説明

アミノ−プロパノール誘導体

【課題】本発明は、アミノ−プロパノール誘導体、その製造法、リンパ球により介在される疾患または障害の処置のためのその使用およびそれらを含む医薬組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】式I


〔式中、R、R、R、RおよびRは明細書で定義の通りである。〕の化合物、その製造法、リンパ球により介在される疾患または障害の処置のためのその使用およびそれらを含む医薬組成物を提供することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミノ−プロパノール誘導体、その製造法、その使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【発明の開示】
【0002】
より具体的に、本発明は、遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
は、所望によりOH、C1−2アルコキシまたは1個から6個のフッ素原子で置換されているC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり;
はR’またはR”であり、
ここで、R’はX、−O−X、−CO−X、−CH(OH)−X、−C(NOR)−X、−S−X、−SO−X1、−SO−Xまたは−N(C1−6アルキル)−X(ここで、Xは、1個から17個のフッ素原子で置換されており、所望により炭素鎖を1個またはそれ以上のO、C=O、CH−OHまたはC=NORでおよび/または1個の炭素−炭素二重結合または三重結合で中断されているC3−8アルキル;C1−3アルキルで置換されており、所望により炭素鎖を1個またはそれ以上のO、C=O、CH−OHまたはC=NORでおよび/または1個の炭素−炭素二重結合または三重結合で中断されているペンチル;C2−8アルキル部分が、所望により炭素鎖を1個またはそれ以上のO、C=O、CH−OHまたはC=NORでおよび/または1個の炭素−炭素二重結合または三重結合で中断されており、C3−6シクロアルキルおよび/またはC2−8アルキルが1個から17個のフッ素原子で置換されているC2−8アルキル−C3−6シクロアルキルであり;各Rは、独立してH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニルまたはベンジルである)であり;そして
”は、パラ位に結合しているX−CH−CH−Rであり、ここで、XはO;CH;またはC=Oであり;そしてRは式(b)
【化2】

(式中、RからR11の各々は、独立してH;ハロゲン;CN;CF;OCF;OCHF;C1−6アルキル;C1−6アルコキシ;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルコキシ;アシル;または所望により置換されているフェニルであるか;またはRとR10が一緒に3,4−[−O(CH)O−]を形成し、ここで、rは1または2であるか;または(RとR)もしくは(RとR)が、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合環式またはヘテロ環式環を形成し、残りのRからR11もしくはRおよびR10およびR11は、各々上記で定義の通りである)
の残基であるか;またはRは、上記RからR11に関して定義の1個から5個の置換基で所望により置換されているα−またはβ−ナフチルであり;
はZ−Xであり、ここで、ZはCH、CHF、CFまたはCHMeであり、XはOHまたは式(a)
【化3】

(式中、Zは直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、R12およびR13の各々は独立してH、または所望により1個、2個または3個のハロゲン原子で置換されているC1−4アルキルである)
の残基であり;そして
およびRの各々はH、所望により1個、2個または3個のハロゲン原子で置換されているC1−4アルキル、またはアシルである。〕
の化合物を提供する。
【0003】
アルキルまたはアルキル部分は、直鎖または分枝鎖、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチルであり得る。アルケニルは、例えばビニルであり得る。アルキニルは、例えばプロピン−2−イルであり得る。シクロアルキルは、例えばC3−6シクロアルキルであり得る。
【0004】
アシルは、残基W−CO(式中、WはCアルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはフェニルC1−4アルキルである)であり得る。R、R、R、R10、またはR11としてのフェニルが置換されている場合、それは、上記のRからR11に関して定義のフェニル以外の1個から5個の置換基で置換され得る。
【0005】
(RとR)または(RとR)が、それらが結合している炭素原子と共に形成する飽和または不飽和ヘテロ環式環の例は、例えばN、OまたはSから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む環、例えばチエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、デヒドロジオキソランまたはデヒドロジオキサンを含む。(RとR)または(RとR)が、それらが結合している炭素原子と共に形成する環式環の例は、例えばシクロペンテン、シクロヘキセンを含む。
【0006】
ハロゲンはF、ClまたはBr、好ましくはFまたはClであり得る。
好ましくは、R’のアルキル基または部分は、少なくとも2個のフッ素原子、より好ましくは少なくとも3個の、特に3個から8個のフッ素炭素原子を含む。フッ素原子は、好ましくはR中のアルキル基またはアルキル部分の末端炭素原子、すなわちフェニル基から離れた末端に存在する1個、2個または3個の水素原子を置き換える。末端炭素原子は、最後のおよび/または最後から2番目の、および/または最後から3番目のなど、最後の8個の炭素原子までを意味する。
【0007】
’のシクロアルキル部分がFで置換されている場合、シクロアルキル部分に存在する1個からすべての水素原子が、Fで置換され得る。
’は好ましくはパラ位に存在する。
【0008】
好ましくは、R’はX、−O−X、−CO−X、−CH(OH)−Xまたは−C(NOR)−X、より好ましくはX、−COXまたは−O−Xである。
【0009】
’がシクロアルキル部分を含まない場合、それは好ましくは式(c)
【化4】

〔式中、
Yは直接結合、O、CO、CHOHまたはC=NORであり、ここで、Rは上記で定義の通りであり;
nは0、1,2、3、4または5であり;
mは0、1、2、3、4、5または6であるが、但し、n+mの合計が3−8であり、
pおよびqの各々は独立して0、1、2または3であり、
鎖(CH)−(CF)−CHは、所望により1個の炭素−炭素二重結合または三重結合、1個のCOまたは1個または2個の酸素原子で中断されている。〕
の残基である。
【0010】
より好ましくは、R’は、以下の意味の一つを有する:
−Y−C2n+1(ここで、n=3−8であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−CH2n+1(ここで、n=1−7であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−CHCH2n+1(ここで、n=1−6であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−CHCHCH2n+1(ここで、n=1−5であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−(CH)F(ここで、n=1−7であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−(CH)CF(ここで、n=1−6であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−(CH)CFCH(ここで、n=1−4であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);
−Y−(CH)(CF)CHF(ここで、n=0−3、m=1−6、n+m=3−7であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである);または
−Y−(CH)C(O)CF(ここで、n=1−5であり、そしてYはCH、OまたはC=Oである)。
【0011】
’のさらに好ましい意味は、例えば
【化5】

(式中、nおよびmは上記で定義の意味の一つであり、n+mの合計は3−8であり、そしてアスタリスク*はフェニル環への直接、またはO、CO、CHOH、C(NOR)、S、SO、SOもしくはN(C1−6アルキル)を介した結合を意味する)
である。好ましくは、R’のフェニル環への結合は、Oを介する。
【0012】
’の好ましい意味のさらなる例は、例えば
【化6】

