説明

アセトアルデヒドを経由して酢酸から酢酸ビニルを製造するための一体化した方法

本発明は、蒸気相中の酢酸から酢酸ビニルモノマー(VAM)を製造するための一体化した多段の経済的な方法を提供する。最初に、酢酸を、水素化触媒組成物上で選択的に水素化して、アセトアルデヒドを形成する。そのように形成されたアセトアルデヒドは、無水酢酸との反応によってエチリデンジアセテートへ変換することができる。それに続く工程において、そのように形成されたエチリデンジアセテートを、熱分解して、VAMおよび酢酸を形成する。或いは、最初の工程で形成されたアセトアルデヒドを、ケテンと選択的に反応させて、VAMを形成することができる。本発明の態様において、シリカ上に担持された白金および鉄上での酢酸および水素の反応は、蒸気相中において約300℃の温度で選択的にアセトアルデヒドを生成し、それを、白金担持触媒上で選択的に水素化して、エタノールを形成し、そしてNAFION触媒上で脱水して、約185℃の温度でエチレンを形成し、それを、分子酸素、酢酸と混合し、そしてチタニア上に担持されたパラジウム/金/カリウム触媒上で反応させて、約150℃〜170℃の温度でVAMを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、そのまま援用される2009年12月31日出願の同じ名称を有する米国特許出願第12/317,995号に優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、アセトアルデヒドを経由して酢酸から酢酸ビニルモノマー(VAM)を製造するための一体化した方法(integrated process)に関する。より詳しくは、本発明は、一体化した方法であって、最初に、1または複数の追加の水素化用金属を包含してよい好適な触媒担体上に担持された、例えば、鉄、白金またはルテニウムなどの担持金属触媒から構成される触媒を利用して酢酸を水素化して、アセトアルデヒドを高選択性で形成することを包含する一体化した方法に関する。それに続く第二工程では、このように形成されたアセトアルデヒドを、無水酢酸との変換反応によってエチリデンジアセテートへ変換する。次に、そのエチリデンジアセテートを、VAMおよび酢酸へ熱分解する。本発明は、更に、ケテンとの反応によるアセトアルデヒドのVAMへの直接変換方法に関する。
【背景技術】
【0003】
VAMを酢酸から直接的に形成する経済的に実行可能な方法について切実な要求が存在している。VAMは、他の重要な用途の中でも、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコール製品の製造において重要なモノマーである。VAMは、現在のところ、二つの鍵となる原料であるエチレンおよび酢酸から製造されている。エチレンは、主に、石油ベースの原料から製造されるが、酢酸は、石油基材原料からは僅かしか製造することができない。したがって、変動する天然ガスおよび原油の価格は、慣用的に製造される石油または天然ガス源のVAMの費用の変動の原因となっていて、石油価格上昇時に、VAMの代替源への要求をますます生じている。
【0004】
ここで、VAMは、本質的に、一酸化炭素および水素の混合物(一般的に、合成ガスまたはシンガス(syn gas)として知られる)から、少数の工業的に実行可能な工程を包含して製造することができるということが判明した。例えば、合成ガスは、メタノールへ還元することができ、それは、実際に、メタノールを製造する工業的に好ましい方法であるということは周知である。次に、このように形成されたメタノールを、接触カルボニル化条件下において選択的に酢酸へ変換することができ、それは、再度、酢酸の製造に工業的に好ましい方法である。次に、このように形成された酢酸は、好適な接触条件下において選択的にアセトアルデヒドへ変換することができる。このように形成されたアセトアルデヒドを無水酢酸と一緒に反応させ、且つエチリデンジアセテートへ変換させた後、それを、VAMおよび酢酸へ熱分解する。このような変換について知られている好ましい方法は存在しないが、先行技術は、酢酸のアセトアルデヒドへのこのような変換について、低い転化率および収率で、したがって、工業的に不適当にさせてはいるが、特定の方法を提供している。
【0005】
例えば、芳香族アルデヒドを生成する芳香族カルボン酸の接触水素化が、参考文献で報告された。例えば、Makiらの米国特許第4,613,700号は、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ビスマス、鉛、レニウムおよび周期表の3〜6周期の第III族の元素からなる群より選択される少なくとも一つの元素を必須成分として含有する酸化ジルコニウムを含む触媒を用いて、芳香族カルボン酸から芳香族アルデヒドを形成することができるということを開示している。しかしながら、酢酸などの脂肪族カルボン酸の接触水素化の例は、この開示には提供されていない。
【0006】
Yokohamaらの米国特許第5,306,845号は、アルデヒドを製造する方法であって、カルボン酸またはそのアルキルエステルを、少なくとも10m/gの比表面積および0.4重量パーセント以下の全含有率のナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムを有する高純度の酸化クロム含有触媒の存在下において分子水素で水素化することを含む方法を開示している。そこでは、更に、水素化反応を、カルボン酸またはそのアルキルエステルを10容量パーセント以下の濃度で維持しながら行うということが報告されている。更に、そこで報告されている唯一の例は、ステアリン酸のステアリルアルデヒドへの水素化である。最も重要なことに、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの全含有率が、約0.3重量パーセント〜約0.46重量パーセントへ増加したとしても、アルデヒドへの選択性は大きく降下し、したがって、その方法を商業的作業に不適当にしている。
【0007】
Ferreroらの米国特許第5,476,827号は、二元金属ルテニウム/スズ触媒を利用したカルボン酸、エステルまたは無水物の接触水素化によるアルデヒドの製造方法を記載している。好ましいカルボン酸は、芳香族主鎖を有するα−β−不飽和カルボン酸または芳香族カルボン酸である。酢酸を含めた脂肪族カルボン酸の例は、提供されていない。
【0008】
Tustinらの米国特許第6,121,498号は、酢酸からアセトアルデヒドを製造する方法を開示している。この方法では、酢酸を、2.5〜90重量パーセントのパラジウムを含有する酸化鉄触媒の存在下の高温において水素で水素化する。しかしながら、そこで報告されている最適条件は、少なくとも約20重量パーセントのパラジウムを含有する酸化鉄触媒を含んでなり、それは、約50パーセントの酢酸転化率で、アセトアルデヒドへの約80パーセントの選択性を与える。更に、メタン、エタン、エチレン、エタノールおよびアセトンを含めた多量の副生成物が形成される。
【0009】
そのように形成されるアセトアルデヒドは、無水酢酸と選択的に反応して、最初にエチリデンジアセテートを形成後、そのエチリデンジアセテートをVAMおよび酢酸へ熱分解することができる。
【0010】
例えば、Perkins の米国特許第2,021,698号は、無水酢酸と、パラアルデヒドおよび硫酸とを反応させることによって酢酸ビニルなどのビニルエステルを製造する方法を教示している。酢酸ビニルおよび酢酸を得るために、最初にエチリデンジアセテートを製造後、そのジアセテートを熱分解するということは教示されていない。Perkins は、酢酸ビニルに到達するエチリデンジアセテートなどの中間体生成物の使用から離れる教示をしている。
【0011】
Isshikiらの米国特許第4,843,170号は、メタノールから酢酸ビニルを製造する方法であって、メタノールを、エタノール、酢酸メチル、ジメチルアセタールおよびアセトアルデヒドへ変換する方法を開示している。その酢酸メチルを、カルボニル化によって更に処理して、無水酢酸を形成し、それを、メタノール変換工程からのジメチルアセタールおよびアセトアルデヒドと混合する。無水酢酸、ジメチルアセタールおよびアセトアルデヒドを反応させて、エチリデンジアセテートを形成し、それを熱分解して、VAMおよび酢酸を形成する。この多段法は、アセトアルデヒドを製造するために、本発明の方法より多くの段階を包含する。
【0012】
Isshikiらの米国特許第4,978,778号は、更に、酢酸ビニルを製造する方法であって、無水酢酸を、アセトアルデヒドの代わりに触媒の存在下において水素と反応させる方法を開示している。記載の方法は、無水酢酸および水素から直接的に酢酸ビニルを変換するので、本発明の基本である熱分解によってVAMを形成するためにエチリデンジアセテートを生成する必要がない。
【0013】
或いは、アセトアルデヒドをケテンと反応させて、VAMを形成することもできる。例えば、双方とも Tustinらの米国特許第5,719,315号および同第5,531,456号は、酢酸ビニルの製造方法であって、アセトアルデヒドをケテンと混合後、その混合物を、接触区域において触媒と接触させる方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,613,700号
【特許文献2】米国特許第5,306,845号
【特許文献3】米国特許第5,476,827号
【特許文献4】米国特許第6,121,498号
【特許文献5】米国特許第2,021,698号
【特許文献6】米国特許第4,843,170号
【特許文献7】米国特許第4,978,778号
【特許文献8】米国特許第5,719,315号
