説明

アダパレンゲルの製造方法

本発明は、アダパレン水性ゲルの製造方法に関するものであり、前記方法は、水とプロピレングリコールを混合し、ゲル化剤を添加することによりゲル化媒体Aを調製する工程;
界面活性剤の存在下で、水中にアダパレンを分散させることにより、アダパレン媒体Bを調製する工程;ゲル化媒体Aにアダパレン媒体Bを添加する工程;pHを約4.7から5.3に調整する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場レベルにおけるアダパレン水性ゲルの製造方法の一部にあり、その製造に関する。
【背景技術】
【0002】
アダパレンは、ナフタン酸(naphthanoic acid)由来のレチノイドである。それは6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフタン酸であり、EP 0 199 636に記載されている。この化合物の合成方法は、EP 0 358 574に記載されている。
【0003】
アダパレンは、重量濃度0.1%で、アルコール溶液、水性ゲル、およびクリームの形態で販売されている。これらの組成物は、座瘡の治療が意図されている。
【0004】
WO 03/075908には、水性ゲル中重量濃度0.3%で、皮膚病の治療のためにアダパレンを使用することが記載されている。
【0005】
混合物を冷却して、付加的な工業装置を誘導する全ての成分を混合しアダパレンを取得するために必要な古典的な配合方法が知られている。
【0006】
そして、工業レベルでアダパレンの水性ゲルを製造する方法を改善する必要が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0 199 636
【特許文献2】EP 0 358 574
【特許文献3】WO 03/075908
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、工業レベルでアダパレンの水性ゲルを製造する新規で有利な方法を報告する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして本発明の主題は、アダパレンの水性ゲルを製造する方法であり、前記方法は、
i) 水とプロピレングリコールを混合し、ゲル化剤を添加することによりゲル化媒体Aを調製する工程、
ii) 界面活性剤の存在下で、水中にアダパレンを分散させることにより、アダパレン媒体Bを調製する工程を含み、
工程i)およびii)は、並行して実行されるか、あるいは工程i)またはii)の一方がもう一方の後に実行され;
iii) ゲル化媒体Aにアダパレン媒体Bを添加する工程;
iv) pHを調整し、それによりゲルを形成する工程
を含む。
【0010】
特定の実施態様において、工程i)のゲル化剤は、プロピレングリコールの後に添加される。別の特定の実施態様において、pHを約4.7から5.3に調整する。
【0011】
前記方法のために、各工程は有利には室温で実行される。それゆえ、古典的な配合方法の欠点は、本願発明では克服される。さらに、媒体Aは、室温でプロピレングリコールに溶解する保存剤をさらに含んでよい。保存剤は好ましくはメチルパラベンである。
【0012】
さらに、媒体Aは、プロピレングリコールおよびゲル化剤を添加する前に水に溶解しているキレート剤、好ましくはEDTA二ナトリウムをさらに含んでよい。ゲル化剤は好ましくはカルボポール(Carbopol) 980である。本発明の好ましい実施態様において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、好ましくはブロックコポリマー界面活性剤であり、より好ましくは、ポロキサマー182、ポロキサマー124を例とするポロキサマー(poloxamer)であり、好ましくはポロキサマー124(Pluronic(登録商標)L44としても知られるポリエチレン-ポリプロピレングリコール)である。
【0013】
アダパレンの量の範囲は、0.01%から1%、好ましくは0.1%から0.3%であり、アダパレン媒体B中のアダパレン/水の重量比は、6% から23%、好ましくは6 % から20%である。
【0014】
本発明の特定の実施態様において、前記方法は、
i) 水中でEDTA二ナトリウムを混合および溶解/可溶化し、プロピレングリコールおよびメチルパラベンを添加し、Carbopol(登録商標)980を混合および添加することにより、ゲル媒体Aを調製する工程であって、プロピレングリコール/水の比率が、4%から5%、このましくは、別々に約4.5%である、工程
