そして、バーナ6の燃焼量に応じて風量制御器26にて排風機22の回転数を制御してバーナ6に二次燃焼用空気として導入させる排ガス量を調節することにより、総排ガス量を削減し、燃費の向上と共に集塵機等の負荷を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事等により発生するアスファルト舗装廃材を加熱再生可能なアスファルト舗装廃材再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路工事等により発生するアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を加熱再生するアスファルト舗装廃材再生装置は、例えば特許文献1に示されるように、ドラムの一端側に備えたバーナにより燃焼室内で発生させた熱風をドラム内に供給する一方、ドラム他端側に備えた排気ダクトの下流に備えた排風機にて吸引して高温ガス流を維持し、このドラム内に廃材を所定量ずつ供給して転動流下させ、その間に廃材と熱風とを接触させて廃材を所望温度に昇温している。
【0003】
また、廃材は高温で加熱するとアスファルト分が劣化するなどの不具合を生じるので、ドラム内に供給する熱風温度を例えば600℃程度に抑える必要があり、このため排気ダクトより循環ダクトを分岐させて備え、該循環ダクトの他端部を燃焼室に連結し、排気ダクトより排出される温度の若干低下した排ガスの一部を燃焼室に循環させるようにする一方、燃焼室には熱風温度計を備え、該熱風温度計によって検出される熱風温度に基づいて前記循環ダクトに備えた風量調整ダンパーの開度を調整し、適宜量の排ガスを循環供給することにより適正な熱風温度を維持するように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−315509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来装置においては、ドラム端部の隙間から熱風や排ガスが外部に吹き出すことのないように燃焼室やドラム内部の静圧を大気圧より若干負圧となるように制御している。そのためドラム端部の隙間からは絶えず所定量の外気が侵入しており、排気ダクトより排出される排ガス中には約10〜15%程度もの酸素濃度があって、これは燃焼用空気として十分に有効利用できる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明者らはこれらの点に着目し、例えば、循環ダクトを介して燃焼室に循環させている排ガスの一部をバーナに導入させて燃焼用空気として利用し、バーナの外気導入口から燃焼用空気として導入させている外気量から前記排ガス量に相当する分だけ減じさせるようにすれば、排気ダクトから排出する総排ガス量を削減させることが可能となり、燃費の向上と共に排気ダクトに備える集塵機等の負荷を減らせるなどの効果が得られるのではないかと考えた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、排ガスの一部をバーナの燃焼用空気として利用し、バーナに燃焼用空気として導入する外気量から前記排ガス量に相当する分だけ減じさせることにより、総排ガス量を削減して燃費の向上と共に集塵機等の負荷を低減させるようにしたアスファルト舗装廃材再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生装置は、アスファルト舗装廃材を加熱再生するドラムの一端側に燃焼室を介して熱風供給用のバーナを備える一方、ドラムの他端側には排気ダクトを備えると共に、該排気ダクトより分岐させて備えた循環ダクトを前記燃焼室に連結し、排気ダクトより排出する排ガスの一部を燃焼室に循環させるようにしたアスファルト舗装廃材再生装置において、前記循環ダクトより更に分岐ダクトを分岐させて備え、該分岐ダクトの他端部を前記バーナ先端のスロートに連結して排ガスの一部をバーナの二次燃焼用空気として導入させると共に、前記分岐ダクトには排風機と、