説明

アナログ積算信号処理回路及び距離移動速度計測装置

【課題】高分解能で高速なADCを実装することなく、高精度かつ高速な計測を行うことができる距離移動速度計測装置を得ることを目的とする。
【解決手段】電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出回路11により電気信号Vinのピークが検出された時点の電圧値Vs1を保持する測距回路12や、測距回路12における電圧値Vs1の上昇率と異なる上昇率で、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇し、そのピーク検出回路11により電気信号Vinのピークが検出された時点の電圧値Vs2を保持する測距回路13などを備えているアナログ積算信号処理回路6を実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターゲットまでの距離とターゲットの移動速度を計測する距離移動速度計測装置と、その距離移動速度計測装置に実装されるアナログ積算信号処理回路とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、パルスレーダなどのレーダシステムに搭載されている距離移動速度計測装置は、送信機からパルス信号が送信されたのち、受信機が目標物に反射されたパルス信号を受信すると、その受信信号をAD(Analog to Digital)変換し、その後、ディジタルデータを信号処理する。
そして、距離移動速度計測装置は、パルス信号の送信時間と受信信号の受信時間との差分を求め、その差分からターゲットまでの距離とターゲットの移動速度を演算するようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
なお、受信信号が所望のSNR(Signal Noise Ratio)以下の場合には、複数のパルス信号を送信して、複数の受信信号を積算処理することでSNRを改善するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−254873号公報(第5頁から第7頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の距離移動速度計測装置は以上のように構成されているので、AD変換後に積算処理を実施してSNRの改善を図る場合、計測時間内の時系列データの全てをAD変換する必要がある。そのため、高精度かつ高速な計測を行う場合、高分解能で高速なADC(Analog to Digital Converter)を実装してAD変換を行う必要があり、コストが増加する課題があった。また、AD変換された時系列データが膨大となり、積算処理に多くの時間を要する課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、高分解能で高速なADCを実装することなく、高精度かつ高速な計測を行うことができる距離移動速度計測装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、高精度かつ高速な計測を行うことが可能な距離移動速度計測装置に実装されるアナログ積算信号処理回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る距離移動速度計測装置は、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出手段により入力信号のピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第1の測距手段と、第1の測距手段における電圧値の上昇率と異なる上昇率で、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、そのピーク検出手段により入力信号のピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第2の測距手段と、第1の測距手段により保持されている電圧値又は第2の測距手段により保持されている電圧値を交互に選択する電圧値選択手段と、その電圧値選択手段により選択された電圧値を積分して、その電圧値の積分結果を出力する第1の積分手段と、第2の測距手段により保持されている電圧値を積分して、その電圧値の積分結果を出力する第2の積分手段とを備えたアナログ積算信号処理回路を実装するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出手段により入力信号のピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第1の測距手段と、第1の測距手段における電圧値の上昇率と異なる上昇率で、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、そのピーク検出手段により入力信号のピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第2の測距手段と、第1の測距手段により保持されている電圧値又は第2の測距手段により保持されている電圧値を交互に選択する電圧値選択手段と、その電圧値選択手段により選択された電圧値を積分して、その電圧値の積分結果を出力する第1の積分手段と、第2の測距手段により保持されている電圧値を積分して、その電圧値の積分結果を出力する第2の積分手段とを備えたアナログ積算信号処理回路を実装するように構成したので、高分解能で高速なADCを実装することなく、高精度かつ高速な計測を行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による距離移動速度計測装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による距離移動速度計測装置のアナログ積算信号処理回路6を示す構成図である。
【図3】SC回路15a,16aの内部を示す構成図である。
【図4】連続積分回路15b,16bの内部を示す構成図である。
【図5】アナログ積算処理回路6における各信号のタイミングチャートを示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3による距離移動速度計測装置のアナログ積算信号処理回路6を示す構成図である。
【図7】アナログ積算処理回路6における各信号のタイミングチャートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による距離移動速度計測装置を示す構成図である。
図1において、制御回路1は距離移動速度計測装置全体の制御を司る回路である。
タイミング回路2は制御回路1の指示の下、電磁波であるパルスの送信周期で送信系3を駆動する回路である。
送信系3は送信機やアンテナなどから構成されており、タイミング回路2により駆動されると、パルスをターゲット4に向けて送信する処理を実施する。
なお、タイミング回路2及び送信系3から送信手段が構成されている。
【0010】
ターゲット4は距離移動速度計測装置が計測する対象の目標物である。
受信系5は受信機やアンテナなどから構成されており、送信系3から送信されてターゲット4に反射されたパルスを受信し、そのパルスを電気信号Vinに変換して、アナログ積算信号処理回路6に出力する処理を実施する。なお、受信系5は受信手段を構成している。
アナログ積算信号処理回路6は受信系5から出力された電気信号Vinを入力し、制御回路1の指示の下で所定の積算信号処理を実施して、その積算信号処理結果として電圧値ΣV1,ΣV2をAD変換器7に出力する処理を実施する。
【0011】
