説明

アミノ官能性薬剤の投与のための組成物及び方法

(a)ポリマーマトリックス、これは、(i)該ポリマーマトリックスの乾燥質量の少なくとも約60質量%を構成する非官能性アクリル系ポリマー、及び(ii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約30質量%以下を構成するアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーのブレンドから本質的になるポリマーブレンドを含む;及び(b)該ポリマーマトリックスに可溶化されたスコポラミンを含むスコポラミンの経皮投与のための柔軟性のある定形システムであって、実質的に酢酸ビニル及び極性成分を含まないシステムが記載される。一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスが無極性浸透強化剤も含む。該柔軟性のある定形システムを製造及び使用する方法も記載される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2006年2月27日に提出された米国仮特許出願第60/777,257号明細書からの優先権の利益を主張し、その内容を参照としてここに組み込む。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、概して数種の薬剤の投与のための真皮組成物に関し、さらに詳細には特に該活性物質のフラックスを制御する膜を必要としない代替の改善されたポリマーマトリックスからスコポラミンベースの投与のためのアミノ官能性薬剤に関する。
【0003】
〔背景技術〕
スコポラミンは広く用いられている制吐薬であり、例えば旅行中に生じる吐気及び嘔吐を回避する。スコポラミン及び関連化合物の該制吐及び制嘔吐特性は、これらの化合物を経口及び筋内に投与することによって調査されている(例えば、C. D. Wood and A. Graybiel, “Theory of Antimotion Sickness Drug Mechanisms,” Aerosp. Med. 43: 249-52, 1972; and C. D. Wood and A. Graybiel, “A Theory of Motion Sickness Based on Pharmacological Reactions,” Clin. Pharm. 11: 621-9, 1970; J. J. Brand and P. Whittingham, “Intramuscular Hyoscine in Control of Motion Sickness,” Lancet 2: 232-4, 1970を参照)。
最適な薬剤放出速度は、乗り物酔いに伴う制吐及び嘔吐の予防及び頻脈、眠気及び口渇などの該薬剤からの副交感神経遮断性福作用の除去における重要な因子である。スコポラミンの経皮投与は、スコポラミンの血漿濃度に望ましい比較的狭い治療濃度域内における該薬剤の遅く連続的で制御された放出を、過量摂取によって引き起こされる副作用、例えば、口渇、制吐及びグレア過敏症などに対する不安無く容易にする。
【0004】
米国特許第3,797,494号及び第4,031,894号明細書は、鉱油及びポリイソブチレンのゲル化混合物に分散されたスコポラミンベースを含み、投与速度を制御する微小孔膜に頼る現在の市場で入手可能な生成物(Transderm Scop(登録商標)、Novartis)を記載している。
米国特許第5,714,162号明細書は、市販のスコポラミン生成物の特に結晶化による薬剤の不安定性に対する欠点、及び官能基を有するポリアクリレート接着剤をベースポリマーとして用い、且つ極性不活性成分及び薬剤溶解性を向上させてフラックスを制御する膜を含む経皮送達システムを記載している。
米国特許第6,537,571号明細書は、該活性物質の一定送達をそのようなパッチが通常磨耗される期間(3日間)に渡って達成できるようにするために、アミノ抵抗性シリコーン接着剤をベースポリマーとして頼り、そこでは該スコポラミンが結晶質及び可溶化形態の両方で存在し、且つ速度制御用膜も含む経皮送達システムを記載している。
【0005】
上記システムに伴う主要な欠点は、それらが依然として薬剤不安定性に敏感であることである。適切な条件下では、該活性剤が、該ベースポリマーにおけるその乏しい溶解性を与える結晶質形態のままであるか、又は該製剤中に官能基、酢酸ビニル、又は極性不活性物質の存在下で再結晶又は分解し得る。
さらに、そのようなシステムは速度制御用膜を必要とし、使用の意図する持続時間に渡って治療を行うのに必要である適切な薬剤送達プロフィールを、コスト及び製造負荷に加えて達成する。それらの所望のコポリマーと酢酸ビニルに基づく膜はまた、薬剤の不安定性をさらに促進し得る。
従って、可溶化された薬剤安定性を保持し、良好な接着及び磨耗特性を示し、及び制御可能な薬剤フラックス及び好適な持続時間、例えば3日間のための送達プロフィールを膜を必要とせずに達成し、且つ市場で有利な厚み及びサイズで製造することのできるドラッグキャリアポリマーの改善された真皮組成物が必要とされている。
【0006】
〔発明の開示〕
一つの実施態様では、(a)ポリマーマトリックス、これは、(i)該ポリマーマトリックスの乾燥質量の少なくとも約60質量%を構成する非官能性アクリル系ポリマー、及び(ii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約30質量%以下を構成するアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーの混合物から本質的に構成されるポリマーブレンドを含む;及び(b)該ポリマーマトリックスに可溶化されたスコポラミンを含むスコポラミンの経皮投与のための柔軟性のある定形システム(flexible, finite system)であって、実質的に酢酸ビニル及び極性成分を含まないシステムが提供される。一部の実施態様では、該スコポラミンがスコポラミンベースである。
【0007】
特別な実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマーが、非官能性ポリアクリレート、ポリアクリル、及びアクリレート及びアクリル酸ポリマーからなる群から選択され、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリルレート、アクリル酸N-ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、及びアクリル酸メチル、及び対応するメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルからなる群から選択されるモノマーの非官能性ホモポリマー、コポリマー及びターポリマーである。一つの特別な実施態様では、該官能性アクリル系ポリマーが、アクリル酸メチル及びアクリル酸2-エチルヘキシルモノマーのポリマーである。
【0008】
特別な実施態様では、該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーが、ポリマー当たり約13,000未満のシラノール含有量を有し、ポリマー当たり約7,700のシラノール含有量を含む。
一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスが加圧で接着可能な接着組成物である。
一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスが、実質的にグリコールを含まない非極性浸透強化剤、例えば脂肪酸、非極性脂肪酸又は脂肪アルコールの非極性官能性誘導体、又はオレイルアルコールである浸透強化剤をさらに含む上記のような柔軟性のある定形システムが提供される。
【0009】
一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約10質量%未満、約5質量%未満、及び約3質量%未満からなる群から選択される量の非極性浸透強化剤を含む。
一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づく質量基準で約0.1%〜約30%、約0.3%〜約30%、約0.5%〜約15%、約1%〜約10%、及び約5%未満からなる群から選択される量でそこにおいて可溶化された薬剤を含む。
特別な実施態様では、該ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの全乾燥質量に基づいて、約85質量%以下の非官能性アクリル系ポリマー、約30質量%以下のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、及び約10質量%以下の浸透強化剤を含む上記のような柔軟性のある定形システムが提供される。特別な実施態様では、該ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約1質量%〜約10質量%の量のそこにおいて可溶化された薬剤をさらに含む。
