説明

アミノ酸誘導体の立体選択的製造方法

本発明は、式(III)の化合物(式中、Rは(C−C)−アルキルである。)、又は、その光学異性体の水素化反応を含む、アミノ酸誘導体の立体選択的製造方法に関する。引き続き、L−メシチルアラニン、又は、その光学異性体のD−メシチルアラニンを得るために水素化反応され、任意に、特にFmocで、前記化合物に対してアミノ基保護反応が行われる。また、生成物自体としてFmoc−L−又はFmoc−D−メシチルアラニンが含まれ、治療又は生物学的な活性を有するペプチド又はペプチドアナログの製造における中間体として有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドの製造に有用な、L−及びD−メシチルアラニンの立体選択的製造方法に関する。特に、本発明は、Fmoc基で保護されたL−又はD−メシチルアラニン及び該化合物自体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチド薬は、約10億米ドルの市場であり、医薬品有効成分の総売上高の約1%の売上高を示す。現在、市場には40を超える合成ペプチドが存在し、500を超える新しいペプチド分子が開発されている。
【0003】
これらの化合物は、生物学的、治療的に興味深い特性を有するため、ペプチド類の化学は研究の非常に重要な領域である。同様に、非タンパク質性アミノ酸は、生物的、治療的活性を有する前記ペプチド類の中間体として、ますますより重要である。
【0004】
薬の活性は、受容体との相互作用を示すことのできるその立体配座に依存すること、次にその立体配座は、ペプチド化合物の場合、その鎖に存在するアミノ酸に依存することが知られている。したがって、薬としてのそれらの活性を変える1つの方法は、生物的活性ペプチドの配列部分を形成するアミノ酸の立体配座固定アナログを導入することである。(例えば、非特許文献1及び2参照)
【0005】
非天然アミノ酸の使用は、プロテアーゼでより分解し易い、対応するペプチド類の半減期を増加させる。また、いくつかのアミノ酸において、メシチル(2、4、6−トリメチルフェニル)を有するフェニル基での置換が、最も安定した立体配座異性体の配置を大きく変えることなく回転障壁を大幅に増加させることも記載されている(非特許文献3参照)。このメシチルアラニンを有するフェニルアラニンの置換によって、優れた生物活性を有するペプチドアナログ、例えば[D−har8]バソプレッシンのアナログ(非特許文献4)、鎮痛剤と血圧降下剤(特許文献1)、エンケファリンのアナログ(特許文献2)、LHRHホルモン(特許文献3)及びフィブロイン配列を有するペプチド類などは製造された。これらのアナログの製造は、Boc保護基で保護されたアミノ酸をラセミ体に組込むことによって行われた。その後、得られたペプチド類はキラル固定相を備えたHPLCで分離された(非特許文献5)。
【0006】
L−フェニルアラニンは、多くの天然ペプチドとタンパク質に自然に存在する天然アミノ酸である。メシチルアラニンは、いくつかのペプチドとペプチドアナログの製造に有用な非天然アミノ酸である。メシチルアラニンは、ラセミ体として製造され、調製的にではなく、分析的に分離された。しかしながら、恐らく、側鎖にメシチル基を有する鏡像異性的に純粋なアミノ酸を製造することが困難なために、現在までのところメシチルアラニンの使用はかなり稀である。
【0007】
E.Medinaらは、シャープレスエポキシ化とシャープレスアミノヒドロキシル化に基づくメシチルアミノ酸の合成について記載している(非特許文献6参照)。しかしながら、この合成には、産業レベルでの使用を妨げる重大な欠点がある。このような欠点の中でも、メシチルプロペノールのシャープレスエポキシ化の非常に低い転換率が際立っている。またアミノヒドロキシル化反応による粗生成物は、過度の残渣を除去するためにクロマトグラフされる必要がある。アセトアミドアクリル酸前駆体のエナンチオ選択性非対称触媒水素化法によるL−メシチルアラニン塩酸塩の合成についても記載されている(非特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0213481号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0136720号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0049628号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T. Osaka et al., Current Opinion in Chemical Biology 2002, vol. 6, pp. 809-815
【非特許文献2】D. R. Hodgson et al., Chem. Soc. Rev 2004, vol. 33, pp. 422-430
【非特許文献3】E Medina et al., Helv. Chim. Acta 2000, vol. 83, pp. 972-988
【非特許文献4】M. Zertova et al., Collect. Czech. Chem. Comun. 1993, vol. 58, pp. 2751
【非特許文献5】J.Hlavaceck et al., Collect. Czech. Chem. Comun., 1991, vol. 56, p. 2991
【非特許文献6】Helv. Chim. Acta 2000, vol. 83, pp. 972-988
【非特許文献7】T. Li et al., Chem. Pharm. Bull. 2006, vol. 54, pp. 873-877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在の技術水準に照らし、これらの全ての文献の教示は、L−又はD−メシチルアミノ酸、特にL−又はD−メシチルアラニンを製造するための新しいプロセスの研究は、なお活発な分野であることを示している。L−又はD−メシチルアラニンは、優れた生物活性を有する様々なペプチドやペプチドアナログの製造に有用なアミノ酸であるが、このグループを含む鏡像異性的に純粋なアミノ酸を製造するための既存の製造方法が複雑であるために、現在まで、広範囲にわたっては使用されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らはL−メシチルアラニンとD−メシチルアラニンの両方を立体選択的に製造するための、実用的で高収率な製造方法を発見した。
【発明の効果】
【0012】
特に、その製造方法は保護されたL−又はD−メシチルアラニンを製造するのに適しており、また、ペプチドの固相合成に非常に適している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
したがって、本発明の最初の態様は式(I)の化合物、又は、その光学異性体(I’)の実質的に純粋な光学異性体の立体選択的な製造方法を提供することである。
【0014】
【化1】

