説明

アポトーシス細胞標的用ペプチド及びその用途

【課題】アポトーシス(apoptotosis)が進行されているアポトーシス細胞(apoptotic cells)を特異的に標的とし得るペプチド及びこれらの用途を提供する。
【解決手段】特定なアミノ酸配列を有し、アポトーシス細胞を標的とするペプチド、そのペプチドを有効成分として含むアポトーシス細胞検出用組成物、薬物伝達用組成物、及び映像化用組成物等。該ペプチドは腫瘍、心筋梗塞、脳卒中及び動脈硬化等の組織に発生するアポトーシスを効果的に標的とする。また、該ペプチドは治療物質と結合して、前記疾患組織に薬物を選択的に伝達する疾患の予防及び治療用組成物等の目的で使用でき、また映像物質と結合して前記疾患の診断及び治療薬物に対する反応の映像化等に広く使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年5月14日出願された大韓民国特許出願第10−2008−0044410号を優先権主張し、前記明細書全体は本発明の参考文献である。
【0002】
本発明はアポトーシス(apoptosis)が進行しているアポトーシス細胞(apoptotic cells)を特異的に標的とし得るペプチド及びその用途に関する。より詳しくいえば、配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有し、アポトーシス細胞を標的とするペプチド、そのペプチドを有効成分として含むアポトーシス細胞検出用組成物、そのペプチドを有効成分として含む薬物伝達用組成物、及びそのペプチドを有効成分として含む映像化用組成物等に関する。
【背景技術】
【0003】
アポトーシスとは、個体の生命維持のために、不要な細胞または危険な細胞を自ら死なせる現象をいう、アポトーシスとはギリシャ語で“落ちる”ことを意味し、細胞が消失される過程を花から花びらが落ちることに例えて付けられた名称であり、1972年Kerr等により初めて観察された(Kerr et al., Br J Cancer, 1972, 26: 239-257)。アポトーシスは細胞の発生、分化、免疫等の生理学的現象に重要な役割をする(Meier et al., Nature, 2000, 407: 796-801)。一方、多様な病理学的環境及び疾患でもアポトーシスは重要である。例えば、抗癌剤で成功的な治療をする場合、多量のアポトーシスが腫瘍組織内に発生する(Thomson, Science, 1995, 267: 1456-1462)。反面、腫瘍の発生にはアポトーシスの減少が原因として関与する。さらに、別の例としては、脳卒中及び心筋梗塞において、脳及び心臓に流れる血液供給の不足により、脳細胞及び心筋細胞がそれぞれ損傷を受け、アポトーシスが発生する(Du et al., J Cereb Blood Flow Metab, 1996, 16: 195-201; Narula et al., New Engl J Med, 1996, 335: 1182-1189)。さらに、臓器移植後拒否反応、自己免疫疾患、退行性脳神経疾患、動脈硬化及びウィルス感染等の疾患でもアポトーシスが容易に発生する(Thomson, Science, 1995, 267: 1456-1462; Kageyama et al., Ann Thorac Surg, 1998, 65: 1604-1609)。
【0004】
このようなアポトーシスは、臨床的な診断及び治療の面で極めて重要な意味を有する。つまり、アポトーシスの映像化は、アポトーシスの過度な増加と関連した退行性脳神経疾患(アルツハイマー病及びパーキンソン氏病等)の早期診断、心筋梗塞及び脳卒中における症の進行程度モニタリング、抗癌剤処理による癌の治療効果モニタリング、動脈硬化における動脈硬化プラクの破裂可能性判断等の場合に極めて大きな役割を担う。さらに、アポトーシスが旺盛な部位を標的に、治療剤や細胞を保護する製剤を選択的に伝達できるようになれば副作用を減らしながら治療効果をはるかに高め得る。
【0005】
アポトーシス細胞で起きる初期事象の一つは、細胞膜を構成するリン脂質(phospholipid)の分布変化である。この内最も特徴的なものはホスファチジルセリン(phosphatidylserine)の細胞膜外側への露出である。正常な状態ではホスファチジルセリンは細胞膜の内部に存在するものの、細胞が死滅信号を受けるかまたは赤血球が老化すると細胞膜の外部に露出される(Fadeel, B. et al., Cell Mol Life Sci, 2003, 60: 2575-2585)。このようなホスファチジルセリンを大食細胞が細胞表面の受容体を介して認識してアポトーシス細胞に対する貪食作用を起こす(Fadok, V. A. et al., J immunol 1992, 148: 2207-2216; Fadok, V. A. et al., Nature 2000, 405: 85-90; Park, S. Y. et al., Cell Death Differ, 2008, 15: 192-201)。特に、多くの腫瘍細胞等が細胞膜の外部にホスファチジルセリンの発現増加を示す(Utsugi, T. et al., Cancer Res. 1991, 15: 3062-3066; Ran, S. et al., Cancer Res. 2002, 62: 6132-6140; Woehlecke, H. et al., Biochem J, 2003, 376: 489-495)。さらに、腫瘍組織内小血管の血管内皮細胞は、ホスファチジルセリンを細胞膜の外部に露出している(Ran, S.et al., Cancer Res. 2002, 62: 6132-6140; Zwaal, R. F. A. et al., Blood. 1997, 89: 1121-1132)。従って、このようなホスファチジルセリンの役割等により、特に腫瘍をはじめとした多様な状況において、ホスファチジルセリンは診断、治療、及び治療追跡のための標的物質と考えられている。
【0006】
現在アポトーシス細胞表面のホスファチジルセリンの検出に主に使用されるのは、アネキシンV(annexin V)蛋白質である。これは分子量36kDaの蛋白質であり、ホスファチジルセリンと強い親和度(affinity)で結合する(Vermes, I. et al., Immunol Methods. 1995, 184: 39-51)。一方、アネキシンVは試験官(in vitro)内では極めて有用な標的物質またはプローブ(probe)ではあるものの、大きい分子量のため、体外への除去が遅れる等の問題により、生体(in vivo)内の使用は制限的であると報告された(Vermeersch, H., et al., Nucl Med Commun. 2004, 25: 259-263:非特許文献1; Belhocine, T. Z. et al., J Proteome Res. 2004, 3: 345-349:非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Vermeersch,H.,et al.,Nucl Med Commun.2004,25:259−263
【非特許文献2】Belhocine,T.Z.et al.,J Proteome Res.2004,3:345−349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アポトーシス細胞を特異的に標的するペプチド及びこれの用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等はアポトーシス細胞を特異的に、初期に生体内標的化し得る新たな蛋白質またはその断片を探索するために研究した結果、配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有するペプチドが、アポトーシス細胞を特異的に標的とできることを確認して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、形質転換体、アポトーシス細胞検出用組成物、アポトーシス細胞の検出方法、薬物伝達用組成物及び薬物伝達方法、腫瘍性疾患予防・治療用組成物、脳卒中予防・治療用組成物、心筋梗塞予防・治療用組成物、動脈硬化予防・治療用組成物、疾患部位の映像化用組成物及び映像化方法等を提供する
[1]配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有し、アポトーシス細胞(apoptotic cell)と特異的に結合するペプチド。
[2]前項1に記載のペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
[3]前項2に記載のペプチドを含むベクター。
[4]前項3に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
[5]前項1に記載のペプチドを有効成分として含むアポトーシス細胞検出用組成物。
[6]前記ペプチドが、発色酵素、放射性同位元素、クロモホアー(chromophore)、発光物質、蛍光物質(fluorescer)、常磁性粒子(super paramagnetic particles)及び超常磁性粒子(ultrasuper paramagnetic particles)からなる群より選ばれる一つで標識される前項5に記載の組成物。
[7](a)前項1に記載のペプチドを試料と混合する工程;
(b)未結合かもしくは非特異的に結合した前記ペプチドを除去する工程;及び
(c)前記ペプチドの結合可否及び位置を確認する工程を含むアポトーシス細胞の検出方法。
[8]前項1に記載のペプチドを有効成分として含む薬物伝達用組成物。
[9]腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞、及び動脈硬化からなる群より選ばれた疾患に特異的である前項8に記載の組成物。
[10]前記腫瘍性疾患が、大腸癌、肺癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頸部癌、悪性黒色腫、皮膚癌、肝臓癌、白血病(leukemia)、リンパ腫(lymphoma)、複合骨髄腫(multiple myeloma)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia)、神経芽腫(neuroblastoma)、及び再生不良性貧血からなる群より選ばれる疾患である前項9に記載の組成物。