AD変換器7はアナログ積算信号処理回路6から出力された電圧値ΣV1,ΣV2をAD変換して、その電圧値ΣV1,ΣV2を示すディジタルデータを演算装置8に出力する処理を実施する。
演算装置8はAD変換器7から出力されたディジタルデータに基づいてターゲット4までの距離L及びターゲット4の移動速度Sを演算する装置である。
なお、AD変換器7及び演算装置8から演算手段が構成されている。
【0012】
図2はこの発明の実施の形態1による距離移動速度計測装置のアナログ積算信号処理回6路を示す構成図である。
図2において、ピーク検出回路11は受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号Vpを出力する。なお、ピーク検出回路11はピーク検出手段を構成している。
【0013】
測距回路12は電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点の電圧値Vs1を保持する処理を実施する。なお、測距回路12は第1の測距手段を構成している。
測距回路12のTAC(Time to Amplitude Converter)12aは例えばランプ電圧回路で構成されており、制御回路1の指示の下、ピーク検出回路11が電気信号Vinの入力を開始する時点から、所定の上昇率で電圧値Vs1の充電を開始する回路である。
測距回路12のサンプルホールド回路(以下、「S/H回路」と称する)12bはピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点のTAC12aの出力電圧である電圧値Vs1を保持する処理を実施する。
【0014】
測距回路13は測距回路12における電圧値Vs1の上昇率と異なる上昇率で、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点の電圧値Vs2を保持する処理を実施する。なお、測距回路13は第2の測距手段を構成している。
測距回路13のTAC13aは例えばランプ電圧回路で構成されており、制御回路1の指示の下、ピーク検出回路11が電気信号Vinの入力を開始する時点から、TAC12aと異なる上昇率で電圧値Vs2の充電を開始する回路である。
測距回路13のS/H回路13bはピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点のTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2を保持する処理を実施する。
【0015】
スイッチ14は制御回路1の指示の下、測距回路12のS/H回路12bにより保持されている電圧値Vs1又は測距回路13のS/H回路13bにより保持されている電圧値Vs2を交互に選択し、その選択した電圧値Vs1又はVs2を積分回路15に与える処理を実施する。なお、スイッチ14は電圧値選択手段を構成している。
【0016】
積分回路15はスイッチトキャパシタ回路(以下、「SC回路」と称する)15aと連続積分回路15bから構成されており、スイッチ14により選択された電圧値Vs1,Vs2の離散積分を実施して、その電圧値の積分結果である電圧値ΣV1をAD変換器7に出力する処理を実施する。なお、積分回路15は第1の積分手段を構成している。
積分回路16はSC回路16aと連続積分回路16bから構成されており、測距回路13のS/H回路13bにより保持されている電圧値Vs2の離散積分を実施して、その電圧値Vs2の積分結果である電圧値ΣV2をAD変換器7に出力する処理を実施する。なお、積分回路16は第2の積分手段を構成している。
【0017】
図3はSC回路15a,16aの内部を示す構成図である。
図3において、スイッチ21は制御回路1から出力されるクロックφ1がHレベルになるとオンになり、S/H回路12b(またはS/H回路13b)から出力された電圧値が容量22に保持される。
スイッチ23は制御回路1から出力されるクロックφ2(クロックφ1と逆位相のクロック)がHレベル(=クロックφ1がLレベル)になるとオンになり、容量22に保持されている電圧値に対応する電荷が連続積分回路15b(または連続積分回路16b)に移動する。
スイッチ24は制御回路1から出力されるクロックφ2がHレベルになるとオンになり、容量22の入力側がグランドと接続される。
スイッチ25は制御回路1から出力されるクロックφ1がHレベルになるとオンになり、容量22の出力側がグランドと接続される。
【0018】
図4は連続積分回路15b,16bの内部を示す構成図である。
図4の例では、連続積分回路15b,16bは、抵抗31、容量32及びオペアンプ33から構成されており、SC回路15a,16aから出力された電荷が容量32に移動する。
【0019】
次に動作について説明する。
この実施の形態1では、距離移動速度計測装置をパルスレーダとして使用し、ターゲット4に向けてパルスを3回送信する場合について説明する。
この場合、アナログ積算処理回路6はパルスレーダの信号処理回路として使用される。
図5はアナログ積算処理回路6における各信号のタイミングチャートを示す説明図である。
なお、ターゲット4は、説明の便宜上、パルスレーダに対して、等速で移動しているものとする。
【0020】
タイミング回路2は、制御回路1の指示の下、パルスの送信周期Δtで送信系3を駆動する。
送信系3は、タイミング回路2により駆動されると、送信周期Δtでパルスをターゲット4に向けて送信する。
受信系5は、送信系3から送信されてターゲット4に反射されたパルスを受信し、そのパルスを電気信号Vinに変換してアナログ積算信号処理回路6に出力する。
【0021】
制御回路1は、送信系3からパルスが送信される前に、リセット信号Vrをアナログ積算信号処理回路6のTAC12a,13aに出力して、TAC12a,13aに充電されている電圧値を0にリセットする。
制御回路1は、図5に示すように、送信系3からパルスが送信されると同時に、アナログ積算信号処理回路6に対するゲート信号Vgを立ち上げて、あらかじめ決められている時間幅だけ、そのゲート信号VgをHレベルとする。
【0022】
アナログ積算信号処理回路6は、ゲート信号VgがHレベルの期間だけ、受信系5から出力される電気信号Vinの処理を行う。
即ち、測距回路12のTAC12aは、図5に示すように、電圧値Vs1が2a・tの傾き(上昇率)で充電されるランプ電圧回路であり、送信系3から1つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、2a・tの傾きで、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇する。ここで、aは任意の実数であり、tは経過時間である。
測距回路13のTAC13aは、図5に示すように、電圧値Vs2がa・tの傾き(上昇率)で充電されるランプ電圧回路であり、送信系3から1つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、a・tの傾きで、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇する。
【0023】
ピーク検出回路11は、受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号VpをS/H回路12b,13bに出力する。
図5の例では、ピーク検出回路11は、時刻t=t0で電気信号Vinのピークを検出している。
【0024】
測距回路12のS/H回路12bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0でピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0におけるTAC12aの出力電圧である電圧値Vs1(=2a・t0)を保持する。
