説明

アタザナビルを含む錠剤組成物

本出願では、硫酸アタザナビル、適宜含まれる別の活性薬剤(例えば、抗HIV剤)、硫酸アタザナビルおよび錠剤を作るのに用いることのできる顆粒内滑沢剤を含有する顆粒を含む圧縮錠剤、複数の顆粒を含む組成物、顆粒および錠剤の製法、並びにHIVの治療方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物、製法、および治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は後天性免疫不全症候群(AIDS)に関与する病原因子として特定され、該症候群は免疫系の破壊および生命を危うくする日和見感染を抑えられないことを特徴とする重大な疾患である。
【0003】
米国特許第5,849,911号(Fasslerなど)には以下の構造を有する、一連のアザペプチドHIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビルを含む)が開示されている。構造:
【化1】

[式中、
は、低級アルコキシカルボニルであり、
は、第二級または第三級の低級アルキルまたは低級アルキルチオ−低級アルキルであり、
は、無置換フェニルまたは低級アルコキシ基、もしくはC〜Cシクロアルキルの1またはそれ以上で置換されたフェニルであり、
は、フェニルまたはシクロヘキシルであり、各々4位で、環炭素原子を経由して結合することにより不飽和ヘテロサイクリル[5〜8環原子を有し、窒素、酸素、硫黄、スルフィニル(−SO−)およびスルホニル(−SO−)から選択される1〜4ヘテロ原子を含み、並びに無置換または低級アルキルもしくはフェニル−低級アルキルによって置換される]で置換され、
はRと独立して、Rで示した定義の1つを有し、並びに
はRと独立して、低級アルコキシカルボニルである]
の化合物またはそれの塩であるが、但し少なくとも1つの塩を形成する基が存在し、それの種々の医薬的に許容される酸付加塩が含まれる。
【0004】
米国特許第6,087,383号(Singhなど)には、アザペプチドHIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビルとして既知)の重硫酸塩(bisulfate salt)が開示されており、構造:
【化2】

を有する(本明細書で、「重硫酸アタザナビル」または「硫酸アタザナビル」と呼ぶ)。
【0005】
米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)には、HIVプロテアーゼ阻害剤である重硫酸アタザナビルおよびそれの新規な形態の製法が開示されている。
【0006】
アタザナビルは、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社(ニューヨーク)から商標名レイアタッツ(登録商標)(硫酸アタザナビル)のもとで、HIV治療に用いる処方薬として市販されている。米食品医薬品局により2003年に認可されたレイアタッツ(登録商標)(硫酸アタザナビル)は、現在、100ミリグラム(「mg」)、150mg、200mg、および300mgのカプセル剤の形で入手可能である。患者にとってレイアタッツ(登録商標)(硫酸アタザナビル)の必要性は高く、今も増加し続けている。
【0007】
現在硫酸アタザナビルを、錠剤の形で市販品として入手することはできない。通常カプセル型による薬物の送達が望まれるが、錠剤型の送達も有効であり得る。例えば、錠剤は以下を供給できる:
毒物混入(tampering)の可能性の減少;
嚥下の容易性;
容易に投与量が分割可能なこと;
並びに、単層または多層錠剤(例えば、二重層錠剤)の多剤混合薬に薬物を組み合わせる能力。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、硫酸アタザナビル、適宜別の活性薬剤(例えば、抗HIV剤)を含む、圧縮錠剤を包含する。本発明はまた、硫酸アタザナビルおよび錠剤を作るのに用いることができる顆粒内滑沢剤を含む顆粒、複数の顆粒を含む組成物、顆粒および錠剤の製法、並びにHIVの治療方法も包含する。
【0009】
本発明によって、アタザナビル錠剤を錠剤型として提供することが可能となる。本発明において、顆粒の製造中、滑沢剤は硫酸アタザナビルと合わせて一緒にする。驚くべきことに、顆粒から形成された錠剤は、望ましい錠剤溶解度および製造中における望ましい製造特性を有する。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明において、硫酸アタザナビルの製法が重要な意味を持つわけではない。典型的に、硫酸アタザナビルはA型、E3型またはパターンCとして存在し、特に医薬的に許容される形が好ましい。大抵、アタザナビルおよびそれの塩の結晶形は、実質的に純粋な形である。これらの形は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に記載されている。用語「医薬的に許容される」は、本明細書で用いるように、正常な医学的判断の範囲内で、合理的なリスク・ベネフィット比に相応して過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応、またはその他の問題である合併症がなく、ヒトおよび動物の組織との接触に適した化合物、物質、組成物、および/または剤形を指す。用語「実質的に純粋」とは、該化合物が少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、より好ましくは少なくとも約98重量%であり、並びに該化合物と異なる化学構造を有する他の化合物が約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、そしてより好ましくは約2重量%未満である、化学的純度を有する化合物を意味する。
【0011】
ある適した方法において、遊離塩基型のアタザナビルを以下のように製造しても良い。構造
【化3】

[式中、PGは保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)またはトリフルオロアセチル、好ましくはBoc)を表す]
である保護トリアミン塩の溶液を、(Bocが用いられる場合は)酸(好ましくは塩酸)または(トリフルオロアセチルが用いられる場合は)塩基で、有機溶媒(例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、またはメタノールであり、好ましくは塩化メチレン)の存在下、約25〜約50℃、好ましくは約30〜約40℃の温度で処理することにより、トリアミン酸塩、好ましくは構造
【化4】

である塩酸塩を形成する。次いで、トリアミン酸塩を単離せずに、塩基(例えば、KHPO、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、炭酸ナトリウム、または炭酸カリウム、好ましくはKHPO)および有機溶媒(例えば、塩化メチレン、酢酸エチルおよび酢酸ブチルの混合、アセトニトリルまたは酢酸エチル、好ましくは塩化メチレン)の存在下、約25〜約50℃、好ましくは約30〜約40℃の温度で、トリアミン酸塩を構造
【化5】

の酸の活性エステル(好ましくは、構造
【化6】

の活性エステル)と反応させることにより、アタザナビル遊離塩基を形成してもよい。
【0012】
保護トリアミン出発物質は、エポキシド
【化7】

[式中、PGは好ましくはBocであり、例えばN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−2(S)−アミノ−1−フェニル−3(R)−3,4−エポキシ−ブタンである]
を、炭酸ヒドラジン
【化8】