【特許文献9】米国特許第5,531,456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述のことから、既存の方法は、それらを、本質的に合成ガスおよび/または合成ガスベースの製品からVAMを製造するのに工業的に採用可能にさせる一体化した方法で、酢酸から直接的にアセトアルデヒドを形成後、そのように形成されたアセトアルデヒドおよび無水酢酸を選択的に反応させてエチリデンジアセテートを形成し、熱分解によってVAMおよび酢酸への更なる変換を伴うのに必要な選択性を有していないということは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、ここで、最初に、アセトアルデヒドを酢酸から直接的に極めて高い選択性および収率で形成後、それを、無水酢酸と反応させてエチリデンジアセテートを形成し、それを、好適な触媒の存在下において熱分解してVAMおよび酢酸を形成する、一体化した方法を包含した工業規模でVAMを製造することができるということが、意外にも判明した。より詳しくは、本発明は、酢酸からのVAMの選択的形成方法であって、(a)好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属を含む第一水素化触媒上の水素の存在下において酢酸を水素化して第一気体生成物流を形成し(場合により、その触媒は、更に、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択される1または複数の金属触媒を含んでなる);(b)その第一気体生成物流を、アセトアルデヒドで少なくとも50モルパーセントまで富化(enriching)し;(c)第二反応区域において、工程(b)からのその富化された第一気体生成物流と、無水酢酸とを反応させて、エチリデンジアセテートから本質的になる第二気体生成物流を形成し;(d)工程(c)からのその第二気体生成物流を、好適な触媒上で熱分解して、VAMおよび酢酸から本質的になる第三気体生成物流を形成し;そして(e)酢酸ビニルを、その第三気体生成物流から分離すること;を含む方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様において、本発明は、酢酸からのVAMの選択的形成方法であって、(a)好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属を含む第一水素化触媒上の水素の存在下において酢酸を水素化して第一気体生成物流を形成し(場合により、その触媒は、更に、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択される1または複数の金属触媒を含んでなる);(b)その第一気体生成物流を、アセトアルデヒドで少なくとも50モルパーセントまで富化し;(c)第二反応区域において、工程(b)からのその富化された第一気体生成物流と、無水酢酸とを反応させて、エチリデンジアセテートから本質的になる第二気体生成物流を形成し;(d)工程(c)からのその第二気体生成物流を、好適なクラッキング触媒上で熱分解して、VAMおよび酢酸から本質的になる第三気体生成物流を形成し;そして(e)酢酸ビニルを、その第三気体生成物流から分離すること;を含む方法を提供する。
【0018】
本発明のまた別の態様において、更に、酢酸からのVAMの選択的形成方法であって、(a)好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属を含む第一水素化触媒上の水素の存在下において酢酸を水素化して第一気体生成物流を形成し(場合により、その触媒は、更に、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択される1または複数の金属触媒を含んでなる);(b)その第一気体生成物流を、アセトアルデヒドで少なくとも50モルパーセントまで富化し;(c)第二反応区域において、工程(b)からのその富化された第一気体生成物流と、ケテンとを反応させて、酢酸ビニルを含む第二気体生成物流を形成し;そして(c)酢酸ビニルを、その第二気体生成物流から分離すること;を含む方法を提供する。
【0019】
より詳しくは、本発明の方法の第一工程におけるアセトアルデヒドの選択的形成のための触媒は、典型的に、単独またはスズまたは鉄と組み合わせて担持されたルテニウム;単独または白金またはコバルトと組み合わせて担持された鉄;または白金およびスズの組み合わせ;を含んでなる。同様に、本発明の方法に好適な他の触媒には、単独で担持されたパラジウム、またはパラジウム/金(Pd/Au)またはパラジウム/銅(Pd/Cu)の組み合わせであって、酢酸カリウムを更に含むことができるものが含まれる。更に、好適な触媒は、パラジウム/鉄(Pd/Fe)、鉄/コバルト(Fe/Co)、銅/モリブデン(Cu/Mo)または銅/アルミニウム(Cu/Al)の組み合わせである。好適な触媒担体には、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、ジルコニア−シリカ、チタニア、チタニア−シリカ、酸化鉄およびゼオライト触媒、例えば、H−ZSM−5などのものが含まれるが、全くこれに制限されるわけではない。シリカおよび酸化鉄は、本発明の方法において特に好ましい触媒担体である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を、多数の態様に関して、単に具体例および説明の目的で下に詳細に記載する。請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲の範囲内の具体的な態様への修飾は、当業者に容易に明らかであろう。
【0021】
より詳しく下に定義されない限り、本明細書中で用いられる専門用語は、その通常の意味を示す。モルパーセント(モル%または%)および類似の用語は、特に断らない限り、モルパーセントを意味する。重量パーセント(wt%または%)および類似の用語は、特に断らない限り、重量パーセントを意味する。
【0022】
典型的に、触媒金属装填量は、金属および触媒担体の全乾燥重量に基づく触媒金属の重量パーセントとして表される。したがって、例えば、担体上の1重量パーセントの金属は、1グラムの純金属が、100グラムの担持された金属触媒、すなわち、担体(99グラム)および金属(1グラム)の総合重量中に存在するということを意味する。
【0023】
「転化率」は、供給材料中の酢酸に基づくモル百分率として表される。酢酸(AcOH)の転化率は、次の方程式を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)データから計算する。
【0024】
【数1】

【0025】
「選択性」は、変換された酢酸に基づくモルパーセントとして表される。例えば、転化率が50モル%であり、そして変換された酢酸の50モル%が酢酸エチル(EtOAc)へ変換される場合、酢酸エチル選択性を50%とする。選択性は、次の方程式を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)データから計算する。
【0026】
【数2】

【0027】
式中、「排出全 mmol C(GC)」は、ガスクロマトグラフによって分析された全ての生成物からの炭素の全mmolを意味する。
反応は、次の化学反応式にしたがって進行する。
【0028】
(a)酢酸のアセトアルデヒドへの水素化
【0029】
【化1】

【0030】
(b)エチリデンジアセテートを形成するためのアセトアルデヒドと無水酢酸との付加
【0031】
【化2】

【0032】
(c)VAMおよび酢酸を形成するためのエチリデンジアセテートの熱分解
【0033】
【化3】

【0034】
(d)ケテンを形成するための酢酸の熱分解
【0035】
【化4】

【0036】
(e)VAMを形成するためのアセトアルデヒドへのケテンの付加
【0037】
【化5】

【0038】
酢酸のアセトアルデヒドへの水素化
本発明により、酢酸のアセトアルデヒドへの変換は、いろいろな配置で、例えば、所望ならば、積層固定床であってよい単一反応区域などで行うことができる。断熱反応器を用いうると考えられるし、または熱媒体と一緒に与えられるシェルおよびチューブ反応器を用いうると考えられる。固定床は、異なった触媒粒子の混合物、または本明細書中に更に記載されるような多重触媒を包含する触媒粒子を含むことができる。固定床は、更に、反応物のための混合区域を構成する粒状物質の層を包含してよい。酢酸、水素、そして場合により、不活性キャリヤーガスを含めた反応混合物を、その床へ、混合区域への圧力下の流れとして供給する。次に、その流れを、(圧力降下によって)反応区域または層へ供給する。反応区域は、好適な水素化触媒を含めた触媒組成物を含み、そこで、酢酸を水素化して、アセトアルデヒドを生成する。いずれか好適な粒子サイズを、反応器のタイプ、処理量必要条件等に依存して用いることができる。
【0039】
当業者に知られているいろいろな金属担持水素化触媒を、本発明の方法において酢酸を水素化してアセトアルデヒドを形成する場合に用いることができるが、用いられる水素化触媒は、好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも1または複数の金属を含有することが好ましい。場合により、第二または第三の金属は、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択することができる。好ましくは、本発明の方法に好適な触媒は、酸化鉄またはシリカなどの好適な担体上に担持された単独のルテニウム;または好適な触媒担体上に担持されたルテニウムおよびスズまたはルテニウムおよび鉄の組み合わせ;を含んでなる。同様に、好ましい水素化触媒は、シリカなどの好適な担体上に担持された単独の鉄、またはシリカなどの好適な触媒担体上に担持された鉄および白金の組み合わせまたは鉄およびコバルトの組み合わせである。同様に、本発明の方法に好適な他の触媒には、単独で担持されたパラジウム、またはパラジウム/金(Pd/Au)またはパラジウム/銅(Pd/Cu)の組み合わせであって、酢酸カリウムを更に含むことができるものが含まれる。更に、好適な触媒は、パラジウム/鉄(Pd/Fe)、鉄/コバルト(Fe/Co)、銅/モリブデン(Cu/Mo)または銅/アルミニウム(Cu/Al)の組み合わせである。
【0040】
典型的に、二元金属触媒を用いる場合、好適な担体上の好適な重量比の金属組み合わせを、水素化触媒として用いることができることが好ましい。したがって、例えば、約0.1〜1の重量比のルテニウムおよび鉄(Ru/Fe)、ルテニウムおよびスズ(Ru/Sn)、パラジウム/銅(Pd/Cu)、パラジウム/鉄(Pd/Fe)の組み合わせは、特に好ましい。より好ましくは、Ru/FeまたはRu/SnまたはPd/CuまたはPd/Feの重量比は、約0.2〜0.5であり、そして最も好ましくは、Ru/FeまたはRu/SnまたはPd/CuまたはPd/Feの重量比は、約0.2である。同様の重量比、すなわち、0.1〜1、好ましくは、0.2〜0.5、そして最も好ましくは、0.2の重量比を、白金および鉄Pt/Feの触媒組み合わせに用いることができる。好適な触媒担体上に担持されたコバルトおよび鉄(Co/Fe)または銅/モリブデン(Cu/Mo)または銅/アルミニウム(Cu/Al)の組み合わせを用いる場合、Co/FeまたはCu/MoまたはCu/Alの好ましい重量比は、1〜5の範囲内である。例えば、シリカ上に担持された17.4重量パーセントのコバルトおよび4.8重量パーセントの鉄の組み合わせは、商業的に入手可能である。同様に、銅−アルミニウム触媒は、Sud Chemie よりT−4489という名称で販売されている。