(式中、アスタリスク*は上記で定義の通りである)
である。
【0013】
もっとも好ましくは、R’は−O(CH)CFCF、−O(CH)CFCF、−O(CH)CFCF、−(CH)、(CH)、−(CH)、−C(O)(CH)CFCF、−C(O)(CH)CFCFまたは−C(O)(CH)CFCFであり、好ましくはパラ位である。
【0014】
好ましくは、R”は、パラ位に結合したX−CH−CH−Rであり、ここで、RはRからR11に関して定義の1個から5個の置換基で所望により置換されているβ−ナフチルであるか、Rは式(b)の残基であり、式中、
−RからR11の各々は独立してCl、Br、F、CF、OCF、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは所望により置換されているフェニル、および/または
−RからR11の1個または2個の残基はHではなく、RからR11の残りの残基がHである。
【0015】
好ましくは、ZはOである。
好ましくは、ZはCHである。
好ましくは、XはOHまたはOPOである。
好ましくは、Rはメチル;エチルまたはOHで置換されているC1−5アルキルである。
【0016】
式Iの化合物は、遊離形または塩形で、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩または硫酸塩のような無機酸との、例えば付加塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩またはベンゼンスルホン酸塩のような有機酸との塩で存在し得る;RまたはRがHである場合、リン酸基がまた塩、例えばアンモニウム塩またはナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛もしくはマグネシウムのような金属との塩、またはそれらの混合物の形で存在し得る。水和物または溶媒和物形の式Iの化合物およびその塩も本発明の一部である。
【0017】
式Iの化合物が分子中に不斉中心を有する場合、種々の光学異性体が得られる。本発明は、またエナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーおよびこれらの混合物を包含する。例えば、R、RおよびNRを持つ中心炭素原子は、RまたはS立体配置を取り得る。以下の3次元立体配置を有する化合物が、一般に好ましい:
【化7】

【0018】
さらに、式Iの化合物が幾何異性体を含む場合、本発明は、cis−化合物、trans−化合物およびこれらの混合物を包含する。類似の考えが、上記のような不斉炭素原子または不飽和結合を有する出発物質、例えば下記の式II、IIIまたはIVの化合物にも適用される。
【0019】
本発明はまた式Iの化合物の製造法も含み、該方法は
a)RがZ−Xであり、XがOHである式Iの化合物に関して、式II
【化8】

〔式中、R、RおよびRは上記で定義の通りであり、R’はZ−X(ここで、XはOHである)であり、そしてR’はアミノ保護基である。〕
の化合物に存在する保護基を除去するか、または
b)RがZ−Xであり、Xが式(a)の残基である式Iの化合物に関して、式III
【化9】

〔式中、R、R、R’およびRは上記で定義の通りであり、そしてR”はZ−X{ここで、Zは上記で定義の通りであり、そしてXは式(a’)
【化10】

(式中、Zは上記で定義の通りであり、R’12またはR’13の各々は加水分解可能基または水素化分解基であるか、R’12およびR’13は、共に、所望により環(例えばベンゼン環)に縮合した2価架橋残基を形成する)
の残基である}
である。〕
の化合物に存在する保護基を除去し、
必要な場合、遊離形で得た式Iの化合物を塩に変換するか、またはその逆を行うことを含む。
【0020】
方法のステップa)は、当分野で既知の方法にしたがって行い得る。アミノ保護基の除去は、簡便には当分野で既知の方法にしたがい、例えば酸性媒体中の、例えば塩酸を使用した、例えば加水分解により行い得る。アミノ基の保護基の例は、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis” T.W. Greene, J.Wiley & Sons NY, 2nd ed., chapter 7, 1991およびその中の引用文献に記載され、例えばベンジル、p−メトキシベンジル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、トリアルキルシリル、アシル、tert.−ブトキシ−カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、トリフルオロアセチルなどである。
【0021】
式(a’)の残基中、R’およびR’の各々は、例えばフェニルまたはベンジルであり得るか、または一緒に1,5−ジヒドロ−2,4,3−ベンゾジオキサホスフェピン(phosphepin)のような環系を形成し得る。
【0022】
方法のステップ(b)は、当分野で既知の方法にしたがい、例えばR’およびR’が各々加水分解可能基である場合、塩基性媒体、例えば水酸化バリウムのような水酸化物を使用した、例えば加水分解により行い得る。また、加水分解後の、例えば触媒、例えばPd/Cの存在下、例えば酸性媒体、例えばHCl中の、水素化分解により行い得、例えばR12およびR13の両方がtert−ブチルである場合、または、例えばHClを使用した、酸処理により行い得る。出発物質として使用する式IIおよびIIIの化合物、およびこれらの塩は新規であり、本発明の一部を形成する。
【0023】
本発明はまた、式中、RがR’(ここで、R’は−O−Xである)である、または、RがR”(ここで、R”は−O−CH−CH−Rである)である式IIの化合物の製造法を含み、該方法は、式IV
【化11】

〔式中、R、R’、R’およびRは上記で定義の通りである。〕
の化合物をアルキル化し、所望の残基Xまたは−CH−CH−Rを挿入することを含む。
【0024】
式IVの化合物の化合物は、当分野で既知の方法で、例えばアルキル化剤X−XまたはR−CH−CH−X(ここで、Rは上記で定義の通りであり、Xはメシレート、トシレート、トリフレート、ノシレートまたはハロゲン、例えば塩素、臭素またはヨウ素である)との反応による、例えば求核置換により、行い得る。アルキル化は、また、例えば式IVの化合物を樹脂に結合させることによる、溶液中または固相支持体合成における光延プロトコール(例えばHughes, Organic Preparations and Procedures International 28, 127-64, 1996またはD.L. Hughes, Org. React. 42, 335, 1992に記載のような)にしたがい行い得る。あるいは、樹脂、例えばポリスチレンに結合したトリフェニルホスフィンまたは例えばジエチルアゾカルボキシレートを使用できる。
【0025】
式中、R’12およびR’13が環系を形成する式IIIの化合は、下記のように製造し得る:
【化12】


〔式中、X、R、R’およびRは上記で定義の通りである。〕。
【0026】
出発物質を特に記載しない限り、その化合物は既知であるか、当分野で既知の方法に類似して、または後記実施例に記載のように製造し得る。
以下の実施例は、本発明を説明する。融点は未補正である。
【0027】
【表1】

