説明

アディポネクチン産生促進剤

【課題】新規なアディポネクチンの産生・分泌促進剤を提案する。
【解決手段】Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とするアディ
ポネクチン産生促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アディポネクチン産生促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アディポネクチンは、脂肪細胞から特異的に産生および分泌される善玉アディポサイトカインであり、循環器系疾患、糖尿病、肥満などの生活習慣病と密接に関連することが知られている。血中でのアディポネクチンの産生を促進する成分の研究・開発が進められている。多数の提案が成されている。
【0003】
アディポネクチンは分子量約30KDaの、脂肪細胞で最も豊富に発現している善玉アディポサイトカインである。補体のC1qと構造上の相同性があり、N末端よりシグナルペプチド、コラーゲン様ドメイン、球状ドメインよりなる。血中では12−18量体の高分子量アディポネクチン、6量体の中分子量アディポネクチン、3量体の低分子量アディポネクチンの3種類の多量体を形成している。
肥満や内臓脂肪蓄積に伴って、アディポネクチンの血中レベルが低下する。アディポネクチンは遺伝子の多型など遺伝的要因によっても低下する。アディポネクチン遺伝子欠損マウスは、インスリン抵抗性、耐糖能異常、脂質異常、高血圧などのメタボリックシンドロームの諸徴候を呈する。アディポネクチンの補充は、インスリン抵抗性やメタボリックシンドロームを改善する。
【0004】
アディポネクチン産生促進に関し、多数の提案が成されている。 特許文献1(特開2009−209080号公報)には、大豆蛋白加水分解物を有効成分とし、特に大豆蛋白加水分解物がジペプチド又は/及びトリペプチドを主成分とするオリゴペプチド混合物であるような組成物が、アディポネクチン分泌促進作用があり、血中アディポネクチン濃度を強く亢進することが開示されている。
特許文献2(特開2009−249341号公報)には、紅麹抽出物およびプロアントシアニジンを有効成分とする、アディポネクチン産生促進剤が開示されている。
特許文献3(特開2008−255040号公報)には、レスベラトロールを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−209080号公報
【特許文献2】特開2009−249341号公報
【特許文献3】特開2008−255040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規なアディポネクチンの産生・分泌促進剤を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、517種の植物抽出物を調査分析した結果、Vitex属植物の抽出物について、アディポネクチンの産生・分泌促進作用があることを知見したので提案する。さらに本発明者はVitex属植物の抽出物の持つアディポネクチン産生・分泌促進作用の中心となる物質を確認したので、この化合物を有効成分とする剤を提案する。
すなわち、本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
2.Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物に、カスチシンが含まれていることを特徴とする1.記載のアディポネクチン産生促進剤。
3.Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とするインスリン抵抗性改善剤。
4.Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とする食後血糖値低下剤。
5.Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物がVitex agnus-castus L.(チェストツリー)、Vitex cannabifolla Sieb. et. Zucc.(ニンジンボク)、Vitex negundo L.(タイワンニンジンボク)、Vitex rofundifolia L. fill.(ハマゴウ)のいずれか又は複数であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の剤。
6.カスチシンを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
7.カスチシンを有効成分とするインスリン抵抗性改善剤。
8.カスチシンを有効成分とする食後血糖値低下剤。
9.1.〜8.のいずれかに記載の剤を含有する食品、医薬製剤、または飼料。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物にアディポネクチンの産生促進作用として有効なカスチシンが含まれていること、インスリン抵抗性改善及び飲食物の摂取後の血糖値を低下させる作用があることを明らかにした。特に、Vitex agnus-castus L.(チェストツリー)抽出物が有効である。
このVerbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を医薬、飲食品、飼料等の形態で摂取することにより、アディポネクチンの産生促進あるいは血糖値低下をすることができる。これによりアディポネクチンが関与する種々のインスリン抵抗性を改善し、メタボリックシンドロームに基づく種々の病態の治療・予防に役立つことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実験方法の概略工程図。
