説明

アミジン誘導体と環状デプシペプチドの組合せ

本発明は、アミノフェニルアミジン誘導体と環状デプシペプチドの組合せ、この組合せを含む製品、および、ヒトおよび動物の内寄生生物と闘うための、これらの組み合わせた物質の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノフェニルアミジン誘導体と環状デプシペプチドの組合せ、この組合せを含む製品、および、ヒトおよび動物の内寄生生物(endoparasite)を制御するための、これらの組み合わせた活性物質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
駆虫的(anthelmintically)に活性のあるアミノフェニルアミジン類および関連化合物は、昔から知られてきた。例えば、DE OS 2 029 297、DE OS 2 029 298、DE OS 2 029 299およびDE OS 2 145 807参照。このクラスの重要な代表例は、イヌ用の強力な駆虫剤として知られているアミダンテル(amidantel)である(Wollweber H et al. Arzneimittelforschung/Drug Research 29 (1) 31 32; DE-OS-20 29 298)。ヒトにおけるズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)に対する使用は、Rim H.J. et al. The Korean Journal of Parasitology 18 (1) 24-36 に記載されている。
【0003】
アミダンテルは、インビボでかなり迅速に脱アシル化され、対応する遊離アミン(Bay d 9216)を与え、これも駆虫的に活性である(Thomlinson et al., European Journal of Pharmacology, 113 (1985) 255-262)。
【0004】
アミダンテルの対称的ジアミジン誘導体であるトリベンジミジン(tribendimidine)は、約20年前から知られており、中国で、ヒトに使用するための広いスペクトルの駆虫剤として開発されている (例えば、Ren, H. N. et al. Chin. J. Parasitol. Parasit. Dis. 5 (1987) 262-264; Keiser, J. et al. Antimicrob. Agents Chemother. 51 (2007) 1096-1098参照)。家畜における内寄生生物の制御は、並行して係属中である我々の特許出願DE Ref. 10 2007 061262の主題である。
【0005】
環状デプシペプチドおよびそれらの殺内寄生生物(endoparasiticidal)活性は、既知である:エンニアチン(enniatin)類および他の18員の環状デプシペプチド(EP−A644883、EP−A658551、EP−A669343、WO95/27498);24員の環状デプシペプチド(EP−A626376、EP−A626375、EP787141、EP−A903347、EPA973756、WO98/55469、WO99/47506、WO00/14079、WO98/37088、WO99/67281)、12個の環内原子を有する環状デプシペプチド(EP−A664297)。PF1022およびエモデプシド(emodepside)などの環状オクタデプシペプチドおよびそれらの内寄生生物に対する活性(例えば、腸の線虫および組織の線虫に対するもの)も、既に開示された;例えば、EP−A382173、EP−A634408参照。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体および環状デプシペプチドを含む製品に関する。
【0007】
駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体は、好ましくは、式(I)
【化1】

[式中、
は、水素またはC1−4−アルキルであり、そして、
は、水素、−COO(C1−4−アルキル)、−CO(C1−4−アルキル)、−COCH(C1−4−アルキル)、−COCHOフェニルまたは−COヘタリール{ここで、ヘタリールは、O、NおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ環内原子を有する5員または6員の芳香族性複素環を表す}であるか、または、
およびRは、一体となって、基
【化2】

を表す]
の化合物である。
【0008】
は、好ましくは水素を表す。
は、好ましくは、水素、−COCH(C1−4−アルコキシ)を表すか、または、Rと一体となって、基
【化3】

を表す。
【0009】
好ましい実施態様によると、駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体は、式
【化4】

の化合物アミダンテルである。
アミダンテルおよびその製造は、DE−OS 2 029 298に記載されている。
【0010】
さらなる好ましい実施態様によると、駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体は、式
【化5】

の化合物Bay d 9216である。
前駆体としてのN−(4−アミノフェニル−N,N'−ジメチルアセトアミジン(Bay d 9216)も、DE−OS 2 029 298に記載されている。
【0011】
さらなる好ましい実施態様によると、駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体は、式
【化6】