該排風機の回転数を制御する風量制御器とを備え、バーナの燃焼量に応じて前記風量制御器にて排風機の回転数を制御してバーナに二次燃焼用空気として導入させる排ガス量を調節するようにしたこと特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生装置によれば、循環ダクトより更に分岐ダクトを分岐させて備え、該分岐ダクトの他端部を前記バーナ先端のスロートに連結して排ガスの一部をバーナの二次燃焼用空気として導入させると共に、前記分岐ダクトには排風機と、該排風機の回転数を制御する風量制御器とを備え、バーナの燃焼量に応じて前記風量制御器にて排風機の回転数を制御してバーナに二次燃焼用空気として導入させる排ガス量を調節するようにしたので、排気ダクトから排出する総排ガス量を削減させることができ、燃費の向上が図れると共に、排気ダクトに備える集塵機等の負荷を低減できてメンテナンス面において好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るアスファルト舗装廃材再生装置の一実施例を示す概略説明図である。
【図2】図1のバーナ部分の詳細説明図である。
【図3】図2の一部を省略したX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のアスファルト舗装廃材再生装置にあっては、排ガスの一部を燃焼室に循環させる循環ダクトの途中より更に分岐ダクトを分岐させて備え、該分岐ダクトの他端部をバーナ先端のスロートに連結し、排ガスの一部をバーナの二次燃焼用空気として導入させる構成としている。また、前記分岐ダクトには排風機と、該排風機の回転数を制御する風量調整器とを備えており、バーナの燃焼量に応じて風量調整器にて排風機の回転数を制御してバーナに二次燃焼用空気として導入させる排ガス量を調節するようにしている。
【0012】
そして、上記アスファルト舗装廃材再生装置にて廃材を加熱再生するときには、ドラム内に所定量の廃材を供給し、バーナからの熱風に晒して所定温度に加熱する。このときバーナでは、燃焼に必要とされる燃焼用空気の一部を外気に代えて分岐ダクトから戻した適宜量の排ガスを利用しており、その分だけ外気の導入量を減らして排気ダクトからの総排ガス量を削減可能としている。この分岐ダクトからの排ガスは多くの粉塵を含んでおり、一次燃焼用空気としてバーナ後部の外気導入口から直接導入させるにはバーナに支障を来すおそれがあるが、二次燃焼用空気としてバーナ先端のスロート部分に導入させるようにすれば何ら支障もなく利用できる。
【0013】
このように、バーナの燃焼用空気の一部を外気に代えて排ガスを利用するようにしたので、その分だけ外気の導入量が減らせて総排ガス量を削減でき、燃費の向上と共に排気ダクトに備える集塵機等の負荷を低減できてメンテナンス面において好適である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1中の1は本発明のアスファルト舗装廃材再生装置の概略説明図であり、内部に多数の掻き上げ羽根(図示せず)を周設した円筒状のドラム2を回転自在に傾斜支持し、駆動用モータ(図示せず)にて所定速度で回転させる構成としている。
【0016】
前記ドラム2の一端側にはバルクヘッド3、他端側には排出ホッパ4をそれぞれ備えており、前記バルクヘッド3設置側には燃焼室5を介して熱風供給用のバーナ6を備え、該バーナ6の火炎を前記燃焼室5内に形成しながら熱風をドラム2内に供給すると共に、ドラム2他端側の排出ホッパ4に連結した排気ダクト7の下流に介在させた排風機8によって排ガスを吸引してドラム2内を通過する高温ガス流を維持する一方、骨材ホッパ9から払い出した廃材をベルトコンベヤ10を介してドラム2内に供給し、廃材がドラム2内を転動流下する間に高温ガス流と接触させて所望温度まで加熱昇温させ、排出ホッパ4の排出部より排出するようにしている。
【0017】