[11]前記ペプチドが、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビンブラスチン(vinblastine)、アクチノマイシン−D(actinomycin−D)、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ビサントレン(bisantrene)、ホモハリングトニン(homoharringtonine)、グリベック(Gleevec;STI−571)、シスプラチン(cisplatin)、5−フルオウラシル(5−fluouracil)、アドリアマイシン(adriamycin)、メトトレキセート(methotrexate)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メルファラン(melphalan)、ニトロゲンムスタド(nitrogen mustard)、ニトロソウレア(nitrosourea)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、ウロキナーゼ(urokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、アンジオテンシン(angiotensin)II抑制剤、アルドステロン(aldosterone)受容体抑制剤、エリスロポイエチン(erythropoietin)、NMDA(N−methyl−d−aspartate)受容体抑制剤、ロバスタチン(Lovastatin)、ラパマイシン(Rapamycin)、セレブレクス(Celebrex)、チクロピン(Ticropin)、マリマスタト(Marimastat)、及びトロケード(Trocade)からなる群より選ばれる薬剤と結合した前項8に記載の組成物。
[12]前項1に記載のペプチド及びこれと結合した抗腫瘍性疾患製剤を有効成分として含む腫瘍性疾患予防及び/または治療用薬学的組成物。
[13]前記抗腫瘍性疾患製剤が、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビンブラスチン(vinblastine)、アクチノマイシン−D(actinomycin−D)、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ビサントレン(bisantrene)、ホモハリングトニン(homoharringtonine)、グリベック(Gleevec;STI−571)、シスプラチン(cisplatin)、5−フルオウラシル(5−fluouracil)、アドリアマイシン(adriamycin)、メソトレキセート(methotrexate)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メルファラン(melphalan)、ニトロゲンムスタド(nitrogen mustard)、及びニトロソウレア(nitrosourea)からなる群より選ばれ製剤である前項12に記載の組成物。
[14]前項1に記載のペプチドを有効成分として含む腫瘍性疾患部位の映像化用組成物。
[15]前記ペプチドが、発色酵素、放射性同位元素、クロモホア(chromophore)、発光物質、蛍光物質(fluorescer)、常磁性粒子(super paramagnetic particles)、及び超常磁性粒子(ultrasuper paramagnetic particles)からなる群より選ばれる一つで表示され前項14に記載の組成物。
[16]前項1に記載のペプチド及びこれと結合した脳卒中治療剤を有効成分として含む脳卒中予防及び/または治療用薬学的組成物。
[17]前項1に記載のペプチドを有効成分として含む脳卒中部位の映像化用組成物。
[18]前項1に記載のペプチド及びこれと結合した心筋梗塞治療剤を有効成分として含む心筋梗塞予防及び治療用薬学的組成物。
[19]前項1に記載のペプチドを有効成分として含む心筋梗塞部位の映像化用組成物。
[20]前項1に記載のペプチド及びこれと結合した動脈硬化治療剤を有効成分として含む動脈硬化予防及び/または治療用薬学的組成物。
[21]前項1に記載のペプチドを有効成分として含む動脈硬化部位の映像化用組成物。
[22]前項1に記載のペプチドを使用することを特徴とするアポトーシス細胞検出方法。
[23]前項1に記載のペプチドを使用することを特徴とする薬物伝達方法。
[24]前項1に記載のペプチド及びこれと結合した薬剤をこれを必要とする個体に有効量投与することを特徴とする薬物伝達方法。
[25]腫瘍性疾患治療剤の製造のための前項1に記載のペプチド及びこれと結合した抗腫瘍性疾患製剤の使用。
[26]脳卒中治療剤の製造のための前項1に記載のペプチド及びこれと結合した脳卒中治療剤の使用。
[27]心筋梗塞治療剤の製造のための前項1に記載のペプチド及びこれと結合した心筋梗塞治療剤の使用。
[28]動脈硬化治療剤の製造のための前項1に記載のペプチド及びこれと結合した動脈硬化治療剤の使用。
[29]前項1に記載のペプチドを使用することを特徴とする腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化からなる群より選ばれる疾患部位の映像化方法。
[30]前項1に記載のペプチドをこれを必要とする個体に有効量投与することを特徴とする腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化からなる群より選ばれた疾患部位の映像化方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有するペプチドは、アポトーシス細胞と特異的に結合することができる。従って、本発明のペプチドはアポトーシス細胞の検出、さらには、腫瘍組織内アポトーシス細胞、心筋梗塞組織内死滅心筋細胞、脳卒中組織内アポトーシス細胞及び動脈硬化部位の検出と、映像診断及び標的薬物伝達等に多様に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】人間の1次肺癌組織に由来した種々の細胞(腫瘍細胞、血管内皮細胞、マクロファージ、繊維芽細胞)にそれぞれ特異的に結合するファージを探索する過程に関する模式図である。
【図2】A549腫瘍細胞を皮下に異種移植したヌードマウスの尻尾静脈に蛍光を付けて形成した配列番号1で示される本発明のペプチド(ApoPep−1)を注入した後、腫瘍組織に対するH&E染色(A)、ペプチドの蛍光(B,D,G,J)、TUNEL染色(E,H)、フィブリノゲン染色(K)及びコンピューターを介したそれぞれの映像合成(FはDとE、IはGとH、LはJとK)を示したものである。(C)対照群ペプチドの蛍光映像である。(D〜F)は(A)のアステリスク表示部位であり、(G〜I)は(A)の三角形表示部位に該当する。さらに、配列番号2で示される本発明のペプチド(ApoPep−2)を対象に同一な方式で実験を進行した後、ペプチドの蛍光(M)、TUNEL染色(N)及びこれの映像合成(O)を示したものである。
【図3】エトポシドを処理して、アポトーシスが誘導された各種細胞(A549,H460,HeLa,L132,RAW)に対する本発明のペプチド(ApoPep−1)の結合に伴う蛍光(B,F,J,N,R)、それぞれの細胞に対するアネキシンV染色(C,G,K,O,S)及びそれぞれの映像合成(D,H,L,P,T)を示したものである。(A,E,I,M,Q)は対照群として、アポトーシスを誘導する薬物を処理しない細胞に対する本発明のペプチド(ApoPep−1)の結合とアネキシンV結合に対する映像を合成したものである。
【図4】A549腫瘍細胞にエトポシドを処理してアポトーシスを誘導し、蛍光標識がないアネキシンVを0μM(A)、200μM(B)及び1000μM(C)の濃度で前処理した後、赤色の蛍光が標識されたアネキシンVの結合を示したものである。さらに、前記アネキシンVを1000μM濃度で前処理した後、本発明のペプチド(ApoPep−1)の結合(E)、核染色(D)及びこれの映像合成(F)を示したものである。
【図5】A549腫瘍細胞にエトポシドを処理していないかまたは処理した後、アネキシンVの結合(A)及び本発明のペプチド(ApoPep−1)または対照群ペプチド(Control)の結合(B)をFACSで分析したものである。この際、横軸はアネキシンV及びペプチド結合程度を示し、縦軸はPI(propodim iodide)染色程度を示したものである。さらに、(C)は前記細胞に対する本発明のペプチド(ApoPep−2)及び対照群ペプチドの結合を4℃及び37℃でそれぞれ行った後、その結合をFACSで分析して百分率で示したものである(A549:エトポサイド未処理群;Etoposide:エトポサイド処理群)。
【図6】腫瘍が異種移植されたヌードマウスをドキソルビシンで処理していないかまたは処理した24時間後に蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)(A)及び配列番号2のペプチド(ApoPep−2)(B)を血管内に注入してこれらの生体内標識を時間帯別に蛍光を利用して映像化したものである。
【図7】腫瘍が異種移植されたヌードマウスをドキソルビシンで処理した24時間後に、放射性同位元素F−18が標識されたFDG及びI−124が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)を血管内に注入してこれらの生体内アポトーシス標識をマイクロPETを利用して映像化したものである。
【図8】低密度脂質蛋白質(LDL)受容体を遺伝的に欠乏(Ldlr(−/−))させた動脈硬化モデルマウス及び正常マウスにCy7.5近赤外線蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)を静脈注射1時間後、近赤外線を背から撮影(A)または腹部を割いて大動脈を露出した状態で撮影(C)したものである。(B)は(A)の近赤外線の強度を数値で示したものである。さらに、(D)はそれぞれのマウスより大動脈を隔離して近赤外線を撮影したものである(ApoPep−1−Cy7.5:Cy7.5標識されたApoPep−1;NSSSVDK−Cy7.5:Cy7.5標識された対照群ペプチド)。
【図9】中間大脳動脈(middle cerebral artery)を2時間結紮後、血流を再循環させた脳卒中ラット(rat)モデル及び正常ラットにCy7.5近赤外線蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)を静脈注射1時間及び3時間後、頭部位の近赤外線を撮影し(A)、3時間グループのラットからそれぞれ脳を隔離して近赤外線を撮影した(B)ものである。(ApoPep−1−Cy7.5:Cy7.5標識されたApoPep−1;NSSSVDK−Cy7.5:Cy7.5標識された対照群ペプチド)。
