説明

アポリポタンパク質類似体

【課題】アポリポタンパク質構築物、薬剤として用いるアポリポタンパク質構築物、アポリポタンパク質構築物をコードする核酸配列、 その核酸配列を含むベクター、アポリポタンパク質構築物の製造方法、および医薬組成物の製造のためのアポリポタンパク質構築物の使用を提供すること。
【解決手段】一般式
apo-A-X
{式中、apo-Aはアポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、アポリポタンパク質AIV、その類似体または変異体からなる群から選択されるアポリポタンパク質成分であり、
Xはアミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物および核酸配列からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む異種部分であり、
ただし、この構築物が厳密に同じ2つの天然アポリポタンパク質からなる場合にはこれらは連続的に結合される}
を有する、薬剤として用いられるアポリポタンパク質構築物、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアポリポタンパク質構築物、薬剤として用いるアポリポタンパク質構築物、そのアポリポタンパク質構築物をコードする核酸配列、その核酸配列を含むベクター、そのアポリポタンパク質構築物の製造方法、そのアポリポタンパク質構築物を含む医薬組成物、医薬組成物の製造のためのそのアポリポタンパク質構築物 の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
以下、Apo Aまたはアポリポタンパク質Aとは3つのアポリポタンパク質、すなわちアポリポタンパク質A I、アポリポタンパク質A II、またはアポリポタンパク質A IVのいずれかを示すのに用いる。
【0003】
血管のアテローム性動脈硬化症により引き起こされる心血管疾患は世界の産業国で最も高い死因となっている。アテローム性動脈硬化症を引き起こす病原因子の1つとして、プラーク形成、そしてやがては動脈硬化症および梗塞のリスクの上昇に至る血管壁におけるコレステロールの沈着がある。
【0004】
アポリポタンパク質A-1(apo-A-1)は、動脈硬化症の存在とは負の相関がある血漿HDL(高密度リポタンパク質)の主成分である。この作用はいわゆる末梢組織から肝臓へのコレステロールの逆輸送によって生じるという強い実験的証拠がある。哺乳類においてこのコレステロールの逆輸送はapo-A-1の注射により刺激されうるという実験的証拠もある。
【0005】
アポリポタンパク質A-1は血漿から速やかにクリアランスされる。Apo-A-1は大部分、すぐに分解されるのではなく、腎臓で濾過されることによって血漿から取り除かれると考えられている(非特許文献1; 非特許文献2;非特許文献3)。アポリポタンパク質Aの血漿半減期が短いことはアテローム性動脈硬化症の治療におけるこのタンパク質の使用の制約となる。
【0006】
特許文献1はアポリポタンパク質A-1-Milanoと呼ばれるapo-A-1変異体の実質的に純粋な二量体に関するものである。この二量体を含有する薬剤は血栓症の予防に使用でき、あるいは単量体としてプロドラッグとして使用できる。この特定のapo-A-I変異体の特殊な特徴として、それ自体共有結合二量体を形成する能力がある。筆者はApo A-1-Mの存在が血漿半減期の延長を担いうるとしているが、決定的なデータは示されていない。
【0007】
特許文献2は純粋、安定で成熟型の生物学的に活性なヒトなアポリポタンパク質A-Iを高収量で製造する方法を開示している。
【0008】
特許文献3は治療上有効量のアポリポタンパク質Aまたはアポリポタンパク質Eを投与することによる動脈硬化症または心血管疾患の治療方法を開示している。
【0009】
特許文献4は151番にシステインを含むヒトアポリポタンパク質A-I変異体同質二量体を記載している。このアミノ酸配列にシステイン残基が存在すると、単量体間のジスルフィド橋によって二量体が形成可能となる。さらにこの参照文献は対応する核酸配列、およびこれらを含むベクター、ならびに変異体を含む医薬組成物および遺伝子治療におけるこれらの使用を開示している。
【0010】
特許文献5および特許文献6はそれぞれ酵母菌および大腸菌におけるApoA-IおよびApoA-IMの製造方法を開示している。これらの明細書はまた、アテローム性動脈硬化症および心血管疾患の治療用薬剤としてのApoA-IおよびApoA-IMの使用を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,876,968号(SIRTORI et al.)
【特許文献2】米国特許第5,643,757号(SHA-IL et al.)
【特許文献3】米国特許第5,990,081号(AGELAND et al.)
【特許文献4】WO96/37608(RHONE-POULENC ROHRER et al.)
【特許文献5】WO90/12879(Sirtori et al)
【特許文献6】WO94/13819(Kabi Pharmacia)
【非特許文献1】Braschi et al 1999, J Lipid Res, 40:522-532
【非特許文献2】Braschi et al 2000, Biochemistry, 39:5441-5449
【非特許文献3】Glass et al 1983, J Biol Chem 258:7161-7167
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
結果として先行技術は主として、これらタンパク質の公知の欠点(主として速いクリアランス)にもかかわらず、血管疾患の治療用薬剤としての天然ApoA-IまたはApoA-IM単量体またはApoA-IM二量体の使用に関するものである。この先行技術はコレステロールの逆輸送を行う能力が上昇した、かつ/または血漿半減期が長い構築物を得るためにApoA-Iを改変することを示唆するものではない。従って、心血管疾患の治療および/または予防に使用できる、このようなApoA構築物を提供することが本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(概要)
第1の態様では、本発明は、一般式
apo-A-X
{式中、apo-Aはアポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、アポリポタンパク質AIV、その類似体または変異体からなる群から選択されるアポリポタンパク質A成分であり、
Xはアミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物および核酸配列からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む異種部分であり、
ただし、この構築物が厳密に同じ2つの天然アポリポタンパク質からなる場合にはこれらは連続的に結合される}
を有する、薬剤として用いられるアポリポタンパク質構築物に関する。
【0013】
本発明により、薬剤として用いられる新規な構築物が提供される。先行技術では医療用としての本発明で定義されるアポリポタンパク質構築物を教示するには至っていない。本発明のアポリポタンパク質構築物はコレステロールおよびその他の脂質と複合体を形成し、これらの化合物の肝臓輸送を助ける能力によりHDL類似体として広く見なされている。
【0014】
本発明を通し、アポリポタンパク質成分またはその構築物の一部はapo Aまたはアポリポタンパク質と呼ぶ。以下、およびクレームでは、異種部分は構築物のX成分と呼ぶ。アポリポタンパク質またはその類似体もしくは変異体はこの異種部分に共有結合している。
【0015】
この構築物のX成分は広く異種部分と考えられる。本明細書において異種部分は天然条件下ではアポリポタンパク質またはその類似体もしくは変異体もしくは機能的同等物と結合していない、いずれの種の部分であってもよい。従ってこの異種部分は同種または別種のペプチドもしくはタンパク質、またはペプチドもしくはタンパク質の一部であってもよいし、あるいは単一のアミノ酸であってもよい。それは合成ペプチドであってもよい。また、ポリオール、核酸配列など、炭水化物系または他の高分子、生体適合性系のものであってもよい。
【0016】
天然アポリポタンパク質A-I、A-IIまたはA-IVとの機能的同等性は便宜には脂質結合アッセイを用いて測定することができる。哺乳類において実質的に同等の生理学的応答を惹起する構築物の能力は便宜には、ウサギ、またはマウスのような齧歯類などの実験生物においてコレステロール逆輸送を行う能力を測定することで評価することができる。
【0017】
アポリポタンパク質と異種部分を含む構築物は、異種部分の付加によって改変されているにもかかわらず、天然アポリポタンパク質と同等またはそれ以上のコレステロール逆輸送を行うことができる。この構築物の血漿半減期は野生型アポリポタンパク質に比べて延長されていることが好ましい。このような血漿半減期の延長はアポリポタンパク質構築物の大きさの増大(腎臓の濾過速度を下げる)によるものであるか、HDLとの結合の増強によるものであるか、あるいは天然Apo Aに比べてこの構築物の分解が低下していることによるものであるかのいずれかの可能性がある。
【0018】
血漿半減期は少なくとも2倍または3倍、あるいは少なくとも4倍、あるいは少なくとも10倍であるのが好ましい。同様にこの構築物の脂質結合親和性および/またはコレステロール結合親和性などの結合親和性が野生型アポリポタンパク質に比べて高まっていることが好ましい。脂質結合親和性は少なくとも5%、例えば少なくとも10%、例えば少なくとも15%、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも25%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも100%、例えば少なくとも150%、例えば少なくとも200%、例えば少なくとも300%上昇していることが好ましい。本発明の構築物の脂質結合親和性が天然アポリポタンパク質の脂質結合親和性と同等以下であったとしても、本発明の構築物の血漿半減期の延長によって臨床効果は高まりうる。
【0019】
血漿半減期の延長および/または脂質結合親和性の増強は動脈硬化症の治療における本アポリポタンパク質構築物の使用と深い関わりを持つ。従って、本発明のアポリポタンパク質構築物の臨床効果は野生型アポリポタンパク質の効果よりも優れているものと期待される。
【0020】
本発明はまた、哺乳類において実質的に同等の生理学的応答を惹起しうる野生型アポリポタンパク質の類似体または変異体も包含する。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、一般式
apo-A-X
{式中、apo-Aはアポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、アポリポタンパク質AIV、その類似体または変異体からなる群から選択されるアポリポタンパク質成分であり、
Xはオリゴマー形成モジュールおよび末端結合アポリポタンパク質からなる群から選択される異種部分である}
を有するアポリポタンパク質構築物が提供される。
【0022】
さらなる態様によれば、上記アポリポタンパク質構築物をコードするヌクレオチド配列が提供される。好ましくはこのヌクレオチド配列はタンパク質構築物の発現のための調節配列と作動可能なように連結されている。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、アポリポタンパク質構築物をコードするヌクレオチド配列を含むベクター、上記ヌクレオチド配列を含む形質転換宿主細胞が提供される。
【0024】
本発明のアポリポタンパク質構築物は種々の方法によって製造することができる。
【0025】
第1の方法によれば、構築物に挿入されたDNAによりコードされている本発明のタンパク質構築物の発現を促進する条件下で形質転換宿主細胞を培養し、上記タンパク質構築物を取得・回収し、所望により上記タンパク質構築物をさらにプロセッシングする。
【0026】
この方法は、構築物全体がポリペプチド系のものであり、従って対応するある核酸配列によってコードされうる場合に好ましい方法となる。
【0027】
第2の方法によれば、異種部分を化学的に合成した後、それをアポリポタンパク質またはアポリポタンパク質構築物を含有する類似体と連結し、これを単離し、所望によりさらにプロセッシングすることによりアポリポタンパク質構築物を製造することができる。この方法は、異種部分が非ペプチド系のものである場合に好ましい方法となる。しかし、ポリペプチド系のものである場合に異種部分を化学的に合成するほうが好ましい条件もある。このような条件とは、異種部分がアミノ酸20未満といった比較的短い場合である。
【0028】
第3の方法によれば、核酸断片によってコードされているアポリポタンパク質またはアポリポタンパク質類似体の発現を促進する条件下で形質転換宿主細胞を培養した後、上記アポリポタンパク質またはアポリポタンパク質類似体を異種部分に共有結合させ、アポリポタンパク質構築物を取得し、得られたアポリポタンパク質構築物を単離し、所望により上記構築物をさらにプロセッシングすることによりアポリポタンパク質構築物を製造することができる。
【0029】
最後に、オリゴマー形成モジュールをコードする核酸断片によってコードされているタンパク質の発現を促進する条件下で形質転換宿主細胞を培養した後、上記モジュールを少なくとも1つのアポリポタンパク質に結合させ、アポリポタンパク質構築物を取得することによりアポリポタンパク質構築物を製造することができる。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、上記のアポリポタンパク質構築物を含む医薬組成物が提供される。この医薬組成物は注射によるなど非経口投与できることが好ましい。
【0031】
本発明はまた、医薬組成物の製造のための上記のアポリポタンパク質構築物の使用も包含する。この医薬組成物は医薬上許容される賦形剤、アジュバント、添加剤(脂質、リン脂質、コレステロールまたはトリグリセリドなど)をさらに含んでもよい。
【0032】
この医薬組成物は静脈内、動脈内、筋肉内、経皮、肺、皮下、皮内、髄腔内(intratechally)、口内、肛門、膣、結膜もしくは鼻内組織経由投与、または腫瘍組織など組織への接種、またはインプラント、あるいは経口投与してもよい。
【0033】
上記アポリポタンパク質構築物はまた遺伝子治療に用いてもよく、ここでは上記アポリポタンパク質構築物をコードするDNA配列が少なくとも1つの細胞集団のトランスフェクションまたは感染に用いられる。
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の構築物およびこれら構築物のapo-A成分の機能性は以下に記載のDPMCアッセイによるなど、脂質結合アッセイによって測定することができる。さらに、コレステロール逆輸送に対するin vivo作用はMiyazaki et al (Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology, 1995; 15:1882-1888)に開示されている方法などの高コレステロール食を与えたウサギまたはApo E欠損マウス(Sha PK et al, Circulation 2001,103:3047-3050)などの実験動物に投与することにより測定することができる。
【0035】
アポリポタンパク質または類似体
以下、「apo-A」とは、アポリポタンパク質A-I、アポリポタンパク質A-IIまたはアポリポタンパク質A-IV、同等の脂質結合機能を有するそのいずれかの変異体または類似体を含むいずれかのアポリポタンパク質Aを表すために用いる。
【0036】
好ましいアポリポタンパク質A-I類似体としては、図2Aに開示されているものが挙げられる。好ましいアポリポタンパク質A-IV類似体としては、図2Bに開示されているものが挙げられる。
【0037】
図1のヒトApo-AI配列の既知の変異体としては以下の変異体があり、図1の配列に対する変異の位置、変異、あれば既知の変異体の名称が示されている。
27 P→H(MUNSTER-3C)
27 P→R
28 P→R(MUNSTER-3B)
34 R→L(BALTIMORE)
50 G→R(IOWA)
84 L→R(常染色体優性アミロイドシス)
113 D→E
119 A→D(HITA)
127 D→N(MUNSTER-3A)
131 欠失(MARBURG/MUNSTER-2)
131 K→M
132 W→R(津島)
133 E→K(福岡)
151 R→C(パリ)
160 E→K(NORWAY).
163 E→G