ii) ポロキサマー124の存在下で水中にアダパレンを分散し、それによりアダパレン媒体Bを取得する工程であって、アアダパレン/活性相の比率は、アダパレン媒体B中におけるアアダパレン/水の重量比が6%から23%、好ましくは6%から20%である、工程、
iii) アダパレン媒体Bをゲル媒体Aに添加する工程、
iv) 水酸化ナトリウムを添加してpHを調整する工程
を含む。前記方法において、水酸化ナトリウムを工程(iii)の後添加する。特定の実施態様において、pHを約4.7から5.3に調整する。
【0015】
本願発明の範囲はまた、前記方法により取得可能なアダパレンゲル、および上記方法に続いて製造されるゲルも包含する。
【0016】
本発明の文脈において、「アダパレン性ゲル」は、好ましくは単相であり、好ましくは美容上または治療上の効果を示す単一の活性成分としてアダパレンを含み、好ましくは分散状態にある、ゲル化水性組成物を意味する。
【0017】
アダパレンは、治療上有効な量でゲル中に存在する。その範囲は、水性ゲルの総重量に対して0.001重量%から5重量%であり、好ましくは0.01重量% から1重量%であり、典型的には0.1重量% から0.3重量%である。好ましい実施態様において、0.3重量%が好ましい。
【0018】
方法の非常に早い段階でプロピレングリコールを添加することが、本発明の特別な特徴である。非常に早い段階とは、最初の工程、および特に方法の工程i)であると理解されるべきである。それゆえ、特定の実施態様において、工程i)のゲル化剤は、プロピレングリコールの後に添加される。
【0019】
本願発明は、1%から10%、好ましくは約4%から5%でプロピレングリコール中に保存剤を可溶化する特定の実施態様に基づく。保存剤は、有利には、保存中にゲル内で微生物の清澄を阻害するために充分な量で存在し、水性ゲルの総重量に対して特に0.01%から3%で存在する。
【0020】
保存剤は以下の薬剤より選択される:塩化ベンザルコニウム、ブロノポール、クロルヘキシジン、クロロクレゾールおよびそれらに由来する製品、エチル酸アルコール、フェネチル酸アルコール、フェノキシエタノール、カリウムソルベート、ベンジル酸アルコール、ジアゾリジニル尿素、パラベン、またはそれらの混合物。
【0021】
保存剤は好ましくはパラベンファミリーより選択される。例えば、それはメチルパラベンでありうる。
【0022】
この可溶化物は、有利には室温で、低速または中程度の速度で、通常の撹拌装置により取得される。これは、ゲル化媒体Aの加熱を回避するため、製造方法として有利であり、そのため工場レベルで、本発明は製造期間を短縮し、使用されるエネルギーを軽減する。
【0023】
特定の実施態様において、媒体Aはさらにキレート剤を含んでよい。キレート剤は以下より選択される:四酢酸エチレンジアミン(EDTA)、五酢酸ジエチレントリアミン(DTPA)、酢酸エチレンジアミン-ジ(O-ヒドロキシフェニル)(EDDHA)、三酢酸ヒドロキシ-2-エチレンジアミン(HEDTA)、酢酸エチルジアミン-ジ(O-ヒドロキシ-p-メチルフェニル)(EDDHMA)、および酢酸エチレンジアミン-ジ(5-カルボキシ-2-ヒドロキシフェニル) (EDDCHA)。好ましい実施態様において、キレート剤は四酢酸エチレンジアミン(EDTA)、またはEDTA二ナトリウムのような、添加成分としてのその塩の一つである。EDTAまたはその塩は、特定の患者における副作用を回避するであろう組成物中の不純物として存在してよいキレート金属カチオンに使用できる。EDTAはさらに、ゲルの保存中に組成物が褐色化するのを防ぐ。本願発明の方法により調製するゲルは、有利にはEDTAまたはその塩、好ましくはEDTA二ナトリウムを、0.05%から0.5 %、典型的には約0.1 %の量で含む。好ましい実施態様において、EDTAまたはEDTA二ナトリウムは、プロピレングリコールおよびゲル化剤を添加する前に水中に溶解させる。
【0024】
ゲル化剤は、ゲルを水性媒体の外にするよう適応させる。水に高い親和性を示す水分散性ポリマーが好ましい。このポリマーは、好ましくは塩基の使用によりカルボン酸塩の形態に全部または部分的に中和されている、遊離カルボン酸基を含む。好ましいゲル化剤は、塩基、例えば水酸化ナトリウムにより中和された、ポリアクリル酸ゲルのような水分散性カルボン酸基を有するビニルポリマーである。好ましくはまた、ポリマーは約1,250,000から4,000,000の分子量を有するものでもある。ポリアルケニルポリエーテルにより網状となったポリアクリル酸のような、架橋ポリアクリル酸もまた含有される。