説明

アスベスト関連疾患および障害の治療および管理のための免疫調節化合物の使用方法およびそれを含む組成物

【課題】アスベスト関連疾患または障害を治療、予防または管理する方法を開示する。
【解決手段】具体的な実施態様は、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを単独で、あるいは第2有効薬剤および/または化学療法、手術もしくは放射線療法と組み合わせて投与することを包含する。本発明の方法で使用するのに適した医薬組成物、単位剤形およびキットも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.本発明の分野)
本発明は、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防および管理する方法に関し、これは免疫調節化合物を単独でまたは既知の治療用物質と組み合わせて投与することを含む。本発明はまた、医薬組成物および投与方式に関する。特に、本発明は、アスベスト被毒に伴う疾患のための手術または放射性療法および/またはその他の標準的療法と合せた免疫調節化合物の使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
(2.本発明の背景)
(2.1 アスベスト関連疾患または障害)
世界で数百万の人々が、鉱石採掘またはアスベスト製品の製造および使用に際してアスベストに曝露された(D. R. Aberleの論文、Seminars in Roentgenology, 24(2): 118, 1991)。アスベストの多くの病理学的結果の発現に対する長い潜伏期間を考えると、アスベスト関連疾患は、しばらくの間、職業および環境性疾患の分野で優位を占めるであろう。良性のアスベスト関連疾患および障害には、石綿症、胸水、胸膜プラーク、びまん性胸膜肥厚、および円形無気肺が含まれる(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1191, 1992)。悪性のアスベスト関連疾患には、悪性胸水、胸膜または腹膜の中皮腫、および気管支癌腫が含まれる(Merck Index, 1999(17th ed.), 645および651)。
【0003】
石綿症(間質性線維症)は、アスベスト繊維の吸入による滲出性肺線維症として定義される(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1195, 1992)。これは、職業関連肺傷害の主要原因である(Merck Index, 1999(17th ed.), 622)。石綿症は、特徴的には、15〜20年の潜伏期に続いて発症し、曝露が止んだ後でさえも疾患の進行を伴うが、胸膜プラークなしで発現するのは稀である(C. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 425, 2000)。線維症は、まず、呼吸細気管支内またはその周囲に現われ、下葉肺の胸膜下部分で際立ち、中央に進行する(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1195, 1992)。石綿症は、乾性咳に加えて進行性呼吸困難の危険な開始を引き起こす可能性がある。肺癌の発生率は石綿症を有する喫煙者で増加し、用量−反応関係が認められている(Merck Index, 1999(17th ed.), 623)。
【0004】
もう1つのアスベスト関連障害が胸水である。胸水は、アスベスト関連疾患の最初の症状発現であることが多い(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1192, 1992)。アスベストに曝露された人は、曝露から5〜20年後に滲出性胸水を発症する可能性がある(Merck Index, 1999(17th ed.), 645、C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1192, 1992、およびC. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 427, 2000)。滲出は、短期間曝露の結果として起こることもあるが、約10〜15年の中期間曝露の結果として起こることがより多い。良性アスベスト関連胸水の臨床像は、無症候性患者から胸膜胸痛および発熱の急性症状発現を伴う患者まで様々である(同上、426)。機序は不明であるが、繊維が、肺から胸膜に移動し、炎症応答を誘発すると思われる。ほとんどの人で、滲出は、3〜4カ月後に消えるが、数年に渡って持続または再発する可能性がある(同上)。滲出が消散すると、多くはびまん性胸膜肥厚に進行する(同上)。
【0005】
胸膜プラークは、典型的にはおおよそ20〜30年の潜伏期間を経て発生する、アスベスト曝露の一般的な症状発現である(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1191, 1992、およびC. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 423, 2000)。組織学的に、胸膜プラークは、かご織模様(basket-weave pattern)を形成し、もっぱら壁側胸膜を包む非細胞コラーゲン束からなる(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1191, 1992)。肺胸膜を刺すアスベスト繊維の機械的効果によって生じると考える人もいるが、胸膜プラークの正確な病因論は不明瞭なままである(C. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 425, 2000)。しかし、目下のところ、繊維は、リンパ経路を経由して壁側胸膜に移動し、そこで炎症応答を刺激すると考えられている(同上)。プラークは、曝露停止後でも時の経過とともに徐々に成長するが、それらは前癌状態とは考えられない(同上)。石灰化は、晩年、多くは曝露後30〜40年で発現する(同上、424、およびC. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1191, 1992)。胸膜疾患の重症度と石綿症の重症度の間には有意の相関関係があるが、胸膜プラークは、アスベスト関連疾患の任意のその他症状発現なしに、孤立して発現する傾向がある(C. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 425, 2000)。
【0006】
アスベスト曝露のもう1つの一般的な症状発現は、びまん性胸膜肥厚である(C. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1193, 1992)。通常、潜伏期間はおおよそ15年である。肥厚は、TB胸膜炎、血胸症および膿胸に続いて認められる場合もあるので、びまん性胸膜肥厚は、アスベスト曝露に関して、胸膜プラークの存在よりも特殊性が低い(C. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 427, 2000)。最も一般的な症状は呼吸困難である。病因論は明確でないが、肺胸膜リンパ管の炎症および線維症によるものと考えられ、実質組織線維症の拡大と考えられている(同上)。びまん性胸膜肥厚の進行は、プラーク形成と類似の時間経過を有する。肥厚は、石綿症に一般的に付随する所見であり、10%の連合発生率が報告されている(同上)。
【0007】
アスベスト曝露に関係したもう1つの疾患が、円形無気肺であり、それは、気管支および管の特徴的な引き込みを伴う胸膜肥厚直前の無気肺を指す(T. Wallaceの論文、Diagnostic Cytopathology, 8(6): 617, 1992、C. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 429, 2000、およびC. A. Staplesの論文、Radiologic Clinics of North America, 30(6): 1193, 1992)。これは、折りたたみ肺、肺偽腫瘍、胸膜腫またはブレゾフスキー(Blesovsky)症候群としても知られている(同上)。滲出の存在は、隣接胸膜の陥入を生じさせる肺の折りたたみを伴う受動性無気肺を引き起こすと言われている(同上)。この過程は、滲出の消散により肺の再膨張を妨げ、円形無気肺を引き起こす束縛をもたらす(同上)。別な説明は、胸膜に対する傷害が、局部化された炎症および線維症を導き、それが、下にある肺の容量減少および座屈を生じさせるというものである(同上)。病変は複合的でかつ両側性であり得るが、小舌が、最も一般的な部位であり、中葉次いで下葉がそれに続く(同上)。
【0008】
中皮腫は、通常、アスベストに対する職業性曝露に関係する悪性の胸膜または腹膜新生物である(Merck Index, 1999(17th ed.), 645)。アスベスト曝露と中皮腫発症の間の臨床的潜伏期間は、典型的には15〜40年である(同上、623、およびC. Peacockの論文、Clinical Radiology, 55: 427, 2000)。結果として、中皮腫患者の数は、アスベスト生産量の減少にも拘わらず上昇を続けてきた(JMW van Haarstらの論文、British Journal of Cancer, 86: 342, 2002)。一般的な症状は、胸痛、呼吸困難、咳、体重減少、虚弱および痰産生の増加である(Merck Index, 1999(17th ed.), 645)。腫瘍は、徐々に肺を包み、胸壁に侵入し、患者の約75%に胸水を引き起こす(同上)。予後は悲観的であり、ラジアル(radial)手術、化学療法または放射線療法に対する応答に乏しい(同上)。
【0009】
気管支癌腫とアスベスト曝露の間の因果関係は、十分に認められる(Merck Index, 1999(17th ed.), 651およびD. R. Aberleの論文、Seminars in Roentgenology, 24(2): 124, 1991)。職業性曝露レベルで曝露量応答を示す(同上)。アスベスト労働者における肺癌の相対的危険度は、紙巻タバコの喫煙との組合せで乗数的に増加し、アスベスト関連間質性疾患がそれと関係することが多い(同上)。肺癌は、アスベストに曝露された、間質性肺疾患を伴わない個体においても報告されている(同上)。
【0010】
(2.2 従来の治療法)
アスベスト関連疾患または障害に対処するための基本的な戦略は、アスベスト使用の世界的な排除および安全な合成産物によるアスベストの置換を伴う、予防である。石綿症の治療が有効であるとは認識されていない。中皮腫は、治療することが極めて困難であり、その治療のための標準的療法は、今のところ存在しない(Kaiser LR.の論文、Semin Thorac Cardiovasc Surg, Oct., 9(4): 383-90, 1997)。化学療法、放射線療法、および手術の方法が、総合的生存率の向上が殆どないまま使用されてきたが、以上3種の治療を組み合わせた3種(trimodality)療法が、選ばれた患者の生存率を向上させることがわかった(同上)。
【0011】
中皮腫を治療するのに使用される主な2つの手術介入は、胸膜切除術および胸膜外肺剥離術(EPP)である。胸膜切除術は、通常、胸壁痛を和らげるための軽減処置であり、肺および壁側の胸膜を剥ぎ取ることによって再発性胸水を防止する(C. Turtonの論文、British Journal of Hospital Medicine, 23(3): 249, 1980)。EPPは、すべての全体疾患を除去するための、壁側および縦隔胸膜、肺、片側横隔膜、および同側心膜を一まとめにしての切除術である(Sugarbaker DJの論文、Ann Surg., 224(3): 288-94, 1996)。EPPは、縦隔リンパ節の関与がない第I期腫瘍に対して指示される。EPPは、かなりの病的状態を伴う技術的に大変な注意力を要する手術である。胸膜切除術およびEPPの手術合併症には、肺炎、気管支胸腔瘻、気管支漏、膿胸、乳び胸、呼吸不全、心筋梗塞、鬱血性心不全、出血、心臓軸捻転、皮下気腫、腫瘍除去不完全、および声帯麻痺が含まれる(同上)。
【0012】
放射線療法は、通常、手術に対して軽減的または付加的である(C. Turtonの論文、British Journal of Hospital Medicine, 23(3): 249, 1980)。近接照射療法、放射性同位元素の胸膜内埋込みは、胸膜空間に局部的に高用量の放射線を送達し、再発性胸水に対して使用される(同上)。術後放射線療法は、胸壁切開部位内での再発を防止できる。放射線療法の合併症には、悪心および嘔吐、放射線肝炎、食道炎、脊髄炎、心筋炎、および肺機能の悪化を伴う肺炎が含まれる。
【0013】
光線力学療法は、外科的に処置された胸膜悪性腫瘍を有する患者の補助治療である(P. Baasの論文、Br. J. Cancer., 76(6): 819-26, 1997)。光で活性化される光感受性薬剤を、胸膜内に点滴し、特定波長の光で刺激して、腫瘍の壊死を引き起こす酸素フリーラジカルを生じさせる(同上)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
化学療法の比較は困難であったので、化学療法に対する応答は、期待を裏切るものであった。メパクリン、チオテパ、およびテトラサイクリンなどの抗生物質の胸膜内点滴が、時には好結果を与えることが報告されている(C. Turtonの論文、British Journal of Hospital Medicine, 23(3): 247, 1980)。ムスタチンを含む各種の細胞毒性薬剤が胸膜腔内に点滴されている(同上)。中皮腫の治療に際して今日使用される医薬には、GM−CSF、ドキソルビシン、ジェムシタビン、シスプラチン、ビンブラスチン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、メトトレキサートおよびマイトマイシンが含まれる(JMW van Haarstらの論文、British Journal of Cancer, 86: 342-345, 2002)。しかし、患者が完全な苦痛の除去を得るのは稀である。化学療法は、20%未満の応答を引き起こし、今までのところ、中皮腫を有する患者の生存向上を示していない(同上)。したがって、アスベスト曝露に関係した中皮腫およびその他の疾患を治療および管理する安全で有効な方法に対する必要性が依然として存在する。
【0015】
(2.3 免疫調節化合物)
LPSに刺激されたPBMCによりTNF−α生成を阻害する可能性のあるそれらの能力のために選択された一群の化合物が研究されている(L. G. Corralらの論文、Ann. Rheum. Dis. 58 (Suppl I) 1107-1113 (1999))。IMiDs(商標)(Celgene Corporation)または免疫調節薬と呼ばれるこれらの化合物は、強力なTNF−α阻害性を示すだけでなく、LPSで誘導された単球IL1βおよびIL12の産生の著しい抑制をも示す。免疫調節化合物によって、部分的であるがLPSで誘導されたIL6も阻害される。これらの化合物は、LPSで誘導されたIL10の強力な刺激剤である(同上)。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(3.本発明の要旨)
本発明は、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防および管理する方法を包含し、この方法は、それを必要とする患者に、治療上もしくは予防上有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0017】
本発明の別の実施態様は、アスベスト関連疾患または障害を治療または予防するのに典型的に使用される、その他の治療用物質と組み合わせた1以上の免疫調節化合物の使用を包含する。該その他の治療用物質は、例えば、これらだけに限定するものではないが、抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、サイトカイン、ステロイド、免疫調節剤、免疫抑制剤およびその他の既知の治療用物質を含む。
【0018】
本発明のさらに別の実施態様は、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防または管理するのに使用される、通常の療法と組み合わせた1以上の免疫調節化合物の使用を包含する。該療法は、例えば、これらだけに限定するものではないが、化学療法、手術、放射線療法および光線力学療法を含む。
【0019】
本発明はさらに、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防および/または管理における使用に適した医薬組成物、単位剤形およびキットを包含し、これらは、1以上複数の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグ、および1以上のさらなる有効薬剤を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(4.本発明の詳細な説明)
本発明の第1の実施態様は、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防または管理する方法を包含し、この方法は、それを必要とする患者に、治療上もしくは予防上有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0021】
本明細書で使用する、用語「アスベスト関連疾患、障害または症候群」、「アスベスト曝露に伴う疾患または障害」、および「アスベスト被毒に伴う疾患または障害」は、アスベストへの曝露またはアスベストによる被毒に伴うまたは関係した任意の疾患、障害、症候群または異常を意味する。これらの用語は良性および悪性疾患または障害を包含し、これらだけに限定するものではないが、中皮腫、石綿症、悪性胸水、良性滲出性滲出、胸膜プラーク、胸膜石灰化、びまん性胸膜肥厚、円形無気肺、線維性腫瘤および肺癌を包含する。具体的な実施態様では、これらの用語は肺癌を包含しない。具体的な実施態様では、アスベスト関連疾患、障害または症候群は、悪性中皮腫または悪性胸水中皮腫症候群を含まない。
【0022】
本発明の別の実施態様は、アスベスト関連疾患または障害の治療、予防または管理に適し、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグ、および任意選択の担体を含む医薬組成物を包含する。
【0023】
同様に本発明に包含されるのは、アスベスト関連疾患または障害の治療、予防または管理における使用に適し、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグ、および任意選択の担体を含む単位剤形である。
【0024】
本発明の別の実施態様は、アスベスト関連疾患または障害の治療、予防または管理における使用に適し、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを含む医薬組成物を含むキットを包含する。本発明はさらに、単位剤形を含むキットを包含する。
【0025】
理論に制限されることなく、免疫調節化合物は、アスベスト関連疾患または障害の治療、予防または管理において、特定の第2有効薬剤と相補的または相乗的に作用できると思われる。したがって、本発明の一実施態様は、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防および/または管理する方法を包含し、この方法は、それを必要とする患者に、治療上もしくは予防上有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグ、および治療上または予防上有効な量の第2有効薬剤を投与することを含む。
【0026】
第2有効薬剤の例としては、これらだけに限定するものではないが、抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、ステロイド、サイトカイン、免疫調節剤、免疫抑制剤などの中皮種を治療または予防するのに使用する通常の治療用物質、およびアスベスト関連疾患または障害の症状を軽減または低減できるその他の治療用物質があり、これらは、例えばPhysician's Desk Reference, 2003に見出すことができる。
【0027】
さらに、免疫調節化合物は、アスベスト関連疾患または障害の治療に使用する通常の治療剤の投与に伴う副作用を減少または除去することができ、それにより、より多量のこれらの通常の薬剤を患者に投与することを可能にし、かつ/または患者のコンプライアンスを高めると思われる。その結果、本発明の別の実施態様は、アスベスト関連疾患または障害に罹患した患者への第2有効薬剤の投与に伴う副作用を逆転、減少または回避する方法を包含し、この方法は、それを必要とする患者に治療上または予防上有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0028】
本発明はまた、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグ、および第2有効薬剤を含む医薬組成物、単位剤形およびキットを包含する。
【0029】
本明細書の他の箇所で議論している通り、アスベスト関連疾患または障害の症状は、化学療法、手術、放射線療法、光線力学療法、免疫療法および/または遺伝子療法で治療することができる。理論に制限されることなく、そのような通常の療法と免疫調節化合物を併用することにより、アスベスト関連疾患または障害を非常に有効に治療できると思われる。したがって、本発明は、アスベスト関連疾患または障害を治療、予防および/または管理する方法を包含し、この方法は、患者(例えば、ヒト)に、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物もしくはプロドラッグを、化学療法、手術、放射線療法、光線力学療法、免疫療法、遺伝子療法および/またはその他の通常の非薬物ベースの療法の前、最中または後に投与することを含む。
【0030】
(4.1 免疫調節化合物)
本発明の化合物は商業的に購入するかまたは本明細書中に開示している特許または特許公開中に記載している方法により調製するかいずれかとすることができる。さらに、光学的に純粋な化合物を不斉合成し、または公知の分割剤またはキラルカラム、ならびに他の標準的な合成有機化学技術を使用して分割することができる。本発明において使用する化合物には、ラセミ、立体異性的に富化したまたは立体異性的に純粋である免疫調節化合物、ならびに医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、立体異性体、およびプロドラッグを含むことができる。
【0031】
本発明において使用する好ましい化合物は、約1,000g/モル未満の分子量を有する有機小分子であり、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖または他の大分子ではない。
【0032】
本明細書において使用する、用語「免疫調節化合物」および「IMiDs(商標)」(Celgene Corporation)は、別段の指示がない限り、TNF−α、LPS誘発単球IL1βおよびIL12の生成を著しく阻害し、IL6の生成を部分的に阻害する有機小分子を包含する。特定の免疫調節化合物を下記において考察している。
【0033】
TNF−αは、急性炎症の間にマクロファージおよび単球により産生される炎症性サイトカインである。TNF−αは、細胞内の多種多様な領域にわたるシグナル伝達事象の原因となる。理論に捉われることなく、本発明の免疫調節化合物が発現する生物学的作用の1つは、TNF−αの合成の低減である。本発明の免疫調節化合物は、TNF−α mRNAの分解を促進する。
【0034】
さらに、理論に捉われることなく、本発明において使用する免疫調節化合物は、T細胞の強力な補助刺激剤となり、投与量依存的に細胞増殖を劇的に増加させることもできる。本発明の免疫調節化合物は、CD4+T細胞サブセットよりもCD8+T細胞サブセットへのより大きな補助刺激効果を有することもできる。その上、この化合物は、好ましく抗炎症特性を有し、効率的にT細胞を補助刺激する。さらに、特定の理論に捉われることなく、本発明において使用する免疫調節化合物は、間接的にサイトカイン活性化によっても作用し、直接的にナチュラルキラー(「NK」)細胞にも作用することが可能であり、IFN−γなどの、しかしそれに限定されない有益なサイトカインを産生するNK細胞の能力を増進できる。
【0035】
免疫調節化合物の具体的な例には、下記のものが含まれるが、それらに限定されない:米国特許第5,929,117号中に開示されているものなどの置換スチレンのシアノおよびカルボキシ誘導体;米国特許第5,874,448号および同第5,955,476号中に記載されているものなどの1−オキソ−2(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、および1,3−ジオキソ−2(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン;米国特許第5,798,368号中に記載されている四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン;以下のものに限定されないが、米国特許第5,635,517号、同第6,476,052号、同第6,555,554号、および同第6,403,613号中に開示されているものなどを含めた、1−オキソおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリン(例えばサリドマイドの4−メチル誘導体);米国特許第6,380,239号中に記載されている、インドリン環の4−または5−位で置換された1−オキソおよび1,3−ジオキソインドリン(例えば4−(4−アミノ−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4−カルバモイルブタン酸);米国特許第6,458,810号中に記載されている、2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルにより2−位で置換されたイソインドリン−1−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオン(例えば2−(2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシ−5−フルオロピペリジン−5−イル)−4−アミノイソインドリン−1−オン);米国特許第5,698,579号、および同第5,877,200号中に開示されている非ポリペプチド環状アミドの一クラス;米国特許第6,281,230号、および同第6,316,471号中に記載されているものなどのアミノサリドマイドならびにアミノサリドマイドの類似体、加水分解生成物、代謝生成物、誘導体、および前駆体、ならびに置換した2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミドおよび置換した2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドール;ならびに2001年10月5日出願の米国特許出願第09/972,487号、2001年12月21日出願の米国特許出願第10/032,286号、および国際出願第PCT/US01/50,401号(国際公開第WO02/059,106号)中に記載されているものなどのイソインドール−イミド化合物である。ここに特定したそれぞれの特許および特許出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。免疫調節化合物にはサリドマイドは含まれない。
【0036】
本発明の他の特定の免疫調節化合物には、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,635,517号に記載されている、ベンゾ環がアミノで置換された1−オキソおよび1,3ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが含まれるがそれらに限定されない。これらの化合物は、下記構造Iを有する:
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCHであり、Rは水素原子または低級アルキル、特にメチルである。)。具体的な免疫調節化合物には、下記のものが含まれるが、これらに限定されない:
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン、
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリン、
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−6−アミノイソインドリン、
1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−7−アミノイソインドリン、
1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−アミノイソインドリン、および
1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−5−アミノイソインドリン
である。
【0039】
本発明の他の具体的な免疫調節化合物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,335,349号、および同第6,476,052号、ならびに国際特許出願第PCT/US97/13,375号(国際公開第WO98/03,502号)中に記載されているものなどの置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)フタルイミドおよび置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドールの一クラスに属する。代表的な化合物は、下記式である:
【0040】
【化2】