【0015】
式中、Pは水素又はアミン保護基である。製造方法は、以下のステップを含む:
a)式(II)の化合物、又は、その光学異性体(II’)を得るために、式(III)の化合物、又は、その光学異性体(III’)に対して水素化反応を行う。式中、Rは(C−C)アルキルである;
【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
b)式(I)の化合物、又は、その光学異性体(I’)を得るために、式(II)の化合物、又は、その光学異性体(II’)に対して加水分解反応を行う。式中、Pは水素であり、任意に、前記化合物(I)、又は、その光学異性体(I’)に対してアミノ基保護反応を行う。
【0019】
実質的に純粋な光学異性体とは、95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の前記光学異性体の光学異性体過剰率を有しているものと理解される。
【0020】
好ましくは、Rは(C−C)アルキルである。特定の実施形態ではRはメチルである。別の特定の実施形態ではRはエチルである。
【0021】
水素化のステップは、定量的収率で、完全な位置選択性によって行われる。水素化は、一般的な方法で、特に限定はされないが、例えば、金属又は金属錯体などの当業者に公知の触媒を用いて行われる。好ましくは、水素化反応の触媒は、ウィルキンソン触媒、クラブツリー触媒、ラネーニッケル触媒、無酸化状態でプロトン酸と結合した金属又は活性炭と結合した白金族の金属から成る群より選択される。より好ましくは、水素化反応の触媒は、活性炭と結合した白金族の金属であり、特に、パラジウム/活性炭(Pd/C)である。水素化反応のための水素源には、水素(H)に加えて、特に限定はされないが、例えば、ヒドラジン、置換ヒドラジン、イソプロパノール又は蟻酸などの当業者に公知の全ての水素供与分子が含まれる。
【0022】
加水分解は、塩基性又は酸性条件下で行われる。好適実施形態では、加水分解が塩基性媒体中で行われる。加水分解反応に塩基性媒体を提供する化合物には、当業者に公知のあらゆる塩基が含まれる。より好適な実施形態では、塩基はアルカリ金属水酸化物である。特定の実施形態では、アルカリ金属水酸化物はリチウム水酸化物である。
【0023】
本発明の製造方法は異なる保護基を用いてL−メシチルアラニンとD−メシチルアラニンを保護することを可能にする。カルバメート、アミド、スルホンアミド、アリル、任意に置換されたベンジル;(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシル又はハロゲンから成る群より選択される置換基などの多くの適切なアミノ基保護基がある。最も適切な保護基は、t−ブトキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、アリル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル及びベンジルから選択されるが、これには限定されない。
【0024】
好適実施形態では、保護基はFmocである。最新技術における文献には、Fmoc、Cbz、アリル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル又はベンジルによって保護されたL−メシチルアラニン又はD−メシチルアラニンについて記載しているものはない。既に公知の製造方法とは異なり、本発明の製造方法は、立体選択的に前記化合物を得ることを可能とするため、特に有利である。特定の実施形態では、前記アミノ酸からのその後のペプチドの製造において、保護基の脱保護や、ペプチドの樹脂からの脱固定に用いられる簡単で穏やかな反応条件に関連して、Fmoc基による保護はいくつかの利点を有している。Fmocでのアミノ基の保護を使用した固相ペプチド化学合成の戦略は、実験室規模及び生産規模の両方でのペプチド製造のために、群を抜いて最も広く使用される戦略である。
【0025】
当該技術分野で公知の方法で、保護基を導入及び除去することができる。(参照:Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley−Interscience,(1999))。特別な条件は使用される保護基に依存する。特定の実施形態では、Fmoc基が使用されている場合には、適切な溶剤と有機又は無機の塩基の存在下で、Fmoc−Cl又はFmoc−サクシニミジルとの反応によって、その後者を導入できる。脱保護基は温和な条件下で塩基との反応で行われる。脱保護基のための適切な塩基としては、特に限定はされないが、例えば、ピペリジン、モルフォリン、ジシクロヘキシルアミン、KCO、KHCOなど任意の有機又は無機の塩基が含まれる。
【0026】
好適実施形態では、式(III)の化合物、又は、その光学異性体(III’)を得るために、式(IV)の化合物、又は、その光学異性体(IV’)は、前もって式P(Rのホスフィンと反応する。式中、Rは(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、任意に置換されたフェニル、任意に置換された−(CH−フェニル(式中、nは1〜4の整数であり、ベンゼン環を有する基の置換基は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシル又はハロゲンから成る群より、独立して選択される)から成る群より、独立して選択される基である。式(III)、(III’)、(IV)及び(IV’)中のRは(C−C)−アルキルである。
【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
好ましくは、Rは等しく、ホスフィンは芳香族ホスフィンであり、より好ましくは、ホスフィンはトリフェニルホスフィンである。このステップは中程度の収率で行われるが、その化合物は、光学的に純粋な構造(キラルHPLC分析により、光学純度>99%ee)で得られる。
【0030】
別の好適実施形態では、式(IV)の化合物、又は、(IV’)の化合物を得るために、式(V)の化合物、又は、その光学異性体(V’)は、前もって無機アジドと反応する。式中、Rは(C−C)−アルキルである。好ましくは、無機アジドは、アルカリ又はアルカリ土類金属アジドから成る群より選択され、特に、それはアジ化ナトリウムである。
【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
この反応は、通常、50〜150℃の温度で行われ、より好ましくは、約100℃の温度で行われる。亜硫酸環の開環が完全な位置選択性で、高収率で行われる。
【0034】
別の好適実施形態では、式(V)の化合物、又は、その光学異性体(V’)を得るために、式(VI)の化合物、又は、その光学異性体(VI’)は、前もってチオニルハロゲン化物と反応する。式中、Rは(C−C)−アルキルである、好ましくは、チオニルハロゲン化物は塩化チオニルである。
【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
別の好適実施形態では、式(VI)の化合物、又は、その光学異性体(VI’)を得るために、式(VII)の化合物は、前もってシャープレス不斉ジヒドロキシ化反応が行われる。式中、Rは(C−C)−アルキルである。
【0038】
【化10】