167 P→R(GIESSEN).
168 L→R (ZARAGOZA).
171 E→V
189 P→R
197 R→C(MILANO)
222 E→K(MUNSTER-4)
【0038】
本発明によれば「アポリポタンパク質」とは、図1、2aおよび2bの少なくとも1つの配列の機能的同等物、または所定のアミノ酸配列を含む図1、2aおよび2bの少なくとも1つの配列の断片を含むことを意味する。「断片」とは以下のように定義される。
i) 図1、2aまたは2bの所定のアミノ酸配列もまた認識しうる抗体によって認識されうるアミノ酸配列を含む断片、および/または
ii)ジミリストイルホスファチジルコリンまたはコレステロールなどの脂質と結合しうるアミノ酸配列、および/あるいは図1、2aまたは2bの所定のアミノ酸配列とも結合しうるレセプターを含む断片。
【0039】
本発明によれば、アポリポタンパク質またはその断片の機能的同等物は少なくとも1つのアミノ酸の付加、置換または欠失によって得てもよい。アミノ酸配列があるアミノ酸から他のアミノ酸への置換を含む場合、このような置換は保存的アミノ酸置換であってもよい。図1、2aおよび2bの配列の断片は1を超えるかかる置換、例えば2つの保存的アミノ酸置換、例えば3または4つの保存的アミノ酸置換、例えば5または6つの保存的アミノ酸置換、例えば7または8つの保存的アミノ酸置換、例えば10〜15の保存的アミノ酸置換、例えば15〜25の保存的アミノ酸置換、例えば25〜75の保存的アミノ酸置換、例えば75〜125の保存的アミノ酸置換、例えば125〜175の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。置換は1以上の所定のアミノ酸群のいずれの間で起こってもよい。
【0040】
1以上の保存的アミノ酸置換を含む断片の例は、同一群の所定のアミノ酸間での1以上の保存的アミノ酸置換、または各保存的置換が異なる群の所定のアミノ酸間での置換によって生じるものである複数の保存的アミノ酸置換が挙げられる。
【0041】
従って、本発明の図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片は同一の図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片内、あるいは異なる図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片間に少なくとも1つの置換、例えば互いに独立に導入された複数の置換を含んでもよい。このように図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片は、図1、2aもしくは2bの配列の変異体、またはその図1、2aもしくは2bの配列の断片の少なくとも1つのグリシン(Gly)がAla、Val、LeuおよびIleからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている保存的置換を互いに独立に含んでもよく、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのアラニン(Ala)がGly、Val、LeuおよびIleからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのバリン(Val)がGly、Ala、LeuおよびIleからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのロイシン(Leu)がGly、Ala、ValおよびIleからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのイソロイシン(Ile)がGly、Ala、ValおよびLeuからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのアスパラギン酸(Asp)がGlu、AsnおよびGlnからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのフェニルアラニン(Phe)がTyr、Trp、His、Proからなるアミノ酸群から選択される、好ましくはTyrおよびTrpからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体または図1、2aもしくは2bの配列の断片の少なくとも1つのチロシン(Tyr)がPhe、Trp、His、Proからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸、好ましくはPheおよびTrpからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の断片の少なくとも1つのアルギニン(Arg)がLysおよびHisからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのリジン(Lys)がArgおよびHisからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのアスパラギン(Asn)がAsp、GluおよびGlnからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのグルタミン(Gln)がAsp、GluおよびAsnからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのプロリン(Pro)がPhe、Tyr、TypおよびHisからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片、またそれとは独立に、図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片の少なくとも1つのシステイン(Cys)がAsp、Glu、Lys、Arg、His、Asn、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなるアミノ酸群から選択されるアミノ酸で置換されている図1、2aもしくは2bの配列の変異体またはその断片も含まれる。
【0042】
同じ変異体または断片は、本明細書の上記で定義した保存的アミノ酸の1を超える群に由来する1を超える保存的アミノ酸置換を含んでもよいことは上記の概説から明らかである。
【0043】
アミノ酸の付加または欠失は2〜10個のアミノ酸、例えば10〜20個のアミノ酸、例えば20〜30個のアミノ酸、例えば40〜50個のアミノ酸の付加または欠失であってよい。しかし、50個を超えるアミノ酸の付加または欠失、例えば10〜200個のアミノ酸の付加といったものも本発明の範囲に含まれる。より具体的には、図1の配列から43個のN末端アミノ酸をそのタンパク質の脂質結合作用を実質的に変化させることなく除去することができる。このような欠失変異体は配列番号4に構築物のアポリポタンパク質部分として含まれている。
【0044】
従って本発明は、DPMCなどの脂質と結合しうる図1、2aもしくは2bの配列の少なくとも1つの断片(かかる少なくとも1つの断片のいずれの変異体および機能的同等物も含む)を含むアポリポタンパク質に関するものであると理解される。
【0045】
本発明のアポリポタンパク質はそのいずれかの機能的同等物および断片を含め、ある実施形態では、243未満のアミノ酸残基、例えば240未満のアミノ酸残基、例えば225未満のアミノ酸残基、例えば200未満のアミノ酸残基、例えば180未満のアミノ酸残基、例えば160未満のアミノ酸残基、例えば150未満のアミノ酸残基、例えば140未満のアミノ酸残基、例えば130未満のアミノ酸残基、例えば120未満のアミノ酸残基、例えば110未満のアミノ酸残基、例えば100未満のアミノ酸残基、例えば90未満のアミノ酸残基、例えば85未満のアミノ酸残基、例えば80未満のアミノ酸残基、例えば75未満のアミノ酸残基、例えば70未満のアミノ酸残基、例えば65未満のアミノ酸残基、例えば60未満のアミノ酸残基、例えば55未満のアミノ酸残基、例えば50未満のアミノ酸残基を含みうる。
【0046】
断片
図1、2aまたは2bの天然配列の脂質結合領域を含む断片が特に好ましい。しかし、本発明は脂質結合領域を含む断片に限られるものではない。また、脂質結合領域より小さな領域を含む図1、2aまたは2bの配列の機能的に同等な断片を生じるこのような断片の欠失も本発明に含まれる。本発明の図1、2aまたは2bの配列と機能的に同等なペプチドおよびその断片は脂質結合領域より少ない、または多いアミノ酸残基を含んでもよい。好ましくはこの断片は少なくともapo-A-Iのアミノ酸100〜186番またはその変異体もしくは機能的同等物を含む。この中心ドメインおよびドメイン内のαヘリックスは直接リン脂質との相互作用に関わることが分かっている。よって、この領域はapo-A-Iの機能特性に重要な役割を果たす可能性が高い。
【0047】
本発明で用いる「機能的同等性」とは、図1、2aまたは2bの配列の所定の断片の対応する機能性と比べることにより成り立つ1つの好ましい実施形態に従うものである。
【0048】
図1、2aまたは2bの配列の変異体の機能的同等物は、挿入、欠失および置換(保存的置換を含む)の数と範囲が増すにつれ、好ましい所定の配列から徐々に変化するアミノ酸配列を示すものと考えられる。この違いは好ましい所定の配列と断片または機能的同等物の間の相同性の低下として測定される。
【0049】
アポリポタンパク質の断片または機能的同等物は全て、それらが好ましい所定のアポリポタンパク質配列に対して示す相同性の程度に関係なく、本発明の範囲内に含まれる。この理由は、図1、2aまたは2bの配列のいくつかの領域は極めて変異しやすいものであるか、あるいは生じる断片の結合活性に有意な影響を示さずに完全に欠失できるものであるからである。
【0050】
置換によって得られる機能的変異体は何らかの形態または程度の図1、2aまたは2bの配列の天然活性を十分示し、さらに、機能的に同等なアミノ酸側鎖を含有する残基が置換されている場合には相同性は低い。この点で機能的に同等とは、疎水性、塩基性、中性または酸性、あるいは立体的嵩高部分の有無など、側鎖の優勢な特性についていう。よって、本発明のある実施形態では、I)作用しうる図1、2aまたは2bの、ある配列断片とii)好ましい所定の断片の間の同一性の程度は、本発明の図1、2aまたは2bの好ましい所定の配列断片の変異体または機能的同等物としての断片の主要な基準ではない。
【0051】
アミノ酸配列間の相同性はBLOSUM 30、BLOSUM 40、BLOSUM 45、BLOSUM 50、BLOSUM 55、BLOSUM 60、BLOSUM 62、BLOSUM 65、BLOSUM 70、BLOSUM 75、BLOSUM 80、BLOSUM 85、またはBLOSUM 90などの周知のアルゴリズムを用いて算出すればよい。アルゴリズムBLOSUM 30を用いるのが好ましい。
【0052】
図1、2aまたは2bの配列断片と少なくともいくらか相同性を示す断片は、アポリポタンパク質またはその断片と少なくとも約40%の相同性、例えば図1、2aまたは2bの配列断片と少なくとも約50%の相同性、例えば少なくとも約60%の相同性、例えば少なくとも約70%の相同性、例えば少なくとも約75%の相同性、例えば少なくとも約80%の相同性、例えば少なくとも約85%の相同性、例えば少なくとも約90%の相同性、例えば少なくとも92%の相同性、例えば少なくとも94%の相同性、例えば少なくとも95%の相同性、例えば少なくとも96%の相同性、例えば少なくとも97%の相同性、例えば少なくとも98%の相同性、例えば少なくとも99%の相同性を示す場合に本発明の範囲内にあるとみなされる。本発明のある実施形態によれば、相同性%は同一性%をさす。
【0053】
本明細書で用いる意味に従って機能的同等性を調べる場合に考慮に入れられるさらなる要因としては、i)図1、2aまたは2bの配列の1つに対する抗血清の、本発明の図1、2aまたは2bの配列の断片を検出する能力、またはii)脂質結合アッセイにおいて機能的に同等な断片の、図1、2aまたは2bの配列と競合する能力がある。
【0054】
保存的置換は好ましい所定のアポリポタンパク質またはその断片のいずれの位置に導入してもよい。しかし、非保存的置換、特に、限定されるものではないが、いずれか1以上の位置に非保存的置換を導入することが望ましい場合がある。
【0055】
図1、2aまたは2bの配列の機能的に同等な断片の形成をもたらす非保存的置換は例えば、i)実質的に極性が変わる場合、例えば非極性側鎖を有する残基(Ala、Leu、Pro、Trp、Val、Ile、Leu、PheまたはMet)で極性側鎖を有する残基(Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnまたはGinなど)または電荷アミノ酸(Asp、Glu、ArgまたはLysなど)を置換する場合、あるいは電荷または極性残基で非極性残基を置換する場合;および/またはii)ProまたはGlyの置換、またはProまたはGlyの他の残基による置換など、ポリペプチド主鎖の配向に対する影響が実質的に変わる場合;および/またはiii)電荷が実質的に異なる場合、例えばGluまたはAspなどの負電荷残基でLys、HisまたはArgなどの正電荷残基を置換する場合(逆もある);および/またはiv)立体的嵩高が実質的に変わる場合、例えばHis、Trp、PheまたはTyrなどの嵩高残基で小さな側鎖を有するもの、例えばAla、GlyまたはSerを置換する場合(逆もある)がある。
【0056】
ある実施形態では、アミノ酸の置換はそれらの疎水性および親水性の値、ならびに電荷、大きさなどをはじめ、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性に基づいて行えばよい。上記の種々の特性を考慮したアミノ酸側鎖置換基の例は当業者に周知のものであり、アルギニンとリジン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セレンとトレオニン;グルタミンとアスパラギン;およびバリン、ロイシン、イソロイシンが挙げられる。
【0057】
本明細書に記載の変異体の他、変異体構造の重要部分を模倣するようにして立体的に類似の変異体を製造してもよく、このような化合物も本発明の変異体と同様に使用できる。これは当業者に公知のモデリングおよび化学デザインの技術によって達成できる。このように立体的に類似の構築物は全て本発明の範囲内にあると考えられる。
【0058】
X成分
本発明のタンパク質構築物のX成分は実質的に非免疫原性であることが好ましい。例えば成分Xはアミノ酸、炭水化物、核酸配列、不活性タンパク質またはポリペプチドであってもよく、哺乳類に対して生理作用を実質的に示さず、特に、免疫作用を示さない。
【0059】
成分Xは好ましくは非免疫原性であって、リガンド結合に関して負の緩衝を示さず、すなわち、このアポリポタンパク質成分は所望でない部位においてはX成分とリガンドとの相互作用を介した指示を行わない。
【0060】
ある実施形態によれば、成分Xはアミノ酸1個だけからなり、そのアミノ酸は好ましくはシステイン残基であり、アポリポタンパク質成分のN末端に置いても、C末端に置いても、内部に置いてもよい。このような構築物は他の同一または類似の構築物と二量体を形成しうる。構築物の正しい折りたたみと脂質相互作用を助けるには、末端システイン残基とアポリポタンパク質成分の間にリンカーを導入することが好ましい。
【0061】
しかし、成分Xは1を超えるアミノ酸、例えば2を超えるアミノ酸、例えば5を超えるアミノ酸、例えば10を超えるアミノ酸、例えば15を超えるアミノ酸、例えば20を超えるアミノ酸、例えば30を超えるアミノ酸、例えば40を超えるアミノ酸、例えば50を超えるアミノ酸、例えば75を超えるアミノ酸、例えば100を超えるアミノ酸、例えば200を超えるアミノ酸、例えば300を超えるアミノ酸、例えば400を超えるアミノ酸、例えば500を超えるアミノ酸、例えば600を超えるアミノ酸、例えば700を超えるアミノ酸、例えば800を超えるアミノ酸、例えば900を超えるアミノ酸、例えば1000、1250、1500、2000または2500を超えるアミノ酸を有するペプチドを含むことがより好ましい。
【0062】
成分Xがタンパク質である場合、このタンパク質は好ましくは哺乳類タンパク質、より好ましくはヒトタンパク質である。好適なタンパク質の例としてはアルブミンまたは血清アルブミンなどの血漿タンパク質、プラスミノーゲンのセリンプロテアーゼ断片、または触媒三分子の破壊により不活性化するように操作された他のセリンプロテアーゼなどの他の非免疫原性ペプチドもしくはタンパク質、および免疫グロブリン重鎖不変領域が挙げられる。より好ましくは、このタンパク質は血清アルブミンを含む。よりいっそう好ましくはこのタンパク質はアポリポタンパク質を含む両親媒性らせんを含むアポリポタンパク質を含む。