のトリベンジミジンである。
【0012】
トリベンジミジンおよびその合成は知られている。製造方法は、例えば、Yao RH, Chen YQ (1986) "Synthesis of Tribendimidine and its substituted analogues as new anthelmintic agents." Annual Report of Institute of Parasitic Diseases, Chinese Academy of Preventive Medicine in 1986, pp. 199-202 に記載されている。
【0013】
デプシペプチドは、ペプチドと類似しており、1個またはそれ以上のα−アミノ酸ユニットがα−ヒドロキシカルボン酸ユニットにより置き換えられている点で後者と異なる。本発明により好ましく用いられる環状デプシペプチドは、18個ないし24個の環内原子を有するもの、特に、24個の環内原子を有するもの(オクタデプシペプチド)である。
【0014】
18個の環内原子を有するデプシペプチドには、一般式(II):
【化7】

[式中、
、RおよびRは、相互に独立して、水素、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、ヒドロキシアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルコキシカルボニルアルキル、カルバモイルアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、グアニジノアルキル(これらは、1個または2個のベンジルオキシカルボニル基により、または、1個、2個、3個または4個のアルキル基により置換されていることもある)を表すか、アルコキシカルボニルアミノアルキル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル並びに置換されていることもあるアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルおよびアルコキシが置換基として言及され得る)を表し、
、RおよびRは、相互に独立して、水素、8個までの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルコキシカルボニルアルキル、カルバモイルアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換されていることもあるアリールまたはアリールアルキル(ここで、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシが置換基として言及され得る)を表す]
の化合物およびそれらの光学異性体およびラセミ体が含まれる。
【0015】
好ましい式(II)の化合物は、式中、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、tert−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、メルカプト−C−C−アルキル、特にメルカプトメチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特にメチルチオエチル、C−C−アルキルスルフィニル−C−C−アルキル、特にメチルスルフィニルエチル、C−C−アルキルスルホニル−C−C−アルキル、特にメチルスルホニルエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、カルバモイル−C−C−アルキル、特にカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、アミノ−C−C−アルキル、特にアミノプロピル、アミノブチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、グアニド−C−C−アルキル、特にグアニドプロピル、C−C−アルコキシカルボニルアミノ−C−C−アルキル、特にtert−ブトキシカルボニルアミノプロピル、tert−ブトキシカルボニルアミノブチル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノ−C−C−アルキル、特に9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノプロピル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、これらは、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、特にメトキシまたはエトキシ、C−C−アルキル、特にメチルからなる群からの基により置換されていてもよく、
【0016】
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、tert−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、メルカプト−C−C−アルキル、特にメルカプトメチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特にメチルチオエチル、C−C−アルキルスルフィニル−C−C−アルキル、特にメチルスルフィニルエチル、C−C−アルキルスルホニル−C−C−アルキル、特にメチルスルホニルエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、カルバモイル−C−C−アルキル、特にカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、アミノ−C−C−アルキル、特にアミノプロピル、アミノブチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、これらは、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、特にメトキシまたはエトキシ、C−C−アルキル、特にメチルからなる群からの基により置換されていてもよいもの、並びにそれらの光学異性体およびラセミ体である。
【0017】
特に好ましいのは、式中、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、C−C−アルコキシカルボニルアミノ−C−C−アルキル、特にtert−ブトキシカルボニルアミノプロピル、tert−ブトキシカルボニルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、これらは、上述のものからの1個またはそれ以上の同一または異なる基により置換されていてもよく、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、tert−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、これらは、上述のものからの1個またはそれ以上の同一かまたは異なる基により置換されていてもよい、式(II)の化合物、並びにそれらの光学異性体およびラセミ体である。
【0018】
ことさら特に好ましい式(II)の化合物は、式中、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、C−C−アルケニル、特にアリル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロヘキシルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、
、RおよびRが、相互に独立して、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロヘキシルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、これらは、上述のものからの1個またはそれ以上の同一かまたは異なる基により置換されていてもよいもの、並びにそれらの光学異性体およびラセミ体である。
【0019】
基RないしRが以下の意味を有する以下の一般式(II)の化合物は、個別に言及され得る:
【表1】

【0020】
【表2】

Me=メチル;Phe=フェニル
【0021】
言及し得るさらなるデプシペプチドは、EP−A382173から知られている、下記式(IIIa)の化合物PF1022である:
【化8】

【0022】
言及し得るさらなるデプシペプチドは、PCT出願WO93/19053から知られている化合物である。
WO93/19053から特に言及し得る化合物は、下記式(IIIb):
【化9】

(式中、Zは、N−モルホリニル、アミノ、モノ−またはジメチルアミノを表す)
のものである。
【0023】
言及し得るさらなる化合物は、下記式(IIIc):
【化10】