【図10】心筋虚血(myocardial ischemia)及び対照群(Sham)ラットにCy7.5近赤外線蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)を静脈注射2時間後、心臓部位の近赤外線を撮影し(A)、それぞれの心臓を隔離して近赤外線を撮影した(B)ものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸を有するポリペプチドがアポトーシスが進行しているアポトーシス細胞に特異的に結合する点に着目して、配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸を有する、新たな配列のポリペプチドとこれの用途にして、前記ポリペプチドを含むアポトーシス細胞(apoptotic cell)検出用組成物等を提供することを特徴とする。
【0013】
本発明のペプチドは、アポトーシスが進行しているアポトーシス細胞に特異的に結合し、配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有するペプチドをいう。本発明のペプチド断片は、全ての種類のペプチド、蛋白質、ペプチド模造物、化合物及び生物製剤を含み、アポトーシス細胞に特異的に結合できる活性を有することをいう。本発明のペプチドは天然から由来することもあり、公知のペプチド合成方法を利用して合成することもできる。
【0014】
また、本発明のペプチドは、天然型アミノ酸配列を持つペプチドだけでなく、そのアミノ酸配列変異体も本発明の範囲に含まれる。本発明のペプチドの変異体とは、配列番号1いう12からなる群より選ばれたアミノ酸配列と一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的または保全的置換、アミノ酸アナログ置換またはこれらの組み合わせによって異なる配列を持つペプチドを意味する。分子の活性を全体的に変更させないアミノ酸交換は、当該分野に公知になっている(H. Neurath, R. L. Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979)。
【0015】
場合によって、本発明のペプチドは、リン酸化(phosphorylation)、硫化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)などで修飾(modification)できる。
【0016】
従って、本発明は本発明のペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドには結果的に本発明のペプチドをコードし得るすべての組合わせの塩基配列も含まれる。
従って、本発明は本発明のペプチドを暗号化する塩基配列を有するベクター及び前記ベクターで形質転換された形質転換体を提供する。
【0017】
本発明のベクターとしては、プラスミドベクター、コズミドベクター、バクテリオファージベクター及びウイルスベクター等があげられるが、これに制限されない。本発明のベクターは通常のクロニングベクターまたは発現ベクターの場合もあり、発現ベクターはプロモータ、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びインハンサ(促進遺伝子)のような発現調節配列の他にも、膜標的化または分泌のためのシグナル配列またはリーダ配列を含み、目的により多様に製造できる。さらに、前記ベクターはベクターを含有する宿主細胞を選択するための選択マーカーを含み、複製可能なベクターの場合複製起源を含む。
【0018】
前記ベクターで形質転換することは、当業者に公知の形質転換技術により実施できる。好ましくは、微細査出法(microprojectile bombardment)、電気衝撃遺伝子伝達法(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO4)沈澱、塩化カルシウム(CaCl2)沈澱、PEG−媒介融合法(PEG-mediated fusion)、微細注入法(microinjection)及びリポソム媒介法(liposome-mediated method)を利用することができ、前記形質転換体は大腸菌(Escherichia coli)、バシルスサブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シュドモナス(Pseudomonas)、プロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)、スタフィロコクス(Staphylococcus)、アグロバクテリウムトメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の場合もあり得るものの、これに制限されるものではない。
【0019】
本発明者等は、アポトーシス細胞に特異的に結合するものに選別された前記ペプチドの機能を確認するために多様な実験を行った結果、本発明のペプチドがアポトーシス過程にある培養状態の腫瘍細胞、正常上皮細胞及びマクロファージを特異的に認識することにより、前記細胞に結合する事実を確認した。さらに、本発明のペプチドが腫瘍組織内のアポトーシス細胞を標的してこれに対する生体内映像(in vivo imaging)及びモニタリングが可能であること分かった。従って、本発明のペプチドをアポトーシス細胞の検出用組成物に利用できることが分かり、さらには、腫瘍組織内にアポトーシスを認識する診断または治療追跡用製剤、または別途の腫瘍治療用製剤と共に、腫瘍性疾患予防及び治療用薬学的組成物等として使用できることが分かった。
【0020】
より具体的に、本発明の一実施例では商用のT7ファージライブラリを利用して、腫瘍組織より分離したマクロファージ及び血管内皮細胞と、特異的に結合するファージをそれぞれスクリーニングした。その結果、全3ラウンドのスクリーニングを介して前記細胞と特異的に結合するファージをそれぞれ選別することができ、これらの配列を分析した結果、配列番号1で示されるCQRPPR、配列番号2で示されるCSVAPR、配列番号3で示されるCNRPPR、配列番号4で示されるCQKPPR、配列番号5で示されるCQRPPK、配列番号6で示されるCNKPPR、配列番号7で示されるCNRPPK、配列番号8で示されるCQKPPK、配列番号9で示されるCNKPPK、配列番号10で示されるCTVAPR、配列番号11で示されるCSVAPK及び配列番号12で示されるCTVAPKのアミノ酸配列を有するペプチドがそれぞれの細胞に対して主に選別されることが分かった。このような本発明のペプチドは無作為にCX7Cペプチドをコーディングする本発明のファージライブラリでそれぞれ5番目のアミノ酸の後に終止コドンが挿入されたことによって生成するように見える。
【0021】
本発明の他の実施例ではヌードマウス皮下に異種移植された腫瘍部位に、本発明のペプチドが標的されるかの可否及びどんな種類の細胞に結合するかを確認した。その結果、血液内に注入した本発明のペプチドは、組織染色を介した観察において腫瘍組織内に標的され、この際、マクロファージ及び血管内皮細胞でないアポトーシスが進行している腫瘍細胞に主に結合することが分かった。
【0022】
本発明のさらに他の実施例では薬剤処理でアポトーシスが誘導された細胞に対する前記選別されたペプチドの結合特異性を確認した。その結果、薬剤を処理しない細胞ではペプチドがほとんど結合しないのに比べて、薬剤を処理したアポトーシス細胞には強く結合することが分かった。従って、選別されたペプチドはアネキシンVを高濃度で先に処理してもアポトーシス細胞に対するペプチドの結合が阻害されないことが分かった。さらに、アポトーシスの初期のみならず、後期段階にある細胞を認識して結合することが分かった。
【0023】
本発明のさらに他の実施例では、ヌードマウス皮下に異種移植された腫瘍部位に本発明のペプチドを標的として、これを映像化できるか否かを確認した。その結果、ドキソルビシンを処理した後、本発明のペプチドを血液内に注入した群では腫瘍組織に本発明のペプチドを標的として、これを蛍光表示を介して映像を確認することができた。反面、薬剤を処理しない群に、本発明のペプチドを注入した群及び薬剤を処理した後、対照群ペプチドを注入した群ではペプチドの標的を観察することができなかった。
【0024】
本発明のさらに他の実施例では、ヌードマウス皮下に、異種移植された腫瘍部位に放射性同位元素が標識された本発明のペプチドを標的として、これを陽電子放出単層撮影(positron emission tomography、PET)で映像化できるか否かを確認した。その結果、ドキソルビシンを処理した後、I−123(放射性ヨウ素123ではないか)が標識された本発明のペプチドを血液内に注入した群では、腫瘍部位にPET映像信号が増加することを通じて本発明のペプチドが標的されることを確認することができた。反面、現在PETに多く使用されているF−18が標識されたfluorodeoxy glucose(FDG)を注入した群では薬剤を処理した後、腫瘍部位にPET映像信号が減少した。
【0025】
本発明のさらに他の実施例では、動脈硬化を誘導させたマウスの大動脈に本発明のペプチドを標的として、これを映像化できるか否かを確認した。その結果、動脈硬化マウスに本発明のペプチドを血液内に注入した群では、大動脈に本発明のペプチドが標的され、これを蛍光標識を介して映像を確認することができた。反面動脈硬化マウスに対照群ペプチドを注入した群及び正常マウスに本発明のペプチドを注入した群ではペプチドの標的を観察することができなかった。
【0026】
本発明のさらに他の実施例では、脳卒中を誘導させたラットの脳組織に本発明のペプチドを標的として、これを映像化できるか否かを確認した。その結果、脳卒中誘導ラットに本発明のペプチドを血液内に注入した群では、損傷された脳組織に本発明のペプチドが標的され、これを蛍光標識を介して映像を確認することができた。反面脳卒中誘導ラットに対照群ペプチドを注入した群及び正常ラットに本発明のペプチドを注入した群ではペプチドの標的を観察することができなかった。
【0027】
本発明のさらに他の実施例では、心筋虚血(myocardial ischemia)または心筋梗塞(myocardial infarction)を誘導させたラットの心筋組織に本発明のペプチドが標的され、これを映像化できるか否かを確認した。その結果、心筋虚血誘導ラットに本発明のペプチドを血液内に注入した群では、損傷された心筋組織に本発明のペプチドを標的として、これを蛍光標識を介して映像を確認することができた。反面、対照群ラットに本発明のペプチドを注入した群ではペプチドの標的を観察することができなかった。