【0041】
ルテニウム単独またはパラジウム単独または鉄単独を、好適な担体上の金属触媒として用いる場合、ルテニウム、パラジウムまたは鉄の装填レベルはいずれも、酢酸のアセトアルデヒドへの選択的水素化に影響を与えるように用いることができる。しかしながら、典型的に、ルテニウムまたはパラジウム装填レベルは、0.5重量パーセント〜約20重量パーセント、好ましくは、1重量パーセント〜約10重量パーセント、そして最も好ましくは、1重量パーセント〜約5重量パーセントでありうる。概して、単独のルテニウムまたはパラジウムなどの貴金属を本発明の方法に用いる場合、0.5〜1重量パーセントの触媒金属が、最適の触媒作用利点を得るのに十分でありうる。ルテニウムまたはパラジウムに好ましい触媒担体は、酸化鉄またはシリカである。同様に、単独の鉄を金属触媒として用いる場合、鉄の装填レベルは、1重量パーセント〜約20重量パーセント、好ましくは、2重量パーセント〜約10重量パーセント、そして最も好ましくは、3重量パーセント〜約8重量パーセントでありうる。鉄に好ましい触媒担体は、シリカである。
【0042】
用いられる二元金属触媒が、パラジウムおよび金などの二つの貴金属である場合、その貴金属装填量の各々の金属装填量は、約0.5重量パーセント〜約20重量パーセント、好ましくは、1重量パーセント〜約10重量パーセント、そして最も好ましくは、1重量パーセント〜約5重量パーセントの範囲内である。しかしながら、上に既述されたように、パラジウムまたは金などの各々の貴金属の約0.5重量パーセントまたは1重量パーセントの低い装填量は、本発明の方法においてほぼ最適の触媒作用をもたらす。
【0043】
当該技術分野において知られているいろいろな触媒担体は、本発明の触媒を担持するのに用いることができる。このような担体の例には、H−ZSM−5などのゼオライト、酸化鉄、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭素、黒鉛およびそれらの混合物が含まれるが、全くこれに制限されるわけではない。好ましい担体は、シリカおよび酸化鉄である。より好ましくは、本発明の方法においてシリカを触媒担体として用いる。更に、シリカの純度が高いほど、担体としてそれが優れているということに留意することが重要である。本発明において、高表面積シリカ(HSAシリカ)並びに低表面積シリカ(LSAシリカ)を含めたいろいろな形の商業的に入手可能なシリカ担体を用いることができる。
【0044】
本発明の方法の別の側面において、ゼオライト触媒は、既知のものはいずれも、触媒担体として用いることもできる。少なくとも約0.6nmの細孔直径を有するゼオライトはいずれも、用いることができるが、好ましくは、このようなゼオライトの中で用いられるのは、モルデナイト、ZSM−5、ゼオライトXおよびゼオライトYからなる群より選択される触媒担体である。
【0045】
大孔モルデナイトの製造は、例えば、Plummer の米国特許第4,018,514号および Mol. Sieves Pap. Conf., 1967, 78, Soc. Chem. Ind. London, by D. DOMINE and J. QUOBEX に記載されている。
【0046】
ゼオライトXは、例えば、 Milton の米国特許第2,882,244号に、そしてゼオライトYは、Breck の米国特許第3,130,007号に記載されている。
いろいろなゼオライトおよびゼオライト型材料が、当該技術分野において化学反応の触媒用に知られている。例えば、Argauer の米国特許第3,702,886号は、いろいろな炭化水素変換法の触媒作用に有効である、「Zeolite ZSM−5」として特性決定されたクラスの合成ゼオライトを開示している。
【0047】
本発明の手順に好適なゼオライトは、基本形、部分的にまたは全体的に酸性化された形、または部分的に脱アルミニウムの形でありうる。
好ましくは、本発明の方法におけるゼオライト触媒担体は、「H−ZSM−5」または「H−モルデナイト」ゼオライトとして特性決定されたプロトン性の形であり、それらは、当該技術分野において周知の技法を用いて、該当する「ZSM−5」ゼオライトまたは「モルデナイト」ゼオライトから、大抵は且つ概して、そのゼオライトの少なくとも約80%の陽イオンを水素イオンで置き換えることによって製造される。これらゼオライト触媒は、本質的に、結晶性アルミノケイ酸塩、または十分に定義された結晶構造のシリカおよびアルミナ組み合わせである中性形である。本発明の目的に特に好ましいクラスのゼオライト触媒において、これらゼオライト中のSiO対Alのモル比は、約10対60の比率の範囲内である。
【0048】
本発明の別の側面において、ルテニウムは、シリカかまたは酸化鉄上に担持される。ルテニウムおよびスズの組み合わせ、単独の鉄、または白金および鉄、鉄およびコバルト、鉄およびルテニウム、および白金およびスズの組み合わせは、当該技術分野において周知の手順または本明細書中に更に記載される手順を用いて、高純度・低表面積シリカまたは高純度・高表面積シリカ上に担持される。白金またはルテニウムベースの金属触媒に好ましい他の触媒担体は、チタニアおよびジルコニアである。
【0049】
上記のように、二つの金属触媒の組み合わせの装填レベルは、概して、主な触媒金属の含有率および組み合わせの重量比に関係している。例えば、Ru/Sn、Ru/Fe、Pt/SnまたはPt/Feの重量比は、約0.1〜2の範囲内である。したがって、Ru/Sn、Ru/FeまたはPt/Feの重量比が0.1である場合、ルテニウムまたは白金の量は、0.1または1重量パーセントでありうるし、したがって、1または10重量パーセントのスズまたは鉄が、触媒担体上に存在する。好ましくは、Ru/Sn、Ru/Fe、Pt/SnまたはPt/Feの重量比は、約0.5であり、したがって、触媒担体上のルテニウムまたは白金の量は、0.5かまたは1重量パーセントでありうるし、そしてスズまたは鉄のそれは、1かまたは2重量パーセントである。より好ましくは、Ru/Sn、Ru/Fe、Pt/SnまたはPt/Feの重量比は、1または0.2である。したがって、担体上のルテニウムまたは白金の量は、0.5、1または2重量パーセントであり、そしてスズまたは鉄のそれも、重量比が1である場合、0.5、1または2重量パーセントである。同様に、Ru/Sn、Ru/FeまたはPt/Feの重量比が0.2である場合、担体上のルテニウムまたは白金の量は、0.5または1重量パーセントでありうるし、そしてスズまたは鉄の量は、2.5かまたは5重量パーセントである。
【0050】
担体上に存在する場合の第三の金属装填量は、本発明において全く臨界的ではないが、約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの範囲内でありうる。担体の重量に基づく約1重量パーセント〜約6重量パーセントの金属装填量が、特に好ましい。
【0051】
金属含浸は、当該技術分野における既知の方法のいずれかを用いて行うことができる。典型的に、含浸前に、担体を120℃で乾燥させ、そして約0.2〜0.4mmの範囲内のサイズ分布を有する粒子へ造形する。場合により、担体は、所望のサイズ分布へと加圧し、破砕し、そして篩分けすることができる。担体材料を所望のサイズ分布へ造形する既知の方法はいずれも、用いることができる。
【0052】
低表面積を有する、例えば、αアルミナなどの担体について、金属溶液を、完全な湿潤または過剰の液体含浸まで、望ましい金属装填量を得るように過剰に加える。
上記のように、本発明の方法に用いられる水素化触媒は、概して、白金/鉄、ルテニウム/スズ、ルテニウム/鉄、鉄/コバルト等を含有する二元金属触媒である。概して、いずれの理論にも拘束されるものではないが、一方の金属は、促進剤(promoter)金属として作用し、そして別の金属は、主金属であると考えられる。例えば、本発明の方法において、上記の組み合わせの内の白金、ルテニウムおよび鉄はそれぞれ、本発明の水素化触媒を製造するための主金属と考えられる。他方の金属、すなわち、ルテニウムと一緒のスズ、およびコバルト、白金またはルテニウムと一緒の鉄は、用いられる触媒担体、反応温度および圧力等が含まれるがこれに制限されるわけではないいろいろな反応パラメーターに依存して、促進剤金属であると考えられる。触媒は、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロムまたは亜鉛などの他の促進剤金属を包含してよい。
【0053】
二元金属触媒は、概して、二つの工程で含浸する。各々の含浸工程後、乾燥およびカ焼を行う。二元金属触媒は、更に、共含浸(co-impregnation)によって製造することができる。大部分の場合、含浸は、金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、カ焼時に金属イオンを放出するいろいろな他の可溶性塩を用いることもできる。含浸に好適な他の金属塩の例には、金属シュウ酸塩、金属水酸化物、金属酸化物、金属酢酸塩、ヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物などのアンモニウム金属酸化物、過レニウム酸溶液などの金属酸等が含まれる。
【0054】
したがって、本発明の一つの態様において、水素化触媒であって、触媒担体が、水素化触媒として単独のルテニウムを含むシリカまたは酸化鉄である水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、ルテニウムの金属装填量は、1重量パーセント〜約20重量パーセント、好ましくは、1〜10重量パーセント、そして最も好ましくは、1〜5重量パーセントでありうる。
【0055】