【0039】
シャープレス不斉ジヒドロキシ化(AD)は、ほぼ定量的収率で、ジヒドロエステル(VI)、又は、その光学異性体(VI’)を用いて行われ、光学的に純粋な構造(キラルHPLC分析により、光学純度>99%ee)で得られる。通常、シャープレスジヒドロキシ化は、四酸化オスミウム又はオスミウム酸カリウム、キラルキニンリガンド及びKFe(CN)もしくはN−メチルモルホリンN−オキシドなどの酸化剤の存在下で行われる。以下のステップでは、事前に精製することなく、得られた化合物を使用できる。適切なキラルリガンドには、ヒドロキニン1,4−フタラジンジイルジエーテル((DHQ)PHAL)又はヒドロキニジン1,4−フタラジンジイルジエーテル((DHQD)PHAL)が含まれるが、これに限定されない。その結果、(DHQ)PHALを使用する場合には、化合物(VI)が得られ、(DHQD)PHALを使用する場合には、化合物(VI’)が得られる。
【0040】
下記スキームは出発製品(VIIa)からの本発明の特定の実施形態を示す。
【0041】
【化11】

【0042】
化合物(Ia)又は(Ip)の逆の立体配置のものが必要である場合、適切な構造の化合物から同様にこのプロセスが実施される。
【0043】
ホーナー・ワズワース・エモンズ反応によってメシチルアルデヒドから出発化合物(VII)を容易に得ることができる。
【0044】
本発明の2番目の態様は、化合物Fmoc−(L)−メシチルアラニン及びFmoc−(D)−メシチルアラニンを提供することであり、生物活性を有するペプチドとペプチドアナログを製造するための有用性を仲介する。
【0045】
本発明のもう1つの態様は、1つ以上のメシチルアラニン残基を有する固相でペプチドを製造するための製造方法を提供することであり、Fmoc−(L)−メシチルアラニン、Fmoc−(D)−メシチルアラニン、Cbz−(L)−メシチルアラニン、Cbz−(D)−メシチルアラニン、アリル−(L)−メシチルアラニン、アリル−(D)−メシチルアラニン、4−メトキシベンジル−(L)−メシチルアラニン、4−メトキシベンジル−(D)−メシチルアラニン、2,4−ジメトキシベンジル−(L)−メシチルアラニン、2,4−ジメトキシベンジル−(D)−メシチルアラニン、ベンジル−(L)−メシチルアラニン、ベンジル−(D)−メシチルアラニンから選択されるN−保護アミノ酸の使用が含まれる。
【0046】
また、本発明の一部は、ペプチドを1つ以上のメシチルアラニン残基を有する固相で製造するための製造方法であり、本明細書で上記した式(I)の化合物、又は、その光学異性体(I’)の実質的に純粋な光学異性体を立体選択的に製造するための製造方法を行うことが含まれる。
【0047】
本発明の製造方法は、鏡像異性的に純粋なL−及びD−メシチルアラニン誘導体を得ることを可能にするという事実のために特に有利であり、それは、優れた生物活性を有し、さらには、非天然アミノ酸を包含するという事実のためにより優れた安定性を有するペプチドとペプチドアナログを製造するための有用性を仲介する。実施例9〜11に、固相でのペプチド合成におけるこれらの化合物の使用を例示する。
【0048】
本発明の明細書と実施例の一部から、本発明の他の目的、利点及び特徴は、当業者に、ある程度理解されるであろう。明細書と特許請求の範囲を通して、「含む」という言葉とその変形語は、他の技術的特徴、添加物、組成又はステップを除外することを意図しない。
【0049】
以下の実施例は、例示として提供され、本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0050】
以下の非限定的な実施例は、立体異性構造についての発明を示す。逆の立体配置が必要である場合、当業者にとって明らかであるように、適切な配置を有する化合物から出発し、同様の方法で本発明を実施できる。
【0051】
旋光度は室温(23℃)で測定した。H NMRスペクトルは内部標準としてテトラメチルシランを用い、400MHzで得た。13C NMRは100.6 MHzで得、溶媒シグナルを基準とした。星印でマークしたシグナルは回転異性体に相当する。
【0052】
実施例1:エチル(2R,3S)−ジヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸(VIa)の製造
790mg(1.0mmol)の(DHQ)PHAL、100g(302mmol)のKFe(CN)、41.7g(302mmol)のKCO及び149mg(0.403mmol)のKOsO(OH)4を2Lの反応器に投入し、1LのHO:tBuOH(1:1)混合液で溶解した。次に、9.5g(100mmol)のメタンスルホンアミドを加えた。15分間攪拌を維持し、次に、22.0g(100mmol)のエチル3−メシチル−2−プロペノアートを加えた。反応混合物は48時間室温で攪拌を維持した。48時間経過後、NaSO(180g)を加え、反応を停止した。2時間攪拌を維持し、最終的に、CHCl(3×150mL)を用いて水相を抽出した。すべての有機相を2N KOH水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で濃縮した。24.3g(収率97%)の生成物(2R,3S)−VIaが黄色の油状で得られた。