(式中、R、R、R、Rは、相互に独立して、水素、C−C10−アルキルまたはアリール、特にフェニルを表し、これらは、ヒドロキシル、C−C10−アルコキシまたはハロゲンにより置換されていることもある)
のものである。
【0024】
一般式(II)の化合物は知られており、EP−A−382173、DE−A4317432、DE−A4317457、DE−A4317458、EP−A−634408、EP−A−718293、EP−A−872481、EP−A−685469、EP−A−626375、EP−A−664297、EP−A−669343、EP−A−787141、EP−A−865498、EP−A−903347に記載の方法により得ることができる。
【0025】
24個の環内原子を有する環状デプシペプチドには、一般式(IIId)
【化11】

[式中、
1a、R2a、R11aおよびR12aは、相互に独立して、C1−8−アルキル、C1−8−ハロアルキル、C3−6−シクロアルキル、アラルキル、アリールを表し、
3a、R5a、R7a、R9aは、相互に独立して、水素または直鎖もしくは分枝鎖のC1−8−アルキルを表し、これらは、ヒドロキシル、C1−4−アルコキシ、カルボキシル、
【化12】

、カルボキサミド、
【化13】

、イミダゾリル、インドリル、グアニジノ、−SHまたはC1−4−アルキルチオにより置換されていてもよく、さらにアリールまたはアラルキルを表し、これらの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシにより置換されていてもよく、
4a、R6a、R8a、R10aは、相互に独立して、水素、直鎖C1−5−アルキル、C2−6−アルケニル、C3−7−シクロアルキルを表し、これらの各々は、ヒドロキシル、C1−4−アルコキシ、カルボキシル、カルボキサミド、イミダゾリル、インドリル、グアニジノ、SHまたはC1−4−アルキルチオにより置換されていることもあり、また、アリールまたはアラルキルを表し、これらの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−4−アルキル、C1−4−アルコキシにより置換されていてもよい]
の化合物、それらの光学異性体およびラセミ体も含まれる。
【0026】
式中、
1a、R2a、R11aおよびR12aが、相互に独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−、s−、t−ブチルまたはフェニルを表し、これは、ハロゲン、C1−4−アルキル、OH、C1−4−アルコキシにより置換されていることもあり、また、ベンジルまたはフェニルエチルを表し、これらの各々は、フェニルで言及した基により置換されていることもあり;
3aないしR10aが上記の意味を有する、
式(IIId)の化合物を用いるのが好ましい。
【0027】
特に好ましい化合物は、式中、
1a、R2a、R11aおよびR12aが、相互に独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはn−、s−、t−ブチルを表し、
3a、R5a、R7a、R9aが、水素、直鎖または分枝鎖のC1−8−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−、s−、t−ブチルを表し、これらの各々は、C1−4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、イミダゾリル、インドリルまたはC1−4−アルキルチオ、特にメチルチオ、エチルチオにより置換されていることもあり、さらに、フェニル、ベンジルまたはフェネチルを表し、これらの各々は、ハロゲン、特に塩素により置換されていることもあり、
4a、R6a、R8a、R10aが、相互に独立して、水素;メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ビニル、シクロヘキシルを表し、これらの各々は、メトキシ、エトキシ、イミダゾリル、インドリル、メチルチオ、エチルチオにより置換されていることもあり、また、イソプロピル、s−ブチル、さらに、ハロゲンで置換されていることもあるフェニル、ベンジルまたはフェニルエチルを表す、
式(IIId)のものである。
【0028】
式(IIId)の化合物は、EP−A−382173、DE−A4317432、DE−A4317457、DE−A4317458、EP−A−634408、EP−A−718293、EP−A−872481、EP−A−685469、EP−A−626375、EP−A−664297、EP−A−669343、EP−A−787141、EP−A−865498、EP−A−903347に記載の方法により同様に得ることができる。
【0029】
本発明によると、ことさら特に好ましいデプシペプチドは、PF1022Aである(式(IIIa)およびエモデプシド(emodepside)(PF1022−221)、両方の基Zがモルホリニル基を表す式(IIIb)の化合物参照)。INNエモデプシドは、系統名:シクロ[(R)−ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル−(R)−3−(p−モルホリノフェニル)ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル−(R)−ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル−(R)−3−(p−モルホリノフェニル)ラクトイル−N−メチル−L−ロイシル]を有する化合物を表す。
【0030】
構造次第で、活性物質は立体異性体で、または立体異性体混合物として、例えばエナンチオマーまたはラセミ体として存在できる。立体異性体混合物のみならず、純粋な立体異性体も本発明に従い使用できる。
【0031】