測距回路13のS/H回路13bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0でピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0におけるTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2(=a・t0)を保持する。
【0025】
スイッチ14は、リセット信号Vrの立下りで入力端子の接続先が交互に切り換わるように制御される。
即ち、スイッチ14の入力端子の接続先が、リセット信号Vrの立下りで、「S/H回路12bの出力端子→S/H回路13bの出力端子→S/H回路12bの出力端子→S/H回路13bの出力端子→・・・」のようにスイッチングされる。ただし、初期状態ではS/H回路12bの出力端子と接続されるものとする。
【0026】
制御回路1は、ゲート信号VgがLレベルになって、1つ目のパルスによる測距回路12,13の測距が終了すると、図5に示すように、Hレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を積分回路15,16に出力する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
また、初期状態では、スイッチ14の入力端子がS/H回路12bの出力端子と接続されているため、SC回路15aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路12bに保持されている電圧値Vs1(=2a・t0)が与えられる。
【0027】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路16aの入力端子は常にS/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路16aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a・t0)が与えられる。
【0028】
次に、制御回路1は、図5に示すように、クロックφ1の信号レベルをHレベルからLレベルに遷移して、クロックφ2の信号レベルをLレベルからHレベルに遷移する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路15aの容量22に保持されていた電圧値Vs1(=2a・t0)に対応する電荷が連続積分回路15bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路15bの出力電圧が電圧値ΣV1(=2a・t0)となり、その電圧値ΣV1がAD変換器7に出力される。
【0029】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路16aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a・t0)に対応する電荷が連続積分回路16bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路16bの出力電圧が電圧値ΣV2(=a・t0)となり、その電圧値ΣV2がAD変換器7に出力される。
【0030】
その後、制御回路1は、図5に示すように、リセット信号Vrをアナログ積算処理回路6に出力する。
これにより、アナログ積算処理回路6におけるスイッチ14の入力端子の接続先が、S/H回路12bからS/H回路13bの出力端子に切り替わる。
また、TAC12a,13aに充電されている電圧値が0にリセットされる。
【0031】
送信系3は、1つ目のパルスを送信した時刻から時間Δtが経過すると、タイミング回路2により駆動されて、2つ目のパルスをターゲット4に向けて送信する。
制御回路1は、送信系3から2つ目のパルスが送信されると同時に、アナログ積算信号処理回路6に対するゲート信号Vgを立ち上げて、あらかじめ決められている時間幅だけ、そのゲート信号VgをHレベルとする。
【0032】
測距回路12のTAC12aは、送信系3から2つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、2a・tの傾きで、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇する。
また、測距回路13のTAC13aも、送信系3から2つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、a・tの傾きで、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇する。
【0033】
ピーク検出回路11は、受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号VpをS/H回路12b,13bに出力する。
ターゲット4が時間Δtの間に、t0からΔtの時間分移動しているとすると、図5に示すように、時刻t=t0+Δtで、電気信号Vinのピークを検出する。
【0034】
測距回路12のS/H回路12bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+ΔtにおけるTAC12aの出力電圧である電圧値Vs1(=2a(t0+Δt))を保持する。
測距回路13のS/H回路13bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+ΔtにおけるTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2(=a(t0+Δt))を保持する。
【0035】
制御回路1は、ゲート信号VgがLレベルになって、2つ目のパルスによる測距回路12,13の測距が終了すると、図5に示すように、Hレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を積分回路15,16に出力する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
また、送信系3から2つ目のパルスが送信される前に、スイッチ14の入力端子がS/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路15aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a(t0+Δt))が与えられる。
【0036】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路16aの入力端子は常にS/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路16aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a(t0+Δt))が与えられる。
【0037】
次に、制御回路1は、図5に示すように、クロックφ1の信号レベルをHレベルからLレベルに遷移して、クロックφ2の信号レベルをLレベルからHレベルに遷移する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路15aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a(t0+Δt))に対応する電荷が連続積分回路15bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路15bの出力電圧が電圧値ΣV1(=2a・t0+a(t0+Δt))となり、その電圧値ΣV1がAD変換器7に出力される。