例えば、適切なゲル化剤は以下のリストより選択する:BF Goodrich社により商標名Ultrez 20(登録商標)、Carbopol 1382またはCarbopol ETD2020(登録商標)で販売されている電解質非感受性カルボマー(electrolytes non sensible carbomers)、ポリサッカリド、および非限定的な例として、Kelco社により販売されているXanturaM δO(登録商標)のようなキサンタンゴム、グアガム、キトサン、カラギーナン、セルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、特にDow Chemical社により商標名Methocel E4 premiumで販売されている製品のようなそれらの誘導体、あるいはヒドロキシエチルセルロース、特にAqualon社により商標名Natrosol HHX 250(登録商標)で販売されている製品、Vanderbilt社により販売されているVeegum Kのようなアルミニウムまたはマグネシウム系酸塩のファミリー、商標名Aculyn 44で販売されているPEG-150/デシル/SMDI(プロピレングリコール(39%)および水(26%)の混合物中に、35重量%で、150モルまたは180モルの酸化エチレン、デシル酸、ビス(4-シクロヘキシルイソシアン酸)メチレン(SMDI)を有する少なくとも一つのポリエチレングリコールを要素として含むポリコンデンセート)のような疎水鎖に連結されているアクリル酸ポリマーのファミリー、商標名Structure Solanaceで販売されているジャガイモでんぷんのような変性デンプンのファミリーまたはその混合物、Seppic社により商標名Simulgel 600で販売されているアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベートナトリウム混合物、Seppic社により商標名Sepigel 305で販売されている製品のようなポリアクリルアミド/C13〜C14イソパラフィン/ラウレト-7混合物のようなポリアクリルアミドのファミリー。
【0025】
適切なゲル化剤は、ポリマーのファミリーであり、好ましくは、カルボマー940、すなわち、Goodrich社によりcarbopol(登録商標) 980(2,2- ビス(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール 2-プロペニルエーテルを有する2-プロペン酸ポリマー)のような架橋ポリアクリル酸ポリマーであるカルボマーポリマーと呼ばれるもの、あるいはポリアクリルアミドのファミリーであり、好ましくはSimulgel 600またはSepigel 305と呼ばれるものである。
【0026】
本発明により調製されるゲルは、好ましくは約0.5%から約2%のゲル化剤、好ましくは約1%、例えば1.1%のゲル化剤を含む。媒体A中のゲル化剤/水の重量比は、1%から1.5%の範囲にあってよい。
【0027】
アダパレン媒体Bは、有利には並行して調製され、典型的にはアダパレンが分散した媒体である。
【0028】
有利には、アダパレン媒体B中のゲル化剤/水の重量比は、6%から23%、有利には6%から20%である。媒体Bは、好ましくは界面活性剤を含む。界面活性剤は、好ましくは酸化エチレンおよび酸化プロピレンブロックコポリマー、ならびにそれらの混合物から選択されてよく、好ましくは、ゲルは、酸化エチレンおよび酸化プロピレンブロックコポリマー以外のいずれの界面活性剤も欠いている。本発明のナノエマルジョン中の界面活性剤として使用することができる酸化エチレンおよび酸化プロピレンブロックコポリマーを、特に、式(I) HO(C2H4θ)x(C3H6θ)y(C2H4O)zH
[前記式中、x、y、およびzは、x+zが2から100の範囲であり、yが14から160の範囲であるような整数である]のブロックコポリマーおよびその混合物より選択し、特に2から16の範囲にあるHLB (Hydrophilic Lipophilic Balance)を有する上記ブロックコポリマーより選択することができる。
【0029】
これらのブロックコポリマーを、ポロキサマー、特にICIにより商標名Pluronic(登録商標)L81で販売されている製品のような、x=z=6かつy=39 (HLB 2)の式(I)のポロキサマー231;特にICIにより商標名Pluronic(登録商標)L92で販売されている製品のような、x=z=10かつy=47 (HLB 6)の式(I)のポロキサマー282;最も好ましくはICIにより商標名Pluronic(登録商標)L44で販売されている製品のような、x=z=11かつy=21 (HLB 16)の式(I)のポロキサマー124より選択することができる。好ましい実施態様において、適切な界面活性剤は、7から9のHBLを有する、あるいはポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンコポリマータイプである多くの非イオンタイプである。それらは、加熱する必要なく、組成物中に容易に取り込まれるように、液体でなければならない。