以下のものも場合により使用し得る:活性物質の医薬的に許容し得る酸または塩基との塩、並びに活性物質またはそれらの塩の溶媒和物、特に水和物。
【0032】
本発明による製品中で使用される活性物質は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。本発明によると、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を用いることが可能である。
活性物質が互変異性体で存在できるならば、本発明は、互変異性体の使用も含む。
【0033】
必要に応じて、活性物質を、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の形態で用い得る。
本発明によると、として好ましいのは、生理的に許容し得る活性物質の塩である。
活性物質の構造に応じて、生理的に許容し得る活性物質の塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を含む。
【0034】
必要に応じて、生理的に許容し得る活性物質の塩は、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)、および、アンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミン、N−メチルピペリジンおよびコリン)に由来するアンモニウム塩を含む。
【0035】
本発明に関して、溶媒和物の用語は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している活性物質の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。
【0036】
さらに、本発明は、また、活性物質のプロドラッグに関する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性または不活性であるが、それらの体内残存時間中に、実際の物質に変換される(例えば、代謝的または加水分解的に)化合物を含む。
【0037】
温血種に好都合な毒性を有する本発明による製品は、ヒトにおいて、そして、動物の飼育および動物の育種において、生産用家畜、育種用動物、動物園の動物、研究室の動物、実験動物および愛玩動物において見出される病原性内寄生生物の制御に適する。それらは、害虫の全てまたは個々の発生段階に対して、そして、耐性の種および通常に感受性のある種に対して、活性である。活性物質の使用によってより経済的かつより簡潔な動物の飼育が可能になるように、病原性内寄生生物を制御することにより、疾患、死亡および性能の低下(例えば、食肉、乳、羊毛、皮、卵、蜂蜜などの生産において)を低減させることを企図している。病原性内寄生生物には、条虫類、吸虫類、線虫類および鈎頭虫類(acantocephala)、特に以下のものが含まれる:
【0038】
擬葉目から、例えば、ジフィロボツリウム属(Diphyllobothrium spp.)、スピロメトラ属(spirometra spp.)、シストセファルス属(Schistocephalus spp.)、リグラ属(Ligula spp.)、ボツリジウム属(Bothridium spp.)、ジフロゴノポラス属(Diphlogonoporus spp.)。
【0039】
円葉目から、例えば、メソセストイデス属(Mesocestoides spp.)、アノプロセファラ属(Anoplocephala spp.)、パラノプロセファラ属(Paranoplocephala spp.)、モニエジア属(Moniezia spp.)、チサノソムサ属(Thysanosomsa spp.)、チサニエジア属(Thysaniezia spp.)、アビテリナ属(Avitellina spp.)、スチレシア属(Stilesia spp.)、シットタエニア属(Cittotaenia spp.)、アンジラ属(Andyra spp.)、ベルチエラ属(Bertiella spp.)、タエニア属(Taenia spp.)、エチノコッカス属(Echinococcus spp.)、ハイダチゲラ属(Hydatigera spp.)、ダベイネア属(Davainea spp.)、ライリエチナ属(Raillietina spp.)、ハイメノレピス属(Hymenolepis spp.)、エチノレピス属(Echinolepis spp.)、エチノコチレ属(Echinocotyle spp.)、ジオルチス属(Diorchis spp.)、ジピリジウム属(Dipylidium spp.)、ジョエキシエラ属(Joyeuxiella spp.)、ジプロピリジウム属(Diplopylidium spp.)。
【0040】
単生綱から、例えば、ジャイロダクチラス属(Gyrodactylus spp.)、ダクチロギルス属(Dactylogyrus spp.)、ポリストマ属(Polystoma spp.)。
【0041】