[α]=−24.7(c0.98,CHCl),IR(フィルム):ν max3441(b),2978,1733,1611,1190cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ:6.80(s,2H),5.18(d,1H,J=6.4Hz),4.51(d,1H,J=6.4Hz),4.04(q,2H,J=7Hz),3.18(b,1H),2.86(b,1H),2.40(s,6H),2.24(s,3H),1.00(t,3H,J=7Hz)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ 173.0(CO),137.4(C),136.8(C),131.8(C),130.3(CH),73.8(CH),73.7(CH),61.9(CH),21.0(CH),20.9(CH),13.7(CH)ppm.EM(CI-NH)m/z:270.1[(M+18),100%],252.1[(M),60%],HRMS(CI+):C1420計算値:252.1361,252.1357検出,HPLC:Chiralpack−AD,ヘキサン/i−PrOH 98:2,1mL/分,λ=254nm,t(S,R)=44分及びt(R,S)=41分。
【0053】
実施例2:エチル(2S,3R)−ジヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸(VI’a)の製造
95%の収率でエチル(2S,3R)−ジヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸を得るためにリガンド(DHQD)PHALを用いて、同様のプロセスを行った。
【0054】
実施例1のエチル(2R,3S)−ジヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸と、実施例2のエチル(2S,3R)−ジヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸の光学純度はいずれも>99%eeであった。
【0055】
実施例3:(4R,5S)−4−エトキシカルボニル−5−メシチル−1,3,2−ジオキサチオラン−2−オキシド(Va)の製造
23.5g(93mmol)のジオールエチル(2R,3S)−ジヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸を1.4LのCHClを用いて反応器で溶解した。次に、38.9mL(279mmol)のNEtを加えた。反応混合物を0℃で冷却し、5分間攪拌を維持した。最後に、9.5mL(130.4mmol)のSOClを液滴で加え、0℃で15分間攪拌を維持した。その後、370mLのEtOと370mLの水を加えた。EtO(3×150mL)を用いて水相を抽出し、すべての有機相をNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で濃縮した。(4R,5S)−Vaの亜硫酸塩が油状で定量的に得られた。[α]=−18.8(c1.00,CHCl),IR(フィルム):ν max2979,1742,1216,1030cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ:6.90(s,2H),6.89(s,2H),6.61(d,1H,J=8Hz),5.95(d,1H,J=10Hz),5.35(d,1H,J=10Hz),4.96(d,1H,J=8Hz),4.30(dq,2H,J=20及び7Hz),4.22(m,2H),2.45(s,6H),2.37(s,6H),2.28(s,6H),1.31(t,3H,J=7Hz),1.22(t,3H,J=7Hz)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ168.0(CO),166.2(CO),139.9(C),139.8(C),138.4(C),138.2(C),131.0(CH),130.9(CH),125.6(C),122.6(C),84.9(CH),80.6(CH),80.3(CH),76.0(CH),62.8(CH),21.07(CH),21.06(CH),20.5(CH),20.2(CH),14.2(CH),14.0(CH)ppm.EM(CI−NH)m/z:315.6[(M+17),100%],HRMS(CI+):C1418S計算値:298.0875,298.0876検出。
【0056】
実施例4:エチル(2S,3S)−3−アジド−2−ヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸(IVa)の製造