【0041】
(式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCHであり、
(i)R、R、R、およびRのそれぞれは、他のものとは独立に、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキルまたは炭素原子1〜4個のアルコキシであり、あるいは(ii)R、R、R、およびRの1つは−NHRであり、R、R、R、およびR残余は水素原子であり、
は、水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルであり、
は、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキル、ベンジルまたはハロであり、
但し、XおよびYがC=Oであり、かつ(i)R、R、R、およびRのそれぞれがフルオロでありまたは(ii)R、R、R、およびRの1つがアミノである場合、Rは水素原子以外のものである。)。
【0042】
この種類を代表する化合物は、下記式である:
【0043】
【化3】

【0044】
(式中、Rは水素原子またはメチルである。)。別個の実施態様において、本発明はこれらの化合物のエナンチオマー的に純粋な形態(例えば、光学的に純粋な(R)または(S)鏡像異性体)の使用を包含する。
【0045】
本発明のさらに他の特定の免疫調節化合物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第US2003/0,096,841号、および米国特許第2003/0,045,552号、ならびに国際出願第PCT/US01/50,401号(国際公開第WO02/059,106号)中に開示されているイソインドール−イミドの種類に属する。代表的な化合物は、式IIの化合物、ならびに医薬として許容し得るその塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、および立体異性体の混合物である:
【0046】
【化4】

【0047】
式中、
XおよびYの一方がC=Oであり、その他方がCHまたはC=Oであり、
が、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’または(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり、
が、H、F、ベンジル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルであり、
およびR3’が独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)OR、であり、
が、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキル−OR、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキルまたは(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリールであり、
が、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリールまたは(C〜C)ヘテロアリールであり、
が、出現するごとに独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)ヘテロアリールまたは(C〜C)アルキル−C(O)O−Rであり、あるいはR基が結合してヘテロシクロアルキル基を形成し、
nが、0または1であり、
が、キラル炭素中心を表している。
【0048】
具体的な式IIの化合物において、nが0である場合、Rは、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(S)NHRまたは(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり、
は、Hまたは(C〜C)アルキルであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−NH−C(O)O−R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)ORであり、かつ他の変数は同一の定義を有する。
【0049】
他の具体的な式IIの化合物において、Rは、Hまたは(C〜C)アルキルである。
【0050】
他の具体的な式IIの化合物において、Rは、(C〜C)アルキルまたはベンジルである。
【0051】
他の具体的な式IIの化合物において、Rは、H、(C〜C)アルキル、ベンジル、CHOCH、CHCHOCHまたは下記式のものである。
【0052】
【化5】

【0053】
式IIの化合物の他の実施態様において、Rは、下記式のものである:
【0054】
【化6】

【0055】
(式中、Qは、OまたはSであり、R’は出現するごとに独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、ハロゲン、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)OR、であり、あるいは隣接して現れているRは一緒になって二環状アルキルまたはアリール環を形成することができる。)。
【0056】
他の具体的な式IIの化合物において、Rは、C(O)Rである。
【0057】
他の具体的な式IIの化合物において、Rは、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル、アリールまたは(C〜C)アルキル−ORである。
【0058】
他の具体的な式IIの化合物において、ヘテロアリールは、ピリジル、フリルまたはチエニルである。
【0059】
他の具体的な式IIの化合物において、Rは、C(O)ORである。
【0060】
他の具体的な式IIの化合物において、C(O)NHC(O)のHは、(C〜C)アルキル、アリールまたはベンジルで置き換えることができる。
【0061】
この種類の化合物のさらなる例には、次のものが含まれるが、それらに限定されない:[2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル]−アミド;(2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル;4−(アミノメチル)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン;N−(2−(2,6−ジオキソ−ピペリジン−3−イル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イルメチル)−アセトアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}シクロプロピル−カルボキサミド;2−クロロ−N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}アセトアミド;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)−3−ピリジルカルボキサミド;3−{1−オキソ−4−(ベンジルアミノ)イソインドリン−2−イル}ピペリジン−2,6−ジオン;2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−4−(ベンジルアミノ)イソインドリン−1,3−ジオン;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}プロパンアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}−3−ピリジルカルボキサミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}ヘプタンアミド;N−{(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)メチル}−2−フリルカルボキサミド;{N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)カルバモイル}メチル酢酸;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)ペンタンアミド;N−(2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル)−2−チエニルカルボキサミド;N−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;およびN−{[2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−1,3−ジオキソイソインドリン−4−イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミドである。
【0062】
本発明のさらに他の特定の免疫調節化合物は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2002/0,045,643号、国際公開第WO98/54,170号、および米国特許第6,395,754号中に開示されているイソインドール−イミドの種類に属する。代表的な化合物は、式IIIの化合物、ならびに医薬として許容し得るその塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、および立体異性体の混合物である:
【0063】
【化7】

【0064】
式中、
XおよびYの一方がC=Oであり、その他方がCHまたはC=Oであり、
Rが、HまたはCHOCOR’であり、
(i)R、R、R、またはRのそれぞれが、他のものとは独立に、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキルまたは炭素原子1〜4個のアルコキシであり、あるいは(ii)R、R、RまたはRの1つがニトロまたは−NHRであり、かつR、R、RまたはRの残余が水素原子であり、
が水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルであり、
が水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロであり、
R’が、R−CHR10−N(R)であり、
が、m−フェニレンまたはp−フェニレン、あるいはnが0〜4の値を有する−(C2n)−であり;それぞれのRおよびRが、他のものから独立に、水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルであり、あるいはRおよびRは一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンまたは−CHCHCHCH−(但し、Xは−O−、−S−または−NH−である)であり、
10が、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキルまたはフェニルであり、
が、キラル炭素中心を表している。
【0065】
他の代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0066】
【化8】

【0067】
(式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、その他方はC=OまたはCHであり、
(i)R、R、R、またはRのそれぞれは、他のものとは独立に、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキルまたは炭素原子1〜4個のアルコキシであり、あるいは(ii)R、R、R、およびRの1つは−NHRであり、かつR、R、R、およびRの残余は水素原子であり、
は、水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルであり、
は、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロであり、
は、m−フェニレンまたはp−フェニレン、あるいはnが0〜4の値を有する−(C2n)−であり;それぞれのRおよびRは、他のものから独立に、水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルであり、あるいはRおよびRは一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンまたは−CHCHCHCH−(但し、Xは−O−、−S−または−NH−である)であり、
10は、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキルまたはフェニルである。)。
【0068】
他の代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0069】
【化9】

【0070】
(式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCHであり、
、R、R、またはRのそれぞれは、他のものとは独立に、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキルまたは炭素原子1〜4個のアルコキシであり、あるいは(ii)R、R、R、およびRの1つはニトロまたは保護されたアミノであり、かつR、R、R、およびRの残余は水素原子であり、
は水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロである。)。
【0071】
他の代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0072】
【化10】

【0073】
(式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCHであり、
(i)R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、他のものとは独立に、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキルまたは炭素原子1〜4個のアルコキシであり、あるいは(ii)R1、R2、R3、およびR4の1つは−NHR5であり、かつR1、R2、R3、およびR4の残余は水素原子であり、
R5は水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルまたはCO−R7−CH(R10)NR8R9(但し、それぞれのR7、R8、R9、およびR10は本明細書において定義した通りである)であり、
は、炭素原子1から8個を有するアルキル、ベンゾ、クロロまたはフルオロである。)。
【0074】
この化合物の特定の例は、下記式の化合物である:
【0075】
【化11】

【0076】
(式中、
XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCHであり、
は、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキル、ベンジル、クロロまたはフルオロであり、
はm−フェニレン、p−フェニレンまたはnが0〜4の値を有する−(C2n)−であり;それぞれのRおよびRは、他のものから独立に、水素原子または炭素原子1から8個を有するアルキルであり、あるいはRおよびRは一緒になってテトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンまたは−CHCHCHCH−(但し、Xは−O−、−S−または−NH−である)であり、
10は、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキルまたはフェニルである。)。
【0077】
本発明の好ましい免疫調節化合物は、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−イソインドリン−1,3−ジオン、および3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンである。この化合物は、標準的合成方法を経て得ることができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,635,517号を参照されたい)。この化合物は、Celgene Corporation、ウォレン(Warren)、ニュージャージー州から入手可能である。4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル)−イソインドリン−1,3−ジオンは、下記の化学構造を有する。
【0078】
【化12】

【0079】
化合物、3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンは、下記の化学構造を有する。
【0080】
【化13】

【0081】
他の実施態様において、本発明の特定の免疫調節化合物は、共に参照により本明細書に組み込まれている2003年9月4日出願の米国仮出願第60/499723号および2004年9月3日出願の対応する米国本出願中に開示されている形態A、B、C、D、E、F、G、およびHなどの3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの多形相を包含する。例えば、3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Aは、非水溶媒系から得ることができる非溶媒和性の結晶性物質である。形態Aは、2θ約8、14.5、16、17.5、20.5、24、および26度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約270℃を有する。形態Aは、弱吸湿性または非吸湿性であり、これまで見出されている3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの最も熱力学的に安定な無水多形であるように見える。
【0082】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Bは、ヘキサン、トルエン、および水を含めた、しかしそれらに限定されない種々の溶媒系から得ることができる半水和物性の結晶性物質である。形態Bは、2θ約16、18、22、および27度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、DSC曲線から約146、および268℃の吸熱を有し、これはホットステージ顕微鏡試験により脱水および融解と識別される。相互変換性の検討により、形態Bは、水性溶媒系内で形態Eに変換され、アセトンおよび他の無水系内で他の形態に変換されることが示される。
【0083】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Cは、アセトンなどの、しかしそれらに限定されない溶媒から得ることができる半溶媒和した結晶性物質である。形態Cは、2θ約15.5、および25度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約269℃を有する。形態Cは、約85%RH未満では吸湿性ではないが、より高い相対湿度では形態Bに変換することができる。
【0084】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Dは、アセトニトリルおよび水の混合物から調製される結晶性の、溶媒和した多形である。形態Dは、2θ約27、および28度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約270℃を有する。形態Dは、弱吸湿性または非吸湿性のいずれかであるが、より高い相対湿度で応力を加えると通常は形態Bに変換される。
【0085】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Eは、水中で3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンをスラリとすることにより、約9:1の比率のアセトン:水を有する溶媒系内で3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンをゆっくり蒸発させることにより、得ることができる二水和物性の結晶性物質である。形態Eは、2θ約20、24.5、および29度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約269℃を有する。形態Eは、アセトン溶媒系内で形態Cに、THF溶媒系内で形態Gに変換することができる。水性溶媒系内で形態Eは最も安定な形態であるように見える。形態Eについて行った脱溶媒和試験では、約125℃に約5分間加熱すると、形態Eを形態Bに変換することができる。約175℃に約5分間加熱すると、形態Bを形態Fに変換することができる。
【0086】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Fは、形態Eの脱水から得ることができる非溶媒和性の結晶性物質である。形態Fは、2θ約19、19.5、および25度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約269℃を有する。
【0087】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Gは、テトラヒドロフラン(THF)などの、しかしそれらに限定されない溶媒中で形態BおよびEをスラリ化することからから得ることができる非溶媒和性の結晶性物質である。形態Gは、2θ約21、23、および24.5度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約267℃を有する。
【0088】
3−(4−アミノ−1−オキソ−1、3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンの形態Hは、形態Eを相対湿度0%に曝露することにより得ることができる部分水和(約0.25モル)性の結晶性物質である。形態Hは、2θ約15、26、および31度に有意なピークを含む粉末X線回折図形を有し、示差走査熱量計融点極大約269℃を有する。
【0089】
本発明の他の特定の免疫調節化合物には、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,874,448号および同第5,955,476号に記載されている1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、および1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリンが含まれるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0090】
【化14】

【0091】
(式中、Yは酸素またはHであり、
、R、R、およびRのそれぞれは、他のものとは独立に、水素原子、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシまたはアミノである。)。
【0092】
本発明の他の特定の免疫調節化合物には、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,798,368号中に記載されている四置換した2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリンが含まれるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0093】
【化15】

【0094】
(式中、R、R、R、およびRのそれぞれは、他のものとは独立に、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキルまたは炭素原子1〜4個のアルコキシである。)。
【0095】
本発明の他の特定の免疫調節化合物には、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,403,613号中に開示されている1−オキソおよび1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドリンが含まれるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0096】
【化16】