本発明の別の態様において、水素化触媒であって、触媒担体が、水素化触媒として単独の鉄を含むシリカである水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、鉄の金属装填量は、1重量パーセント〜約20重量パーセント、好ましくは、2〜10重量パーセント、そして最も好ましくは、3〜8重量パーセントの鉄でありうる。
【0056】
本発明の別の態様において、二元金属装填量のルテニウムおよびスズまたは白金およびスズを提供する。本発明のこの側面において、ルテニウムまたは白金の装填量は、約0.5重量パーセント〜約2重量パーセントであり、そしてスズの装填量は、約2.5重量パーセント〜約10重量パーセントである。具体的には、シリカ上の1/1、1/5、0.5/5および0.5/2.5重量パーセントのルテニウム/スズまたは白金/スズ装填レベルを用いることができる。
【0057】
本発明の別の態様において、更に、水素化触媒であって、触媒担体が、二元金属装填量の白金および鉄またはルテニウムおよび鉄を含む高純度・低表面積シリカである水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、白金またはルテニウムの装填量は、約0.5重量パーセント〜約2重量パーセントであり、そして鉄の装填量は、約4重量パーセント〜約10重量パーセントである。具体的には、高純度・低表面積シリカ上の1/1、1/5、0.5/5および0.5/2.5重量パーセントの白金/鉄またはルテニウム/鉄装填レベルを用いることができる。本発明のこの側面における他の好ましい担体には、H−ZSM−5、黒鉛化炭素、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、シリカ−アルミナおよびケイ酸カルシウムが含まれる。
【0058】
本発明の別の態様において、更に、水素化触媒であって、二元金属触媒が、シリカ上に担持されたコバルトおよび鉄である水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、コバルトの装填レベルは、約12重量パーセント〜約22重量パーセントであり、そして鉄の装填レベルは、約3〜8重量パーセントである。具体的には、シリカ上に担持された17.4重量パーセントのコバルト装填レベルおよび4.8重量パーセントの鉄装填レベルは、商業的に入手可能である。
【0059】
概して、本発明の実施により、酢酸は、選択的にアセトアルデヒドへ極めて高率で変換することができる。概して、アセトアルデヒドへの選択性は、極めて高く、少なくとも60パーセントでありうる。好ましい反応条件下において、酢酸は、アセトアルデヒドへ少なくとも70パーセントの選択性で、またはより好ましくは、少なくとも90パーセントなどの80パーセントを超える選択性で変換される。
【0060】
本発明の触媒を用いた酢酸の転化率は、少なくとも10%であり、しかもアセトアルデヒドへの少なくとも60%、好ましくは、70%、そして最も好ましくは、80%の選択性で、40%まででありうる。
【0061】
概して、本発明の活性触媒は、本明細書中に記載のような単一金属触媒または二元金属触媒である。より詳しくは、0.5〜1重量パーセントのルテニウムまたは白金装填量および5重量パーセントのスズおよび鉄装填量および約18重量パーセントのコバルト装填量でシリカ上に担持されたルテニウムおよびスズ、ルテニウムおよび鉄、白金およびスズ、白金および鉄、およびコバルトおよび鉄を含有する二元金属触媒が好ましい。本発明の実施により、酢酸は、この触媒を用いて、約40%の転化率において、少なくとも60%のアセトアルデヒド選択性で変換することができ、より好ましくは、少なくとも80%のアセトアルデヒドへの選択性を達成することができる。
【0062】
同様の転化率および選択性は、ジルコニア、黒鉛またはチタニアを担体として用い且つ上記のような同様の装填量のルテニウム、白金、スズ、鉄およびコバルトを含んで達成される。他の促進剤金属も、上記のようにルテニウムまたは白金と一緒に用いることができる。
【0063】
本発明の別の側面において、更に、触媒担体としてのシリカまたは酸化鉄上の1重量パーセント〜約5重量パーセントのルテニウムまたは鉄装填量を用いて、少なくとも25%のオーダーの高レベルの転化率および少なくとも約80%の高いアセトアルデヒドへの選択性を得ることが可能である。本発明のこの側面において、他の好ましい触媒担体には、黒鉛化炭素、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナおよびケイ酸カルシウムが含まれる。
【0064】
本発明の方法の別の側面において、水素化は、触媒床中の圧力降下を克服するのにちょうど十分な圧力で行う。
その反応は、広範囲の条件下において蒸気または液体状態で行うことができる。好ましくは、反応は、蒸気相中で行う。反応温度は、例えば、約250℃〜約350℃、好ましくは、約290℃〜約310℃の範囲内で用いることができる。圧力は、概して、反応に臨界的ではないので、大気圧未満、大気圧または超大気圧を用いることができる。しかしながら、大部分の場合、反応圧力は、約5〜30絶対気圧(atmospheres absolute)の範囲内であろうし、最も好ましくは、反応区域の圧力は、約8〜20絶対気圧の範囲内である。
【0065】
その反応は、酢酸1モルにつき1モルの水素を消費して、1モルのアセトアルデヒドを生成するが、供給流中の酢酸対水素の実測モル比は、広い限界の間で、例えば、約100:1〜1:100に変動することがありうる。しかしながら、このような比率は、約1:20〜1:2の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、酢酸対水素のモル比は、約1:5である。
【0066】
本発明の方法に関連して用いられる原料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマス等を含めたいずれか好適な源に由来してよい。酢酸を、メタノールカルボニル化、アセトアルデヒド酸化、エチレン酸化、酸化的発酵および嫌気性発酵等によって製造することは周知である。石油および天然ガスは、一層高価になってきたので、代わりの炭素源から酢酸並びにメタノールおよび一酸化炭素などの中間体を製造する方法が、一層関心を呼んでいた。
【0067】
特に興味深いのは、いずれか好適な炭素源に由来してよい合成ガス(シンガス(syngas))からの酢酸製造である。本明細書中にその開示が援用される、Vidalin の米国特許第6,232,352号は、例えば、酢酸の製造用にメタノールプラントを改装する方法を教示している。メタノールプラントを改装することにより、新しい酢酸プラントのためのCO発生に関連した大きい資本経費は、大きく減少するまたは大きく削減される。シンガスの全部または一部分を、メタノール合成ループから転じ、分離器装置へ供給して、COおよび水素を回収後、それらを用いて酢酸を製造する。酢酸に加えて、その方法は、本発明に関連して利用される水素を製造するのに用いることもできる。
【0068】
本明細書中に更に援用される、Steinbergらの米国特許第RE35,377号は、メタノールの製造方法であって、石油、石炭、天然ガスおよびバイオマス材料などの炭質材料の変換による方法を提供している。その方法は、固体および/または液体の炭質材料の水素添加ガス化(hydrogasification)を包含して、プロセスガスを得、それを、追加の天然ガスでスチーム熱分解して、合成ガスを形成する。そのシンガスを、メタノールへ変換し、それを、酢酸へカルボニル化することができる。その方法は、同様に、上記のように本発明に関連して用いることができる水素を生成する。本明細書中にそれらの開示が援用される、Kindigらの米国特許第6,685,754号並びに廃棄物バイオマスをガス化によって合成ガスへ変換する方法を開示している Gradyらの米国特許第5,821,111号も参照されたい。
【0069】
酢酸は、反応温度で気化させることができ、次に、それを、未希釈の状態の水素、または窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のような比較的不活性なキャリヤーガスで希釈された水素と一緒に供給することができる。
【0070】
或いは、蒸気の形の酢酸は、本明細書中にその開示が援用される、Scatesらの米国特許第6,657,078号に記載のクラスのメタノールカルボニル化装置のフラッシュ容器から粗生成物として直接的に得ることができる。その粗製蒸気生成物は、酢酸およびライトエンドを凝縮させるまたは水を除去する必要性を伴うことなく、本発明の反応区域へ直接的に供給されて、総作業原価を節約することができる。
【0071】
接触または滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度および圧力のような変数に依存して、広く変動することがありうる。典型的な接触時間は、固定床以外の触媒システムを用いる場合、一秒の何分の一〜数時間を超え、好ましい接触時間は、少なくとも蒸気相反応について約0.5〜100秒である。
【0072】
典型的に、触媒は、固定床反応器中で、例えば、伸長したパイプまたはチューブの形状で用いられ、そこにおいて、典型的には蒸気の形の反応物が、その触媒の上をまたはそれを介して通過する。所望ならば、流動床または沸騰床反応器などの他の反応器を用いることができる。いくつかの場合、水素化触媒を、不活性材料と一緒にして用いて、触媒粒子と反応物化合物の接触時間を含めた、触媒床中の圧力降下、流れ、熱収支または他の作業パラメーターを調節することが好都合である。
【0073】
一つの好ましい態様において、更に、酢酸からのアセトアルデヒドの選択的且つ直接的形成方法であって、好適な触媒担体上の約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントの白金またはルテニウムおよび約2.5重量パーセント〜約5重量パーセントのスズまたは鉄を含有する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させることを含む方法を提供する。本発明のこの態様における好ましい触媒担体は、シリカである。
【0074】