【0038】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路16aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a(t0+Δt))に対応する電荷が連続積分回路16bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路16bの出力電圧が電圧値ΣV2(=a・t0+a(t0+Δt))となり、その電圧値ΣV2がAD変換器7に出力される。
【0039】
その後、制御回路1は、図5に示すように、リセット信号Vrをアナログ積算処理回路6に出力する。
これにより、アナログ積算処理回路6におけるスイッチ14の入力端子の接続先が、S/H回路13bからS/H回路12bの出力端子に切り替わる。
また、TAC12a,13aに充電されている電圧値が0にリセットされる。
【0040】
送信系3は、2つ目のパルスを送信した時刻から時間Δtが経過すると、タイミング回路2により駆動されて、3つ目のパルスをターゲット4に向けて送信する。
制御回路1は、送信系3から3つ目のパルスが送信されると同時に、アナログ積算信号処理回路6に対するゲート信号Vgを立ち上げて、あらかじめ決められている時間幅だけ、そのゲート信号VgをHレベルとする。
【0041】
測距回路12のTAC12aは、送信系3から3つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、2a・tの傾きで、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇する。
また、測距回路13のTAC13aも、送信系3から3つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、a・tの傾きで、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇する。
【0042】
ピーク検出回路11は、受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号VpをS/H回路12b,13bに出力する。
ターゲット4が時間Δtの間に、t0から2Δtの時間分移動しているとすると、図5に示すように、時刻t=t0+2Δtで、電気信号Vinのピークを検出する。
【0043】
測距回路12のS/H回路12bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+2Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+2ΔtにおけるTAC12aの出力電圧である電圧値Vs1(=2a(t0+2Δt))を保持する。
測距回路13のS/H回路13bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+2Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+2ΔtにおけるTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2(=a(t0+2Δt))を保持する。
【0044】
制御回路1は、ゲート信号VgがLレベルになって、3つ目のパルスによる測距回路12,13の測距が終了すると、図5に示すように、Hレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を積分回路15,16に出力する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
また、送信系3から3つ目のパルスが送信される前に、スイッチ14の入力端子がS/H回路12bの出力端子と接続されているため、SC回路15aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路12bに保持されている電圧値Vs1(=2a(t0+2Δt))が与えられる。
【0045】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路16aの入力端子は常にS/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路16aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a(t0+2Δt))が与えられる。
【0046】
次に、制御回路1は、図5に示すように、クロックφ1の信号レベルをHレベルからLレベルに遷移して、クロックφ2の信号レベルをLレベルからHレベルに遷移する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路15aの容量22に保持されていた電圧値Vs1(=2a(t0+2Δt))に対応する電荷が連続積分回路15bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路15bの出力電圧が電圧値ΣV1(=2a・t0+a(t0+Δt)+2a(t0+2Δt))となり、その電圧値ΣV1がAD変換器7に出力される。
【0047】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路16aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a(t0+Δt))に対応する電荷が連続積分回路16bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路16bの出力電圧が電圧値ΣV2(=a・t0+a(t0+Δt)+a(t0+2Δt))となり、その電圧値ΣV2がAD変換器7に出力される。
【0048】
ここで、測定を終了したとすると、アナログ積算処理回路6からAD変換器7に出力される電圧値ΣV1,ΣV2は下記の通りとなる。
ΣV1=2a・t0+a(t0+Δt)+2a(t0+2Δt)
=5a・t0+5a・Δt (1)
ΣV2=a・t0+a(t0+Δt)+a(t0+2Δt)
=3a・t0+3a・Δt (2)
【0049】
AD変換器7は、アナログ積算信号処理回路6から電圧値ΣV1,ΣV2を受けると、その電圧値ΣV1,ΣV2をAD変換して、その電圧値ΣV1,ΣV2を示すディジタルデータを演算装置8に出力する。
演算装置8は、AD変換器7から電圧値ΣV1,ΣV2を示すディジタルデータを受けると、そのディジタルデータに基づいてターゲット4までの距離L及びターゲット4の移動速度Sを演算する。
【0050】
即ち、演算装置8は、電圧値ΣV1,ΣV2を用いて、上記の式(1)(2)の連立方程式を解くことで未知数t0,Δtを求め、そのt0,Δtを下記の式(3)(4)に代入して、ターゲット4までの距離Lとターゲット4の移動速度Sを演算する。
L=(t0・C)/2 (3)
S=(Δt・C)/(2・Δt) (4)
ただし、Cは光速である。
【0051】
なお、この実施の形態1では、3つのパルスを送信することで、3個の信号を積算するものについて示したが、SNRについては、n個の信号を積算することで、受信電力がn倍になり、雑音がn倍になるため、10logN[dB]だけ改善される。
また、任意の定数aを適切な値とすることで、アナログ積算信号処理回路6のノイズはほぼ無視できるものとなる。