【0097】
(式中、
Yは、酸素またはHであり、
第1のRおよびRは、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノまたはカルバモイルであり、第2のRおよびRは、第1のものから独立に、水素原子、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノまたはカルバモイルであり、
は水素原子、アルキルまたはベンジルである。)。
【0098】
この化合物の特定の例は、下記式の化合物である:
【0099】
【化17】

【0100】
(式中、第1のRおよびRは、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、ジアルキルアミノ(但し、それぞれのアルキルは炭素原子1〜4個のものである)、シアノまたはカルバモイルであり、
第2のRおよびRは、第1のものから独立に、水素原子、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、アルキルアミノ(但し、アルキルは炭素原子1〜4個のものである)、ジアルキルアミノ(但し、それぞれのアルキルは炭素原子1〜4個のものである)、シアノまたはカルバモイルであり、
は水素原子、炭素原子1から4個を有するアルキルまたはベンジルである。)。特定の例には1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−メチルイソインドリンが含まれるが、それらに限定されない。
【0101】
他の代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0102】
【化18】

【0103】
(式中、第1のRおよびRは、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、ジアルキルアミノ(但し、それぞれのアルキルは炭素原子1〜4個のものである)、シアノまたはカルバモイルであり、
第2のRおよびRは、第1のものから独立に、水素原子、ハロ、炭素原子1から4個を有するアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、アルキルアミノ(但し、アルキルは炭素原子1〜4個のものである)、ジアルキルアミノ(但し、それぞれのアルキルは炭素原子1〜4個のものである)、シアノまたはカルバモイルであり、
は水素原子、炭素原子1から4個を有するアルキルまたはベンジルである。)。
【0104】
具体的な例には、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,403,613号中に開示されている1−オキソ−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−4−メチルイソインドリンおよびその鏡像異性体が含まれるが、それらに限定されない。
【0105】
本発明の他の特定の免疫調節化合物には、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,380,239号、および同時係属の2004年7月28日出願の米国出願第10/900,270号中に記載されている、インドリン環の4−または5−位で置換された1−オキソおよび1,3−ジオキソインドリンが含まれるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、下記式の化合物、及びその塩である:
【0106】
【化19】

【0107】
(式中、Cと表示した炭素原子はキラル中心を構成し(nが0ではなく、かつRがRと同一ではない場合)、XおよびXの一方はアミノ、ニトロ、炭素1〜6個を有するアルキルまたはNH−Zであり、他方のXまたはXは水素原子であり、RおよびRはそれぞれ他方から独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり、Rは水素原子、炭素1〜6個を有するアルキル、ハロまたはハロアルキルであり、Zは水素原子、アリール、炭素1〜6個を有するアルキル、ホルミルまたは炭素1〜6個のアシルであり、nは値0、1または2を有し、但し、Xがアミノでありかつnが1または2である場合、RおよびRは共にヒドロキシではない。)。
【0108】
さらなる代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0109】
【化20】

【0110】
(式中、Cと表示した炭素原子は、nが0ではなく、かつRがRではない場合、キラリティの中心を構成し、XおよびXの一方はアミノ、ニトロ、炭素1〜6個を有するアルキルまたはNH−Zであり、他方のXまたはXは水素原子であり、RおよびRは、それぞれ他方から独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり、Rは炭素1〜6個を有するアルキル、ハロまたは水素原子であり、Zは水素原子、アリール、炭素1〜6個を有するアルキルまたはアシルであり、nは値0、1または2を有する。)。
【0111】
特定の例には、それぞれ下記の構造を有する2−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−4−カルバモイル−酪酸、および4−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−4−カルバモイル−酪酸、ならびに医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、プロドラッグ、および立体異性体が含まれるがそれらに限定されない:
【0112】
【化21】

【0113】
他の代表的な化合物は、下記式の化合物、及びその塩である:
【0114】
【化22】

【0115】
(式中、Cと表示した炭素原子はキラル中心を構成し(nが0ではなく、かつRがRではない場合)、XおよびXの一方はアミノ、ニトロ、炭素1〜6個を有するアルキルまたはNH−Zであり、他方のXまたはXは水素原子であり、RおよびRは、それぞれ他方から独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり、Rは炭素1〜6個を有するアルキル、ハロまたは水素原子であり、Zは水素原子、アリールまたは炭素1〜6個を有するアルキルもしくはアシルであり、nは値0、1または2を有する。)。
【0116】
特定の例には、それぞれ下記の構造を有する4−カルバモイル−4−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−酪酸、および4−カルバモイル−2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−酪酸、2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−4−フェニルカルバモイル−酪酸、および2−{4−[(フラン−2−イル−メチル)−アミノ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル}−ペンタンジオ酸、ならびに医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、プロドラッグ、および立体異性体が含まれるがそれらに限定されない:
【0117】
【化23】

【0118】
この化合物の他の特定の例は、下記式の化合物である:
【0119】
【化24】

【0120】
(式中、XおよびXの一方はニトロまたはNH−Zであり、他方のXまたはXは水素原子であり、
それぞれのRおよびRは、他方から独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり、
は、炭素1〜6個を有するアルキル、ハロまたは水素原子であり、
Zは水素原子、フェニル、炭素1〜6個のアシルまたは炭素1〜6個を有するアルキルであり、
nは0、1または2の値を有し、
但し、XおよびXの一方がアミノであり、かつnが1または2である場合、RおよびRはヒドロキシ以外のものであり、
−CORおよび−(CHCORが異なる場合、Cと表示した炭素原子はキラリティの中心を構成する。)。他の代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0121】
【化25】

【0122】
(式中、XおよびXの一方は炭素1〜6個を有するアルキルであり、
それぞれのRおよびRは、他方から独立に、ヒドロキシまたはNH−Zであり、
は、炭素1〜6個を有するアルキル、ハロまたは水素原子であり、
Zは水素原子、フェニル、炭素1〜6個のアシルまたは炭素1〜6個を有するアルキルであり、
nは0、1または2の値を有し、
−CORおよび−(CHCORが異なる場合、Cと表示した炭素原子はキラリティの中心を構成する。)。
【0123】
さらに他の本発明の特定の免疫調節化合物には、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,458,810号中に記載されている、2,6−ジオキソ−3−ヒドロキシピペリジン−5−イルにより2−位で置換されたイソインドリン−1−オンおよびイソインドリン−1,3−ジオンが含まれるが、それらに限定されない。代表的な化合物は、下記式の化合物である:
【0124】
【化26】