[式中、PGは好ましくはBocである]
と、イソプロピルアルコールまたは他のアルコール(例えば、エタノールまたはブタノール)の存在下で反応させることにより製造しても良い。
【0013】
アタザナビル硫酸塩のA型結晶を製造するのに適したある方法において、改良した立法結晶化(cubic crystallization)技術が用いられ、その中でアタザナビル遊離塩基を、アタザナビル硫酸塩が実質的に不溶性である有機溶媒(アセトン、アセトンおよびN−メチルピロリドンの混合、エタノール、エタノールおよびアセトンの混合などが含まれる)中に溶解して、アタザナビル遊離塩基が約6.5〜約9.7重量%、好ましくは約6.9〜約8.1重量%であるアタザナビル遊離塩基濃度の溶液で得られる。
【0014】
アタザナビル遊離塩基溶液を約35〜約55℃、好ましくは約40〜約50℃の温度で加熱し、濃硫酸(約95〜約100%のHSOを含む)と反応させて、アタザナビル遊離塩基の総重量の約15%未満、好ましくは約5〜約12%未満、より好ましくは約8〜約10%と反応させる。したがって出発溶液であるアタザナビル遊離塩基溶液は最初に、用いられる硫酸の総重量の約15%未満、好ましくは約5〜約12%と反応する。反応中、反応混合物を約35〜約55℃、好ましくは約40〜約50℃の温度で維持する。
【0015】
反応は、約12〜約60分、好ましくは約15〜約30分の間、継続して行うことができる。
【0016】
反応混合物は、反応混合物に残っているアタザナビル遊離塩基の重量に基づいて約0.1〜約80重量%(好ましくは約3〜約8重量%)の種晶を用いるA型結晶の硫酸アタザナビルで種晶添加し、その間、反応混合物を約35〜約55℃、好ましくは約40〜約50℃の温度で維持した。
【0017】
結晶化が開始するまで反応を継続させた。その後、硫酸を、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)で記載されるように三次方程式に従った増加率で多段的に加え、硫酸アタザナビルを形成させ、乾燥してA型結晶を生成した。
【0018】
形成されたアタザナビル硫酸塩の結晶粒径および形態は、硫酸の増加速度に依存し、それが結晶化速度を決定する。改良「立方」結晶化技術(三次方程式に従った増加速度で酸を加える)は、定常添加速度での結晶化よりも、より狭い粒径範囲およびより僅かな細かさを伴う相対的により大きく、より良く定義された硫酸アタザナビル結晶を与えることが知られている。ゆっくりとした最初の酸の流速は、二次的な核形成(secondary nucleation)にわたる結晶成長に有利にはたらくことが示されている。したがって、粒径と共に表面積が増加するにつれて、種晶床は二次的な核形成の誘発をせずに酸の流速を増加することを受け入れることができる。ゆっくりとした最初の添加速度は、結晶がより大きく成長するための時間を許容し、平均サイズを増加させる。立方結晶化は、あまり圧縮性のない濾過ケーキを与え、該ケーキは、有効なケーキの脱液および洗浄、並びに定常添加速度で結晶化する生成物よりも固くない塊を有し、より容易に乾燥する生成物を与えることを促進する。
【0019】
パターンC物質は、例えばA型結晶を水に曝露し、続いて乾燥することによって製造しても良い。パターンC物質はまた、A型結晶を約95%RH以上[好ましくは約95〜約100%RH(水蒸気)]の高い相対湿度で、少なくとも24時間(好ましくは約24〜約48時間)曝露すことによって形成しても良い。パターンC物質はまた、硫酸アタザナビルのA型を湿式造粒して、硫酸アタザナビルの顆粒を生成し、次いで顆粒を乾燥させることによって製造しても良い。
【0020】
E3型は例えば、アタザナビル遊離塩基をエタノール中でスラリーし、スラリーを酸:遊離塩基が約1:1〜約1.1:1の範囲のモル比を用いて濃硫酸で処理し、約30〜約40℃で生じた溶液を加熱し、溶液をエタノールで湿らせた硫酸アタザナビルのE3結晶で種晶添加し、混合物をヘプタン(またはヘキサンまたはトルエンのような他の溶媒)で処理し、濾過し、乾燥して、硫酸アタザナビルE3型(トリエタノール溶媒和物)を得ることにより製造しても良い。種晶添加の工程では、E3結晶を形成する相当量の種晶(例えば、重硫酸アタザナビルE−3種晶:遊離塩基が約0.02:1〜約0.04:1の範囲内のモル比)を用いる。
【0021】
本発明における使用に適した硫酸アタザナビルの製造に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に記載されている。
【0022】
本発明は、いずれの医薬的に許容される成分[例えば、滑沢剤、崩壊剤、結合剤、賦形剤(「圧縮補助剤」とも呼ぶ)、界面活性剤、膜コーティング、および溶媒]の使用についても熟慮されている。これらの成分のいくつかの例は以下に記載されており、また Handbook of Pharmaceutical Excipients, Second Edition, Ed. A. Wade and P. J. Weller, 1994, The Pharmaceutical Press, London, England の中でもより細かく記載されている。本発明において用いられるそのような成分の選択および量は、必ずしも重要ではなく、当業者によって決定されてもよい。
【0023】
本発明で用いられる滑沢剤は、これらに限定されないが、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、カルナウバロウ、およびポリエチレングリコールである。本発明において、「流動促進剤」と呼ばれる成分も滑沢剤の範囲に含まれることが意図される。例えば、これらに限定されないが、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウムおよびタルクが含まれる。
【0024】
本発明で用いられる崩壊剤は、これらに限定されないが、例えばクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、トウモロコシデンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、コロイド二酸化ケイ素、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリアクリリン(polyacrilin)カリウムおよびアルギニン酸ナトリウムである。
【0025】
本発明で用いられる結合剤は、これらに限定されないが、例えばアラビアゴム、カルボマー、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グルコース、ラクトース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリル酸、ポビドン、ポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、アルギン酸、アルギニン酸ナトリウム、ゼイン、カルナウバロウ、パラフィン、鯨ろう、ポリエチレンおよびマイクロクリスタリンワックスである。
【0026】
本発明で用いられる賦形剤は、これらに限定されないが、例えば微結晶セルロース、ラクトース、ショ糖、デンプン、アルファ化デンプン、デキストロース、デキストレート、デキストリン、マンニトール、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、トウモロコシデンプン、加工トウモロコシデンプン、無機塩類(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ジカルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム)、デキストリン/デキストレート、マルトデキストリン、圧縮糖、粉砂糖、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化植物油、カオリン、マルトデキストリン、ポリメタクリル酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ショ糖、球状糖(sugar sphere)およびタルクである。
【0027】
本発明において、成分が顆粒化前に組み込まれる場合、それらを「顆粒内」と呼ぶ(すなわち顆粒の中にある)。成分が顆粒化後に組み込まれる場合、それらを「顆粒外」と呼ぶ。
【0028】
本発明の1つの態様では、硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を含む顆粒であって、前記顆粒が内部領域および外部表面を有し、少なくとも顆粒内滑沢剤の一部が顆粒の内部領域(すなわち、顆粒の中)に存在する顆粒を提供する。顆粒の内部領域は、顆粒内に体積を有する空間によって定義される。典型的に空間体積は、顆粒全体積の少なくとも10%、より典型的には顆粒全体積の少なくとも50%、さらにより典型的には顆粒全体積の少なくとも80%である。明確化のために述べるが、顆粒の内部領域が占有する空間を、隙間と混同してはならない。この空間は、硫酸アタザナビル、顆粒内滑沢剤、および適宜含まれる他の成分によって占有される。
【0029】
典型的に顆粒は、顆粒の総重量に基づき、顆粒内滑沢剤を約0.1〜15%、より典型的には顆粒内滑沢剤を約1〜5%含む。
【0030】
典型的に顆粒は、顆粒の総重量に基づき、硫酸アタザナビルを約10〜99.9%、より典型的には硫酸アタザナビルを約30〜90%含む。
【0031】
顆粒は、顆粒の総重量に基づき、さらに崩壊剤を例えば約1〜20%含んでもよい。
【0032】
顆粒は、顆粒の総重量に基づき、適宜さらに結合剤を例えば約0〜20%含んでもよい。
【0033】
顆粒は、顆粒の総重量に基づき、さらに賦形剤を例えば約1〜20%含んでもよい。
【0034】
本発明はさらに、複数の顆粒を含む組成物を包含する。そのような組成物は容器中に存在してもよい(例えば、顆粒が1つの製造場所で製造され、別の場所で錠剤化される場合)。
【0035】
本発明の1つの態様では、硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を含む顆粒であって、前記顆粒が内部領域および外部表面を有し、少なくとも顆粒内滑沢剤の一部が顆粒の内部領域に存在する圧縮錠剤を提供する。
【0036】
典型的に圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき、顆粒内滑沢剤を約0.1〜10%、より典型的には顆粒内滑沢剤を約0.5〜8%含む。
【0037】
典型的に圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき、硫酸アタザナビルを約10〜99.9%、より典型的には硫酸アタザナビルを約30〜90%含む。圧縮錠剤は、アタザナビル(硫酸アタザナビルとして存在)の治療上の有効量を含む。用語「治療上の有効量」は、各々の活性成分の総量であって、患者が大きな有益を示すのに十分な量(例えば、持続的なウイルス量の減少)である。一般に治療の目的は、ウイルス量の抑制、免疫機能の回復および保存、生活の質の改善、並びにHIVが関連する罹患率および死亡率の低下である。個々の活性成分を単独投与で適用した場合、該用語はその活性成分のみを指す。組合せで適用した場合、該用語は、投与が組み合わせ、連続的、または同時であろうと、治療上の効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を指す。用語「患者」には、ヒトおよび他の哺乳類のいずれもが含まれる。患者に投与されるアタザナビルの典型的な投与量は、例えば体重が約70キログラム(「kg」)のヒトで約3ミリグラム(「mg」)〜約1.5グラム(「g」)、好ましくは約10mg〜約1.25gであり、例えば1人当たり1日約50mg〜約600mgであり、例えば同一の大きさの1〜4単回投与に分割されることが好ましい。通常、子供には大人の投与量の半分を投与する。本発明はまた、本発明の圧縮錠剤の治療上の有効量を患者に投与することを特徴とする、患者のHIV感染治療も包含する。
【0038】
典型的に圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき、崩壊剤を約1〜20%、より典型的には約2〜12%含む。
【0039】
典型的に圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき、結合剤を約0〜10%、より典型的には約0.2〜6%含む。
【0040】
典型的に圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき、賦形剤を約5〜90%、より典型的には約15〜40%含む。
【0041】
典型的に圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき、顆粒外滑沢剤を約0.1〜3%、より典型的には約0.2〜1.5%含む。
【0042】
本発明の1つの態様において、圧縮錠剤の総重量に基づき:
(a)硫酸アタザナビルを約10〜98.9%;
(b)顆粒内滑沢剤を約0.1〜10%;および
(c)崩壊剤を約1〜20%;
含む圧縮錠剤が提供される。
【0043】
本発明の別の態様では、硫酸アタザナビル、顆粒内滑沢剤、および顆粒外滑沢剤からなる圧縮錠剤であって、硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を顆粒内で混合し、顆粒外滑沢剤を顆粒外で加えることを特徴とする湿式造粒法によって製造される圧縮錠剤が提供される。この態様における典型的な圧縮錠剤は、圧縮錠剤の総重量に基づき:
(a)硫酸アタザナビルを約10〜98.9%;
(b)顆粒内滑沢剤を約0.1〜10%;
(c)顆粒外滑沢剤を0.1〜3.0%;および
(d)崩壊剤を約1〜20%含む。
この態様における顆粒内滑沢剤の例は、ステアリン酸、二酸化ケイ素およびそれの混合物から選択される。顆粒外滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0044】
本発明における圧縮錠剤の組成物の例は以下:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