【0010】
特別な実施態様では、該ポリマーマトリックスが、(i)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約76質量%の量の非官能性アクリル系ポリマー、(ii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約12質量%の量のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、(iii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約6質量%の量のそこにおいて可溶化されたスコポラミンベース、及び(iv)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約6質量%の量のオレイルアルコールを含む、上記のような柔軟性のある定形システムが提供される。
特別な実施態様では、該ポリマーマトリックスにおける非官能性アクリル系ポリマー対アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーの質量/質量比が、少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約5.5:1及び少なくとも約6:1からなる群から選択される、上記のような柔軟性のある定形システムが提供される。
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムが速度制御用膜を含まない。一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムがバッキング層及び/又は放出ライナーをさらに含む。
【0011】
別の実施態様では、(A)揮発性溶媒において、(i)該非官能性アクリル系ポリマー、(ii)該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、及び(iii)スコポラミンを混合する工程、(B)該混合物を鋳造する工程;及び(C)該揮発性溶媒を除去して乾燥ポリマーマトリックスを得る工程を含み、用いた成分(i)、(ii)及び(iii)の量が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、少なくとも60質量%の非官能性アクリル系ポリマー及び30質量%以下のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを生じる量から選択される、上記のような柔軟性のある定形システムを製造する方法が提供される。
上記方法の一部の実施態様では、工程(A)が、揮発性溶媒において、(i)該官能性アクリル系ポリマー、(ii)該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、(iii)該スコポラミン及び(iv)グリコールを実質的に含まない非極性浸透強化剤を混合する工程を含み、用いた成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の量が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、少なくとも60質量%の非官能性アクリル系ポリマー及び30質量%以下の該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを生じる量から選択される。
別の実施態様では、上記のような柔軟性のある定形システムをそれを必要としている対象の皮膚に投与することを含む経皮スコポラミン送達を行う方法が提供される。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
ここで用いられるように、名詞は特に単数のみを意図すると明記しない限り、単数及び複数の両方を意図する。
“約”という用語、及び該用語の約によって与えられる又は与えられない一般的な範囲の使用は、理解される数が上記の正確な数字に限定されず、実質的に引用された範囲内を指して本発明の範囲のから逸脱しないことが意図されることを意味する。ここで用いられるように、“約”は当業者によって理解され、それが用いられるいくつかの範囲内で変化する。それが用いられる内容を与える当業者に不明瞭な用語の使用がある場合、“約”は該特別な用語の±10%までを意味する。
【0013】
ここで用いられるように“実質的に含まない”というフレーズは、一般的に記載されている組成物(例えば、柔軟性のある定形システム、ポリマーマトリックスなど)が、当該組成物の全質量に基づいて、該取り出された成分の約5質量%未満、約3質量%未満、又は約1質量%未満を含むことを意味する。
ここで用いられるように、“患者”は薬剤治療を必要としているヒトを含む任意の動物を意味する。
ここで用いられるように、“治療上有効量”及び“治療レベル”は、対象における薬剤投与量又は血漿濃度が、該薬剤がそのような治療を必要としている患者に投与されると特異的な薬理学的応答を提供することを意味する。特別な例において特別な患者に投与される治療上有効量又は治療レベルの薬剤は、そのような投与量が当業者にとって治療上有効量であると考えられる場合であっても上記病状/疾患を治療する際に常に有効とはならないことを強調する。便宜のためだけに、典型的な投与量、薬剤送達量、治療上有効量及び治療レベルは、成人の患者を対象として以下に提供される。当業者は、標準的な慣習に従ってそのような量を調整することができる。
ここで用いられるように、“真皮”という用語は、皮膚又は粘膜などの組織との直接的な接触による薬剤の送達、投与又は塗布を意味する。そのような送達、投与又は塗布は、経皮、経粘膜、及び口内でも公知である。同様に、“皮膚”とは、経口、口内、経鼻、直腸及び膣粘膜をさらに含む粘膜を含むことを意味する。
【0014】
ここで用いられるように、“真皮組成物”は、1種以上のそこにおいて可溶化された薬剤を含有する組成物として定義される。該真皮組成物は、上記のように1種以上の薬剤の真皮投与又は局所的投与のために真皮部位に投与される。真皮組成物は、ポリマーマトリックスとそこに含有される1種以上の薬剤を含み得る。以下に記載されるように、一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが、使用者(例えば患者)の皮膚に直接塗布するための加圧で接着可能な接着剤である。あるいは、該ポリマーマトリックスは非接着剤でもよく、該組成物を使用者の皮膚に付着させるための分離付着手段(例えば分離接着剤層)で提供されてもよい。
ここで用いられるように、“可溶化”という用語は、該真皮組成物に、結晶質、分子又はイオンのレベルで該活性剤(例えば薬剤)の本質的な分散又は溶解が起こることを意味することが意図される。あるいは、該可溶化活性剤は、本発明の組成物中にあるときは“非結晶化”形態であるとここでは考えられる。
【0015】
ここで用いられるように、“マトリックス”は、治療上有効量の薬剤をそこに組み込むポリマー組成物として定義される。該マトリックスはモノリシックで加圧で接着可能な接着剤を含んでもよく、又は使用者の皮膚に付着又は保持するための分離付着手段、例えば分離接着剤を用いてもよい。マトリックスを含む真皮薬剤送達システムは、該マトリックスにおける該薬剤供給を連続的に補充するためのさらなる薬剤供給手段を任意に含んでよい。
ここで用いられるように、“モノリシック”は、接着剤、例えば加圧で接着可能な接着剤、バイオ接着剤、又はその他であるマトリックスを含む装置として定義される。
ここで用いられるように、ポリマーは、それ自体が接着剤の特性を有する場合、又は粘着剤、可塑剤、架橋剤又は他の添加剤を加えることによって接着剤として機能する場合は“接着剤”である。
【0016】
一つの実施態様では、ポリマーマトリックスを可溶化薬剤と共に含む改善された真皮組成物であって、可溶化薬剤の安定性を保持し、良好な接着及び磨耗特性を示し、及び膜を必要とすることなく3日間の持続時間のために制御可能な薬剤フラックス及び送達プロフィールを達成することができ、且つ2.5cm2以下のサイズを含む市場で有利な厚み及びサイズで製造することのできる組成物が提供される。
一つの実施態様では、アミノ官能性薬剤、及び周囲温度下の液体状態で水に曝されると結晶質水和物を形成するか、又は官能基、酢酸ビニル及び/又は強い極性又は酸性の不活性物質の存在下で悪影響を及ぼす薬剤を送達するための組成物及び方法が提供される。一つの特別な実施態様では、該薬剤はスコポラミンであり、スコポラミンベースを含む。ここに記載される組成物は、該活性剤の再結晶及び分解を確実に減少又は阻害し、且つ予め決められた投与期間、例えば3日間以上に渡って制御され且つ一定の薬剤放出速度を達成し得る。
【0017】