18.6g(62.95mmol)の(4R,5S)−4−エトキシカルボニル−5−メシチル−1,3,2−ジオキサチオラン−2−オキシドを386mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて二口フラスコ中で溶解し、冷却剤を与え、8.2g(125.9mmol)のNaNを加えた。反応混合物を100℃で18時間加熱した。この時間の経過後、溶媒を減圧下で除去し、その結果得られた粗生成物を310mLのEtO及び310mLの20%HSO溶液で溶解し、室温で一晩中攪拌を維持した。過剰量のNaHCO飽和溶液を加え、EtO(3×150mL)を用いて水相を抽出した。すべての有機相をMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で濃縮した。反応の粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO/NEt 2.5%v/v,ヘキサン/AcOEt)によって精製し、13.6g(収率78%)の黄色の油状のアジドアルコール(2S,3S)−IVaを得た。[α]=−126(c0.795,CHCl),IR(フィルム):ν max3468(b),2924,2105,1737,1610,1257cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ:6.88(s,2H),5.19(d,1H,J=8.8Hz),4.45(dd,1H,J=7及び9Hz),4.33(m,2H),2.52(d,1H,J=7Hz),2.43(s,6H),2.26(s,3H),1.36(t,3H,J=7Hz)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ173.0(CO),138.4(C),137.6(C),130.66(CH),130.56(CH),128.6(C),72.1(CH),64.1(CH),62.4(CH),21.0(CH),20.9(CH),14.2(CH)ppm.EM(CI−NH3)m/z:295.3[(M+18),90%],HRMS(ESI):C1419Na計算値:300.1315,300.1318検出。
【0057】
実施例5:エチル(2R,3S)−3−メシチル−アジリジン−2−カルボン酸(IIIa)の製造
13.0g(46.72mmol)のアジドアルコールエチル(2S,3S)−3−アジド−2−ヒドロキシ−3−メシチルプロパン酸をフラスコに投入し、282mLのアセトニトリルで溶解し、次に、12.2g(46.72mmol)のPPhを加えた。反応混合物を室温で1時間、還流温度で6時間攪拌した。この時間の経過後、溶媒を減圧で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO/NEt3 2.5%v/v,ヘキサン/AcOEt)によって精製した。7.32g(収率67%)のアジリジン(2R,3S)−IIIaを黄色の油として得た。[α]=−131(c0.79,CHCl),IR(フィルム):ν max3281,2978,2922,1726,1218,1201cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ:6.82(s,2H),4.31(m,2H),3.16(d,1H,J=2Hz),2.57(d,1H,J=2Hz),2.39(s,6H),2.26(s,3H),1.78(b,1H),1.36(t,3H,J=7Hz)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ172.8(CO),137.8(C),137.3(C),129.0(CH),61.8(CH),38.9(CH),37.8(CH),20.9(CH),20.0(CH),14.4(CH)ppm.EM(CI−NH)m/z:233.0[(M),25%],146.0[(M−87),100%],HRMS(CI+):C1419NO計算値:233.1416,233.1418検出,HPLC:Chiralpack−IA.ヘプタン/i−PrOH 95:5,1mL/分,λ=254nm,t(S,R)=19分及びt(R,S)=14分。エチル(2R,3S)−3−メシチル−アジリジン−2カルボン酸の光学純度は>99%eeであった。
【0058】
実施例6:(2S)−メシチルアラニンエチルエステル(IIa)の製造
9.9g(42.42mmol)のアジリジンエチル(2R,3S)−3−メシチル−アジリジン−2−カルボン酸を高圧反応器内で300mLのメタノールで溶解し、次に、990mgのPd/C及び10mLの酢酸(84.84mmol)を加えた。この系を真空/窒素循環でパージし、反応器を40バールで加圧した。室温で48時間、反応混合物の攪拌を維持した。その後、セライト濾過によって触媒を除去し、その溶液を減圧下で濃縮した。黄色い固体状の化合物(IIa)を定量的に得た。Mp81−83℃,[α]=−26.7(c1.00,CHCl),IR(フィルム):ν max2918,1742,1612,1483,1225,H NMR(400MHz,CDCl)δ:6.84(s,2H),5.61(b,1H),4.14(m,2H),3.77(dd,1H,J=6.4及び7.6Hz),3.08(m,2H),2.94(m,2H),2.31(s,6H),2.25(s,3H),1.18(t,3H,J=7Hz)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ:178.9(CO),137.1(C),136.3(C),131.1(C),129.5(CH),129.5(CH),129.2(C),61.4(CH2),54.1(CH),34.6(CH),24.9(CH),21.0(CH),19.8(CH),14.2(CH)ppm.EM(ESI+)m/z:236.2[(M+H),100%],HRMS(ESI+):C1422NO計算値:236.1645,236.1637検出。