であり、その百分率は圧縮錠剤の総重量に基づく。
【0045】
本発明の圧縮錠剤はまた、フィルムコートすることができる。フィルムコート濃度(concentration)は、薬物量を補完するために、約10%まで(好ましくは、約2.5〜約3.5%)変えることができる。典型的なフィルムコーティング懸濁液には、以下の構成要素の1〜3つの組合せが含まれる:カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルナウバロウ、酢酸フタル酸セルロース、セチルアルコール、粉砂糖、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、マイクロクリスタリンワックス、オパドライ(Opadry)およびオパドライII、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、セラックニス、ショ糖、タルク、二酸化チタン、並びにゼイン。
【0046】
本発明の別の態様において、抗HIV活性を有する、1またはそれ以上の他の治療剤が圧縮錠剤に含まれる。本明細書で用いるように、用語「抗HIV活性」は、治療剤がHIVウイルスに対して有効であることを意味する。他の治療剤が選択されてもよくて、例えばヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV付着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽(budding)または成熟阻害剤、およびHIVインテグラーゼ阻害剤からなる群より選択されてもよい。
【0047】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤がヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤であって、それはアバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノホビル、ザルシタビン、およびジドブジン、またはそれの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。アタザナビルとの好ましい組み合わせは、他の治療剤がフマル酸テノホビルジソプロキシルおよびエムトリシタビンである。薬物ツルバダ(登録商標)(エムトリシタビン−フマル酸テノホビルジソプロキシル)の典型的な投与量は、エムトリシタビン200mgおよびテノホビル300mgを、1日当たり1錠剤である。薬物エプジコム(登録商標)(アバカビル−ラミブジン)の典型的な投与量は、硫酸アバカビル600mgおよびラミブジン300mgである。アタザナビルとの併用療法における適した投与量は、当業者によって決定され得る。
【0048】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤が非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤であって、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピンおよびUK453061またはそれの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0049】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤がHIVプロテアーゼ阻害剤であって、それはアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルおよびホスアンプレナビル、またはそれの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。抗HIV活性を有する別の薬剤として、リトナビルは硫酸アタザナビルと組み合わせて用いるのに好ましい薬物である。しかし、リトナビルは別の薬物(例えばアタザナビル)のためのブースター剤(booster agent)として用いる方がより一般的である。プロテアーゼ阻害剤がブースターとして与えられる場合、投与は典型的に1日2回、100〜400mgであるか、または、1日1回の投与計画で用いる場合は1日1回、100〜200mgである。
【0050】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤がHIV融合阻害剤であって、それはエンフビルチドもしくはT−1249またはそれの医薬的に許容される塩から選択される。
【0051】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤がCCR5阻害剤であって、それはマラビロック、Sch−C、Sch−D、TAK−220、PRO−140、PF−232798およびUK−427,857、またはそれの医薬的に許容される塩からなる群より選択される。
【0052】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤がCXCR4阻害剤であるAMD−3100またはそれの医薬的に許容される塩である。
【0053】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤が出芽または成熟阻害剤である、PA−457またはそれの医薬的に許容される塩である。
【0054】
本発明における別の態様では、圧縮錠剤における他の治療剤がインテグラーゼ阻害剤であるラルテグラビル、またはそれの医薬的に許容される塩である。カリウム塩の化学名は、N−[(4−フルオロフェニル)メチル]−1,6−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−1−メチル−2−[1−メチル−1−[[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾリル−2−イル)カルボニル]アミノ]エチル]−6−オキソ−4−ピリミジンカルボキサミドモノカリウム塩である。ラルテグラビルは、例えば国際公開第2003/035077号(2003年5月1日に公開)および Drugs of the Future 2007, 32(2): 118-122, Y Wang., et al に記載されている。単独療法におけるラルテグラビルの典型的な投与量は、1日2回の、100、200、400、および600mgである。アタザナビルとの併用療法における適した投与量は、当業者によって決定され得る。
【0055】
表1には、AIDSおよびHIV感染治療における有用ないくかの治療剤が含まれ、それらは抗HIV活性を有する他の治療剤として本発明と用いるのが適当であり得る。また表1には、一緒に投与されてもよい他の薬物も含まれる。
表1 抗ウイルス剤
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0056】
免疫調節剤
【表11】