【0028】
スキーム1:アミノプロパノールの製造
【化13】

【0029】
スキーム2:アミノプロパノールのリン酸エステルの製造
【化14】

【0030】
スキーム3:アミノプロパン−1,3−ジオールおよび対応するリン酸エステルの製造法
【化15】

【実施例】
【0031】
実施例1:(R)−2−アミノ−2−メチル−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブタン−1−オール塩酸塩
【化16】

tert−ブチル{(R)−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート(25mg、0.055mmol)に、4M HClの乾燥ジオキサン(1ml)溶液を添加する。無色透明な溶液を2時間、防湿しながら撹拌する。次いで、溶液を蒸発乾固し、部分的に結晶化した残渣を乾燥エーテル(5ml)に取り込む。10分の超音波処理により、無色の結晶が沈殿する。生成物を濾取し、冷エーテル(3×1ml)で洗浄し、真空で乾燥させて非吸湿性無色微結晶性粉末の形で、表題化合物を得る:融点186−189℃。MS(ESI+): 356(MH+), 1H-NMR(400 MHz, CD3OD): δ 1.35(s, 3H, 2-Me), 1.91(cm, 2H, 3-CH2), 2.06(cm, 2H, 2’-CH2), 2.35(cm, 2H, 3’-CH2), 2.63(cm, 2H, 4-ArCH2), 3.55(d, 1H, 2J=12.1, 1-CHα), 3.63(d, 1H,, 2J=11.9, 1-CHβ), 4.06(t, 3H, 3J=7.1, 1’-OCH2), 6.88(‘d’, 2H, J=11.0, ArH), 7.18(‘d’, J=10.8 Hz , ArH)。
【0032】
必要な出発物質は、以下の方法で製造し得る:
a)tert−ブチル{(R)−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート
一般法・方法A1(ポリスチレン−トリフェニルホスフィンを使用した光延反応;スキーム1)
tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブチ−2−イル]−カルバメート(100mg、0.34mmol)および4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オール(50μl、0.37mmol、1.1当量)の乾燥THF(5ml)溶液に、トリフェニルホスフィン−ポリスチレン1.10mmol.g−1(370mg、0.41mmol、1.2当量)を添加する。懸濁液を15分震盪し、樹脂を膨張させる。次いで、ジエチルアゾジカルボキシレート(67μl、0.41mmol、1.2当量)を一度に注入する。得られた懸濁液を、アルゴン下、RTで一晩浸透する。次いで、ポリマーを濾取し、THF(3×2ml)で洗浄する。合わせた濾液の蒸発により、黄色半結晶残渣を得る。フラッシュクロマトグラフィー(FlashMaster II、MTBE/ヘキサン勾配:0%MTBE→30%MTBE、30分以内;30%MTBE→60%MTBE、10分以内)での精製により、無色結晶を得る:融点90−92℃、MS(ESI+): 456(MH+), 400(MH+ - tBu), 356(MH+ - Boc), 1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 1.16(s, 3H, 2-Me), 1.37(s, 9H, tBu), 1.79(cm, 1H, 3-CHα), 1.91-2.04(m, 3H, 3-CHα + 2’-CH2), 2.12-2.28(m, 2H, 3’-CH2), 2.51(cm, 2H, 4-CH2Ar), 3.58(d, 1H, 2J=10.9, 1-CHα), 3.63(d, 1H,, 2J=11.2, 1-CHβ), 3.94(t, 3H, 3J=7.3, 1’-ArOCH2), 6.75(‘d’, 2H, J=10.2, ArH), 7.05(‘d’, J=10.5, ArH)。
【0033】
一般法・方法A2(溶液中の光延反応;スキーム1)
tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブチ−2−イル]−カルバメート(1.48g、5mmol)、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オール(0.74ml、5.5mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.39g、5.25mmol)の無水THF(50ml)溶液を氷浴に入れる。10分撹拌後、ジエチルジアゾジカルボキシレート(0.87ml、5.25mmol)を、ゆっくり15分にわたり注入する。添加の終了後、氷浴を除去し、ここで薄黄色反応混合物をRTでアルゴン下一晩撹拌する。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣をMTBE/ヘキサンから再結晶して、反応で形成したほとんどのジエチルヒドラジノジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンオキシドを除去する。母液を蒸発乾固する。フラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:MTBE/ヘキサン 1:2)による精製により、表題化合物を無色結晶として得る。
【0034】
b)tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブチ−2−イル]−カルバメート
表題化合物を、下記のスキームにしたがい製造できる。出発物質として、L−バリンとアラニンAまたはD−バリンとグリシンBのいずれかから得たSchoellkopf試薬を使用できる。
【化17】

【0035】
実施例2:(R)−2−アミノ−2−メチル−4−[4−(5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブタン−1−オール塩酸塩
【化18】

tert−ブチル{(R)−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−[4−(5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イルカルバメートの脱保護を実施例1に記載のように行い、非吸湿性オフホワイト色粉末として表題化合物を得る:融点143−146℃、MS(ESI+): 284(MH+), 1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6): δ 1.19(s, 3H, 2-Me), 1.48(cm, 2H, 3’-CH2), 1.62-1.83(m, 6H, 2’-, 3-, 4’-CH2), 2.52(cm, 2H, 4-CH2), 3.39(dd, 1H, 2J=10.1, 3J=5.3 1-CHα), 3.47(dd, 1H, 2J=10.1, 3J=5.3, 1-CHβ), 3.94(t, 3H(t, 3H, 3J=6.6, 1’-OCH2), 4.45(dt, 2H, 2JH,F=47.4, 3JH,H=7.1, 5’-CH2F, 5.51(t, 1H, 1-OH), 6.85(‘d’, 2H, J=8.9, ArH), 7.10(‘d’, J=9.5 Hz , ArH), 7.78(br s, 3H, 2-NH3+)。
【0036】
必要な出発物質は、以下の方法で製造し得る:
a)tert−ブチル{(R)−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−[5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート
一般法・方法B1(アルキル化反応;スキーム1)
tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブチ−2−イル]−カルバメート(200mg、0.68mmol、実施例1b)および1−ブロモ−5−フルオロペンタン(172mg、1.02mmol、1.5当量)の無水DMF(2.5ml)溶液に、無水炭酸セシウム(331mg、1.02mmol、1.5当量)を添加する。得られた懸濁液を一晩、60℃で防湿しながら撹拌する。RTに冷却した後、固体を濾取し、DMF(2×1ml)で濯ぐ。合わせた濾液を高真空で蒸発させ、濃オレンジ色シロップを得る。フラッシュクロマトグラフィー(FlashMaster II、実施例1aに記載のようなMTBE/ヘキサン勾配)での精製により、無色結晶として得る:融点91−93℃、ESI+ MS: m/z=406(MNa+), 384(MH+), 328(MH+ - tBu), 1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 1.23(s, 3H, 2-Me), 1.46(s, 9H, tBu), 1.60(cm, 2H, 3’-CH2), 1.74(cm, 1H, 3-CHα), 1.77-1.90(m, 4H, 2’- & 4’-CH2), 2.03(cm, 1H, 3-CHβ), 2.48-2.69(m, 2H, 4-CH2), 3.64(br d, 1H, 2J=11.3, 1-CHα), 3.72(br d, 1H, 2J=11.9, 1-CHβ), 3.96(t, 2H, J=7.1, 1’-OCH2), 4.03(br, 1H, OH), 4.48(dt, 2H, 2JH,F=47.8, 3JH,H=7.2, 5’-CH2F), 4.62(br s, 1H, NH), 6.80(‘d’, 2H, J=10.1, ArH), 7.08(‘d’, J=10.3, ArH)。
【0037】
実施例3から10:以下の実施例は、実施例2に記載のように製造する(方法B1)
【表2】