“アミノ官能性”という用語は、1種以上の第一級アミン基を含み得る薬剤又は活性剤、例えばフェニルプロパノールアミン、第二級アミン基、例えばプロプラノロール、又は第三級アミン基、例えばテオフィリン及びクロルフェニラミンを意味することが意図される。該用語はまた、テオフィリン及びジエチルカルボマジン、及び経皮的に送達され得るアミン官能性薬剤の塩に見出されるものなどの複素環式アミン基を含む。ここで用いられるように、該用語はニトロ基などの酸化窒素基は含まない。経皮薬剤送達のためのアミン官能性薬剤の例は、例えば、スコポラミン、テトラカイン、エフェドリン、クロニジン、ニコチン、ラミプリル、エナラプリル、フェンタニル及び類似物、例えばアルフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、及びトレフェンタニル、アンフェタミン、デキストアンフェタミン、メタンフェタミン、及びアトロピンを含む。経皮薬剤送達システムにおける使用のためのアミノ官能性薬剤のさらなる例は、当業者に明らかである。
【0018】
便宜上、該組成物及び方法は、以下ではスコポラミン送達のための真皮組成物に関して記載及び説明されるが、本発明は限定されないものの、先行技術で記載されているようなアミノ官能性薬剤及び周囲温度下の液体状態で水に曝されると結晶質水和物を形成する薬剤の送達のための組成物を含む。ニコチン、セコベリン及びベンズトロピン、及び上記又は当技術分野で公知な任意の他薬剤などのそのような薬剤は、有利には上記組成物に調合され得る。一部の実施態様では、該薬剤が結晶質水和物を形成する傾向を示す程度まで、上記組成物において安定化される。
【0019】
一つの実施態様では、ここに記載されている該方法を実施するために考えられた経皮システム及び組成物が、柔軟性のある定形システムの形態である。“柔軟性のある定形システム”というフレーズは、実質的に非水性の固体形状を意味することが意図され、これは接触する表面と適合することができ、且つそのような固体形状における接触を保持し、生理的な有害反応や患者への局所的な投与中における水の接触によって有意に分解されることなく局所的な投与を容易にすることができる。多くのそのような装置は当技術分野で公知であり、経皮薬剤送達パッチなどで市場で入手可能である。好適な柔軟性のある定形システムの例は、該薬剤が加圧で接着可能な接着剤などの接着剤マトリックスに直接可溶化されるものを含み、これは該システムを患者の皮膚又は粘膜に付着するための手段としても用いられる。
【0020】
該柔軟性のある定形システムはまた、接着剤層の方面に薬剤不浸透性バッキング層又はフィルム、及び他の面に放出ライナーも含み得る。それらが存在するときは、該バッキング層は、該柔軟性のある定形システム又は経皮パッチの接着剤層を環境から保護し、該薬剤の損失及び/又は他の接着剤層成分の環境への放出を防止する。存在する場合、該放出ライナーを該システムから除去し、局所的投与の前に接着剤層に曝す。放出ライナー及びバッキング層としての使用に好適な材料は、当技術分野で良く知られている。
アミノ官能性薬剤、例えばスコポラミン、及び特にスコポラミンベースが不安定となり、分解(生物学的に利用可能な活性薬剤の損失)又は望ましくない変化(例えば薬剤の再結晶化、色彩変化又は不都合な薬剤送達開始及び持続時間)を官能基及びしばしば真皮組成物に存在する酢酸ビニル、例えば接着剤、強化剤、賦形剤及び他のキャリア成分、及び典型的に真皮組成物に存在するさらに強い極性又は酸性不活性物質、例えばグリコールの存在下で受ける。スコポラミンの主要な分解物/代謝物はトロパ酸であると考えられ、これはそのような基又は成分を実質的に含まない真皮組成物におけるその濃度と比較して、そのような基又は成分を含む真皮組成物において15倍増加して存在し得る。そのような分解は、組成物の保存中に該活性薬剤の量を大きく減少させ、それによって意図される治療時間に渡る薬剤送達に利用可能な活性薬剤の量を減少させ得る。
【0021】
水分の存在下における該薬剤の再結晶化の形態のさらなる不安定性、又は最終生成物に望ましくない黄色又は暗色への変化はまた、典型的に溶解性又は浸透性を増加させるのに用いられる酢酸ビニル又は強い極性又は酸性物質、例えばグリコール、ジプロピレングリコールなどの存在下でも起こり得る。従って、脂肪酸、脂肪アルコール、グリコール、酢酸ビニル及び酢酸ビニルモノマー単位を含有する接着剤、例えばエチレン/酢酸ビニルコポリマー、及びビニルピロリドン/酢酸ビニルが経皮組成物において十分に機能することが見出されたが、それらの使用はいくらかの不都合を有し得る。
前述の事への取り組みとして、ここに記載されている柔軟性のある定形システム及び組成物は、該活性物質の再結晶化、分解又は色彩変化からの不安定性を回避する良好な接着特性及び制御可能な薬剤溶解性及びフラックスを有するポリマーマトリックスを含む真皮薬剤送達システムを提供する。
【0022】
一つの実施態様では、ここに記載されているような柔軟性のある定形システム及び組成物が、酢酸ビニルを実質的に含まず、極性成分を実質的に含まず、又は実質的に酢酸ビニル及び極性成分の両方を含まない。“実質的に含まない”により、該柔軟性のある定形システム及び組成物が、安定性に悪影響を与えない、例えば該薬剤又は組成物において分解、再結晶化、又は他の望ましくない変化に寄与する量の酢酸ビニル及び/又は極性成分を含まないことが意味される。例えば、一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システム及び組成物が、該柔軟性のある定形システム及び組成物の全乾燥質量に基づいて、約5質量%未満、約3質量%未満、又は約1質量%未満の酢酸ビニル及び/又は極性成分を含む。従って、該柔軟性のある定形システム及び組成物は、該柔軟性のある定形システム及び組成物の全乾燥質量に基づいて、5質量%未満、3質量%未満、又は1質量%未満の酢酸ビニル及び/又は極性成分を含むか、又は酢酸ビニル及び/又は極性成分を含まなくてよい。
【0023】
一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスが、2種以上のポリマーのブレンドを含む。ここで用いられるように、“ブレンド”及び“混合物”という用語は、該マトリックス又はポリマーキャリアにおける異なるポリマーの間に化学反応又は架橋(単純なH結合以外)がない、又は実質的にないことを意味する。しかし、一つのポリマー成分内における架橋は、上記ブレンドの範囲内にあると十分に考えられる。
一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが、該薬剤に良好な溶解性を有するが官能性又は反応性の基を有さない又は実質的に有さないアクリル系ポリマーを、第二のポリマー、例えばアミン適合性又はキャッピングされたシリコーン系ポリマーとブレンドして含み、それによって該マトリックスが十分な磨耗特性を有し、弱有機酸又は酸性不活性又は補助成分又は賦形剤を実質的に含まない。
【0024】
ここで用いられるように、“アクリル系”ポリマーが、任意のポリアクリレート、ポリアクリル、アクリレート又はアクリルポリマーとして定義される。該アクリル系ポリマーは、種々のアクリル酸又はエステルのホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのいずれかにすることができる。ここに記載されている組成物に有用なアクリル系ポリマーは、アクリル酸の1種以上のモノマー及び他の共重合可能なモノマーのポリマーを含む。該アクリル系ポリマーはまた、アクリル酸及び/又はメタクリル酸アルキル及び/又は共重合可能な第二級モノマーのコポリマーを含む。一部の実施態様では、該アクリル系ポリマーが接着剤ポリマーである。他の実施態様では、該アクリル系ポリマーが、粘着剤、可塑剤、架橋剤又は他の添加剤を加えることによって接着剤として機能する。
【0025】
ここで用いられるように、“非官能性アクリル系”ポリマーは、該アクリルに存在する官能性反応基を含まない又は実質的に含まない、例えば実質的に官能性反応基を含まないアクリル系ポリマーとして定義される。これらは、一般的に官能基を有さない他のモノマー(例えば酢酸ビニル)と共重合することのできるアクリルエステルである。従って、一つの実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマーがいかなる酢酸ビニル基も含まない。ここで用いられるように、“官能性反応基を実質的に含まない”というフレーズは、該アクリルポリマーが安定性に悪影響を及ぼす、例えば分解、再結晶化、又は他の望ましくない変化に寄与する量の官能性反応基を該薬剤又は組成物中に含まないことを意味する。従って、一部の実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマーが、該アクリルポリマーの全質量に基づいて、官能性反応基の約5質量%未満、約3質量%未満、又は約1質量%未満を含む。従って、該非官能性アクリル系ポリマーは、該アクリルポリマーの全質量に基づいて、官能性反応基の5質量%未満、3質量%未満、1質量%未満を含むか、官能性反応基を含まない。
【0026】