【表12】

【0057】
抗感染剤
【表13】

【表14】

【0058】
抗HIV活性を有する別の治療剤が圧縮錠剤に含まれる場合、それは硫酸アタザナビルまたはその剤形(formulation)と同じ相の中に含まれてもよい[すなわち一体型錠剤(monolithic tablet)として]か、あるいはそれは別の相の中に含まれてもよい(すなわち多層錠剤)。一体型錠剤の中に含まれる場合、他の治療剤は硫酸アタザナビルまたはその剤形と顆粒内で混合されるか、あるいは顆粒外で加えられてもよい。多層錠剤の中に含まれる場合、硫酸アタザナビルが1つの層の中にあり、他の治療剤が別の層(例えば二重層)の中にある。あるいは、多層錠剤の中で抗HIV活性を有する薬剤の1以上(例えば、リトナビル、エムトリシタビンおよびテノホビル)を硫酸アタザナビルと一緒に合わせる場合、特定の薬剤を別々の層に取り込むことによって分離することが望ましいことがあり得る。
【0059】
本発明において;
(a)硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を混合して、最初の混合物を形成し;
(b)液体(例えば、水、エタノール、ヒドロキシプロピルセルロース溶液、ヒドロキシプロピルセルロースの気泡、ポビドン溶液)の存在下で、最初の混合物を顆粒化(例えば湿式造粒法による)して、湿った顆粒を形成し;
(c)少なくとも液体の一部を湿った顆粒から除去して、乾燥した顆粒を形成する
ことを特徴とする、顆粒の製法が提供される。通常この製法は、乾燥した顆粒を適したサイズにして(sizing)(例えば、製粉)、適したサイズの顆粒を圧縮し圧縮錠剤にして、フィルムコーティングで圧縮錠剤をコーティングしてコートされた圧縮錠剤を形成することをさらなる特徴とする。
【0060】
湿式造粒は例えば、顆粒化混合機(granulator mixer)[例えば、フィールダー(Fielder)10リットル高剪断造粒混合機、低剪断機(low shear)、ドラムまたはパン造粒機、ならびに流動床造粒機]を用いて行うことができる。顆粒化はまた、ローラー圧縮法を用いる乾燥顆粒化(液体を使用しない)を行うことによっても達成できる。本発明において、顆粒化工程を行うための好ましい手法の1つは、米国特許第7,011,702号(2006年4月14日に公開)に記載されるような水性空気泡を利用することである。乾燥工程は例えば、Glatt WSG−15流動層乾燥機または箱形乾燥機を用いて行うことができる。適したサイズにする(例えば製粉)工程は例えば、コウミル(Comil)またはフィッツミルのようなミルを用いて行うことができる。混合工程は、v型混合機(v−blender)またはリボン型混合機(ribbon blender)の中で行うことができる。錠剤を形成するための圧縮工程は例えば、様々なプレス[βプレス(beta press)、シングル・ステーション・Fプレス(single station F−press)または6−ステーション・コルシュ(6-station Korsh)]を用いて行うことができる。フィルムコーティングは例えば、グラット・カラム・コーター(Glatt Column coater)または相対的に小さいHi−コーター(Hi-coater)(9”12”パン)の中で行うことができる。
【0061】
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を代表する。
【0062】
実施例1
1−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−5(S)−2,5−ビス{[N−(メトキシカルボニル)−L−tert−ロイシニル]アミノ}−4−(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン、硫酸塩(A型)(硫酸アタザナビル−A型)
A.
【化9】

(1−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−5(S)−2,5−ビス[tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン.3HCl(トリアミン.3HCl塩))
機械的攪拌機、窒素口および温度探知器を備えた3口丸底フラスコ(1000mL)に、保護トリアミン1−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−5(S)−2,5−ビス[tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン
【化10】

(100g、0.178mol)、およびCHCl(500mL;5mL/gの保護トリアミン投入)[Z. Xu et al., Process Research and Development for an Efficient Synthesis of the HIV Protease Inhibitor BMS-232,632, Organic Process Research and Development, 6, 323-328 (2002) に記載されているように製造]を加え、生じたスラリーを、約5〜約22℃の温度で維持して撹拌した。
【0063】
濃塩酸(68mL、0.82mol、4.6等量)を、反応混合物の温度が5〜30℃に留まるような速度で、反応混合物に加えた。反応混合物を30〜40℃に加熱し、HPLCアッセイに基づき反応が完了するまで撹拌した。
【0064】
水(70〜210mL、0.7〜2.1mL/g保護トリアミン投入)を反応混合物に加え、反応混合物を15分間撹拌し、相を分離した。上相である、生成物(トリアミン.3HCl塩)の豊富な水性油状物(aqueous oil)を滴下ロートへ移した。
【0065】
B.
【化11】