本発明の方法のこの態様において、好ましい水素化触媒は、約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの白金および約5重量パーセントの鉄またはスズ;または約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントのルテニウムおよび約5重量パーセントのスズまたは鉄を含有する。それら水素化触媒は、固定床中に積層されていて、そして反応は、約1:20〜1:5のモル範囲内の酢酸および水素の供給流を用いた蒸気相中において、約290℃〜310℃の範囲内の温度および約8〜20絶対気圧の範囲内の反応区域の圧力で行い、そして反応物の接触時間は、約0.5〜100秒の範囲内であるのが好ましい。
【0075】
第一気体生成物流中のアセトアルデヒドの富化:
本発明の方法の第二工程において、本明細書中に記載の本発明の方法の工程(a)の第一反応区域において形成されたアセトアルデヒドを、少なくとも50モルパーセントのアセトアルデヒドを含有する流れを生じるように、更に富化する。当該技術分野において知られている方法はいずれも、この目的に用いることができる。例えば、好適な蒸留カラムを用いて、オーバーヘッドおよび下部カラムで揮発性気体副生成物を除去して、高沸点画分を分離することができる。低いかまたは高い沸点を有する不純物または他の副生成物を除去するスクラビングカラムなどのいろいろな他の低温法および/または温度制御トラッピング装置を用いることもできるので、得られた流れは、少なくとも50モルパーセントのアセトアルデヒドを含有していた。
【0076】
好ましくは、第一反応区域からの富化された生成物流は、少なくとも60モルパーセントのアセトアルデヒドを含有していた。より好ましくは、第一反応区域からの富化された気体生成物流は、少なくとも70モルパーセントのアセトアルデヒドを含有した。なお一層好ましくは、第一反応区域からの富化された気体生成物流は、少なくとも80モルパーセントのアセトアルデヒドを含有していた。
【0077】
エチリデンジアセテートを形成するアセトアルデヒドと無水酢酸との反応:
本発明の方法の一つの態様において、第一反応区域において形成されアセトアルデヒドは、次に、1または複数の反応器区域において、アセトアルデヒドと無水酢酸とを最初に反応させてエチリデンジアセテートを形成することによって、VAMおよび酢酸へ変換することができる。
【0078】
アセトアルデヒドおよび無水酢酸を利用してエチリデンジアセテートを製造するための方法の例は、双方とも McTeer の米国特許第3,700,722号および同第3,383,374号に見出されうるが、それは、無水酢酸および過剰のアセトアルデヒドの、硫酸の存在下における25℃〜100℃、好ましくは、40℃〜60℃での反応を記載していて、水酸化ナトリウムでその反応を中和後にエチリデンジアセテートおよびビス(1−アセトキシエチル)エーテルの混合物を生成する。
【0079】
エチリデンジアセテートの熱分解:
それに続くエチリデンジアセテートの熱分解は、VAMおよび酢酸を生じ、VAMおよび酢酸を含有する生成物流は、分離装置へ進行する。エチリデンジアセテートの熱分解は、典型的に、50℃〜200℃の温度、15atm未満の圧力で、触媒を用いて行われる。
【0080】
エチリデンジアセテートのVAMおよび酢酸への熱分解に有用な好適な酸触媒の例は、芳香族スルホン酸、硫酸およびアルカンスルホン酸であり、Oxleyらの米国特許第2,425,389号、Schnizer の同第2,859,241号および Isshikiらの同第4,843,170号を参照されたい。具体的には、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸が、好ましい芳香族スルホン酸である。
【0081】
別の態様において、分離された酢酸は、反応器システムへ再循環し戻すことができるし、または引き取って、最終生成物として精製することができる。
VAMを形成するためのアセトアルデヒドへのケテンの付加:
本発明の別の態様において、VAMは、更に、本発明の方法の工程(b)で得られたアセトアルデヒドおよびケテンの反応から製造することができる。ケテンは、酢酸の熱分解によって商業的に形成される。次に、そのように形成されたケテンを、本発明の方法の工程(b)で形成されたアセトアルデヒドと接触させる。
【0082】
概して、アセトアルデヒドとケテンとの反応は、蒸気相中において好適な酸触媒上で行うことができる。既知の固体酸触媒はいずれも、この目的に用いることができる。例えば、本明細書中の上に記載のいろいろな酸触媒は、この目的に好適でありうる。典型的に、好適な固体酸触媒には、上記の Schreck の米国特許第4,399,305号に開示されたペルフルオロスルホン酸樹脂などのスルホン酸樹脂が含まれる。ゼオライトも、Cognionらの米国特許第4,620,050号に記載のように、固体酸触媒として好適である。したがって、ゼオライト触媒を用いて、本明細書中の上に記載の水素化触媒を同時に担持することができるし、そして次に、得られたアセトアルデヒドをケテンと反応させて、VAMを形成することができる。
【0083】
したがって、本発明の方法の一つの側面により、更に、圧密固定床反応器であって、反応器の前端に、本明細書中の上に記載の水素化触媒を装填し、そして反応器の後端に、本明細書中の上に記載の好適な酸触媒を装填し、それによって、本発明の一つの方法の双方の工程を、一段階で有効に行うことができる反応器を提供する。このような結果をもたらすことができる既知の固定床反応器はいずれも、この目的に用いることができる。好ましくは、本明細書中に記載の二つの異なった触媒層を含有するように設計されたチューブ状反応器を用いて、この作業を達成する。
【0084】
典型的に、固体酸触媒の存在下におけるアセトアルデヒドとケテンとの反応は、約150℃〜約300℃の温度範囲で、好ましくは、約160℃〜約250℃の範囲内で、そしてより好ましくは、約170℃〜225℃の範囲内で行うことができる。再度、上記のように、ゼオライトまたはスルホン酸樹脂触媒はいずれも、固体酸触媒として用いることができる。好ましくは、この反応は、約0.6nmを超える細孔直径を有するゼオライトの存在下で行われる。このようなゼオライトの具体的な例には、本明細書中に記載のモルデナイト、ゼオライトXおよびゼオライトYが含まれるが、全くこれに制限されるわけではない。
【0085】
上記のように、本発明の方法のこの工程において用いることができる別の好ましい酸触媒は、ペルフルオロスルホン酸樹脂であり、それは、NAFION(登録商標)という商標で、DuPont de Nemours Company in Wilmington, Delaware より商業的に入手可能である。これら樹脂の好適な変種は、Cares の米国特許第4,065,512号および DuPont“Innovation,”Volume 4, number 3, Spring 1973 に記載されている。
【実施例】
【0086】
次の実施例A〜Oは、実施例1〜19において用いられるいろいろな触媒の製造に用いられた手順を記載する。
実施例A
酸化鉄上1重量パーセントのルテニウムの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの酸化鉄(99g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(32ml)中のニトロシル硝酸ルテニウム(Heraeus)(3.14g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0087】
実施例B
酸化鉄上3重量パーセントのルテニウムの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(96ml)中のニトロシル硝酸ルテニウム(Heraeus)(9.42g)の溶液および97グラムの酸化鉄を利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0088】
実施例C
高純度・低表面積シリカ上5重量パーセントの鉄の製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度・低表面積シリカ(95g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(36ml)中の硝酸鉄九水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0089】
実施例D
高純度・低表面積シリカ上5重量パーセントのスズおよび0.5重量パーセントのルテニウムの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度・低表面積シリカ(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、希硝酸(1N 45ml)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(16ml)中のニトロシル硝酸ルテニウム(Heraeus)(1.57g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0090】
実施例E
高純度・低表面積シリカ上1重量パーセントのルテニウムおよび5重量パーセントの鉄の製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度・低表面積シリカ(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(32ml)中のニトロシル硝酸ルテニウム(Heraeus)(3.14g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(36ml)中の硝酸鉄九水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0091】
実施例F
高純度・低表面積シリカ上5重量パーセントの鉄および1重量パーセントの白金の製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度・低表面積シリカ(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(36ml)中の硝酸鉄九水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(16ml)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0092】