【図2】血中アディポネクチン量を示すグラフ。
【図3】インスリン抵抗改善性を示すグラフ。
【図4】チェストツリーエキス カスチシン分画分特定を示すグラフ。
【図5】カスチシン分画がアディポネクチン産生作用を示すグラフ。
【図6】体重変化を示すグラフ。
【図7】糖負荷試験による血中グルコースの変化を示すグラフ。
【図8】Vitex属植物のアディポネクチン産生・分泌作用を示すグラフ。
【図9】カスチシンの脂肪細胞分化促進作用を確認した結果を示すグラフ。
【図10】カスチシンのアディポネクチン産生・分泌促進作用を測定した結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いるVerbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物は、アディポネクチン産生作用を調査した517種の植物抽出物のなかで、活性を示した1種であり、本抽出物に着目して中性脂肪の変化、体重の変化について、試験した結果、良好な結果を得ることができるまで深化させることができたので、提案する。さらに、この作用を示す成分としてVitex属に含有されるカスチシンという化合物について検討したところ、カスチシン単独で同様の効果を示すことが確認できたので、カスチシンを有効成分とする剤についても提案する。
【0011】
本発明は、医薬、食品添加物、食品およびペットフード、動物用医薬として利用することができる。剤型は、公知の方法により助剤とともに任意の形態に製剤化して、経口投与することができる。カプセル剤又は錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液状として投与できる。
投与量は、投与方法と、患者の年齢、病状や一般状態等によって変化し得るが、動物試験の結果より成人では体重1kg当たり通常、1日当たりの有効成分として0.4〜600mgが妥当である。
【0012】
本発明のアディポネクチン産生促進剤は、一般食品や健康食品に配合することができ、また、食品添加物の成分とすることもできる。配合する食品は特に限定されず、例えば食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、ドーナツ、ケーキ等のベーカリー食品、うどん、そば、中華麺、焼きそば、パスタ等の麺類、天ぷら、コロッケ等のフライ類、カレー、シチュー、ドレッシング等のソース類、ふりかけ類、かまぼこ等の練り製品、ジュース等の飲料、スナック菓子、米菓、飴、ガム等の菓子類を挙げることができる。
犬、猫、ハムスター、リス等の哺乳類の飼料として適している。本発明のペットフードの形態は特に限定されるものではなく、例えばドライタイプ、ウェットタイプ、セミモイストタイプ、ビスケットタイプ、ソーセージタイプ、ジャーキータイプ、粉末、顆粒、カプセルなどが挙げられる。
【0013】
<Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物スクリーニング試験>
図1に示す工程概略にしたがって試験方法を説明する。マウス由来前駆脂肪細胞(3T3−L1)は定法に従い、10%FBS含有Dulbeccos変法Eagle培地(DMEM)にて継代・培養した。探索のための評価としては、ラット尾コラーゲンIをコートしたマルチウエルプレート(48ウエル、BD BioCoat、BD Bioscience社製)に1ウエル当り5×10個の3T3−L1細胞を播種し、コンフルエントになるまで培養した(6〜8日)。その後、デキサメタゾンとイソブチルメチルキサンチン、インスリンを含む誘導培地にて3〜4日間培養して前駆脂肪細胞から未熟脂肪細胞へ分化誘導した後、インスリンと被験サンプルとを含む維持培地にて1週間培養した。1週間の培養の後、ボトムは成熟脂肪細胞中の脂肪滴の量をOil Red O染色法にて測定することにより(脂肪細胞分化促進作用)、培養上清は市販のELISAキット(マウス/ラットアディポネクチンELISAキット、大塚製薬)を用いて産生、分泌されたアディポネクチンの量を測定することにより、評価を行った。
【0014】
多数の被験剤から、被験剤No.E10004についてアディポネクチン産生作用が認められた。図2に示すように、コントロールに比して5.9倍の作用を示し、アディポネクチン産生剤として市販されているPioglitazoneに50%強の効果が確認できた。
【0015】
被験剤No.E10004は、Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物Vitex agnus-castus L.(チェストツリー)抽出物である。200ng/ml以上を示している。Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属(ハマゴウ属)植物に属する落葉低木で、Vitex agnus-castus(学名)(英名 Chaste berry、和名 セイヨウニンジンボクあるいはチェストツリー、チェストベリーなど)に注目した。なお、ポジティブコントロールとして、アディポネクチン産生用医薬として使用されているPioglitazoneを使用した。Vitex agnus-castus L.(チェストツリー)抽出物は、ポジティブコントロールの50%以上の活性を示し、コントロールに対しては約6倍の活性を示した。
【0016】
