説明

アミノ化合物の製造方法および製造装置

【課題】 スラリーから、固体触媒とアミノ化合物とを効率的に分離することのできる、アミノ化合物の製造方法、および、そのアミノ化合物の製造方法を実施するためのアミノ化合物の製造装置を提供すること。
【解決手段】 反応槽2の耐圧反応容器7において、固体触媒の存在下、ニトロ化合物と水素ガスとを接触させて、水素添加反応によりアミノ化合物を連続的に生成させる。次いで、耐圧反応容器7から流出したスラリー(アミノ化合物、固体触媒および水素ガスを含むスラリー)を、フラッシュタンク6で脱圧(脱水素ガス)した後、アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーを、ロータリーフィルター6に流入させて、アミノ化合物を連続的に分離する。その後、固体触媒を含むスラリーを、再度、耐圧反応容器7へ供給して、循環使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ化合物の製造方法および製造装置に関し、詳しくは、ポリイソシアネートの原料となる芳香族ポリアミノ化合物の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンの原料であるトリレンジイソシアネートは、トリレンジアミンを塩化カルボニルと反応させることにより、工業的に製造されている。
トリレンジイソシアネートの原料となるトリレンジアミンは、まず、トルエンをジニトロ化してジニトロトルエンを生成させ、次いで、ジニトロトルエンを、接触的水素添加することにより、工業的に製造されている。
【0003】
そして、ジニトロトルエンの接触的水素添加によるトリレンジアミンの連続的製造方法として、反応槽に、ジニトロトルエンと、パラジウム担持カーボンなどからなる固体触媒のスラリーと、水素ガスとを、連続的に供給して、反応槽において、ジニトロトルエンを接触的水素添加によりトリレンジアミンとし、その後、反応槽からトリレンジアミンおよび固体触媒を含むスラリーを排出して、フラッシュタンクで脱圧した後、濃縮器において、スラリーからトリレンジアミンを分離することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
固体触媒等を含むスラリーを固液分離することはよく行われている。その目的に使用する濾過器としては、運転方式では連続式および回分式等に分類され、分離方式では重力式、真空式、加圧式、圧搾式、および遠心式等に分類される種々の濾過器が知られている。
このような濾過器としては、例えば、連続式ではドラムフィルター、ディスクフィルター、ベルトフィルター、およびスクリュープレスなどが、また回分式ではヌッチェフィルター、リーフフィルター、フィルタープレス、およびシュナイダーフィルターなどが知られている。
【0005】
ここで、固体触媒およびトリレンジアミンを含むスラリーを固液分離する場合に重要な要件を考えてみる。工業的にトリレンジアミンを製造する場合、通常、製造装置は連続で運転されているため、固液分離も連続的に行う必要がある。また、分離された固体触媒は大部分が反応器に回収されて再使用されるが、反応後の触媒は還元状態にあり、酸化や触媒毒成分の吸着によって触媒活性の低下を引き起こしやすい特性を持っているため、触媒を扱う際の温度、濃度や雰囲気を可能な限り変化させずに回収再使用することが望ましい。
【0006】
このような要件から考えてみると、上述した連続式濾過器は、濾過面上でのケーキの形成によって固液分離し、ケーキの剥離または掻き取りによって濾過面を再生するため、固体成分から見た濃度や雰囲気が大きく変化し、水素添加触媒の回収に適しているとは言えない。また、このような濾過器を使用する場合には、得られた触媒ケーキを反応器に再供給するため、再度スラリー化する必要も生じる。一方、回分式濾過器を使用し、濃度が大きく変化しない段階、すなわち流動性がある状態でスラリーを排出したり、濾過面に生成したケーキを濾液の一部で洗い流して再流動化させたりする方法も考えられるが、このような場合、濾過面にケーキが蓄積してしだいに濾過速度が低下するため、整備や濾布の交換が必要であること、また連続製造プロセスに適用するためには複数の機器を設置して切替え運転する必要があることなどから、操作的にも経済的にも十分であるとは言えない。