【0125】
(式中、
と表示した炭素原子はキラル中心を構成し、
Xは−C(O)−または−CH−であり、
は、炭素原子1から8個を有するアルキルまたは−NHRであり、
は、水素原子、炭素原子1から8個を有するアルキルまたはハロゲンであり、
また、
は水素原子であり;
炭素原子1から8個を有する非置換アルキル、または炭素原子1から8個を有するアルコキシ、ハロ、アミノ、もしくは炭素原子1から4個を有するアルキルアミノで置換された、炭素原子1から8個を有するアルキル;
炭素原子3〜18個のシクロアルキル;
非置換フェニル、または炭素原子1から8個を有するアルキル、炭素原子1から8個を有するアルコキシ、ハロ、アミノ、もしくは炭素原子1から4個を有するアルキルアミノで置換されたフェニル;
非置換ベンジル、あるいは炭素原子1から8個を有するアルキル、炭素原子1から8個を有するアルコキシ、ハロ、アミノ、もしくは炭素原子1から4個を有するアルキルアミノまたは−COR(但し、Rは水素原子)で置換されたベンジル;
炭素原子1から8個を有する非置換アルキル、または炭素原子1から8個を有するアルコキシ、ハロ、アミノ、もしくは炭素原子1から4個を有するアルキルアミノで置換された、炭素原子1から8個を有するアルキル;
炭素原子3〜18個を有するシクロアルキル;
非置換フェニル、または炭素原子1から8個を有するアルキル、炭素原子1から8個を有するアルコキシ、ハロ、アミノ、もしくは炭素原子1から4個を有するアルキルアミノで置換されたフェニル;あるいは
非置換ベンジル、あるいは炭素原子1から8個を有するアルキル、炭素原子1から8個を有するアルコキシ、ハロ、アミノ、もしくは炭素原子1から4個を有するアルキルアミノで置換されたベンジルである。)。
【0126】
本発明の化合物は、市販されているか、本明細書で開示した特許または特許公報に記載の方法にしたがって調製できる。さらに、光学的に純粋な化合物は、既知の分割剤またはキラルカラムならびにその他の標準的な合成有機化学技術を使用して、不斉合成または分割することができる。
【0127】
本発明で使用され、かつ別段の記載がない限り、用語「医薬として許容し得る塩」は、その用語が言及する化合物の非毒性の酸付加塩および塩基付加塩を包含する。許容される非毒性の酸付加塩としては、当技術分野で知られた有機および無機の酸または塩基から誘導されたものがあり、これらには、例えば、塩酸、臭化水素原子酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボン酸、エナント酸などがある。
【0128】
性質が酸性の化合物は、種々の医薬として許容し得る塩基と塩を形成することが可能である。そのような酸性化合物の医薬として許容し得る塩基付加塩を調製するのに使用できる塩基は、非毒性の塩基付加塩、すなわち、薬理学的に許容し得るカチオンを含有する塩、例えば、これらだけに限定するものではないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウムまたはカリウム塩を形成するものである。適切な有機塩基としては、これらだけに限定するものではないが、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N−メチルグルカミン)、リジンおよびプロカインがある。
【0129】
本明細書において使用する、かつ別段の指示がない限りにおける、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物またはその塩であって、非共有結合的分子間力によって結合している化学量論的もしくは非化学量論的量の溶媒がさらに含まれる化合物またはその塩を意味する。この溶媒が水である場合、この溶媒和物は水和物である。
【0130】
本発明で使用され、かつ別段の記載がない限り、用語「プロドラッグ」は、加水分解、酸化または別の方法で生物学的条件(インビトロまたはインビボ)下で反応して化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、これらだけに限定するものではないが、生加水分解可能な部分、例えば、生加水分解可能なアミド、生加水分解可能なエステル、生加水分解可能なカルバメート、生加水分解可能なカルボネート、生加水分解可能なウレイドおよび生加水分解可能なホスフェート類似体を含む本発明の免疫調節化合物の誘導体がある。プロドラッグのその他の例としては、−NO、−NO、−ONOまたは−ONO部分を含む本発明の免疫調節化合物の誘導体がある。プロドラッグは、よく知られた方法、例えば、1 Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff ed., 5th ed. 1995)およびDesign of Prodrugs (H. Bundgaard ed., Elselvier, New York 1985)に記載のものを使用して典型的には調製できる。
【0131】
本発明で使用され、かつ別段の記載がない限り、用語「生加水分解可能なアミド」、「生加水分解可能なエステル」、「生加水分解可能なカルバメート」、「生加水分解可能なカルボネート」、「生加水分解可能なウレイド」および「生加水分解可能なホスフェート」は、1)化合物の生物学的活性は妨げないが、その化合物にインビボで有利な性質、例えば、取込み、作用の持続時間もしくは作用の発現与えることができるかまたは2)生物学的に不活性であるが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換されるかのいずれかである化合物の、それぞれアミド、エステル、カルバメート、カルボネート、ウレイドまたはホスフェートを意味する。生加水分解可能なエステルの例としては、これらだけに限定するものではないが、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(例えば、アセトキシルメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチルおよびピバロイルオキシエチルエステル)、ラクトニルエステル(例えば、フタリジルおよびチオフタリジルエステル)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシエチルおよびイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステルおよびアシルアミノアルキルエステル(例えば、アセトアミドメチルエステル)がある。生加水分解可能なアミドの例としては、これらだけに限定するものではないが、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドがある。生加水分解可能なカルバメートの例としては、これらだけに限定するものではないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミンおよび複素芳香族アミンおよびポリエーテルアミンがある。
【0132】
本明細書において使用する、かつ別段の指示がない限りにおける、用語「立体異性体」は、本発明のすべてのエナンチオマー的に/立体異性的に純粋な化合物、およびエナンチオマー的に/立体異性的に富化した化合物を包含する。
【0133】
本明細書において使用する、かつ別段の指示がない限りにおける、用語「立体異性的に純粋な」または「エナンチオマー的に純粋な」は、化合物が一方の立体異性体を含み、かつその対になる立体異性体または鏡像異性体が実質的に除かれていることを意味する。例えば、化合物が80%、90%または95%以上の一方の立体異性体を含有し、かつ20%、10%または5%以下の対になる立体異性体を含有する場合、その化合物は立体異性的にまたはエナンチオマー的に純粋である。ある場合に、本発明の化合物が、特定のキラル中心に関して約80%以上ee(鏡像異性体が余分にある)、好ましくは特定のキラル中心に関して90%以上ee、より好ましくは特定のキラル中心に関して95%eeである場合は、その化合物はキラル中心に関して光学的に活性であるまたは立体異性的に/エナンチオマー的に純粋である(すなわち、実質的にR形または実質的にS形)とみなされる。
【0134】
本明細書において使用する、かつ別段の指示がない限りにおける、用語「立体異性的に富化した」または「エナンチオマー的に富化した」は、本発明の化合物の立体異性体のラセミ混合物、ならびに他の混合物を包含する(例えばR/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35、および70/30)。本発明の種々の免疫調節化合物は、1つまたは複数のキラル中心を含有し、かつ鏡像異性体のラセミ混合物またはジアステレオマーの混合物として存在することができる。本発明は、立体異性的に純粋な形態のこのような化合物の使用、ならびにこれらの形態を混合したものの使用を包含する。例えば、本発明の方法および組成物において、本発明の特定の免疫調節化合物の、鏡像異性体の等量または等量でない量を含む混合物を使用できる。これらの異性体は、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準的技術を使用して不斉合成または分割できる。例えばJacques, J.らの論文、Enantiomer, Racemates and Resolutions (Wiley-Interscience, New York, 1981)、Wilen, S. H.らの論文、Tetrahedron 33: 2725 (1977)、Eliel, E. L.の論文、Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill, NY, 1962)、およびWilen, S. H.の論文、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E. L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0135】
示した構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、示した構造がより重要であることに留意されたい。さらに、構造の立体化学または構造の一部が、例えば太い線または破線で示されていない場合、その構造またはその構造の一部は、その立体異性体をすべて包含するものと解釈される。
【0136】
(4.2 第2有効薬剤)
本発明の方法および組成物において、免疫調節化合物と一緒に第2有効薬剤を使用することができる。ある種の組合せが、アスベスト関連疾患または障害の治療において相乗的に作用すると考えられる。免疫調節化合物が作用して、ある種の第2有効薬剤に伴う副作用を軽減することもでき、いくつかの第2有効薬剤を使用して、免疫調節化合物に伴う副作用を軽減することができる。
【0137】
本発明の方法および組成物において、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグと一緒に、1以上の第2有効薬剤を使用することができる。第2有効薬剤は大分子(例えばタンパク質)または小分子(例えば合成無機、有機金属、もしくは有機分子)とすることができる。
【0138】
大型分子有効薬剤の例は、天然に存在するまたは人工的に作られたタンパク質などの生体分子である。特定のタンパク質には、GM−CSFなどのサイトカイン、IL−2(組換えIL−II(「rIL2」)、およびカナリア痘IL−2を含む)、IL−10、IL−12、およびIL−18などのインターロイキン、ならびにインターフェロンアルファ(interferon alfa)−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ−Ia、およびインターフェロンガンマ−Ibなどのインターフェロンが含まれるがそれらに限定されない。
【0139】
本発明の一実施態様において、大型分子有効薬剤は免疫調節化合物の投与に伴う副作用を軽減し、なくしまたは予防する。疾患または障害を治療しはじめるに応じて、副作用には嗜眠、傾眠、吐き気、嘔吐、胃腸不快感、下痢、および血管炎が含まれる恐れがあり、しかしそれらに限定されない。
【0140】
小型分子である第2有効薬剤を使用して、免疫調節化合物の投与に伴う副作用を軽減することもできる。いくつかの大分子と同様に、多くのものは、免疫調節化合物と一緒に(例えば免疫調節化合物の前に、後にまたは同時に)投与する場合、相乗効果をもたらすと考えられる。小分子の第2有効薬剤の例には、抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、およびステロイドが含まれるが、それらに限定されない。
【0141】
抗癌剤の例には、それに限定はしないが、下記のものが含まれる:アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、酢酸アメタントロン、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼデパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタマイド、塩酸ビサントレン、ジメシル酸ビスナフィド、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナールナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン、カルゼレシン、セデフィンゴール、セレコキシブ(COX−2阻害剤)、クロラムブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジクオン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン、エダトレキサート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール、塩酸エソルビシン、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルオロシタビン、フォスキドン、フォストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモフォシン、イプロプラチン、イリノテカン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸リュープロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、マイタンシン、塩酸メクロルエタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、マイトカルシン、マイトクロミン、マイトギリン、マイトマルシン、マイトマイシン、マイトスパー、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、マイコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペンタムスチン、ペリオマイシン、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、プロマイシン、塩酸プロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェナー、タリソマイシン、テコガランナトリウム、タキソテール、テガファー、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシネート、硫酸ビンリューロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン、硫酸ビンゾリジン、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、および塩酸ゾルビシンである。
【0142】