【0059】
実施例7:(2S)−メシチルアラニン(Ia)の製造
2.0g(8.50mmol)のアミノエステル(2S)−メシチルアラニンエチルエステルをフラスコ中で57mLのジオキサンで溶解し、次に、70mLの20%LiOH溶液を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。最終的に、減圧下で溶媒を除去し、その水相を冷却し、1Mの塩酸でpH7に調整した。濾過とその後の真空乾燥によって分離された結晶の沈殿物が認められた。1.3g(収率80%)のアミノ酸Iaが白い固体状で得られた。Mp:318−320℃,[α]=−80(c1.00,CHOH),IR(フィルム):ν max3300,2973,1730,1608,1409cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ:6.75(s,2H),3.27(t,1H,J=7.2Hz),2.88(m,1H),2.65(m,1H),2.12(s,6H),2.05(s,3H)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ:181.8(CO),137.8(C),136.4(C),132.2(C),128.9(CH),56.2(CH),34.3(CH),19.9(CH),19.4(CH)ppm.EM(CI+)m/z:208.3[(M+H),100%],HRMS(CI+):C1218NO計算値:208.1337,208.1330検出,C2727NO分析、計算値:C 71.46,H 8.99,N 5.95;C 71.36,H 8.69,N 6.39検出。
【0060】
実施例8:Fmoc−(L)−メシチルアラニン(Ip)の製造
1.08g(5.22mmol)のアミノ酸L−メシチルアラニンをフラスコ中で16mLの10%NaCO溶液で懸濁し、0℃で冷却した。次に、24mLのジオキサンに溶解したFmoc−OSu(2.64g,7.83mmol)溶液を液滴で加えた。反応混合物を室温で20時間攪拌し、その後、水(20ml)を加え、ヘキサン(3×20ml)を用いて抽出した。得られた水相を0℃で冷却し、1Mの塩酸でpH2に調整し、酢酸エチルを用いて抽出した。得られた有機相のグループをMgSOで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO/NEt 2.5%v/v,ヘキサン/AcOEt)によって精製し、白い固体として1.5g(収率68%)のIpが得られた。Mp:187−188℃,[α]=−26.04(c1.00,CHCl),IR(フィルム):ν max3321,2962,1713,1450,1265cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ:7.74(d,2H,J=7.6Hz),7.51(t,2H,J=7.6Hz),7.40(t,2H,J=7.6Hz),7.30(t,2H,J=7.6Hz),6.83(s,2H),5.25(d,1H,J=8Hz),4.60(dd,1H,J=8.0及び8.4Hz),4.30(m,1H),4.14(m,1H),3.18(m,2H),2.32(s,6H),2.21(s,6H)ppm.13C NMR(100MHz,CDCl)δ:176.7(CO),156.08(CO),144.0(C),141.5(C),137.2(C),136.6(C),130.0(C),129.6(C),129.5(CH),127.9(CH),127.3(CH),125.3(CH),120.2(CH),67.4(CH),53.7(CH),47.3(CH),32.5(CH),21.3(CH),20.4(CH)ppm.EM(CI−NH3)m/z:206.09[(M−233),82%],430.2[(M+H),5%],HRMS(CI+):C2728NO計算値:430.2029;430.2018検出。C2727NO分析、計算値:C 75.50,H 6.34,N 3.26;C 74.94,H 6.21,N 3.41検出,HPLC:Chiralcel−AD,ヘプタン/EtOH/TFA 95:5:0.2,1mL/分,λ=254nm,t(D)=20分,yt(L)=26分,L−Ipの光学純度は>99%eeであった。
【0061】
同様に、適切な構造を有する化合物からD−Ip化合物を製造すると、>99%eeの光学純度を有する生成物が得られた。
【0062】
実施例9:トリペプチドAc−(D−Msa)−Val−NaI−NHの製造
