説明

アトルバスタチンヘミカルシウム及びその調製の方法

本明細書中で形態XVIII及び形態XIXに言及されているアトルバスタチンの新規結晶形態ならびにそれらの調製及び使用に関連する。そしてまた、アトルバスタチンヘミカルシウムアセトン溶媒和物提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許
本願は、本明細書中参照によって組み込まれている、2004年7月22日に提出された仮出願第60/590,945号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、アトルバスタチンヘミカルシウムの結晶質多形形態及びアトルバスタチンヘミカルシウムの結晶質を調製するための新規方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
アトルバスタチン、すなわち式(I)のラクトン形態で描かれる、([R−(R,R)]−2−(4−フルオロフェニル)−P,6−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル])−1H−ピロール−1−ヘプタン酸)及びその式(II)のカルシウム塩は当業者に公知であり、そしてとりわけ米国特許第4,681,893及び5,273,995号に記載されており、それらは参照によって本明細書中に組み込まれている。
【化1】

【0004】
アトルバスタチン及びそのヘミカルシウム塩を調製するための方法も米国特許出願番号第2002/0099224号;米国特許第5,273,995;5,298,627;5,0003,080;5,097,045;5,124,482;5,149,873;5,216,174;5,245,047;5,280,156;Baumann,K.L.ら、Tet.Lett.1992 vol.33,pp.2283〜2284にも記載されており、それらの全ては本明細書中その全体を参照によって組み込まれており、そして特にアトルバスタチン及びアトルバスタチンヘミカルシウムの調製に関連するそれらの開示内容が参照によって組み込まれている。
【0005】
アトルバスタチンは、スタチンとよばれる薬物の種類の構成員である。スタチン薬物は、心血管疾患の危険にある患者の血流における低密度リポタンパク質(LDL)粒子濃度を下げるための現在最も治療上有効な薬物である。血流中、LDL量が高いことは、血流を妨げ且つ破裂させ且つ血栓症を促しうる冠状動脈損傷の形成と結びついている。Goodman及びGliman,Pharmacological Basis of Therapeutics 897(第9版,1996)。血しょうLDL量を下げることは、心臓血管疾患をともなう患者及び心臓血管疾患はないが高コレステロール血症を有する患者において臨床的事象の危険性を下げることが示されている。Scandinavian Simvastatin Survival Study Group,1994;Lipid Riserch Clinics Program, 1984a,1984b。
【0006】
スタチン系薬物の作用のメカニズムは、いくつか詳細が解明されている。それらは、肝臓におけるコレステロール及び他のステロールの合成を、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−コエ1イザイムA(coe1izyme A)レダクターゼ酵素(「HMG-CoAレダクターゼ」)を完全に阻害することによって干渉する。HMG-CoAレダクターゼは、HMGのメバロン酸塩への転換を触媒し、それはコレステロールの生合成の律速段階であり、従って、その阻害は肝臓におけるコレステロールの濃度を下げることにつながる。超低密度リポタンパク質(VLDL)は、コレステロール及びトリグリセリドを肝臓から末梢細胞へと輸送するための生物学的ビヒクルである。VLDLは、アドプサイト(adopcyte)において保存される又は筋肉によって酸化されうる脂肪酸を放出する末梢細胞で触媒作用を受ける。VLDLは、中密度リポタンパク質(IDL)に転換され、それはLDLレセプターによって除去される、又はLDLへと転換されるのいずれかである。コレステロールの生産の減少は、LDLレセプター数の増加及びIDLの代謝によるLDL粒子の生産の対応する減少をもたらす。
【0007】
アトルバスタチンヘミカルシウ塩三水和物は、LIPITOR(登録商標)の名称の下で、Pfizer,Incによって市販されている。アトルバスタチンは、米国特許第4,681,893号で最初に公衆に開示され且つ特許出願された。式(II)において描かれたヘミカルシウム塩は米国特許第5,273,995号に開示されている。この995号特許は、ヘミカルシウム塩が、ナトリウム塩のCaCl2による転移から生ずる塩水溶液からの結晶化及び酢酸エチルとヘキサンの5:3混合物からの再結晶化による更なる精製によって獲得されていることを開示する。
【0008】