ここで用いられるように、“官能性モノマー又は基”は、典型的には該アクリル系ポリマーを直接修飾するか、又はさらなる反応のための部位を提供する反応性化学基を有するアクリル系ポリマーにおけるモノマー単位である。官能基の例は、カルボキシル、エポキシ、ヒドロキシル、スルホキシル、及びアミノ基を含む。官能基を有するアクリル系ポリマーは、上記のような非官能性モノマー単位に加え、遊離官能基を有するモノマー単位をさらに含有するコポリマー又はターポリマーである。該モノマーは単官能性又は多官能性でよい。これらの官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基などを含む。典型的なカルボキシル官能性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、及びクロトン酸を含む。典型的なヒドロキシ官能性モノマーは、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシアミル、メタクリル酸ヒドロキシアミル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシルを含む。上記のように、一部の実施態様では、該アクリルポリマーがそのような官能基を含まない。
【0027】
非官能性アクリル系ポリマーは、遊離官能基を有さない又は実質的に遊離官能基を有さない任意のアクリル系ポリマーを含み得る。典型的なアクリル系ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマーを含む。該ポリマーを製造するのに用いられるモノマーは、アクリル酸アルキル、アクリル酸又はメタクリル酸エステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリレート、アクリル酸N-ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、及びアクリル酸メチル、及び対応するメタクリル酸エステルを含み得る。
ここに記載されているアクリル系ポリマー、例えばアクリル系接着剤、官能性モノマー、及び官能基を有さず且つ該ポリマーマトリックス及び組成物における使用に好適なポリマー及び方法のさらなる詳細及び例は当技術分野で知られており、例えば、Satas, “Acrylic Adhesives,” Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology, 2nd ed., pp. 396-456 (D. Satas, ed.), Van Nostrand Reinhold, New York (1989); “Acrylic and Methacrylic Ester Polymers,” Polymer Science and Engineering, Vol. 1, 2nd ed., pp 234-268, John Wiley & Sons, (1984);米国特許第4,390,520号明細書;及び米国特許第4,994,267号明細書に記載されており、その全てを参照として全体に明確に組み込む。
【0028】
市場で入手可能な典型的で好適な非官能性アクリル系ポリマー接着剤は、商品名DURO-TAK(登録商標)でニュージャージー州ブリッジウォーターのNational Starch及びChemical Corporationによって販売されているもの;ニューヨーク州スケネクタディのSchenectady International, Inc.によって販売されているHRJ 4483、10127、及び11588(非官能性アクリル系の加圧で接着可能な接着剤);及びジョージア州スニュルナのUCB Surface Specialties(現在はCytec Surface Specialties, Inc.)によって販売されているGelva-Multipolymer Acrylic Solutionsを含む。一つの実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマーが、アクリル酸メチル及びアクリル酸2-エチルヘキシルモノマーのポリマーである。
【0029】
典型的には、高い割合の非官能性アクリル系ポリマーから製造される真皮薬剤送達組成物は、最適な性能のための十分な磨耗特性(例えば、粘着性及び凝集性)を有さない。従って、一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスに組み込まれる非官能性アクリル系ポリマー(非官能性アクリル系接着剤ポリマーを含む)の量には上限があり、例えば該ポリマーマトリックスの全乾燥質量に基づいて85質量%の上限である。この上限は、該組成物に混合される薬剤、該薬剤の混合量、強化剤などの他の添加剤の存在、及び用いられる他のポリマー又は接着剤のタイプ、例えば別のアクリル系ポリマーによって変化し得る。従って、例えば、一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスに組み込まれる非官能性アクリル系ポリマーの量は、該ポリマーマトリックス組成物の全乾燥質量に基づいて約85質量%まで(例えば約85%以下)であり、少なくとも約60質量%、少なくとも約65質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約75質量%、又は少なくとも約80質量%を含む。従って、一部の実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマーは、該ポリマーマトリックス組成物の全乾燥質量に基づいて、該ポリマーマトリックスの少なくとも60質量%、少なくとも65質量%、少なくとも70質量%、少なくとも75質量%、又は少なくとも80質量%を構成する。
【0030】
高い特性の非官能性アクリル系ポリマーを有するポリマーマトリックスで製造された真皮薬剤送達組成物の磨耗特性を向上させるために、第二のポリマーを該ポリマーマトリックスに含ませることができる。一つの実施態様では、第二のポリマーが、非刺激性且つ非感光性のゴムに基づくシリコーン系又は炭化水素ポリマーである。一部の実施態様では、該第二のポリマーが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約30質量%以下のポリマーマトリックスを含み、約30質量%を含んで、該ポリマーマトリックス組成物の全乾燥質量に基づいて、約25質量%以下、約20質量%以下、約15質量%以下、又は約10質量%以下の該ポリマーマトリックスを含む。従って、例えば、一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスに組み込まれる第二のポリマーの量は、該ポリマーマトリックスの全質量に基づいて、該ポリマーマトリックスの30質量%、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下であり、例えば30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%、又は10質量%未満である。
【0031】
“シリコーン系”ポリマーという用語は、ここで用いられており且つ当技術分野で公知なシロキサン、ポリシロキサン、及びシリコーンなどの用語と交換可能で用いられる。好適なシリコーン系ポリマーは加圧で接着可能な接着剤でもよい。従って、一部の実施態様では、該シリコーン系ポリマーが接着剤ポリマーである。他の実施態様では、該シリコーン系ポリマーが、粘着剤、可塑剤、架橋剤又は他の添加剤を加えることによって接着剤として機能する。
一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが、エラストマー、例えば高分子量のポリジオルガノシロキサンを樹脂で架橋し、適切な有機溶媒中で凝縮反応により3次元のシロキサン構造を製造することによって調製されたポリシロキサン接着剤であるシリコーン系ポリマーを含む。樹脂対エラストマーの比は、当技術分野で公知のようにポリシロキサン接着剤の物理的特性を改良するために調節することのできる重要な因子となり得る(例えば、Sobieski, et al., “Silicone Pressure Sensitive Adhesives,” Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology, 2nd ed., pp. 508-517 (D. Satas, ed.), Van Nostrand Reinhold, New York (1989)を参照)。ここで記載されているポリマーマトリックス及び組成物に有用なシリコーンの加圧で接着可能な接着剤及び方法のさらなる詳細及び例は、以下の米国特許第:4,591,622号;4,584,355号;4,585,836号;及び4,655,767号明細書に述べられており、その全てを参照としてこの全体に明確に組み込む。また、シリコーン流体は、ポリマーマトリックス及びここに記載されている組成物及び方法における使用のために考案されているとも理解すべきである。
【0032】