実施例G
高純度・低表面積シリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのスズの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度・低表面積シリカ(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(16ml)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液および希硝酸(1N 43.5ml)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0093】
実施例H
高純度・低表面積シリカ上1重量パーセントのパラジウム、1重量パーセントの金および5重量パーセントの酢酸カリウムの製造
実施例Dの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(10ml)中の水酸化金(III)(Alfa Aesar)(1.26g)および水酸化カリウム(0.28g)の溶液、蒸留水(10ml)中の酢酸カリウム(Sigma)(5g)の溶液および93グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、逐次的に、最初にパラジウムで、次に金で、そして最後に酢酸カリウムで含浸する。
【0094】
実施例I
高純度・低表面積シリカ上1重量パーセントのパラジウム、5重量パーセントの銅および5重量パーセントの酢酸カリウムの製造
実施例Dの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(20ml)中の硝酸銅三水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、蒸留水(10ml)中の酢酸カリウム(Sigma)(5g)の溶液および89グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、逐次的に、最初に銅で、次にパラジウムで、そして最後に酢酸カリウムで含浸する。
【0095】
実施例J
炭素上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントの銅の製造
実施例Dの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(20ml)中の硝酸銅三水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液および94グラムの炭素を利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、逐次的に、最初に銅で、次にパラジウムで含浸する。
【0096】
実施例K
高純度・低表面積シリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントの鉄の製造
実施例Dの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(30ml)中の硝酸鉄九水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液および94グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、逐次的に、最初に鉄で、次にパラジウムで含浸する。
【0097】
実施例L
高純度・低表面積シリカ上5重量パーセントの鉄および5重量パーセントのコバルトの製造
実施例Dの手順を、蒸留水(30ml)中の硝酸鉄九水和物(Alfa Aesar)(36.2g)の溶液、蒸留水(25ml)中の硝酸コバルト六水和物(24.7g)の溶液および90グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、逐次的に、最初に鉄で、次にコバルトで含浸する。
【0098】
実施例M
高純度・低表面積シリカ上5重量パーセントの銅および5重量パーセントのモリブデンの製造
実施例Dの手順を、蒸留水(20ml)中の硝酸銅三水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、蒸留水(65ml)中のヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物(Sigma)(9.5g)の溶液および90グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、逐次的に、最初に銅で、次にモリブデンで含浸する。
【0099】
実施例N
高純度・低表面積シリカ上5重量パーセントのスズおよび1重量パーセントのルテニウムの製造
実施例Dの手順を、希硝酸(1N 43.5ml)中のシュウ酸スズ(Alfa Aesar)(8.7g)の溶液、蒸留水(32ml)中のニトロシル硝酸ルテニウム(Heraeus)(3.14g)の溶液および94グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒を、スズおよびルテニウムで共含浸する。
【0100】
実施例O
酸化鉄上1重量パーセントのパラジウムの製造
実施例Dの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液および99グラムの酸化鉄を利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0101】
生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析:
生成物の分析は、オンラインGCで行った。一つの炎イオン化検出器(FID)および二つの熱伝導度検出器(TCD)を装備した三チャンネルコンパクトGCを用いて、反応物および生成物を分析した。フロントチャンネルに、FIDおよびCP−Sil 5(20m)+WaxFFap(5m)カラムを装備し、そしてそれを用いて
アセトアルデヒド;
エタノール;
アセトン;
酢酸メチル;
酢酸ビニル;
酢酸エチル;
酢酸;
エチレングリコールジアセテート;
エチレングリコール;
エチリデンジアセテート;
パラアルデヒド;
を定量した。
【0102】
ミドルチャンネルに、TCDおよび Porabond Qカラムを装備し、それを用いて
CO
エチレン;
エタン;
を定量した。
【0103】
バックチャンネルに、TCDおよび Molsieve 5Aカラムを装備し、それを用いて
ヘリウム;
水素;
窒素;
メタン;
一酸化炭素;
を定量した。
【0104】
反応前に、異なった成分の保持時間を、個々の化合物でスパイキングすることによって決定し、そしてGCは、既知の組成の検量用ガスかまたは既知の組成物の液体溶液で検量した。これは、いろいろな成分についての応答因子の決定を可能にした。
【0105】
実施例1〜17は、本発明の方法の第一工程に記載の、酢酸のアセトアルデヒドへの水素化の手順を記載する。
実施例1
利用した触媒は、実施例Aの手順にしたがって製造された酸化鉄上1重量パーセントのルテニウムであった。
【0106】
ステンレス鋼製の、30mmの内径を有する且つ制御温度へ上昇させることが可能なチューブ状反応器中に、50mlの酸化鉄上に担持された1重量パーセントのルテニウムを配置する。充填後の触媒床の長さは、約70mmであった。反応前に、その触媒を、400℃の最終温度へ2℃/分の速度で加熱することによって現場で還元した。次に、窒素中の5mol%水素を、触媒室へ7500h−1のガス毎時空間速度(gas hourly space velocity)(GHSV)で導入した。還元後、触媒を、窒素中の5mol%水素のガス流を続けることによって350℃の反応温度へ冷却した。反応温度が、350℃でいったん安定したら、酢酸の水素化を、次のように開始した。
【0107】
供給液は、本質的に、酢酸を含んでいた。その反応供給液を、蒸発させ、そして反応器へ、キャリヤーガスとしての水素およびヘリウムと一緒に、約350℃の温度において約2500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)で充填した。得られた供給流は、約4.4%〜約13.8%のモルパーセントの酢酸および約14%〜約77%のモルパーセントの水素を含有した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させた。アセトアルデヒドへの選択性は、50%の酢酸転化率で60%であった。
【0108】
実施例2
利用した触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造されたシリカ上5重量パーセントの鉄であった。
【0109】
実施例1に示された手順を、350℃の温度において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、75%であり、アセトアルデヒド選択性は、70%であった。
【0110】
実施例3
利用した触媒は、実施例Dの手順にしたがって製造されたシリカ上0.5重量パーセントのルテニウムおよび5重量パーセントのスズであった。
【0111】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、4%であり、アセトアルデヒド選択性は、91%であった。形成された他の生成物は、エタン(1%)およびエタノール(8%)であった。
【0112】
実施例4
利用した触媒は、実施例Eの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのルテニウムおよび5重量パーセントの鉄であった。
【0113】
実施例1に示された手順を、300℃の温度において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、35%であり、アセトアルデヒド選択性は、約70%である。
【0114】
実施例5
利用した触媒は、実施例Fの手順にしたがって製造された高純度・低表面積シリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントの鉄であった。