【0063】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、成分Xはアポリポタンパク質A-I、A-II、AIV、その類似体、機能的変異体または断片からなる群から選択されるアポリポタンパク質成分を含む。この2つのアポリポタンパク質成分は直接連結されていてもよいし、付加的な非天然末端システイン橋を介して連結されていてもよい。
【0064】
少なくとも1つの非天然システイン残基を含むアポリポタンパク質成分の高次オリゴマーならびに二量体を製造してもよく、これらは適当な条件下でシステイン橋を介して連結してもよい。ジスルフィド橋によって連結されるオリゴマーは一連の連結を有してもよい(apo-A-S-S-apo-A、またはapo-A-S-S-apo-A-S-S-apo-A、またはより高次のオリゴマー)。
【0065】
本発明のタンパク質構築物は一連に互いに共有結合されている2、3またはそれを超えるアポリポタンパク質またはその類似体を含んでもよい。これは、一番目のアポリポタンパク質のC末端を二番目のアポリポタンパク質のN末端にといったように連結することで達成できる。これらのタンパク質は転写・翻訳後にこのように連結してもよいし、あるいは単にそのヌクレオチド配列が目的のアポポリタンパク質構築物ならびにこれらのアポリポタンパク質間の任意のリンカーペプチドをコードする2、3またはそれを超える配列を含んでもよい。
【0066】
これにより異種部分の連結を行う必要がなくなる。2、3またはそれを超えるapo-Aユニットを有する構築物では、実質的に全てのapo-Aユニットが脂質結合に加わり、それにより構築物の機能性に寄与するものと期待される。よって、これらの複数のapo-A構築物は天然apo-Aと比べて高い脂質結合親和性を有するものと期待される。天然apo-Aと比べた場合のこれら構築物のさらなる利点は、天然apo-Aと比べて長い血漿半減期を有することである。
【0067】
1を超えるアポリポタンパク質成分を含むこのような構築物は以下の群から選択される組合せを含みうる。
二量体:
A-I A-I; A-II AII; A-IV A-IV; A-I A-II; A-I A-IV; A-II A-IV
三量体:
A-I A-II A-IV; A-I A-I A-II; A-I A-I A-I; A-I A-I A-IV; A-II A-II A-I; A-II A-II A-IV; A-II A-II A-II; A-IV A-IV A-IV; A-IV A-IV A-II; A-IV A-IV A-I
【0068】
オリゴマー形成モジュール
本発明の特に好ましい実施形態によれば、異種部分はオリゴマー形成モジュールである。本明細書ではオリゴマー形成モジュールはその他の、類似の、または同一のオリゴマー形成モジュールと相互作用しうるペプチドまたはタンパク質もしくはタンパク質の一部である。この相互作用は多量体タンパク質またはポリペプチドを生じるタイプのものである。このような相互作用は多量体成分間の共有結合、ならびに水素結合力、疎水力、ファンデルワールス力、塩橋によって生じうる。本発明はまた、DNA、RNA、LNAまたはPNAの核酸配列のような非ペプチド系のオリゴマー形成モジュールを包含する。当業者ならばタンパク質および核酸配列を互いに連結する技術を知っている。
【0069】
オリゴマー形成モジュールは二量体形成モジュール、三量体形成モジュール、四量体形成モジュールまたは多量体形成モジュールであってもよい。
【0070】
構築物のアポリポタンパク質または類似部分がオリゴマー形成モジュールと結合されている場合は、適当な条件下で単に構築物(アポリポタンパク質部分に結合したオリゴマー形成モジュール)の溶液を混合することで構築物多量体が製造できる。このように構築物のアポポリタンパク質部分に結合されているオリゴマー形成モジュールのタイプに応じて二量体、三量体、四量体、五量体、六量体またはより高次のものが製造できる。
【0071】
このオリゴマー形成モジュールには種々のアポリポタンパク質が連結でき、多量体に組み込めるので、本発明の多量体はホモマーであってもヘテロマーであってもよい。このように、構築物の臨床効果の向上を得るには異なるタイプのアポポリタンパク質を混合するのが有利である場合がある。好ましいホモマーとしてはApo-A-Iの三量体およびApo-A-IVの三量体が挙げられる。
【0072】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、オリゴマー形成モジュールはテトラネクチンに由来するものであり、より詳しくはWO98/56906に詳細に記載されているテトラネクチン三量体形成構造要素(以下、TTSEと呼ぶ。配列番号12)を含む。TTSEのアミノ酸配列は配列番号12に示されている。TTSEの三量体形成作用は、他の2つのTTSEのコイルドコイル構造と相互作用して、極めて安定な三量体を形成するコイルドコイル構造によって生じる。TTSEのさらなる利点は、弱い抗原であることである(WO98/56906)。
【0073】
エクソン1(図4)のN末端領域に位置するヘパリン結合部位は、三量体形成を阻害することなく、N末端リジン残基(配列番号12の9および14番の残基)の除去または突然変異誘発によって無効にすることが好ましい(Nielsen et al, 1997, FEBS Lett 412:388-396)。これらのリジン残基はアラニンへ変異させるのが好ましい。従って、エクソン1の大部分または全てを含むTTSEは、その構造の一部としてこのようなTTSEを包含するデザインタンパク質のいずれにも多糖類硫酸塩に対する親和性を付与する。しかし、所望によりこの親和性は、N末端トランケーションまたはテトラネクチンのN末端アミノ酸残基に相当するTTSE部分のリジン残基の突然変異誘発によって軽減または無効にすることができる(Lorentsen et al, 2000, Biochem J 347:83-87)。
【0074】
本発明の三量体形成モジュールの相互作用ドメインはTTSEと同じタイプのもの、すなわち三本鎖αヘリカルコイルドコイルであることが好ましい。
【0075】
TTSEはヒトテトラネクチン由来、ウサギテトラネクチン由来、ネズミテトラネクチン由来、またはサメ軟骨C型レクチン由来のものであってもよい。好ましくはTTSEは配列番号12の共通配列と少なくとも68%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも81%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも92%の同一性を有する配列を含む。これにより、実質的に同等の三量体形成作用を有するTTSEの類似体も本発明に包含される。
【0076】
好ましくは、望ましくない多量体形成をもたらす望ましくない分子内ジスルフィド橋の形成を避けるには、TTSE(配列番号12)の50番のシステインをセリン、トレオニン、メチオニン、または他のいずれかのアミノ酸残基へ変異させるべきである。
【0077】
三量体の存在は、その三量体の性質に応じてゲル濾過、SDS-PAGE、または未変性SDSゲル電気泳動などの周知の技術によって確認すればよい。オリゴマーの存在を確認する好ましい方法の1つに、DMSI(ジメチルスビリミデート)による連結のの後にSDS-PAGEを行うことによるものがある。
【0078】
本発明の好ましい実施形態によれば、タンパク質構築物は2以上のアポポリタンパク質とオリゴマー形成モジュールを連結することにより得られる。この実施形態の利点は個々のアポリポタンパク質の互いの結合がアポリポタンパク質間では起こらないが、オリゴマー形成モジュールにおいては起こることである。これにより、野生型アポリポタンパク質の性質は保存され、アポリポタンパク質はその二次、三次構造を保存し、その生理作用にとって有利である。さらにアポリポタンパク質とオリゴマー形成モジュールの間にペプチドスペーサーを導入することにより、構築物の両成分が、他の成分の相互作用によって影響を受けることなく、脂質および他のオリゴマー形成モジュールとそれぞれ相互作用を確実に行うことができる。好ましくはこのペプチドスペーサーは非免疫原性であって、実質的に直鎖三次元構造を有する。
【0079】
異なるapo-Aユニットも同一のapo-Aユニットも二量体形成モジュール、三量体形成モジュール、四量体形成モジュール、五量体形成モジュール、六量体形成モジュールまたは多量体形成モジュールなどのオリゴマー形成モジュールを用いてオリゴマー化することができる。このオリゴマー形成モジュールは分子内認識および相互作用が可能なコイルドコイル構造を含みうる。
【0080】
タンパク質またはペプチドの人工三量体を製造する一般法は、自然界で三量体を形成するタンパク質から三量体形成モジュールを同定することを含む。慎重な分析により、タンパク質間相互作用を担うドメインを同定し、単離し、タンパク質またはペプチドと連結させて三量体を形成させることができる。本発明によれば、このような三量体形成はアポリポタンパク質または類似体の三量体の形成を含む必要はない。1つのアポリポタンパク質を三量体形成モジュールに連結するだけで、このペプチドを他の2つの三量体形成モジュールと三量体形成させることもできる。これにより、アポリポタンパク質部分の分子量は増し、天然アポリポタンパク質に比べて血漿半減期が長くなる。
【0081】
オリゴマー形成モジュールの一例が、コレクチンネック領域を含むポリペプチドについて記載するWO95/31540(HOPPE et al.)に開示されている。このコレクチンネック領域を構成するアミノ酸配列はいずれのポリペプチド選択肢に結合させてもよい。次に適当な条件下で、コレクチンネック領域アミノ酸配列を含む3つのポリペプチド間で三量体を形成させることができる。
【0082】
オリゴマー形成モジュールのもう1つの例として、ハプトグロビン由来のα1鎖がある。このα1鎖は他のα1鎖と結合して二量体を形成しうるシステイン残基を有する。天然変異体としてα2鎖があり、これは二重のジスルフィド橋に形成に関与するα1鎖部分を有するようになったものである。このα2鎖は他のα2またはα1鎖のシステイン残基に対してシステイン橋を形成し、それにより三量体、四量体、五量体、六量体およびより高次の多量体を形成しうる。α鎖は本来の形態ではβ鎖と会合する。このβ鎖をアポリポタンパク質に置き換えてapo-A-α鎖(ハプトグロビン)構築物を作製することができる。
【0083】
スペーサーペプチド
本タンパク質構築物はまた、アポリポタンパク質またはアポリポタンパク質類似体と異種部分の間で共有結合しているスペーサー部分を含むのが有利である。スペーサーの作用は構築物の異種部分とアポリポタンパク質部分の間にスペースを設けることである。これにより、アポリポタンパク質部分の二次構造が異種部分の存在によって影響を受けず、アポリポタンパク質部分の生理作用が維持されることが確実となる。このスペーサーはポリペプチド系のものであることが好ましい。このように、スペーサーをコードする核酸配列を構築物のアポリポタンパク質部分をコードする配列、さらには所望により異種部分の配列に連結することができ、構築物全体を同時に作製することができる。
【0084】
好適なスペーサー部分のデザインおよび製造は当技術分野で公知であり、便宜にはapo-Aスペーサー-Xの形式を有する融合ポリペプチドを作製することで達成される。なおここで、スペーサーとその周囲または構築物との間の望ましくない反応を避けるためにはスペーサー部分はポリペプチド断片(多くの場合、比較的不活性なもの)である。
【0085】
スペーサー部分はまた2つのTTSE間に挿入し、これら両者を第3の遊離のTTSEと相互作用させて三量の複合体を形成させてもよく、よって、これは2つに離れたペプチドを含む: TTSEおよびTTSE-スペーサー-TTSE。この実施形態は、三量体の主要部分(厳密には二量体とみなされる)が融合相手においてapo-A-TTSE-スペーサー-TTSE-apo-A(apo-Aは構築物のアポリポタンパク質部分を形成するいずれかのポリペプチド配列を示す)を含むある単一のポリペプチドとして合成できることから、アポリポタンパク質構築物の製造を助けるものである。
【0086】
本実施形態では、2つのTTSEが同じ単量体に存在する場合、このスペーサー部分はスペーサー部分によって共有結合されている2つのTTSEの双方を含む複合体の形成に有利な長さおよびコンホメーションを有することが好ましい。このように、(2+1+1)、(2+2+2)および(2+2+1)形式(各単量体のTTSE1つのみが複合体の形成に加わる)の望ましくない三量体形成による問題がなくなる。
【0087】
このスペーサーペプチドは少なくとも2個のアミノ酸、例えば少なくとも3個のアミノ酸、例えば少なくとも5個のアミノ酸、例えば少なくとも10個のアミノ酸、例えば少なくとも15個のアミノ酸、例えば少なくとも20個のアミノ酸、例えば少なくとも30個のアミノ酸、例えば少なくとも40個のアミノ酸、例えば少なくとも50個のアミノ酸、例えば少なくとも60個のアミノ酸、例えば少なくとも70個のアミノ酸、例えば少なくとも80個のアミノ酸、例えば少なくとも90個のアミノ酸、例えばおそよ100個のアミノ酸を含む場合が好ましい。
【0088】
このスペーサーはapo-A成分およびXと共有結合によって連結してもよく、このスペーサーは実質的に非免疫原性であり、かつ/またはタンパク質切断を受けにくく、かつ/またはシステイン残基を含まないことが好ましい。
【0089】
同様に、このスペーサー三次構造は好ましくは直鎖、または実質的に直鎖である。
【0090】
以下はアポリポタンパク質類似体をX成分と連結するのに特に好ましいと考えられるスペーサー配列の例である。スペーサーまたはリンカーペプチドの好ましい例としては、結合したタンパク質の機能を実質的に損なうことなく、あるいは少なくとも結合した1つのタンパク質の機能を実質的に損なうことなく、タンパク質との結合に使用されてきたものが挙げられる。リンカーまたはスペーサーはコイルドコイル構造を含むタンパク質との結合に使用されてきたものがより好ましい。
【0091】
テトラネクチンに基づくリンカー:
このリンカーはテトラネクチンにおいてβストランドを形成するテトラネクチン残基53〜56、およびテトラネクチンにおいてαターンを形成する残基57〜59を含みうる(Nielsen BB, Kastrup JS, Rasmussen H, Holtet TL, Graversen JH, Etzerodt M, Thogersen HC, Larsen IK, FEBS-Letter 412, 388-396, 1997)。このセグメントの配列はGTKVHMKである。このリンカーは天然テトラネクチンにおいてCRDドメインを有する三量体形成ドメインを架橋することから、一般にこの三量体形成ドメインと別のドメインを接続するのに十分適していると考えられるという利点を有する。また、得られる構築物はリンカーを含まない構築物より免疫原性が高いとは予測されない。このテトラネクチンに基づくリンカーはX成分がTTSEを含む場合に極めて好ましい。
【0092】
フィブロネクチンに基づくリンカー:
このリンカーはヒトフィブロネクチンの接続ストランド3由来の部分配列として選択することができ、アミノ酸残基1992〜2102に相当する(SWISS-PROTナンバリング、エントリーP02751)。アミノ酸2037〜2049番にわたる配列:PGTSGQQPSVGQQを用いるのが好ましく、この部分配列の中でもアミノ酸残基2038〜2042に相当するセグメントGTSGQがより好ましい。この構築物はタンパク質分解切断を極めて受けにくく、フィブロネクチンが血漿中に高濃度で存在することを考えれば免疫原性が高いとは考えられないという利点を有する。
【0093】
ヒトIgG3上部ヒンジに基づくリンカー
ネズミIgG3の上部ヒンジ領域に由来する10個のアミノ酸残基配列PKPSTPPGSSはコイルドコイルによって二量体形成した抗体の作製に使用されてきたものであって(Pack P. and Pluckthun, A. Biochemistry 31, pp 1579-1584 (1992))、本発明のスペーサーペプチドとして有用でありうる。ヒトIgG3の上部ヒンジ領域由来の対応する配列がよりいっそう好ましい。
【0094】
フレキシブルリンカー
フレキシブルリンカー/スペーサー配列の可能性のある例としては、SGGTSGSTSGTGST、AGSSTGSSTGPGSTTまたはGGSGGAPが挙げられる。これらの配列はデザインされたコイルドコイルと他のタンパク質ドメインとの結合に用いられてきた(Muller, K. M., Arndt, K. M. and Alber, T., Meth. Enzymology, 328, pp 261-281 (2000)。
【0095】
結合