様々な結晶形態(多形体)の発生は、いくつかの分子及び分子錯体の特性である。単一の分子、例えば、式(I)のアトルバスタチン又は式(II)の塩錯体は、融点、X線回折パターン、赤外線吸収フィンガープリント及びNMRスペクトルなど個別の物理特性を有する様々な固体を生じうる。多形の物理特性の違いは、バラ固体(bulk solid)において隣接する分子の配向及び分子間相互作用からもたらされる。従って、多形は、同じ分子式を共有するが異なる有利及び/又は不利な物理特性を、多形ファミリーにおける他の形態に比較して、有する相異なる固体である。医薬多形の最も重要な物理特性の一つは、それらの水溶液中での溶解度であり、特にそれらの患者の胃液における溶解度である。例えば、胃腸管を介する吸収が遅い場合、それが有害な環境に集積することがないよう序々に溶かすために患者の胃又は腸における条件に対して不安定である薬物が所望される。他方、薬物の効果が薬物のピーク血流量、スタチン薬物により共有される特性と連動する場合、及び例えば薬物が迅速にGI系によって急速に吸収される場合、一層迅速に溶ける形態は、匹敵量の一層ゆっくり溶ける形態を超えて効果が増大したことを示す傾向にある。
【0009】
アトルバスタチンヘミカルシウムの結晶質形態I、II、III及びIVはWarner-Lambertに与えられた米国特許第5,959,156及び6,121,461の対象である。結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム形態Vは、共有国際刊行物第01/36384号(PCT出願PCT/US00/31555)に開示されている。
【0010】
薬物の新規結晶質多形形態の発見は、製剤科学者が標的放出プロファイル又は他の所望の特性を有する薬物の医薬投与形態を設計するための物質のレパートリーを拡大する。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明は、固体結晶質アトルバスタチンヘミカルシウムアセトン溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明は更に、3.8、8.0、8.9及び10.4±0.2度2θにおけるピークを有する粉末XRDパターンを特徴とするアトルバスタチンヘミカルシウムの固体結晶形態を提供する。この形態は、アセトン溶媒でありうる。
【0013】
本発明は更に、3.3、4.2、5.6及び8.2±0.2度2θにおけるピークを有する粉末XRDパターンを特徴とするアトルバスタチンヘミカルシウムの固体結晶形態をも提供する。この形態は、アセトン溶媒でありうる。
【0014】
本発明は、上記のような固体結晶質形態を調製するための方法をも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
固体状態検出器を備えたSCINTAG粉末X線回折計モデルX'TRAを使用する粉末X線回折(「PXRD」)。銅放射λ=1.5418を使用した。サンプルを、底にラウンドゼロバックグランド石英プレートをともなう丸型標準アルミニウムホルダーを使用することで導入した。
【0016】
本発明は、アトルバスタチンヘミカルシウム塩アセトン溶媒和物を提供する。
【0017】
本発明は、3.8、8.0、8.9及び10.4±0.2度2θにおけるピークを有する粉末XRDパターンを特徴とする固体結晶質アトルバスタチンヘミカルシウムを提供する。この固体結晶質アトルバスタチンヘミカルシウムはXVIIIと命名されている。
【0018】
アトルバスタチン形態XVIIIは、アセトン溶媒であって良い。アトルバスタチン形態XVIIIは、最大で1.5%のアセトンを含んで良い。好適に、アトルバスタチン形態XVIIIは最大1.4%のアセトンを含んで良い。
【0019】
アトルバスタチン形態XVIIIは更に、3.0、18.0、18.8、19.6及び20.6±0.2度2θにおける粉末XRDパターンを特徴としうる。
【0020】
アトルバスタチン形態XVIIIは、実質上図1に描かれたXRDパターンを特徴としうる。
【0021】
形態XVIIIのアトルバスタチンは、アトルバスタチンの結晶質形態Iを実質上含まなくとも良い。所定の実施態様において。結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム形態XVIIIは、アトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを(重量で)約10%未満、好適に約5%未満、そして一層更に好適に約1%未満含む。
【0022】
本発明の他の観点は、アトルバスタチン形態XVIIIを調製するための方法である。結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム形態XVIIIを調製する方法は:
(a)アトルバスタチンヘミカルシウムをアセトンに溶かして溶液を形成し;
(b)当該溶液を、沈殿が獲得されるまで維持し;そして
(c)当該沈殿を回収する
ことを含んで成る。
【0023】
好適に、段階(a)のアトルバスタチンヘミカルシウムは形態Vである。好適に、段階(b)は、約室温で約40時間〜約70時間に渡り撹拌することを含んで成る。好適に、段階(c)における回収は、沈殿をろ過すること及び乾燥させることを含んで成る。
【0024】
本発明は、3.3、4.2、5.6及び8.2±0.2度2θにおけるピークを有する粉末XRDパターンを特徴とするアトルバスタチンヘミカルシウムの固体結晶形態を提供する。この固体結晶質アトルバスタチンヘミカルシウムは形態XIXと命名されている。
【0025】