【0030】
界面活性剤を、その構造によって、名称「イオン性」(アニオン、カチオン、両性)または「非イオン性」に分類することができる。非イオン性界面活性剤は、水中にイオンを分離しないものであり、それゆえpHの変化に非感受性である。界面活性剤の中から、選択的に、このリストに制限されることなく、ポロキサマーのファミリー、特にポロキサマー124および/またはポロキサマー182、あるいはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールジペラルゴン酸塩、ラウログリコール、エトキシジグリコール、ナトリウムドキュセートのようなものが使用される。
【0031】
本発明により調製されるゲルは、約0.1%から約0.5%のゲル化剤、好ましくは約0.2%の量でそのような界面活性剤を含んでよい。
【0032】
媒体B中の界面活性剤量は、例えば、媒体Bの総重量に対して0.01重量%から0.4重量%の範囲でありうる。
【0033】
ゲル化ポリマー中におけるカルボン酸基の中和を、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムのような塩基、アルカリアミン、またはジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルカノールアミン、またはジアルカノールアミンのような有機アミンより選択される中和剤を添加することにより達成してよい。前記アルキルアミンを、メチルアミン、エチルアミンより選択することができる。最終混合物のpH、すなわちゲル化媒体A中にアダパレン媒体Bを混合した後のpHを、約4.7から5.3に調整する。
【0034】
好ましい実施態様において、本発明は以下の工程を含む方法を提供する。
i) 任意に水中でEDTA二ナトリウムのようなキレート剤を混合および溶解/可溶化し、プロピレングリコールならびに任意にメチルパラベンのような保存剤を添加し、Carbopol(登録商標)980(またはカルボマー940)のようなゲル化剤を混合および添加することにより、ゲル媒体Aを調製する工程であって、プロピレングリコール/水の比率が、4%から5%、このましくは、別々に約4.5%である、工程
ii) ポロキサマー124のような界面活性剤の存在下で水中にアダパレンを分散し、それによりアダパレン媒体Bを取得する工程であって、アアダパレン/活性相比は、水の間の比が6%から20%である、工程、
iii) アダパレン媒体Bをゲル媒体Aに添加する工程、
iv) 水酸化ナトリウムのような中和剤を添加してpHを約4.7から5.3に調整する工程。
【0035】
本発明の別の主題は、本明細書に記載した製造方法により取得されるアダパレンゲルである。特に本発明の主題は、ゲルをこの方法に従って製造することである。好ましくは、前記ゲルは0.3%のアダパレンを含む。このゲルは、
一般座瘡(尋常性座瘡)、面皰(comedones)、多型(polymorphous)座瘡、小節嚢胞性(nodulocystic)座瘡、集簇性座瘡、日照、薬剤関連または職業性座瘡のような二次座瘡
広範囲のおよび/または重篤な形態の乾癬、かゆみ(ichtyoses )、およびかゆみ状態(ichtyosiform state)
ダリエー病
光線性角化症
掌蹠角皮症および毛孔性角化症
白斑症および白斑症状態、扁平苔癬
いすれかの良性または悪性、重篤および甚大な皮膚病調製物
より選択される、炎症性または増殖性成分で皮膚病を治療する特定の目的のものである。
【0036】
ゲルは、一般座瘡のような座瘡の治療に特に適しており、中程度から重篤な強度の一般座瘡の治療に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】アダパレンゲルの製造方法を示すフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の例が説明の目的のために与えられる。
【実施例】
【0039】
実施例1:アダパレンゲル0.3 % (2000kg)の製造方法
アダパレンゲル0.3 %の市販製品の製造方法を、以下に記載する。図1もまた参照のこと。
【0040】
I. カルボマー媒体
a) 適切な大きさの、ステンレス鋼第一複合容器中に、精製水を添加する(88.92%)。
b) それを、溶解機の下に設置し、混合する。
c) 事前に秤量した量のエデト酸二ナトリウム(0.10%)を添加し、混合する。