一部の実施態様では、シリコーン系ポリマーを第二のポリマーとして含むポリマーマトリックスが、アミノ官能性薬剤、例えばスコポラミンを含有する真皮組成物に有利である。しかし、アミノ官能性薬剤が、シリコーン結合ヒドロキシル(シラノール)基の縮合のための触媒として作用することによってシリコーン系ポリマーと相互作用する(それによって凝集性及び粘着性の損失を生じる)か、又はそのようなヒドロキシ基の存在下で分解/不安定化され得るため、一部の実施態様は低減されたシラノール含有量を有するシリコーン系ポリマーを用いる。低減された又は低いシラノール濃度を有するシリコーン系ポリマーの例は、ポリマー当たり約13,000以下(13,000以下を含む)、約7,700以下(7,700以下を含む)、又は約7,700以下(7,700以下を含む)のシリコーン結合ヒドロキシル含有量を有するものを含む。
【0033】
一部の実施態様では、低減されたシラノールを有するシリコーン系ポリマーが、アミン抵抗性又はアミン適合性である。ここで用いられるように、“アミン抵抗性又はアミン適合性”という用語は、該シリコーンが結合されたヒドロキシル基(Si-OH)が典型的にメチル基などの炭化水素基で置換(Si-CH3)されることによって実質的に減少又は除去されたシリコーンポリマーを意味することが意図される。従って、一部の実施態様では、該ポリマーマトリックスは、アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、例えば減少したシラノール含有量、例えばポリマー当たり約13,000以下、又は約7,700以下のシラノール含有量を有するアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含む。
典型的なシリコーン系ポリマーは接着剤(例えば、局所的投与の部位に留めることができる)であり、加圧で接着可能な接着剤を含む。減少したシラノール濃度を有するシリコーン系ポリマーの具体例は、アミン適合性のシリコーン系接着剤(及びキャッピングされたポリシロキサン接着剤)、例えば参照として全体がここに組み込まれる米国特許第35,474号及び第6,337,086号明細書に記載されたもの、及びDow Corning Corporationから市場で入手可能なそれらのBIO-PSA 7-4100、-4200及び-4300プロダクトシリーズ(ミシガン州ミッドランドDow Corning Corporationの、有機溶液中のポリシロキサンの加圧で接着可能な接着剤のためのMedical Products)を含む。
【0034】
ここに記載されているポリマーマトリックス、組成物及び方法における使用に好適となり得る他のアミノ官能性化シリコーンは、例えば、SM2658としてCostec, Inc.から入手可能なAmodimethicone、Dow Corning Corp.からのDow Corning(登録商標)929及び939、及びWacker Silicones CorporationからのL650、652及びADM 6057E;SF1708-D1、SM2101及びSM2115-D2としてCostec, Inc.から入手可能なTrimethylsilylamodimethicone、Dow Corning Corp.からのDow Corning(登録商標)Q2-7224及びQ2-8220、及びWacker Silicones CorporationからのL653、655、656及びADM 3047Eを含む。
一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが、(i)非官能性アクリル系ポリマー、及び(ii)アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーのブレンドから本質的になるポリマーブレンドを含む。“本質的になる”により、該ポリマーブレンドが該ポリマーブレンドの基本的な特徴を変える任意の他の成分を含まないことが意味される。例えば、そのようなポリマーブレンドは、酢酸ビニル、極性成分(例えばグリコール)、及び官能性反応基を含むポリマーを実質的に含まない。しかし、そのようなポリマーブレンドは、特に該非官能性アクリル系ポリマー及び/又はアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーが接着剤でない場合に、粘着剤、可塑剤、架橋剤及び/又は接着特性を与える他の添加剤を含み得る。そのようなポリマーブレンドはまた、以下に記載されるように非極性浸透強化剤を含まなくてよい。最終生成物の一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが、そこに可溶化されたアミノ官能性薬剤、例えばスコポラミン(スコポラミンベースを含む)も含む。
【0035】
一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが非極性浸透強化剤を含む。“浸透強化剤”は、該薬剤の皮膚への送達を促進させる公知の試薬である。これらの試薬はまた、促進剤、補助剤、及び吸収促進剤とも呼ばれ、ここでは一まとめにして“強化剤”と呼ぶ。この分類の試薬は、異なる作用機構を有するものを含み、例えば、角質層の能力を変化させて水分を保持させる、皮膚を軟化させる、皮膚の浸透性を向上させる、浸透補助又は毛包開口として作用する、又は境界層を含む皮膚の状態を変化させることによる、該ポリマーキャリア内における該薬剤の溶解性及び拡散性を向上させる機能を有するもの及び経皮的な吸収を向上させるものである。
【0036】
一つの実施態様では、該浸透強化剤は、無極性脂肪酸又は脂肪酸の無極性官能性誘導体、例えば脂肪アルコールであり、脂肪酸の等配電子修飾物又は脂肪酸のカルボキシル官能基の非酸性誘導体又はそれらの等配電子修飾物を含む。一つの実施態様では、脂肪酸の官能性誘導体が、-COOH基がその官能性誘導体で置換されている不飽和アルカン酸、例えばアルコール、ポリオール、アミド及びその置換誘導体であり、エステル、エーテル及びN,N'-二置換アミドを含む。“脂肪酸”という用語は、4〜24個の炭素原子を有する脂肪酸を意味し、限定はしないが動物及び植物由来の脂肪酸を含む。典型的な誘導体は、オレイルアルコールなどのオレイン酸に基づく誘導体である。一部の実施態様では、該浸透強化剤がオレイルアルコールである。
【0037】
一部の実施態様では、該浸透強化剤が極性成分、例えばグリコール、ジプロピレングリコールなどを実質的に含まない。“実質的に含まない”により、該浸透強化剤が安定性に悪影響を与えない、例えば該薬剤又は組成物における分解、再結晶、又は他の望ましくない変化に寄与しない量の極性成分、例えばグリコールを含まないことが意味される。例えば、一部の実施態様では、該浸透強化剤が、該浸透強化剤の全質量に基づいて、約質量5%未満、約3質量%未満、又は約1質量%未満の極性成分を含む。従って、該浸透強化剤は、該浸透強化剤の全質量に基づいて、5質量%未満、3質量%未満、又は1質量%未満の極性成分、例えばグリコールを含むか、又は極性成分を含まない、例えばグリコールを含まない。
一部の実施態様では、浸透強化剤が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、乾燥質量で該ポリマーマトリックスの約20質量%以下、例えば20質量%以下、約10質量%以下、例えば10質量%以下、又は約10質量%未満、例えば10質量%未満、約5質量%未満、例えば5質量%未満、又は約3質量%未満、例えば3質量%未満の量で用いられる。
【0038】
一つの実施態様では、該柔軟性のある定形システムが、(a)(i)非官能性アクリル系ポリマー、(ii)アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、及び(iii)グリコールを実質的に含まない無極性浸透強化剤のブレンドからなるポリマーブレンドから本質的になるポリマーマトリックス、及び(b)該ポリマーマトリックスに可溶化されたアミノ官能性薬剤、例えばスコポラミン(スコポラミンベースを含む)を含む。“本質的になる”により、該ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの基本的な特徴を変えない任意の他の成分を含まないことが意味される。例えば、そのようなポリマーマトリックスは、酢酸ビニル、極性成分(例えばグリコール)、及び官能性反応基を含むポリマーを実質的に含まない。しかし、そのようなポリマーブレンドは、粘着剤、可塑剤、架橋剤及び/又は接着特性を与えない他の添加剤を、特に該非官能性アクリル系ポリマー及び/又はアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーが接着剤でない場合の実施態様では含まなくてよい。一つの実施態様では、該ポリマー マトリックスが、(i)非官能性アクリル系ポリマー、(ii)アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、及び(iii)浸透強化剤のブレンドからなるポリマーブレンドを含む。そのようなマトリックスは、粘着剤、可塑剤、架橋剤又は他の添加剤を含まない。最終生成物の一つの実施態様では、該ポリマーマトリックスが、そこに可溶化されたアミノ官能性薬剤、例えばスコポラミン(スコポラミンベースを含む)も含む。
