説明

アパレルCADデータにおける、著作権管理の為の、署名表示システム

【課題】CADデータのプロットアウト(出力)時に正常に機能し、且つ、データの中にデジタル署名情報や、アクセスコントロール情報を入れる。
【解決手段】アパレルCADデータを正常に機能させる為には、出力時には、署名データを分離しなければ成らない。
よって通常のモニターで操作しているCADデータには、その下に署名データを挿入し、2枚のレイヤーをロックする。
その事により、CADデータ部分の修正・変更は可能になり、署名データ部分も消される事なく、保持される。
そして、出力コマンドにのみ反応する、暗号化技術を用いて、出力時のみロックを解除すれば、CADデータを正常にプロットアウト(出力)する事が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の署名表示技術を発展させてアパレルCADデータにおける、著作権管理を可能にするシステムである。(著作権管理の為の署名表示技術)
【背景技術】
【0002】
従来、PhotoshopやIllustratorなどの画像処理ソフトでも署名表示は可能だった。
しかし、それは単にファイルのアクセス権をロックしたり、2枚のレイヤーに分かれていた画像レイヤーと署名レイヤーを、1枚にグループ化もしくは、PDFやJPEGなどの画像ファイルにまとめただけの単純なものだった。
しかし、アパレルCADデータには、外部線に縫代情報やグレーディングポイントなどの情報が有り、単に画像化したりデータをロックしただけでは、正常にプロットアウト(出力)が出来なくなる為、その様な技術が見られなかった。
また、本発明は暗号化した識別信号などを電子透かし技術などで可能にし、アクセス権保持者かどうかを判断するデジタル署名とはことなり、視覚的に見えるサインを、複製しても消せない形で提供し、著作者表示を残す事を目的としたシステムである。
つまり、画家がイニシャルを残す様なアナログ手法と比較して、デジタルの世界では、簡単に複製やサインの削除が行なえ、本来の著作者が誰だったのか、複製後には完全に分からなくなる。
それを回避する為、著作者保護の観点から、データの出力に支障のない範囲で、サインを残す事を目的としている。
【特許文献1】公開番号 特許公開2002−27223
【特許文献2】公開番号 特許公開平11−289255
【特許文献3】公開番号 特許公開平11−98344
【特許文献4】公表番号 特許公表2004−503880
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、データのプロットアウト(出力)時に正常に機能し、且つ、データの中に署名表示情報や、アクセスコントロール情報を入れる事にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
アパレルCADデータを正常に機能させる為には、出力時には、署名データを分離しなければならない。
よって通常のモニターで操作しているCADデータには、その下に署名データを挿入し、2枚のレイヤーをロックする。
その事により、CADデータ部分の修正・変更は可能になり(全体コピーは不可)、署名データ部分も消される事なく、保持される。
そして、出力コマンドにのみ反応する、暗号化技術を用いて、出力時のみロックを解除すれば、CADデータを正常にプロットアウト(出力)する事が可能になる。
また、CADデータの修正・変更などを、著作者以外に簡単にさせない為の方法としては、その上にもう1枚ブロックレイヤーを設けて、3枚まとめてロックする事で実現する。
つまり、一番下に署名データを、中央にCADデータ、そして1番上にはブロックレイヤーを設けて、挟んだ状態でロックし、出力時のみロックを解除する。
そうする事で、通常のモニターでの操作でも、CADデータ部分の修正・変更は、不可能になり、署名データ部分も保持される。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、アパレルCADデータに、署名表示情報や、アクセスコントロール情報を課す事により、著作者の権利やデータを保護する事を目的としている。
また、それ以外にも、そのデータが、それを管理しているメーカー以外の者の使用を制限し、海外の工場や企画会社にデータが流れてもそれを簡単に流用出来なくする事も狙いである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この機能は、単体で利用するよりも、各CADメーカーのプラグインとして機能の一部に組み込む事で、最大の効果を発揮する。
また、アパレルCADデータを扱う、パターンサービスなどの会社、組織などで一括してコンバートする事でも、十分な効果は得られるだろう。
【実施例】
【0007】
例1)例えば、アパレルCADでベースパターンを作成する際、ベースパターンそれぞれに、メーカーNOや著作者表示を挿入すれば、万一データが流出してもそれを、自由に流用する事をある程度制限する事が出来る。
例2)アパレルCADデータを、パターンサービス会社からメーカーに納品した場合、それ以降の扱いについて、著作者の権利が及ばず、複製によって、データを再利用するケースも多いが、この機能を使用すると著作者を保護できる。
例3)この機能を利用すると、海外の工場や企画会社に業務を依頼する場合でも、データに依頼先NOを入れていれば、どこからデータが流出したかを、突き止める事が出来たり、データの不正利用をブロックする事が出来る。
例4)多くの人が自由に利用でき、且つ、互いに評価し合う、会員性サイト内で共有データベースを提供された場合、その中で、自分のベースパターンに各々が、独自の著作者表示を挿入すれば、そのサインが、一種のロゴマークの様な役割を担い、エンジニアの差別化にもつながる、重要な要素になりうる可能性を秘めている。
【産業上の利用可能性】
【0008】
今後産業のグローバル化に伴い、国際的取引も更に増加すると予測される。
そういった状況で、いかにデータの保護や、著作権管理を正確に行われるかが、特に重要になってくる。
また、アパレルメーカーの外部委託の比率が大きくなってくると、下請けに対する倫理的問題が発生する事も予想される。
そういった問題にも、著作者保護といった観点から、この技術が寄与する。
また、サインという発想で考えれば、全く新しい広告メディアとしての可能性も秘めており、差別化の為に大いに利用されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】CADデータのレイヤーの構成図(データ修正可能)
【図2】CADデータのレイヤーの構成図(データ修正不可)
【符号の説明】
【0010】
1.CADデータのレイヤー
2.署名データのレイヤー
3.ブロックレイヤー
4.署名(サイン)
5.2枚のレイヤーをロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常のモニターで操作しているCADデータの下に、署名データを挿入し、2枚のレイヤーをロックする。
その事により、CADデータ部分の修正・変更は可能になり(全体コピーは不可)、署名データ部分も消される事なく、保持される。
そして、出力コマンドにのみ反応する、暗号化技術を用いて、出力時のみロックを解除すれば、CADデータを正常にプロットアウト(出力)する事が可能になる。
【請求項2】
CADデータの修正・変更などを、著作者以外に簡単にさせない為の方法としては、その上にもう1枚ブロックレイヤーを設けて、3枚まとめてロックする事で実現する。
つまり、一番下に署名データを、中央にCADデータ、そして1番上にはブロックレイヤーを設けて、挟んだ状態でロックし、出力時のみロックを解除する。
そうする事で、通常のモニター操作でも、CADデータ部分の修正・変更は、不可能になり、署名データ部分も保持される。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−277197(P2009−277197A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148609(P2008−148609)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(508168723)
【Fターム(参考)】