【化12】

機械的攪拌機、滴下ロート、窒素口、および温度探知器を備えた3口丸底フラスコ(3000mL)に、N−メトキシカルボニル−L−tert−ロイシン(77.2g、0.408mol、2.30等量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(60.8g、0.450mol、2.53等量)、およびN−エチルN’−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)(82.0g、0.430mol、2.42等量)を加え、続いてCHCl(880mL;8.8mL/gの保護トリアミン投入)を加え、混合物を周囲温度(18〜25℃)で攪拌し、活性エステルの形成を完了した(HPLCで測定)。
【0066】
C.1−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−5(S)−2,5−ビス{[N−(メトキシカルボニル)−L−tert−ロイシニル]アミノ}−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン(アタザナビル遊離塩基)
無水リン酸二カリウム(KHPO;226g、1.30mol、保護トリアミン;7.30等量)を、1130mLの水(11.3mL/gの保護アミン;5mL/gのKHPO)に溶解した。
【0067】
HPO溶液を、Bで製造した活性エステル溶液に加えた。攪拌した活性エステル/KHPO水の混合物に、攪拌を維持しながら、Aの塩酸塩水溶液を1.5〜2.0時間かけてゆっくり加えた(ポットの温度は5〜20℃)。
【0068】
Aの塩酸塩溶液の添加完了後、反応混合物(カップリング反応)を30〜40℃で加熱し、撹拌し、カップリング反応を完了させた(HPLCアッセイで測定)。
【0069】
カップリング混合物を15〜20℃に冷却し、下相の生成物リッチな有機相を上相から分離し、水相を消費した。
【0070】
生成物に富む有機相をNaHPO(1M、880mL;pH=1.5;8.8mL/gの保護トリアミン投入;保護トリアミンを5モル等量)で洗浄し、相を分離し、不要な水相を除去した。
【0071】
生成物リッチな有機相を洗浄し、NaOH(0.5N、800mL;8mL/gの保護トリアミン投入)で攪拌し、生成物リッチな有機相のHPLCアッセイが各々0.3I.I.を下回る活性エステルを示した。相を分離して、不要な水相を除去した。
【0072】
生成物リッチな有機相を5%NaHPO(450mL、4.5mL/gの保護トリアミン投入;pH=4.3)で洗浄し、相を分離して、不要な水相を除去した。
【0073】
生成物リッチな有機相を10w/v%NaCl(475mL、4.75mL/gの保護トリアミン投入)で洗浄し、不要な水相を除去した。
【0074】
表題遊離塩基の溶液中の濃度は120〜150mg/mLで、95〜100mol%から得た製造過程の計算値である。
【0075】
D.CHClからアセトン/N−メチルピロリドンへの溶媒交換
機械的攪拌機、温度探知器、および蒸留コンデンサー(distillation condenser)を備えた3口丸底フラスコ(3000mL)内の豊富なCの遊離塩基溶液に、N−メチルピロリドン[148mL;1.25mL/gのCの遊離塩基(製造過程の定量アッセイに基づく)]を加えた。溶液を約360mLに濃縮して(2.5〜3.5mL/gのCの遊離塩基)、ジャケット温度計(jacket temperature)を用いて70℃もしくはそれ未満で、500mLのアセトン(4〜5mL/gのCの遊離塩基)を濃縮溶液に加え、混合物を蒸留して約400mLまたはそれ未満の体積にした。
【0076】
アセトンの添加および蒸留を繰り返し、製造過程のアッセイで、CHCl量が目的の終点に達するのを示した。結晶化量において、生成物リッチな有機溶液におけるCHCl量は、0.77v/v%であった。アセトンを、濃縮した遊離塩基溶液に加え、全体で16mL/gの遊離塩基の溶液にした。浴温度を40〜50℃で維持して、遊離塩基の結晶化を防いだ。温度を40〜50℃に保ちながら、溶液を10−ミクロンまたはファイナーフィルター(finer filter)に通してポリッシュフィルターした。ポリッシュフィルターをアセトン(125mL、1.0mL/gの遊離塩基)ですすぎ、洗い流し液(rinse)を遊離塩基に富むアセトン/N−メチルピロリドン溶液に加え、それを次の工程で用いた。
【0077】
E.1−[4−(ピリジン−2−イル)フェニル]−5(S)−2,5−ビス{[N−(メトキシカルボニル)−L−tert−ロイシニル]アミノ}−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2−アザヘキサン硫酸塩
濃硫酸の総量(19g、1.10等量)の約10%(2g)を、温度40〜50℃に維持しながら、表面化添加により、Dの遊離塩基アセトン/N−メチルピロリドン溶液に加えた。
【0078】
反応混合物を、5.0重量%(計算した遊離塩基溶液に対して)の硫酸塩で種晶添加した。種晶混合物(seeded mixture)を40〜50℃で少なくとも30分間撹拌すると、硫酸塩の結晶化が開始し、それは混合物の不透明度が増すことからも分かる。
【0079】
三次方程式で定義される以下のプロトコールに従い、温度を40〜50℃に保ちながら、残った硫酸(17.8g)を約5時間かけて5段階で加えた。各添加段階の速度(rate)は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に記載される三次方程式に従って決定される。
【0080】
SO添加の完了後、スラリーを20〜25℃で少なくとも1時間攪拌しながら、冷却した。スラリーを20〜25℃で少なくとも1時間撹拌した。硫酸塩を濾過し、母液を再利用して、完全な移動をもたらした。濾過ケーキをアセトン(5〜10mL/gの遊離塩基;1200mLアセトン)で洗浄した。硫酸塩を55℃の減圧下、NMTで乾燥し、LOD<1%として、結晶性物質を得た。
【0081】
この化合物の製造および分析に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に開示されている。
【0082】
実施例2
硫酸アタザナビル−パターンC 物質
方法A:
硫酸アタザナビルのA型結晶(実施例1のように製造)(25.33g)を、水(200mL)中で懸濁し、混合物を機械的に攪拌して、乾燥した濃い(thick)ゲルを得た。乾燥混合物をスパーテルで轢き、パターンC物質を得た。この化合物の製造および分析に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に開示されている。
【0083】
方法B:
硫酸アタザナビルのA型結晶を、十分量の水(約40%w/w)を用いて、適した攪拌造粒機(mixer−granulator)で湿式造粒(wet granulated)した。湿った集団を、乾燥器で乾燥した。生成物は、適当なスクリーンで、大きさを分けた(sized)。この化合物の製造および分析に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に開示されている。
【0084】
実施例3
硫酸アタザナビル−E3型(トリエタノール溶媒)
アタザナビル遊離塩基(実施例1Cのように製造)(3.0g、4.26mmol)を、機械的攪拌機、温度探知器、および圧力平衡剤(pressure−equalizing liquid)滴下ロートを備えた3口丸底フラスコ(100mL)の中で、乾燥200プルーフエタノール(20.25mL、6.75mL/gの遊離塩基)でスラリーした。
【0085】
濃HSO(0.25mL、0.46g、4.69mmol、1.1等量)をアタザナビル遊離塩基のスラリーに加え、その間20〜25℃に維持した。生じた溶液(0.2〜1.0%水のKF)をポリッシュフィルターし(ワットマン1号紙)、フィルターを無水アルコール(2.25mL)ですすぎ、洗い流し液を濾過溶液に加えた。溶液を37℃に加熱し、E3型結晶から生じた(E3型結晶を周囲温度にさらすことにより生じた)アモルファス硫酸アタザナビル(10mg)で種晶添加し、混合物を15分間撹拌した。ヘプタン(380mL、8.25mL/gの遊離塩基)を1時間かけて加えた。生じた結晶化混合物を、15〜25℃で8時間撹拌した。結晶化硫酸アタザナビルをブフナー漏斗で濾過した。生成物ケーキを1:1=エタノール:ヘプタン[184mL(4mL/gの遊離塩基)]で洗浄した。生成物ケーキをヘプタン[46mL(1mL/gの遊離塩基)]で洗浄した。生じた生成物を40〜50℃の減圧下で乾燥した(LOD=0.97%)。
【0086】
この化合物の製造および分析に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2005/0256202号(A1)(2005年11月17日に公開)に開示されている。
【0087】
実施例4
硫酸アタザナビル錠剤
以下の実施例において、硫酸アタザナビルを、実施例1〜3で記載したのと実質的に同じような手順で製造した。
【0088】
(遊離塩基として)300mgの投与量を有する圧縮錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表15】