【0052】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出回路11により電気信号Vinのピークが検出された時点の電圧値Vs1を保持する測距回路12と、測距回路12における電圧値Vs1の上昇率と異なる上昇率で、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇し、そのピーク検出回路11により電気信号Vinのピークが検出された時点の電圧値Vs2を保持する測距回路13と、測距回路12により保持されている電圧値Vs1又は測距回路13により保持されている電圧値Vs2を交互に選択するスイッチ14と、スイッチ14により選択された電圧値を積分して、その電圧値の積分結果ΣV1を出力する積分回路15と、測距回路13により保持されている電圧値を積分して、その電圧値の積分結果ΣV2を出力する積分回路16とを備えたアナログ積算信号処理回路6を実装するように構成したので、高分解能で高速なADCを実装することなく、高精度かつ高速な計測を行うことができる効果を奏する。
即ち、上記のアナログ積算信号処理回路6を実装しているため、SNRを改善しつつ、高速かつ高分解能な計測が可能になり、AD変換器7と演算装置8の負担を減らすことが可能となる。
【0053】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、2個の測距回路12,13と、2個の積分回路15,16とが実装されているアナログ積算信号処理回路6について示したが、n個の測距回路と、n個の積分回路15,16とが実装されているアナログ積算信号処理回路6であってもよい。
例えば、3個の測距回路と、3個の積分回路とが実装されている場合を考える。ただし、この場合、3個の測距回路を測距回路a,測距回路b,測距回路c、3個の積分回路を積分回路a,積分回路b,積分回路cで区別する。
また、測距回路aが実装しているTACにおける出力電圧値の上昇率がa・t、測距回路bが実装しているTACにおける出力電圧値の上昇率が2a・t、測距回路cが実装しているTACにおける出力電圧値の上昇率が3a・tであるとする。
【0054】
このとき、送信系3から3個のパルスが送信され、受信系5によりターゲット4に反射されたパルスを時刻t0,t1,t2で受信されたものとする。
スイッチ14に相当するスイッチによって、積分回路aが測距回路aの出力電圧値→測距回路aの出力電圧値→測距回路aの出力電圧値の順番で積分し、積分回路bが測距回路aの出力電圧値→測距回路bの出力電圧値→測距回路cの出力電圧値の順番で積分し、積分回路cが測距回路cの出力電圧値→測距回路bの出力電圧値→測距回路aの出力電圧値の順番で積分するものとすると、下記の式(5)〜(7)が成立する。
ΣV1=a・t0+a・t1+a・t2 (5)
ΣV2=a・t0+2a・t1+3a・t2 (6)
ΣV3=3a・t0+2a・t1+a・t2 (7)
ただし、ΣV1は積分回路aから出力される電圧値、ΣV2は積分回路bから出力される電圧値、ΣV3は積分回路cから出力される電圧値である。
【0055】
この場合、3つの式(5)〜(7)が成立するので、3つの未知数t0,t1,t2を求めることが可能である。
即ち、演算装置8は、電圧値ΣV1,ΣV2,ΣV3を用いて、上記の式(5)〜(7)の連立方程式を解くことで未知数t0,t1,t2を求め、そのt0,t1,t2を下記の式(8)(9)に代入して、ターゲット4までの距離Lとターゲット4の移動速度Sを演算する。
また、そのt0,t1,t2を下記の式(10)に代入して、ターゲット4の加速度Aを演算する。
【数1】

【0056】
このように、3個の測距回路と、3個の積分回路とが実装されている場合、ターゲット4までの距離Lや、ターゲット4の移動速度Sの他に、ターゲット4の加速度Aも演算することができる。
【0057】
なお、この実施の形態2では、スイッチ14に相当するスイッチによって、積分回路aが測距回路aの出力電圧値→測距回路aの出力電圧値→測距回路aの出力電圧値の順番で積分し、積分回路bが測距回路aの出力電圧値→測距回路bの出力電圧値→測距回路cの出力電圧値の順番で積分し、積分回路cが測距回路cの出力電圧値→測距回路bの出力電圧値→測距回路aの出力電圧値の順番で積分するものについて示したが、n個の積分回路が相互に異なる電圧値を積分することができれば、上記の順番で積分するものに限るものではない。
このため、スイッチ14に相当するスイッチが、n個の積分回路が相互に異なる電圧値を積分するように、n個の測距回路とn個の積分回路の接続を予め設定されたパターンで切り替えればよい。
【0058】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3による距離移動速度計測装置のアナログ積算信号処理回6路を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
測距回路17は時間の経過に伴って変化する上昇率(a・t→2a・t→3a・t)で、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点の電圧値Vs1を保持する処理を実施する。なお、測距回路12は第1の測距手段を構成している。
【0059】
測距回路17のTAC17aは例えばランプ電圧回路で構成されており、制御回路1の指示の下、ピーク検出回路11が電気信号Vinの入力を開始する時点から、時間の経過に伴って変化する上昇率(a・t→2a・t→3a・t)で、電圧値Vs1の充電を開始する回路である。
ここでは、TAC17aにおける電圧値Vs1の上昇率が、a・t→2a・t→3a・tの順番で切り替えられるものを示すが、予め設定されたパターンで切り替えられるものであれば、上記の順番に限るものではない。
測距回路17のS/H回路17bはピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点のTAC17aの出力電圧である電圧値Vs1を保持する処理を実施する。
【0060】
次に動作について説明する。
この実施の形態3でも、距離移動速度計測装置をパルスレーダとして使用し、ターゲットに向けてパルスを3回送信する場合について説明する。
図7はアナログ積算処理回路6における各信号のタイミングチャートを示す説明図である。
なお、ターゲット4は、説明の便宜上、パルスレーダに対して、等速で移動しているものとする。
【0061】
タイミング回路2は、制御回路1の指示の下、パルスの送信周期Δtで送信系3を駆動する。
送信系3は、タイミング回路2により駆動されると、送信周期Δtでパルスをターゲット4に向けて送信する。
受信系5は、送信系3から送信されてターゲット4に反射されたパルスを受信し、そのパルスを電気信号Vinに変換してアナログ積算信号処理回路6に出力する。
【0062】
制御回路1は、上記実施の形態1と同様に、送信系3からパルスが送信される前に、リセット信号Vrをアナログ積算信号処理回路6のTAC17a,13aに出力して、TAC17a,13aに充電されている電圧値を0にリセットする。
制御回路1は、図7に示すように、送信系3からパルスが送信されると同時に、アナログ積算信号処理回路6に対するゲート信号Vgを立ち上げて、あらかじめ決められている時間幅だけ、そのゲート信号VgをHレベルとする。
【0063】
測距回路17のTAC17aは、図7に示すように、電圧値Vs1が時間の経過に伴って変化する上昇率(a・t→2a・t→3a・t)で充電されるランプ電圧回路であり、送信系から1つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、1つ目のパルスの送信時間に対応するa・tの傾きで、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇する。
測距回路13のTAC13aは、図7に示すように、電圧値Vs2がa・tの傾き(固定の上昇率)で充電されるランプ電圧回路であり、送信系から1つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、a・tの傾きで、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇する。