その他の抗癌剤には、それに限定はしないが、下記のものが含まれる:20−エピ−1,25−ジヒドロキシビタミンD3、5−エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL−TK拮抗薬、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリックス、抗背方化形態形成タンパク質−1、抗アンドロゲン前立腺癌腫剤、抗エストロゲン剤、抗新生物剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリングリシネート、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシス調節剤、アプリン酸、ara−CDP−DL−PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABL拮抗剤、ベンゾクロリン類、ベンゾイルスタウロスポリン、β−ラクタム誘導体、β−アレチン、ベータクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カペシタビン、カルボキサミド−アミノ−トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロリン(chlorins)、クロロキノキサリンスルホンアミド、シサプロスト、シス−ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クラムベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタアントラキノン類、シクロプラタム、シペマイシン、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジクオン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ−5−アザシチジン、9−ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲン作用薬、エストロゲン拮抗薬、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルニシン、フォルフェニメックス、フォルメスタン、フォストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリックス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモフォシン、イロマスタット、イマチニブ(例えば、Gleevec(登録商標))、イミキモド、免疫刺激ペプチド、インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤、インターフェロン作用薬、インターフェロン類、インターロイキン類、イオベソグアン、ヨードドキソルビシン、4−イポメアノール、イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、三酢酸ラメラリン−N、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球α−インターフェロン、リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リュープロレリン、レバミソール、リアロゾール、直鎖ポリアミン類似体、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リッソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、溶菌ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロティナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、マイトトキシン繊維芽細胞増殖因子−サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、エルビタックス、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、モノホスホリルリピドA+マイコバクテリウム細胞壁sk、モピダモール、マスタード系抗癌剤、ミカペルオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N−アセチルジナリン、N−置換ベンズアミド類、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、ニルタミド、ニサマイシン、一酸化窒素モジュレーター、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、オブリマーセン(Genasense(登録商標))、O−ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘発剤、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペグアスパルガーゼ、ペルデシン、多硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニルアセテート、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金−トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス−アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAをベースにした免疫モジュレーター、プロテインキナーゼC阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤(微細藻類)、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン類、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビン−ポリオキシエチレン複合体、raf拮抗薬、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras−GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン、エチドロン酸レニウムRe186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメックス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サイントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi1模擬体、セムスチン、老化由来阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シゾフィラン、ソブゾキサン、ナトリウムボロカプテート、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォシン酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアアラミン、スチピアミド、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン、過活性血管作用性腸ペプチド拮抗薬、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガファー、テルラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポイエチン、トロンボポイエチン模擬体、チマルファシン、チモポエチン受容体作用薬、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン、トレミフェン、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン類、UBC阻害剤、ウベニメックス、尿生殖洞由来増殖抑制因子、ウロキナーゼ受容体拮抗薬、バプレオチド、バリオリンB、ベラレソール、ベラミン、ベルジン類、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、およびジノスタチンスチマラマーである。
【0143】
特定の第2有効薬剤には、それに限定はしないが、下記のものが含まれる:アントラサイクリン、白金、アルキル化剤、オブリマーセン(Genasense(登録商標))、ゲムシタビン、シスプラチナム、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、メトトレキサート、タキソテール、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化砒素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、メパクリン、チオテパ、テトラサイクリン、サリドマイドおよびマイトマイシンCである。
【0144】
(4.3 治療および管理の方法)
本発明の方法は、種々のタイプのアスベスト関連疾患または障害を治療し、予防し、かつ/または管理する方法を包含する。別段の指示がない限り、本明細書において使用する用語「治療する」は、アスベスト関連疾患または障害の症状が始まった後の免疫調節化合物または他の追加的な有効薬剤の投与を意味するが、一方「予防する」は、特に中皮種または他のアスベスト関連障害の危険のある患者に対する、症状が始まる以前における投与を意味する。用語「予防する」には、特定の疾患または障害の症状を抑制しまたは避けることが含まれる。アスベスト関連疾患または障害の症状には、呼吸困難、横隔膜の閉塞、胸膜の放射線透過性シート状エンケースメント(encasement)、胸水、胸膜肥厚、胸囲減少、胸部不快、胸痛、疲れ易さ、発熱、発汗、および体重減少が含まれるが、それらに限定されない。アスベスト関連疾患または障害の危険がある患者の例には、作業場所においてアスベストに曝露されていた者、ならびに作業者の衣類に付着したアスベストに曝露されたその家族が含まれるがそれらに限定されない。アスベスト関連疾患または障害の家族歴を有する患者もまた、予防の優先される候補者である。
【0145】
本明細書において使用する、かつ別段の指示がない限りにおける、用語「アスベスト関連疾患または障害を管理する」は、この疾患または障害に罹ったことがある患者においてこの疾患または障害の再発を防止すること、かつ/あるいはこれらの疾患または障害に罹ったことがある患者が緩解したままでいる期間を延長することを包含する。
【0146】
本発明に包含される方法は、アスベスト関連疾患または障害に罹っているまたは罹る可能性がある患者(例えばヒト)に、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを投与することを含む。
【0147】
理論に捉われることなく、本発明の化合物は、以前からアスベストに曝露されている人がアスベスト関連疾患または障害を発症することを阻止するために、予防的に投与することができると考えられる。この予防方法は、まず第1にアスベスト関連疾患または障害の発症を実際に防止することができる。したがって、本発明はアスベスト関連疾患または障害の危険がある人におけるアスベスト関連疾患または障害を予防する方法であって、それを必要とする人達に有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。
【0148】
理論に捉われることなく、本発明の化合物はサイトカイン(例えばTNF−α、IL−1β、およびIL12)の生成に影響を与えることができるので、診断された後に、この化合物がアスベスト関連疾患または障害の拡大を抑制することができるとも考えられる。
【0149】
本発明は、悪性中皮種、石綿症、悪性胸水、良性胸水、胸膜プラーク、胸膜石灰化、びまん性胸膜肥厚、円形無気肺、および気管支癌腫を含めた、しかしそれらに限定されない、種々の期および特定のタイプの疾患を持つ患者におけるアスベスト関連疾患または障害を治療し、予防し、かつ管理する方法を包含する。本発明は、以前にアスベスト関連疾患または障害を治療しているが十分に反応がなかったもしくは無反応であった患者、ならびにこの疾患または障害を以前に治療していない患者を治療する方法をさらに包含する。患者は不均一な臨床徴候および異なった臨床結果を有するので、患者に施される治療は彼/彼女の予後に応じて異なっていてよい。熟練した臨床家であれば、個々の患者を治療するのに有効に使用することができる特定の第2薬剤、および理学療法のタイプを、不適当な実験を行わずに容易に決定することが可能であろう。
【0150】
本発明の一実施態様において、免疫調節化合物は、1日当たり約0.10mg〜約1,000mg、1日当たり約1mg〜約1,000mg、1日当たり約1mg〜約500mg、1日当たり約1mg〜約250mg、1日当たり約5mg〜約150mgまたは1日当たり約10mg〜約50mgの量で経口的にかつ1回のまたは分割した1日量で投与する。特定の実施態様において、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン(Actimid(商標))を、1日当たり約0.1〜約1mgまたは別法として1日おきに約0.1〜約5mg、の量で投与する。好ましい実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(Revimid(商標))を、1日当たり約1〜約25mgまたはより多い投与量、一般に1日おきに1日量の約1.5〜2.5倍の量で投与する。
【0151】
特定の実施態様において、アスベスト関連疾患を予防する方法は、アスベストに曝露されていることを認めている人達に3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、1日当たり約1、2.5、5または10mgの量で2分割投与量として投与することを含む。予防方式の特定の実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを、1日当たり約5mgの量で投与する。
【0152】
患者を管理するに当たって治療は、患者の全体的反応に応じて1回投与量または分割した投与量のいずれかとして、より低い投与量、おそらく1日当たり約0.1mg〜約10mg、で開始し、必要な場合に約1mg〜約1,000mgまで増加させるべきである。
【0153】
(4.3.1 第2有効薬剤との併用療法)
本発明の特定の方法は、第2有効薬剤と併用して免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを投与することを含む。第2有効薬剤の例は本明細書に開示されている(例えば第4.2節を参照されたい)。
【0154】
患者への免疫調節化合物および第2有効薬剤の投与は、同一のもしくは異なった投与経路により同時にまたは逐次的に行うことができる。特定の有効薬剤に使用する特定の投与経路の好適性は、有効薬剤それ自体(例えば、その有効薬剤が血流に入る前に分解することなく、経口投与することができるかどうか)、および治療される疾患に応じて決まるであろう。免疫調節化合物の好ましい投与経路は、経口経路である。本発明の第2有効薬剤の好ましい投与経路は、例えばPhysicians' Desk Reference 2003中において、当分野における通常の熟練者に知られている投与経路である。
【0155】
第2有効薬剤の特定な量は、使用する特定の薬剤と、治療されまたは管理される疾患または障害のタイプ、重篤度、および期と、患者に一緒に投与される免疫調節化合物、および場合によっての追加的な有効薬剤の量とによって決まるであろう。
【0156】
一実施態様において、第2有効薬剤は、下記のものである:アントラサイクリン、白金、アルキル化剤、オブリマーセン(Genasense(登録商標))、シスプラチナム、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキセート、タキソテール、イリノテカン、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン(Doxil(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、マイトマイシンC、メパクリン、チオテパ、テトラサイクリン、およびゲムシタビンである。
【0157】
特定の実施態様において、悪性中皮種または悪性胸水中皮種症候群を有する患者に対し、ビノレルビンを併用して免疫調節化合物を投与する。
【0158】
他の実施態様において、シクロホスファミド/アドリアマイシン/シスプラチン、シスプラチン/メトトレキセート/ビンブラスチン、シスプラチン/ゲムシタビン、シスプラチン/アドリアマイシン/マイトマイシンC、ブレオマイシン/胸膜内ヒアルロニダーゼ/、シスプラチン/アドリアマイシン、シスプラチン/ビンブラスチン/マイトマイシンC、ゲムシタビン/イリノテカン、カルボプラチン/タキソテールまたはカルボプラチン/パシリタキセルを併用して、免疫調節化合物を投与する。
【0159】
(4.3.2 従来の療法と合せた使用)
化学療法、放射線療法、光線力学療法、および手術の標準的方法が、中皮種を治療または管理するのに使用されている(Kaiser LR.の論文、Semin Thorac Cardiovasc Surg. Oct; 9 (4): 383-90, 1997)。患者の胸膜空間中への単純ヘルペスウイルスサイミジンキナーゼ(herpes simplex virus thymidine kinase)(HSVtk)遺伝子を含有する組換えアデノウイルス(adenovirus)(rAD)の腫瘍内遺伝子移動を使用して、中皮種を有する患者にターゲテッドサイトカインおよび遺伝子療法を用いる腔内的手法が試みられている(同上およびSterman DHの論文、Hematol Oncol Clin North Am. Jun; 12 (3): 553-68, 1998)。
【0160】
本発明のある実施態様は、アスベスト関連疾患または障害を治療し、かつ管理する方法であって、疾患または障害を治療または管理するのに現在使用されている化学療法、手術、光線力学療法、放射線療法、遺伝子療法、免疫療法または他の非薬物系療法を含めた、しかしそれらに限定されない従来の療法と共に(例えば従来の療法の前に、従来の療法中にまたは後に)免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを投与することを含む方法を包含する。免疫調節化合物と従来の療法との併用は、ある種の患者において予想外に有効である独特の治療方式をもたらすことができる。
【0161】
本明細書の他の場所で考察しているように、本発明は、化学療法、光線力学療法、手術、放射線療法、遺伝子療法、および免疫療法を含めた、しかしそれらに限定されない従来の療法に伴う副作用または所望されない影響を軽減、治療、かつ/または予防する方法を包含する。従来の療法に伴う副作用の発症前、発症中または発症後に免疫調節化合物および他の有効薬剤を投与することができる。この方法により治療しまたは予防することができる、化学療法および放射線療法関連の副作用の例には、初発および遅発症下痢および鼓腸などの、しかしそれらに限定されない胃腸毒性、悪心、嘔吐、食欲不振、白血球減少、貧血、好中球減少、無力症、腹部痙攣、発熱、疼痛、体重減少、脱水、脱毛、呼吸困難、不眠、眩暈、粘膜炎、口内乾燥、および腎不全が含まれるが、それらに限定されない。
【0162】
一実施態様において、免疫調節化合物は、経口的にかつ毎日単独でまたは本明細書において開示している第2の有効薬剤(例えば第4.2節を参照されたい)と併用して、従来の療法の使用前に、使用中にまたは使用後に1日当たり約0.10mg〜約1,000mg、1日当たり約1mg〜約1,000mg、1日当たり約1mg〜約500mg、1日当たり約1mg〜約250mg、1日当たり約5mg〜約150mgまたは1日当たり約10mg〜約50mgの量で投与する。この方法の特定の実施態様において、以前放射線療法で治療した中皮種患者に免疫調節化合物、およびドキセタキソールを投与する。