【特許文献1】特開昭62−45567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、スラリーから、固体触媒とアミノ化合物とを効率的に、しかも連続的に固液分離することのできる、アミノ化合物の製造方法、および、そのアミノ化合物の製造方法を実施するためのアミノ化合物の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のアミノ化合物の製造方法は、ニトロ化合物を、固体触媒存在下水素添加して、アミノ化合物を連続的に生成させるアミノ化合物生成工程、および、アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーから、ロータリーフィルターによって、連続的にアミノ化合物と固体触媒とを分離する連続固液分離工程を備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のアミノ化合物の製造方法では、前記ロータリーフィルターによる分離残のスラリーに含まれる固体触媒を、前記アミノ化合物生成工程において再度使用するために、前記ロータリーフィルターによる分離後のスラリーを、前記アミノ化合物生成工程に還流するスラリー還流工程を備えていることが好適である。
また、本発明のアミノ化合物の製造方法では、前記連続固液分離工程に供給されるスラリー流量と、前記連続固液分離工程から抜き出された濾液の流量の比が、単位時間あたりの重量比として、スラリー量/濾液量=100/5〜100/20であることが好適である。
【0010】
また、本発明のアミノ化合物の製造方法では、前記固体触媒が、パラジウム担持カーボンまたはパラジウム−白金担持カーボンであることが好適である。
また、本発明のアミノ化合物の製造方法では、前記ニトロ化合物が、芳香族ポリニトロ化合物であることが好適である。
また、本発明のアミノ化合物の製造装置は、ニトロ化合物を、固体触媒存在下水素添加して、アミノ化合物を連続的に生成させるための反応槽、および、前記反応槽に接続され、アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーから、アミノ化合物を連続的に分離するためのロータリーフィルターを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明のアミノ化合物の製造装置では、前記ロータリーフィルターによる分離残のスラリーに含まれる固体触媒を、前記反応槽において再度使用するために、前記ロータリーフィルターによる分離後のスラリーを、前記反応槽に還流するためのスラリー還流ラインを備えていることが好適である。
また、本発明のアミノ化合物の製造装置では、前記固体触媒が、パラジウム担持カーボンまたはパラジウム−白金担持カーボンであることが好適である。
【0012】
また、本発明のアミノ化合物の製造装置では、前記ニトロ化合物が、芳香族ポリニトロ化合物であることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアミノ化合物の製造装置を用いる、本発明のアミノ化合物の製造方法によれば、アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーから、ロータリーフィルターによって、アミノ化合物を連続的に分離する。そのため、スラリーから、固体触媒とアミノ化合物とを効率的に、しかも連続的に固液分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明のアミノ化合物の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。以下、図1を参照して、本発明のアミノ化合物の製造方法の一実施形態について説明する。
図1において、このアミノ化合物の製造装置1は、ポリイソシアネートの原料となるポリアミノ化合物を製造するために、ポリイソシアネートの製造設備の1つとして設けられており、反応槽2、冷却循環ライン3、スラリー還流ラインとしてのスラリー循環ライン4、フラッシュタンク5およびロータリーフィルター6を備えている。
【0015】
反応槽2は、ニトロ化合物を、固体触媒の存在下で水素添加できれば、特に制限されないが、例えば、耐圧反応容器7と、その耐圧反応容器7内に設けられる攪拌翼8と、耐圧反応容器7を被覆するジャケット9とを備えている。
耐圧反応容器7は、密閉円筒形状をなし、その上部には、ニトロ化合物が供給されるニトロ化合物供給ライン10と、固体触媒を含むスラリーが供給される触媒供給ライン11と、水素ガスが供給される水素ガス供給ライン12とが接続されている。
【0016】
ニトロ化合物は、ポリイソシアネートの原料となるポリアミノ化合物を製造するための製造原料であって、例えば、トリレンジアミン(トリレンジイソシアネートの製造原料)の製造原料であるジニトロトルエンや、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの製造原料)の製造原料であるアニリンを製造するためのニトロベンゼンなどの芳香族ポリニトロ化合物が挙げられる。
【0017】
ニトロ化合物は、ニトロ化合物供給ライン10から耐圧反応容器7へ連続的に供給される。