【0064】
ピーク検出回路11は、受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号VpをS/H回路17b,13bに出力する。
図7の例では、ピーク検出回路11は、時刻t0で電気信号Vinのピークを検出している。
【0065】
測距回路17のS/H回路17bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0でピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0におけるTAC17aの出力電圧である電圧値Vs1(=a・t0)を保持する。
測距回路13のS/H回路13bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0でピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0におけるTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2(=a・t0)を保持する。
【0066】
制御回路1は、ゲート信号VgがLレベルになって、1つ目のパルスによる測距回路17,13の測距が終了すると、図7に示すように、Hレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を積分回路15,16に出力する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路15aの入力端子は、S/H回路17bの出力端子と接続されているため、SC回路15aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路17bに保持されている電圧値Vs1(=a・t0)が与えられる。
【0067】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路16の入力端子は、S/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路16aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a・t0)が与えられる。
【0068】
次に、制御回路1は、図7に示すように、クロックφ1の信号レベルをHレベルからLレベルに遷移して、クロックφ2の信号レベルをLレベルからHレベルに遷移する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路15aの容量22に保持されていた電圧値Vs1(=a・t0)に対応する電荷が連続積分回路15bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路15bの出力電圧が電圧値ΣV1(=a・t0)となり、その電圧値ΣV1がAD変換器7に出力される。
【0069】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路16aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a・t0)に対応する電荷が連続積分回路16bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路16bの出力電圧が電圧値ΣV2(=a・t0)となり、その電圧値ΣV2がAD変換器7に出力される。
【0070】
その後、制御回路1は、図7に示すように、リセット信号Vrをアナログ積算処理回路6に出力する。
これにより、TAC17a,13aに充電されている電圧値が0にリセットされる。
【0071】
送信系3は、1つ目のパルスを送信した時刻から時間Δtが経過すると、タイミング回路2により駆動されて、2つ目のパルスをターゲット4に向けて送信する。
制御回路1は、送信系3から2つ目のパルスが送信されると同時に、アナログ積算信号処理回路6に対するゲート信号Vgを立ち上げて、あらかじめ決められている時間幅だけ、そのゲート信号VgをHレベルとする。
【0072】
測距回路12のTAC17aは、送信系3から2つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、2つ目のパルスの送信時間に対応する2a・tの傾きで、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇する。
また、測距回路13のTAC13aも、送信系3から2つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、a・tの傾きで、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇する。
【0073】
ピーク検出回路11は、受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号VpをS/H回路17b,13bに出力する。
ターゲット4が時間Δtの間に、t0からΔtの時間分移動しているとすると、図7に示すように、時刻t=t0+Δtで、電気信号Vinのピークを検出する。
【0074】
測距回路17のS/H回路17bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+ΔtにおけるTAC17aの出力電圧である電圧値Vs1(=2a(t0+Δt))を保持する。
測距回路13のS/H回路13bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+ΔtにおけるTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2(=a(t0+Δt))を保持する。
【0075】
制御回路1は、ゲート信号VgがLレベルになって、2つ目のパルスによる測距回路17,13の測距が終了すると、図7に示すように、Hレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を積分回路15,16に出力する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路15aの入力端子は、S/H回路17bの出力端子と接続されているため、SC回路15aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路17bに保持されている電圧値Vs1(=2a(t0+Δt))が与えられる。
【0076】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路16の入力端子は、S/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路16aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a(t0+Δt))が与えられる。
【0077】
次に、制御回路1は、図7に示すように、クロックφ1の信号レベルをHレベルからLレベルに遷移して、クロックφ2の信号レベルをLレベルからHレベルに遷移する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路15aの容量22に保持されていた電圧値Vs1(=2a(t0+Δt))に対応する電荷が連続積分回路15bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路15bの出力電圧が電圧値ΣV1(=a・t0+2a(t0+Δt))となり、その電圧値ΣV1がAD変換器7に出力される。