【0028】
結論的に、本発明のペプチドがアポトーシス細胞と特異的に結合して生体内でアポトーシスを認識し、及び腫瘍の標的となることが分かった。
【0029】
前記に言及したヌクレオチド及び蛋白質の作業には下記の文献を参照することができる(Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y. (1982); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA (1990))。
【0030】
従って、本発明の配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有する、本発明のペプチドを有効成分として含むアポトーシス細胞検出用組成物を提供する。
【0031】
本発明のペプチドのアポトーシス細胞結合可否の確認、検出及び定量を容易にするため、本発明のペプチドは標識された状態で提供できる。つまり、検出可能な標識にリンク(例:共有結合または架橋)されて提供できる。前記検出可能な標識は発色酵素(例:ファオキシターゼ、アルカラインホスファターゼ)、放射性同位元素(例:18F,124I,125I,32P,35S)、クロモホアー(chromophore)、発光物質または蛍光物質(例:FITC,RITC,蛍光蛋白質(GFP(Green Fluorescent Protein);EGFP(Enhanced Green Fluorescent Protein),RFP(Red Fluorescent Protein);DsRed(Discosoma sp.Red Fluorescent Protein);CFP(Cyan Fluorescent Protein),CGFP(Cyan Green Fluorescent Protein),YFP(Yellow Fluorescent Protein),Cy3,Cy5及びCy7.5)、常磁性粒子(super paramagnetic particles)または超常磁性粒子(ultrasuper paramagnetic particles)でもあり得る。
【0032】
標識に伴う検出方法は当業界に広く知られており、例えば、下記のような方法により実施し得る。検出可能な標識として蛍光物質を利用する場合には、免疫蛍光染色法を利用できる。例えば、蛍光物質で標識された本発明のペプチドを試料と反応させ、未結合または非特異的な結合産物を除去し、蛍光顕微鏡下でペプチドによる蛍光を観察できる。さらに、検出可能性な標識として酵素を利用する場合には、酵素反応を介した基質の発色反応により吸光度を測定し、放射線物質の場合には放射線放出量を測定することにより行われる。従って、検出された結果は、検出標識に伴う公知の映像化方法により映像化できる。
【0033】
さらに、本発明は(a)本発明のポリペプチドを試料と混合する工程;(b)未結合か若しくは非特異的に結合した前記ポリペプチドを除去する工程;及び(c)前記ポリペプチドの結合可否及び位置を確認する工程を含むアポトーシス細胞の検出方法を提供する。この際、本発明のポリペプチド及びアポトーシス細胞と結合した本発明のポリペプチドの検出方法は前記にて記載した通り、または公知の方法により実施し得る。
【0034】
本発明は本発明のポリペプチドのアポトーシス細胞検出用途を提供する。この際、本発明のポリペプチド及びアポトーシス細胞と結合した本発明のポリペプチドの検出方法は前記にて記載した通り、または公知の方法により実施し得る。
【0035】
さらに、本発明のペプチドはアポトーシス細胞と特異的に結合できるので、薬物を前記細胞に選択的に伝達する知能型薬物伝達体として使用できる。従って、本発明のペプチドを有効成分として含む薬物伝達用組成物を提供する。さらに、本発明のペプチドの薬物伝達用途を提供する。従って、本発明のペプチド及びこれと結合した薬剤を、これを必要とする個体に有効量投与することを特徴とする薬物伝達方法を提供する。
【0036】
前記の通り、アポトーシスは多様な種類の腫瘍細胞ばかりでなく、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化が進行される細胞で表れる(Thomson, Science, 1995, 67: 1456-1462; Du et al., J Cereb Blood Flow Metab, 1996, 16: 195-201; Narula et al., New Engl J Med, 1996, 335: 1182-1189)。従って、前記薬物伝達用組成物は、腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞または動脈硬化に特異的であり得る。腫瘍性疾患とは、悪性腫瘍により病理的症状を呈する疾患であり、その例は特に限定されるのではないが、大腸癌、肺癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頸部癌、悪性黒色腫、皮膚癌、肝臓癌、白血病(leukemia)、リンパ腫(lymphoma)、複合骨髄腫(multiple myeloma)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia)、神経芽腫(neuroblastoma)、再生不良性貧血が挙げられる。
【0037】
本発明の薬物伝達用組成物に含まれる本発明のペプチドを、従来の抗腫瘍性疾患製剤、心筋梗塞治療剤、脳卒中治療剤及び動脈硬化治療剤等の薬剤と連結して治療に利用すれば本発明のペプチドにより、前記製剤が腫瘍細胞、心筋梗塞部位、脳卒中部位、動脈硬化部位等の疾患部位にのみ選択的に伝達されるので、薬物の効能を高めることができ、同時に正常組織に及ぼす副作用を大幅に減らし得る。
【0038】
本発明のペプチドに連結し得る抗腫瘍性疾患製剤は、従来、腫瘍治療に使用できるものであれば制限なく使用可能である。例えば、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビンブラスチン(vinblastine)、アクチノマイシン−D(actinomycin-D)、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ビサントレン(bisantrene)、ホモハリングトニン(homoharringtonine)、グリーベック(Gleevec;STI-571)、シスプラチン(cisplatin)、5−フルオラシル(5-fluouracil)、アドリアマイシン(adriamycin)、メトトレキセート(methotrexate)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メルファラン(melphalan)、ニトロゲンムスタド(nitrogen mustard)、ニトロソウレア(nitrosourea)等がある。
【0039】
心筋梗塞治療剤、脳卒中治療剤及び動脈硬化治療剤は、従来これらの疾患の治療に使用できるものであれば制限なく使用することができ、例えば、前記脳卒中及び心筋梗塞疾患で血管を塞いでいる血栓を除去するために使用されている血栓溶解剤(thrombolytic)であるストレプトキナーゼ(streptokinase)、ウロキナーゼ(urokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)等の薬物、心筋細胞保護剤であるアンジオテンシン(angiotensin)II抑制剤、アルドステロン(aldosterone)受容体抑制剤及びエリスロポイエチン(erythropoietin)等の薬物、脳神経細胞保護剤であるNMDA(N-methyl-d-aspartate)受容体抑制剤等の薬物がある。さらに、コレステロール合成抑制及び血中コレステロール濃度を下げる薬物であるロバスタチン(Lovastatin)、血管平滑筋細胞の増殖を減らす薬物であるラパマイシン(Rapamycin)、抗炎症薬物であるセレブレクス(Celebrex)、血小板凝集抑制薬物であるチクロピン(Ticlopin)、基質金属蛋白質分解酵素(matrix metalloprotease)抑制薬物であるマリマスタト(Marimastat)及びトロカド(Trocade)等がある。
【0040】
前記製剤と本発明のペプチドの連結は、当業界に公知の方法、例えば、共有結合、架橋等を介して行える。このために本発明のペプチドは必要に応じてその活性が消失されない範囲で化学的に修飾(modification)できる。本発明の組成物に含まれる本発明のペプチドの量は結合される抗癌剤の種類及び量によって異なり得る。
【0041】
本発明で“有効量”とは、本発明における疾患治療剤が投与対象である個体内で対象疾患の治療効果を表す量をいい、前記“個体(subject)”とは、哺乳動物、特に人間を含む動物を意味する。前記個体には、疾患治療を必要とする人間も含まれる。
【0042】
一方、本発明は本発明のペプチド及びこれと結合した抗腫瘍性疾患製剤を、有効成分として腫瘍性疾患の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。さらに、本発明は腫瘍性疾患治療剤の製造のための本発明のペプチド及びこれと結合した抗腫瘍性疾患製剤の用途を提供する。
【0043】
この際、前記薬学的組成物における抗腫瘍性疾患製剤、結合方法及び腫瘍性疾患については前記記載の通りである。
【0044】
一方、本発明に伴う薬学的組成物は前記ペプチドの純粋な形態または薬学的に許容される担体と共に、適切な形態に剤形化することにより提供できる。“薬学的に許容される”とは、生理学的に許容され、人間に投与される時、通常的に胃腸障碍、眩気症等のようなアレルギー反応またはこれと類似した反応を起こさない非毒性の組成物をいう。前記担体には全ての種類の溶媒、分散媒質、水中油または油中水エマルジョン、水性組成物、リポソーム、ミクロビード及びミクロソーム、生分解性ナノ粒子等が含まれる。
【0045】
一方、本発明に伴う薬学的組成物は、投与経路により適切な担体と共に剤形化できる。前記本発明に伴う薬学的組成物の投与経路としては特に限定されないものの、経口的または非経口的に投与できる。非経口的投与経路には例えば、経皮、鼻腔、腹腔、筋肉、皮下または静脈等の多様な経路が含まれる。
【0046】