二生亜綱から、例えば、ジプロストマム属(Diplostomum spp.)、ポストジプロストマム属(Posthodiplostomum spp.)、シストソーマ属(Schistosoma spp.)、トリコビルハルジア属(Trichobilharzia spp.)、オルニトビルハルジア属(Ornithobilharzia spp.)、オストロビルハルジア属(Austrobilharzia spp.)、ギガンドビルハルジア属(Gigantobilharzia spp.)、ロイコクロリジウム属(Leucochloridium spp.)、ブラチライマ属(Brachylaima spp.)、エチノストーマ属(Echinostoma spp.)、エチノパリフィウム属(Echinoparyphium spp.)、エキノカスムス属(Echinochasmus spp.)、ヒポデラエウム属(Hypoderaeum spp.)、ファシオラ属(Fasciola spp.)、ファシオリデス属(Fasciolides spp.)、ファシオロプシス属(Fasciolopsis spp.)、シクロケラム属(cyclocoelum spp.)、チフロケラム属(Typhlocoelum spp.)、パラムフィストマム属(Paramphistomum spp.)、カリコホロン属(Calicophoron spp)、コチロホロン属(Cotylophoron spp.)、ギガントコチレ属(Gigantocotyle spp.)、フィソエデリウス属(Fischoederius spp.)、ガストロチラクス属(Gastrothylacus spp.)、ノトコチラス属(Notocotylus spp.)、カタトロピス属(Catatropis spp.)、プラジオルチス属(Plagiorchis spp.)、プロストゴニマス属(Prosthogonimus spp.)、ジクロコエリウム属(Dicrocoelium spp.)、ユーリトレマ属(Eurytrema spp.)、トログロトレマ属(Troglotrema spp.)、パラゴニマス属(Paragonimus spp.)、コリリクラム属(Collyriclum spp.)、ナノフィエタス属(Nanophyetus spp.)、オピストルチス属(Opisthorchis spp.)、クロノルチス属(Clonorchis spp.)、メトルチス属(Metorchis spp.)、ヘテロフィエス属(Heterophyes spp.)、メタゴニマス属(Metagonimus spp.)。
【0042】
エノプルス目から、例えば、トリクリス属(Trichuris spp.)、カピラリア属(Capillaria spp.)、トリクロモソイデス属(Trichlomosoides spp.)、トリチネラ属(Trichinella spp.)。
桿線虫目から、例えば、ミクロネマ属(Micronema spp.)、ストロンギロイデス属(Strongyloides spp.)。
【0043】
円虫目から、例えば、ストロンギルス属(Strongylus spp.)、トリオドントホラス属(Triodontophorus spp.)、オエソファゴドンタス属(Oesophagodontus spp.)、トリコネマ属(Trichonema spp.)、ギアロセファルス属(Gyalocephalus spp.)、シリンドロファリンクス属(Cylindropharynx spp.)、ポテリオストロマム属(Poteriostromum spp.)、シクロコセルカス属(cyclococercus spp.)、シリコステファナス属(Cylicostephanus spp.)、オエソファゴストマム属(Oesophagostomum spp.)、チャベルチア属(Chabertia spp.)、ステファヌラス属(Stephanurus spp.)、アンチロストマ属(Ancylostoma spp.)、アンシナリア属(Uncinaria spp.)、ブノストマム属(Bunostomum spp.)、グロボセファラス属(Globocephalus spp.)、シンガマス属(Syngamus spp.)、シアトストマム属(Cyathostomum spp.)、メタストロンギラス属(Metastrongylus spp.)、ジクチオカウラス属(Dictyocaulus spp.)、ムエレリウス属(Muellerius spp.)、プロトストロンギラス属(Protostrongylus spp.)、ネオストロンギラス属(Neostrongylus spp.)、シストカウラス属(Cystocaulus spp.)、ニューモストロンギラス属(Pneumostrongylus spp.)、スピコカウラス属(Spicocaulus spp.)、エラホストロンギラス属(Elaphostrongylus spp.)、パレラホストンギラス属(Parelaphostrongylus spp.)、クレノソーマ属(Crenosoma spp.)、パラクレノソーマ属(Paracrenosoma spp.)、アンギオストロンギラス属(Angiostrongylus spp.)、アエルロストロンギラス属(Aelurostrongylus spp.)、フィラロイデス属(Filaroides spp.)、パラフィラロイデス属(Parafilaroides spp.)、トリコストロンギラス属(Trichostrongylus spp.)、ヘモンカス属(Haemonchus spp.)、オステルタジア属(Ostertagia spp.)、マルシャラジア属(Marshallagia spp.)、クーペリア属(Cooperia spp.)、ネマトジラス属(Nematodirus spp.)、ホストロンギラス属(Hyostrongylus spp.)、オベリスコイデス属(Obeliscoides spp.)、アミドストマム属(Amidostomum spp.)、オルラヌス属(Ollulanus spp.)、シリコシクルス属(Cylicocyclus spp.)、シリコドントフォラス属(Cylicodontophorus spp.)。
【0044】
蟯虫(Oxyurida)目から、例えば、オキシウリス属(oxyuris spp.)、エンテロビウス属(Enterobius spp.)、パッサルラス属(Passalurus spp.)、シファシア属(Syphacia spp.)、アスピクルリス属(Aspiculuris spp.)、ヘテラキス属(Heterakis spp.)。
【0045】
鶏回虫(Ascaridia)目から、例えば、アスカリス属(Ascaris spp.)、トキサスカリス属(Toxascaris spp.)、トキソカラ属(Toxocara spp.)、パラスカリス属(Parascaris spp.)、アニサキス属(Anisakis spp.)、アスカリジア属(Ascaridia spp.)。