【0115】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および1バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、65%であったが、アセトアルデヒド選択性は、60%である。形成された他の生成物は、二酸化炭素(6%)および酢酸エチル(9%)であった。
【0116】
実施例6
利用した触媒は、実施例Gの手順にしたがって製造されたシリカ上0.5重量パーセントの白金および5重量パーセントのスズであった。
【0117】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および1バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、85%であり、アセトアルデヒド選択性は、65%であった。形成された他の生成物は、メタン(4%)および酢酸エチル(9%)であった。
【0118】
実施例7
利用した触媒は、シリカ上に17.4重量パーセントのコバルトおよび4.8重量パーセントの鉄を含有する商業的に入手可能なCo/Fe触媒であった。
【0119】
実施例1に示された手順を、350℃の温度において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、約65%であり、アセトアルデヒド選択性は、75%である。
【0120】
実施例8
利用した触媒は、実施例Hの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウム、1重量パーセントの金および5重量パーセントの酢酸カリウムであった。
【0121】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、5%であり、アセトアルデヒド選択性は、98.5%であった。形成された他の生成物は、エタン(1%)およびエタノール(0.5%)であった。
【0122】
実施例9
利用した触媒は、実施例Iの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウム、5重量パーセントの銅および5重量パーセントの酢酸カリウムであった。
【0123】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、2%であり、アセトアルデヒド選択性は、97.5%であった。形成された他の生成物は、エタン(2.5%)であった。
【0124】
実施例10
利用した触媒は、実施例Jの手順にしたがって製造された炭素上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントの銅であった。
【0125】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、1%であり、アセトアルデヒド選択性は、97%であった。形成された他の生成物は、エタン(3%)であった。
【0126】
実施例11
利用した触媒は、実施例Kの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントの鉄であった。
【0127】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、9%であり、アセトアルデヒド選択性は、96%であった。形成された他の生成物は、エタン(0.6%)およびエタノール(3.6%)であった。
【0128】
実施例12
利用した触媒は、実施例Lの手順にしたがって製造されたシリカ上5重量パーセントの鉄および5重量パーセントのコバルトであった。
【0129】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、11%であり、アセトアルデヒド選択性は、95%であった。形成された他の生成物は、エタン(1%)およびエタノール(4%)であった。
【0130】
実施例13
利用した触媒は、実施例Lの手順にしたがって製造されたシリカ上5重量パーセントの鉄および5重量パーセントのコバルトであった。
【0131】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および1バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、75%であり、アセトアルデヒド選択性は、70%であった。形成された他の生成物は、メタン(4%)および二酸化炭素(3%)であった。
【0132】
実施例14
利用した触媒は、実施例Mの手順にしたがって製造されたシリカ上5重量パーセントの銅および5重量パーセントのモリブデンであった。
【0133】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および1バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、10%であり、アセトアルデヒド選択性は、90%であった。形成された他の生成物は、エタン(1.5%)およびアセトン(6.6%)であった。
【0134】
実施例15
利用した触媒は、実施例Nの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのルテニウムおよび5重量パーセントのスズであった。
【0135】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および1バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、60%であり、アセトアルデヒド選択性は、78%であった。形成された他の生成物は、メタン(6%)およびエタノール(12%)であった。
【0136】
実施例16
利用した触媒は、実施例Oの手順にしたがって製造された酸化鉄上1重量パーセントのパラジウムであった。
【0137】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および15バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、66%であり、アセトアルデヒド選択性は、59%であった。形成された他の生成物は、二酸化炭素(4%)およびエタノール(18%)であった。
【0138】
実施例17
利用した触媒は、Sud Chemie よりT−4489という名称で販売されている商業的に入手可能な銅−アルミニウム触媒であった。
【0139】
実施例1に示された手順を、350℃の温度および1バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、88%であり、アセトアルデヒド選択性は、51%であった。形成された他の生成物は、二酸化炭素(5%)およびエタノール(16%)であった。
【0140】
比較例1A〜4A
これら例は、いろいろな触媒上の酢酸および水素の反応であって、アセトアルデヒドを形成しなかったか、および/または極めて低いアセトアルデヒドへの選択性が、低い酢酸転化率で認められた反応を詳しく説明する。
【0141】
これら例の全てにおいて、表1に挙げられている異なった触媒を用いることを除いて、実質的に、実施例1に示された手順にしたがった。反応温度およびアセトアルデヒドへの選択性および他の生成物も、表1に表示する。
【0142】
【表1】

【0143】
実施例18
工程(c)のエチリデンジアセテートを製造するために、工程(b)の本質的にアセトアルデヒドを含有する富化された生成物供給流を、反応器中に無水酢酸と一緒に供給して、双方とも McTeer の、硫酸の存在下における25℃〜100℃(好ましくは、40℃〜60℃)での無水酢酸および過剰のアセトアルデヒドの反応を記載している米国特許第3,700,722号または同第3,383,374号のどちらか一方にしたがって、本質的にエチリデンジアセテートを含有する第二生成物流を形成する。
【0144】
実施例19は、本発明の工程(d)に記載の、エチリデンジアセテートのVAMおよび酢酸への熱分解を記載する。Isshikiらの米国特許第4,843,170号に示された手順を用い、実施例1〜17のいずれか一つを利用して、本発明の工程(c)で形成されたエチリデンジアセテートを熱分解して、アセトアルデヒドを生成し、それを、本発明の工程(c)において無水酢酸と反応させる。このエチリデンジアセテートの熱分解は、典型的に、50℃〜200℃の温度および15atm未満の圧力で生じる。
【0145】
実施例19
実施例A〜Oにしたがって製造された触媒のいずれか一つを、Tustinらの米国特許第5,719,315号に示された手順において用いて、工程(b)で形成されたアセトアルデヒドおよびケテンの酸触媒での反応によるVAMの製造の最終工程を行うことができる。
【0146】
本発明を、具体的な実施例に関連して詳しく説明してきたが、本発明の精神および範囲の範囲内でのこれら実施例への修飾は、当業者に容易に明らかであろう。前述の考察、当該技術分野において関係のある知識、ならびに背景技術および詳細な説明に関連して上に論じられ、それらの開示が全て本明細書中に援用される参考文献を考慮すると、更なる説明は不必要であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸から酢酸ビニルを製造する方法であって、
(a)第一反応区域において、好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属を、場合により、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択される1または複数の金属触媒との組み合わせで包含する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させて、アセトアルデヒドを含む第一気体生成物流を形成し;
(b)該第一気体生成物流を、アセトアルデヒドで少なくとも50モルパーセント富化し;
(c)第二反応区域において、工程(b)において得られた該富化された第一気体生成物流と、無水酢酸とを高温で接触させて、エチリデンジアセテートの第二気体生成物流を形成し;
(d)第三反応区域において、工程(c)において得られた該第二気体生成物流を、好適な酸触媒で熱分解して、酢酸ビニルおよび酢酸から本質的になる第三気体生成物流を形成し;
(e)酢酸ビニルを該第三気体生成物流から分離すること;
を含む上記方法。
【請求項2】