本発明の薬学的組成物を経口投与する場合、本発明の薬学的組成物は、適切な経口投与用担体と共に、公知の方法により粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、懸濁液、ウェハー等の形態で剤形化でき得る。適切な担体の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスロトール及びマルチトール等を含む糖類とトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、お米澱粉及び馬鈴薯澱粉等を含む澱粉類、セルロース、メチールセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチールセルロース等を含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等のような充填剤が含まれ得る。さらに、場合によって架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネート等を崩解剤として添加し得る。さらには、前記薬学的組成物は抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤等を追加して含め得る。
【0047】
さらに、非経口的に投与する場合、本発明の薬学的組成物は適切な非経口用担体と共に、注射剤、経皮投与剤及び鼻腔吸込み剤の形態で当業界に公知の方法により剤形化可能である。前記注射剤の場合には必ず滅菌しなければならず、バクテリア及び眞菌のような微生物の汚染から保護されなければならない。注射剤の場合、適切な担体の例は、特に限定はされないものの、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、これらの混合物及び/または植物油を含む溶媒または分散媒質を使用し得る。より好ましくは、適切な担体にはハンクス溶液、リンゲル溶液、トリエタノールアミンが含まれたPBS(phosphate buffered saline)または注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコール及び5%テキトローズのような等張溶液等を使用し得る。前記注射剤を微生物の汚染から保護するためには、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビサン、チメロサール等のような多様な抗菌剤及び抗眞菌剤を追加して含め得る。さらに、前記注射剤は大部分の場合、糖またはナトリウムクロライドのような等張化剤を追加して含め得る。これらの剤形は、製薬学で一般的に知られた処方書である文献(Remington's Pharmaceutical Science, 15th Edition, 1975, Mack Publishing Company, EASTON, Pennsylvania)に記述されている。
【0048】
吸込み投与剤の場合、本発明により使用される化合物は適切な推進剤、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な基体を使用して、加圧パックまたは煙霧器からエアロゾルスプレー形態で容易に伝達できる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は計量された量を伝達する弁を提供して決定できる。例えば、吸込み器または取込み器に使用されるゼラチンカプセル及びカトリッジは化合物、及びラクトースまたは澱粉のような適切な粉末基体の粉末混合物を含有するように剤形化することができる。
【0049】
その他に、薬学的に許容される担体としては、下記の文献に記載されているものを参考にできる(Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1995)。
【0050】
さらに、本発明の薬学的組成物は一つ以上の緩衝剤(例えば、食塩水またはPBS)、カーボハイトレート(例えば、グルコース、マンノス、スクロースまたはテキトラン)、安定化剤(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコロビン酸)、抗酸化剤、静菌剤、キレート化剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アジュバント(例えば、アルミニウムヒドロキシド)、懸濁剤、濃厚剤及び/または保存剤(ベンズアルコニウムクロライド、メチルパラベン、プロピルパラベン及びクロロブタノール)を追加して含め得る。
【0051】
さらに、本発明の薬学的組成物は哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、遅速または遅延された放出を提供できるように公知の方法により剤形化できる。
【0052】
前記のような方法により、剤形化された薬学的組成物は有効量で経口、経皮、皮下、静脈または筋肉を含む多くの経路を介して投与できる。前記の“有効量”とは、患者に投与した時、診断または治療効果の追跡を可能にする化合物または抽出物の量をいう。本発明に伴う薬学的組成物の投与量は投与経路、投与対象、対象疾患及びこれの重症度、年令、性別、体重、個人差及び疾病状態によって適切に選択できる。好ましくは、本発明のペプチドを含む薬学的組成物は、疾患の程度によって有効成分の含量を異にし得るものの、通常、成人を基準にする時、1回投与の際、10μg〜10mgの有効容量で1日複数回繰り返し投与できる。
【0053】
本発明のペプチドはアポトーシス細胞と特異的に結合するので、腫瘍性疾患の発病部位の映像化及び診断にも有効に使用できる。従って、本発明は前記ペプチドを有効成分として含む、腫瘍性疾患の映像化及び診断用組成物を提供する。さらに、本発明は本発明のペプチドの腫瘍性疾患部位の映像化用途を提供する。従って、本発明は本発明のペプチドを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする腫瘍性疾患部位の映像化方法を提供する。この際、腫瘍性疾患の映像化及び診断は、特に限定はされないものの、腫瘍性疾患の初診目的ばかりでなく、進行結果、腫瘍治療に対する治療経過、治療剤に対する反応モニタリング等を包括して使用できる。前記ペプチドは結合可否の確認、検出及び定量を容易にするために、標識された状態で提供することができるが、これについては前記にて記述した通りである。
【0054】
さらに、本発明のペプチドはアポトーシス細胞と特異的に結合するので、腫瘍にのみ限定されずアポトーシスが大きく増加している脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化でも本発明のペプチドは薬物伝達をすることができる。つまり、本発明は本発明のペプチド及びこれと結合した脳卒中治療剤を有効成分として含む脳卒中予防及び治療用薬学的組成物を提供する。従って、本発明は本発明のペプチド及びこれと結合した心筋梗塞治療剤を有効成分として含む心筋梗塞予防及び治療用薬学的組成物を提供する。従って、本発明は本発明のペプチド及びこれと結合した動脈硬化治療剤を有効成分として含む動脈硬化予防及び治療用薬学的組成物を提供する。
【0055】
一方、本発明は脳卒中治療剤の製造のための本発明のペプチド及びこれと結合した脳卒中治療剤の用途を提供する。
一方、本発明は心筋梗塞治療剤の製造のための本発明のペプチド及びこれと結合した心筋梗塞治療剤の用途を提供する。
一方、本発明は動脈硬化治療剤の製造のための本発明のペプチド及びこれと結合した動脈硬化治療剤の用途を提供する。
【0056】
本発明のペプチドを従来脳卒中治療剤、心筋梗塞治療剤及び動脈硬化治療剤と連結して治療に利用すれば本発明のペプチドにより前記製剤が疾病部位の細胞にのみ選択的に伝達されるので、薬物の効能を増加させ、同時に正常組織に及ぼす副作用を大幅に減らし得る。
【0057】
本発明のペプチドに連結できる心筋梗塞治療剤、脳卒中治療剤及び動脈硬化治療剤は従来これらの疾患の治療に使用されるものであれば制限なく使用することができ、例えば、前記に言及したストレプトキナーゼ(streptokinase)、ウロキナーゼ(urokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、アンジオテンシン(angiotensin)II抑制剤、アルドステロン(aldosterone)受容体抑制剤、エリスロポイエチン(erythropoietin)、NMDA(N-methyl-d-aspartate)受容体抑制剤、ロバスタチン(Lovastatin)、ラパマイシン(Rapamycin)、セレブレキス(Celebrex)、チクロピン(Ticlopin)、マリマスタト(Marimastat)及びトロカド(Trocade)等が使用できる。前記製剤と本発明のペプチドの連結は当業界に公知された方法、例えば、共有結合、架橋等を介して行える。このため、本発明のペプチドは必要であれば、その活性が消失されない範囲で化学的に修飾(modification)できる。本発明の組成物に含まれる本発明のペプチドの量は、結合される前記治療剤の種類及び量によって異なる。
【0058】
本発明のペプチドはアポトーシス細胞と特異的に結合することにより、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化の発病部位の映像化及び診断にも有用に使用できる。従って、本発明は本発明のペプチドを有効成分として含む脳卒中部位の映像化用組成物を提供する。従って、本発明は本発明のペプチドを有効成分として含む心筋梗塞部位の映像化用組成物を提供する。さらに、本発明は本発明のペプチドを有効成分として含む動脈硬化部位の映像化用組成物を提供する。
【0059】
一方、本発明は本発明のペプチドの腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化からなる群より選ばれた疾患部位の映像化用途を提供する。本発明は本発明のペプチドをこれを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化からなる群より選ばれた疾患部位の映像化方法を提供する。
【0060】
この際、疾患の映像化及び診断は、特に限定はされないものの、疾患の初診目的ばかりでなく、進行結果、治療に対する治療経過、治療剤に対する反応モニタリング等を包括して使用できる。前記ペプチドは結合可否の確認、検出及び定量を容易にするために、標識された状態で提供することができる。これについては前記に記述した通りである。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