【0038】
実施例11から25:以下の実施例は、実施例1に記載のように製造する(方法A1)。
【表3】

【表4】

【0039】
実施例26:(R)−2−アミノ−4−{4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−2−メチル−ブタン−1−オール
【化19】

(R)−3−{4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.01mol)をジオキサン(25ml)に溶解する。5N HCl(25ml)の添加後、混合物をRTに6時間放置する。溶媒を注意深く凍結乾燥により除去する。MS(ESI+): 330(MH+)。
【0040】
必要な出発物質は、以下の方法で製造し得る:
(R)−3−{4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−1−ヒドロキシメチル−1−メチル−プロピル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、一般法・方法B2(アルキル化反応;スキーム1)
tert−ブチル[(R)−1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−ブチ−2−イル]−カルバメート(0.1mol)およびメタンスルホン酸4−メトキシ−フェネチルエステル(0.1mol)のエタノール(500ml)溶液に、炭酸カリウム(0.3mol)を添加する。懸濁液を70℃で16時間撹拌し、RTに冷却する。濾過後、溶媒を蒸発し、粗残渣をシリカゲルおよびCHCl/MeOH=20/1を使用したクロマトグラフィーで精製し、白色結晶性固体を得る。
【0041】
実施例27および28:以下の実施例は、実施例20に記載のように製造する(方法B2)。
【表5】

【0042】
実施例29:1−[4−((R)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−3−メチル−ブチル)−フェニル]−6,6,6−トリフルオロ−ヘキサン−1−オン
【化20】

対応するN−{(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−メチル−3−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキサノイル)−フェニル]−プロピル}−アセトアミドの脱保護を、2段階で、最初に出発物質(0.1mmol)とテトラブチルアンモニウムフルオリド(0.2mmol)の溶液を、3時間、RTでTHF中撹拌する。水でクエンチし、続いてAcOEtで抽出し、有機相を乾燥(MgSO)し、溶媒を蒸発する。粗生成物を次いでMeOH、水およびTHFに溶解し、LiOH(0.45mmol)で50℃で一晩処理する。AcOEtで抽出し、乾燥(MgSO)し、溶媒を蒸発し、続いて生成物をMeOHおよびジエチルエーテルから結晶化する。MS(ESI+): 332.4(MH+)。
【0043】
必要な出発物質は、以下の方法で製造し得る:
a)N−{(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−メチル−3−[4−(6,6,6−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−ヘキシル)−フェニル]−プロピル}−アセトアミド
N−[(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−3−(4−ホルミル−フェニル)−1−メチル−プロピル]−アセトアミド(0.1mol)の乾燥THF溶液に、5−トリフルオロペンチルマグネシウムブロミド(対応するブロミド(0.45mol)とマグネシウム削りくずから得る)のTHF溶液を添加する。RTで2時間撹拌後、反応混合物を水でクエンチし、AcOEt(3×)で抽出する。有機相を1N HCl、飽和水性NaHCOおよび水で洗浄する。乾燥(MgSO)および溶媒の蒸発後、表題化合物を、シリカゲルおよびAcOEt/ヘキサン=3/7を使用したクロマトグラフィーにより精製する。
【0044】
b)N−{(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−メチル−3−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキサノイル)−フェニル]プロピル}−アセトアミド
塩化オキザリル(0.15mmol)のCHCl溶液に、−78℃で最初にDMSO(0.2mmol)、次いでN−{(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−メチル−3−[4−(6,6,6−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−ヘキシル)−フェニル]−プロピル}−アセトアミド(0.1mmol)のCHCl溶液を添加する。1時間、−78℃で撹拌後、トリエチルアミン(0.7mmol)を添加し、混合物をRTに暖める。水でクエンチし、続いてAcOEtで抽出する。乾燥(MgSO)後、溶媒を蒸発する。
【0045】
実施例30から32:以下の実施例は、実施例29に記載のように脱保護する。必要な出発物質は、実施例29にしたがい、適当なグリニャール試薬を使用して製造する。
【表6】

【0046】
実施例33:(R)−2−アミノ−2−メチル−4−[4−(7,7,7−トリフルオロ−ヘプチル)−フェニル]−ブタン−1−オール
【化21】

対応するN−{(R)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−1−メチル−3−[4−(7,7,7−トリフルオロ−ヘプチル)−フェニル]−プロピル}−アセトアミドの脱保護を、実施例29に記載のように行う。MS(ESI+): 332.4(MH+)。
【0047】
必要な出発物質を、実施例29にしたがい、ステップa)において適当なグリニャール試薬を使用して製造する。ステップb)の代わりに、対応するアルコールを無水酢酸のピリジン溶液でアセチル化し、続いてEtOH中、1バールの水素および10%Pd炭素を使用して水素化分解する。
【0048】
実施例34:モノ−(R)−2−アミノ−2−メチル−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イルリン酸エステル
【化22】