【0089】
硫酸アタザナビル錠剤の製造を、3段階で、回転型混合器(tumbling type blender)(例えばV−混合器)内で顆粒内成分を混合することにより開始した。まず、硫酸アタザナビルの一部(硫酸アタザナビル総重量の12%)およびステアリン酸を125回転して混合した。2番目に、残った硫酸アタザナビルを加えて、さらに250回転して混合した。3番目に、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンを加え、混合物をさらに250回転して混合した。
【0090】
顆粒内混合物を高剪断混合装置(例えば、65L DiosnaまたはGlatt−Fuji)に移した。ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)溶液を製造し、気泡発生器(foam generator)(ダウ・ケミカル・カンパニー)に移して、HPC気泡を作った。気泡質(foam quality)[=(空気の体積−HPC溶液の体積)/(空気の体積)×100]は、70%より大きかった。HPC重量は顆粒内混合物の乾燥重量の0.5〜3%w/wであり、HPC溶液を作るための水は顆粒内混合物の乾燥重量の30〜38%w/wであった。HPC気泡を有する顆粒内粉末の顆粒化を、以下の混合速度で行った:90〜200RPMインペラ速度(バッチサイズおよび高剪断混合装置のタイプに依存)、1300〜1770RPMチョッパー速度。気泡としてのHPC溶液の算出量の添加を完了した後、高剪断混合装置を止めずに、湿塊化(wet−massing)を行った。湿塊化した時間は、0.5〜2分である。
【0091】
湿った顆粒を、流動床乾燥機(fluid−bed dryer)に移し、乾燥減量が4.5%w/wを超えない量まで乾燥した。
【0092】
乾燥した顆粒を、1ミリメートル(「mm」)スクリーンに通して大きさを測った。
【0093】
製粉した顆粒を、計算された量の顆粒外微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンと、回転型混合器内で250回転して混合した。次いでステアリン酸マグネシウムを混合物に加えて、75回転して混合した。
【0094】
次いで、生じた最後の混合物を錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。最終混合物は、他の任意の経口剤形(例えば、カプセル剤、顆粒散剤またはペレット)を製造するのに用いることもできる。
【0095】
オパドライIIでコーティングした懸濁液(18%w/w、固体)を準備して、錠剤をコートした。コーティング工程の間、懸濁液を継続的に攪拌した。コーター(coater)(Glatt、Thomas Engineering、またはVector)を用いて錠剤をコートして、十分な錠剤重量増加である2〜3.5%w/wとした。
【0096】
そのように形成された硫酸アタザナビルフィルムコート錠剤は、45分後に約95%という見事な放出特性を有し、それはレイアタッツ(硫酸アタザナビル)カプセル剤と似ており、米国薬局方収載の<1092> THE DISSOLUTION PROCEDURE: DEVELOPMENT AND VALIDATIONに従い、即時放出生成物のインビトロ溶解特性は、通常、徐々に増加して約30〜45分で85%〜100%に達する。
【0097】
錠剤を作る別の手順には、例えば以下が含まれる:
A)顆粒内成分を混合する手順:
1.回転型混合器における、2段階の混合工程。まず、硫酸アタザナビルの一部(硫酸アタザナビル総重量の50%)およびステアリン酸を、5〜15分間混合した。次に、全ての残った硫酸アタザナビル、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンを硫酸アタザナビル/ステアリン酸混合物に加え、10分間混合した。
2.高剪断混合工程。まず、硫酸アタザナビルの一部をステアリン酸と一緒に、適した大きさの高剪断混合装置(50〜350RPMインペラ速度)で混合した。次いで、全ての残った硫酸アタザナビル、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンを硫酸アタザナビル/ステアリン酸混合物に加え、混合した。あるいは、全ての成分を加え、1の段階において高剪断混合装置で混合した。
B)HPCの取り込み
1.HPCを乾燥粉末として加え、顆粒内混合において他の成分と混合した。顆粒化の間、HPC気泡の代わりに水を加えた。
2.HPCを水中に溶解し、顆粒化の間、HPC溶液を加えた。
C)顆粒化では、トレー乾燥機(tray−oven)も用いて乾燥した。
【0098】
実施例5
硫酸アタザナビル錠剤
(遊離塩基として)300mgの投与量を有する圧縮錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表16】

【0099】
アタザナビル錠剤の製造を、 3段階で、回転型混合器(例えばV−混合器)内で顆粒内成分を混合することにより開始した。まず、硫酸アタザナビルの一部(硫酸アタザナビル総重量の12%)およびステアリン酸を125回転して混合した。2番目に、残った硫酸アタザナビルを加えて、さらに250回転して混合した。3番目に、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンおよびポビドンを加え、混合物をさらに250回転して混合した。
【0100】
顆粒内混合物を高剪断混合装置(例えば、65L DiosnaまたはGlatt−Fuji)に移した。顆粒内粉末の顆粒化を水と一緒に、以下の混合速度で行った:90〜200RPMインペラ速度(バッチサイズおよび高剪断混合装置のタイプに依存)、1300〜1770RPMチョッパー速度。水の算出量の添加を完了した後、高剪断混合装置を止めずに湿塊化を行った。湿塊化した時間は、0.5〜2分である。
【0101】
湿った顆粒を、流動床乾燥機に移し、乾燥減量が4.5%w/wを超えない量まで乾燥した。
【0102】
乾燥した顆粒を、1mmスクリーンに通して大きさを測った。
【0103】
製粉した顆粒を、計算された量の顆粒外微結晶セルロースおよびクロスポビドンと、回転型混合器内で250回転して混合した。次いでステアリン酸マグネシウムを混合物に加えて、75回転して混合した。
【0104】
次いで、生じた最後の混合物を錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0105】
オパドライIIでコーティングした懸濁液(18%w/w、固体)を準備して、錠剤をコートした。コーティング工程の間、懸濁液を継続的に攪拌した。コーター(Glatt、Thomas Engineering、またはVector)を用いて錠剤をコートして、十分な錠剤重量増加である2〜3.5%w/wとした。
【0106】
実施例6
硫酸アタザナビル錠剤
(遊離塩基として)300mgの投与量を有する圧縮錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表17】