【0046】
旋尾線虫目から、例えば、グナトストーマ属(Gnathostoma spp.)、フィサロプテラ属(Physaloptera spp.)、テラジア属(Thelazia spp.)、ゴンジロネマ属(Gongylonema spp.)、ハブロネマ属(Habronema spp.)、パラブロネマ属(Parabronema spp.)、ドラシア属(Draschia spp.)、ドラクンクルス属(Dracunculus spp.)。
【0047】
フィラリア(Filariida)目から、例えば、ステファノフィラリア属(Stephanofilaria spp.)、パラフィラリア属(Parafilaria spp.)、セタリア属(Setaria spp.)、ロア属(Loa spp.)、ジロフィラリア属(Dirofilaria spp.)、リトモソイデス属(Litomosoides spp.)、ブルジア属(Brugia spp.)、ウケレリア属(Wuchereria spp.)、オンコセルカ属(Onchocerca spp.)。
【0048】
ギガントリンクス(Gigantohynchida)目から、例えば、フィリコリス属(Filicollis spp.)、モニリホルミス属(Moniliformis spp.)、マクラカントリンクス属(Macracanthorhynchus spp.)、プロステノルキス属(Prosthenorchis spp.)。
【0049】
好ましいのは、条虫、例えば、タエニア属の制御である。好ましいのは、また、線虫、例えば、旋尾線虫目からのもの、例えば、グナトストーマ属、フィサロプテラ属、テラジア属、ゴンジロネマ属、ハブロネマ属、パラブロネマ属、ドラシア属、ドラクンクルス属の制御である。
【0050】
本発明による製品の使用は、円虫目、特に、ヘモンカス属、トリコストロンギラス属、クーペリア属およびオステルタジア属、並びに、鶏回虫目、例えばパラスカリス属の制御のために特に好ましい。
【0051】
生産用家畜には、特に、哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、毛皮を有する動物、例えば、ミンク、チンチラ、アライグマが含まれる。哺乳動物の生産用家畜の中で好ましいのは、ウシ、ヒツジおよびブタである。
【0052】
本発明による使用に含まれるものは、また、哺乳動物ではないが、生産用家畜に属する以下の動物種である:鳥類、例えば、ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル;真水および塩水の魚類、例えば、マス、コイ、ウナギ、爬虫類、昆虫、例えば、ミツバチおよびカイコ。
【0053】
愛玩動物は、好ましくは、イヌおよびネコを含む。これらにおいて、トキソスカリス属(Toxoscaris spp.)、トキソカラ属、トリクリス属、トリチネラ属および鉤虫のアンチロストマ属およびアンシナリア属を制御するのが好ましい。
【0054】
さらなる実施態様によると、製品は、また、ヒトに用いてもよい。ヒトでは、アスカリス属、アンチロストマ属、ネカトール属(Necator spp.)、トリクリス属、ストロンギロイデス属およびエンテロビウス属を制御するのが好ましい。
【0055】
哺乳動物の中では、上述の組合せの使用に好ましいのは、草食動物(植物を食べる者)、即ち、主に植物を食べる動物である。反芻動物(例えば、ヒツジ、ヤギ、ウシ)の処置が特に好ましい。
【0056】
哺乳動物であり、好ましい例として言及し得る非反芻動物の草食動物は、ウマである。ウマでは、上述の組合せを、好ましくは、例えば、円虫目、または、特に回虫(鶏回虫)、例えば、馬回虫(Parascaris equorum)の制御に用いることができる。
【0057】
反芻動物の中で、制御できるのは、好ましくは、円虫目、特にヘモンカス属、トリコストロンギラス属、クーペリア属およびオステルタジア属である。
【0058】
本発明によると、ヒツジは、特に好ましく処置される。
本発明によると、ウシも特に好ましく処置される。
【0059】
投与は、予防的にも治療的にも実施できる。
活性物質を、直接または適する製剤の形態で、経腸で、非経腸で、皮膚に、鼻腔に、環境を処理することにより、または、活性物質を含有する造形品、例えば、ストリップ(strip)、タブレット(tablet)、テープ、首輪、耳のタグ、四肢のバンド、マーキング装置を利用して投与する。
【0060】
活性物質の経腸投与は、経口で、例えば、散剤、坐剤、錠剤、カプセル剤、ペースト、飲料、顆粒剤、水薬、巨丸剤、薬物添加した飼料または飲用水の形態で実施する。それは、皮膚に、例えば、浸漬、噴霧、入浴、洗浄、ポアオン(pouring-on)およびスポットオン(spotting-on)および散布の形態で適用される。それは、非経腸で、例えば、注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内)の形態で、または、インプラントにより、投与される。
【0061】
適する製剤は、以下のものである:
注射用液剤などの液剤、経口液剤、希釈後に経口投与するための濃縮物、皮膚または体腔に使用するための液剤、ポアオンおよびスポットオン製剤、ゲル剤;
経口または皮膚投与用および注射用の乳剤および懸濁剤;半固体製剤;
活性物質が軟膏基剤または水中油もしくは油中水乳剤基剤に組み込まれている製剤;
散剤、プレミックス(premixe)または濃縮物、顆粒剤、ペレット剤、錠剤、巨丸剤、カプセル剤などの固体製剤;エアロゾルおよび吸入剤、活性物質を含有する造形品。
【0062】
注射用液剤は、静脈内、筋肉内および皮下に投与する。
経口液剤は、直接用いる。濃縮物は、事前に使用濃度に希釈した後に、経口で使用する。