アトルバスタチン形態XIXは更に、17.0、19.2及び22.0±0.2度2θにおける粉末XRDパターンを特徴としうる。
【0026】
アトルバスタチン形態XIXは、実質上図2に描かれたXRDパターンを更に特徴としうる。
【0027】
アトルバスタチン形態XIXは、アセトン溶媒和物であって良い。アトルバスタチン形態XIXは、最大で6.0%のアセトンを含んで良い。好適に、アトルバスタチン形態XVIIIは最大5.9%のアセトンを含んで良い。
【0028】
形態XIXのアトルバスタチンは、アトルバスタチンの結晶質形態Iを実質上含まなくとも良い。所定の実施態様において、結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム形態XIXは、アトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを(重量で)約10%未満、好適に約5%未満、そして一層更に好適に約1%未満含む。
【0029】
本発明の他の観点は、アトルバスタチン形態XIXを調製するための方法である。結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム形態XIXを調製する方法は、形態XVIIIを調製するためのスケールアップした方法を行うことを含んで成る。好適に、アトルバスタチンヘミカルシウム及びアセトンの量は、約4〜約8の係数(factor)によってスケールアップされる。一層好適に、アトルバスタチンヘミカルシウム及びアセトンの量は約6の係数によってスケールアップされる。所望の結晶質形態の、形態XVIII又は形態XIXのいずれかを、単にルーチン実験の使用により獲得するために、アトルバスタチンヘミカルシウム及びアセトンの適切な量を選択することは、本明細書によって導かれるとおり、当業者の範囲内である。
【0030】
アトルバスタチンヘミカルシウム固体結晶質形態XVIII及びXIXは、超コレステロール血症を患う又は感受性の患者の血しょう低密度リポタンパク質の量を下げるために有用である。この目的のために、形態XVIII又は形態XIXは、典型的にヒト患者に対して約0.5mg〜約100mgの単位投与量において投与される。大部分のヒト患者のために、約2.5〜約80mg/日、一層好適に約2.5〜約20mg/日の投与量が、血しょう低密度リポタンパク質の量の低下を生じる。かかる低下が十分であるか又は投与量もしくは投与頻度が増やされるべきであるかどうかは、適切にトレーニングを積んだ医薬専門家のレベルの範囲内である決定事項である。
【0031】
他の観点において、本発明は、所定の形態のアトルバスタチンヘミカルシウム溶媒和物とそれらの混合物を含んで成る組成物及び投与形態を提供する。本発明の組成物としては、アトルバスタチンヘミカルシウム固体結晶質のXVIII及び/又はXIXを含んで成る粉末、顆粒、集合体及び他の固体組成物が挙げられる。加えて、本発明によって熟考された形態XVIII及びXIXの固体組成物は更に、例えば、セルロース誘導物質の例えば、粉末状セルロース、微結晶性セルロース、超微粒セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び他の置換及び未置換セルロース;デンプン;αデンプン;無機希釈物の例えば炭酸カルシウム及び二リン酸カルシウム及び医薬業界で公知の他の希釈物が挙げられる。更に適切な希釈剤としては、ろう、糖及び糖アルコールの例えばマンニトール及びソルビトール、アクリレートポリマー及びコポリマー、並びにペクチン、デキストリン及びゼラチンが挙げられる。
【0032】
本発明の熟考の範囲内にある更なる賦形剤としては、結合剤の例えば、アカシアガム、αデンプン、アルギン酸ナトリウム、グルコース並びに湿顆粒化及び乾燥顆粒化及び直接圧縮錠剤化プロセスにおいて使用される他の結合剤である。形態XVIII及びXIXアトルバスタチンヘミカルシウムの固体組成物中に存在しても良い賦形剤としては更に、錠剤分解物質の例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどである。加えて、賦形剤は錠剤潤滑物質の例えば、ステアリン酸マグネシウム及びカルシウム及びステアリルフマル酸ナトリウム;香料;甘味料;防腐剤;薬理非経口物質(例えば、舌下、筋内及び静脈内)、吸入及び眼科的投与物が挙げられる。いずれの場合も、最も適切な経路は、治療される症状の性質及び症度に依存するだろうし、本発明の最も好適な経路は経口である。投与物は、都合良く単位投与形態において存在し且つ医薬の業界で周知の任意の方法によって調製される。
【0033】
投与形態としては、固体投与形態の、例えば、錠剤、粉末、カプセル、座薬、シャッセ、トローチ及びロゼンジ並びに液体懸濁及びエリキシルが挙げられる。本明細書中の記載は限定を意味するものではなく、本発明も、固体形態のアトルバスタチンヘミカルシウムの固体形態を区別する特性が失われている、アトルバスタチンヘミカルシウムの実際の溶液に関連することを意図されていない。しかし、かかる溶液を調製するため(アトルバスタチンに加えて、溶媒との所定の比において前記溶液に対する溶媒和物をデリバリーするように)に新規形態を使用することも本発明の熟考内で考えられている。
【0034】