この構築物の2つの成分は共有結合によってともに結合できる。この結合は成分Xとapo-A成分のCまたはN末端アミノ酸との間で形成しうる。これらの成分はまた1を超える共有結合を介して結合させてもよい。これらの成分間の共有結合はまた、好ましくはシステイン残基間にS-S橋を含んでもよい。これらのシステイン残基はapo-A成分のCまたはN末端、および成分Xの末端または内部に置く。
【0096】
炭水化物
構築物の他の成分に関わらず、本発明の構築物は炭水化物部分を含んでもよい。
【0097】
テトラネクチン三量体形成構造要素
本発明のある特に好ましい実施形態は、テトラネクチン由来三量体形成モジュールによるアポリポタンパク質またはその類似体の三量体形成または部分的三量体形成である。
【0098】
この技術は、出典明示により本明細書一部とする、WO98/56906 (THOGERSEN et al.)に記載されている。これらの三量体ポリペプチドは、少なくとも1つの異種部分と共有結合されている少なくとも1つのテトラネクチン三量体形成構造要素(TTSE)を含む単量体ポリペプチド構築物として構築される。このテトラネクチン三量体形成構造要素は他の2つのテトラネクチン三量体形成構造要素と安定した複合体を形成しうる。
【0099】
本明細書およびクレームで用いる「三量体形成構造要素(TTSE)」とは、テトラネクチンポリペプチド(配列番号12)単量体間の三量体形成を担うテトラネクチンファミリーのポリペプチド分子の一部をさすものとする。この用語はまた、天然に存在するテトラネクチンファミリーメンバーのTTSEの変異体、天然テトラネクチンファミリーのメンバーの分子のものに比べ三量体形成特性に実質的程度、悪影響なくアミノ酸が改変された変異体を包含するものとする。
【0100】
このような変異体の具体例は本明細書に詳細に記載されているが、一般に、TTSEはヒトテトラネクチン、ネズミテトラネクチン、ヒトまたはウシ軟骨のC型レクチン、またはサメ軟骨のC型レクチンに由来するものが好ましい。ヒトテトラネクチン由来の少なくとも1つのTTSEを含む単量体ポリペプチド構築物が特に好ましい。
【0101】
テトラネクチンのエクソン1および2によりコードされている51残基のポリペプチド配列(図3、配列番号12)は、他の既知のポリペプチド配列との有意な配列相同性は認められていないことから、テトラネクチン群のタンパク質に独特のものであると思われる(図4)。テトラネクチンの構造の実験的調査を目的とした調製の際に、組み換えタンパク質のコレクションが作製されたが、このコレクションには完全テトラネクチン、CRDドメイン(エクソン3によりコードされているポリペプチドにほぼ相当)、エクソン2+3によりコードされているポリペプチドに相当する産物、エクソン1+2に相当する産物が含まれる(Holtet et al., 1996)。テトラネクチンは実際に三量体であるが、エクソン2+3に相当する組換えタンパク質が実際に溶液中で三量体であるという知見により証明されるように、エクソン2にコードされているポリペプチドは実際にそれ自体で三量体形成を行うことができる。
【0102】
全長組換えテトラネクチンの結晶の三次構造解析(Nielsen et al., 1996; Nielsen, 1996; Larsen et al., 1996; Kastrup, 1996)によれば、エクソン2にコードされているポリペプチドとエクソン3にコードされている3つの残基が三本鎖αヘリカルコイルドコイル構造を形成することが示されている。
【0103】
配列と構造データの組合せから、テトラネクチンの三量体化は実際に、独特な7文字リピート配列(明らかにテトラネクチンおよびこの群の他のメンバーに特有のものであり、このアミノ酸配列(図4)は他のαヘリカルコイルドコイルと同様にaとdの位置に疎水性残基を有する2コピーの7文字リピート(abcdefg))を特徴とする)によって、エクソン2によりコードされているアミノ酸残基とエクソン3の最初の3つの残基を含むある構造要素(図4)により生じることが明らかとなる。これらの2つの7文字リピート配列には次に独特な第3の7文字リピートが続き、ここではaとdの両位置においてグルタミン44とグルタミン47が疎水性残基に置き換わっているだけでなく、これらが三本鎖αヘリカルコイルドコイル構造の形成に直接関与している。これらの7文字リピートはそれぞれdおよびaの位置で疎水性残基を有する2つのハーフリピートによりさらにフランキングされている。
【0104】
αヘリカルコイルドコイルのaおよびdの位置におけるβ分枝疎水性残基の存在はオリゴマー形成の状態に影響を及ぼすことが知られている。このテトラネクチン構造要素には保存されたバリン(37番)が1つだけ存在する。テトラネクチンの配列の29番に特定の脂肪族残基が存在しないことが好ましいと思われる。
【0105】
要するに、テトラネクチンの三本鎖コイルドコイル構造は、かなりの程度、既知のコイルドコイルタンパク質群で特徴的なものに関しては予測できないような相互作用により支配されていることが明らかである。
【0106】
TTSEは驚くほど安定な三量体分子を形成する。(1)この組換えタンパク質の実質部分はオリゴマー状態で存在し、70℃でも三量体分子として架橋していることができ、(2)高温に曝した後にのみ異なる三量体間で単量体の交換が検出できるという実験的知見は、テトラネクチン三量体形成構造要素の極めて高い安定性の証拠となる。この特徴はこの構造要素のアミノ酸配列に反映されているはずである。特に、7文字リピートの連続アレイにおけるグルタミン含有リピートの存在と位置は、共通配列における他の保存残基の存在と相対的位置とともに(図4)、これらの安定な三量体分子の形成に重要なものであると考えられる。最も実用的な用途としては、この配列を有するポリペプチド産物の制御できない多量体化、凝集および沈殿をもたすことがある望ましくない分子内ジスルフィド橋の形成を避けるため、システイン残基50をセリン、トレオニン、メチオニンまたは他のいずれかのアミノ酸残基に変異させるべきである。
【0107】
特に三量体安定化エクソン1にコードされるポリペプチドに関しては、このテトラネクチン三量体形成構造要素は、他のタンパク質の一方の末端または両末端にペプチド結合によって付着しようがしまいが、その構造的完全性と極めて安定なホモ三量複合体を生じる傾向を保持する真の自律的ポリペプチド分子である。
【0108】
この独特な特性は、異種タンパク質に由来するポリペプチド配列がこのテトラネクチン三量体形成構造要素と融合タンパク質として結びつけると容易に三量体形成するという事実により証明される。これは異種ポリペプチド配列を、6コピーまでのある特定のポリペプチド配列または機能部分を含有する1つの分子アセンブリの形成、あるいは各々それら個々の機能特性に寄与する6つまでの異なるポリペプチド配列を含有する1つの分子アセンブリの形成を考慮して、三量体形成要素のアミノ末端に置くかカルボキシ末端に置くかに関わらず依然有効である。
【0109】
天然に存在するヒトテトラネクチンの3つのTTSEは三本鎖αヘリカルコイルドコイルを形成することから、本発明のTTSEにより形成される安定な複合体も三本鎖αヘリカルコイルドコイルを形成することが好ましい。
【0110】
「テトラネクチンファミリー」とは、図4に示される共通配列、またはこの共通配列と配列レベルで相同な配列を有するポリペプチドである。
【0111】
ゆえに、本発明の単量体ポリペプチド構築物は図4で示される共通配列と少なくとも68%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含むものが好ましいが、少なくとも75%、少なくとも81%、少なくとも87%、および少なくとも92%など、より高い配列同一性が好ましい。
【0112】
Trip Aモジュール
本発明の発現プラスミドでは、TTSEモジュール(配列番号12)が示されるようにCys50をSerで置換し、C末端リジン残基を含めることにより改変された。SPGT配列はN末端に付加されている。これは三量体形成モジュールに対する接続配列である。この配列はDNA鎖をBgl IIおよびKpn Kで切断する機会を与えることから挿入されている。Bam HIによる切断機会を与える接続GS配列はC末端に付加されている。この改変TTSEはTripAと呼ばれ、配列番号13として開示されている。従って、Apo A構築物の三量体形成モジュールは、この配列、または配列番号13の配列と少なくとも68%の配列同一性を有する(少なくとも75%、少なくとも81%、少なくとも87%、および少なくとも92%など、より高い配列同一性が好ましい)配列を含むのが有利である。
【0113】
Trip Aモジュールを含む構築物の具体例は実施例に開示されている。
【0114】
本発明の構築物の実施例
本発明は配列番号2〜11および配列番号14として付属の実施例に開示される特定の配列を包含する。好ましくは本発明は配列番号3〜11および配列番号14を包含する。これらの配列と少なくとも60%の配列同一性、例えば少なくとも70%の配列同一性を有する配列も本発明の範囲内にあり、少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する配列が好ましい。
【0115】
タンパク質構築物の作製
タンパク質構築物のペプチド成分を作製するには、この部分をコードするcDNAを発現ベクターに挿入し、宿主細胞へ形質転換する。
【0116】
上記宿主細胞(これもまた本発明の一部である)は、本発明の単量体ポリペプチド構築物のポリペプチド部分をコードする核酸断片(通常はDNA断片)を好適な発現ベクターに挿入し、このベクターで好適な宿主細胞を形質転換し、単量体ポリペプチド構築物のポリペプチド部分を発現させる条件下でこの宿主細胞を培養することを含む従来の遺伝子操作技術によって作製することができる。このポリペプチドをコードする核酸断片は好適なプロモーター(誘導プロモーターであっても構成プロモーターであってもよい)の制御下に置いてもよい。
【0117】
発現系に応じ、ポリペプチドは宿主細胞の細胞外相、周縁質または細胞質から回収すればよい。
【0118】
好適なベクター系および宿主細胞は当業者に利用できる膨大な文献や材料によって証明されるように当技術分野で周知のものである。本発明はまたベクターの構築および宿主細胞における本発明の核酸断片の使用にも関するものであるので、以下、このような使用および本発明の本態様を実施する上で特に考慮すべき点に関して概説する。
【0119】
一般に、まず本発明の核酸配列をクローニングし、本発明で有用なベクターを構築するにはもちろん原核生物が好ましい。例えば以下のより具体的な開示で述べられている特定株の他、例として大腸菌K12 294株(ATCC No.31446)、大腸菌B株、および大腸菌X 1776株(ATCC No.31537)が挙げられる。もちろんこれらの例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0120】
原核生物は効率的な精製とタンパク質の再折りたたみ戦略が利用できることから、発現用としても好ましい。上記の株ならびに大腸菌W3110株(F-λ、原栄養株、ATCC No.273325)、枯草菌(Bacillus subtilis)などの桿菌、またはネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)またはレイ菌(Serratia marcesans)などの他の腸内細菌、および種々のシュードモナス種が使用できる。
【0121】
一般に、これらの宿主に関しては、その宿主細胞に適合する種に由来するレプリコンおよび制御配列を含むプラスミドベクターが用いられる。ベクターは通常、複製部位ならびに形質転換細胞において表現型選択を提供しうるマーカー配列を含む。例えば、大腸菌は典型的には大腸菌種由来のプラスミドpBR322を用いて形質転換する(例えば、Bolivar et al., 1977参照)。このpBR322プラスミドはアンピシリンおよびテトラサイクリン耐性に関する遺伝子を含むことから、形質転換細胞を同定する容易な手段を提供する。
【0122】
pBRプラスミドもしくはその他の微生物プラスミドまたはファージは発現のために微生物に使用できるプロモーターを含んでいなければならないか、あるいはそれを含むよう改変しなければならない。
【0123】
組換えDNAの構築に最もよく用いられるプロモーターとしては、βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Chang et al., 1978; Itakura et al., 1977; Goeddel et al., 1979)およびトリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al., 1979; EPO Appl. Publ. No. 0036776)が挙げられる。これらが最もよく用いられているが、他の微生物プロモーターも発見され利用されており、それらのヌクレオチド配列に関する詳細も公開され、当業者ならばそれらとプラスミドベクターを機能的に結びつけることができる(Siebwenlist et al., 1980)。原核生物由来のある特定の遺伝子は、大腸菌においてそれら固有のプロモーター配列から効率的に発現させることができ、人工的な手段による他のプロモーターを付加する必要がない。
【0124】
原核生物の他、酵母培養物などの真核微生物も使用できる。真核微生物の中でもサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiase)、すなわち一般的なパン焼き酵母が最もよく用いられるが、他の多く株もよく用いられる。サッカロミセスでの発現のためには、例えばプラスミドYRp7がよく用いられる(Stinchcomb et al., 1979; Kingsman et al., 1979; Tschemper et al., 1980) 。
【0125】
このプラスミドはトリプトファン中で増殖できない酵母変異株に選択マーカーを提供するtrpl遺伝子をすでに含んでいる(例えば、ATCC No.44076またはPEP4-1(Jones, 1977))。次に、酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてのこのtrpl遺伝子座の存在はトリプトファンの不在下での増殖によって形質転換を検出する有効な環境を提供する。
【0126】
酵母ベクターにおける好適なプロモーター配列としては、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzman et al., 1980)、またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコール-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖酵素(Hess et al., 1968; Holland et al., 1978)のプロモーターが挙げられる。好適な発現プラスミドを構築する際には、mRNAのポリアデニル化と終結を提供するために、これらの遺伝子と結合した終結配列もまた、発現ベクターの発現させたい配列の3’側に連結する。
【0127】
増殖条件によって転写が制御されるというさらなる利点を有するその他のプロモーターとして、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に伴う分解酵素、および上記のグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用を担う酵素のプロモーター領域がある。酵母適合プロモーター、複製起点および終結配列を含むいずれのプラスミドベクターも好適である。
【0128】
微生物の他、多細胞生物由来の培養細胞も宿主として使用できる。原則として脊椎動物培養物由来のものでも無脊椎動物培養物由来のものでも、いずれの培養細胞でも機能しうる。しかし、最も注目すべきは脊椎動物細胞であり、脊椎動物細胞の培養増殖(組織培養)はルーチンな方法となっている(Tissue Culture, 1973)。このような有用宿主細胞株の例としてはVEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ならびにW138、BHK、COS-7 293およびMDCK細胞株が挙げられる。
【0129】
このような細胞の発現ベクターは通常、いずれかの必要なリボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、および転写終結配列ともに、(必要であれば)複製起点、発現させる遺伝子の手前に置かれたプロモーターを含む。
【0130】