【0107】
アタザナビル錠剤の製造を、3段階で、回転型混合器(例えばV−混合器)内で顆粒内成分を混合することにより開始した。まず、硫酸アタザナビルの一部(硫酸アタザナビル総重量の12%)およびステアリン酸を125回転して混合した。2番目に、残った硫酸アタザナビルを加えて、さらに250回転して混合した。3番目に、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンを加え、混合物をさらに250回転して混合した。
【0108】
顆粒内混合物を高剪断混合装置(例えば、65L DiosnaまたはGlatt−Fuji)に移した。HPC溶液を製造し、気泡発生器(ダウ・ケミカル・カンパニー)に移して、HPC気泡を作った。気泡質[=(空気の体積−HPC溶液の体積)/(空気の体積)×100]は、70%より大きかった。HPC重量は顆粒内混合物の乾燥重量の0.5〜3%w/wであり、HPC溶液を作るための水は顆粒内混合物の乾燥重量の30〜38%w/wであった。HPC気泡を有する顆粒内粉末の顆粒化を、以下の混合速度で行った:90〜200RPMインペラ速度(バッチサイズおよび高剪断混合装置のタイプに依存)、1300〜1770RPMチョッパー速度。気泡としてのHPC溶液の算出量の添加を完了した後、高剪断混合装置を止めずに湿塊化を行った。湿塊化した時間は、0.5〜2分である。
【0109】
湿った顆粒を、流動床乾燥機に移し、乾燥減量が4.5%w/wを超えない量まで乾燥した。
【0110】
乾燥した顆粒を、1mmスクリーンに通して大きさを測った。
【0111】
製粉した顆粒を、計算された量の顆粒外微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンと、回転型混合器内で250回転して混合した。次いでステアリン酸マグネシウムを混合物に加えて、75回転して混合した。
【0112】
次いで、生じた最後の混合物を錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0113】
オパドライIIでコーティングした懸濁液(12〜18%w/w、固体)を準備して、錠剤をコートした。コーティング工程の間、懸濁液を継続的に攪拌した。適したコーターを用いて錠剤をコートして、十分な錠剤重量増加である2〜3.5%w/wとした。
【0114】
実施例7
硫酸アタザナビル錠剤
(遊離塩基として)300mgの投与量を有する圧縮錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表18】

【0115】
アタザナビル錠剤の製造を、3段階で、回転型混合器(例えばV−混合器)内で顆粒内成分を混合することにより開始した。まず、硫酸アタザナビルの一部(硫酸アタザナビル総重量の12%)およびステアリン酸を125回転して混合した。2番目に、残った硫酸アタザナビルを加えて、さらに250回転して混合した。3番目に、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドンおよびポビドンを加え、混合物をさらに250回転して混合した。
【0116】
顆粒内混合物を高剪断混合装置(例えば、65L DiosnaまたはGlatt−Fuji)に移した。顆粒内粉末の顆粒化を水と一緒に、以下の混合速度で行った:90〜200RPMインペラ速度(バッチサイズおよび高剪断混合装置のタイプに依存)、1300〜1770RPMチョッパー速度。水の算出量の添加を完了した後、高剪断混合装置を止めずに湿塊化を行った。湿塊化した時間は、0.5〜2分である。
【0117】
湿った顆粒を、流動床乾燥機に移し、乾燥減量が4.5%w/wを超えない量まで乾燥した。
【0118】
乾燥した顆粒を、1mmスクリーンに通して大きさを測った。
【0119】
製粉した顆粒を、計算された量の顆粒外微結晶セルロースおよびクロスポビドンと、回転型混合器(例えば、V−混合器)内で250回転して混合した。次いでステアリン酸マグネシウムを混合物に加えて、75回転して混合した。
【0120】
次いで、生じた最後の混合物を錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0121】
オパドライIIでコーティングした懸濁液(18%w/w、固体)を準備して、錠剤をコートした。コーティング工程の間、懸濁液を継続的に攪拌した。適したコーターを用いて錠剤をコートして、十分な錠剤重量増加である2〜3.5%w/wとした。
【0122】
実施例8
硫酸アタザナビル錠剤
(遊離塩基として)300mgの投与量を有する圧縮錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表19】

【0123】
アタザナビル錠剤の製造を、顆粒内成分を混合することにより開始した。まず、硫酸アタザナビルの一部(硫酸アタザナビル総重量の34%)および二酸化ケイ素を回転型混合器(例えば、V−混合器)内で2分間混合した。混合物を高剪断混合装置(例えば、65L DiosnaまたはGlatt−Fuji)に移し、APIの残った量を加え、1分間混合した[羽根(impeller blade)を600RPMで、チョッパーを1300RPMで]。微結晶セルロース、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドンおよびHPCを加え、さらに2分間混合した(羽根を600RPMで、チョッパーを1300RPMで)。
【0124】
顆粒内粉末の顆粒化を水と一緒に、以下の混合速度で行った:400RPMインペラ速度、1300RPMチョッパー速度。水の添加の完了後、高剪断混合装置を止めずに、湿塊化を2.5分間行った。
【0125】
湿った顆粒を、乾燥減量が3%w/wを超えない量まで乾燥した。
【0126】
乾燥した顆粒を、1mmスクリーンに通して大きさを測った。
【0127】
製粉した顆粒を、計算された量の顆粒外微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンと、回転型混合器内で420回転して混合した。次いでステアリン酸マグネシウムを混合物に加えて、126回転して混合した。
【0128】
次いで、生じた最後の混合物を錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0129】
比較実施例9
硫酸アタザナビル錠剤
(遊離塩基として)300mgの投与量を有する圧縮錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表20】

【0130】
アタザナビル錠剤の製造を、顆粒内成分を混合することにより開始した。顆粒内成分を高剪断混合装置(例えば、65L DiosnaまたはGlatt−Fuji)に、表のような数値で入れて、2分間混合した(羽根を600RPMで、チョッパーを1200RPMで)。
【0131】
顆粒内粉末の顆粒化を水と一緒に、以下の混合速度で行った:300RPMインペラ速度、1200RPMチョッパー速度。水の添加の完了後、高剪断混合装置を止めずに、湿塊化を0.5分間行った。
【0132】
湿った顆粒を、乾燥減量が3%w/wを超えない量まで乾燥した。
【0133】
乾燥した顆粒を、1mmスクリーンに通して大きさを測った。
【0134】
製粉した顆粒を、計算された量の顆粒外微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンと、回転型混合器(例えば、V−混合器)内で420回転して混合した。次いでステアリン酸マグネシウムを混合物に加えて、126回転で混合した。
【0135】
次いで、生じた最後の混合物を錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0136】
実施例10
溶解度
実施例4および9の圧縮錠剤を、溶解度について試験した。溶解媒体は、50ミリモル(「mM」)のクエン酸塩緩衝剤(pH2.8、1000ml)であり;溶解条件は、パドル速度(paddle speed)50RPM、37℃である。
【0137】
溶解について、所定時間(例えば60分)に溶解した用量(例えば300mg)を百分率で定義するのに当該技術分野で通常に用いられる用語である、溶解表示量(label claim dissolved)(%)を用いた。
【表21】