一般法・方法C1(スキーム2)
tert−ブチル{(R)−2−メチル−2−(3−オキソ−1,5−ジヒドロ−3λ−ベンゾ[e][1,3,2]ジオキサホスフェピン−3−イルオキシ)−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート(32mg、0.05mmol)のメタノール溶液に、Pd/C 10%(50mg)を添加する。懸濁液を窒素でパージし、次いで大気圧中で、穏やかに撹拌しながら2時間水素化する。その後、触媒を濾取し、濾液を蒸発乾固し、無色樹脂を得る。残渣をジオキサン(0.75ml)に再溶解し、4M HClのジオキサン(0.25ml)溶液を添加する。2時間撹拌後、わずかに濁った溶液を蒸発させる。無色半固体残渣を乾燥エーテル(5ml)と共に超音波処理し、無色沈殿を得る。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、無色粉末を得る:融点229−231℃、MS(ESI+): 434(M-H-), 1H-NMR(400 MHz, CD3OD): δ 1.37(s, 3H, 2-Me), 1.88(cm, 1H, 3-CHα), 1.94-2.09(m, 3H, 3-CHα + 2’-CH2), 2.32(cm, 2H, 3’-CH2), 2.64(cm, 2H, 4-CH2Ar), 3.90(dd, 1H, 2J=10.6, 3JH,P=4.5, 1-CHα), 4.00(dd, 1H, 1-CHβ), 4.03(t, 3H, 3J=6.6 Hz, 1’-ArOCH2), 6.88(‘d’, 2H, J=10.1, ArH), 7.16(‘d’, J=8.1, ArH)。
【0049】
必要な出発物質は、下記の方法にしたがい製造できる:
a)tert−ブチル{(R)−2−メチル−2−(3−オキソ−1,5−ジヒドロ−3λ−ベンゾ[e][1,3,2]ジオキサホスフェピン−3−イルオキシ)−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート
tert−ブチル{(R)−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−[4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート(40mg、0.088mmol、実施例1a)およびテトラゾール(18mg、0.26mmol、3当量、トルエンから再結晶)の乾燥THF(1ml)溶液に、3−ジエチルアミノ−1,5−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,3,2]ジオキサホスフェピン(32μl、0.13mmol、1.5当量)を添加する。反応混合物をアルゴン下、RTで3時間撹拌する。次いで、H(30%、90μl、0.88、10当量)を0℃で、激しく撹拌しながら注入する。反応混合物をさらに30分撹拌し、続いて飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(1ml)を添加する。有機層を分離し、水性相をエーテル(3×1ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(MTBE/ヘキサン 1:1)で精製し、無色結晶を得る:MS(ESI+): 655(MNH4+), 638(MH+), 538(MH+-Boc). 1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 1.36(s, 3H, 2-Me), 1.44(s, 9H, tBu), 1.80(cm, 1H, 3-CHα), 2.02-2.20(m, 3H, 3-CHα + 2’-CH2), 2.27(cm, 2H, 3’-CH2), 2.59(‘t’, 2H, J=8.6, 4-CH2Ar), 4.02(t, 3H, 3J=5.9, 1’-ArOCH2), 4.17(dd, 1H, 2J=9.9, 3JH,P=5.4, 1-CHα), 4.35(dd, 1H, 1-CHβ), 5.17(dd, 2H, ArCHαO, 2J=13.6, 3JH,P=15.3), 5.30(ddd, 2H, ArCHβO, 2J=13.4, 3JH,P=16.3, J=4.4), 6.82(‘d’, 2H, J=8.9, ArH), 7.16(‘d’, J=8.7, ArH), 7.29-7.35(m, 2H, ArH), 7.37-7.42(m, 2H, ArH)。
【0050】
実施例35:モノ−(R)−2−アミノ−2−メチル−4−[4−(5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イルリン酸エステル
【化23】

一般法・方法C2(スキーム2)
tert.−ブチル{(R)−1−(ジ−tert.−ブトキシ−ホスホリルオキシメチル)−3−[4−(5−フルオロペンチル−オキシ)−フェニル]−1−メチル−プロピル}−カルバメート(90mg、0.16mmol)のジオキサン(0.75ml)溶液に、4M HClのジオキサン(0.25ml)溶液を添加する。2時間撹拌後、濁った溶液を蒸発する。無色の蝋状残渣を乾燥エーテル(5ml)と超音波処理し、ベージュ色沈殿を得る。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空乾燥して黄褐色粉末を得る:融点237−241℃、MS(ESI+): 727(M2H+), 364(MH+), 1H-NMR(400 MHz, CD3OD): δ 1.37(s, 3H, 2-Me), 1.60(cm, 2H, 3’-CH2), 1.69-1.93(m, 5H, 3-CHα & 2’-CH2 & 4’-CH2), 2.01(cm, 2H, 3-CHβ), 2.55-2.75(m, 2H, 4-CH2Ar), 3.86(dd, 1H, 2J=10.3, 3JH,P=4.6, 1-CHα), 3.97(dd, 1H, 1-CHβ), 3.99(t, 3H, 3J=6.8 Hz, 1’-ArOCH2), 4.46(dt, 2H, 2JH,F=46.2, 3JH,H=6.9, 5’-CH2F), 6.84(‘d’, 2H, J=10.4, ArH), 7.16(‘d’, J=8.5, ArH)。
【0051】
必要な出発物質は、下記の方法にしたがい製造できる:
a)tert.−ブチル{(R)−1−(ジ−tert.−ブトキシ−ホスホリルオキシメチル)−3−[4−(5−フルオロペンチル−オキシ)−フェニル]−1−メチル−プロピル}−カルバメート
tert−ブチル{(R)−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−[4−(5−フルオロ−ペンチルオキシ)−フェニル]−ブチ−2−イル}−カルバメート(80mg、0.21mmol、実施例2a)およびテトラゾール(88mg、1.26mmol、6当量、トルエンから再結晶)の乾燥THF(2ml)溶液に、ジ−tert.−ブチルジエチルホスホロアミデート(174μl、0.63mmol、3当量)を添加する。反応混合物をアルゴン下、RTで2時間撹拌する。トリエチルアミン(320ml、2.3mmol、11当量)の添加後、過酸化水素(30%、213μl、2.1mmol、10当量)を0℃で激しく撹拌しながら注入する。反応混合物をさらに30分撹拌し、続いて飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(1ml)を添加する。有機層を分離し、水性相をエーテル(3×1ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(MTBE/Hx 1:1)で精製し、無色結晶を得る:MS(ESI+): 598(MNa+), 593(MNH4+), 576(MH+), 1H-NMR(400 MHz, CDCl3): δ 1.37(s, 3H, 2-Me), 1.46(s, 9H, Boc), 1.52(s, 18H, tBuO), 1.62(cm, 2H, 3’-CH2), 1.70-1.98(m, 5H, 3-CHα & 2’-CH2 & 4’-CH2), 2.08(cm, 1H, 3-CHβ), 2.48(cm, 2H, 4-CH2Ar), 3.88(dd, 1H, 2J=10.1, 3JH,P=5.5, 1-CHα), 3.96(t, 3H, 3J=6.5, 1’-ArOCH2), 4.07(dd, 1H, 1-CHβ), 4.44(dt, 2H, 2JH,F=44.2, 3JH,H=6.7, 5’-CH2F), 6.82(‘d’, 2H, J=9.1, ArH), 7.10(‘d’, J=8.9, ArH)。
【0052】
実施例36から44:以下の実施例は、方法C2に記載のように製造する。
【表7】

【0053】
実施例45から51:以下の実施例は、方法C1に記載のように製造する。
【表8】

*=無色粉末
【0054】
実施例52:2−アミノ−2−{2−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオール
【化24】