工程(a)における水素化触媒が、シリカまたは酸化鉄上に担持されたルテニウム;シリカ上に担持された鉄;ルテニウムおよびスズまたはルテニウムおよび鉄の約0.1〜1の範囲内のRu/SnまたはRu/Fe重量比での組み合わせ;白金および鉄または白金およびスズの約0.1〜1の範囲内のPt/SnまたはPt/Fe重量比での組み合わせ;および鉄およびコバルトの組み合わせ;からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)における第二水素化触媒が、アルミナまたはシリカ上に担持された白金およびアルミナまたはシリカ上に担持されたルテニウムからなる群より選択され、ここにおいて、工程(d)における酸触媒が、芳香族スルホン酸、硫酸およびアルカンスルホン酸より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一気体生成物流を、工程(b)において、アセトアルデヒドで少なくとも80モルパーセントまで富化する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)における反応物が、約100:1〜1:100の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約250℃〜350℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約5〜25絶対気圧の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)における反応物が、約1:20〜1:2の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約270℃〜210℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約8〜20絶対気圧の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)における水素化触媒が、約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの装填レベルでの白金および約5重量パーセントの装填レベルでのスズまたは鉄であり、そして触媒担体が、シリカである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)における水素化触媒が、約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの装填レベルでのルテニウムおよび約5重量パーセントの装填レベルでのスズまたは鉄であり、そして触媒担体が、シリカである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酢酸から酢酸ビニルを製造する方法であって、
(a)第一反応区域において、好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属を、場合により、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択される1または複数の金属触媒との組み合わせで包含する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させて、アセトアルデヒドを含む第一気体生成物流を形成し;
(b)該第一気体生成物流を、アセトアルデヒドで少なくとも50モルパーセント富化し;
(c)第二反応区域において、工程(b)において得られた該富化された第一気体生成物流と、無水酢酸とを高温で接触させて、エチリデンジアセテートの第二気体生成物流を形成し;
(d)第三反応区域において、工程(c)において得られた該第二気体生成物流と、芳香族スルホン酸、硫酸およびアルカンスルホン酸より選択される酸触媒とを高温で接触させて、酢酸ビニルおよび酢酸の混合物を含む第三気体生成物を形成し;そして
(e)酢酸ビニルを該第三気体生成物流から分離すること;
を含む上記方法。
【請求項10】
工程(a)における水素化を、担体上の水素化触媒であって、シリカ上に担持された約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの装填レベルでの白金;シリカ上に担持された約5重量パーセントの装填レベルでのスズまたは鉄;およびシリカ上に担持された約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの装填レベルでのルテニウム;からなる群より選択される触媒上で行う、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(d)における酸触媒が、芳香族スルホン酸、硫酸およびアルカンスルホン酸からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)における水素化を、触媒床中の圧力降下を克服するのにちょうど十分な圧力で行う、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
工程(a)における反応物が、約100:1〜1:100の範囲内のモル比を有する酢酸および水素からなり、反応区域の温度が、約250℃〜350℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約5〜25絶対気圧の範囲内であり、そして反応物および触媒の接触時間が、約0.5秒〜100秒の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)における反応物が、約1:20〜1:2の範囲内のモル比を有する酢酸および水素からなり、反応区域の温度が、約270℃〜310℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約8〜20絶対気圧の範囲内であり、そして反応物および触媒の接触時間が、約0.5秒〜100秒の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
工程(d)における酸触媒が、芳香族スルホン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
酢酸から酢酸ビニルを製造する方法であって、
(a)第一反応区域において、好適な触媒担体上に担持された鉄、銅、金、白金、パラジウムおよびルテニウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属を、場合により、スズ、アルミニウム、カリウム、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群より選択される1または複数の金属触媒との組み合わせで包含する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させて、アセトアルデヒドを含む第一気体生成物流を形成し;
(b)該第一気体生成物流を、アセトアルデヒドで少なくとも50モルパーセント富化し;
(c)第二反応区域において、工程(b)において得られた該富化された第一気体生成物と、ケテンおよび好適な触媒とを高温で接触させて、酢酸ビニルを含む第二気体生成物を形成し;そして
(e)酢酸ビニルを該第二気体生成物流から分離すること;
を含む上記方法。
【請求項17】
工程(a)における水素化を、担体上の水素化触媒であって、シリカ上に担持された約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの装填レベルでの白金;シリカ上に担持された約5重量パーセントの装填レベルでのスズまたは鉄;およびシリカ上に担持された約0.5重量パーセントまたは約1重量パーセントの装填レベルでのルテニウム;からなる群より選択される触媒上で行う、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第一および第二反応区域が、それぞれ、第一触媒組成物の第一層および第二触媒組成物の第二層を固定床中に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
第一および第二反応区域が、別々の容器中である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)において、消費される酢酸に基づくアセトアルデヒドへの選択性が、少なくとも約80%である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)における反応物が、約100:1〜1:100の範囲内のモル比を有する酢酸および水素からなり、反応区域の温度が、約250℃〜350℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約5〜25絶対気圧の範囲内である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
工程(a)における反応物が、約1:20〜1:2の範囲内のモル比を有する酢酸および水素からなり、反応区域の温度が、約270℃〜310℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約8〜20絶対気圧の範囲内である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
工程(c)における触媒が、ペルフルオロスルホン酸樹脂、H−モルデナイト、H−ZSM−5、ゼオライトXおよびゼオライトYからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
工程(c)において、触媒が、ペルフルオロスルホン酸樹脂である、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2012−514034(P2012−514034A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544409(P2011−544409)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/006725
【国際公開番号】WO2010/077342
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】