d) ステンレス鋼容器中で、溶解機を使用して、事前に秤量した量のプロピレングリコール(4%)およびメチルパラベン(0.2%)を添加し、完全に溶解するまで混合する。
e) プロピレングリコール/メチルパラベン溶液を、第一複合容器に添加し、混合する。
f) 混合中、事前に秤量した量のカルボマー940(Carbopol 980)を添加する(1.10%)。
g) 溶媒が滑らかになるまで、混合を維持する。
【0041】
II. アダパレン媒体
a) 別のステンレス鋼容器中で、特定の量の精製水(1%)を添加し、混合する。
b) 事前に秤量した量のポロキサマー124 (0.2%)およびアダパレン(0.3%)を添加する。
c) アダパレンが分散するまで、混合を維持する。
d) アダパレン媒体を、溶解機で混合する。
【0042】
III. 一次複合相
a) アダパレン媒体を、カルボマー媒体に移す。
b) 新しく得られた媒体を混合する。
【0043】
IV. 最終複合相
a) バッチを反対のモーションミキサーに移し、混合する。
b) 事前に秤量した水酸化ナトリウムの溶液 (0.18%)を、別の容器中で精製水(1%)と調製し、一次複合相に添加する。
c) バッチを混合する。
d) pHをチェックし、記録する(範囲4.7から5.3)。
e) pHが範囲内であれば、精製水で残った容量を加え、100%とする。pHが特定の範囲より低い、またはより高い場合、バッチを塩酸または水酸化ナトリウムの溶液で、pH 5.0 ± 0.3に調整する。
【0044】
V. 製品試験、充填および封入
a) 移送ポンプを使用して、製品を80メッシュフィルタースクリーンを通して濾過する。
b) 粗製品を特定のチューブに充填する。ロットのコードおよび使用期限を、チューブのシーリング操作の間に、チューブの先端のシールに記入する。
c) 封入製品の代表的なサンプルを、試験のために提出する。
d) 二次的な封入を実行し、最終製品を取得する。
【0045】
実施例2:アダパレンゲル0.1% (2000kg)の製造方法
アダパレンゲル0.1 %の市販製品の製造方法を、以下に記載する。図1もまた参照のこと。
【0046】
I. カルボマー媒体
a) 適切な大きさの、ステンレス鋼第一複合容器中に、精製水を添加する(88.92%)。
b) それを、溶解機の下に設置し、混合する。
c) 事前に秤量した量のエデト酸二ナトリウム(0.10%)を添加し、混合する。
d) ステンレス鋼容器中で、溶解機を使用して、事前に秤量した量のプロピレングリコール(4%)およびメチルパラベン(0.1%)を添加し、完全に溶解するまで混合する。
e) プロピレングリコール/メチルパラベン溶液を、第一複合容器に添加し、混合する。
f) 混合中、事前に秤量した量のカルボマー940(Carbopol 980)を添加する(1.10%)。
g) 溶媒が滑らかになるまで、混合を維持する。
【0047】
II. アダパレン媒体
a) 別のステンレス鋼容器中で、特定の量の精製水(1%)を添加し、混合する。
b) 事前に秤量した量のポロキサマー182 (0.2%)およびアダパレン(0.1%)を添加する。
c) アダパレンが分散するまで、混合を維持する。
d) アダパレン媒体を、溶解機で混合する。
【0048】
III. 一次複合相
a) アダパレン媒体を、カルボマー媒体に移す。
b) 新しく得られた媒体を混合する。
【0049】
IV. 最終複合相
a) バッチを反対のモーションミキサーに移し、混合する。
b) 事前に秤量した水酸化ナトリウムの溶液 (0.18%)を、別の容器中で精製水(1%)と調製し、一次複合相に添加する。
c) バッチを混合する。
d) pHをチェックし、記録する(範囲4.7から5.3)
e) pHが範囲内であれば、精製水で残った容量を加え、100%とする。pHが特定の範囲より低い、またはより高い場合、バッチを塩酸または水酸化ナトリウムの溶液で、pH 5.0 ± 0.3に調整する。
【0050】
V. 製品試験、充填および封入
a) 移送ポンプを使用して、製品を80メッシュフィルタースクリーンを通して濾過する。
b) 粗製品を特定のチューブに充填する。ロットのコードおよび使用期限を、チューブのシーリング操作の間に、チューブの先端のシールに記入する。
c) 封入製品の代表的なサンプルを、試験のために提出する。
d) 二次的な封入を実行し、最終製品を取得する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダパレンの水性ゲルを製造するための方法であって、
i) 水とプロピレングリコールを混合し、ゲル化剤を添加することによりゲル化媒体Aを調製する工程、