【0163】
この方法の一実施態様において、3種療法と併用して、アスベスト関連疾患または障害を有する患者に免疫調節化合物を投与する。3種療法は、手術、化学療法、および放射線療法という3つの標準的な方策を併用することを包含する。この方法の一実施態様において、胸膜外肺切除に続いて免疫調節化合物を使用した化学療法、および放射線療法を併用する。3様式治療の他の実施態様において、シクロホスファミド/アドリアマイシン/シスプラチン、カルボプラチン/パクリタキセルまたはシスプラチン/メトトレキセート/ビンブラスチンの組合せを含めた種々の化学療法方式と併用して、免疫調節化合物を投与する。
【0164】
(4.3.3 サイクリング療法)
ある実施態様において、患者に対し周期的に免疫調節化合物を投与する。サイクリング療法は、ある期間の免疫調節化合物の投与と、引続きある期間の休薬と、この逐次的投与を繰り返すこととを包含する。サイクリング療法は、1以上の療法への耐性の発現を軽減させ、この療法の1つにおける副作用を回避しもしくは軽減させ、かつ/またはこの治療の有効性を向上させる。したがって本発明の特定の一実施態様において、約1週間または2週間の休薬期間と共に、4〜6週間の周期で免疫調節化合物を1日当たり1回のもしくは分割した投与量として投与する。典型的には、その間患者に組合せ治療を行うサイクル数は約1〜約24サイクル、より典型的には約2〜約16サイクル、より一層典型的には約4〜約6サイクルであろう。本発明によりさらに、投与サイクルの頻度、回数、および長さを増加させることが可能になる。すなわち、本発明の特定の実施態様は、免疫調節化合物を投与するだけの場合に典型的であるサイクルを超えるサイクルでの免疫調節化合物の投与を包含する。本発明の他の実施態様では、第2有効薬剤を投与していない患者にも投与限界となる毒性を通常はもたらすであろうサイクル数を超えたサイクルで、免疫調節化合物を投与する。
【0165】
一実施態様では、4〜6週間サイクルとして、約0.1〜約150mg/dの投与量で3〜4週間毎日かつ連続して免疫調節化合物を投与し、続いて1〜2週間中断する。
【0166】
本発明の他の実施態様では、免疫調節化合物の投与を第2有効薬剤の30〜60分前に行いながら、4〜6週間サイクルの間、免疫調節化合物および第2有効薬剤を経口投与する。
【0167】
他の実施態様では、28日サイクルの第1日に100mg/mの量のシスプラチンと一緒に免疫調節化合物を、第1日、第8日、および第15日に1000mg/mの量で静脈注射するゲムシタビンと一緒に免疫調節化合物を、6サイクルの間投与する。
【0168】
(4.4 医薬組成物および単位剤形)
医薬組成物は個々の、単位剤形の製剤として使用することができる。本発明の医薬組成物および剤形は免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを含む。本発明の医薬組成物および剤形は、1以上のビヒクルをさらに含むことができる。
【0169】
本発明の医薬組成物および剤形は、1以上の追加的な有効成分を含むこともできる。したがって、本発明の医薬組成物および剤形は、本明細書において開示している有効薬剤(例えば免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグ、および第2有効薬剤)を含む。場合によっての追加的な有効薬剤の例は、本明細書に開示されている(例えば第4.2節を参照されたい)。
【0170】
本発明の単位剤形は、患者への経口、粘膜(例えば鼻、舌下、膣、頬側または直腸)または非経口(例えば皮下、静脈内、大量瞬時注入、筋肉内または動脈内)投与、あるいは経皮的投与に適している。剤形の例には、錠剤、キャプレット(caplet)、軟質弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル剤、カシェ剤、トローチ、ロゼンジ、分散液、座薬、粉末、エーロゾル(例えば鼻スプレーまたは吸入器)、ゲル;懸濁液(例えば水性もしくは非水性液体懸濁液、水中油型エマルションまたは油中水型エマルション)、溶液、およびエリキシルを含めた経口または粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口投与に適した液体剤形;ならびに再構成して患者への非経口投与に適した液体剤形を提供することができる無菌固体(例えば結晶質もしくは非晶質固体)が含まれるが、それらに限定されない。
【0171】
本発明の剤形の組成、形状、およびタイプは、それらの用途に応じて通常変化するであろう。例えば疾患の急性期治療に使用する剤形は、同一疾患の慢性期治療に使用する剤形よりも多量の、それが含む1以上の有効薬剤を含有してよい。同様に、非経口剤形は、、同一疾患の治療に使用する経口剤形よりも少量の、それが含む1以上の有効薬剤を含有してよい。本発明が包含する特定の剤形を互いに変化させるこれらおよび他の方法は、当分野の技術者には容易に明らかになるものであろう。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences、18th ed.、Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0172】
典型的な医薬組成物および剤形は、1以上のビヒクルを含む。適切なビヒクルは、薬剤学の分野の技術者によく知られており、適切なビヒクルの非限定的な例を本明細書において提供している。医薬組成物または剤形中に組み込むのに特定のビヒクルが適しているかどうかは、この剤形を患者に投与する方法を含めた、しかしそれに限定されない当技術分野においてよく知られている様々な因子によって決まる。例えば錠剤などの経口剤形は、非経口剤形に使用するには適合しないビヒクルを含有できる。特定のビヒクルの適合性は、剤形中の特定の有効成分によっても決まるであろう。例えば、いくつかの有効成分の分解が、ラクトース(lactose)などのいくつかのビヒクルによってまたは水にさらした場合、促進される恐れがある。第一級もしくは第二級アミンを含む有効成分は、特にこのような分解促進を受けやすい。したがって、本発明は、ラクトース、他の単糖または二糖を、含んでいてもほとんど含有しない医薬組成物および剤形を包含する。本明細書において使用する用語「ラクトースのない」は、ラクトースの存在量が、有ったとしても、有効成分の分解速度を実質的に増加させるには不十分であることを意味する。
【0173】
本発明のラクトースのない組成物は、当技術分野でよく知られ、例えばアメリカ薬局方(U.S. Pharmacopeia) (USP) 25-NF20 (2002)中に記載されているビヒクルを含むことができる。一般に、ラクトースのない組成物は、薬学上相容性のある、かつ医薬として許容し得る量で有効成分、結合剤/充填剤、および滑剤を含む。ラクトースのない好ましい剤形は、有効成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0174】
水がいくつかの化合物の分解を促進する恐れがあるので、本発明はさらに、有効成分を含む無水の医薬組成物および剤形を包含する。例えば、時間経過における製剤の貯蔵期限または安定性などの特性を測定するために、長期貯蔵をシミュレートする手段として水の添加(例えば5%)が薬学分野で広く許容されている。例えばJens T. Carstensenの論文 (Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, 379-80)を参照されたい。実際に水および熱がいくつかの化合物の分解を促進する。したがって、湿気および/または湿度は、製剤の製造、取扱い、包装、貯蔵、出荷、および使用の間ごく普通に見られるものなので、製剤への水の影響は極めて重要である可能性がある。
【0175】
本発明の無水医薬組成物および剤形は、無水のまたは水分含有の低い成分、および低湿気または低湿度条件を用い、調製することができる。製造、包装、および/または貯蔵の間、湿気および/または湿度と実質的に接触することが予想される場合、ラクトースと、少なくとも1種の第一級もしくは第二級アミンを含む有効成分とを含む医薬組成物および剤形は、無水であることが好ましい。
【0176】
無水医薬組成物は、その無水特性が保持されるように調製しかつ貯蔵すべきである。したがって適切な製剤用キット内に包み込むことができるような、水への曝露を防止することが知られている材料を使用して、無水組成物を包装することが好ましい。適切な包装の例には、気密シール箔、プラスチック、単位投与量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが含まれるが、それらに限定されない。
【0177】
本発明はさらに、有効成分が分解する速度を低下させる1以上の化合物を含む医薬組成物および剤形を包含する。本明細書において「安定剤」と呼ぶこのような化合物には、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤または塩緩衝剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0178】
ビヒクルの量およびタイプと同様に、剤形中の有効成分の量および特定のタイプは、患者に投与される経路などのしかしそれらに限定されない因子に応じて異なっていてよい。しかし、本発明の典型的な剤形は、約1〜約1,000mgの量で免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを含む。典型的な剤形は、約0.1、1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150または200mgの量で免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを含む。特定の実施態様において、好ましい剤形は4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオン(Actimid(商標))を、約1、2.5、5、10、25または50mgの量で含む。特定の実施態様において、好ましい剤形は3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン(Revimid(商標))を、約1、2.5、5、10、25または50mgの量で含む。典型的な剤形は、約1〜約3,500mg、約5〜約2,500mg、約10〜約500mgまたは約25〜約250mgの量で第2有効薬剤を含む。もちろん、第2有効薬剤の特定の量は、使用する特定の薬剤と、治療または管理している疾患または障害のタイプと、免疫調節化合物および現在患者に投与している場合によっての追加的有効薬剤とに応じて決まるであろう。
【0179】
(4.4.1 経口用剤形)
経口投与に適する本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば咀嚼錠)、キャプレット、カプセル剤、および液体(例えば香味シロップ剤)などの、しかしそれらに限定されない個別的剤形として提供することができる。このような剤形は、所定量の有効薬剤を含有し、当分野の技術者によく知られている薬剤学の方法によって調製できる。一般にRemington's Pharmaceutical Sciences、18th ed.、Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0180】
本発明の典型的な経口用剤形は、従来の薬剤学的配合技術により有効成分を、少なくとも1種のビヒクルと緊密に混和して混ぜ合わせることにより調製する。ビヒクルは、投与のために所望される製剤の形態に応じて広く様々な形態を取ることができる。例えば、経口用液体またはエーロゾル剤形での使用に適したビヒクルには、水、グリコール、油、アルコール、芳香剤、保存剤、および着色剤が含まれるが、それらに限定されない。固体経口用剤形(例えば粉末、錠剤、カプセル剤、およびキャプレット)での使用に適したビヒクルには、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、および崩壊剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0181】
それらが投与しやすいため錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口用剤形を代表し、その場合固体ビヒクルを使用する。所望される場合、錠剤は標準的水性または非水系技術により被覆することができる。このような剤形は任意の薬剤学の方法により調製することができる。一般に医薬組成物および剤形は、有効成分を液体担体、微粉砕固体担体またはその両方と均質かつ緊密に混和するステップと、次いで必要な場合この生成物を所望の提供物に成形するステップとによって調製する。
【0182】
例えば、錠剤は圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠剤は、場合によってビヒクルと混合した、粉末または顆粒などの易流動性の形の有効成分を、適切な機械内で圧縮するステップにより調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適切な機械内で成形するステップにより製造することができる。
【0183】
本発明の経口用剤形において使用することができるビヒクルの例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑剤が含まれるが、それらに限定されない。医薬組成物および剤形における使用に適した結合剤には、コーンスターチ、バレイショデンプンまたは他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然および合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアールガム、セルロースおよびその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば2208、2906、2910番)、微結晶セルロース、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0184】
適切な形態の微結晶セルロースには、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105として販売されている物質(FMC Corporation、American Viscose Division, Avicel Sales、マーカスフック(Marcus Hook)、ペンシルバニア州、から入手できる)、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。特定の結合剤は、AVICEL RC-581として販売される微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適切な無水または低水分ビヒクルもしくは添加剤にはAVICEL-PH-103(商標)およびStarch 1500 LMが含まれる。
【0185】
本明細書において開示される医薬組成物および剤形において使用するのに適した充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒および粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンが含まれるが、それらに限定されない。本発明の医薬組成物における結合剤または充填剤は、この医薬組成物または剤形の約50〜約99重量パーセントで典型的に存在する。
【0186】
水性環境に曝露されると崩壊する錠剤をもたらすため、本発明の組成物において崩壊剤を使用する。多すぎる崩壊剤を含有する錠剤は貯蔵中に崩壊する恐れがあるが、一方少なすぎる崩壊剤を含有するものは所望の速度でまたは所望の条件下で崩壊しない恐れがある。したがって、多すぎも少なすぎもせず,有効成分の放出を不都合に変更することのない十分な量の崩壊剤を使用して、本発明の固体経口用剤形を形成すべきである。崩壊剤の量は、製剤のタイプに基づいて変動し、当分野の技術者には容易に見分けがつく。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0187】
本発明の医薬組成物および剤形において使用することができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、バレイショまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0188】
本発明の医薬組成物および剤形において使用することができる滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素原子化植物油(例えばラッカセイ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。追加的な滑剤には、例えばサイロイドシリカゲル(メリーランド州、ボルチモア(Baltimore)のW.R.Grace Co.により製造されるAEROSIL200)、合成シリカ凝固エーロゾル(テキサス州、プラノ(Plano)のDegussa Co.により販売)、CAB-O-SIL(マサチューセッツ州、ボストン(Boston)のCabot Co.により販売される熱分解法二酸化ケイ素)、およびそれらの混合物が含まれる。使用するとしても、滑剤は、それらを組み込む医薬組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で典型的に使用される。
【0189】
本発明の好ましい固体経口用剤形は、免疫調節化合物、無水ラクトース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、およびゼラチンを含む。
【0190】
(4.4.2 遅延放出剤形)