100mg(0.06mmol)のリンクアミド樹脂をシリンジに供給した。それをCHCL(5×1分)及びDMF(5×1分)で調整した。結合試薬としてジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、添加物としてヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いて、標準のFmoc/tBuストラテジー法によって合成を行った。Fmoc−3−(1−ナフチル)−L−Ala−OH(Fmoc−Nal)(78.75mg,0.18mmol,3eq)、Fmoc−L−Val−OH(61.2mg,0.18mmol,3eq)及びFmoc−D−メシチルアラニン−OH(Fmoc−D−Msa)(77.4mg,0.18mmol,3eq)を用いて、アミノ酸の連続的な導入をニンヒドリンテストで確認した。3番目のアミノ酸を導入した後、DMF中のピペリジン混合物を用いてFmoc基を除去し、遊離のアミノ末端をAcO-ジイソプロピルジエチルアミン(DIEA)を用いてアセチル化した。最終的に、樹脂を濾過し、DMF(5×1分)、CHCL(5×1分)及びメタノール(5×1分)を用いて十分に洗浄した。トリペプチドを切断するために、トリフルオロ酢酸−水−トリイソプロピルシラン(TFA−HO−TIS)(95:2.5:2.5)溶液で1時間処理し、濾過溶液を濃縮した。それを逆相クロマトグラフィー(HPLC分析)とEMによって特性化した。9ステップの合成後、中間精製なしで得られた粗生成物は、39%の純度であった。分取HPLC(勾配:20−50/10分間、及び、50−100/15分間)で精製し、3.4mgのトリペプチドが86%の純度(λ=220nm)で得られた。HPLC−MS:tr(HO 0.1%HCOOH;ACN 0.07%HCOOH)=4.830分,ES+:545.65(calc.C3240,544.30)。
【0063】
実施例10:トリペプチドAc−(D−Msa)−Val−Lys−NHの製造
100mg(0.06mmol)のリンクアミド樹脂をシリンジに供給した。それをCHCL(5×1分)及びDMF(5×1分)で調整した。結合試薬としてジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、添加物としてヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いて標準のFmoc/tBuストラテジー法によって合成を行った。Fmoc−L−Lys(Boc)−OH(84.33mg,0.18mmol,3eq)、Fmoc−L−Val−OH(61.2mg,0.18mmol,3eq)及びFmoc−D−Msa−OH(77.4mg,0.18mmol,3eq)を用い、アミノ酸の連続的な導入をニンヒドリンテストで確認した。3番目のアミノ酸を導入した後、DMF中のピペリジン混合物を用いてFmoc基を除去し、遊離のアミノ末端をAcO-ジイソプロピルジエチルアミン(DIEA)を用いてアセチル化した。最終的に、樹脂をろ過し、DMF(5×1分)、CHCL(5×1分)及びメタノール(5×1分)を用いて十分に洗浄した。トリペプチドを切断するために、トリフルオロ酢酸−水−トリイソプロピルシラン(TFA−HO−TIS)(95:2.5:2.5)溶液で1時間処理し、濾過溶液を濃縮した。それを逆相クロマトグラフィー(HPLC分析)とEMによって特性化した。9ステップの合成後、中間精製なしで、得られた粗生成物は、52%の純度であった。イオン交換カラム法で精製し、7.3mgのトリペプチドが96%の純度(λ=220nm)で得られた。HPLC−MS:tr(HO 0.1%HCOOH;ACN 0.07%HCOOH)=3.856分,ES+:476.57(calc.C2541,475.32)。
【0064】
実施例11:トリペプチドAc−(D−Msa)−Asp−Lys−NHの製造
100mg(0.06mmol)のリンクアミド樹脂をシリンジに供給した。それをCHCL(5×1分)及びDMF(5×1分)で調整した。結合試薬としてジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)、添加物としてヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いて標準のFmoc/tBuストラテジー法によって合成を行った。Fmoc−L−Lys(Boc)−OH(84.33mg,0.18mmol,3eq)、Fmoc−L−Asp−OtBu−OH(74.07mg,0.18mmol,3eq)及びFmoc−D−Msa−OH(77.4mg,0.18mmol,3eq)を用い、アミノ酸の連続的な導入をニンヒドリンテストで確認した。3番目のアミノ酸を導入した後、DMF中のピペリジン混合物を用いてFmoc基を除去し、遊離のアミノ末端をAcO-ジイソプロピルジエチルアミン(DIEA)を用いてアセチル化した。最終的に、樹脂をろ過し、DMF(5×1分)、CHCL(5×1分)及びメタノール(5×1分)を用いて十分に洗浄した。トリペプチドを切断し、アミノ酸側鎖からBoc及びtBu保護基を除去するために、トリフルオロ酢酸−水−トリイソプロピルシラン(TFA−HO−TIS)(95:2.5:2.5)溶液で1時間処理し、濾過溶液を濃縮した。それを逆相クロマトグラフィー(HPLC分析)とEMによって特性化した。9の合成段階後、中間精製なしで、得られた粗生成物は、71%の純度であった。イオン交換カラム法で精製し、17.0mgのトリペプチドが94%の純度(λ=220nm)で得られた。HPLC−MS:tr(HO 0.1%HCOOH;ACN 0.07%HCOOH)=2.543分。ES+:492.58(calc.C2437,491.27)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又は、その光学異性体(I’)の実質的に純粋な光学異性体の立体選択的な製造方法であって;
【化1】