Vitex agnus-castusは、南ヨーロッパから中央アジアを原産とするクマツヅラ科の植物である。高さは2〜3メートルになり、全体にかすかな芳香があり、披針形の葉は掌状複葉で、5〜7個の小葉があり、7月から9月ごろ、枝の先端に円錐花序をつけ、淡い紫色の小さな花を咲かせる。ヨーロッパでは果実を香料にしたり、生理不順や更年期障害などの治療薬として用いられてきた。主に果実部分を利用し、チェストベリーとも呼ばれる果実のエキスには女性ホルモンの一種である黄体ホルモンの分泌を促進し、月経不順をはじめとした女性特有の病気の改善作用を持つとされる。
Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属(ハマゴウ属)植物として、Vitex agnus-castus(学名)(英名 Chaste berry、和名 セイヨウニンジンボク)、Vitex cannabifolla Sieb. et. Zucc. (ニンジンボク)、Vitex negundo L.(タイワンニンジンボク)、Vitex rofundifolia L. fill.(ハマゴウ)の抽出物を使用することができる。
Vitex cannabifolla Sieb. et. Zucc.(ニンジンボク)は、クマツヅラ科の落葉低木であり、中国に広く分布している。高さ3〜5メートル、枝は四角形で葉を対生し、葉は掌状複葉。7〜8月になると、淡紫色の小さい唇形花が長さ20センチメートルほどの円錐花序をなして階段状に集まって咲く。漢名ではニンジンボクを牡荊(ぼけい)、果実を牡荊子、葉を牡荊葉という。牡荊子は、鎮咳(ちんがい)、鎮痛、健胃、止瀉(ししゃ)剤として喘息、感冒、胃病、消化不良、腸炎などの治療に用いる。中国では葉、茎、根もほぼ果実と同様に用いる。
Vitex negundo L.(タイワンニンジンボク)は、ニンジンボク(Vitex cannabifolla Sieb. et. Zucc.)の近縁で小葉が全縁であるものをタイワンニンジンボク(V. negundo L.)と呼び、台湾、中国、東南アジア、インド、マダガスカル島、アフリカに分布する。漢名では黄荊(おうけい)といい、前種のニンジンボクと同様に用いる。
Vitex rofundifolia L. fill.(ハマゴウ)は、日本、朝鮮、中国、オーストラリアなどの温暖な海岸の砂地に自生するつる性低木である。花や葉には香りがあり、和名のハマゴウは「浜香」の意味。この植物の成熟乾燥した果実は蔓荊子(Viticis Fructus)と称され、解熱、鎮痛、強壮、消炎薬として、頭痛、感冒、眼病、胃痛、関節痛などに用いられる。また、漢製剤として蔓荊子散、菊花散などに処方される。
その他Vitex属植物には、ミツバハマゴウ(Vitex trifolia L.)、ヤエヤマハマゴウ(Vitex trifolia L. var. bicolor (Willd.) Moldenke)などがある。前者は、奄美大島以南の琉球、旧世界の熱帯に広く分布する3出葉の常緑潅木であり、後者は、東南アジア、ミクロネシア、オーストラリア、その他、熱帯に広く分布。日本では、西表島、石垣島のみに生息している。
【0017】
<インスリン抵抗改善>
インスリン抵抗改善作用を示すグラフを図3に示す。コントロールに比して3.2〜6.5倍の改善性を濃度依存的に発揮している。ポジティブコントロールPioglitazoneに対して、40〜80%の挙動を示している。
【0018】
<カスチシン検出試験>
チェストツリーエキスを酢酸エチル及び水を用いて液-液分配を行ったところ、酢酸エチル層に脂肪細胞分化促進作用が認められた。
チェストツリーエキスをG3000Sカラムクロマトグラフィーに供し、異なる濃度のエタノール溶媒を用いて溶出を行ったところ、70%含水エタノール及び100%エタノール溶出画分に、脂肪細胞の分化促進作用が認められた。
チェストツリーエキスの酢酸エチル層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム及びメタノールの混合比率を変えた溶出溶媒を用いて溶出させたところ、図4に示すようにFraction2、3及び4(カスチシンを含む画分)に脂肪細胞分化促進作用が認められた。
カスチシン(Casticin)(慣用名)は、分子式:C19H18O8、分子量:374.345、3’,5-Dihydroxy-3,4’,6,7-tetramethoxyflavoneビテキシカルピン(Vitexicarpin)3,4',6,7-Tetramethoxy-3',5-dihydroxyflavone である。
チェストツリー分画物Fraction2、3及び4について、アディポネクチン産生剤として市販されているPioglitazoneを指標として、アディポネクチン産生作用の再現性試験を行った。その結果を図5に示す。コントロールに対して約150%の産生増強作用を示し、Pioglitazoneに対しては、75%の作用を示すことが確認された。
これは、チェストツリーエキスが、アディポネクチン産生剤として、緩効性を期待できることを示しており、チェストツリーエキスを日常的に安全に服用することができることを示す内容である。
【0019】
<マウス摂取試験>
[動物試験・飼料]
試験には、5週齢のKKAy/TaJclマウス(日本クレア)、雄を用いた。 試験食としては高脂肪・高ショ糖食(オリエンタル酵母工業製、F2HFHSD 粉末飼料、以下HFSとする)、HFSにチェストツリーエキス(アスク薬品製、50%含水エタノール抽出、賦形剤を40%含む、以下VAとする)をエキス相当量として0.5%、1.0%、2.0%となるように添加した。動物は、各群6匹とした。
1週間の馴化の後、上記の各試験食を3週間摂餌させた。期間中、摂餌量及び体重を測定した(2回/週)。3週間の摂餌の後に非絶食下で血糖値を測定し、その後絶食下で経口ブドウ糖負荷耐糖能試験(OGTT)を行った。