【0039】
真皮組成物(例えば、該ポリマーマトリックス)に組み込まれる薬剤の量は、特定の薬剤、所望の治療効果、及び該システムが治療を提供するための時間に依存して変わる。大部分の薬剤では、皮膚を介する薬剤の通過が、送達において律速段階である。該システムにおける最小量の薬剤は、該システムが治療を提供するための時間内に皮膚を通過する薬剤の量に基づいて選択される。一部の実施態様では、柔軟性のある定形システムが約3日間以上の期間で用いられる。従って、一つの実施態様では、該柔軟性のある定形システムが、1日〜3日間以上、例えば1日間、3日間、又はそれ以上の期間に渡って治療レベルの薬剤を送達するのに十分な量の薬剤を含む。
【0040】
一般的に、該ポリマーマトリックスに可溶化された薬剤の量は、該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約0.1質量%〜約30質量%で変化し得る。しかし、ここで記載されている該ポリマーマトリックス及び組成物は、一般的に比較的低濃度、例えば該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約0.3質量%〜約30質量%、該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約0.5質量%〜約15質量%、該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約1質量%〜約10質量%、又は該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約5質量%未満で用いられる薬剤に特に有用である。従って、本発明は、ポリマーマトリックスをそこに可溶化された薬剤と共に含む柔軟性のある定形システムを含み、薬剤の量は該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、0.1〜30質量%、0.3〜30質量%、0.5〜15質量%、1〜10質量%、又は5質量%未満である。
【0041】
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約6質量%、例えば6質量%の量のそこに可溶化された薬剤、例えばスコポラミン含むポリマーマトリックスを含む。
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約12質量%、例えば12質量%の量のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを含む。
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約76質量%、例えば76質量%の量の非官能性アクリル系ポリマーを含むポリマーマトリックスを含む。
【0042】
一部の実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマー対該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーの質量/質量比が、少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約5.5:1又は少なくとも約6:1である。従って、一部の実施態様では、該非官能性アクリル系ポリマー対該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーの質量/質量比が、少なくとも3:1、少なくとも3.5:1、少なくとも4:1、少なくとも4.5:1、少なくとも5:1、少なくとも5.5:1又は少なくとも6:1、例えば約3:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.5:1及び約6.1である。
【0043】
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムの該ポリマーマトリックスの単位面積当たりの質量が、約1mg/cm2〜約20mg/cm2の範囲にあり、例えば約1.5mg/cm2〜約15mg/cm2の範囲である。従って、一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムの該ポリマーマトリックスの単位面積当たりの質量が、1mg/cm2〜20mg/cm2、又は1.5mg/cm2〜15mg/cm2である。
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムによって達成される薬剤送達速度が、1日当たり約0.01mg〜約100mgの範囲の活性剤であり、1日当たり約0.1mg〜約50mgの範囲を含む。従って、一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムによって達成される薬剤送達速度が、1日当たり0.01mg〜100mgの範囲の活性剤であり、1日当たり0.1mg〜50mgを含む。一部の実施態様では、これらの速度は、少なくとも約3日間、例えば少なくとも3日の投与持続時間に渡って達成され、3日間を含む。
【0044】
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムによって達成される薬剤送達が、図1で説明されているように、類似の標準的なTransderm Scop(登録商標)生成物によって達成されるものと生物学的に等価である。一部の実施態様では、この生物学的に等価な薬剤送達が、少なくとも約3日間、例えば3日間を含む少なくとも3日間の投与期間に渡って達成される。
【0045】
本発明のポリマーマトリックスはまた、該薬剤及び/又はポリマーのための揮発性処理溶媒又は“共溶媒”も含み得る。一部の実施態様では、該溶媒は無毒性であり、医薬的に許容される例えば液体(水は含まない)としての物質であり、該ポリマーマトリックス又は柔軟性のある定形システムの接着特性又は該薬剤の安定性に実質的に悪影響を与えず、そこにおいて使用量の該薬剤が完全に溶解する。好適な溶媒は、アルコールなどの揮発性液体(例えば、メチル、エチル、イソプロピルアルコール及び塩化メチレン);ケトン(例えば、アセトン);ベンゼン誘導体などの芳香族炭化水素(例えば、キシレン及びトルエン);低分子量アルカン及びシクロアルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサン);及びアルカン酸エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n-ブチル、イソ酪酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸2-エチルヘキシル又は酢酸ブチル);及びそれらの組み合わせ及び混合物を含む。
【0046】
一つの実施態様では、経皮薬剤送達システムが、(A)(i)非官能性アクリル系ポリマー、(ii)アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー;及び(iii)該薬剤(例えば、スコポラミン、例えばスコポラミンベース)を揮発性溶媒で混合する工程、(B)該混合物を鋳造する工程、及び(C)該揮発性溶媒を除去して乾燥ポリマーマトリックスを得る工程によるポリマーマトリックスを調製することによって調製される。一部の実施態様では、用いた成分の量が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、少なくとも60質量%の非官能性アクリル系ポリマー及び30質量%以下のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを生じる量から選択される。一つの特別な実施態様では、経皮薬剤送達システムが、ポリマー マトリックスを、(A)(i)非官能性ポリアクリレート、(ii)アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、(iii)薬剤(例えば、スコポラミン、スコポラミンベースを含む)、及び(iv)グリコールを実質的に含まない強化剤を適切な量で適切な揮発性溶媒(共溶媒を含む)において混合する工程、(B)該混合物を鋳造する工程、及び(C)該溶媒をエバポレーションによって除去してフィルムを形成し、乾燥ポリマーマトリックスを得る工程によって調製することによって調製される。一部の実施態様では、用いた成分の量が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、少なくとも60質量%の非官能性アクリル系ポリマー及び30質量%以下のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを生じる量から選択される。一部の実施態様では、最終ポリマーマトリックス又は組成物が揮発性溶媒を実質的に含まず、例えばアルカノールなどの溶媒を実質的に含まない。さらに、一部の実施態様では、該ポリマーマトリックス又は組成物は水を用いずに製造される。従って、最終ポリマーマトリックス又は組成物は水を実質的に含まない。さらに上記のように、最終ポリマーマトリックス又は組成物は、酢酸ビニル及び極性成分(グリコールを含む)を実質的に含まなくてよい。