一般法・方法F(スキーム3)
2−メチル−4−{2−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(200mg、0.57mmol)のエタノール(5ml)溶液に、濃塩酸(5ml)を添加する。反応混合物を85℃で4時間撹拌し、次いで濃縮して乾燥させる。残渣をAcOEtに再溶解し、ヘキサンで沈殿させる。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空下乾燥して、2−アミノ−2−{2−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−プロパン−1,3−ジオールの塩酸塩を白色粉末として得る。MS(ESI+): 322.2(MH+)。
【0055】
必要な出発物質は、以下の方法で製造し得る:
a)2−メチル−4−{2−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(一般法・方法D、スキーム3)
4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(500mg、2.12mmol)の乾燥DMF(8ml)溶液に、不活性雰囲気下CsCO(901mg、2.76mmol、1.3当量)および4−ブロモ−1,1,1−トリフルオロ−ブタン(487.8mg、2.55mmol、1.2当量)を添加する。反応混合物を、不活性雰囲気下、85℃で一晩撹拌する。NaHCOの飽和溶液(20ml)およびAcOEt(40ml)を次いで添加する。有機層を分離し、水性相をAcOEt(3×40ml)で抽出する。合わせた有機層を塩水および1M HClで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。フラッシュクロマトグラフィー(cyヘキサン/AcOEt(9/1)から(1/1)および(0/1))の精製により、2−メチル−4−{2−[4−(4,4,4−トリフルオロ−ブトキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノールを無色油状物として得る。
【0056】
b)4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール
表題化合物を下記のスキームにしたがい製造できる。
【化25】

【0057】
4−(2−ヒドロキシ−エチル)−フェノール(50g、0.36mol)のエタノール(400ml)溶液に、炭酸カリウム(75g、0.54mol、1.5当量)および臭化ベンジル(47.2ml、0.39mol、1.1当量)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を次いでセライトを通して濾取し、真空下濃縮する。2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エタノールを、ジエチルエーテルでの結晶化後に単離する。
【0058】
2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エタノール(78.72g、0.34mol)の塩化メチレン(400ml)溶液に、トリエチルアミン(67.3ml、0.44mol、1.4当量)を添加し、次いで、0℃で塩化メシル(34.8ml、0.44mol、1.3当量)を添加する。反応混合物を0℃で30分撹拌し、室温に暖める。反応混合物を塩化メチレン(2×300ml)で抽出し、合わせた有機層を次いで塩水(2×300ml)で洗浄し、真空下濃縮する。AcOEt(600ml)中の粗生成物の溶液に、ヨウ化ナトリウム(67.2g、0.44mol、1.3当量)を添加し、反応混合物を還流した6時間撹拌する。濾過後、有機層を塩水(3×400ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下濃縮する。1−ベンジルオキシ−4−(2−ヨード−エチル)−ベンゼンを、ジエチルエーテルでの結晶化後単離する。
【0059】
アセトアミドマロネート(59.4g、0.27mol、2当量)の乾燥ジメチルホルムアミド(400ml)溶液に、0℃で不活性雰囲気中、水素化ナトリウム(油中60%)(9.94g、0.49mol、1.8当量)を添加し、反応混合物を3時間0℃で撹拌する。1−ベンジルオキシ−4−(2−ヨード−エチル)−ベンゼン(46.8g、0.13mol、1当量)の乾燥DMF(250ml)溶液を、次いで0℃でゆっくり添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を数滴のメタノールでクエンチし、真空下ほとんど乾燥するまで濃縮し、次いでAcOEtで抽出し、連続して1N HCl(2×500ml)、NaHCOの飽和溶液(2×500ml)および塩水(2×500ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下濃縮する。2−アセチルアミノ−2−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エチル]−マロン酸ジエチルエステルを、ジエチルエーテルを使用した複数回の結晶化後単離する。
【0060】
2−アセチルアミノ−2−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エチル]−マロン酸ジエチルエステル(44.1g、0.1mol)のエタノール/水(2/1)(285ml/285ml)溶液に、CaCl(28.5g、0.26mol、2.5当量)およびNaBH(19.4g、0.52mol、5.0当量)を少しずつ添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌する。0℃で、反応混合物をメタノール(10ml)の滴下によりクエンチし、真空下ほとんど乾燥するまで濃縮する。粗混合物をAcOEt(4×500ml)で抽出し、連続的に1N HCl(2×300ml)、NaHCOの飽和溶液(2×300ml)および塩水(2×300ml)で洗浄する。合わせた有機層を次いでNaSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮する。N−[3−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−1,1−ビス−ヒドロキシメチル−プロピル]−アセトアミドが、さらに精製することなく得られる。
【0061】
粗N−[3−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−1,1−ビス−ヒドロキシメチル−プロピル]−アセトアミドの、テトラヒドロフラン、メタノール、水(1/2/2)(450ml/900ml/900ml)混合物中の溶液に、室温で水酸化リチウム(32.7g、1.36mol、8.0当量)を添加する。反応混合物を55℃で5時間撹拌し、次いでAcOEt(500ml)で抽出し、塩水(2×300ml)で洗浄し、合わせた有機層を次いでNaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮する。2−アミノ−2−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エチル]−プロパン−1,3−ジオールを、AcOEtを使用した結晶化後単離する。
【0062】
2−アミノ−2−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エチル]−プロパン−1,3−ジオール(31.1g、0.10mol)のアセトニトリル(2.38l)溶液に、トリエチルオルト酢酸(17.1ml、0.12mol、1.2当量)および酢酸(5.48ml、0.11mol、1.1当量)を添加し、反応混合物を次いで80℃で5時間撹拌する。反応混合物を、次いで、真空下濃縮し、{4−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エチル]−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル}−メタノールをAcOEtでの結晶化後単離する。
【0063】
{4−[2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−エチル]−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル}−メタノール(26.1g、0.08mol)のメタノール(800ml)溶液に、パラジウム炭素(2.6g、10%wt)を添加し、反応混合物を水素雰囲気下、室温で5時間撹拌する。反応混合物を次いでセライトを通して濾過し、真空下濃縮する。4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノールを、AcOEtおよびヘキサンでの結晶化後単離する。
【0064】
実施例53から59:以下の実施例は、方法DおよびFに記載のように製造する。
【表9】

【0065】
実施例60から62:
以下の実施例は、アルキル化剤としてブロミドの代わりにメシレートを用いて方法Dに記載のように、かつ方法Fに記載のように製造する。
【表10】

【0066】
実施例63:2−アミノ−2−(2−{4−[2−(4−メトキシ−3−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−エチル)−プロパン−1,3−ジオール
【化26】