[式中、Pは水素又はアミン保護基である]
以下のステップを含む立体選択的な製造方法:
a)式(II)の化合物、又は、その光学異性体(II’)を得るために、式(III)の化合物、又は、その光学異性体(III’)に対して水素化反応を行うステップ;
【化2】

【化3】

[式中、Rは(C−C)−アルキルである]
b)式(I)の化合物、又は、その光学異性体(I’)を得るために、式(II)の化合物、又は、その光学異性体(II’)に対して加水分解反応を行い、任意に、前記化合物(I)、又は、その光学異性体(I’)[式中、Pは水素である]に対してアミノ基保護反応を行うステップ。
【請求項2】
Pが、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、アリル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル及びベンジルから成る群より選択される請求項1に記載の立体選択的な製造方法。
【請求項3】
前記水素化反応を行うステップが、触媒として金属又は金属錯体を用いて行われる請求項1又は2に記載の立体選択的な製造方法。
【請求項4】
前記加水分解反応が、塩基性媒体中で行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体選択的な製造方法。
【請求項5】
前記加水分解反応の塩基が、アルカリ金属の水酸化物である請求項4に記載の立体選択的な製造方法。
【請求項6】
式(III)の化合物、又は、その光学異性体(III’)を得るために、式(IV)の化合物、又は、その光学異性体(IV’)が、式P(R[式中、Rは、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、任意に置換されたフェニル、任意に置換された(CH−フェニル(式中、nは1〜4の整数であり、ベンゼン環を有する基の置換基は、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシル又はハロゲンから成る群より、独立して選択される)から成る群より、独立して選択される]のホスフィンと反応する請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体選択的な製造方法;
【化4】

【化5】

[式(III)、(III’)、(IV)及び(IV’)中のRは、(C−C)−アルキルである]。
【請求項7】
式(IV)の化合物、又は、(IV’)の化合物を得るために、式(V)の化合物、又は、その光学異性体(V’)が、アルカリ又はアルカリ土類金属アジドと反応する請求項6に記載の立体選択的な製造方法;
【化6】

【化7】

[式(IV)、(IV’)、(V)及び(V’)中のRは、(C−C)−アルキルである]。
【請求項8】
式(V)の化合物、又は、その光学異性体(V’)を得るために、式(VI)の化合物、又は、その光学異性体(VI’)が、チオニルハロゲン化物と反応する請求項7に記載の立体選択的な製造方法;
【化8】

【化9】

[式(V)、(V’)、(VI)及び(VI’)中のRは、(C−C)−アルキルである]。
【請求項9】
式(VI)の化合物、又は、式(VI’)の化合物を得るために、式(VII)の化合物に対して、適切なキラルリガンドを用いたシャープレス不斉ジヒドロキシ化反応が行われる請求項8に記載の立体選択的な製造方法;
【化10】

【化11】

[式(VI)、(VI’)及び(VII)中のRは、アルキルである]。
【請求項10】
前記適切なキラルリガンドが、式(VI)の化合物を得るヒドロキニン1,4−フタラジンジイルジエーテル((DHQ)PHAL)、又は、式(VI’)の化合物を得るヒドロキニジン1,4−フタラジンジイルジエーテル((DHQD)PHAL)から成る群より選択される請求項9に記載の立体選択的な製造方法。
【請求項11】
Fmoc−(L)−メシチルアラニン。
【請求項12】
Fmoc−(D)−メシチルアラニン。
【請求項13】
1つ以上のメシチルアラニン残基を有する固相におけるペプチドの製造方法であって、Fmoc−(L)−メシチルアラニン、Fmoc−(D)−メシチルアラニン、Cbz−(L)−メシチルアラニン、Cbz−(D)−メシチルアラニン、アリル−(L)−メシチルアラニン、アリル−(D)−メシチルアラニン、4−メトキシベンジル−(L)−メシチルアラニン、4−メトキシベンジル−(D)−メシチルアラニン、2,4−ジメトキシベンジル−(L)−メシチルアラニン、2,4−ジメトキシベンジル−(D)−メシチルアラニン、ベンジル−(L)−メシチルアラニン、及び、ベンジル−(D)−メシチルアラニンから成る群より選択されるN−保護アミノ酸の使用が含まれる製造方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項の立体選択的な製造方法を行うことを含む、1つ以上のメシチルアラニン残基を有する固相におけるペプチドの製造方法。

【公表番号】特表2011−503226(P2011−503226A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534508(P2010−534508)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/ES2008/000724
【国際公開番号】WO2009/065987
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510139106)
【Fターム(参考)】