【0047】
一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムがそこに可溶化された薬剤を伴うポリマーマトリックスを含み(例えば、活性物質を含有する加圧で接着可能な接着剤ポリマーマトリックス又はモノリシック体)、これは確定された外形を有し、さらに該マトリックスの一面に配置される保護用放出ライナー(これは使用前に除去される)及び該薬剤及び該ポリマーマトリックスの他の成分に実質的に不浸透性なバッキング層を含む。使用の際は、該放出ライナーを除去して、薬剤キャリアマトリックス及び該真皮システムを使用者に投与する手段(例えば接着)の両方として機能する該ポリマーマトリックス(接着組成物)に曝す。上記のように、一部の実施態様では、ここで記載されている柔軟性のある定形システムが速度制御用の膜を含まない。
該柔軟性のある定形システムは、経皮投与に好適な任意の形状又はサイズからなり得る。一つの実施態様では、該柔軟性のある定形システムが約2.5cm2の表面積を有する。
【0048】
上記のように、該ポリマー マトリックスが加圧で接着可能な接着剤を含む実施態様では、該ポリマーマトリックスを、任意の経皮薬剤送達システムの接着部分(例えば保存装置)として用いることができ、多層システムの1層以上として用いることができる。あるいは、加圧で接着可能な接着剤を含むポリマーマトリックスは、接着性モノリシックデバイスを含むことができる。該ポリマーマトリックスが接着剤を含まないが、その代わりに例えばポリマー性薬剤容器を含む実施態様では、当業者は、薬剤安定性を保持するための成分の選択に関して、上記と同じ原理の適用性を理解する。
一部の実施態様では、ここに記載されているような柔軟性のある定形システムを、それを必要としている対象の皮膚に投与することによって経皮薬剤送達を行う方法が提供される。一部の実施態様では、該柔軟性のある定形システムがスコポラミン、例えばスコポラミンベースを含み、該柔軟性のある定形システムが少なくとも約3日間、例えば3日間を含む少なくとも3日間の期間に渡って投与される。一部の実施態様では、該方法が、治療レベルのスコポラミンを対象において該投与期間中、例えば少なくとも約3日間、3日間を含む少なくとも3日間などの期間中に達成するのに有効である。
【0049】
実施例
以下の実施例は、該真皮システム及びここに記載されているポリマーマトリックス及び組成物の説明として含まれる。この実施例は、本発明の範囲を限定する意図は全くない。本発明の他の特徴は、本発明が関連する当業者に明らかである。
ここで用いられるように、“フラックス”という用語は、皮膚又は粘膜を介する該薬剤の吸収として定義され、フィックの拡散の第一法則によって記載される:
J=-D(dCm/dx)
式中、Jはg/cm2/秒におけるフラックスであり、Dはcm2/秒における皮膚又は粘膜を介する該薬剤の拡散係数であり、及びDcm/dxは皮膚又は粘膜に渡る該薬剤の濃度勾配である。
【0050】
この実施例で用いた真皮組成物は、質量/質量%の湿量基準で:
8%のアミノ適合性ポリシロキサン接着剤(酢酸エチル中に60%の固形物を有するメチル化トリメチル化シリカ;ミシガン州ミッドランドDow Corning CorporationのMedical Products)、
81.1%の非官能性、未架橋のアクリレートコポリマー接着剤(酢酸エチル中に38%の固形物;ニュージャージー州ブリッジウォーターのNational Starch及びChemical Corporation)、
2.4%のオレイルアルコール、
2.4%のスコポラミンベース、及び
6.1%の酢酸エチル
を容器内で完全に混合することによって調製した。
【0051】
該ブレンドは、ポリエステル放出ライナー(Scotch Pak(登録商標)1022; 3M:ミシガン州ミネアポリス)上に、15ミルの湿式ギャップアプリケーターで鋳造した。鋳造したものを、大気温度のフード下で5分間、及び85℃の対流空気オーブンにおいてさらに5分間乾燥し、揮発性処理用溶媒を除去した。この工程が完了した後、乾燥した接着薬剤組成物でコーティングされた放出ライナーを、ポリエステル/エチレン酢酸ビニルバッキング材料(Scotch Pak(登録商標) 9732)のポリエステル側に重ねた。これは、乾燥基準(すなわち、揮発性溶媒の除去後)で以下の組成を有する組成物を生じた:
成分 質量%
ポリシロキサン接着剤 12
ポリアクリレート接着剤 76
オレイルアルコール 6
スコポラミンベース 6
100
【0052】
該マトリックスシステムのフラックス研究は、市場で入手可能な生成物Transderm Scop(登録商標)に対して、熱分離技術(Kligman & Christopher, 88 Arch. Dermatol. 702 (1963))によって中間層の低温保存された死体の皮膚から得られた角質層で行われるヒトの死体の皮膚を用いて行った。
該試験組成物の3種のサンプル及び対照を0.5cm2の円形部分に切り出し、該放出ライナーを除去し、及び該組成物を該角質層上に置いた。該皮膚マトリックスサンプルを、続いて該ドナー及び受入容器の間で修飾したフランツ細胞上に搭載し、該皮膚は約300rpmで磁気によって攪拌された7.5mlの0.9%NaCl及び0.01%NaN3の受入用溶液を含有する受入容器に面する。続いて、該フランツ細胞を培養器に入れ、該サンプルを32℃に保持した。予め決定したサンプリング間隔で、該受入容器の全含有物を薬剤評価のために回収し、及び該受入容器に新たな受入用溶液を補充した。該浸透サンプルを続いてHPLCによって分析した。
本発明のマトリックスシステムを用いた生体外でのフラックス実験の結果が図1に示されており、ここに記載されている接着剤ポリマーマトリックスに基づくスコポラミンの経皮送達のための柔軟性のある定形システムが、市販の経皮スコポラミン生成物と生物学的に等価であること、及びここに記載されている柔軟性のある定形システムが、速度制御用膜を必要とせずにそのような結果を達成しつつ、向上した安定性を有することを説明している。
【0053】
本発明は特定の実施態様及び用途に関して記載されているが、当業者はこの教示を考慮して、本発明の範囲を超えないか又は本発明の意図から逸脱せずにさらなる実施態様を創造することができる。従って、この開示における図面及び記載は、本発明の理解を容易にするために提供されていると理解すべきであり、その範囲の限定するものと解釈すべきではない。
ここで用いる技術的及び科学的用語は、明記しない限り、本発明が関連する当業者に一般的に理解されている意味を有する。ここでは、当業者に公知の種々の方法論を参照されたい。参照されるそのような公知の方法論を説明する刊行物及びその他を、それらの全体を完全に説明しているものとしてここに組み込む。当業者に公知の任意の好適な材料及び/又は方法を本発明を行う際に用いることができる。しかし、特別な材料及び方法は記載されている。以下の記載及び実施例で参照される材料、試薬などは、明記しない限り、市販の供給元から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】72時間に渡って本発明の真皮組成物を含む経皮接着剤システムと市場で入手可能な生成物であるTransderm Scop(登録商標)を比較する、生体外の浸透実験からの死体の皮膚を介する平均スコポラミンフラックスの図形的な説明。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマーマトリックス、これは、(i)該ポリマーマトリックスの乾燥質量の少なくとも約60質量%を構成する非官能性アクリル系ポリマー、及び(ii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量の約30質量%以下を構成するアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーのブレンドから本質的になるポリマーブレンドを含む;及び
(b)該ポリマーマトリックスに可溶化されたスコポラミン、
を含むスコポラミンの経皮投与のための柔軟性のある定形システムであって、実質的に酢酸ビニル及び極性成分を含まない、システム。
【請求項2】
前記非官能性アクリル系ポリマーが、非官能性ポリアクリレート、ポリアクリル、及びアクリレート及びアクリルポリマーからなる群から選択される、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項3】