本発明の有効な薬剤は、当分野の通常の技術者によく知られている制御された放出手段によってまたは送達デバイスによって、投与することができる。例には、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、および同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、ならびに同第5,733,566号中に記載されているものが含まれるが、それらに限定されない。種々の割合で所望の放出プロファイルを提供する、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透系、多層コーティング、マイクロ粒子、リポソーム、ミクロスフェアまたはそれらの組合せを使用すると、このような剤形を用い、1以上の有効成分の遅いまたは制御された放出をもたらすことができる。本発明の有効成分について使用するために、本明細書に記載されているものを含めて、当分野の通常の技術者に知られている適切な制御放出製剤を容易に選択することができる。したがって、本発明は、制御された放出に適応させた錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ(gelcap)、およびキャプレットなどの、しかしそれらに限定されない、経口投与に適した単位剤形を包含する。
【0191】
すべての制御放出医薬品は、非制御放出医薬品により達成されるものと比べて、薬物療法を改良するという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療における最適に設計された制御放出製剤の使用は、最少の薬物を使用して、最小の時間量で、病態を治療または管理することを特徴とする。制御放出製剤の利点には、薬物有効性の延長、投与頻度の減少、および患者の遵守性の向上が含まれる。さらに、制御放出製剤を使用して、作用の開始時間または薬物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすことができ、したがって副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0192】
大部分の制御放出製剤は、最初に、所望の治療効果を速やかに生じる量の薬物(有効成分)を放出し、このレベルの治療または予防効果を、延長された期間にわたって維持する他の量の薬物を漸次かつ連続して放出するように設計している。体内においてこの一定の薬物濃度を維持するためには、代謝され、体から排泄された薬物量を補充する速度で、この剤形から薬物を放出しなければならない。有効成分の制御された放出は、pH、温度、酵素、水または他の生理学的状態、あるいは化合物を含めた、しかしそれらに限定されない種々の条件によって、誘発することができる。
【0193】
(4.4.3 非経口用剤形)
非経口用剤形は、皮下、静脈内(大量瞬時注入を含む)、筋肉内、および動脈内を含めた、しかしこれらに限定されない種々の経路により、患者に投与することができる。非経口用剤形の投与は、典型的に、汚染物質に対する患者の自然的な防御をバイパスしているので、この投与は無菌であることまたは患者に投与する前に無菌化することが可能であるのが好ましい。非経口用剤形の例には、すぐに注射できる溶液、注射のため医薬として許容し得るビヒクル中にすぐに溶解または懸濁できる乾燥製品、すぐに注射できる懸濁液、およびエマルションが含まれるが、それらに限定されない。
【0194】
本発明の非経口用剤形を提供するために使用することができる適切なビヒクルは、当分野の技術者によく知られている。例には、USP注射用水;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖および塩化ナトリウム注射液、ならびに乳糖加リンゲル液などの、しかしそれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクル;ならびにトウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどの非水系ビヒクルが含まれるが、それらに限定されない。
【0195】
本明細書において開示している1以上の有効成分の溶解性を増加させる化合物も、本発明の非経口用剤形中に混和することができる。例えば、免疫調節化合物およびその誘導体の溶解性を増加させるために、シクロデキストリンおよびその誘導体を使用することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0196】
(4.4.4 局所および粘膜用剤形)
本発明の局所および粘膜用剤形には、スプレー、エーロゾル、溶液、エマルション、懸濁液または当分野の技術者に知られている他の形態が含まれるが、それらに限定されない。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990)、およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、含嗽剤または口腔ゲルとして製剤することができる。
【0197】
本発明が包含する局所および粘膜用剤形を提供する適切なビヒクル(例えば担体および希釈剤)、および使用することができる他の物質は薬学分野における技術者によく知られており、所与の医薬組成物または剤形を適用する特定の組織によって決まる。その事実に留意して、典型的なビヒクルには、無毒性でありかつ医薬として許容し得る、溶液、エマルションまたはゲルを形成する水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物が含まれるがそれらに限定されない。所望される場合、保湿剤または湿潤剤も医薬組成物および剤形に添加することができる。このような追加的成分の例は、当技術分野においてよく知られている。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 16th and 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990)を参照されたい。
【0198】
1以上の有効成分の送達を向上させるため、医薬組成物および剤形のpHも調節できる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度または張度を調節して、送達性を向上させることができる。医薬組成物および剤形にステアリン酸塩などの化合物を添加して、送達性を向上させるように1以上の有効成分の親水性または親油性を有利に変えることもできる。この点に関して、ステアリン酸塩はこの製剤向けの脂質ビヒクルとして、乳化剤または界面活性剤として、送達促進剤または浸透促進剤として役割を果すことができる。この有効成分の種々の塩、水和物または溶媒和物を使用して、得られた組成物の性状をさらに調節することができる。
【0199】
(4.5 キット)
典型的には、本発明の有効成分は同時にまたは同一の投与経路により、患者に投与しないことが好ましい。したがって本発明は、医療従事者が使用する場合、患者への適正な量の有効成分の投与を簡単化することができるキットを包含する。
【0200】
本発明の典型的なキットは、免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ、もしくは包接化合物の剤形を含む。本発明が包含するキットは、追加的な有効薬剤またはそれらの組合せをさらに含むことができる。追加的な有効薬剤の例には、本明細書において考察している抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、免疫抑制剤または他の治療用物質が含まれるがそれらに限定されない(例えば第4.2節を参照されたい)。
【0201】
本発明のキットは、有効薬剤を投与するのに使用するデバイスをさらに備えることができる。このようなデバイスの例には注射器、点滴バッグ、貼剤、および吸入器が含まれるがそれらに限定されない。
【0202】
本発明のキットは、1以上の有効成分を投与するのに使用することができる、医薬として許容し得るビヒクルをさらに含むことができる。例えば、有効成分を非経口投与向けに再構成しなければならない固体形態で提供する場合、このキットは、その中に有効成分を溶解して、非経口投与に適した微粒子のない無菌溶液を生成させることができる適切なビヒクルのシール容器を備えることができる。医薬として許容し得るビヒクルの例には、USP注射用水;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖および塩化ナトリウム注射液、ならびに乳糖加リンゲル液などの、しかしそれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクル;ならびにトウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどの非水系ビヒクルが含まれるが、それらに限定されない。
【実施例】
【0203】
(5.実施例)
下記の研究は、その範囲を限定することなく本発明を例証するものである。
【0204】
(5.1 薬理学的研究)
免疫調節化合物により典型的に発現される生物学的効果の1つは、TNF−αの合成の減少である。特定の免疫調節化合物は、TNF−α mRNAの分解を促進する。TNF−αは、アスベスト関連疾患において病理学的役割を果す恐れがある。
【0205】
特定の実施態様において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオン、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンによる、ヒトPBMCおよびヒト全血のLPS刺激に従ったTNF−α生成の阻害を、インビトロで研究した。ヒトPBMCおよびヒト全血のLPS刺激に従ったTNF−αの生成阻害についての4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンのIC50は、それぞれ〜24nM(6.55ng/mL)および〜25nM(6.83ng/mL)であった。ヒトPBMCおよびヒト全血のLPS刺激に従ったTNF−αの生成阻害についての3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンのIC50は、それぞれ〜100nM(25.9ng/mL)および〜480nM(103.6ng/mL)であった。これに反してサリドマイドは、PBMCのLPS刺激に従ったTNF−αの生成阻害について〜194μM(50.1μg/mL)のIC50を有していた。インビトロの研究では、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンまたは4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンについての薬理学的活性プロファイルはサリドマイドに類似しているが、サリドマイドよりも50〜2,000倍効力があることを示唆している。
【0206】
さらに、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンまたは4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンは、T細胞受容体(TCR)活性化による一次誘発に従いT細胞の増殖を刺激する点において、サリドマイドよりも約50〜100倍効力があることが示されている。これらの化合物はまた、PBMC(IL2)またはT細胞(IFN−γ)のTCR活性化に従うIL2およびIFN−γ生成を増大させる点でも、サリドマイドよりも約50〜100倍効力がある。さらに、これらの化合物は、PBMCによる炎症誘発性サイトカインTNF−α、IL1β、およびIL6の、LPS刺激による生成の投与量依存的阻害を示すが、一方これらの化合物は抗炎症サイトカインIL10の生成を増加させる。
【0207】
(5.2 中皮種患者における臨床的試験)
石綿症、悪性中皮腫または悪性胸水中皮腫症候群を有する患者において、1日当たり約1mg〜約1,000mg、約1mg〜約500mgまたは約1mg〜約1〜約250mgの量における免疫調節化合物の投与による臨床試験を実施している。特定の実施態様において、患者に、約1mg〜約150mg/日の3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを単独でまたはビノレルビンと併用して投与する。臨床的効果のある患者には、治療を続けることを許容している。
【0208】
他の臨床的試験は、従来の療法に反応していない切除不能のまたは再発した中皮腫患者において、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを使用して実施している。一実施態様において、患者に対し約1mg〜約150mg/日の量で、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンを投与している。連続経口毎日投与として10mgによる治療が十分許容されている。免疫調節化合物で治療した中皮腫または石綿症患者についての試験は、この疾患においてこの薬物が治療的利益を有することを示唆している。
【0209】
本明細書において記述している本発明の実施態様は、本発明の範囲から抜き取ったものに過ぎない。本発明の全範囲は、添付する特許請求の範囲を参照して、より良好に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスベスト関連疾患または障害を治療、予防または管理する方法であって、そのような治療、予防または管理を必要とする患者に、治療上もしくは予防上有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物もしくは立体異性体を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記疾患または障害が、中皮腫、石綿症、胸水、胸膜プラーク、胸膜石灰化、びまん性胸膜肥厚、円形無気肺または気管支癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
治療上または予防上有効な量の第2有効薬剤を患者に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2有効薬剤が、抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、免疫抑制剤またはそれらの組合せである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2有効薬剤が、下記のものである、請求項4に記載の方法:アントラサイクリン、白金、アルキル化剤、インターフェロン、オブリマーセン、シスプラチナム、シクロホスファミド、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、メトトレキセート、タキソテール、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、GM−CSF、IL−2、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、マイトマイシンC、メパクリン、チオテパ、テトラサイクリンまたはゲムシタビン。
【請求項6】
アスベスト関連疾患または障害を治療、予防または管理する方法であって、そのような治療、予防または管理を必要とする患者に、治療上もしくは予防上有効な量の免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、化学療法、光線力学療法、手術、放射線療法、遺伝子療法または免疫療法の前、最中または後に投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
前記疾患または障害が、中皮腫、石綿症、胸水、胸膜プラーク、胸膜石灰化、びまん性胸膜肥厚、円形無気肺または気管支癌である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
患者に治療上または予防上有効な量の第2有効薬剤を投与することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第2有効薬剤が、抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤、サイトカイン、免疫抑制剤またはそれらの組合せである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2有効薬剤が、下記のものである、請求項9に記載の方法:アントラサイクリン、白金、アルキル化剤、インターフェロン、オブリマーセン、シスプラチナム、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、メトトレキセート、タキソテール、イリノテカン、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、ビンクリスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、マイトマイシンC、メパクリン、チオテパ、テトラサイクリンまたはゲムシタビン。
【請求項11】
前記免疫調節化合物の立体異性体が、エナンチオマー的に純粋である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫調節化合物が、4−(アミノ)−2−(2,6−ジオキソ(3−ピペリジル))−イソインドリン−1,3−ジオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫調節化合物が、3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−2,6−ジオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫調節化合物が、式(I)の化合物である、請求項1に記載の方法:
【化1】