哺乳類細胞で使用するためには、発現ベクターに対する制御機能はウイルス材料によって提供される場合が多い。例えばよく用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、および最も多くの場合ではシミアンウイルス40(SV40)由来のものである。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは両者ともウイルスから容易に断片として得られ、SV40ウイルス複製起点も含んでいることから特に有用である(Fiers et al., 1978)。ウイルス複製起点に位置するHindIII部位からBgII部位にかけてのおよそ250bpの配列を含んでいる限り、それより短いSV40断片でも長いSV40断片でも使用できる。さらにまた、通常目的の遺伝子配列と連結されているプロモーターまたは制御配列が、このような制御配列が宿主細胞系に適合している限り利用することができ、またそれが望ましい場合が多い。
【0131】
複製起点はSV40またはその他のウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、VSV、BPV)に由来するものなど外来の起点を含むようにベクターを構築することで提供してもよいし、あるいは宿主細胞の染色体複製機構により提供してもよい。ベクターが宿主細胞の染色体へ組み込まれれば、それで十分な場合が多い。
【0132】
ポリペプチド単量体構築物の作製に際しては、さらに例えばポリペプチドに非タンパク質性の機能を導入することにより、または材料を好適な再折りたたみ条件に曝すことにより(例えば、WO94/18227で示唆された汎用法の使用による)、または単量体の所望でないペプチド部分 (例えば、最終産物においては所望でない発現増強ペプチド断片) を切断することによりポリペプチドをプロセッシングする必要がある場合がある。
【0133】
上記考察に照らして、本発明の単量体ポリペプチド構築物を組換え生産する方法も本発明の一部であり、本発明の核酸を有し、かつ/または宿主細胞または細胞株でそれを複製しうるベクターがそうである。本発明によれば発現ベクターは例えばプラスミド、コスミド、ミニ染色体またはファージであってよい。宿主に導入された後に宿主細胞/細胞株ゲノムに組み込まれるベクターが特に注目される。
【0134】
本発明のまた別の部分として、本発明の核酸断片を有し、かつ、複製しうる形質転換細胞(上記の方法において有用)があり、この宿主細胞は細菌、酵母または原生動物などの微生物、あるいは真菌、昆虫細胞、植物細胞または哺乳類細胞などの多細胞生物に由来する細胞でありうる。エシェリキア種、バチルス種およびサルモネラ種の細菌に由来する細胞が特に注目され、好ましい細菌は大腸菌である。
【0135】
本発明のさらにまた別の部分として、本発明の構築物のポリペプチド部分を産生する安定した細胞株に関するものであり、その細胞株は本発明の核酸を有し、発現することが好ましい。
【0136】
レセプターの結合
本発明の構築物の性能は、天然アポリポタンパク質A-I、A-IIまたはA-IVと結合しうるレセプターまたはHDLタンパク質と結合する構築物の能力を測定することにより分析できる。このようなレセプターおよびタンパク質としては、限定されるものではないが、キュビリン、メガリン、スカベンジャーレセプタークラスBタイプ1(SR-B1)、ATP結合カセット1(ABC1)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、コレステリル-エステル転移タンパク質(CETP)、リン脂質転移タンパク質(PLTP)が挙げられる。キュビリンと天然アポリポタンパク質AIの複合体の解離定数Kdは20nMである。本発明のアポリポタンパク質AI三量体はかなり強力にキュビリンを結合することが実験的に調べられている(図12)。
【0137】
アフィニティータグ
本発明のタンパク質構築物はまた、構築物の精製の際に用いるアフィニティータグを含んでもよい。このようなタグは好ましくはポリヒスチジン配列を含む。この配列はNi2+カラムでの生成物の精製に有利に使用でき、これはポリヒスチジン配列と、またそれによりタンパク質全体と結合する。このポリヒスチジン配列はカラムから溶出させた後に、タンパク質構築物とポリヒスチジン配列との間の構築物へと構築された特異的配列を認識するトロンビンなどのプロテイナーゼによって切断されうる。
【0138】
アフィニティータグのその他の例としては、限定されるものではないが、抗原タグ、GSTタグなどの周知のタグが挙げられる。タグを切断するためには、タンパク質分解切断部位をタグと構築物の間に挿入すればよい。
【0139】
シグナルペプチド
本発明の構築物を大腸菌または酵母で発現させる場合、発現タンパク質を細胞内から単離するという労力のかかる方法の代わりに、発現タンパク質が分泌され、細胞周囲の培地から回収できるようにするため発現構築物にシグナルペプチドを含めることが好ましい。本明細書に関して使用でき、酵母および大腸菌での発現のためのシグナルペプチドの具体例としては、酵母におけるApo-AIおよびApo-AIMの発現のためのシグナルペプチドを開示しているWO90/12879(Sirtori et al)ならびに大腸菌におけるApo-AIおよびApo-AIMの発現のためのシグナルペプチドを開示しているWO94/13819(Kabi Pharmacia)に開示されているものが挙げられる。
【0140】
apo-A-TTSEの作製
アポリポタンパク質部分とTTSEを含む構築物を作製するには、アポリポタンパク質部分をコードするcDNAをTTSEをコードするcDNAの3'末端〜5'末端に連結する。さらなるTTSEユニットおよびアポリポタンパク質ユニットを連結してもよい。酵素切断部位をコードする配列をTTSEをコードする配列の3’末端にさらに連結し、最後にポリヒスチジンをコードする配列も連結する。これは従来のPCR技術によって行うことができる。この組み合わせたcDNAを発現ベクターに挿入し、宿主細胞へ形質転換する。
【0141】
大腸菌で発現させた後、このポリヒスチジン配列を用いてNi2+カラムにこの異種タンパク質を捕捉させる。溶出後、ポリヒスチジンテールは、TTSEとポリヒスチジン配列との間にそれを挿入した特異的部位でこの異種タンパク質を切断するFxなどのプロテイナーゼによって除去することができる。得られるapo-A-TTSEタンパク質は次に他の、または同じapo-A-TTSEペプチドと三量体形成させることでさらにプロセッシングすることができる。大腸菌での発現を向上させるため、構築物を例えば後に切断できるユビキチンとの融合タンパク質として発現させるのが有利である場合がある。
【0142】
医薬組成物の製造のためのapo-A構築物の使用
apo-A構築物は医薬組成物の製造のために使用できる。本組成物は医薬上許容される賦形剤、アジュバント、添加剤(リン脂質、コレステロールまたはトリグリセリドなど)を含んでよい。
【0143】
本医薬組成物は静脈内、動脈内、筋肉内、経皮、肺、皮下、皮内、髄腔内(intratechally)、口内、肛門、膣、結膜もしくは鼻内組織経由投与、または腫瘍組織など組織への接種、またはインプラント、あるいは経口投与してもよい。
【0144】
本発明の医薬組成物の調剤は当業者に周知の技術を用いて行うのが好ましい。これには医薬上許容される賦形剤、アジュバント、添加剤(リン脂質、コレステロールまたはトリグリセリドなど)の添加を含みうる。
【0145】
apo-A構築物の投与
本発明のapo-A構築物はコレステロール、リン脂質およびトリアシルグリセリドに関する疾病、高コレステロール血症などのLDLおよびHDL障害、ならびにアテローム性動脈硬化症および心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の予防および/または治療のために投与することができる。他の適応症としては狭心症、プラーク狭心症、不安定狭心症、頸動脈狭窄、跛行または脳動脈狭窄などの動脈狭窄が挙げられる。さらにまた、本アポリポタンパク質構築物は内毒素の除去にも用いることができる。
【0146】
ある実施形態では、投与はおよそ0.5g/Lの血漿濃度を得るために毎週少なくとも50mgの構築物を投与することを含む。本構築物は注射、坐剤、インプラントなどにより非経口投与するのが好ましい。本組成物は好ましくは一週間につき少なくとも50mgアポリポタンパク質構築物、例えば少なくとも100mg/週、例えば少なくとも250mg/週、例えば少なくとも500mg/週、例えば少なくとも750mg/週、例えば少なくとも1000mg/週、例えば少なくとも1250mg/週、例えば少なくとも1500mg/週、例えば少なくとも2000mg/週、例えば少なくとも2500mg/週、例えば少なくとも5000mg/週を含む量で投与する。投与は毎日、2日毎または3日毎、一週間に一回、二週間に一回、三週間に一回、または四週間に一回行えばよい。
【0147】
もう1つの実施形態によれば、本構築物は特に狭心症およびプラーク狭心症または不安定狭心症の急性期処置に対してはさらに高用量で一回、二回または三回投与する。投与は1、2、3、4、5、6、7、8または10日間まで行ってよい。これらの量は少なくとも10mg/kg体重、例えば少なくとも20mg/kg体重、例えば少なくとも30mg/kg、例えば少なくとも40mg/kg、例えば少なくとも50mg/kg、例えば少なくとも60mg/kg、例えば少なくとも70mg/kg、例えば少なくとも75mg/kg、例えば少なくとも90mg/kg、例えば少なくとも100mg/kg、例えば少なくとも125mg/kg、例えば少なくとも150mg/kg、例えば少なくとも200mg/kg、例えば少なくとも250mg/kg、例えば少なくとも300mg/kg、例えば少なくとも400mg/kg、例えば少なくとも500mg/kg、例えば少なくとも600mg/kg、例えば少なくとも700mg/kg、例えば少なくとも800mg/kg、例えば少なくとも900mg/kg、例えば少なくとも1000mg/kgであってよい。
【0148】
本構築物はまた経口投与してもよい。この投与経路に関しては、WO99/46283、米国特許第5,922,680号、同第5,780,434号、または同第5,591,433、同第5,609,871、または同第5,783,193号に記載の技術を本発明のタンパク質構築物に適用すればよい。これらの参照文献はそのまま出典明示して本明細書の一部とする。
【0149】
細胞集団
本発明はまた遺伝子治療を目的とする本発明のヌクレオチド配列の使用を包含する。
【0150】
これらに遺伝子はマクロファージ集団へトランスフェクトし、続いて治療を必要とする患者に導入すればよい。マクロファージの血管内での寿命は限られていることから、これによりこの遺伝子の一時的発現が得られる。
【0151】
恒久的トランスフェクションは肝細胞を形質転換することで得られる。
【実施例】
【0152】
以下、本発明を本発明の実施形態の具体例を用いて説明する。なお、これらは例を限定するものではなく例示として解釈すべきである。本発明のさらなる構築物のデザインも当業者の範囲内にある。
【0153】
実施例1:Apo A-Iのクローニング
標準的なPCR技術を用い、Apo A-IをコードするcDNAをヒト肝cDNAライブラリー(Clontech)から増幅した。Ubi-A-Iの構築については、用いたプライマーは、5'-CAC GGA TCC ATC GAG GGT AGG GGT GGA GAT GAA CCC CCC CAG AGC-3'および5'-TCC AAG CTT ATT ACT GGG TGT TGA GCT TCT TAG TG-3'であった。この産物を、Bam HIおよびHind IIIクローニング部位を用い、Ellgaard L. et al., Eur. J. Biochem. 1997; 244(2):544-51に記載のベクターpT7H6Ubiへクローニングした。Trip-A-A-Iの構築については、用いたプライマーは、5'-AAG GGA TCC GAT GAA CCC CCC CAG AGC CCC-3'および5'-TCC AAG CTT ATT ACT GGG TGT TGA GCT TCT TAG TG-3'であった。このPCR産物を、Bam HIおよびHind IIIクローニング部位を用い、WO98/56906に記載のpT7H6tripaベクターへクローニングした。Trip-A-I-del43の構築については、用いたプライマーは、5'-AGG GGA TCC CTA AAG CTC CTT GAC AAC TGG G-3'および5'-TCC AAG CTT ATT ACT GGG TGT TGA GCT TCT TAG TG-3'であった。このPCR産物を、Bam HIおよびHind IIIクローニング部位を用い、WO98/56906に記載のpT7H6tripaベクターへクローニングした。Ubi-Cys-A-Iの構築については、用いたプライマーは、5'-GGT GGA TCC ATC GAG GGT AGG GGT GGA TGT GAT GAA CCC CCC C-3'および5'-TCC AAG CTT ATT ACT GGG TGT TGA GCT TCT TAG TG-3'を用いた。この産物を、Bam HIおよびHind IIIクローニング部位を用い、Ellgaard L. et al., Eur. J. Biochem. 1997; 244(2):544-51に記載のベクターpT7H6Ubiへクローニングした。作製されたプラスミドは図4、5、6および7に示されている。
【0154】
実施例2:大腸菌におけるアポリポタンパク質A-I(apo A-I)の発現
便宜には、Ubi-A-IおよびTrip-A-Iならびにこれらの図面に開示されている他の構築物は大腸菌AV-1細胞(Stratagene Inc.)で発現させる。他の細胞株も同様に使用できる。細胞培養および発現誘導はWO98/56906でテトラネクチンに関して記載されているように行った。
【0155】
実施例3:タンパク質の単離およびプロセッシング
WO98/56906でテトラネクチンに関して記載されているようにフェノール抽出によって粗タンパク質を単離した。6リットルの発現培養物からのペレットを再溶解したものを遠心分離して不溶材料を除去し、次にWO98/56906に記載のようにして調製した50ml Ni2+-NTA-Sepharoseへバッチ吸着させた。このカラム材をカラムに充填した後、500mlの8M尿素、500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0で、次に200mlの6Mグアニジニウム-HCl、50mM Tris-HCl pH8.0、最後に300mlの500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0で洗浄した。このタンパク質を500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0および10mM EDTAで溶出させた。このタンパク質に0.5mgのXa因子を加え、室温で一晩消化した。この目的のためには同様にしてトロンビンを用いてもよい。このタンパク質をG-25 sephadex(Pharmacia)カラムで500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0バッファーにてゲル濾過に付した。このタンパク質溶液を、500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0で予備洗浄し、次に500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0で洗浄したNi2+-NTA-Sepharoseカラムに通すことにより未消化タンパク質を除去した。未消化タンパク質を500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0および10mM EDTAで溶出した。Sp Sepharoseイオン交換樹脂を用いてさらなる精製を行ってもよい。
【0156】
実施例4:タンパク質からの脂質の除去
これらのタンパク質を10mM (NH4)2CO3 pH8.8溶液にてゲル濾過に付し、凍結乾燥させた。凍結乾燥タンパク質を25mlの冷1:1メタノール/クロロホルムに再懸濁させ、氷上で30分間インキュベートし、3000gで20分間遠心分離した。このペレットを25mlの1:2冷メタノール/クロロホルムに再懸濁させ、氷上で30分間平衡化し、再び遠心分離した。上清を除去し、ペレットを軽く風乾した後、6Mグアニジニウム-HCl、50mM Tris-HCl pH8.0に一晩溶解した。
【0157】
実施例5:多量体形成アッセイ
架橋
多量体形成は多量体を架橋させた後に分析的SDS-PAGEを行うことによって測定すればよい。
【0158】
60μlの0.2mg/mlタンパク質を、所望の温度に30分間平衡化させた150mMホウ酸ナトリウムpH9.0に溶解させたものに5μlの20mg/mlジメチルスベリミデートを加え、所望の温度で30分間インキュベートした。5μlの3M Tris-HCl pH9.0の添加により架橋をクエンチした。