前記排気ダクト7の下流には、排ガス中のダストを捕集する、例えば乾式サイクロンなどの集塵機11を備えていると共に、該集塵機11の下流には排ガス中に含まれているアスファルト微粒分を燃焼分解する脱臭炉12を備えている。そして、前記脱臭炉12を通過した排ガスは清浄なガスとなって煙突13から大気中に放出される。
【0018】
前記脱臭炉12は、一端に炉内温度を所定値に維持するバーナ14を備えており、炉内に導入する排ガスを高温雰囲気に晒し、排ガス中に含まれるアスファルト微粒分を燃焼分解可能としている。なお、脱臭炉12はアスファルト微粒分が完全に燃焼分解できるように炉内温度を、例えば約750℃以上の高温を維持するようにバーナ14の燃焼量をコントロールすると共に、排ガスが炉内を通過するのに少なくとも1乃至2秒以上かかる程度の滞留室12aを備えていることが好ましい。
【0019】
15は熱交換器であって、前記脱臭炉12から排出される750℃程度の高温の排ガスが保有する排ガス熱を回収して有効利用するためのものであり、排気ダクト7から脱臭炉12に導入する排ガスを前記熱交換器15を通過させることで予熱を図っている。
【0020】
16は排気ダクト7より分岐させて備えた循環ダクトであり、該循環ダクト16の他端部を前記燃焼室5に連結し、排気ダクト7より排出する若干温度の低下した排ガスの一部を燃焼室5に循環させるようにしている一方、燃焼室5に備えた熱風温度計(図示せず)にて検出される熱風温度に基づいて前記循環ダクト16に備えた風量調整ダンパー17の開度、或いは排風機18の回転数を調整するなどして適宜量の排ガスを循環供給することにより適正な熱風温度を維持するように制御している。
【0021】
また、バルクヘッド3に備えた静圧センサ(図示せず)にて検出される静圧に基づいて排気ダクト7下流に備えた風量調整ダンパー19の開度、或いは排風機8の回転数を調整するなどして、燃焼室5付近の静圧を大気圧より若干負圧となるように維持させて、ドラム2端部の隙間から熱風や排ガスが外部に噴き出すことのないように図りつつ、前記隙間からドラム2内に吸い込まれる外気量を極力抑えて加熱効率の低下を防止するようにしている。
【0022】
前記循環ダクト16の途中からは更に分岐ダクト20を分岐させて備えており、該分岐ダクト20の他端部をバーナ6の先端部に形成したスロート21に連結し、分岐ダクト20に介在させた排風機22によって排ガスの一部をバーナ6の二次燃焼用空気として導入させるようにしている。
【0023】
前記スロート21は、例えば図2、図3に示すように、内筒21aと外筒21bとから成る二重構造としていると共に、分岐ダクト20の他端部を外筒21bの断面接線方向に連結しており、図3中の矢印で示すように、分岐ダクト20から導入される二次燃焼用空気をスロート21の内筒21aと外筒21bの隙間空間に沿って図3中の矢印B方向へ旋回させるように流し、バーナ6後部の外気導入ファン23にて外気導入口24から導入される一次燃焼用空気の流れ方向Aと逆行させることにより、一次・二次燃焼用空気をスロート21内で効果的に攪拌混合可能としている。
【0024】
また、バーナ6には、燃料噴射量と、一次燃焼用空気として導入させる外気量とを調節することによって燃焼量を制御する燃焼量制御器25を備えていると共に、分岐ダクト20の排風機22には回転数を制御する風量制御器26を備えており、前記燃焼量制御器25にて制御されるバーナ6の燃焼量に応じて風量制御器26にて排風機22の回転数を制御し、バーナ6に二次燃焼用空気として導入させる排ガス量を調節するようにしている。
【0025】
上記制御を詳細に説明すると、バーナ6の燃焼量を調整するときには、燃焼量制御器25にて燃料の噴射量と共に、外気導入ファン23の回転数を制御して一次燃焼用空気として導入させる外気量を適宜調節して所望の燃焼量に調整するが、ここで導入させる外気量はバーナ6の燃焼に必要な空気量(空気比で約1.2程度)を全てまかなうものではなく、例えば空気比で約0.6程度の空気量に抑えている。一方、バーナ6の燃焼に必要な残りの空気量は、分岐ダクト20の排風機22の回転数を制御して、空気比で約0.6相当量の二次燃焼用空気の排ガスをバーナ6先端のスロート21内に導入させることでまかなっている。