触媒供給ライン11から供給される固体触媒を含むスラリー(以下、新触媒スラリーと言う。)は、固体触媒が水によって分散されている水分散液であって、固体触媒としては、例えば、パラジウム担持カーボンや、パラジウム−白金担持カーボンなどが挙げられる。より具体的には、例えば、特開昭62−45567号公報に記載される、少なくとも100の油吸収率を有する親油性炭素上に沈着させたパラジウムまたはパラジウム−白金触媒が挙げられる。固体触媒の平均粒子径は、例えば、10〜100μm、好ましくは、20〜60μmである。なお、新触媒スラリー中の固体触媒の含有量は、例えば、0.1〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%である。
【0018】
新触媒スラリーは、触媒供給ライン11から耐圧反応容器7へ連続的に供給される。また、スラリー循環ライン4の途中には、触媒抜出しライン20が設けられており、スラリー循環ライン4を循環し耐圧反応容器7へ再供給される固体触媒を含むスラリー(以下、循環触媒スラリーと言う。)の一部を系外に抜き出す。触媒抜出しライン20から抜き出す循環触媒スラリーの量は、固形分として、触媒供給ライン11から供給される新触媒スラリーの供給量に相当するように設定され、これにより、耐圧反応容器7の内部における固体触媒濃度を一定レベルに保ちながら、連続的、安定的に水素添加反応を行う。触媒供給ライン11から供給される新触媒スラリーの供給量は、耐圧反応容器7における水素添加反応の活性(触媒活性)を維持するように適宜決定されるが、通常、触媒供給ライン11から耐圧反応容器7へ連続的に供給される新触媒スラリーと、スラリー循環ライン4から、再度、耐圧反応容器7へ供給される循環触媒スラリーとの重量比率は、固形分として、例えば、1:50〜1:1000の範囲である。また、耐圧反応容器7へ供給される新触媒スラリーと循環触媒スラリーとの合計量は、供給されるニトロ化合物1重量部に対して、固形分として、例えば、1〜20重量部、好ましくは、5〜15重量部の範囲である。
【0019】
水素ガスは、水素ガス供給ライン12に介在されている圧縮器13によって圧縮された後、水素ガス供給ライン12から耐圧反応容器7へ連続的に供給される。水素ガスの供給量は、ニトロ化合物中のニトロ基1モルに対して、例えば、3.0〜10.0モル、好ましくは、3.0〜5.0モルである。
ジャケット9には、熱媒排給ライン14が接続されており、耐圧反応容器7内は、熱媒排給ライン14を循環する熱媒によって、例えば、20〜250℃、好ましくは、50〜200℃に設定されている。
【0020】
また、攪拌翼8は、耐圧反応容器7内において、耐圧反応容器7の軸線方向に延びる回転軸41の基端側に接続されており、その回転軸41の遊端側は、耐圧反応容器7から上方に突出して、モータ42に接続されている。また、耐圧反応容器7における回転軸41の貫通部分には、耐圧反応容器7と回転軸41との間にメカニカルシール43が設けられている。そして、モータ42の駆動により、耐圧反応容器7内では、常時、攪拌翼8が回転している。また、耐圧反応容器7内の圧力は、図示しない公知の調圧器により、例えば、0〜10MPa−ゲージ、好ましくは、0.1〜7MPa−ゲージに設定されている。
【0021】
そして、ニトロ化合物供給ライン10からニトロ化合物が、触媒供給ライン11から固体触媒を含むスラリーが、水素ガス供給ライン12から水素ガスが、それぞれ耐圧反応容器7内へ連続的に供給されると、固体触媒の存在下、ニトロ化合物と水素ガスとが接触して、水素添加反応により、ニトロ化合物のニトロ基がアミノ基に還元され、連続的にアミノ化合物が生成する(アミノ化合物生成工程)。またこの還元反応により、水が同時に生成する。
【0022】
冷却循環ライン3は、その上流側端部が、耐圧反応容器7の底部に接続され、その下流側端部が、耐圧反応容器7の頂部に接続されている。また、冷却循環ライン3の途中には、送液ポンプ15およびクーラ16が、上流側から下流側に向かって順次介在されている。
耐圧反応容器7において生成したアミノ化合物や、水、固体触媒、さらには、水素ガスを含むスラリーは、冷却循環ライン3へ流出され、送液ポンプ15によってクーラ16へ送られ、冷却された後、再度、耐圧反応容器7へ供給される。これによって、耐圧反応容器7内の温度が、上記した温度に維持されている。
【0023】
また、スラリー循環ライン4は、その上流側端部が、冷却循環ライン3の途中(耐圧反応容器7と送液ポンプ15との間)に接続されており、その下流側端部が、耐圧反応容器7の頂部に接続されている。また、スラリー循環ライン4の途中には、フラッシュタンク5、送液ポンプ17およびロータリーフィルター6が、上流側から下流側に向かって順次介在されている。
【0024】
冷却循環ライン3を循環するアミノ化合物、水、固体触媒、および水素ガスを含むスラリーの一部は、スラリー循環ライン4へ流出し、まず、フラッシュタンク5へ流入する。
フラッシュタンク5は、軸線が上下方向に沿って延びる密閉円筒形状をなし、その上下方向途中および底部には、スラリー循環ライン4がそれぞれ接続されている。また、その頂部には、オフガスライン18が接続されている。