ii) 界面活性剤の存在下で、水中にアダパレンを分散させることにより、アダパレン媒体Bを調製する工程を含み、
ここで工程i)およびii)を並行して実行するか、あるいは工程i)またはii)の一方をもう一方の後に実行し;
iii) ゲル化媒体Aにアダパレン媒体Bを添加する工程;
iv) 中和剤を添加することによりpHを調整する工程
を含み、それによりゲルを形成する方法。
【請求項2】
前記ゲル化剤を、工程i)においてプロピレングリコールの後に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記pHを約4.7から5.3に調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各工程を室温で実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
媒体Aが保存剤をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記保存剤が室温でプロピレングリコール中に溶解する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記保存剤がメチルパラベンである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
媒体Aが、キレート剤、好ましくはEDTA二ナトリウムをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロピレングリコールおよびゲル化剤を添加する前に、EDTA二ナトリウムを水に溶解する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲル化剤がCarbopol(登録商標)980である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記界面活性剤がポロキサマーである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポロキサマーがポロキサマー124である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アダパレンの量の範囲が、0.01%から1%、好ましくは0.1%から0.3%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アダパレン媒体Bにおけるアダパレン/水の重量比が、6%から23%、好ましくは6%から20%である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
i) 水中にEDTA二ナトリウムを混合および溶解し、プロピレングリコールおよびメチルパラベンを添加し、混合し、Carbopol(登録商標)980を添加することにより、ゲル媒体Aを調製する工程であって、プロピレングリコール/水の比率が、4%から5%、好ましくは、約4.5%である、工程;別々に、
ii) ポロキサマー124の存在下で水中にアダパレンを分散し、それによりアダパレン媒体Bを取得する工程であって、アアダパレン/活性相の比率は、アダパレン媒体B中におけるアアダパレン/水の重量比が6%から23%、好ましくは6%から20%である、工程、
iii) アダパレンスラリー媒体Bをゲル媒体Aに添加する工程、
iv) 水酸化ナトリウムを添加してpHを約4.7から5.3に調整する工程
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(iii)の後に水酸化ナトリウムを添加する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法により取得することができるアダパレン水性ゲル。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法に続いて製造される、請求項15に記載のゲル。

【図1】
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【公表番号】特表2011−504912(P2011−504912A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535378(P2010−535378)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066339
【国際公開番号】WO2009/068610
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】