【0159】
ジメチルスベリミデートはリジン残基を互いに近い距離に置き、共有結合を形成させる。この結果、多量体を形成したタンパク質は互いに共有結合していることになる。この多量体の分子量は次に続くSDS-PAGEで評価することができる。
【0160】
架橋産物は8〜16%ポリアクリルアミドゲルでのSDS-PAGEにより分析した。架橋混合物には所望により脂質などのアジュバントを含めてもよく、その場合にはタンパク質はそのアジュバントとともにプレインキュベートした。
【0161】
分析的ゲル濾過
多量体形成はまた、分析的ゲル濾過によって測定してもよい。
【0162】
タンパク質を500mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0バッファーに溶解し、Superdex 200 HR 10/30カラムにて所望のバッファー中、室温、流速0.25ml/分でゲル濾過に付した。標準法では、バッファーは100mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0とした。
【0163】
図13から、Apo A-Iが複合ピークとして溶出し、主なものはおよそ14.5と16.5mLを中心とすることが分かる。分子量68kDaのBSAはおよそ14.5mlに溶出するが、これは16.5mlのApo A-Iピークは単量体Apo A-Iに相当し、一方、他方の主要ピークはapo A-I自己会合複合体に相当することを示している。三量体形成ドメインと融合した構築物は全ておよそ10.7mlを主要ピーク、14mlを副ピークとして溶出する。14mlにおけるピークはおそらく三量体型の構築物に相当し、10.7mlにおける主要ピークの方は高分子量産物に相当すると思われる。おそらくこの産物は三量体の会合によって生じたものと思われる。これはapo A-Iと三量体形成ドメインとの融合が三量体をもたらすだけでなく、大きな複合体の形成ももたらし、天然apo A-Iが他のApo A-I分子と相互作用できるように、このApo A-Iユニットも他のapo A-Iユニットと相互作用可能である。
【0164】
実施例6:タンパク質構築物とジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)との会合動態
本発明の構築物の脂質結合能はジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)との会合など、周知のアッセイを用いて便宜に測定することができる。
【0165】
このアッセイはBergeron J. et al. (1997), Biochem. Biophys. Acta, 1344,139-152に記載のようにして行った。乾燥DPMCをその遷移温度を超える温度にて、濃度0.5mg/mlで、100mM NaCl、50mM Tris-HCl pH8.0および0.25mM EDTAに再懸濁させた。このタンパク質サンプル、バッファーおよびDMPC懸濁液を全て24℃で10分間インキュベートした後、DMPCの最終濃度が0.4mg/ml、タンパク質濃度5.2μl(単量体)となるように混合した。脂質-タンパク質の会合の増加を反映する混合物の濁度の低下を、325nmにて混合物の吸光度を測定することにより追跡した。アッセイはapo AI、Trip-A-AIおよびTrip-A-FN-AIの各々について4回、またタンパク質を加えずに1回行った。
【0166】
図11から、Apo A-I構築物は全てDMPCと結合することが分かる。供試した3種の構築物全てについて、濁度は24時間後に全般的に透明となったが、このことは融合タンパク質のDMPC結合能がこれらの融合タンパク質に存在していることを示している。しかし、24℃(アッセイが機能的である唯一の温度である)において明らかにTrip-A-Apo A-IとTrip-A-FN-Apo AIの両者は天然Apo A-Iよりも遅れてDMPCと結合する。
【0167】
実施例7:キュビリンに対する誘導体の結合の表面プラスモン共鳴分析
このアッセイはKozyraki R, Fyfe J, Kristiansen M, Gerdes C, Jacobsen C, Cui S et alに記載のようにして行った。内因子-ビタミンB12レセプターであるキュビリンは高密度リポタンパク質のエンドサイトーシスを促進する高親和性アポリポタンパク質A-Iレセプターである(Nat Med 1999 ; 5(6):656-661)。アポリポタンパク質構築物の使用濃度は0.5μMとした。結果(図12)はTripA-AIおよびapo A-Iに関してのみ示されている。TripA-AIに関して認められたものと同等の結合がTripA-FN-AIおよびTripA-TN-AIでも認められた。応答はapo A-Iの三量体形成時に増大し、特に単量体と比較して固定化標的と多量体の相互作用という獲得された「アビディティ」に基づき、その割合に応じて低下が認められた(多価性の配当)。apo A-Iが三量体の状態でキュビリンと結合でき、かつ、1を超えるapo A-Iがキュビリンと相互作用しうるコンホメーションであることが示されたことで、この三量体構築物におけるapo A-Iユニットの正確な折りたたみが示される。
【0168】
実施例8:マウスにおけるアポリポタンパク質A-I、TripA Apo-A-IおよびTripAフィブロネクチン-リンカーApo-A-Iの血漿クリアランスの評価
各5個体のマウス3群に対してそれぞれ1mgのapo A-I、Trip-A-AIまたはTrip-A-FN-AIの注射を行った。このタンパク質を0.33mg/mlの濃度で下記のバッファー:1xPBS pH7.4および8.9mg/mlジパルミトイルホスファチジルコリンに溶解した。注射後、下記の時間:10分、4時間、24時間および48時間で各マウスから血液サンプルを採取した。
【0169】
アポリポタンパク質A-Iおよび誘導体の血漿濃度を下記のようにELISAアッセイを用いて測定した。
【0170】
Nunc Immune PolySorpプレートを用い、各バイアルに100μLを添加した。MBは以下のバッファー組成に相当する:2mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES、140mM NaCl。
【0171】
低温室でプレートを4μg/mlのウサギ由来ポリクローナル抗ヒトapo A-I(DAKO A/S)を50mMNaHCO3 pH 9.6に溶解したもので一晩コーティングした。プレートをMB+0.05% Tween-20 pH7.8中で洗浄し、MB+0.05% Tween-20+1% BSA pH7.8中で1時間ブロッキングした。このサンプルをMB+0.05% Tween-20+1% BSA pH7.8に適用、溶解して1時間インキュベートし、MB+0.05% Tween-20+1% BSA pH7.8中で洗浄し、マウス由来モノクローナル抗apo A-I(PerImmune Inc. クローン10-A8)とともに、MB+0.05% Tween-20+1% BSA pH7.8中1μg/mlの濃度で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼに結合した抗マウスIgG二次抗体とともにインキュベートした。プレートを再び洗浄し、OPD-タブレットおよびH2O2を用いて反応を進め、1M H2SO4を用いて反応を停止させた。この結果をそれぞれ既知濃度のapo A-Iおよび誘導体を基にした標準と比較した。標準に関してはマウス血漿においてApo A-Iを希釈する効果は見られなかった。
【0172】
図14に示されている結果は、構築物Trip A Apo A-Iの血漿クリアランス時間が天然Apo AIのクリアランス時間に比べ少なくとも3倍長いことを証明する。予備実験データはTrip A FN Apo A-Iのクリアランス時間が少なくともTrip A Apo A-Iと同じであることを示している。これらのデータはキュビリン結合データおよびDMPC結合データとともに、本発明の構築物が本願に述べられている疾病を治療するための強力な候補となることを示すものである。
【0173】
実施例9:プラスミド
本発明の構築物は以下に開示されるプラスミドを用いて製造できる。
【0174】
Trip-A-AIにおけるリンカー配列の挿入
記載の突然変異を有する基本リンカーを含む構築物は、リンカーを含まない構築物と同様に、すなわち、Apo A-I(およびリンカー配列)をPCR増幅し、pT7FxH6-Trip-Aプラスミドへ挿入することにより構築した。リバースプライマーはpT7H6FxTrip-A-AIの構築で用いたものと同じであり、フォワードプライマーは、
pT7H6FX-Trip-A-FN(-2)-AI:
5'-CGC GGATCC TCG GGT CAG GAT GAA CCC CCC CAG AGC CCC-3'であった。
【0175】
残念なことに、単離されたクローンは全て上記の強調文字GがTに変異しており、これはプライマーの欠陥配列を示している。
pT7H6FX-Trip-A-TN-AI-Bam-S
5'-cgc gga tcc aag gtg cac atg aag gat gaa ccc ccc cag agc ccc-3'
記載の変異はStratagene製のQuickChangeキットおよび以下のプライマーセット:
pT7H6FX-Trip-FN-AI:
5'-acg gtc tcc ctg aag gga acc tcg ggt cag gat g-3'
5'-cat cct gac ccg agg ttc cct tca ggg aga ccg t-3'
pT7H6FX-Trip-A-TN-AI:
5'-acg gtc tcc ctg aag gga acc aag gtg cac atg aag g-3'
5'-cct tca tgt gca cct tgg ttc cct tca ggg aga ccg t-3'
を用いた部位特異的突然変異誘発によって訂正した。
【0176】
Trip-Aのヘパリン結合部位の除去
構築物のさらなる誘導体として、Trip-A 配列のヘパリン結合部位(Lorentsen RH, Graversen JH, et al. Biochemical Journal (2000), 347 pp 83-87)を、Stratagene製の部位特異的突然変異誘発キットおよび以下のプライマーセットを用いて変異させた。
Trip-Aのリジン9の変異に関しては、
5'-cca acc cag aag ccc aag gcg aat gta aat gcc-3'
5'-gtg ttc aca aca tct gcc ttg gca ttt aca atc-3'
Trip-Aのリジン15の変異に関しては、
5'-ggc att tac aat cgc ctt ggg ctt ctg ggt tgg-3'
5'-cca acc cag aag ccc aag gcg att gta aat gcc-3'
【0177】
これらの突然変異は関連のある全てのTrip-A-apo-AI誘導体(できる限りそれら全て)に関して計画する。trip-A誘導体のK9A、K15Aの二重突然変異を作出する場合には、TripA-FN-AI-K9AK15A、TripA-TN-AI-K9AK15AおよびTripA-AI-K9AK15Aと呼ぶ。
【0178】
さらにまた、N末端のトランケーションでも三量体形成を損なわずにヘパリン親和性を除去することができる。Holtet et al. Protein Science (1997), Lorentsen et al. Biochem. Journal (2000), Nielsen et al. FEBS (1997)およびNielsen et al., Acta Cryst D. (2000)参照。次にN末端残基をVal16とMet22の間に定めるのが好ましい。
【0179】
Hp-α-A-Iの発現プラスミドの構築
まず、プラスミドpT7H6Fx-Hp(α)(図10H)を以下のように構築した。
cDNAライブラリー(Clontech胎児肝臓)からHp-α配列を以下のプライマーセットを用いてPCR増幅した。
アンチセンスプライマー:
5'-cac aag ctt tcc get aga tct ctg cac tgg gtt agc cgg att ctt ggg-3'
センスプライマー:
5'-ggt gga tcc atc gag ggt agg ggt gtg gac tca ggc aat gat gtc acg g-3'
【0180】
このPCR産物は以下の特徴:
BamHI部位-Hp-α配列-Bgl II部位-Hind III部位
を含んでいた。Hp-α配列では、Hpのβ鎖とジスルフィド架橋しているシステイがアラニンに変異していた。
【0181】
この産物をBamHIおよびHind IIIで消化し、pT7H6FXプラスミドへ挿入し、これを配列決定した。ヒトApo AIをコードするPCR産物は、pT7H6-Ubi-Fx-ApoAIおよびpT7H6Fx-TripA-Aを作製するのにも用いた標準的なアンチセンスプライマーを用いて作製した。一方、用いたセンスプライマーはpT7H6FX-TripA-AIの構築においてセンスプライマーとして用いたものであった。以下の特徴:
BamHI部位-Apo AI配列-Hind III部位
を有するPCR産物が得られ、この産物をBamHIおよびHind IIIで消化し、Bgl IIおよびHind IIIで消化した上記のプラスミドへ挿入した。得られたプラスミドpT7H6FX-Hp(α)-Apo AIを配列決定し、大腸菌で発現試験を行った。
【0182】
pT7H6 TripA-apoAI(図7):
このプラスミドは実施例1のようにWO98/56906に記載のプラスミドpT7H6FxtripAを含む。
【0183】
発現はT7プロモーターにより支配される。このプラスミドはさらに精製に用いるヘキサHisアフィニティータグであるH6配列を含む。その後、Xa因子認識配列 (IQGR)が挿入される。
・SPGTは次にくる三量体形成モジュールへの接続配列である。この配列はBgl IIおよびKpn IによるDNA鎖切断の機会を与えることから挿入されたものである。
・Trip Aはテトラネクチン由来の三量体形成モジュールである。
・GSはBam HIによる切断の機会を与えるもう1つの接続配列である。
【0184】
最後に、このプラスミドはヒトアポリポタンパク質A-I由来のアミノ酸25〜267をコードするヒトアポリポタンパク質A-I cDNAを含む。発現、精製したタンパク質は配列番号3に相当する。
【0185】
pT7H6TripA-apoAI-del43(図8):
このプラスミドはアポリポタンパク質部分がヒトアポリポタンパク質A-I由来のアミノ酸68〜267をコードするcDNAで置換されていること以外は上記と同じ配列を含む。発現、精製したタンパク質は配列番号4に相当する。
【0186】
pT7H6UbiFxApoAI(図5):
この基本プラスミドはEllgaard et al(1997)に記載されている。
このプラスミドは以下の配列を含む:
・発現はT7プロモーターにより支配
・H6:タンパク質構築物の精製のためのヘキサHisアフィニティータグ
・Ubi:大腸菌でこのタンパク質を安定化させるために挿入されたヒトユビキチンをコードするcDNA
・FX:Xa因子の認識配列
・Xa因子による至適切断に必要な、2つのGly残基をコードするDNA
・ApoAI:ヒトアポリポタンパク質A-I由来のアミノ酸25〜267をコードするcDNA
発現、精製したタンパク質は配列番号1に相当する。
【0187】
pT7H6UbiFXCysApoAI(図6):
2つのグリシン残基をコードする配列の後、アポリポタンパク質A-Iの前に1つのシステイン残基をコードする配列が挿入されていること以外は上記と同じ。発現、精製したタンパク質は配列番号2に相当する。
【0188】
PT7H6FXCysApoAI(図9):
このプラスミドは以下の配列を含む。
・発現はT7プロモーターにより支配
・H6:タンパク質構築物の精製のためのヘキサHisアフィニティータグ
・FX:Xa因子の認識配列
・Xa因子による至適切断に必要な、2つのGly残基をコードするDNA
・1つのシステイン残基をコードするDNA
・ApoAI:ヒトアポリポタンパク質A-I由来のアミノ酸25〜267をコードするcDNA
発現、精製したタンパク質は配列番号2に相当する。
【0189】
本発明のアポリポタンパク質構築物の発現のためのプラスミドのさらなる例は、発現・精製タンパク質の対応するアミノ酸配列とともに図10A〜Gに開示され、配列表にも開示されている。
(参照文献)
Bergeron et al. 1997, Biochem Biophys Acta, 1344:139-152.