【0026】
このとき、排ガス中の酸素濃度は、バーナ6燃焼直後では約4%程度しかなく、このままでは燃焼用空気として利用することは難しいが、排気ダクト7に導出された時点では、ドラム2端部の隙間等から多少の外気が侵入することで約13%程度もあり、例えば二次燃焼用空気などとしてであれば問題なく十分に有効利用できる。こうして、バーナ6に導入させた一次燃焼用空気の外気と二次燃焼用空気の排ガスとをスロート21内で攪拌混合させることにより、バーナ6の適正な燃焼が可能な、空気比で約1.2程度の燃焼用空気を確保している。
【0027】
そして、上記構成のアスファルト舗装廃材再生装置1にて廃材を加熱再生するときには、先ず、骨材ホッパ9から所定量の廃材を切り出してベルトコンベヤ10を介してドラム2に供給し、バーナ6からの熱風に晒して所定温度まで加熱して排出ホッパ4より排出すると共に、ドラム2より導出する排ガスは下流の排気ダクト7を介して、集塵機11を経由して脱臭炉12に導入し、所定時間高温雰囲気に晒して排ガス中に含まれるアスファルト微粒分を燃焼分解した後、熱交換器15を経由させて熱回収してから煙突13より大気中に放出する一方、排ガスの一部は循環ダクト16を介して燃焼室5に循環させ、バーナ6からの約1800℃もの熱風温度を廃材の加熱処理に適した約600℃程度に調整する。
【0028】
また、バーナ6の燃焼量に応じて風量制御器26にて分岐ダクト20の排風機22の回転数を制御し、循環ダクト16内の排ガスの一部をバーナ6のスロート21に導入させて二次燃焼用空気として利用する。このとき、バーナ6の一次燃焼用空気として外気導入口24から導入する外気量は、バーナの燃焼に必要な空気量から前記排ガス導入量に相当する分を減じた残りの分だけを導入させればよく、それによって総排ガス量を削減可能としている。
【0029】
このように、既設のアスファルト舗装廃材再生装置の循環ダクトから更に分岐ダクトを分岐させて備えると共に、該分岐ダクトの他端部をバーナ先端のスロートに連結して、排ガスの一部をバーナの二次燃焼用空気として導入させ、その分だけ外気の導入量を減じるようにしたので、大気中へと排出する総排ガス量を削減させることができて燃費の向上が図れると共に、排気ダクトに備える集塵機等の負荷を低減できてメンテナンス面において好適である。また、排気ダクト下流の脱臭炉にて処理する排ガス量を低減できることにより、脱臭炉に備え付けのバーナの燃焼量を減じることができ、更なる燃費の向上が図れる。
【符号の説明】
【0030】
1…アスファルト舗装廃材再生装置 2…ドラム
5…燃焼室 6…バーナ
7…排気ダクト 11…集塵機
12…脱臭炉 16…循環ダクト
20…分岐ダクト 21…スロート
21a…内筒(スロート) 21b…外筒(スロート)
22…排風機 23…外気導入ファン
24…外気導入口 25…燃焼量制御器
26…風量制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト舗装廃材を加熱再生するドラムの一端側に燃焼室を介して熱風供給用のバーナを備える一方、ドラムの他端側には排気ダクトを備えると共に、該排気ダクトより分岐させて備えた循環ダクトを前記燃焼室に連結し、排気ダクトより排出する排ガスの一部を燃焼室に循環させるようにしたアスファルト舗装廃材再生装置において、前記循環ダクトより更に分岐ダクトを分岐させて備え、該分岐ダクトの他端部を前記バーナ先端のスロートに連結して排ガスの一部をバーナの二次燃焼用空気として導入させると共に、前記分岐ダクトには排風機と、該排風機の回転数を制御する風量制御器とを備え、バーナの燃焼量に応じて前記風量制御器にて排風機の回転数を制御してバーナに二次燃焼用空気として導入させる排ガス量を調節するようにしたことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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