【0078】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路16aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a(t0+Δt))に対応する電荷が連続積分回路16bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路16bの出力電圧が電圧値ΣV2(=a・t0+a(t0+Δt))となり、その電圧値ΣV2がAD変換器7に出力される。
【0079】
その後、制御回路1は、図7に示すように、リセット信号Vrをアナログ積算処理回路6に出力する。
これにより、TAC17a,13aに充電されている電圧値が0にリセットされる。
【0080】
送信系3は、2つ目のパルスを送信した時刻から時間Δtが経過すると、タイミング回路2により駆動されて、3つ目のパルスをターゲット4に向けて送信する。
制御回路1は、送信系3から3つ目のパルスが送信されると同時に、アナログ積算信号処理回路6に対するゲート信号Vgを立ち上げて、あらかじめ決められている時間幅だけ、そのゲート信号VgをHレベルとする。
【0081】
測距回路12のTAC17aは、送信系3から3つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、3つ目のパルスの送信時間に対応する3a・tの傾きで、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇する。
また、測距回路13のTAC13aも、送信系3から3つ目のパルスが送信されると同時に、制御回路1から出力されるゲート信号VgがHレベルになると、a・tの傾きで、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇する。
【0082】
ピーク検出回路11は、受信系5から出力された電気信号Vinのピークを検出する処理を実施し、ピークの検出時にピーク検出信号VpをS/H回路17b,13bに出力する。
ターゲット4が時間Δtの間に、t0から2Δtの時間分移動しているとすると、図7に示すように、時刻t=t0+2Δtで、電気信号Vinのピークを検出する。
【0083】
測距回路17のS/H回路17bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+2Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+2ΔtにおけるTAC17aの出力電圧である電圧値Vs1(=3a(t0+2Δt))を保持する。
測距回路13のS/H回路13bは、ピーク検出回路11から時刻t=t0+2Δtでピーク検出信号Vpを受けると、時刻t=t0+2ΔtにおけるTAC13aの出力電圧である電圧値Vs2(=a(t0+2Δt))を保持する。
【0084】
制御回路1は、ゲート信号VgがLレベルになって、3つ目のパルスによる測距回路12,13の測距が終了すると、図7に示すように、Hレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を積分回路15,16に出力する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路15aの入力端子は、S/H回路17bの出力端子と接続されているため、SC回路15aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路17bに保持されている電圧値Vs1(=3a(t0+2Δt))が与えられる。
【0085】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からHレベルのクロックφ1とLレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオンになり、スイッチ23,24がオフになる。
SC回路16の入力端子は、S/H回路13bの出力端子と接続されているため、SC回路16aの容量22には、クロックφ1の立ち上がりで、S/H回路13bに保持されている電圧値Vs2(=a(t0+2Δt))が与えられる。
【0086】
次に、制御回路1は、図7に示すように、クロックφ1の信号レベルをHレベルからLレベルに遷移して、クロックφ2の信号レベルをLレベルからHレベルに遷移する。
積分回路15のSC回路15aは、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路15aの容量22に保持されていた電圧値Vs1(=3a(t0+2Δt))に対応する電荷が連続積分回路15bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路15bの出力電圧が電圧値ΣV1(=a・t0+2a(t0+Δt)+3a(t0+2Δt))となり、その電圧値ΣV1がAD変換器7に出力される。
【0087】
積分回路16のSC回路16aも、SC回路15aと同様に、制御回路1からLレベルのクロックφ1とHレベルのクロックφ2を受けると、スイッチ21,25がオフになり、スイッチ23,24がオンになる。
これにより、SC回路16aの容量22に保持されていた電圧値Vs2(=a(t0+2Δt))に対応する電荷が連続積分回路16bの容量32に移動する。
このため、連続積分回路16bの出力電圧が電圧値ΣV2(=a・t0+a(t0+Δt)+a(t0+2Δt))となり、その電圧値ΣV2がAD変換器7に出力される。
【0088】
ここで、測定を終了したとすると、アナログ積算処理回路6からAD変換器7に出力される電圧値ΣV1,ΣV2は下記の通りとなる。
ΣV1=a・t0+2a(t0+Δt)+3a(t0+2Δt)
=6a・t0+8a・Δt (11)
ΣV2=a・t0+a(t0+Δt)+a(t0+2Δt)
=3a・t0+3a・Δt (12)
【0089】
AD変換器7は、アナログ積算信号処理回路6から電圧値ΣV1,ΣV2を受けると、その電圧値ΣV1,ΣV2をAD変換して、その電圧値ΣV1,ΣV2を示すディジタルデータを演算装置8に出力する。
演算装置8は、AD変換器7から電圧値ΣV1,ΣV2を示すディジタルデータを受けると、そのディジタルデータに基づいてターゲット4までの距離及びターゲット4の移動速度を演算する。
即ち、演算装置8は、電圧値ΣV1,ΣV2を用いて、上記の式(11)(12)の連立方程式を解くことで未知数t0,Δtを求め、そのt0,Δtを上記の式(3)(4)に代入して、ターゲット4までの距離Lとターゲット4の移動速度Sを演算する。
【0090】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、時間の経過に伴って変化する上昇率(a・t→2a・t→3a・t)で、電圧値Vs1が時間の経過に伴って上昇し、ピーク検出回路11からピーク検出信号Vpが出力された時点の電圧値Vs1を保持する測距回路17と、固定の上昇率(a・t)で、電圧値Vs2が時間の経過に伴って上昇し、そのピーク検出回路11により電気信号Vinのピークが検出された時点の電圧値Vs2を保持する測距回路13と、測距回路17により保持されている電圧値Vs1を積分して、その電圧値Vs1の積分結果ΣV1を出力する積分回路15と、測距回路13により保持されている電圧値Vs2を積分して、その電圧値Vs2の積分結果ΣV2を出力する積分回路16とを備えたアナログ積算信号処理回路6を実装するように構成したので、高分解能で高速なADCを実装することなく、高精度かつ高速な計測を行うことができる効果を奏する。
【0091】
即ち、上記のアナログ積算信号処理回路6を実装しているため、SNRを改善しつつ、高速かつ高分解能な計測が可能になり、AD変換器7と演算装置8の負担を減らすことが可能となる。