カプセル投与形態は、当然、ゼラチン又は他の常用の封入物質からなりうるカプセル内に固体組成物を含むだろう。錠剤及び粉末はコーティングされて良い。錠剤及び粉末は腸溶コーティングによりコーティングされて良い。腸溶コーティングした粉末形態は、フタル酸セルロースアセテート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ポリビニルアルコール、カルボキシメチルエチルセルロース、スチレンとマレイン酸のコポリマー、メタクリル酸とメチルメタクリル酸のコポリマー、及び、及びもし所望されれば、それらは適切な可塑剤及び/又は賦形剤と共に使用されて良い物質である。コーティングされた錠剤は、当該錠剤の表層上にコーティングを有しうる又は腸溶コーティングをともなう粉末又は顆粒を含んで成る錠剤でありうる。
【0035】
本発明の医薬組成物の好適な単位投与形態は、典型的に0.5〜100mgの、新規アトルバスタチンヘミカルシウム形態XVIII及びXIV、もしくはその混合物、もしくはアトルバスタチンヘミカルシウムの他の形態との混合物のうちの1つを含む。一層通常は、単位投与形態のアトルバスタチンヘミカルシウム形態の組み合わせ重量は、2.5mg〜80mgである。
【0036】
医薬製剤を調製するために使用される本発明の結晶質形態は、実質上、他の結晶質形態に対して純粋であって良く、即ち、当該医薬製剤は、(重量で)約10%未満、好適に約5%未満、そして一層好適には約1%の他のアトルバスタチンヘミカルシウムの結晶質形態を含む。特に、形態XVIIIを含んで成る医薬製剤は、(重量で)約10%未満、好適に約5%未満、そして一層好適に約1%未満の形態Iを含む。形態XIXを含んで成る医薬製剤は、(重量で)約10%未満、好適に約5%未満、そして一層好適に約5%未満、そして一層更に好適に約1%未満の形態Iを含む。所定の実施態様において、医薬製剤は、(重量で)約10%未満、好適に約5%未満、そして更に一層好適に約1%未満の非晶質アトルバスタチンを含みうる。
【0037】
代わりに、本発明の医薬組成物は、形態XVIII又はアトルバスタチンの他の形態との混合物において一方又は両方を含めうる。しかし、本発明の医薬製剤又は組成物は、25〜100重量%、特に50〜100重量%の形態XVIII又は形態XIXの少なくとも1つを、製剤又は組成物中のアトルバスタチンの総量に基づいて含むことが好適である。好適に、アトルバスタチンヘミカルシウムの新規形態XVIII又は形態XIXの量は例えば、75〜100重量%、特に90〜100重量%である。95〜100重量%が非常に好適な量である。
【0038】
本明細書中、「室温」又は「RT」とは、約18〜25℃、好適には約20〜22℃の温度を示すことを意図する。
【0039】
「治療上有効な量」とは、疾患又は他の不都合な臨床状態を治療するために患者に対して投与された場合、当該疾患又は症状に対して有利な効果を有するために十分である結晶質形態の量を意味する。「治療上有効な量」とは、結晶質形態に、疾患又は症状及びその症度、並びに治療される患者の年齢、体重に依存して変わるだろう。結晶質形態の治療上有効な量を決定することは、当業者の範囲内であり且ルーチン実験をこれ以上必要としない。
【0040】
本発明の所定の方法は、特定の溶媒の結晶化をともなう。当業者は、結晶化の条件は往々にして、獲得される結晶質形態に影響を及ぼすことなく幾分変更されても良いことを理解するだろう。例えば、溶液を形成するために溶媒中でアトルバスタチンヘミカルシウムを混合する場合、当該混合物を暖めることは、出発物質を完全に溶かすために所望でありうる。もし加温により混合物が清澄化しないなら、混合物は、希釈又はろ過されて良い。フィルターに対して、熱混合物が、ろ紙、グラスファイバー、又は他の膜物質、又はセライトなどの清澄剤を通されて良い。使用された装置及び溶液の濃度及び温度に依存して、ろ過装置は、未熟結晶化を避けるために予め加熱することが必要となりうる。
【0041】
条件は、沈殿を促すために変えられても良い。沈殿を誘導する好適な方法は、溶媒の溶解度を下げることである。溶媒の溶解度は下げられて良く、例えば、当該溶媒を冷却することによって下げられて良い。沈殿は、溶媒を幾らか蒸発させることによって又はアンチ溶媒(anti-solvent)を加えることによって誘導されても良い。
【0042】
本発明の結晶質形態は、それらのPXRDパターンによって区別されて良い。当該結晶形態は、2〜40度2θの範囲に特徴的なPXRDピークを有する。これらの特徴的なピーク位置によれば、当業者は結晶質形態を同定することができ且それらの結晶質形態不純物を同定及び定量することができる。
【0043】
当業者は、各ピークについて、一般に約±0.2度2θのオーダーのPXDR測定値に含まれた少量の不確定値があることを理解するだろう。従って、本明細書中、PXRDデータは、「A,B,C±0.2度2θにおけるピークをともなうPXRDパターン」の形態において提示されている。これは、件の結晶質形態について、Aにおけるピークは、ある装置中、あるランにより、A±0.2度2θの間のどこかで出現し、Bにおけるピークは、B±0.2度2θで出現しうる、ということを示す。かかる小さな、個々のピークの同定において避けられない確定値は、個々の結晶質形態を同定することについて不確定値が翻訳されることはなく、何故なら、それは一般に、特定のピークではなく、所定の範囲内のピークの特定の組み合わせであり、結晶質形態を曖昧に同定する働きがあるからだ。