一般法・方法E(スキーム3)
4−[2−(4−ヒドロキシメチル−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−エチル]−フェノール(300mg、1.27mmol)の乾燥THF(6ml)溶液に、不活性雰囲気下、ポリスチレン支持されたトリフェニルホスフィン(挿入3mmol.g−1、1.27g、3.81mmol、3当量)、2−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エタノール(647.7mg、3.81mmol、3当量)およびDBAD(877.3mg、3.81mmol、3当量)を添加する。反応混合物を不活性雰囲気下、室温で一晩撹拌した。ポリスチレン支持されたトリフェニルホスフィンを次いでフリットを通して濾過し、酢酸エチルおよびメタノールで洗浄した。次いで、反応混合物を濃縮して乾燥させ、続いて4M HClのジオキサン(3ml)溶液を添加し、反応物を室温で3時間撹拌した。反応混合物をNaHCOの飽和溶液(10ml)および酢酸エチル(40ml)の添加によりクエンチした。有機層を分離し、水性相を酢酸エチル(3×40ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。Flashmaster(cヘキサン/酢酸エチル(1/9)、酢酸エチルおよび酢酸エチル/メタノール(98/2))を使用した精製により、[4−(2−{4−[2−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−フェニル}−エチル)−2−メチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル]−メタノールを無色油状物として得る。MS(ESI+): 364.2(MH+)。
【0067】
実施例64から78:以下の実施例は、方法EおよびFに記載のように製造する。
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
実施例79:モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキシルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステルリン酸エステル
【化27】

一般法・方法G(スキーム3)
(2−メチル−4−{2−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキシルオキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル)−メタノール(300mg、0.80mmol)およびテトラゾール(337.4mg、4.82mmol、6当量、トルエンから再結晶)の乾燥THF(6ml)溶液に、3−ジエチルアミノ−1,5−ジヒドロ−ベンゾ[e][1,3,2]ジオキサホスフェピン(433.5μl、1.56mmol、1.95当量)を添加する。反応混合物を、アルゴン下、室温で3時間撹拌する。次いで、H(30%、75μl、4.0mmol、5当量)を0℃で激しく撹拌しながら注入する。反応混合物をさらに30分撹拌し、次いで飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(1ml)を添加する。有機層を分離し、水性相をエーテル(3×20ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt)での精製により、リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−メチル−4−{2−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキシルオキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステルを無色油状物として得る。リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−メチル−4−{2−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキシルオキシ)−フェニル]−エチル}−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イルメチルエステル(33mg、0.050mmol)のエタノール(2ml)溶液に、濃HCl(2ml)を添加する。反応混合物を85℃で2時間撹拌し、次いで濃縮して乾燥する。残渣をAcOEtに再溶解し、ヘキサンで沈殿させる。固体を濾取し、乾燥エーテルで洗浄し、真空下乾燥させてリン酸モノ−{2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−4−[4−(6,6,6−トリフルオロ−ヘキシルオキシ)−フェニル]−ブチル}エステルを無色粉末として得る。MS(ESI-): 428.2(MH-)。
【0070】
実施例80から95:以下の実施例は、方法Gに記載のように製造する。
【表13】

【0071】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、価値のある薬理学的特性、例えばリンパ球再循環調節特性を、例えばインビトロおよびインビボ試験に示されるように示し、したがって、治療に適応される。
【0072】
A. インビトロ
式Iの化合物は、以下のアッセイで測定するように、個々のヒトS1Pレセプターに結合親和性を有する:
スフィンゴシン−1−リン酸エステル(S1P)レセプター分布
化合物をヒトS1Pレセプター(S1P)、(S1P)、(S1P)、(S1P)および(S1P)で試験する。機能的レセプター活性化を、安定に適当なヒトS1Pレセプターを発現するトランスフェクトしたCHOまたはRH7777から調節した膜タンパク質へのGTP[γ−35S]結合を誘発する化合物の定量により評価する。アッセイ技術は、SPA(シンチレーション近接ベースアッセイ)を使用する。簡単に、DMSOに溶解した化合物を連続的に希釈し、SPA−ビーズ(Amersham-Pharmacia)固定化S1Pレセプター発現膜タンパク質(10−20μg/ウェル)に、50mM Hepes、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、0.1%無脂肪BSAおよび0.2nM GTP[γ−35S](1200Ci/mmol)の存在下添加する。96ウェルマイクロタイタープレートで、RTで120分インキュベーション後、非結合GTP[γ−35S]を遠心段階により分離する。膜結合GTP[γ−35S]により発色されたSPAビーズの蛍光を、TOPcountプレートリーダー(Packard)で定量する。EC50を、標準曲線当てはめソフトウェアを使用して計算する。例えば、以下の結果が得られる:
【表14】