【0020】
体重増加について図6に示す。高脂肪・高ショ糖食(HFS)に比べて、チェストツリーエキスを添加した試験群において、体重増加が抑制されていることが示されている。そして、その体重抑制作用は概ね濃度依存的に現れている。
【0021】
[糖負荷耐糖能試験(OGTT)結果]
試験結果を図7に示す。
高脂肪・高ショ糖食(HFS)に比べて、チェストツリーエキスを添加した試験群において、血中グルコース量の低下が促進されていることが示されている。そして、その低減作用は、試験添加量では濃度依存が認められない。したがって、微量でも食後の血中糖濃度を減少させることが可能である。
【0022】
『メタボリックシンドロームup to date』(日本医師会編)によると糖尿病、脂質代謝異常の原因はインスリン抵抗性によるものと報告がなされている。すなわち、インスリン抵抗性の改善によりメタボリックシンドローム改善がされる。メタボリックシンドロームは代表的パラメーターとして血糖値、体重が指標とされる。本発明は体重増加、糖負荷耐糖能試験(OGTT)において実証されていることからインスリン抵抗性改善作用を有するといえる。
【0023】
<アディポネクチン産生・分泌促進作用試験>
前記[0013]及び図1に記載したアディポネクチンの量を測定する方法により、更に下記5種のVerbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物の評価を行った。
アディポネクチン産生・分泌促進作用を示すグラフを図8に示す。
Vitex agnus-castus(セイヨウニンジンボク)、Vitex rofundifolia L. fill. (ハマゴウ)、Vitex cannabifolla Sieb. et. Zucc. (ニンジンボク)、Vitex negundo L.(タイワンニンジンボク)の種子、Vitex negundo L.(タイワンニンジンボク)の葉から抽出した5種類の抽出物について、アディポネクチン産生・分泌促進作用試験を行った。
コントロールに比していずれも高い数値が認められ、濃度に依存して高くなっている。ポジティブコントロールPioglitazoneに対して、高濃度では50〜90%の挙動を示している。タイワンニンジンボクの種子抽出物(黄荊子)と葉の抽出物(黄荊葉)では、高濃度において、種子抽出物に優れた効果が認められた。
【0024】
<カスチシンの脂肪細胞分化促進試験>
市販されている精製カスチシン(フナコシ販売 EXTRASYNTHESE社製)を用いて脂肪細胞分化促進試験を行った。段落[0013]のスクリーニング試験の手法を用いて脂肪細胞への分化促進活性を測定した。測定結果を図9に示す。カスチシン処理を行わなかった場合に比してカスチシン投与群は明らかに脂肪細胞分化促進作用を示した。
カスチシンは濃度依存的に未熟脂肪細胞を成熟脂肪細胞へ分化誘導した。
【0025】
<カスチシンのアディポネクチン産生・分泌促進作用の測定>
市販されている精製カスチシン(フナコシ販売 EXTRASYNTHESE社製)のアディポネクチン産生・分泌促進作用を測定した。測定結果を図10に示す。カスチシン処理を行わなかった場合に比してカスチシン投与群は明らかにアディポネクチンの産生分泌促進作用を示した。
カスチシンは0.1μg/mlの低濃度でアディポネクチンの産生・分泌を促進することが明らかとなった。また細胞毒性も認められなかった。
したがってカスチシンを安全なアディポネクチン産生・分泌促進剤、インスリン抵抗性改善剤、食後血糖低下剤として利用できることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
【請求項2】
Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物に、カスチシンが含まれていることを特徴とする請求項1記載のアディポネクチン産生促進剤。
【請求項3】
Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とするインスリン抵抗性改善剤。
【請求項4】
Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物抽出物を有効成分とする食後血糖値低下剤。
【請求項5】
Verbenaceae科(クマツヅラ科)Vitex属植物がVitex agnus-castus L.(チェストツリー)、Vitex cannabifolla Sieb. et. Zucc.(ニンジンボク)、Vitex negundo L.(タイワンニンジンボク)、Vitex rofundifolia L. fill.(ハマゴウ)のいずれか又は複数であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
カスチシンを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
【請求項7】
カスチシンを有効成分とするインスリン抵抗性改善剤。
【請求項8】
カスチシンを有効成分とする食後血糖低下剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の剤を含有する食品、医薬製剤、または飼料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−67069(P2012−67069A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67108(P2011−67108)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】