【0138】
驚くべきことに、滑沢剤を顆粒内に取り込むことによって、溶解時間が進むに連れて観察される溶解度が高くなることを発見した。例えば、溶解時間が約20分までは溶解速度は基本的に同じであったが、より長い溶解時間(例えば、45分および60分)では本発明の圧縮錠剤溶解速度が著しく高かった(例えば、60分で6.6%高かった)。さらに、本発明の顆粒の製造は顆粒内滑沢剤が含まれる場合の方が、基本的には、より効率的であることが分かった。剪断装置上の物質の固着が著しく減ったのが観察された。
【0139】
実施例11
硫酸アタザナビル組合せ錠剤
1つの層中に(遊離塩基として)用量300mgのアタザナビル(硫酸アタザナビル)が存在し、別の層中にエムトリシタビン/テノホビルDF(200mg/300mg)が存在する圧縮二重層錠剤を、以下の組成物を有するように製造した。
【表22】

【0140】
基本的に、実施例4で記載したような手順に従って該錠剤を作った。硫酸アタザナビル製剤を二重層錠剤内の1層に錠剤化するとともに、エムトリシタビン/テノホビルDFを別の層に錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0141】
(遊離塩基として)用量300mgのアタザナビル(硫酸アタザナビル)と一緒にエムトリシタビン/テノホビルDF(200mg/300mg)を有する圧縮一体型(monolith)錠剤を、上記の組成物を有するように製造した。基本的に、実施例4で記載したような手順に従って該錠剤を作ったが、最初の混合の段階で、エムトリシタビン/テノホビルDFをアタザナビルと合わせた。
【0142】
硫酸アタザナビル/エムトリシタビン/テノホビルDF製剤を単層錠剤として錠剤化して、目的の錠剤重量および硬度を得た(典型的に、米国薬局方収載の<1216> Tablet Friabilityに従う)。
【0143】
当業者に明らかなことであるが、本発明は前述の記載または実施例に限定されず、また本発明の本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の態様でも実施できる。したがって、本明細書および実施例について、あらゆる点で、添付の特許請求の範囲にされた言及は限定ではなく例示として見なすことが望まれ、並びに特許請求の範囲と同等の意味および範囲内から生じるあらゆる変形は、かくして本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0144】
例えば、本発明は硫酸アタザナビルに関して記載されるが、本発明は、HIVまたは他の疾患の治療のために有用な他の薬物の塩に対しても適用できる。より具体的には他の薬物の塩を、顆粒の製剤前に滑沢剤と組合せることによって錠剤型に製造できる。一般に、医薬的に許容される塩は対イオンが化合物の生理学的活性または毒性に著しく寄与せず、薬理学的相当の機能を有するような塩である。これらの塩は、通常の有機技術に従って、市販品として入手可能な試薬を用いて作ることができる。いくつかの陰イオン塩の形には、酢酸塩、アシストラート、ベシル酸塩、臭化物、塩化物、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコウロネート(glucouronate)、臭化水素酸塩、塩酸塩塩、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、メシレート、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート、およびキシナホ酸塩が含まれる。いくつかの陽イオン塩の形には、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ベンザチン塩、ビスマス塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、リチウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、4−フェニルシクロヘキシルアミン塩、ピペラジン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、および亜鉛が含まれる。
【0145】
また、本発明の顆粒は圧縮錠剤に関して記載されているが、他の送達型も可能である。経口投与の医薬組成物は、活性成分(例えば、硫酸アタザナビル)を固形の担体と合わせて、生じた混合物を造粒化し、そして混合物を処理することにより得ることができる。もし望まれるかまたは必要ならば適当な賦形剤を、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤または散剤(経口用)に添加した後で上の工程をする。
【0146】
また、いくつかの、抗HIV活性を有する他の治療剤が特に開示されているが、そのように特に開示される治療薬以外の治療薬も本発明の組成物に含まれ得る。さらに、1以上の、抗HIV活性を有する他の治療薬も本発明の組成物に含まれ得る。
【0147】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願、および参考文献は、本明細書でそのまま参照によって援用される。不一致がある場合、本出願(定義を含む)が優先される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リトナビル、並びに硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を含有する顆粒を含む圧縮錠剤であって、前記顆粒が内部領域および外部表面を有し、顆粒内滑沢剤の少なくとも一部が顆粒の内部領域に存在する圧縮錠剤。
【請求項2】
圧縮錠剤の総重量に基づき、顆粒内滑沢剤を約0.1〜10%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項3】
圧縮錠剤の総重量に基づき、顆粒内滑沢剤を約0.5〜8%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項4】
圧縮錠剤の総重量に基づき、硫酸アタザナビルを約10〜99.9%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項5】
圧縮錠剤の総重量に基づき、硫酸アタザナビルを約30〜90%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項6】
顆粒内滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、カルナウバロウ、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項7】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに崩壊剤を約1〜20%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項8】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに崩壊剤を約2〜12%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項9】
崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、トウモロコシデンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、コロイド二酸化ケイ素、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリアクリリン(polyacrilin)カリウム、アルギニン酸ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7の圧縮錠剤。
【請求項10】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに結合剤を約0.1〜10%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項11】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに結合剤を約0.2〜6%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項12】
結合剤が、アラビアゴム、カルボマー、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、硬化植物油、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グルコース、ラクトース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリル酸、ポビドン、ポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、アルギン酸、アルギニン酸ナトリウム、ゼイン、カルナウバロウ、パラフィン、鯨ろう、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックスおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項10の圧縮錠剤。
【請求項13】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに賦形剤を約5〜90%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項14】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに賦形剤を約15〜40%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項15】
賦形剤が、微結晶セルロース、ラクトース、ショ糖、デンプン、アルファ化デンプン、デキストロース、デキストレート、デキストリン、マンニトール、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、トウモロコシデンプン、変性トウモロコシデンプン、無機塩類(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ジカルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム)、デキストリン/デキストレート、マルトデキストリン、圧縮糖、粉砂糖、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化植物油、カオリン、マルトデキストリン、ポリメタクリル酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、ショ糖、球状糖(sugar spheres)、タルク、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項17の圧縮錠剤。
【請求項16】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに顆粒外滑沢剤を約0.1〜3%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項17】
圧縮錠剤の総重量に基づき、さらに顆粒外滑沢剤を約0.2〜1.5%含む、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項18】
リトナビル、硫酸アタザナビル、顆粒内滑沢剤、および顆粒外滑沢剤を含む圧縮錠剤であって、硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を顆粒内で混合し、顆粒外滑沢剤を顆粒外で加えることを特徴とする湿式造粒法によって製造される圧縮錠剤。
【請求項19】
硫酸アタザナビルが1つの層中にあって、リトナビルが別の層中にあることを特徴とする多層錠剤の形態である、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項20】
硫酸アタザナビルおよびリトナビルが同一の層中にあることを特徴とする一体型(monolith)錠剤の形態である、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項21】
リトナビル、硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を顆粒内で混合することを特徴とする湿式造粒法によって製造される、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項22】
硫酸アタザナビルおよび顆粒内滑沢剤を顆粒内で混合し、リトナビルを顆粒外で加えることを特徴とする湿式造粒法によって製造される、請求項1の圧縮錠剤。
【請求項23】
請求項1の圧縮錠剤の治療上の有効量を患者に投与することを特徴とする、患者におけるHIV感染治療方法。

【公表番号】特表2010−530892(P2010−530892A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513439(P2010−513439)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/067633
【国際公開番号】WO2009/002829
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】