ただし、下記実施例は本発明を例示したのみであって、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例1:腫瘍組織の細胞に対する結合特異性を有するペプチドの探索
<1−1>ファージペプチドライブラリの製造
本発明者等は腫瘍組織を構成する各種細胞に、特異的なペプチドを探し出すために、ファージペプチドディスプレイ技術を利用した(Smith, Science, 228: 1315-1317, 1985)。ファージペプチドディスプレイは数個〜数十個のアミノ酸で構成されたペプチドをバクテリオファージ表面にディスプレイすることである。最大109種類のペプチドを有するファージライブラリを製造できるので、一度に多くの種類のペプチドを探索して望む組織または腫瘍に標的されるペプチドを探出すに有用な技術である。
本発明に使用したファージペプチドライブラリは次のような方法により製造した。まず両末端にシステインがあって、その間に任意の7個アミノ酸を含むCX7Cペプチドをコーディング(coding)するオリゴヌクレオチド(oligonucleotide)を無作為で合成した。前記オリゴヌクレオチドの合成はマクロゼン社(大韓民国)に依頼して行った。以降、合成されたオリゴヌクレオチドをノバゲン(Novagen,米国)社のT7Select(登録商標)ファージクローニングキットを利用して製造社の指針に従い前記合成されたオリゴヌクレオチドをT7 415−1bファージの表面を構成するカプシッド(capsid)蛋白質遺伝子内にクローニングしてファージペプチドライブラリを製造した。製造されたファージペプチドライブラリの多様性は約5×108pfu程度に測定された。
【0063】
<1−2>ファージペプチドライブラリ探索
腫瘍治療の目的で施行された手術的切除の結果として得た腫瘍組織及び腫瘍周辺部位の正常組織をそれぞれ刃物で細切して、組織粉砕機を利用して粉砕し、細胞懸濁液(cell suspension)を調製した。前記実施例1の<1−1>で作製したファージライブラリを正常組織由来の細胞懸濁液と混合し、4℃で2時間反応させた。反応終了後上層液のみを採り正常細胞に結合しないファージを回収し、宿主であるBL21大腸菌を利用してタイターを増幅した。その後、腫瘍組織由来の細胞懸濁液と同一な条件で反応させた。腫瘍細胞に非特異的に弱くついているファージを1%の牛血清アルブミン(bovine serum albumin;BSA)が含まれたDMEM溶液(Dulbeco's modified Eagle's medium)1mlで室温で5分間、全3回洗浄して除去した。洗浄後マクロファージに対する抗体(抗−CD14抗体、Dynal社)または血管内皮細胞に対する抗体(抗−CD31抗体,Dynal社)が表面に付いている磁性粒子を細胞懸濁液と4℃で30分間反応させ、磁石を利用してそれぞれの磁性粒子に結合した細胞を分離した。分離されたマクロファージまたは血管内皮細胞に1%NP−40が含まれたDMEM溶液100μlを4℃で10分間処理した後、宿主であるBL21大腸菌培養液900μlを添加して細胞に結合したファージを検出した。検出されたファージの一部は公知の方法(Phage display, Clackson T and Lowman HB, p171, 2004, Oxford University Press, New York)によりタイターを測定し、残りは増幅して数を増やしてそれぞれの細胞に結合するファージを探索する過程を前記方法により、全3回繰返し実施した。その結果、腫瘍組織に由来するマクロファージ及び内皮細胞に結合したファージタイターが著しく増加し、全体的に成功裏に探索がなされたことがわかった。前記探索過程の模式図を図1に示した。
【0064】
<1−3>ファージクロンの塩基配列判読及びアミノ酸配列分析
前記実施例1の<1−2>を介して探索したファージにどんなペプチドがディスプレイされたかを調査するために、それぞれの細胞に対して無作為で30個のファージクロンを選択してファージに挿入されたDNAをPCRで増幅した後、配列分析(sequencing)を行った。この際、5’−プライマーとして、オリゴヌクレオチド(AGCGGACCAGATTATCGCTA,配列番号13)及び3’−プライマーとしてオリゴヌクレオチド(AACCCCTCAAGACCCGTTTA,配列番号14)をそれぞれ使用した。PCRは95℃で5分間加熱して鋳型DNAを前変性させた後、94℃で50秒;50℃で1分;及び72℃で1分を1サイクルにして全35回繰返して行い、72℃で6分間最終的に反応させて行った。
以降、PCR反応産物の塩基配列を塩基配列分析会社(バイオニア社)に依頼して判読した。判読された塩基配列をもとにアミノ酸配列を推定した。推定されたアミノ酸配列をClustalWプログラムで分析した結果、マクロファージ及び内皮細胞に対してそれぞれ最もありふれた頻度で示された代表的なファージクロンのペプチドを得ることができ、これを配列番号1(ApoPep−1と命名、CQRPPR,マクロファージで選別)、配列番号2(ApoPep−2と命名、CSVAPR,内皮細胞で選別)、配列番号3(CNRPPR)、配列番号4(CQKPPR)、配列番号5(CQRPPK)、配列番号6(CNKPPR)、配列番号7(CNRPPK)、配列番号8(CQKPPK)、配列番号9(CNKPPK)、配列番号10(CTVAPR)、配列番号11(CSVAPK)及び配列番号12(CTVAPK)でそれぞれ示した。
【0065】
実施例2:本発明のペプチドの生体内腫瘍標的に対する組織学的評価
<2−1>腫瘍異種移植ヌードマウスの製造
全ての動物実験は所属機関の動物実験倫理委員会のガイドラインにより実施された。腫瘍異種移植(tumor xenografts)をするために、6週令BALB/c雄ヌードマウス(孝昌サイエンス社)にRMPI−1640培地に浮遊させたA549人間肺癌細胞株(1×107個)を右側上肢または下肢部位に皮下注射した。その後、3週間腫瘍細胞が0.5〜1cmの大きさに育つようにした。本実験に使用したA549細胞株は抗生剤(ペニシリン及びストレプトマイシン)が添加された10%牛胎児血清(FBS,Fetal bovine serum)を含むRMPI−1640培地で培養し、3〜4日毎に改代培養した。
【0066】
<2−2>腫瘍標的に対する組織学的分析
本発明で使用されるペプチドはN−末端にフルオレシン(fluorecein)が結合した形態にして、標準Fmoc方法により合成した後HPLC機器で分離した。本ペプチドの合成は専門会社(Peptron社)に依頼して施行した。
フルオレシンが標識された本発明のペプチド(ApoPep−1)または対照群ペプチド(アミノ酸配列、NSSVDK)をイソフルラン麻酔(isoflurane anesthesia)下でマウスの尻尾静脈を介して最終50μM濃度で投入した後、2時間循環させた。
組織学的実験のため、前記マウスを麻酔して開腹した。心臓を介してphosphate-buffered saline(PBS)洗浄液及び4%パラホルムアルデヒド固定液を順次に灌流させ、腫瘍組織及び器官を除去した。各組織を凍結切断(Cryosections)した後、蛍光顕微鏡(fluorescence microscopy,Zeiss社)で本発明のペプチドを観察した。腫瘍組織におけるアポトーシスは製造会社(Chemicon社)の指針に従いTUNEL(in vitro terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP nick-end labeling)分析法により確認した。フィブリノゲン(fibrinogen)染色は、これに対する抗体(Abcam社)及び赤色の蛍光試薬であるアレキサー568で標識された2次抗体を利用して免疫組織化学法(immunohistochemistry)で施行した。
その結果、図2に示した通り、H&E染色を介して腫瘍が確認され(図2A)、本発明のペプチド(ApoPep−1)を注入した場合、腫瘍組織においてペプチドが観察された(図2B)、対照群ペプチドの場合、ほとんど観察されなかったことが分かった(図2C)。一方、図2Aでアステリスクで表示した部位に対するペプチド蛍光(図2D)、TUNEL染色(図2E)及びこれの映像合成(図2F)をすることにより、TUNEL染色ができる細胞、つまり、アポトーシス細胞にペプチドが結合することが分かった。さらに、図2Aにおいて三角形で表示した部位に対するペプチド蛍光(図2G)、TUNEL染色(図2H)及びこれの映像合成(図2I)をすることにより、TUNEL染色できない細胞にもペプチドが結合し、この部位に対するペプチド蛍光(図2J)、フィブリノゲン染色(図2K)及びこれの映像合成(図2L)を介して細胞の凝固壊死(coagulation necrosis)部位であることが分かった。
従って、配列番号2のペプチド(ApoPep−2)を使用して前記と類似した実験をしてペプチド蛍光(図2M)、TUNEL染色(図2N)及びこれの映像合成(図2O)をすることにより、腫瘍組織内アポトーシス細胞にペプチドが結合することが分かった。
【0067】
実施例3:培養状態のアポトーシス細胞に本発明のペプチドの結合
<3−1>アポトーシス細胞に対するペプチド結合の顕微鏡的観察
細胞をチャンバースライド(Nalgen Nunc社)で培養し、50μM濃度のエトポシド(etoposide、Sigma社)を定められた時間に処理してアポトーシスを誘導した(A549及びHeLa細胞15時間、H460細胞24時間、L132細胞3時間、RAW細胞6時間)。前記細胞は抗生剤(ペニシリン及びストレプトマイシン)と10%牛胎児血清を含む、RMPI−1640培地(A549及びH460細胞)及びDMEM培地(HeLa,L132及びRAW細胞)で培養した。一方、全ての細胞は3〜4日毎に継代培養した。アポトーシスが誘導されたアポトーシス細胞をPBSで洗浄し、1%BSAで37℃で30分間ブロッキング(brocking)を行い、10μMのフルオレシンで標識されたペプチドと細胞を4℃で1時間反応させた。細胞を洗浄してアレキサー594蛍光試薬で標識されたアネキシンV(Molecular Probes社)を添加したアネキシンV反応緩衝液と細胞を室温で15分間反応させた。細胞をPBSで洗浄して4%パラホルムアルデヒドで5分間固定した。以降、核染色剤である4’,6’−ジアミジノ−2−フェニルインドル(4',6'-diamidino-2-phenylindole,DAPI)で対応染色(counterstain)した後、マウンティング液(Molecular Probes社)を処理して蛍光顕微鏡(Zeiss社)で撮影した。