【0025】
フラッシュタンク5へ流入したスラリーは、急激に減圧(脱圧)され、水素ガスおよび場合によっては水蒸気を含むガス成分が頂部からオフガスライン18へ流出するとともに、アミノ化合物、水、および固体触媒を含むスラリーが、底部からスラリー循環ライン4へ流出される。
フラッシュタンク5からスラリー循環ライン4へ流出したアミノ化合物、水、および固体触媒を含むスラリーは、送液ポンプ17によってロータリーフィルター6へ送られる。
【0026】
図2は、ロータリーフィルター6の概略構成図である。このロータリーフィルター6は、回転円板型濾過器であって、ケーシング21と、そのケーシング21内に設けられる攪拌部材22および濾過板(固定円板)23とを備えている。
ケーシング21は、横長の円筒形状をなし、その一方側には、供給管24が設けられるとともに、その他方側は、漏斗状に形成され、遊端部には、スラリー排出管25が設けられている。スラリー排出管25には、スラリー循環ライン4が接続されている。
【0027】
攪拌部材22は、ケーシング21の軸線方向に沿って配置される回転軸26と、その回転軸26から径方向外側に延びる攪拌板(回転円板)27とを備えている。回転軸26は、一方側からケーシング21の外方に突出し、図示しないモータが連結されている。複数の攪拌板27は、回転軸26の軸方向において互いに間隔を隔てて配置され、回転軸26から径方向外側に延びる円板形状に形成されている。
【0028】
濾過板23は、ケーシング21内において、各攪拌板27の間に複数設けられている。各濾過板23は、ケーシング21の内壁面から径方向内側へ突出する円環形状に形成されており、その両面には、図示しない濾液排出溝が形成されるとともに、濾布28が設けられている。濾布28は、固体触媒粒子の通過を阻止するに十分な保留粒子径を有するものから適宜選択される。
【0029】
ケーシング21内は、各濾過板23と各攪拌板27とが軸方向において交互に配置され、各濾過板23と各攪拌板27とで、濾過室29が画成されている。
各濾過板23には、濾液を排出するための濾液排出管30が接続されている。各濾液排出管30には、アミノ化合物取出ライン19が接続されている。
そして、このロータリーフィルター6では、回転軸26の回転により、常時、各攪拌板27が回転しており、供給管24からケーシング21内に流入したアミノ化合物、水、および固体触媒を含むスラリーは、各攪拌板27の回転により濾過室29内で流動し、その間、スラリー中のアミノ化合物および水を含む液成分の一部が、各濾布28を通過して濾液となり、各濾過板23の濾液排出溝から濾液排出管30を通りアミノ化合物取出ライン19に連続的に排出される。(連続固液分離工程)。
【0030】
一方、固体触媒を含む分離残は、供給管24から流入したスラリーから、アミノ化合物取出ライン19に排出された濾液相当分だけ液成分が減少し、固形分濃度が上昇したスラリーとなってスラリー排出管25からスラリー循環ライン4へ連続的に排出される。
なお、ロータリーフィルター6の供給管24へ流入する以前のスラリー中の固体触媒の濃度は、例えば、0.5〜5重量%であり、ロータリーフィルター6のスラリー排出管25から流出するスラリー中の固体触媒の濃度は、例えば、0.6〜6重量%である。
【0031】
また、ロータリーフィルター6の供給管24へ供給される単位時間あたりのスラリー重量に対する、アミノ化合物取出ライン19から排出される単位時間あたりの濾液の重量の割合は、1〜25%、好ましくは5〜20%の範囲である。このように、一般的な濾過器の使用条件と比較して、濾液の取出し割合(濃縮率)を低く抑えることにより、回収される固体触媒の濃度や雰囲気の変化を小さく留め、固体触媒の触媒活性の低下を防ぐ効果が得られる。また、スラリー濃度の変化が少なく流動性が悪化しないので、ロータリーフィルター6の内部の濾布28上にケーキが過剰に蓄積することが無く、従って濾過性能が低下しないため、連続運転に適している。また、スラリー排出管から排出される固体触媒を含むスラリーも、閉塞や差圧の上昇を招くことなく、安全、安定に循環させることができる。
【0032】
ロータリーフィルター6のスラリー排出管25から流出された固体触媒を含むスラリー(すなわち上述した循環触媒スラリー)は、アミノ化合物生成工程において再度使用するために、スラリー循環ライン4を介して、再度、反応槽2の耐圧反応容器7へ連続的に供給される(スラリー還流工程)。またその際、耐圧反応容器7の内部における固体触媒濃度を一定レベルに保ち、且つ耐圧反応容器7における水素添加反応の活性(触媒活性)を維持するために、循環触媒スラリーの一部を、ロータリーフィルター6の下流側に設けられた触媒抜出しライン20から系外に抜き出す。
【0033】
このアミノ化合物の製造装置1によれば、アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーから、ロータリーフィルター6によって、アミノ化合物を連続的に分離する。そのため、スラリーから、固体触媒とアミノ化合物とを効率的に、しかも連続的に固液分離することができる。