【0044】
活性成分の粒子サイズ分布(PSD)は、製剤のキーとなるパラメーターの1つである。粒子サイズを測定するために、以下の主たる方法が使用されて良い:篩、沈降、エレクトロゾーンセンシング(コールターカウンター)、顕微鏡、低角度光散乱光度計(LALLS)。本発明の新規形態は、好適な最大粒子サイズ500μmを有する。好適に、粒子サイズは300μm未満、200μm未満、100μm未満、又は50μm未満である。
【0045】
所定の好適な実施態様を参照することにより本発明は記載されており、他の実施態様は、当業者に明細書の検討事項から明らかであろう。本発明は更に、本発明の組成物の調製及び方法を詳細に記載している下の例によって更に規定される。材料と方法の両方に関する多くの変更が本発明の範囲を逸脱することなく行われて良いことは当業者に明らかだろう。
【実施例】
【0046】
実施例
実施例1:形態XVIIIを調製するための方法
アセトン(70ml)中、アトルバスタチンヘミカルシウム塩結晶形態V(10g)のスラリーを、完全に溶解させるために、室温で8時間に渡り撹拌した。獲得した溶液を室温で更に40時間に渡り撹拌し、巨大な沈殿物(precipitant)を獲得した。アセトン(280ml)を、スラリーを希釈するために加えた。産物をろ過によって単離し、そして真空オーブン中40℃で20時間に渡り乾燥させて6.6gのアトルバスタチンヘミカルシウム塩結晶形態XVIIIを獲得した。アセトンの量は13890ppm(1.4%)であった。
【0047】
実施例2:形態XIXを調製するための方法
アセトン(420ml)中、アトルバスタチンヘミカルシウム塩結晶形態V(60g)のスラリーを、完全に溶解させるために、室温で8時間に渡り撹拌した。獲得した溶液を室温で更に64時間に渡り撹拌し、巨大な沈殿物を獲得した。産物をろ過によって単離し、アセトン(4×250ml)で洗浄し、そして真空オーブン中40℃で21時間に渡り乾燥させて59.4gのアトルバスタチンヘミカルシウム塩結晶形態XIXを獲得した。アセトンの量は58695ppm(5.9%)であった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】アトルバスタチンヘミカルシウム形態XVIIIの特徴的X線回折パターンである。
【図2】アトルバスタチンヘミカルシウム形態XIVのアセトン溶媒の特徴的な粉末X線回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アトルバスタチンヘミカルシウム塩アセトン溶媒和物。
【請求項2】
3.8、8.0、8.9及び10.4±0.2度2θにおいてPXRDピークを有することを特徴とする、結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項3】
3.0、18.0、18.8、19.6及び20.6±0.2度2θにおけるPXRDピークを更に特徴とする、請求項2に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項4】
図1に実質上描かれたPXRDスペクトルを有する、請求項2に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項5】
アセトン溶媒和物である、請求項2に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項6】
最大で約1.5%のアセトンを含む、請求項5に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項7】
最大で約1.4%のアセトンを含む、請求項6に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項8】
約10%(重量で)未満のアトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを含む、請求項2に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項9】
約5%(重量で)未満のアトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを含む、請求項8に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項10】
約1%(重量で)未満のアトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを含む、請求項9に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項11】
3.3、4.2、5.6及び8.2±0.2度2θにおけるピークを有するPXRDパターンを特徴とする、結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項12】
17.0、19.2及び22.0±0.2度2θにおけるPXRDピークを更に特徴とする、請求項11に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項13】