前記非官能性アクリル系ポリマーが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリルレート、アクリル酸N-ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、及びアクリル酸メチル、及び対応するメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルからなる群から選択されるモノマーの非官能性ホモポリマー、コポリマー及びターポリマーからなる群から選択される、請求項2記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項4】
前記非官能性アクリル系ポリマーが、アクリル酸メチル及びアクリル酸2-エチルヘキシルモノマーである、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項5】
前記アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーが、ポリマー当たり約13,000以下のシラノール含有量を有する、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項6】
前記アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーが、ポリマー当たり約7,700以下のシラノール含有量を有する、請求項5記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項7】
前記ポリマーマトリックスが、加圧で接着可能な接着組成物である、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項8】
前記ポリマーマトリックスが、グリコールを実質的に含まない無極性浸透強化剤をさらに含む、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項9】
前記浸透強化剤が、脂肪酸の無極性官能性誘導体である、請求項8記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項10】
前記浸透強化剤が、無極性脂肪酸又は脂肪アルコールである、請求項8記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項11】
前記浸透強化剤が、オレイルアルコールである、請求項8記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項12】
前記ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約10質量%未満、約5質量%未満、及び約3質量%未満からなる群から選択される量の無極性浸透強化剤を含む、請求項8記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項13】
前記スコポラミンが、スコポラミンベースである、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項14】
前記ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約0.1〜約30質量%、約0.3〜約30質量%、約0.5〜約15質量%、約1〜約10質量%、及び約5質量%未満からなる群から選択される量のそこに可溶化されたスコポラミンを含む、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項15】
前記ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの全乾燥質量に基づいて、約85質量%以下の非官能性アクリル系ポリマー、約30質量%以下のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、及び約10質量%以下の浸透強化剤を含む、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項16】
前記ポリマーマトリックスが、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、約1質量%〜約10質量%の量のそこに可溶化されたスコポラミンをさらに含む、請求項15記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項17】
前記ポリマーマトリックスが、(i)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約76質量%の量の非官能性アクリル系ポリマー、(ii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約12質量%の量のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、(iii)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約6質量%の量のそこに可溶化されたスコポラミンベース、及び(iv)該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて約6質量%の量のオレイルアルコールを含む、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項18】
前記ポリマーマトリックスにおける非官能性アクリル系ポリマー対アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーの質量/質量比が、少なくとも約3:1、少なくとも約3.5:1、少なくとも約4:1、少なくとも約4.5:1、少なくとも約5:1、少なくとも約5.5:1及び少なくとも約6:1からなる群から選択される、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項19】
前記柔軟性のある定形システムが、速度制御用膜を含まない、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項20】
前記柔軟性のある定形システムが、バッキング層をさらに含む、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項21】
前記柔軟性のある定形システムが、放出ライナーをさらに含む、請求項1記載の柔軟性のある定形システム。
【請求項22】
請求項1記載の柔軟性のある定形システムを製造する方法であって、
(A)揮発性溶媒において、(i)該非官能性アクリル系ポリマー、(ii)該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、及び(iii)スコポラミンを混合する工程、
(B)該混合物を鋳造する工程;及び
(C)該揮発性溶媒を除去して乾燥ポリマーマトリックスを得る工程を含み、
用いた成分(i)、(ii)及び(iii)の量が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、少なくとも60質量%の非官能性アクリル系ポリマー及び30質量%以下のアミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを生じる量から選択される、方法。
【請求項23】
請求項23記載の方法であって、工程(A)が、揮発性溶媒において、(i)該官能性アクリル系ポリマー、(ii)該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマー、(iii)該スコポラミン及び(iv)グリコールを実質的に含まない非極性浸透強化剤を混合する工程を含み、
用いた成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の量が、該ポリマーマトリックスの乾燥質量に基づいて、少なくとも60質量%の非官能性アクリル系ポリマー及び30質量%以下の該アミン耐久性のキャッピングがされたシリコーンポリマーを含むポリマーマトリックスを生じる量から選択される、方法。
【請求項24】
請求項1記載の柔軟性のある定形システムを、それを必要としている対象の皮膚に投与することを含む、経皮スコポラミン送達を行う方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−528357(P2009−528357A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557323(P2008−557323)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/004911
【国際公開番号】WO2007/100757
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(500134562)ノーヴェン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】