また、このアミノ化合物の製造装置1では、ロータリーフィルター6のスラリー排出管25から流出された固体触媒を含むスラリーが、スラリー循環ライン4を介して、再度、反応槽2の耐圧反応容器7へ連続的に供給されて、そのスラリーに含まれる固体触媒が、アミノ化合物生成工程において再度使用される。しかも、固液分離工程における触媒活性の低下が抑えられるため、固体触媒を再度循環して、コストの低減を図ることができる。
【0034】
また、固体触媒として、パラジウム担持カーボンまたはパラジウム−白金担持カーボンが用いられる場合には、ロータリーフィルター6において、そのパラジウム担持カーボンまたはパラジウム−白金担持カーボンが濾過助剤となってボディフィードされ、濾布28の表面に付着してケーク層を形成するプリコートとなるので、濾過効率のより一層の向上を図ることができる。
【0035】
以上のことより、このアミノ化合物の製造装置1では、ポリイソシアネートの原料となるポリアミノ化合物、とりわけ、芳香族ポリアミノ化合物を、生産効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明のアミノ化合物の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示すロータリーフィルターの概略構成図である。
【符号の説明】
【0037】
1 アミノ化合物の製造装置
2 反応槽
4 スラリー循環ライン
6 ロータリーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトロ化合物を、固体触媒存在下水素添加して、アミノ化合物を連続的に生成させるアミノ化合物生成工程、および、
アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーから、ロータリーフィルターによって、連続的にアミノ化合物と固体触媒とを分離する連続固液分離工程
を備えていることを特徴とする、アミノ化合物の製造方法。
【請求項2】
前記ロータリーフィルターによる分離残のスラリーに含まれる固体触媒を、前記アミノ化合物生成工程において再度使用するために、前記ロータリーフィルターによる分離後のスラリーを、前記アミノ化合物生成工程に還流するスラリー還流工程を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のアミノ化合物の製造方法。
【請求項3】
前記連続固液分離工程に供給されるスラリー流量と、前記連続固液分離工程から抜き出された濾液の流量の比が、
単位時間あたりの重量比として、スラリー量/濾液量=100/5〜100/20
であることを特徴とする、請求項1または2に記載のアミノ化合物の製造方法。
【請求項4】
前記固体触媒が、パラジウム担持カーボンまたはパラジウム−白金担持カーボンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアミノ化合物の製造方法。
【請求項5】
前記ニトロ化合物が、芳香族ポリニトロ化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアミノ化合物の製造方法。
【請求項6】
ニトロ化合物を、固体触媒存在下水素添加して、アミノ化合物を連続的に生成させるための反応槽、および、
前記反応槽に接続され、アミノ化合物および固体触媒を含むスラリーから、アミノ化合物を連続的に分離するためのロータリーフィルター
を備えていることを特徴とする、アミノ化合物の製造装置。
【請求項7】
前記ロータリーフィルターによる分離残のスラリーに含まれる固体触媒を、前記反応槽において再度使用するために、前記ロータリーフィルターによる分離後のスラリーを、前記反応槽に還流するためのスラリー還流ラインを備えていることを特徴とする、請求項5に記載のアミノ化合物の製造装置。
【請求項8】
前記固体触媒が、パラジウム担持カーボンまたはパラジウム−白金担持カーボンであることを特徴とする、請求項6または7に記載のアミノ化合物の製造装置。
【請求項9】
前記ニトロ化合物が、芳香族ポリニトロ化合物であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載のアミノ化合物の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−63201(P2007−63201A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252583(P2005−252583)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(501140544)三井化学ポリウレタン株式会社 (115)
【Fターム(参考)】