(式中、XおよびYの一方はC=Oであり、XおよびYの他方はC=OまたはCHであり、かつRは水素原子または低級アルキルである。)。
【請求項17】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫調節化合物が、式(II)の化合物である、請求項1に記載の方法:
【化2】

(式中、XおよびYの一方はC=Oであり、他方はCHまたはC=Oであり、
は、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’または(C〜C)アルキル−O(CO)Rであり、
は、H、F、ベンジル、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルであり、
およびR3’は独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキル、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリール、(C〜C)アルキル−N(R、(C〜C)アルキル−OR、(C〜C)アルキル−C(O)OR、(C〜C)アルキル−O(CO)RまたはC(O)OR、であり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)アルキル−OR、ベンジル、アリール、(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロシクロアルキルまたは(C〜C)アルキル−(C〜C)ヘテロアリールであり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリールまたは(C〜C)ヘテロアリールであり、
は、出現するごとに独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C〜C)ヘテロアリールまたは(C〜C)アルキル−C(O)O−Rであり、あるいはR基が結合してヘテロシクロアルキル基を形成し、
nは、0または1であり、かつ
*は、キラル炭素中心を表す。)。
【請求項19】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫調節化合物が、置換スチレンのシアノまたはカルボキシル誘導体、1−オキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリン、1,3−ジオキソ−2−(2,6−ジオキソ−3−フルオロピペリジン−3−イル)イソインドリンまたは四置換2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫調節化合物がエナンチオマー的に純粋である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
免疫調節化合物または医薬として許容し得るその塩、溶媒和物もしくは立体異性体、およびアスベスト関連疾患または障害の症状を軽減または低減できる第2有効薬剤を含む、医薬組成物。
【請求項23】
第2有効薬剤が、抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、ステロイド、サイトカイン、免疫調節剤、免疫抑制剤またはそれらの組合せである、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
第2有効薬剤が、下記のものである、請求項22に記載の医薬組成物:アントラサイクリン、白金、アルキル化剤、インターフェロン、オブリマーセン、シスプラチナム、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、メトトレキセート、タキソテール、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル、ビンブラスチン、IL−2、GM−CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、三酸化ヒ素、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ヒアルロニダーゼ、マイトマイシンC、メパクリン、チオテパ、テトラサイクリンまたはゲムシタビン。

【公表番号】特表2007−534632(P2007−534632A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538532(P2006−538532)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/037085
【国際公開番号】WO2005/046318
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】