その結果、図3に示した通り、エトポシドを処理しない正常細胞に本発明のペプチド(ApoPep−1)及びアネキシンVを処理した場合、標識がされなかった(左側より一番目の列、図3のA,E,I,M,Q)。これに比べてエトポシドを処理したアポトーシス細胞に本発明のペプチド(ApoPep−1)(左側より二番目の列、図3のB,F,J,N,R)またはアネキシンV(左側より三番目の列、図3のC,G,K,O,S)を処理した場合、両方全てに標識がなされ、コンピュータープログラムを利用して二つの写真を合成した結果、本発明のペプチドとアネキシンVが互いに同一な部位に結合することが分かった(左側より四番目の列、図3のD,H,L,P,T)。
【0068】
<3−2>アネキシンVの処理に伴うアポトーシス細胞に対するペプチド結合の競争的阻害試験
アポトーシス細胞に対する本発明のペプチド(ApoPep−1)の結合特性をより一層調査するために、アネキシンVとの競争的阻害可否を測定した。このため、まず、A549アポトーシス細胞に蛍光が標識されないアネキシンVを0.200及び1000μMの濃度で処理し、蛍光標識されたアネキシンVを前記実施例3の<3−1>に記載された通りの条件で細胞と反応させ、その結合可否を蛍光顕微鏡で観察した。
その結果、図4A〜Cに示した通り、蛍光が標識されないアネキシンVを高濃度で前処理した場合、蛍光が標識されたアネキシンVの結合が競争的に阻害され、これによる蛍光が大きく減少することが分かった。
一方、A549アポトーシス細胞に蛍光が標識されないアネキシンVを1000μMの濃度で前処理し、蛍光標識されたペプチドを前記実施例3の<3−1>に記載された通りの条件で細胞と反応させ、その結合可否を蛍光顕微鏡で観察した。
その結果、図4D〜Fに示した通り、本発明のペプチド(ApoPep−1)の結合は高濃度のアネキシンVを前処理しても阻害されなかった。
【0069】
<3−3>FACS分析を介したアポトーシス細胞に対する本発明のペプチドの結合確認
アポトーシス細胞に対する本発明のペプチドの結合を確認するための、さらに別の方法でアポトーシス細胞にフルオレシンが標識された本発明のペプチドを処理した後、結合可否をFACSの分析で確認した。まず、50μM濃度のエトポシドをA549細胞に6〜15時間処理して、アポトーシスを誘導した。フルオレシンが標識された本発明のApoPep−1ペプチド(10μM)またはApoPep−2ペプチド(10μM)及び同一濃度の対照群ペプチドを正常またはアポトーシス細胞と4℃で1時間反応した。一方、フルオレシン標識されたアネキシンVは室温で15分間細胞と反応した。前記細胞をpropodium iodide(PI)で同時に染色した後PBSで洗浄し、FACS機器(Becton Dickinson社)を使用してFACS分析を行った。
その結果、図5に示した通り、エトポシドを処理したA549アポトーシス細胞にアネキシンVとPIを染色した場合、アネキシンV染色のみがなされる細胞(Q4分画、アポトーシス初期段階)及びアネキシンVとPIが両方同時に染色される細胞(Q2分画、アポトーシス後期段階)の百分率は15時間の場合にそれぞれ64.3%と9.4%で6時間処理した場合に比べて多くなったことが分かった(図5A)。15時間エトポシド処理した細胞に本発明のApoPep−1ペプチドを処理した場合、アポトーシス初期段階と後期段階の細胞にペプチドがそれぞれ90.3%と7.2%で結合することが分かった(図5B)。アポトーシス細胞に対照群ペプチドを処理した場合及び正常細胞に本発明のペプチド(ApoPep−1)を処理した場合は結合する細胞がほとんどなかった。
従って、20時間エトポシド処理したA549アポトーシス細胞に本発明のApoPep−2ペプチドを4℃及び37℃の温度条件で1時間処理した場合にも正常細胞に比べてアポトーシス細胞により良く結合することが分かった(図5C)。
【0070】
実施例4:本発明のペプチドの腫瘍内アポトーシス細胞標的検証及び映像化
<4−1>ペプチドの腫瘍内アポトーシス細胞標的検証及び映像化
前記実施例2の<2−1>での通り、A549肺癌細胞株で腫瘍が移植されたヌードマウスを準備した。これらマウスをそれぞれ抗癌剤であるドキソルビシン(doxorubicin,Sigma社)処理群(+Dox)及び未処理群(−Dox)に分けた後、処理群にはペプチド注入1週間前に、48時間間隔で3回ドキソルビシン(10mg/kg)を処理した。その後、それぞれのマウスにフルオレシンが標識された本発明のペプチドまたは対照群ペプチドをイソフルラン麻酔下で尻尾静脈を介して最終50μM濃度で注入した。注入1時間後から6時間まで毎時間毎にOptix exPlore機器(GE Healthcare社)を使用して生体蛍光映像を撮影した。さらに、機器自体のソフトウェアを使用して各映像を標準化した。
腫瘍がかなり育った場合(径1cm以上)には、ドキソルビシンを処理しない状態で本発明のペプチドを前記と同じ濃度で注入して一定時間毎にIVIS蛍光映像システム(Chemipro社)を使用して生体蛍光映像を撮影した。
その結果、図6Aに示した通り、ドキソルビシン処理群に本発明のApoPep−1ペプチドを注入した場合に、腫瘍組織でフルオレシンによる蛍光信号が2時間目に最も強く測定され、5時間まで測定されたことが分かった。反面、ドキソルビシン未処理群に本発明のペプチドを注入するか、もしくはドキソルビシン処理群に対照群ペプチドを注入した場合、蛍光信号が微弱に検出されるか、ほとんど検出されないことが分かった。
さらに、図6Bに示した通り、本発明濃度ApoPep−2ペプチドをドキソルビシンを処理しない、径1cm以上の大きい腫瘍があるマウスに注入した場合、2時間目から腫瘍より蛍光が発見され、5時間目に強い蛍光映像が測定された。これは大きい腫瘍の場合、薬剤を処理しなくとも腫瘍組織内相当部分アポトーシスが起きたことを示唆するものである。
【0071】
<4−2>ペプチドの腫瘍内アポトーシス細胞標的に対する核医学映像
前記実施例2の<2−1>での通り、H460肺癌細胞株に腫瘍が異種移植されたヌードマウスを準備した。これらマウスをそれぞれ抗癌剤であるドキソルビシン処理群及び非処理群に分け、処理群にはペプチド注入1週間前に48時間間隔で3回ドキソルビシン(10mg/kg)を処理した。その後、それぞれのマウスに放射性同位元素I−124標識された本発明のペプチド(ApoPep−1)をイソフルラン麻酔下で尻尾静脈を介して注入した(処理群、91μCi;非処理群、93μCi)。一方、現在陽電子放出単層撮影(PET)に主に使用されるF−18標識されたFDGをドキソルビシン処理群及び非処理群にそれぞれ300μCi及び304μCi注入した。[124I]ApoPep−1ペプチド注入後5時間及び[18F]FDG注入1時間後にmicro PET機器(Concorde MicroSystems社)を使用して核医学映像をそれぞれ撮影した。その結果、図7に示した通り、[124I]ApoPep−1ペプチド注入した場合、ドキソルビシン処理群において非処理群に比べて一層強化された映像信号が腫瘍部位で観察された。反面、[18F]FDGの場合は、ドキソルビシン処理群において非処理群に比べてさらに弱くなった映像信号が観察された。これは抗癌剤処理により腫瘍細胞のアポトーシスが誘導されたことを本発明のペプチドが認識してモニタリングできることを示唆する。
【0072】
実施例5:本発明のペプチドを利用した動脈硬化の分子映像
動脈硬化動物モデルは低密度脂質蛋白質(low density lipoprotein,LDL)に対する受容体を遺伝的に欠乏(Ldlr(−/−))させたマウスに高コレステロール食餌を8週間実施して誘導した。動脈硬化及び正常マウスにCy7.5近赤外線蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)または対照群ペプチドをイソフルラン麻酔下で尻尾静脈を介して最終50μM濃度で注入した。2時間後にマウスを麻酔させた状態で近赤外線蛍光をOptix exPlore機器を使用して生体撮影した。生体撮影後には大動脈を隔離して体外で近赤外線蛍光を測定した。
その結果、背後から撮影した際、ApoPep−1ペプチドを注入した動脈硬化マウスにおいて対照群ペプチドに比べて一層強化された近赤外線蛍光が観察され、正常マウスにはApoPep−1ペプチドを注入しても蛍光がほとんど観察されなかった(図8A)。この際、蛍光の強度を数値で換算すれば、本発明のペプチドの蛍光が対照群ペプチドの約2倍程度であった(図8B)。一方、腹部を割いて大動脈を露出した状態で撮影した時には、ApoPep−1ペプチドを注入した動脈硬化マウスでの近赤外線蛍光信号が対照群ペプチドに比べて遥かに強かった(図8C)。さらに、大動脈を隔離して体外で蛍光を測定しても類似した結果を示した(図8D)。
【0073】
実施例6:本発明のペプチドを利用した脳卒中の分子映像
脳卒中モデルはラット(rat)の左側中間大脳動脈(middle cerebral artery)を2時間結紮後血流を再循環させて誘導した。血流を再循環させて2時間後に、脳卒中ラット及び正常ラットにCy7.5近赤外線蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)及び対照群ペプチドをイソフルラン麻酔下で、尻尾静脈を介して最終50μM濃度で注入した。静脈注射1時間及び3時間後、頭部位の近赤外線蛍光を撮影した。一方、3時間グループのラットよりそれぞれ脳を隔離して体外で脳の近赤外線蛍光を撮影した。
その結果、本発明のペプチド(ApoPep−1)を注入した脳卒中ラットより、1時間目から頭部位に近赤外線蛍光が観察され、3時間目は極めて強烈な蛍光が観察された。反面、対照群ペプチド(NSSSVDK)を注入した脳卒中ラット及びApoPep−1ペプチドを注入した正常ラットでは、蛍光がほとんど観察されなかった(図9A)。さらに、それぞれのラットより脳を隔離して体外で蛍光を測定した時も類似した結果を示し、特に、左側脳血管を結紮したことにより、脳卒中ラットの左側半球(hemisphere)で蛍光が観察された(図9B)。
【0074】
実施例7:本発明のペプチドを利用した心筋虚血の分子映像
心筋虚血(myocardial ischemia)はラットの冠状動脈を結紮し、血流を再循環させる虚血/再循環(ischemia/reperfusion)モデルを利用して誘導した。前記施術のため、ラットをフェノバルビタル(phenobarbital)10mgを腹腔内に注入して麻酔させた状態で、気管支挿管及び人工呼吸器(ventilator)を連結した。その後、胸郭を切開して心臓を露出させ、左前下方冠状動脈(left anterior descending coronary artery)を縫合糸で30分間結紮した後、再び緩めて血流を再循環させた。対照群(Sham)は同一の施術をしたものの、血管を結紮しない場合である。血流を再循環させた2時間後に、心筋損傷及び対照群ラットにCy7.5近赤外線蛍光が標識された配列番号1のペプチド(ApoPep−1)を静脈注射した。ペプチドを注入した2時間後、心臓部位の近赤外線を撮影し、それぞれの心臓を隔離して近赤外線撮影をした。