皮膚に使用するための液剤は、滴下し、塗布し、擦り込み、散布し、噴霧し、または、浸漬、入浴もしくは洗浄により投与する。
ゲル剤は、皮膚に投与または塗布するか、または、体腔に導入する。
ポアオンおよびスポットオン製剤は、皮膚の限定された領域に注ぐか、または散布し、活性物質は、皮膚を透過し、全身的に作用するか、または、体表に広がる。
乳剤は、経口で、皮膚に、または、注射の形態で用いることができる。乳剤は、油中水タイプまたは水中油タイプのいずれかである。
懸濁剤は、経口で、皮膚に、または、注射の形態で用いることができる。
半固体製剤は、経口または皮膚に投与できる。
【0063】
固体製剤を製造するために、活性物質を適する担体と、必要に応じて補助剤を添加して混合し、所望により成形する。
必要に応じて、本発明による製剤は、さらなる活性物質を含有し得る。
【0064】
組み合わせた使用は、駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体と環状デプシペプチドを、組み合わせた製剤に製剤化し、従って、共に投与することを意味する;しかしながら、製品は、各活性物質について別個の製剤を含むこともできる。従って、2種より多い活性物質を用いる場合、全ての活性物質を組み合わせた製剤に製剤化してもよく、全ての活性物質を別個の製剤に製剤化してもよい;実施可能なのは、また、活性物質のいくつかを一体として製剤化し、活性物質のいくつかを別個に製剤化する、混合形態である。
別個の製剤は、問題の活性物質の別個または時間差の投与を可能にする。
【0065】
製品(製剤)は、各場合で、10ppmないし90重量パーセント、好ましくは0.1ないし50重量パーセントの濃度で活性物質を含有する。
すぐに使用できる製剤は、通常、各場合で10ppmないし20重量パーセント、好ましくは0.1ないし10重量パーセントの濃度で活性物質を含有する。
投与前に希釈される製剤は、0.5ないし90重量%、好ましくは5ないし50重量パーセントの濃度で活性物質を含有する。
【0066】
本発明による製品におけるアミノフェニルアミジンのシクロデプシペプチドに対する重量比は、様々な要因によって変わるが、概して、10:90ないし50:50、好ましくは20:80ないし30:70の範囲にある。
【0067】
常套のアミノフェニルアミジンの1日の投与量は、1ないし100mg/体重kg、好ましくは2ないし60mg/体重kgである。
常套のデプシペプチドの1日の投与量は、0.1ないし100mg/体重kg、好ましくは0.5ないし50mg/体重kg、特に好ましくは1ないし50mg/体重kgである。
【実施例】
【0068】
実施例
実施例1(液体製剤)
・500mgPF1022、1000mgトリベンジミジン
・500mgPF1022、1500mgトリベンジミジン
・400mgエモデプシド、1000mgトリベンジミジン
・400mgエモデプシド、1500mgトリベンジミジン
・500mgPF1022、1000mgアミダンテル
・500mgPF1022、1500mgアミダンテル
・400mgエモデプシド、1000mgアミダンテル
・400mgエモデプシド、1500mgアミダンテル
を含む、混合比1:10のグリセロールホルマール/グリセロールポリエチレングリコールリシノレート(Cremophor(登録商標) EL)/水100ml中の懸濁剤
【0069】
実施例2(液体製剤)
・500mgPF1022、1000mgトリベンジミジン
・500mgPF1022、1500mgトリベンジミジン
・400mgエモデプシド、1000mgトリベンジミジン
・400mgエモデプシド、1500mgトリベンジミジン
・500mgPF1022、1000mgアミダンテル
・500mgPF1022、1500mgアミダンテル
・400mgエモデプシド、1000mgアミダンテル
・400mgエモデプシド、1500mgアミダンテル
を含む、混合比1:5の Cremophor(登録商標) EL/水100ml中の懸濁剤
【0070】
実施例3(固体製剤)
下記に詳述する粉末の活性物質の量を、ゼラチンカプセルに充填する:
・100mgPF1022、200mgトリベンジミジン
・100mgPF1022、300mgトリベンジミジン
・80mgエモデプシド、250mgトリベンジミジン
・100mgエモデプシド、300mgトリベンジミジン
・100mgPF1022、200mgアミダンテル
・100mgPF1022、300mgアミダンテル
・150mgエモデプシド、400mgアミダンテル
・100mgエモデプシド、300mgアミダンテル
【0071】
生物学的実施例
アミジン類(例えばアミダンテル、Bay d 9216)と環状オクタデプシペプチド類(例えばPF1022A)の組合せの相乗効果
ブラジル鉤虫(Nippostrongylus brasiliensis)を用いるインビトロ実験の試験方法
成虫のブラジル鉤虫を、雌の Wistar ラットの小腸から単離し、20μg/mlシソマイシン(sisomycin)および2μg/ml Canesten を含有する0.9%NaClに移した。虫の群(両性)を培地1.0ml中でインキュベートし、それをアセチルコリンエステラーゼ活性の測定にも使用した。インキュベーションおよび酵素アッセイは、Rapson et al. (1987) Z. Parasitenkunde 73, 190-191 の論文に記載された。化合物をDMSOに溶解し、最終濃度100、10、1、0.1、0.01、0.001および0.0001μg/mlが存在するようにインキュベーション培地に添加した。対照は、DMSOのみを含有した。インキュベーション培地中のアセチルコリンエステラーゼ活性を、上記の刊行物に従って測定した。
【0072】
0−3の尺度で効力を分類した。0=活性無し(<50%酵素阻害);1=弱い活性;2=良好な活性;3=完全な活性
【表3】