Agon=アゴニスト
【0073】
B. インビボ:血液リンパ球枯渇
式Iの化合物または賦形剤を、ラットに経口で胃管栄養により投与する。組織学的モニタリングのための尾の血液を、個々の基底値のために−1日目、投与後2、6、24、48および72時間後に得る。このアッセイにおいて、式Iの化合物は、0.03から3mg/kgの投与量で投与した場合、末梢血リンパ球を枯渇する。例えば、以下の結果が得られる:50%以上の末梢血リンパ球の枯渇
実施例1:0.2mg/kg経口で6時間後、0.1mg/kg経口で24時間後
実施例6:0.06mg/kg経口で6時間後、0.05mg/kg経口で24時間後
実施例14:0.03mg/kg経口で6時間後、0.04mg/kg経口で24時間後
実施例27:0.1mg/kg経口で6時間後、0.03mg/kg経口で24時間後
実施例31:0.05mg/kg経口で6時間後、0.1mg/kg経口で48時間後
実施例72:0.07mg/kg経口で6時間後、0.03mg/kg経口で48時間後
【0074】
式Iの化合物は、リンパ球相互作用により介在される疾患または障害、例えば移植において、細胞、組織または臓器同種移植片または異種移植片の急性または慢性拒絶反応、または遅延移植反応、移植片対宿主病、自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病およびその合併症、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼病(Graves ophthalmopathy)、円形脱毛症およびその他、アレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、所望により根底の異所性反応を伴う炎症性疾患、例えば炎症性大腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺障害、炎症性肝障害、炎症性糸球体障害、アテローム性動脈硬化症、骨関節症、刺激性接触性皮膚炎および湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫介在疾患の皮膚発現、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、癌、例えば乳癌、T細胞リンパ腫またはT細胞白血病、感染症、例えば毒性ショック(例えば超抗原誘発)、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎、慢性細菌感染、または老人性痴呆の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固形臓器移植の例は、例えば膵臓島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、複合心肺、腎臓、肝臓、大腸、膵臓、気管または食道である。上記の使用のために、必要な投与量はもちろん投与の形態、処置すべき具体的な状態および望む効果に依存して変化する。
【0075】
一般に、約0.03から2.5mg/kg体重の一日量の全身投与により、十分な結果が得られる。大型哺乳動物、例えばヒトで適用される一日投与量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、簡便には1日4回までの分割投与でまたは徐放性形で投与する。経口投与のための適当な単位投与形は、約0.1から50mg活性成分を含む。
【0076】
式Iの化合物は、任意の簡便な経路で、特に経腸的に、例えば錠剤またはカプセルの形で、例えば、経口で、または非経腸的に、例えば注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えばローション、ジェル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻的にまたは坐薬の形で投与し得る。遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物と、少なくとも一つの薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物は、慣用法で、薬学的に許容される担体または希釈剤と混合することにより製造し得る。
【0077】
式Iの化合物は、例えば、上記のように遊離形または薬学的に許容される塩形で投与し得る。このような塩は、慣用法で製造し得、遊離化合物と同等な活性を示す。
【0078】
前記にしたがい、本発明はさらに以下のものを提供する:
1.1 処置を必要とする対象におけるリンパ球により介在される疾患または障害、例えば上記のようなものを予防または処置する方法であり、該対象に式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む方法;
1.2 処置を必要とする対象における急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫性疾患、例えば上記のようなものを予防または処置する方法であり、該対象に式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む方法;
【0079】
2. 例えば、上記1.1または1.2に示す任意の方法において、医薬として使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物。
【0080】
3. 例えば上記1.1または1.2に示す任意の方法に使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物を、そのための薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【0081】
4. 上記1.1または1.2に示す任意の方法に使用するための医薬組成物の製造に使用するための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩。
【0082】
式Iの化合物は、唯一の活性成分として、または、他の薬剤、例えば、同種移植または異種移植拒絶反応または炎症性もしくは自己免疫性疾患の処置または予防のための、例えば、免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症剤、または、化学療法剤、例えば、悪性細胞抗増殖剤と組み合わせて、例えば、アジュバントとして投与し得る。例えば、式Iの化合物は、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578またはAP23573;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたは免疫抑制性相同物、アナログまたは誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球レセプター、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40。CD45、CD58、CD80、CD86またはそのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、例えば、CTLA4の細胞外ドメインまたはその変異体の少なくとも一部、例えば非CTLA4タンパク配列に結合したCTLA4の少なくとの細胞外部分またはその変異体の少なくとも一部を有する組み換え結合分子、例えばCTLA4Ig(例えば、ATCC68629を意味する)またはその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤、例えばパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、ドキソルビシンまたは5−フルオロウラシル;または抗感染剤と組み合わせて使用し得る。
【0083】
式Iの化合物を他の免疫抑制剤/免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染治療と共に投与する場合、共投与する免疫抑制化合物、免疫抑制化合物、化学療法化合物または抗感染化合物の投与量は、もちろん、用いる併用剤のタイプに依存して、例えばそれがステロイドまたはカルシニューリン阻害剤か、用いる具体的薬剤、処置する状態などに依存して変化する。前記にしたがい、本発明はさらに以下の態様を提供する:
【0084】
5. 治療的に有効な非毒性量の式Iの化合物と、少なくとも一つの第2薬剤物質、例えば、上記のような、例えば、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法剤を、例えば、同時にまたは連続して、共投与することを含む、上記の方法。
【0085】
6. a)本明細書に記載の遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物である第1薬剤、およびb)少なくとも一つの併用剤、例えば免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、化学療法剤または抗感染剤を含む、薬学的組み合わせ、例えばキット。キットは、その投与のための指示書を含み得る。
【0086】
本明細書で使用する限り、“共投与”または“併用投与”などは、選択した治療剤を一名の患者に包括的投与することを意味し、これらの薬剤が必ずしも同じ投与経路で、または同時に投与する必要がない、治療レジメを含むことを意図する。
【0087】
本明細書で使用する限り、“薬学的組み合わせ”なる用語は、1個以上の活性剤の混合または組み合わせに由来する生成物を含み、活性成分の固定されたまたは固定していない組み合わせを含む。“固定した組み合わせ”なる用語は、活性成分、例えば式Iの化合物と併用剤を両方とも患者に同時に一つの物としてまたは一回投与量として投与することを意味する。“固定していない組み合わせ”なる用語は、活性成分、例えば式Iの化合物と併用剤を、両方とも患者に別々の物として、一緒に、同時にまたは特定の時間制限なしに連続的に投与することを意味し、このような治療量は、2つの化合物の治療的有効量の患者の体内にもたらす。後者はまたカクテル療法、例えば、3種またはそれ以上の活性成分の投与にも適用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の、式I
【化1】

〔式中、
は置換されていないか、またはOH、C1−2アルコキシもしくは1個から6個のフッ素原子で置換されているC1−6アルキル;C2−6アルケニル;またはC2−6アルキニルであり;
はR”であり、
ここで、R”は、パラ位に結合しているX−CH−CH−Rであり、ここで、XはO;CH;またはC=Oであり;そしてRは式(b)
【化2】

(式中、(a)RからR11の各々は、独立してH;Cl;Br;F;CN;CF;OCF;OCHF;C1−6アルキル;C1−6アルコキシ;C3−6シクロアルキル;C3−6シクロアルコキシ;アシル;または置換されていないもしくは置換されているフェニルであるか;またはRとR10が一緒に3,4−[−O(CH)O−]を形成し、ここで、rは1または2であるか;または(b) (RとR)もしくは(RとR)が、それらが結合している炭素原子と一緒に、縮合環式またはヘテロ環式環を形成し、残りのRからR11もしくはRおよびR10およびR11は各々(a)で定義の通りである)
の残基であるか;またはRは、置換されていないか、または上記RからR11に関して定義の1個から5個の置換基で置換されているα−またはβ−ナフチルであり;
はZ−Xであり、ここで、ZはCH、CHF、CFまたはCHMeであり、XはOHまたは式(a)
【化3】

(式中、Zは直接結合、CH、CHF、CFまたはOであり、R12およびR13の各々は独立してH、または置換されていないかまたは1個、2個もしくは3個のハロゲン原子で置換されているC1−4アルキルである)
の残基であり;そして
およびRの各々は、H、置換されていないかまたは1個、2個もしくは3個のハロゲン原子で置換されているC1−4アルキル、またはアシルである。〕
の化合物。
【請求項2】
式中、Rが、置換されていないかまたは1個から5個の置換基で置換されているβ−ナフチルであるか、またはRが式(b)の残基であり、ここで、RからR11の1個または2個の残基が独立してCl、Br、F、CF、OCF、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または置換されていないかもしくは置換されているフェニルであり、RからR11の残りの残基がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1または2に記載の化合物と、少なくとも一つの併用剤を含む、薬学的組み合わせ。
【請求項4】
リンパ球により介在される疾患または障害の予防または処置、および急性もしくは慢性移植拒絶反応またはT細胞介在炎症性もしくは自己免疫性疾患の予防または処置のための、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。

【公開番号】特開2009−1567(P2009−1567A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154010(P2008−154010)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【分割の表示】特願2004−535500(P2004−535500)の分割
【原出願日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】