図2に実質上描かれたPXRDスペクトルを有する、請求項11に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項14】
アセトン溶媒和物である、請求項11に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項15】
最大で約6.0%のアセトンを含む、請求項14に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項16】
最大で約5.9%のアセトンを含む、請求項15に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項17】
約10%(重量で)未満のアトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを含む、請求項11に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項18】
約5%(重量で)未満のアトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを含む、請求項17に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項19】
約1%(重量で)未満のアトルバスタチンヘミカルシウム形態Iを含む、請求項18に記載の結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム。
【請求項20】
3.0、8.0、8.9及び10.4±0.2度2θにおけるピークを有するPXRDパターンを特徴とする結晶質アトルバスタチンヘヘミカルシウムを調製する方法であって:
(a)アトルバスタチンヘミカルシウムをアセトン中に溶かして溶液を形成し;
(b)当該溶液を沈殿が獲得されるまで維持し;そして
(c)当該沈殿を回収する
ことを含んで成る方法。
【請求項21】
段階(b)が約40〜約70時間に渡り撹拌することを含んで成る、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記温度が約室温である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法を行うことを含んで成る約3.3、4.2、5.6及び8.2±0.2度2θにおけるPXRDピークを特徴とする結晶質アトルバスタチンヘミカルシウムを調製する方法であって、ここでアトルバスタチンヘミカルシウム及びアセトンの量は、約4〜約8の係数によってスケールアップされる方法。
【請求項24】
前記アトルバスタチンヘミカルシウム及びアセトンの量を、約6の係数によってスケールアップする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
結晶質アトルバスタチンヘミカルシウム形態XVIII又は形態XIXを調製する方法であって:
(a)アトルバスタチンヘミカルシウムをアセトン中に溶かして溶液を形成し;
(b)当該溶液を沈殿が獲得されるまで維持し;そして
(c)当該沈殿を回収する
ことを含んで成る方法。
【請求項26】
段階(a)におけるアトルバスタチン:アセトンの比が約1:7mlである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
段階(a)において溶かしたアトルバスタチン量を、段階(b)においてアトルバスタチンヘミカルシウム形態XVIIIの沈殿を生み出すように調整する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
段階(a)において溶かすアトルバスタチンの量が約10gである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
段階(a)に溶かしたアトルバスタチンの量を、段階(b)においてアトルバスタチン形態XIXの沈殿を生み出すように調整する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
段階(a)において溶かしたアトルバスタチンの量が約60gである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
1種類以上の医薬的に許容できる賦形剤と、請求項2又は11に記載のアトルバスタチンの結晶質形態の少なくとも1つを組み合わせることによって調製した医薬組成物。
【請求項32】
患者へ治療上有効な量の請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含んで成る、高コレステロール血症又は高脂血症の患者を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−505944(P2007−505944A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528334(P2006−528334)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/026015
【国際公開番号】WO2006/012499
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】