その結果、心筋虚血が起こったラットの心臓部位で対照群ラットに比べて遥かに強力な近赤外線蛍光が観察され(図10A)、それぞれの心臓を隔離して体外で蛍光を測定した場合にも類似した結果を示した(図10B)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上の通り、本発明のペプチドはアポトーシス細胞と特異的に結合できる。従って、本発明のペプチドは腫瘍におけるアポトーシス細胞の検出及び心筋梗塞、脳卒中または動脈硬化部位でのアポトーシス細胞の検出と映像診断または標的薬物伝達等に多様に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜12からなる群より選ばれた配列で示されるアミノ酸配列を有し、アポトーシス細胞(apoptotic cell)と特異的に結合するペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2に記載のペプチドを含むベクター。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
【請求項5】
請求項1に記載のペプチドを有効成分として含むアポトーシス細胞検出用組成物。
【請求項6】
前記ペプチドが、発色酵素、放射性同位元素、クロモホアー(chromophore)、発光物質、蛍光物質(fluorescer)、常磁性粒子(super paramagnetic particles)及び超常磁性粒子(ultrasuper paramagnetic particles)からなる群より選ばれる一つで標識される請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
(a)請求項1に記載のペプチドを試料と混合する工程;
(b)未結合かもしくは非特異的に結合した前記ペプチドを除去する工程;及び
(c)前記ペプチドの結合可否及び位置を確認する工程を含むアポトーシス細胞の検出方法。
【請求項8】
請求項1に記載のペプチドを有効成分として含む薬物伝達用組成物。
【請求項9】
腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞、及び動脈硬化からなる群より選ばれた疾患に特異的である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記腫瘍性疾患が、大腸癌、肺癌、胃癌、食道癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、絨毛癌、卵巣癌、乳房癌、甲状腺癌、脳癌、頭頸部癌、悪性黒色腫、皮膚癌、肝臓癌、白血病(leukemia)、リンパ腫(lymphoma)、複合骨髄腫(multiple myeloma)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia)、神経芽腫(neuroblastoma)、及び再生不良性貧血からなる群より選ばれる疾患である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ペプチドが、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビンブラスチン(vinblastine)、アクチノマイシン−D(actinomycin−D)、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ビサントレン(bisantrene)、ホモハリングトニン(homoharringtonine)、グリベック(Gleevec;STI−571)、シスプラチン(cisplatin)、5−フルオウラシル(5−fluouracil)、アドリアマイシン(adriamycin)、メトトレキセート(methotrexate)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メルファラン(melphalan)、ニトロゲンムスタド(nitrogen mustard)、ニトロソウレア(nitrosourea)、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、ウロキナーゼ(urokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、アンジオテンシン(angiotensin)II抑制剤、アルドステロン(aldosterone)受容体抑制剤、エリスロポイエチン(erythropoietin)、NMDA(N−methyl−d−aspartate)受容体抑制剤、ロバスタチン(Lovastatin)、ラパマイシン(Rapamycin)、セレブレクス(Celebrex)、チクロピン(Ticropin)、マリマスタト(Marimastat)、及びトロケード(Trocade)からなる群より選ばれる薬剤と結合した請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した抗腫瘍性疾患製剤を有効成分として含む腫瘍性疾患予防及び/または治療用薬学的組成物。
【請求項13】
前記抗腫瘍性疾患製剤が、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビンブラスチン(vinblastine)、アクチノマイシン−D(actinomycin−D)、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、ビサントレン(bisantrene)、ホモハリングトニン(homoharringtonine)、グリベック(Gleevec;STI−571)、シスプラチン(cisplatin)、5−フルオウラシル(5−fluouracil)、アドリアマイシン(adriamycin)、メソトレキセート(methotrexate)、ブスルファン(busulfan)、クロラムブシル(chlorambucil)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、メルファラン(melphalan)、ニトロゲンムスタド(nitrogen mustard)、及びニトロソウレア(nitrosourea)からなる群より選ばれる製剤である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載のペプチドを有効成分として含む腫瘍性疾患部位の映像化用組成物。
【請求項15】
前記ペプチドが、発色酵素、放射性同位元素、クロモホア(chromophore)、発光物質、蛍光物質(fluorescer)、常磁性粒子(super paramagnetic particles)、及び超常磁性粒子(ultrasuper paramagnetic particles)からなる群より選ばれる一つで表示される請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した脳卒中治療剤を有効成分として含む脳卒中予防及び/または治療用薬学的組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のペプチドを有効成分として含む脳卒中部位の映像化用組成物。
【請求項18】
請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した心筋梗塞治療剤を有効成分として含む心筋梗塞予防及び治療用薬学的組成物。
【請求項19】
請求項1に記載のペプチドを有効成分として含む心筋梗塞部位の映像化用組成物。
【請求項20】
請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した動脈硬化治療剤を有効成分として含む動脈硬化予防及び/または治療用薬学的組成物。
【請求項21】
請求項1に記載のペプチドを有効成分として含む動脈硬化部位の映像化用組成物。
【請求項22】
請求項1に記載のペプチドを使用することを特徴とするアポトーシス細胞検出方法。
【請求項23】
請求項1に記載のペプチドを使用することを特徴とする薬物伝達方法。
【請求項24】
請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した薬剤をこれを必要とする個体に有効量投与することを特徴とする薬物伝達方法。
【請求項25】
腫瘍性疾患治療剤の製造のための請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した抗腫瘍性疾患製剤の使用。
【請求項26】
脳卒中治療剤の製造のための請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した脳卒中治療剤の使用。
【請求項27】
心筋梗塞治療剤の製造のための請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した心筋梗塞治療剤の使用。
【請求項28】
動脈硬化治療剤の製造のための請求項1に記載のペプチド及びこれと結合した動脈硬化治療剤の使用。
【請求項29】
請求項1に記載のペプチドを使用することを特徴とする腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化からなる群より選ばれる疾患部位の映像化方法。
【請求項30】
請求項1に記載のペプチドをこれを必要とする個体に有効量投与することを特徴とする腫瘍性疾患、脳卒中、心筋梗塞及び動脈硬化からなる群より選ばれた疾患部位の映像化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−273462(P2009−273462A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116678(P2009−116678)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(507166232)キョンポク ナショナル ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデーション (6)
【Fターム(参考)】