また、上記実施の形態1にように、図2のスイッチ14を設ける必要がないため、回路を簡略化することができるとともに、スイッチング時の過渡応答を避けることができる効果を奏する。
【0092】
なお、上記実施の形態1〜3では、距離移動速度計測装置をパルスレーダとして使用するものについて示したが、例えば、アナログ積算信号処理回路6をパルスレーダ以外の測定装置など、他の電子装置内に組み込んで使用することもできる。
【0093】
また、上記実施の形態1〜3では、測距回路がTACとS/H回路から構成されているものを示したが、これに限るものではなく、例えば、そのS/H回路の後段にSC回路が接続されていてもよい。
この場合、測距回路から離散値が出力されるので、後段の積分回路はSC回路が不要になり、連続積分回路だけから構成される。
【0094】
また、上記実施の形態1〜3では、測距回路のTACがランプ電圧回路で構成されているものを示したが、これに限るものではなく、例えば、正弦波や三角波などを出力する回路で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 制御回路、2 タイミング回路(送信手段)、3 送信系(送信手段)、4 ターゲット、5 受信系(受信手段)、6 アナログ積算信号処理回路、7 AD変換器(演算手段)、8 演算装置(演算手段)、11 ピーク検出回路(ピーク検出手段)、12 測距回路(第1の測距手段)、12a TAC、12b S/H回路、13 測距回路(第2の測距手段)、13a TAC、13b S/H回路、14 スイッチ(電圧値選択手段)、15 積分回路(第1の積分手段)、15a SC回路、15b 連続積分回路、16 積分回路(第2の積分手段)、16a SC回路、16b 連続積分回路、17 測距回路(第1の測距手段)、17a TAC、17b S/H回路、21,23〜25 スイッチ、22 容量、31 抵抗、32 容量、33 オペアンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のピークを検出するピーク検出手段と、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第1の測距手段と、上記第1の測距手段における電圧値の上昇率と異なる上昇率で、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第2の測距手段と、上記第1の測距手段により保持されている電圧値又は上記第2の測距手段により保持されている電圧値を交互に選択する電圧値選択手段と、上記電圧値選択手段により選択された電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を出力する第1の積分手段と、上記第2の測距手段により保持されている電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を出力する第2の積分手段とを備えたアナログ積算信号処理回路。
【請求項2】
第1及び第2の測距手段の他に電圧値の上昇率が相互に異なる測距手段を少なくとも1以上設けるとともに、第1及び第2の積分手段の他に積分手段を少なくとも1以上設け、電圧値選択手段が複数の測距手段と複数の積分手段間の接続を予め設定されたパターンで切り替えて、上記複数の積分手段が相互に異なる電圧値を積分することを特徴とする請求項1記載のアナログ積算信号処理回路。
【請求項3】
入力信号のピークを検出するピーク検出手段と、時間の経過に伴って変化する上昇率で、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第1の測距手段と、固定の上昇率で電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第2の測距手段と、上記第1の測距手段により保持されている電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を出力する第1の積分手段と、上記第2の測距手段により保持されている電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を出力する第2の積分手段とを備えたアナログ積算信号処理回路。
【請求項4】
第1の測距手段における電圧値の上昇率が予め設定されたパターンで切り替えられることを特徴とする請求項3記載のアナログ積算信号処理回路。
【請求項5】
所定の時間間隔で繰り返し電磁波をターゲットに向けて送信する送信手段と、上記送信手段から送信されて上記ターゲットに反射された電磁波を受信する受信手段と、上記受信手段により受信された電磁波を示す電気信号を入力するアナログ積算信号処理回路と、上記アナログ積算信号処理回路の出力に基づいて上記ターゲットまでの距離及び上記ターゲットの移動速度を演算する演算手段とを備えた距離移動速度計測装置において、上記アナログ積算信号処理回路が、上記電気信号のピークを検出するピーク検出手段と、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第1の測距手段と、上記第1の測距手段における電圧値の上昇率と異なる上昇率で、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第2の測距手段と、上記第1の測距手段により保持されている電圧値又は上記第2の測距手段により保持されている電圧値を交互に選択する電圧値選択手段と、上記電圧値選択手段により選択された電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を上記演算手段に出力する第1の積分手段と、上記第2の測距手段により保持されている電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を上記演算手段に出力する第2の積分手段とを備えていることを特徴とする距離移動速度計測装置。
【請求項6】
所定の時間間隔で繰り返し電磁波をターゲットに向けて送信する送信手段と、上記送信手段から送信されて上記ターゲットに反射された電磁波を受信する受信手段と、上記受信手段により受信された電磁波を示す電気信号を入力するアナログ積算信号処理回路と、上記アナログ積算信号処理回路の出力に基づいて上記ターゲットまでの距離及び上記ターゲットの移動速度を演算する演算手段とを備えた距離移動速度計測装置において、上記アナログ積算信号処理回路が、上記電気信号のピークを検出するピーク検出手段と、時間の経過に伴って変化する上昇率で、電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第1の測距手段と、固定の上昇率で電圧値が時間の経過に伴って上昇し、上記ピーク検出手段によりピークが検出された時点の上記電圧値を保持する第2の測距手段と、上記第1の測距手段により保持されている電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を上記演算手段に出力する第1の積分手段と、上記第2の測距手段により保持されている電圧値を積分して、上記電圧値の積分結果を上記演算手段に出力する第2の積分手段とを備えていることを特徴とする距離移動速度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−175290(P2010−175290A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15609(P2009−15609)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】