Bolivar et al. 1977. Gene, 2:95.

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Ellgaard et al. (1997). Dissection of the domain architecture of the α22macroglobulin-receptor-associated protein. Eur J Biochem vol 244:544-551.

Fiers et al. 1978. Nature, 273:113.

Goeddel et al. 1979. Nature, 281:544.

Hess et al. 1969. Advances in Enzyme Regulation, 7:149-166.

Hitzman et al. 1980. Journal of Biological Chemistry, 25:12073-12080.

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Holtet, T. L., Graversen, J. H., Thogersen, H. C. and Etzerodt, M. (1996). Domains and shared motifs in plasminogen - ligand interaction. Poster 21st Annual Lorne Conference on Protein Structure and Function, held Melbourne, Australia, February 4-8, 1996.

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Larsen, I. K., Nielsen, B. B., Rasmussen, H. and Kastrup, J. S. (1996). Poster, 17th International Crystallography Congress, Seattle, USA held August 8-17.1996.

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Siebwenlist et al. 1980. Cell, 20:269.

Sorensen et al. 1995, Gene, 152:243-245.

Stinchomb et al. 1979. Nature 282:39.

Tschemper et al. 1980. Gene, 10:157.
【0190】
以下、本発明を下記の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】ヒトアポリポタンパク質A-Iのアミノ酸配列(一文字コード)を示す。
【図2a.1】BLOSUMを用いたアポリポタンパク質A-IのCLUSTAL W(1.74)マルチプル配列アライメントを示す。この図では以下の配列が並べてある。 ヒトsp|P02647|APA1_ヒトアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-ホモ/サピエンス(ヒト); マカクsp|P15568|APA1_MACFAアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Macaca fascicularis(カニクイザル); ウシsp|P15497|APA1_ウシアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Bos taurus(ウシ); ブタsp|P18648|APA1_ブタアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Sus scrofa(ブタ); イヌsp|P02648|APA1_イヌアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Canis familiaris(イヌ); ウサギsp|P09809|APA1_ウサギアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Oryctolagus cuniculus(ウサギ); ツバイsp|O18759|APA1_TUPGBアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)Tupaia glis belangeri(一般ツバイ); マウスsp|Q00623|APA1_マウスアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Mus musculus(マウス); ラットsp|P04639|APA1_ラットアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Rattus norvegicus(ラット); ヨーロッパハリネズミtr|Q9TS49アポリポタンパク質A-I, APOA-I=コレステロール輸送体-Erinaceus europaeus(西ヨーロッパハリネズミ); ニワトリsp|P08250|APA1_ニワトリアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Gallus gallus(ニワトリ); ウズラsp|P32918|APA1_COTJAアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Coturnix coturnix japonica(ウズラ); アヒルsp|O42296|APA1_ANAPLアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Anas platyrhynchos(アヒル); ニジマスsp|O57523|AP11_ONCMYアポリポタンパク質A-I-1前駆体(APOA-1-1)-Oncorhynchus mykiss(ニジマス)(Salmo gairdneri); ブラウントラウトsp|Q91488|APA1_SALTRアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Salmo trutta(ブラウントラウト)タイセイヨウサケsp|P27007|APA1_SALSAアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Salmo salar(タイセイヨウサケ); ゼブラフィッシュsp|O42363|APA1_BRAREアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Brachydanio rerio(ゼブラフィッシュ)(Zebra danio); タイsp|O42175|APA1_SPAAUアポリポタンパク質A-1前駆体(Apo-AI)-Sparus aurata(ヨーロッパヘダイ).
【図2a.2】BLOSUMを用いたアポリポタンパク質A-IのCLUSTAL W(1.74)マルチプル配列アライメントを示す。この図では以下の配列が並べてある。 ヒトsp|P02647|APA1_ヒトアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-ホモ/サピエンス(ヒト); マカクsp|P15568|APA1_MACFAアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Macaca fascicularis(カニクイザル); ウシsp|P15497|APA1_ウシアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Bos taurus(ウシ); ブタsp|P18648|APA1_ブタアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Sus scrofa(ブタ); イヌsp|P02648|APA1_イヌアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Canis familiaris(イヌ); ウサギsp|P09809|APA1_ウサギアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Oryctolagus cuniculus(ウサギ); ツバイsp|O18759|APA1_TUPGBアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)Tupaia glis belangeri(一般ツバイ); マウスsp|Q00623|APA1_マウスアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Mus musculus(マウス); ラットsp|P04639|APA1_ラットアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Rattus norvegicus(ラット); ヨーロッパハリネズミtr|Q9TS49アポリポタンパク質A-I, APOA-I=コレステロール輸送体-Erinaceus europaeus(西ヨーロッパハリネズミ); ニワトリsp|P08250|APA1_ニワトリアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Gallus gallus(ニワトリ); ウズラsp|P32918|APA1_COTJAアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Coturnix coturnix japonica(ウズラ); アヒルsp|O42296|APA1_ANAPLアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Anas platyrhynchos(アヒル); ニジマスsp|O57523|AP11_ONCMYアポリポタンパク質A-I-1前駆体(APOA-1-1)-Oncorhynchus mykiss(ニジマス)(Salmo gairdneri); ブラウントラウトsp|Q91488|APA1_SALTRアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Salmo trutta(ブラウントラウト); タイセイヨウサケsp|P27007|APA1_SALSAアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Salmo salar(タイセイヨウサケ); ゼブラフィッシュsp|O42363|APA1_BRAREアポリポタンパク質A-I前駆体(Apo-AI)-Brachydanio rerio(ゼブラフィッシュ)(Zebra danio); タイsp|O42175|APA1_SPAAUアポリポタンパク質A-1前駆体(Apo-AI)-Sparus aurata(ヨーロッパヘダイ).
【図2b】ヒト、マカク、マウス、ヒヒ、ブタおよびラットアポリポタンパク質A-IVのアミノ酸配列アライメントを示す(一文字コード)。
【図3】テトラネクチンアミノ末端領域のアミノ酸配列(配列番号12)を示す。テトラネクチンのE1〜L51のアミノ酸配列(一文字コード)。それぞれエクソン1は残基E1〜D16、エクソン2は残基V17〜V49を含む。αヘリックスはL51を超え、αヘリックスのC末端アミノ酸残基であるK52まで及ぶ。
【図4】テトラネクチンタンパク質ファミリーの三量体形成構造要素のアミノ酸配列のアライメントを示す。ヒトテトラネクチンの残基V17〜K52(エクソン2とエクソン3の最初の3残基を含む);ネズミテトラネクチン(Sorensen et al., Gene, 152: 243-245, 1995);サメ軟骨から単離されたテトラネクチン相同タンパク質(Neame and Boynton, 1992,1996);およびウシ軟骨から単離されたテトラネクチン相同タンパク質(Neame and Boynton, データベース登録番号PATCHX:u22298)に相当するアミノ酸配列(一文字コード)。7文字リピートのaとdの位置の残基は太字で示している。挙げられているテトラネクチンタンパク質ファミリー三量体形成構造要素の共通配列は、その領域の他の保存残基に加え、図面に示されている7文字リピートのaおよびdの位置に存在する残基を含んでいる。「hy」は脂肪族疎水性残基を表す。
【図5】pT7 H6UbiFx Apo A-Iプラスミドおよびその対応するアミノ酸配列を示す。発現およびプロセッシングされたポリペプチドはヒトApo A-I(配列番号1)由来のアミノ酸25〜267番およびN末端でそれに結合しているgly-glyからなる。
【図6】pT7 H6UbiFx Cys-Apo A-Iプラスミドおよびその対応するアミノ酸配列を示す。発現およびプロセッシングされたポリペプチドはN末端システイン残基およびヒトApo A-I(配列番号2)由来のアミノ酸25〜267番およびN末端でそれに結合しているgly-glyからなる。
【図7】pT7H6 Trip-A-Apo A-I-AmpRプラスミドおよびその対応するアミノ酸配列を示す。発現およびプロセッシングされたポリペプチド(配列番号3)はTTSE、連結配列およびヒトApo A-I由来のアミノ酸25〜267番からなる。
【図8】pT7H6 Trip-A-Apo A-I-del 43-AmpRプラスミドおよびその対応するアミノ酸配列を示す。発現およびプロセッシングされたポリペプチド(配列番号4)はTTSE、連結配列およびヒトApo A-I由来のアミノ酸68〜267番からなる。
【図9】pT7H6FXCysApoAIプラスミドおよびその対応するアミノ酸配列を示す。発現およびプロセッシングされたポリペプチドはN末端システイン残基およびヒトApo A-I(配列番号2)由来のアミノ酸25〜267番およびN末端でそれに結合しているgly-glyからなる。
【図10a】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6-Trip-A-Apo AI K9A K15A:ヘパリン親和性を除去するために三量体形成領域における2つのリジン残基が変異させてあること以外は pT7H6-Trip-A-Apo AIに相当。成熟タンパク質産物はTrip-A-AI K9A, K15A(配列番号5)と呼ばれる。
【図10b】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6 Trip-A-FN-Apo AI:Trip A配列の後、apo AI配列の前にアミノ酸配列SGHをコードする塩基が挿入されていること以外はpT7H6-Trip-A-Apo AIに相当。成熟タンパク質産物はTrip-A-FN-AI(配列番号6)と呼ばれる。
【図10c】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6 Trip-A-FN-Apo AI-final:pT7H6 Trip-A-FN-Apo AIのBamHI部位が除去され、テトラネクチン由来三量体形成配列とapo AIの間のアミノ酸がGSSGHからGTSGQへと変化するように3つに挿入アミノ酸配列が変化させてあること以外はpT7H6 Trip-A-FN-Apo AIに相当。この5つのアミノ酸の配列はフィブロネクチンのリンカー領域の配列に相当する。成熟タンパク質産物はTrip-A-FN-AI-final(配列番号7)と呼ばれる。
【図10d】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6-Trip-A-FN-Apo AI-final-K9AK15A:ヘパリン親和性を除去するために三量体形成領域における2つのリジン残基が変異させてあること以外はpT7H6-Trip-A FN-Apo AI-finalに相当。成熟タンパク質産物はTrip-A-FN-AI-final-K9A, K15A(配列番号8)と呼ばれる。
【図10e】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6 Trip-A-TN-Apo AI:Trip A配列の後、apo AI配列の前にアミノ酸配列KVHMKをコードする塩基が挿入されていること以外はpT7H6-Trip-A-Apo AIに相当。成熟タンパク質産物はTrip-A-TN-AI(配列番号9)と呼ばれる。
【図10f】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6 Trip-A-TN-Apo AI-final:pT7H6 Trip-A-TN-Apo AIのBamHI部位が除去され、テトラネクチン由来三量体形成配列とapo AIの間のアミノ酸配列がGSKVHMKからGTKVHMKへと変化させてあること以外pT7H6 Trip-A-TN-Apo AIに相当。この7つのアミノ酸の配列は三量体形成ドメインの後のテトラネクチンの配列に相当する。成熟タンパク質産物はTrip-A-TN-AI-final(配列番号10)と呼ばれる。
【図10g】本発明のアポリポタンパク質構築物に関するプラスミドおよび対応するアミノ酸配列の例:pT7H6 Trip-A-TN-Apo AI-final K9AK15A:ヘパリン親和性を除去するために三量体形成領域における2つのリジン残基が変異させてあること以外はpT7H6-Trip-A-TN-Apo AI-finalに相当。成熟タンパク質産物はTrip-A-TN-AI-final-K9A,K15A(配列番号11)と呼ばれる。
【図10h】pT7H6Fx-Hp(α)-ApoAI。このプラスミドはHp(α)とApoAIの間の融合タンパク質をコードする。成熟タンパク質産物はHp(α)ApoAI(配列番号14)と呼ばれる。
【図11】実施例6に記載のアッセイにおけるDMPCに対するApoA-I、TripA-ApoA-IおよびTripA-FN-ApoA-Iの結合の結果を示す。
【図12】実施例7に記載のように固定化キュビリンに対するApoA-IおよびTripA-ApoA-Iの結合を示す。
【図13】Apo A-I、Trip-A-AI、Trip-A-TN-AI、Trip-A-FN-AIの分析的ゲル濾過を示す。対照としてBSAを含めた。詳細は実施例5に開示されている。
【図14】マウスにおけるアポリポタンパク質A-I、TripA Apo-A、およびTripA-フィブロネクチン-リンカーApo A-Iの血漿クリアランスの評価結果を示す。実験詳細は実施例8に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
apo-A-X
{式中、apo-Aはアポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、アポリポタンパク質AIV、その類似体または変異体からなる群から選択されるアポリポタンパク質成分であり、
Xはアミノ酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物および核酸配列からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む異種部分であり、
ただし、この構築物が厳密に同じ2つの天然アポリポタンパク質からなる場合にはこれらは連続的に結合される}
を有する、薬剤として用いられるアポリポタンパク質構築物。
【請求項2】
apo-A成分とXの間にスペーサーをさらに含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項3】
上記スペーサーがスペーサーペプチドを含む、請求項2に記載の構築物。
【請求項4】
上記スペーサーペプチドが少なくとも2個のアミノ酸、例えば少なくとも3個のアミノ酸、例えば少なくとも5個のアミノ酸、例えば少なくとも10個のアミノ酸、例えば少なくとも15個のアミノ酸、例えば少なくとも20個のアミノ酸、例えば少なくとも30個のアミノ酸、例えば少なくとも40個のアミノ酸、例えば少なくとも50個のアミノ酸、例えば少なくとも60個のアミノ酸、例えば少なくとも70個のアミノ酸、例えば少なくとも80個のアミノ酸、例えば少なくとも90個のアミノ酸、例えばおよそ100個のアミノ酸を含む、請求項3に記載の構築物。
【請求項5】
上記スペーサーが共有結合によりapo-A成分とX成分を連結している、請求項2に記載の構築物。
【請求項6】
上記スペーサーが実質的に非免疫原性であり、かつ/またはタンパク質切断を受けにくい、かつ/またはシステイン残基を含まない、請求項2に記載の構築物。
【請求項7】
上記スペーサーの三次元構造が直鎖または実質的に直鎖である、請求項2に記載の構築物。
【請求項8】
上記スペーサーペプチドがテトラネクチン由来のアミノ酸配列GTKVHMK、ヒトフィブロネクチンの連結ストランド3由来のアミノ酸配列PGTSGQQPSVGQQおよびGTSGQ、ネズミIgG3の上部ヒンジ領域由来のPKPSTPPGSS、SGGTSGSTSGTGST, AGSSTGSSTGPGSTTまたはGGSGGAPを含む、請求項2に記載の構築物。
【請求項9】
上記成分Xが共有結合によりapo-AのN末端またはC末端アミノ酸に連結されている、請求項1に記載の構築物。
【請求項10】
上記apo-A成分とXが2つの共有結合によって連結されている、請求項1に記載の構築物。
【請求項11】
上記apo-A成分とXがCまたはN末端S-S橋、好ましくはシスチン橋によって連結されている、請求項1に記載の構築物。
【請求項12】
上記タンパク質またはペプチドが少なくとも1つの哺乳類タンパク質を含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項13】