【0073】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体および環状デプシペプチドを含有する製品。
【請求項2】
アミノフェニルアミジン誘導体が、式(I)
【化1】

[式中、
は、水素またはC1−4−アルキルであり、そして、
は、水素、−COO(C1−4−アルキル)、−CO(C1−4−アルキル)、−COCH(C1−4−アルキル)、−COCHO−フェニルまたは−CO−ヘタリール{ここで、ヘタリールは、O、NおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ環内原子を有する5員または6員の芳香族性複素環を表す}であるか、または、
およびRは、一体となって、基
【化2】

を表す]
の化合物である、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
アミノフェニルアミジン誘導体が、式中、
が、水素を表し、
が、水素、−COCH(C1−4−アルコキシ)を表すか、または、Rと一体となって、基
【化3】

を表す式(I)の化合物である、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
アミノフェニルアミジン誘導体が、アミダンテル、Bay d 9216またはトリベンジミジンである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製品。
【請求項5】
アミノフェニルアミジン誘導体が、トリベンジミジンである、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の製品。
【請求項6】
環状デプシペプチドが24員のオクタシクロデプシペプチドである、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の製品。
【請求項7】
環状デプシペプチドがエモデプシドである、請求項6に記載の製品。
【請求項8】
環状デプシペプチドがPF1022である、請求項6に記載の製品。
【請求項9】
ヒトまたは動物の内寄生生物を制御するための医薬を製造するための、駆虫的に活性のあるアミノフェニルアミジン誘導体および環状オクタデプシペプチドの使用。

【公表番号】特表2011−526262(P2011−526262A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515161(P2011−515161)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004304
【国際公開番号】WO2009/156071
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】