上記哺乳類タンパク質がヒトタンパク質である、請求項12の記載の構築物。
【請求項14】
上記タンパク質が非免疫原性である、請求項12に記載の構築物。
【請求項15】
上記タンパク質がアルブミン、より好ましくは血清アルブミン、プラスミノーゲンのセリンプロテアーゼ断片、または触媒三分子の破壊により不活性化するように操作された他のセリンプロテアーゼ、および免疫グロブリン重鎖不変領域を含む群から選択される少なくとも1つのタンパク質を含む、請求項12に記載の構築物。
【請求項16】
上記タンパク質がアポリポタンパク質を含有する少なくとも1つの両親媒性ヘリックスを含む、請求項12に記載の構築物。
【請求項17】
上記成分Xが少なくとも1つのアポリポタンパク質A-I、アポリポタンパク質A-II、アポリポタンパク質A-IV、アポリポタンパク質E、およびその類似体または変異体を含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項18】
上記類似体または変異体がアポリポタンパク質-A-I、A-IIまたはA-IVと同じ生理学的応答を実質的に惹起しうる、請求項1および/または請求項16に記載の構築物。
【請求項19】
成分Xを構成する上記アミノ酸がシステイン残基である、請求項1に記載の構築物。
【請求項20】
上記システイン残基がapo-A成分とN末端またはC末端で連結されている、請求項19に記載の構築物。
【請求項21】
成分Xを構成する上記ペプチドが1を超えるアミノ酸、例えば2を超えるアミノ酸、例えば5を超えるアミノ酸、例えば10を超えるアミノ酸、例えば15を超えるアミノ酸、例えば20を超えるアミノ酸、例えば30を超えるアミノ酸、例えば40を超えるアミノ酸、例えば50を超えるアミノ酸、例えば75を超えるアミノ酸、例えば100を超えるアミノ酸、例えば200を超えるアミノ酸、例えば300を超えるアミノ酸、例えば400を超えるアミノ酸、例えば500を超えるアミノ酸、例えば600を超えるアミノ酸、例えば700を超えるアミノ酸、例えば800を超えるアミノ酸、例えば900を超えるアミノ酸、例えば1000、1250、1500、2000または2500を超えるアミノ酸を含む、請求項12に記載の構築物。
【請求項22】
上記オリゴマー形成モジュールが二量体形成モジュールである、請求項1に記載の構築物。
【請求項23】
上記オリゴマー形成モジュールが三量体形成モジュールである、請求項1に記載の構築物。
【請求項24】
上記オリゴマー形成モジュールが四量体形成モジュールである、請求項1に記載の構築物。
【請求項25】
上記オリゴマー形成モジュールが多量体形成モジュールである、請求項1に記載の構築物。
【請求項26】
上記オリゴマー形成モジュールが非ペプチド系のものである、請求項1に記載の構築物。
【請求項27】
上記三量体形成モジュールが3つのポリペプチド鎖の分子内認識、三量体化、およびアライメントを媒介しうるアミノ酸を含む、請求項23に記載の構築物。
【請求項28】
上記三量体形成モジュールがテトラクチン由来のものである、請求項23に記載の構築物。
【請求項29】
上記三量体形成モジュールがテトラネクチン由来のテトラネクチン三量体形成モジュールを含む、請求項23に記載の構築物。
【請求項30】
上記テトラネクチン三量体形成モジュールが他のテトラネクチン三量体形成モジュールと安定した複合体を形成しうる、請求項29に記載の構築物。
【請求項31】
上記の安定した複合体がコイルドコイル構造を含む、請求項30に記載の構築物。
【請求項32】
上記コイルドコイル構造が三本鎖αヘリカルコイルドコイルである、請求項31に記載の構築物。
【請求項33】
上記三量体形成モジュールがスペーサー部分により連結された2つのテトラネクチン三量体形成モジュールを含み、そのスペーサーがこの2つのテトラネクチン三量体形成モジュールをアポリポタンパク質構築物の一部ではない第3のテトラネクチン三量体形成モジュールとの複合体の形成に加わらせる、請求項27〜32に記載の構築物。
【請求項34】
少なくとも1つのテトラネクチン三量体形成モジュールがヒトテトラネクチン、ネズミテトラネクチンまたはヒト、ウシまたはサメ軟骨のC型レクチンからなる群から選択される、請求項28〜33に記載の構築物。
【請求項35】
上記テトラネクチン三量体形成モジュールが配列番号12の共通配列と少なくとも68%の同一性を有する配列を含む、請求項28〜34に記載の構築物。
【請求項36】
上記共通配列との配列同一性が少なくとも75%、例えば少なくとも81%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも92%である、請求項35に記載の構築物。
【請求項37】
50番のシステイン残基がセリン残基、トレオニン残基、またはメチオニン残基により置換されている、請求項35に記載の構築物。
【請求項38】
50番のシステイン残基が他のいずれかのアミノ酸残基により置換されている、請求項35に記載の構築物。
【請求項39】
三量体形成モジュールがTrip Aモジュール(配列番号13)と少なくとも68%、好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも81%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも92%の配列番号同一性を有する、請求項35に記載の構築物。
【請求項40】
コレクチンネック領域由来の三量体形成モジュールを含む、請求項23に記載の構築物。
【請求項41】
上記オリゴマー形成モジュールがアポリポタンパク質構築物の精製後に存在する、請求項1に記載の構築物。
【請求項42】
少なくとも1つの炭水化物部分をさらに含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項43】
アフィニティータグをさらに含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項44】
ポリHisアフィニティータグを含む、請求項43に記載の構築物。
【請求項45】
抗原タグ、GSTタグからなる群から選択されるアフィニティータグを含む、請求項43に記載の構築物。
【請求項46】
少なくとも天然Apo A-I、A-IIまたはA-IVの半減期、好ましくは少なくとも2倍高い、より好ましくは少なくとも3倍、例えば4倍高い、より好ましくは少なくとも5倍、例えば6倍高い、より好ましくは少なくとも8倍、例えば少なくとも10倍高い半減期を有する、請求項1に記載の構築物。
【請求項47】
天然Apo A-I、A-IIまたはA-IVに比べコレステロールに対して高い結合親和性を有する、請求項1に記載の構築物。
【請求項48】
キュビリン、スカベンジャーレセプタークラスBタイプ1(SR-B1)、ATP結合カセット1(ABC1)、レクチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、コレステリル-エステル転移タンパク質(CETP)、リン脂質転移タンパク質(PLTP)からなる群から選択されるレセプターと結合しうる、請求項1に記載の構築物。
【請求項49】
ヒトにおいて実質的に免疫応答を生じない、請求項1に記載の構築物。
【請求項50】
上記核酸配列がDNA、RNA、PNA、またはLNA配列を含む、請求項1に記載の構築物。
【請求項51】
配列番号2〜配列番号11または配列番号14の配列の1つと少なくとも70%に配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の構築物。
【請求項52】
配列番号3〜配列番号11または配列番号14の配列の1つと少なくとも70%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の構築物。
【請求項53】
一般式
apo-A-X
{式中、apo-Aはアポリポタンパク質AI、アポリポタンパク質AII、アポリポタンパク質AIV、その類似体または変異体からなる群から選択されるアポリポタンパク質成分であり、
Xはオリゴマー形成モジュールおよび末端結合アポリポタンパク質からなる群から選択される異種部分である}
を有するアポリポタンパク質構築物。
【請求項54】
apo-A成分とXの間にスペーサーペプチドをさらに含む、請求項53に記載の構築物。
【請求項55】
上記スペーサーペプチドが少なくとも2個のアミノ酸、例えば少なくとも3個のアミノ酸、例えば少なくとも5個のアミノ酸、例えば少なくとも10個のアミノ酸、例えば少なくとも15個のアミノ酸、例えば少なくとも20個のアミノ酸、例えば少なくとも30個のアミノ酸、例えば少なくとも40個のアミノ酸、例えば少なくとも50個のアミノ酸、例えば少なくとも60個のアミノ酸、例えば少なくとも70個のアミノ酸、例えば少なくとも80個のアミノ酸、例えば少なくとも90個のアミノ酸、例えばおよそ100個のアミノ酸を含む、請求項54に記載の構築物。
【請求項56】
上記スペーサーが共有結合によりapo-A成分とX成分を連結している、請求項54に記載の構築物。
【請求項57】
上記スペーサーが実質的に非免疫原性であり、かつ/またはタンパク質切断を受けにくい、かつ/またはシステイン残基を含まない、請求項54に記載の構築物。
【請求項58】
上記スペーサーの三次元構造が直鎖または実質的に直鎖である、請求項54に記載の構築物。
【請求項59】
上記スペーサーペプチドがテトラネクチン由来のアミノ酸配列GTKVHMK、ヒトフィブロネクチンの連結ストランド3由来のアミノ酸配列PGTSGQQPSVGQQおよびGTSGQ、ネズミIgG3の上部ヒンジ領域由来のPKPSTPPGSS、SGGTSGSTSGTGST, AGSSTGSSTGPGSTTまたはGGSGGAPを含む、請求項54に記載の構築物。
【請求項60】
成分Xがアポリポタンパク質を含有する少なくとも1つの両親媒性ヘリックスを含む、請求項53に記載の構築物。
【請求項61】
上記アポリポタンパク質が少なくとも1つのアポリポタンパク質A-I、アポリポタンパク質A-II、アポリポタンパク質A-IV、アポリポタンパク質E、およびその類似体または変異体を含む、請求項53に記載の構築物。
【請求項62】
上記類似体または変異体がアポリポタンパク質-A-I、A-IIまたはA-IVと同じ生理学的応答を実質的に惹起しうる、請求項53または61に記載の構築物。
【請求項63】
上記オリゴマー形成モジュールが二量体形成モジュールである、請求項53に記載の構築物。
【請求項64】
上記オリゴマー形成モジュールが三量体形成モジュールである、請求項53に記載の構築物。
【請求項65】
上記オリゴマー形成モジュールが四量体形成モジュールである、請求項53に記載の構築物。
【請求項66】
上記オリゴマー形成モジュールが多量体形成モジュールである、請求項53に記載の構築物。
【請求項67】
上記オリゴマー形成モジュールが、DNA、RNA、PNAまたはLNA配列を含む核酸配列など、非ペプチド系のものである、請求項53に記載の構築物。
【請求項68】
上記三量体形成モジュールが3つのポリペプチド鎖の分子内認識、三量体化、およびアライメントを媒介しうるアミノ酸を含む、請求項64に記載の構築物。
【請求項69】
上記三量体形成モジュールがテトラクチン由来のものである、請求項64に記載の構築物。
【請求項70】
上記三量体形成モジュールがテトラネクチン由来のテトラネクチン三量体形成モジュールを含む、請求項64に記載の構築物。
【請求項71】
上記テトラネクチン三量体形成モジュールが他のテトラネクチン三量体形成モジュールと安定した複合体を形成しうる、請求項70に記載の構築物。
【請求項72】
上記の安定した複合体がコイルドコイル構造を含む、請求項71に記載の構築物。
【請求項73】
上記コイルドコイル構造が三本鎖αヘリカルコイルドコイルである、請求項72に記載の構築物。
【請求項74】
上記三量体形成モジュールがスペーサー部分により連結された2つのテトラネクチン三量体形成モジュールを含み、そのスペーサーがこの2つのテトラネクチン三量体形成モジュールをアポリポタンパク質構築物の一部ではない第3のテトラネクチン三量体形成モジュールとの複合体の形成に加わらせる、請求項69〜73に記載の構築物。
【請求項75】
少なくとも1つのテトラネクチン三量体形成モジュールがヒトテトラネクチン、ネズミテトラネクチンまたはヒト、ウシまたはサメ軟骨のC型レクチンからなる群から選択される、請求項69〜74に記載の構築物。
【請求項76】
上記テトラネクチン三量体形成モジュールが配列番号12の配列と少なくとも68%の配列同一性を有する配列を含む、請求項69〜75に記載の構築物。
【請求項77】
上記配列一性が少なくとも75%、例えば少なくとも81%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも92%である、請求項76に記載の構築物。
【請求項78】
50番のシステイン残基がセリン残基、トレオニン残基、またはメチオニン残基により置換されている、請求項76に記載の構築物。
【請求項79】
50番のシステイン残基が他のいずれかのアミノ酸残基により置換されている、請求項76に記載の構築物。
【請求項80】
三量体形成モジュールがTrip Aモジュール(配列番号13)と少なくとも68%、好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも81%、例えば少なくとも87%、例えば少なくとも92%の配列番号同一性を有する、請求項76に記載の構築物。
【請求項81】
コレクチンネック領域由来の三量体形成モジュールを含む、請求項64に記載の構築物。
【請求項82】
少なくとも1つの炭水化物部分をさらに含む、請求項53に記載の構築物。
【請求項83】
ポリHisアフィニティータグからなる群から選択されるアフィニティータグ、抗原タグ、GSTタグからなる群から選択されるアフィニティータグをさらに含む、請求項53に記載の構築物。
【請求項84】
配列番号3〜配列番号11または配列番号14の配列の1つと少なくとも70%に配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する、請求項53に記載の構築物。
【請求項85】
請求項1〜84に記載のアポリポタンパク質構築物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項86】
配列番号2〜配列番号11、または配列番号14のいずれか、好ましくは配列番号3〜配列番号11、または配列番号14のいずれかと少なくとも70%の配列同一性で共通のアミノ酸配列をコードする、請求項85に記載の核酸。
【請求項87】
上記コード配列が上記タンパク質構築物の発現の調節配列と作動可能なように連結されている、請求項85に記載の核酸。
【請求項88】
請求項85または87に記載の核酸を含むベクター。
【請求項89】
請求項85または87に記載の核酸配列を含む、形質転換宿主細胞。
【請求項90】
請求項1〜84に記載のアポリポタンパク質構築物の製造方法であって、
請求項1〜84に記載のタンパク質構築物の発現を促進する条件下で形質転換宿主細胞を培養し、
上記タンパク質構築物を取得・回収し、
所望により上記タンパク質構築物をさらにプロセッシングする
ステップを含む、方法。
【請求項91】
請求項1〜84に記載のアポリポタンパク質構築物の製造方法であって、
少なくとも1つのオリゴマー形成モジュールを化学的に合成し、次に
上記モジュールを少なくとも1つのアポリポタンパク質、アポリポタンパク質類似体またはアポリポタンパク質変異体に連結し、
アポリポタンパク質構築物を取得し、
得られたアポリポタンパク質構築物を単離し、
所望により上記構築物をさらにプロセッシングする
ステップを含む、方法。
【請求項92】
請求項1〜84に記載のアポリポタンパク質構築物の製造方法であって、
核酸断片によってコードされているアポリポタンパク質、アポリポタンパク質類似体またはアポリポタンパク質変異体の発現を促進する条件下で形質転換宿主細胞を培養し、
上記アポリポタンパク質、アポリポタンパク質類似体またはアポリポタンパク質変異体を異種部分に共有結合させ、
アポリポタンパク質構築物を取得し、
得られたアポリポタンパク質構築物を単離し、
所望により上記構築物をさらにプロセッシングする
ステップを含む、方法。
【請求項93】
請求項1〜84に記載のアポリポタンパク質構築物の製造方法であって、
核酸断片によってコードされているオリゴマー形成モジュールの発現を促進する条件下で形質転換宿主細胞を培養し、次に
上記モジュールを少なくとも1つのアポリポタンパク質、アポリポタンパク質類似体またはアポリポタンパク質変異体に共有結合させ、
アポリポタンパク質構築物を取得し、
得られたアポリポタンパク質構築物を単離し、
所望により上記構築物をさらにプロセッシングする
ステップを含む、方法。
【請求項94】
医薬組成物の製造のための請求項1〜50に記載のアポリポタンパク質構築物の使用。
【請求項95】
上記医薬組成物が医薬上許容される賦形剤、アジュバント、添加剤(リン脂質、コレステロールまたはトリグリセリドなど)をさらに含む、請求項94に記載の使用。
【請求項96】
上記医薬組成物が静脈内、動脈内、筋肉内、経皮、肺、皮下、皮内、髄腔内(intratechally)、口内、肛門、膣、結膜もしくは鼻内組織経由投与、または腫瘍組織など組織への接種、またはインプラント、あるいは経口投与される、請求項94または95に記載の使用。
【請求項97】
少なくともアポリポタンパク質構築物50mg/週、好ましくは少なくとも100mg/週、例えば少なくとも250mg/週、例えば少なくとも500mg/週、例えば少なくとも750mg/週、例えば少なくとも1000mg/週、例えば少なくとも1250mg/週、例えば少なくとも1500mg/週、例えば少なくとも2000mg/週、例えば少なくとも2500mg/週、例えば少なくとも5000mg/週を含む組成物を個体に投与することを含む、請求項94に記載の使用。
【請求項98】
1、2、3、4、5、6、7、8または10日までの期間投与することを含む、請求項94に記載の使用。
【請求項99】
少なくとも10mg/体重kg、例えば少なくとも20mg/体重kg、例えば少なくとも30mg/kg、例えば少なくとも40mg/kg、例えば少なくとも50mg/kg、例えば少なくとも60mg/kg、例えば少なくとも70mg/kg、例えば少なくとも75mg/kg、例えば少なくとも90mg/kg、例えば少なくとも100mg/kg、例えば少なくとも125mg/kg、例えば少なくとも150mg/kg、例えば少なくとも200mg/kg、例えば少なくとも250mg/kg、例えば少なくとも300mg/kg、例えば少なくとも400mg/kg、例えば少なくとも500mg/kg、例えば少なくとも600mg/kg、例えば少なくとも700mg/kg、例えば少なくとも800mg/kg、例えば少なくとも900mg/kg、例えば少なくとも1000mg/kgを投与することを含む、請求項94に記載の使用。
【請求項100】
一定用量の医薬組成物を一週間に一度投与することを含む、請求項94に記載の使用。
【請求項101】
一定用量の医薬組成物を二週間に一度、または三週間に一度、または四週間に一度投与することを含む、請求項94に記載の使用。
【請求項102】
動脈硬化症の治療および/または予防のための、請求項94に記載の使用。
【請求項103】
内毒素の除去のための、請求項94に記載の使用。
【請求項104】
狭心症の治療における、請求項94に記載の使用。
【請求項105】
心筋梗塞の治療における、請求項94に記載の使用。
【請求項106】
プラーク狭心症の治療における、請求項94に記載の使用。
【請求項107】
不安定狭心症の治療における、請求項94に記載の使用。
【請求項108】
跛行、頸動脈狭窄または脳動脈狭窄などの動脈狭窄の治療における、請求項94に記載の使用。
【請求項109】
遺伝子治療のための請求項85〜87に記載の核酸配列の使用であって、上記アポリポタンパク質構築物をコードするDNA配列が少なくとも1つの細胞集団のトランスフェクションまたは感染に用いられる、使用。
【請求項110】
少なくとも1つの細胞集団がマクロファージを含む、請求項109に記載の使用。
【請求項111】
少なくとも1つの細胞集団が肝細胞を含む、請求項109に記載の使用。

【図1】
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【図2a.1】
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【図2a.2】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図10f】
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【図10g】
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【図10h】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−118849(P2009−118849A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330674(P2008−330674)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2002−541940(P2002−541940)の分割
【原出願日】平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願人】(507196446)エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】F. Hoffmann−La Roche Ltd.
【Fターム(参考)】